【解決手段】携帯端末の表示部は、登録サービスを提供するオペレータ装置を相手とするチャット画面128を表示させる。表示部は、オペレータ・メッセージ132およびユーザ・メッセージ136をチャット画面128に時系列にて配列表示させる。オペレータ・メッセージ132のうち登録項目に対する質問をするためのメッセージは、質問に対する回答をユーザが選択可能な選択型インタフェースを含む。登録項目に関わるメッセージには、更に、再入力インタフェース134が付属している。再入力インタフェース134が選択されたときには、登録項目に関わるオペレータ・メッセージ132の再送信をオペレータ装置に要求する。
前記表示部は、更に、前記登録項目に対する質問および回答を抽出するための縮約インタフェースを表示し、前記縮約インタフェースが選択されたときには、前記オペレータ・メッセージおよび前記ユーザ・メッセージのうち、前記登録項目に関わるメッセージを選択的に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【背景技術】
【0002】
飲食や旅行、コンサート、医療機関の予約、企業への採用応募など、ユーザ登録にかかわる作業の多くがスマートフォンやタブレット・コンピュータなどの携帯端末から行われるようになってきている。こういった登録作業においては、ユーザの希望や属性などさまざまな登録項目の入力を求められる。採用応募であれば、希望職種や年齢、職歴などが登録項目として設定されることもあるし、医療機関の予約であれば、年齢や症状、通院歴などが登録項目として設定されることもある。
【0003】
ウェブで提供される登録フォームの場合、タブレット・コンピュータやデスクトップPCのような大画面を使える機器では入力はそれほどむずかしくないものの、スマートフォンや携帯電話などでは画面が小さいため複雑な入力をしにくいことがある。また、ウェブの登録フォームでは、登録先のオペレータと相談しながら登録内容を決めていくことができない。このため、自分の希望や属性をきちんと把握できていないと入力しずらいという問題がある。
【0004】
一方、電話で登録作業を行う場合には、オペレータと自由に会話できるメリットがあるものの、オペレータとユーザの双方が一定時間拘束されるというデメリットがある。また、登録項目が複雑多様な場合、聞き落とし、言い忘れ、誤解を生じるリスクもある。
【0005】
参考までに、特許文献1は、ソフトウェアロボットとチャットをすることで天気予報を聞き出すというコミュニケーション・ツールを開示している。ただし、特許文献1の技術は、ソフトウェアロボットが投げかける質問に回答することで所望の情報を引き出すことを目的としており、相談を主眼としたコミュニケーション・ツールではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、チャットを使えば、オペレータと相談しながら登録項目のデータを決めていくことができるのではないかと想到した。たとえば、旅行会社のオペレータとチャットできれば、食事やアクティビティ、行き先や日程などの登録項目をひとつひとつ相談しながらプランを決めたり選んだりすることができる。また、チャットは隙間時間に少しずつ会話を進めていけるため、電話のように長時間拘束されることもない。
【0008】
ただし、チャットは、コミュニケーションの自由度が高い反面、長くなりやすい。会話が長くなると、オペレータとユーザは、どの登録項目について回答したが、していないかを把握しづらくなる可能性がある。チャットは自然文入力で行われるため、ユーザがオペレータの質問の意図を把握しにくいこともあるし、それによってユーザから適切な回答を得られない可能性もある。また、オペレータはさまざまなユーザに同内容の質問をすることが多いため、多くのユーザに対して常に自然文入力で対応するのは作業負担が大きいという問題も考えられる。
【0009】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、通信ネットワークを介した登録システムにおけるオペレータとユーザのコミュニケーションの円滑化を支援するための技術、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様の携帯端末は、登録サービスを提供するオペレータ装置を相手とするチャット画面を表示させる表示部と、ユーザからの入力を受け付ける入力部と、オペレータ装置から、オペレータ・メッセージを受信する受信部と、オペレータ装置に、ユーザから入力されたユーザ・メッセージを送信する送信部と、を備える。
表示部は、オペレータ・メッセージおよびユーザ・メッセージをチャット画面に時系列にて配列表示させる。オペレータ・メッセージのうち登録項目に対する質問をするためのメッセージは、質問に対する回答をユーザが選択可能な選択型インタフェースを含む。
【0011】
ユーザが、オペレータからの質問にユーザ・メッセージによって回答していくことにより、オペレータ装置に対してユーザの登録に必要なデータ(登録項目に関わるユーザ・データ)が蓄積されてもよい。登録データは、たとえば、商品やサービスの購入・決済のために必要な情報であってもよいし、診察や法律相談などの相談のために必要な情報であってもよいし、あるいは、採用応募やカスタマー登録のために必要な情報であってもよい。登録の目的は決済に限らず、さまざまであってもよい。また、登録システムはデータの登録を支援するだけでなく、登録後の決済処理や応募処理等の後処理サービスを自ら提供してもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、登録サービスを提供するためのオペレータ装置である。
このオペレータ装置は、上述の携帯端末からの接続要求を受信したときに、チャット画面を表示させる表示部と、オペレータからの入力を受け付ける入力部と、オペレータから入力されたオペレータ・メッセージを携帯端末に送信する送信部と、携帯端末から、ユーザ・メッセージを受信する受信部と、を備える。
表示部は、オペレータ・メッセージおよびユーザ・メッセージをチャット画面に時系列にて配列表示させるとともに、登録項目についての回答を一覧表示する。
【0013】
本発明の別の態様は、ユーザ登録システムである。
このユーザ登録システムは、登録サービスを提供するオペレータ装置と、ユーザが操作する携帯端末と、オペレータ装置および携帯端末のチャットを中継する中継サーバと、を備える。
携帯端末は、ユーザからの入力を受け付ける入力部と、オペレータ装置を相手とする第1のチャット画面を表示させる表示部と、オペレータ装置から、オペレータ・メッセージを受信する受信部と、オペレータ装置に、ユーザから入力されたユーザ・メッセージを送信する送信部と、を備える。携帯端末の表示部は、オペレータ・メッセージおよびユーザ・メッセージを第1のチャット画面に時系列にて配列表示させ、オペレータ・メッセージのうち登録項目に対する質問をするためのメッセージは、質問に対する回答をユーザが選択可能な選択型インタフェースを含む。
オペレータ装置は、携帯端末を相手とする第2のチャット画面を表示させる表示部と、オペレータからの入力を受け付ける入力部と、オペレータから入力されたオペレータ・メッセージを携帯端末に送信する送信部と、携帯端末から、ユーザ・メッセージを受信する受信部と、を備える。オペレータ装置の表示部は、オペレータ・メッセージおよびユーザ・メッセージを第2のチャット画面に時系列にて配列表示させる。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、通信ネットワークを介した登録システムにおいてオペレータとユーザのコミュニケーションを円滑化しやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、登録システム306のハードウェア構成図である。
登録システム306は、中継サーバ300、携帯端末100およびオペレータ装置200を含む。これらはインターネット等の通信回線を介して互いに接続される。携帯端末100は、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、携帯電話などである。オペレータ装置200は、店舗や会社などユーザ登録を受け付ける組織が運営するコンピュータであり、デスクトップPCやタブレット・コンピュータなどの汎用端末である。中継サーバ300は、さまざまなニュース記事やPR記事を収集・保存しており、これらを携帯端末100に配信する。なお、中継サーバ300には複数の携帯端末100が接続可能であり、同様に、複数のオペレータ装置200が中継サーバ300に接続可能である。
本実施形態においては、携帯端末100を操作するユーザが、旅行会社Xが運営するオペレータ装置200に対して、旅行予約をするケースをモデルとして説明する。
【0018】
中継サーバ300は、記事処理部302およびチャット処理部304を含む。記事処理部302は、ニュース記事やPR記事などの記事情報を携帯端末100に送信する。詳細は後述するが、記事情報にはチャット・インタフェースが含まれる。ユーザが旅行会社Xに関する記事のチャット・インタフェースを選択すると、中継サーバ300のチャット処理部304は、携帯端末100とオペレータ装置200(旅行会社X)のチャット接続を確立する。記事情報の配信や、チャット接続は、既存技術の応用により実現される。中継サーバ300は、旅行予約のための各種登録処理だけでなく、決済や情報案内などその他の機能を備えてもよい。
【0019】
図2は、携帯端末100の機能ブロック図である。
携帯端末100の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各図は、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
なお、携帯端末100には、ウェブブラウザと、チャットのためのアプリケーションプログラムがインストールされ、OS(オペレーティングシステム)と協働して、後述の各種機能を実現する。
【0020】
携帯端末100は、ユーザに対するユーザインタフェース処理を担当するU/I(ユーザインタフェース)部102と、中継サーバ300やオペレータ装置200との通信を行う通信部104と、各種データ処理を行うデータ処理部106と、各種のデータファイルを格納するデータ格納部108を含む。データ処理部106は、U/I部102、通信部104とデータ格納部108のインタフェースとしても機能する。
【0021】
U/I部102は、ユーザからの入力を受け付ける入力部110と、各種情報を画面に表示させる表示部112を含む。通信部104は、オペレータ装置200や中継サーバ300との接続処理を実行する接続部114と、各種データを送信する送信部116と、各種データを受信する受信部118を含む。
【0022】
図3は、オペレータ装置200の機能ブロック図である。
オペレータ装置200の各構成要素も、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。
オペレータ装置200にも、ウェブブラウザと、チャットのためのアプリケーションプログラムがインストールされ、OSと協働して、後述の各種機能を実現する。オペレータ装置200は、タブレット・コンピュータまたはデスクトップPCである。オペレータ装置200をスマートフォンで実現することも可能であるが、後述の理由によりオペレータ装置200は大きな画面の表示装置を備えることが好ましい。
【0023】
オペレータ装置200は、オペレータに対するユーザインタフェース処理を担当するU/I(ユーザインタフェース)部202と、中継サーバ300や携帯端末100との通信を行う通信部204と、各種データ処理を行うデータ処理部206と、各種のデータファイルを格納するデータ格納部208を含む。データ処理部206は、U/I部202、通信部204とデータ格納部208のインタフェースとしても機能する。データ格納部208は、定型的なオペレータ・コミットメント・メッセージ(後述)をあらかじめ複数種類格納している。
【0024】
U/I部202は、ユーザからの入力を受け付ける入力部210と、各種情報を画面に表示させる表示部212を含む。表示部212は、更に、チャット画面領域(後述)を表示するチャット表示部214と、回答画面領域(後述)を表示する回答表示部216を含む。通信部204は、携帯端末100や中継サーバ300との接続処理を実行する接続部218と、各種データを送信する送信部220と、各種データを受信する受信部222を含む。
【0025】
図4は、ユーザ登録の流れを示すフローチャートである。
中継サーバ300から携帯端末100には、さまざまな記事情報が提供される。携帯端末100のユーザは任意の記事を選択する(S10)。この記事情報にはチャット・インタフェース(後述)とよばれるボタンが付与されている。ユーザがこのチャット・インタフェースをクリックすると、携帯端末100の接続部114は中継サーバ300を介してオペレータ装置200に接続要求を送信し、中継サーバ300のチャット処理部304が仲介することにより、携帯端末100とオペレータ装置200のチャットが開始される(S12)。
【0026】
携帯端末100とオペレータ装置200の双方にチャット画面が表示され、ユーザとオペレータはチャットを行う(S14)。このチャットを介して、旅行プランを決めていく。最後に、登録確認を行い(S16)、登録が完了する。このあとに中継サーバ300が決済処理等の後処理を実行してもよいし、決済処理は別のシステムにより実行されてもよい。
【0027】
このフローチャートに示す処理中に、ユーザは自由に離脱できる。たとえば、登録処理(クロージング)が完了する前にチャットを終了してもいいし、あるいは、一時退出して後日にチャットを再開してもよい。チャットに際してオペレータはさまざまな質問を行い、ユーザはこれに対して回答することで、登録項目に必要なデータが収集される。もちろん、登録項目に関わらない自由な会話も可能である。
【0028】
以下、オペレータからのチャット・メッセージを「オペレータ・メッセージ」、ユーザからのチャット・メッセージを「ユーザ・メッセージ」とよぶ。また、オペレータ・メッセージのうち登録項目に関わるメッセージを「オペレータ・コミットメント・メッセージ」とよび、ユーザ・メッセージのうち登録項目に関わるメッセージを「ユーザ・コミットメント・メッセージ」とよぶ。通常、オペレータ・コミットメント・メッセージは登録項目に関わる質問であり、ユーザ・コミットメント・メッセージはそれに対する回答である。オペレータ・コミットメント・メッセージとユーザ・コミットメント・メッセージをまとめていうとき、あるいは、特に区別しないときには単に「コミットメント・メッセージ」とよぶことにする。
【0029】
次に、携帯端末100の画面を示しながら、旅行会社Xに旅行予約(登録処理)する流れを説明する。
図6〜
図9は携帯端末100の画面図であり、
図10はオペレータ装置200の画面図である。
【0030】
図5は、記事画面120の画面図である。
まず、中継サーバ300から沖縄を紹介する記事情報(HTMLファイル)126が携帯端末100に送信されたとする。携帯端末100のユーザは、沖縄を紹介する記事情報126を見て、「自然を満喫できるところへの旅行」に対する興味を喚起されたが、沖縄に行くことは考えていないとする。
【0031】
記事情報126は、沖縄旅行を提供する旅行会社Xを記事中に企業名122として含む。また、記事情報126の下部にはチャット・インタフェース124というボタンが表示される。チャット・インタフェース124は、HTMLのリンクとして提供されてもよい。また、「旅行会社X」の記載箇所(企業名122)にリンク(チャット・インタフェース124)を付与してもよい。ユーザは、旅行プランを相談したいとき、チャット・インタフェース124を選択する。チャット・インタフェース124には、沖縄紹介記事であることや旅行会社Xへのアクセスであることなど、各種の属性情報があらかじめ対応づけられている。チャット・インタフェース124が選択されると、携帯端末100の接続部218は、接続要求を中継サーバ300に送信する。中継サーバ300のチャット処理部304は、接続要求を受信すると、旅行会社Xのオペレータ装置200と携帯端末100のチャット回線を確立する。このとき、携帯端末100からオペレータ装置200にはユーザの位置情報が送信されてもよい。
【0032】
図6は、チャット画面128の第1の画面図である。
チャット回線が確立すると、携帯端末100にはチャット画面128が表示される。チャット画面128の上部にはQAボタン130(縮約インタフェース)が常時表示される。QAボタン130については後述する。チャット画面128では、オペレータ・メッセージとユーザ・メッセージが時系列に沿って配列表示される。
チャットが開始されると、まず、旅行会社Xのオペレータからオペレータ・メッセージ132aが送信される。最初のオペレータ・メッセージ132aはチャット開始時に自動送信されてもよい。より具体的にはオペレータ装置200の送信部220からオペレータ・メッセージ132aが中継サーバ300を経由して携帯端末100に送信され、携帯端末100の受信部118がこれを受信し、携帯端末100の表示部112がチャット画面128にオペレータ・メッセージ132aを表示させる。
【0033】
最初のオペレータ・メッセージ132aでは、問い合わせてきたユーザに対して用件を質問している。オペレータ・メッセージ132aは、旅行予約のための登録項目に関わるコミットメント・メッセージである。オペレータ装置200の送信部220は、コミットメント・メッセージにフラグ情報を付与して送信する。オペレータ・メッセージ132aでは、質問に対する回答の選択肢を1〜3の番号で示している。携帯端末100の表示部112は、オペレータ・メッセージ132aにフラグ情報が付与されているとき、オペレータ・メッセージ132aに対する回答であるユーザ・メッセージ136aのとなりに再入力インタフェース134aを表示する。再入力インタフェース134については後述する。なお、再入力インタフェース134aは、ユーザ・コミットメント・メッセージではなくオペレータ・コミットメント・メッセージに付与されてもよい。
【0034】
ユーザが、オペレータ・メッセージ132aが提示する「ツアー:1、航空券:2、ホテル:3」という選択肢に対して「1」を入力すると、選択肢「1」を示すユーザ・メッセージ136aが送信される。具体的には、携帯端末100の送信部116からユーザ・メッセージ136aが中継サーバ300を経由してオペレータ装置200に送信され、オペレータ装置200の受信部222がこれを受信し、チャット表示部214がオペレータ装置200の画面にユーザ・メッセージ136aを表示する。ユーザ・メッセージ136aはコミットメント・メッセージである。
【0035】
オペレータは沖縄紹介記事をきっかけとしたアクセスであることがわかっているので、続いて、羽田発、那覇着に設定した選択型インタフェースを含むオペレータ・メッセージ132bを送信する。ユーザは、オペレータ・メッセージ132bに含まれる選択型インタフェース(ドロップダウンメニューやリストボックス)から出発地や目的地を選ぶ。ユーザは沖縄旅行を考えていないため、「もっと近場で」というユーザ・メッセージ136bを返信している。ユーザ・メッセージ136bは、自然文で自由に入力可能なメッセージであり、登録項目に関わるコミットメント・メッセージではない。したがって、ユーザ・メッセージ136bには再入力インタフェースは付与されない。ユーザは、沖縄以外のプランについて旅行会社Xのオペレータと相談してみたいと考えている。
【0036】
図7は、チャット画面128の第2の画面図である。
ユーザが沖縄旅行に興味を示さなかったので、オペレータはオペレータ・メッセージ132cにより自由に質問している。オペレータ・メッセージ132cはユーザの希望をさぐるための質問であり、登録項目に関わるコミットメント・メッセージではない。ユーザが特に希望を示すことができないため(ユーザ・メッセージ136c)、オペレータは紅葉はどうかと提案し(オペレータ・メッセージ132d)、ユーザはこの提案に興味を示している(ユーザ・メッセージ136d)。ユーザの希望が少し明確になってきたので、オペレータは、まず、関東地方のプランを希望するか尋ねている(オペレータ・メッセージ132c)。オペレータ・メッセージ132cは、関東かそれ以外かという2者択一の選択肢を示す選択型インタフェースを含む。旅行予約において行き先は重要な登録項目であるため、オペレータ・メッセージ132eはコミットメント・メッセージである。ユーザは、関東を希望している(ユーザ・メッセージ136e)。
【0037】
このように、オペレータはチャットでユーザの希望を探りながら、定型的なコミットメント・メッセージを随時送信する。オペレータ・コミットメント・メッセージに対してユーザ・コミットメント・メッセージを得ることで、登録項目がひとつずつ確定していく。
【0038】
図8は、チャット画面128の第3の画面図である。
ユーザは関東地方への旅行を希望したので、オペレータはオペレータ・メッセージ132fにより関東地方の旅行プランを提案している。オペレータ・メッセージ132fはコミットメント・メッセージであり、旅行プランを選ぶための選択型インタフェースを含む。ここでは、関東地方の紅葉狩りに関わる旅行プランが選択肢として提案されている。
【0039】
ここでユーザは、関東地方以外への旅行に考え直したとする。この場合、ユーザが関東地方への旅行を選んでいたユーザ・メッセージ136e(コミットメント・メッセージ)に付属する再入力インタフェース134eを選択すると、オペレータ装置200から自動的にオペレータ・メッセージ132gが送信される。オペレータ・メッセージ132gはふたたびユーザに関東地方への旅行を希望するか否かを尋ねるコミットメント・メッセージである。ユーザは「NO」を選択すれば、関東地方以外への旅行に回答を修正できる。
別の例として、携帯端末100は受信したオペレータ・メッセージ132をまとめて保存しておき、ユーザが再入力インタフェース134を選択した時には、ローカルに保存しているオペレータ・メッセージ132を再表示してもよい。より具体的には、再入力インタフェース134eが選択されると、データ処理部106は対応するオペレータ・メッセージ132eをデータ格納部108から抽出し、表示部112がこのオペレータ・メッセージ132g(オペレータ・メッセージ132eと同じ)を表示させればよい。
【0040】
チャットは、オペレータ・コミットメント・メッセージが示す質問に順次回答していくことでクロージングに向かって進んでいくことが原則であるが、ユーザは再入力インタフェース134により会話の流れを元に戻すことができる。チャットを通して、旅行予約を確定させるまでに必要な登録項目(旅行先、予算、日程など)が少しずつ決まっていく。もちろん、ユーザはチャット中に旅行予約を完了する必要はなく、途中でやめてもよいし、いったん中断して熟考し、後日チャットを続きから再開してもよい。すべての登録項目に回答すると、クロージングとなり旅行予約が完了する。
【0041】
図9は、縮約画面138の画面図である。
ユーザがQAボタン130をクリックすると、携帯端末100のデータ処理部106はコミットメント・メッセージだけを選択する。コミットメント・メッセージには、上述したようにフラグ情報が付与されている。このフラグ情報はオペレータが付与してもよいし、定型的なオペレータ・コミットメント・メッセージにはあらかじめフラグ情報が付与されていてもよい。ユーザ・メッセージのうち、オペレータ・コミットメント・メッセージに対する回答に対しては、すなわち、ユーザ・コミットメント・メッセージに対してはオペレータがフラグ情報を付与する。
【0042】
QAボタン130が選択されると、携帯端末100は縮約画面138を表示する。縮約画面138にはコミットメント・メッセージだけがまとめて表示される。具体的には、携帯端末100のデータ処理部106はフラグ情報を付与されているメッセージだけを抽出し、携帯端末100の表示部112はこうして抽出されたコミットメント・メッセージを縮約画面138に選択的に表示する。
縮約画面138によれば、長期間にわたって多くのメッセージのやりとりがなされても、登録項目に関係のあるコミットメント・メッセージだけをまとめて確認できる。特に、チャットをいったん中止して再開するとき、ユーザは縮約画面138により前回のチャットで話し合った登録項目を確認しやすくなっている。
【0043】
図10は、オペレータ画面140の画面図である。
オペレータ画面140は、オペレータ装置200に表示される。オペレータ画面140は、チャット領域142と回答領域144を含む。オペレータ装置200のチャット表示部214がチャット領域142を表示し、回答表示部216が回答領域144を表示する。チャット領域142は、携帯端末100のチャット画面128と同様のメッセージ群が時系列にて配列表示される。
【0044】
一方、回答領域144には旅行予約のために必要な登録項目が表示される。回答領域144には1以上の登録項目について、ユーザからの回答内容も表示される。オペレータは回答領域144を確認することにより、ユーザとのチャットを行いながらも、聞き出すべき事項(登録項目)をどのくらい確定できたかを確認できる。オペレータ装置200においても縮約画面138を表示してもよいが、オペレータ装置200が大きな画面を使える場合には、回答領域144で回答を確認しながら、同一画面にてチャット領域142でチャットできる方が便利である。
【0045】
以上、実施形態に基づいて、登録システム306について説明した。
出願人の調査によれば、ニュース記事により商品やお店に興味をもったことがあると答えたユーザは40%にのぼる。しかし、せっかく紹介記事で旅行などのサービスに興味をもっても、サービスを提供している旅行会社のサイトを検索するという手間がかかるため、見込客の取りこぼしが多かったと考えられる。本実施形態においては、携帯端末100のユーザは、記事情報126により旅行会社Xのサービスを認知すると、チャット・インタフェース124により旅行会社Xにダイレクトにアクセスできる。すなわち、記事情報126による認知から問い合わせまでを検索などの手間をかけることなくシームレスにつなぐことができる。また、チャットの方が、旅行会社Xに電話をかけるよりも、ユーザの心理的障壁が低くなるというメリットもある。ユーザは自分の希望が明確でない段階でもアクセスして、オペレータと相談しながらプランを決めることができる。
【0046】
チャットは、電話のような時間拘束がない。ユーザもオペレータも隙間時間をつかいながらゆっくりと会話をすすめていけばよい。オペレータも、登録項目についての回答、いいかえれば、ユーザのコミットメント(言質)を集めながらじっくりとユーザをクロージングに導くことができる。
【0047】
登録項目に関する質問をするオペレータ・コミットメント・メッセージの全部または一部は、定型化されている。たとえば、オペレータ・メッセージ132bのように出発地と目的地を尋ねる質問は、旅行予約における典型的な質問である。このようなオペレータ・コミットメント・メッセージをあらかじめ定型化しておき、かつ、質問に対する回答を選択肢として示すことでユーザが回答を選択可能となる選択型インタフェースを含ませることにより、オペレータの質問の意図をユーザに明確に伝えることができる。また、オペレータも、定型化されたオペレータ・コミットメント・メッセージを選ぶだけで質問できるため、入力負担が軽減される。このように、自然文による自由会話というチャットの柔軟性を前提としつつも、登録項目に関わるオペレータ・コミットメント・メッセージを定型化することにより、柔軟かつ明確なコミュニケーションを実現している。
【0048】
オペレータは、オペレータ・コミットメント・メッセージを送りながら、クロージングまでに必要な登録項目をひとつひとつクリアしていく。一方、ユーザは、再入力インタフェース134により会話の流れを戻すこともできる。
【0049】
チャットは数時間または数日にわたって行われる可能性もある。たとえば、チャットを開始した日にはクロージングまで至らず、ユーザは熟考の上、翌日にチャットを再開したい場合もある。このときには、縮約画面138により、前日までの話の流れを簡単に再確認できる。
【0050】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0051】
オペレータ・コミットメント・メッセージが示す選択肢のいずれかが選ばれたときには、すなわち、予約処理が順調に流れているときには、オペレータではなくオペレータ装置200が自動的に順次オペレータ・コミットメント・メッセージを流してもよい。そして、オペレータ・コミットメント・メッセージが示す選択肢が選ばれず、ユーザが自由発言をしたとき(
図6のユーザ・メッセージ136b参照)、オペレータがユーザと対話するとしてもよい。
【0052】
本実施形態においては旅行予約を対象として説明したが、このほかにも、病院やコンサートの予約、採用応募など、ユーザが1以上の登録項目にデータを入力することで登録が完了するさまざまな登録作業に本発明は応用可能である。