【解決手段】管理対象の物品に装着される無線タグのIDコードを記憶媒体に記憶するIDコード記憶手段と、管理対象の物品に装着された無線タグと通信し、そのIDコードを読み取る無線タグ読取手段と、前記無線タグ読取手段により読み取られたIDコードと、前記記憶媒体に記憶されているIDコードとを照合する照合手段と、前記照合手段による照合結果を前記使用者に報知する警報音発生装置、振動発生装置、発光装置を有する報知手段と、前記警報音発生装置、振動発生装置、発光装置の何れを動作させるか選択する選択手段とを有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
図1を参照しながら本実施形態の物品管理装置の全体構成を説明する。
図1に示すように、本実施形態の物品管理装置100は、物品管理装置本体Aをリストバンド120を介して使用者の腕に装着するリストバンド型に構成されている。
物品管理装置本体Aは、電源スイッチ130、フラッシュライト140、充電端子150などを備えている。
【0012】
物品管理装置本体Aは、リチウムイオンバッテリーを内蔵した充電式のリーダライタとして機能するように構成されており、充電端子150にミニUSB端子を差し込んでリチウムイオンバッテリーを充電することが可能に構成されている。
また、物品管理装置本体Aは、管理対象物に対応してチップモニタ171〜174が配設されている。さらに、警報切り換えスイッチとして、警報音切り換えスイッチ161、振動(バイブレータ)切り換えスイッチ162、発光(フラッシュ)切り換えスイッチ163、動作モード切り換えスイッチ164が配設されている。
【0013】
動作モード切り換えスイッチ164は、物品管理装置100の動作モードを設定するためのものであり、物品管理装置100は忘れ物防止モード、忘れ物探索モードを選択することができる。
【0014】
物品管理装置100は、リーダライタ装置として機能するものであり、1つの物品管理装置100と複数のRFIDタグとで忘れ物防止システムとして構成される。無線通信は、ISO/IEC14443の規格を満足するように設計されている。
本実施形態においては、
図2に示すように、財布210、鍵220、定期入れ230、携帯電話240を管理対象物とした例を説明する。これらの管理対象物には、電波や電磁波で無線通信を行うRFIDタグ(Radio Frequency IDentification tag)が取り付けられている。
【0015】
図2の例では、財布210にはRFIDタグ30B、鍵220にはRFIDタグ30C、定期入れ230にはRFIDタグ30D、携帯電話240にはRFIDタグ30Eがそれぞれ取り付けられている。なお、
図2においては、説明を簡略化するために、財布210、鍵220、定期入れ230、携帯電話240を同じような長方形状に示したが、これらの管理対象物は対象物の名称に応じた形状に構成されている。これらのRFIDタグB、RFIDタグC、RFIDタグD、RFIDタグEは、管理対象の物品に貼り付けるシート状に構成されている。
【0016】
図3は、本実施形態の物品管理装置100を構成可能なリーダライタの構成例を示すブロック図である。
図4は、本実施形態のRFIDタグを構成可能なRFIDタグ30の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態のリーダライタ300は、後述するRFIDタグ30とデータの送受信を行うための制御を行うリーダライタ本体312と、電波の出力やRFIDタグ30へRFIDタグコマンドデータを送信したり、RFIDタグ30からの応答を受信したりするRFIDリーダライタアンテナ311とを備える。
【0017】
リーダライタ本体312は、送受信部313、通信制御部314、制御部315、電源部316、装着状態検出部317および警報部318とを備える。警報部318は、制御部315により行われる照合処理の結果を使用者に報知する警報音発生装置、振動発生装置、発光装置とを備える。
RFIDタグ30は、タグアンテナ31、整流部32、電源部33、通信制御部34、制御部35、記憶部36とを備える。
【0018】
送受信部313は、リーダライタアンテナ311を用いてRFIDタグ30へRFIDタグコマンドデータを送信したり、その応答を受信したりする。
通信制御部314は、RFIDタグコマンドデータの送信時の変調や受信時の信号の増幅や復調を行うとともに、通信方法を制御する。制御部315は、リーダライタ300において必要な機能を実現するプログラムを格納するための記憶媒体としてメモリ315aを有し、RFIDリーダライタ全体の制御を行う。
【0019】
具体的には、管理対象の物品に装着される無線タグのIDコードをメモリ315aに記憶するIDコード記憶処理、管理対象の物品に装着された無線タグと通信し、そのIDコードを読み取る無線タグ読取処理、読み取られたIDコードと、メモリ315aに記憶されているIDコードとを照合する照合処理を行う。
【0020】
メモリ315aは、RFIDタグ30の識別番号であるタグID、RFIDタグ30が貼付された財布210乃至携帯電話240の管理単位の識別情報、その他の情報を記憶する。なお、メモリ315aが管理する識別コードの例については
図6に基づいて後述する。電源部316は、外部から供給された電力を蓄電するリチウムイオンバッテリーを有し、蓄電している電力を各部に供給する。
【0021】
装着状態検出部317は、使用者の身体に物品管理装置が装着されていることを検出するものであり、例えば3軸の加速度センサにより構成されている。3軸の加速度センサは、汎用的な歩数計などでも利用されてきており、機器の姿勢などを問わずに歩行状態を検知し、使用者の歩数の計測を行える。
【0022】
本実施形態の物品管理装置100は、このような3軸の加速度センサの特徴を利用し、使用者が物品管理装置100を腕に装着すると、その装着を検出して装置を自動で忘れ物防止モードで動作することを可能に構成している。前述したように物品管理装置本体Aには電源スイッチ130が設けられているので、電源スイッチ130を操作することで手動で忘れ物防止モードで動作するように設定することも可能である。
【0023】
RFIDタグ30のタグアンテナ31は、リーダライタ300から送信された電波を受信し、リーダライタ300と信号やデータの送受信を行うために用いられる。
整流部32は、アンテナ31から受信した電波を整流する。電源部33は、整流部32で整流して得た電圧を検出し、各部に電源を供給する。
【0024】
通信制御部34は、受信信号やRFIDタグコマンドデータの復調を行い、リーダライタ300に送信するRFIDの識別コードの変調を行う。
制御部35は、記憶部36に記憶されている識別コードに対するアクセス処理、リーダライタ300への応答データの生成処理など各種処理を実行する。
【0025】
前述のように構成されたリーダライタ300は、RFIDタグ30に対し、所定の強度で電波を出力してRFIDタグコマンドデータを送信する。その電波を受信したRFIDタグ30は、タグアンテナ31で受信した電波に起因する電力により動作し、リーダライタ300から送信された識別コードを有するRFIDタグ30がリーダライタ300に返信する。
【0026】
図5に、リーダライタ300とRFIDタグ30との間で行われる近距離無線通信の一例を示す。
リーダライタ300は、通信距離がRとなるようにRFIDタグ30に電波を送信している。
【0027】
図5の例では、RFIDタグB、RFIDタグC、RFIDタグD、RFIDタグEが物品管理装置本体Aから送信された電波を受信可能である。この電波を受信可能である範囲を管理対象物検出範囲として設定している。本実施形態においては、自身と持ち物がその距離を超えてしまい、それに気がつかないで立ち去ると、忘れ物になる可能性が飛躍的に高まる距離を半径R(100センチ)以上であると定義する。
【0028】
このように、半径R(100センチ)を管理対象物検出範囲として設定しておけば、自分から持ち物までの距離が100センチを超えた時点で警報部318が動作して警報処理が実行されるので、持ち物に気が付くことになり、その結果忘れ物が発生するのを防止することができる。つまり、自分の持ち物から離れたとしても、おおよそ半径100センチ以内であれば持ち物は距離的な支配下にあり、そのことに気がつけば、ほとんどすべての場合それを発見することができる。
【0029】
自分から持ち物までの距離が100センチと固定する必要はなく、電波状態などを考慮して半径80センチ〜120センチ程度の誤差は問題ない。したがって、実際に使用する場合においては、管理対象物検出範囲は80センチ〜120センチ程度となる。
図5において、物品管理装置本体Aから近距離R1までが80センチ、遠距離R2までが120センチである。したがって、リーダライタ300が忘れ物防止モードで動作している場合には、物品管理装置本体Aから近距離R1〜遠距離R2の間に存在するRFIDタグがRFIDタグ30から送信された電波を受信可能となる。
【0030】
これにより、管理対象物に付けられているRFIDタグB〜RFIDタグEの何れかが遠距離R2よりも遠くに移動すると、物品管理装置本体Aから送信される電波を受信することができなくなるので、忘れ物防止モードで動作している場合には、RFIDタグの読み取りに失敗する。この場合、物品管理装置本体Aの警報部318が動作して警報処理が実行される。
また、忘れ物探索モードで動作している場合には、物品管理装置本体Aから近距離R1よりも近づくと、物品管理装置本体Aの警報部318が動作して警報処理が実行される。
【0031】
図6に、メモリ315aに格納されている物品と識別コードの対応関係を示す。
図6に示すように、装置本体には識別コードAが割り当てられている。また、財布210には識別コードB、鍵220には識別コードC、定期入れ230には識別コードD、携帯電話240には識別コードEがそれぞれ割り当てられている。
【0032】
次に、物品管理装置100で行われる忘れ物防止処理の一例について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る物品管理装置の処理の動作を説明するフローチャートである。
物品管理装置100は、前述したように、使用者が電源スイッチ130を操作して物品管理装置本体Aの電源部316をオン状態にする手動モードと、物品管理装置本体Aが持ち上げられて揺動されたときに装着状態検出部317がそれを検出して動作状態となる自動モードとを有する。以下の説明では、自動モードで動作する場合を説明する。
【0033】
物品管理装置100は、置かれている状態から使用者によって持ち上げられると、その動きが装着状態検出部317によって検出され、物品管理装置100の動作が開始される(スタート)。
次に、S71において、身体に装着されたか否かが判定される。この判定は、物品管理装置100の装着状態検出部317によって搖動が検出されることにより「YES」となり、S72に移行する。
【0034】
次に、S72において、予め設定された時間が経過すると、S73に進んで、近辺の物品に取付けられたRFIDタグの読み出しを行う。
次に、S74において、メモリ315aに格納されて管理対象物として設定されている全てのタグに係る識別コードを取得したか否かを判定する。設定タグ情報を全て取得した場合にはS76に進んで物品管理装置100を身体から外したか否かを判断する。外していない場合にはS72に戻り、前述した処理を行う。
【0035】
一方、S74の判定の結果、設定タグ情報を全て取得できなかった場合にはS75に移行する。
S75においては、タグ情報を取得できなかったRFIDタグに係る報知処理を実行する。この報知処理は、制御部315により制御されて警報部318により実行される。報知処理の内容は、警報音切り換えスイッチ161、振動切り換えスイッチ162、発光切り換えスイッチ163により設定することができる。
【0036】
警報音切り換えスイッチ161、振動切り換えスイッチ162及び発光切り換えスイッチ163が全てオンに設定されている場合には、警報部318に設けられているブザーによる音声出力、バイブレータによる振動出力、LEDによる発光出力が行なわれる。これにより、物品管理装置100を身体に装着している使用者は管理対象物が監視対象領域外に出たことを認識することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態においては、管理対象物に対応してチップモニタ171〜174を配設しているので、監視対象領域外に出た管理対象物に付けられているRFIDタグB〜RFIDタグEに対応するチップモニタ171〜174を点灯させることにより、監視対象領域外に出た管理対象物を直ぐに特定することができる。
【0038】
前述の例では、警報音切り換えスイッチ161、振動切り換えスイッチ162及び発光切り換えスイッチ163が全てオンに設定している例を示したが、切り換えスイッチは使用状態に応じて任意にオン/オフすることができる。
例えば、仕事中や会議中、或いは公共の乗り物に乗っている場合には、警報音切り換えスイッチ161をオフに設定することにより、周囲に居る人々に迷惑をかけることなく、振動により管理対象物が管理対象範囲外に出たことを使用者に報知することができる。
【0039】
また、フラッシュライト140は暗い箇所では報知機能として有用であるが、明るい箇所では有効に機能しない場合がある。そこで、フラッシュライト140をオフにしておくことにより消費電力を削減することができる。フラッシュライト140のオン/オフ制御は、発光切り換えスイッチ163により設定することができるが、明るさ検出モニタを備えて自動的に行うことができるようにしてもよい。
【0040】
前述した実施形態においては、物品管理装置本体Aにブザーを配設した例を示したが、管理対象物に付けられているRFIDタグB〜RFIDタグEにもブザーを配設してもよい。このようにすると、遺失した物品が発見されたときに、その物品に取り付けられたブザーを鳴らすことができるので、自分の持ち物であることを簡単に証明することができる。
【0041】
また、本実施形態においては、1個の物品管理装置本体Aに対して4個のRFIDタグB〜RFIDタグEよりなる忘れ物防止システムを構築した例を説明したが、RFIDタグの個数は任意である。多数のRFIDタグを管理対象とする場合には、生活拠点から出かける際に、外出時において管理対象とするRFIDタグを物品管理装置本体Aに登録する必要がある。管理対象とするRFIDタグの個数が多い場合には、手動で登録処理するのは面倒である。
【0042】
そこで、管理対象とするRFIDタグ登録モードを設けておき、動作モード切り換えスイッチ164を操作して、RFIDタグ登録モードに設定することにより、物品管理装置本体Aの近距離R1以内に置いてあるRFIDタグと物品管理装置本体Aとの間で無線通信を行い、管理対象とするRFIDタグの識別コードを物品管理装置本体Aのメモリ315aに登録することができるように構成してもよい。
【0043】
また、忘れ物防止機能と忘れ物探索機能とを備えている場合に、状況に応じてこれらの機能を使い分ける操作を行う必要がある。例えば、外出時には忘れ物防止機能で動作させているが、生活拠点である自宅に戻った場合には、物品管理装置本体Aを充電する位置に置き、管理する物品はそれぞれの収納位置に置いたりすることにより、物品管理装置と管理する物品とが所定の距離以上に離れる場合がある。このような場合には、警報音を発生させる必要がないので、忘れ物防止機能をオフにする。
【0044】
そして、外出するときには忘れ物防止機能を用いて動作させる。この場合は、前述したように物品管理装置本体Aの近距離R1以内に管理対象とするRFIDタグを置いて、RFIDタグと物品管理装置本体Aとの間で無線通信を行うことにより、外出時に管理対象とするRFIDタグの識別コードを物品管理装置本体Aのメモリ315aに登録することができる。
【0045】
また、集団で就寝する際は、管理する物品が紛失することが心配である場合には、管理対象のRFIDタグB〜RFIDタグEを管理対象の設定範囲内に置いて、メインキーである電源スイッチ130をオンにしておく。このようにしておけば、他人が近傍に近寄ることが可能な環境であっても就寝中に盗難に合う心配も無くなる。
【0046】
本実施形態の物品管理装置100は、前述したように動作するので、外出時における盗難を防止することができるばかりでなく、忘れ物管理する装置として色々と使用することができる。例えば、ビジネスの場面の会議等では、重要な資料等にRFIDタグを取り付けておけば、重要な資料等の持ち忘れを防ぐことができる。
【0047】
また、学童等に対しては、その日の授業に必要な教科書及びノート等にRFIDタグを取り付け、このRFIDタグ情報と出発時間と授業の時間割を予め物品管理装置に登録していれば、出発時間になった時にその日の時間割通りの教科書及びノートを携行しているか否かをチェックすることができ、その日の時間割通りの教科書及びノート等の持ち忘れを防ぐことができる。
【0048】
使用する通信として、前述した規格の他に、例えば、NFC(Near Field Communication)の規格(ISO/IEC18092(NFC IP−1)、ISO/IEC21481(NFC IP−2))に基づいて、13.56MHzの電磁波を利用することもできる。また、DSRC(Dedicated Short Range Communication)を用いてもよい。
【0049】
[第2の実施形態]
前述した第1の実施形態においては、物品管理装置本体Aをオリジナルのリストバンド型に構成した例を示したが、本発明の物品管理装置はスマートフォンを利用して構成することもできる。
例えば、本発明の物品管理装置として機能させる物品管理アプリケーションと、複数のタッチパッド(例えば、10枚)をセットとして、システムを構成することができる。
【0050】
このように構成することにより、物品管理アプリケーションをスマートフォンにインストールした時点で、各々のタッチパッドとスマートフォンとを電気的に接続することが可能なので、面倒な接続作業を行うことなく物品管理システムを構築することができる。また、既存のスマートフォンを用いて物品管理装置本体Aを構成可能なので、本発明の物品管理装置を安価に構成することができる。
スマートフォンを用いて物品管理システムを構築した場合、スマートフォンが備えている警報音機能、振動機能、発光機能などを前述した第1の実施形態と同様に使用することができる。
【0051】
[変形例]
前述した実施形態においては、シール形状に構成したRFIDタグ30の例を示したが、このような形状の他に種々の形状のRFIDタグでもよい。例えば、クレジットカード形状、携帯ストラップ形状、キーホルダー形状などの形状であってもよい。
【0052】
このような形状のRFIDタグとした場合、シール形状のRFIDタグ30をこれらの形状に構成した物品に貼り付ける手間を省略することができるばかりでなく、シール形状のRFIDタグ30を貼り付けることが困難な形状にした物品についても、本発明を適用することができる。