【解決手段】コネクタ10は、第1ハウジング1、カバーハウジング2、及び複数の第1コンタクト3を備える。第1ハウジング1は、FPCが挿入される凹部11を形成している。カバーハウジング2は、凹部11を開閉自在に覆っている。第1コンタクト3は、第1固定アーム31、第1弾性アーム32、第2弾性アーム33、及び第1連結脚34を備える。第2弾性アーム33は、第1弾性アーム32に向けて、複数の接点c1・c2・c3を突出する。カバーハウジング2を閉じると、第1弾性アーム32は、FPCを接点c2・c3に向けて加圧すると共に、カバーハウジング2の先端部側は、FPCを接点c1に向けて加圧するので、FPCの導体は、第1コンタクト3と確実に接触できる。
前記第1カム部は、前記押え部に係合して前記カバーハウジングの閉姿勢を維持できる第1輪郭部と、前記受け部に係合して前記カバーハウジングの開姿勢を維持できる第2輪郭部と、を有する請求項1記載のFPC用コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図12は、従来技術によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、カバーハウジングを開いた状態図である。
図13は、従来技術によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図13(A)は、補強タブを含む縦断面図、
図13(B)は、FPCを挿入する前の状態でのコンタクトを含む縦断面図、
図13(C)は、FPCを挿入した状態でのコンタクトを含む縦断面図である。
【0008】
又、
図14は、従来技術によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、
図13(C)の拡大図である。なお、本願の
図12から
図14は、特許文献1の
図1から
図3に相当している。
【0009】
図12から
図14を参照すると、従来技術によるFPC用コネクタ(以下、コネクタと略称する)9は、直方体状のハウジング91と板状のカバーハウジング92を備えている。ハウジング91は、FPC1fcが挿入される凹部910を一方の端部に形成している(
図12参照)。又、ハウジング91は、所定のピッチで横並びに配置された複数の板状のコンタクト93を内部に備えている。カバーハウジング92は、凹部910を開閉自在に、ハウジング91と連結している。
【0010】
図12から
図14を参照すると、コンタクト93は、固定アーム931、弾性アーム932、及び連結脚933を有している。固定アーム931は、ハウジング91に固定されている。弾性アーム932は、固定アーム931を対向配置している。連結脚933は、固定アーム931と弾性アーム932の基端部同士を連結している。又、連結脚933は、弾性アーム932と反対側にリード部93rを突出している(
図13(C)又は
図14参照)。リード部93rは、その底面をプリント基板8pの表面にハンダ接合できる。
【0011】
図12から
図14を参照すると、コネクタ9は、一対の補強タブ94・94を更に備えている。一対の補強タブ94・94は、所定の間隔を設けて対向配置している。補強タブ94は、圧入片94pを一端部側に突出している(
図13(A)参照)。圧入片94pをハウジング91の内部に圧入することで、補強タブ94をハウジング91に固定できる。
【0012】
図12又は
図13(A)を参照すると、補強タブ94は、他端部側の底面94bをプリント基板8pの表面にハンダ接合できる(
図13(C)参照)。補強タブ94は、プリント基板8pへのハンダ接合強度を補強している。つまり、コネクタ9は、プリント基板の表面にハンダ接合できる表面実装型コネクタである。
【0013】
図12又は
図13(A)を参照すると、補強タブ94は、円弧状に切り欠かれた軸受部94sを他端部側に形成している。一方、カバーハウジング92は、一対の円柱状の軸部92c・92cを両側面から突出している。一対の軸部92c・92cは、回転軸92sと同軸上に配置している。一対の軸部92c・92cを軸受部94s及びハウジング91の前面壁で回転自在に支持することで、ハウジング91に対してカバーハウジング92を開閉できる。
【0014】
図12又は
図14を参照すると、ハウジング91は、縦長の矩形溝91dを櫛の歯状に形成している(
図12又は
図14参照)。矩形溝91dは、ハウジング91の後部から開口され、凹部910に連通している。矩形溝91dには、コンタクト93の連結脚933を圧入できる。又、矩形溝91dには、コンタクト93の弾性アーム932を収容している。
【0015】
図12又は
図14を参照すると、カバーハウジング92は、櫛の歯状に形成された矩形の切り欠き92dを基端部側に有している。切り欠き92dには、コンタクト93の固定アーム931を収容している。又、切り欠き92dは、回転軸92sを内部に形成している。一方、固定アーム931は、半円弧状の押え部93aを先端部に形成している(
図14参照)。押え部93aは、凹部910の底面に対向している。そして、押え部93aは、回転軸92sを回転自在に支持している。
【0016】
図12又は
図14(C)を参照すると、弾性アーム932は、接点93pを先端部に形成している(
図14参照)。接点93pは、固定アーム931の押え部93aに向かって突出している。
【0017】
図12又は
図13(B)の想像線で示すように、カバーハウジング92を開いた状態では、カバーハウジング92の終端縁92eが凹部910の底面から離隔しているので、力を殆んど必要とすることなく、FPC1fcを凹部910に挿抜できる。つまり、
図12から
図14に示したコネクタ9は、ZIFタイプのFPC用コネクタである。
【0018】
一方、
図12又は
図13(B)の想像線で示した状態から、カバーハウジング92を閉じると、カバーハウジング92の終端縁92eがFPC1fcを凹部910の奥側に移動させることができる。
図14を参照して、カバーハウジング92を閉じた状態では、弾性アーム932は、FPC1fcを凹部910の底面に押圧する力を付勢しているので、その反作用として、接点93pは、FPC1fcを押し上げる力を付勢している。そして、接点93pは、FPC1fcの一方の面に形成した導体(図示せず)と電気的に接触できる。
【0019】
しかし、
図12から
図14を参照すると、従来技術によるFPC用コネクタは、FPCの一方の面に形成した導体と電気的に接触する接点が一つだけなので、コンタクトとFPCの接続が確実でないという問題がある。コンタクトとFPCの接続が確実なFPC用コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0020】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、コンタクトとFPCの接続が確実なFPC用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者は、カバーハウジングを閉じると、コンタクトの弾性アームに向けてFPCを加圧するFPC用コネクタであって、カバーハウジングの回転軸に対向配置された弾性アームに三つの接点を設けることで、コンタクトとFPCの接続が確実になると考え、これに基づいて、以下のような新たなFPC用コネクタを発明するに至った。
【0022】
(1) FPCが挿入される凹部を一方の端部に形成した直方体状の第1ハウジングと、前記凹部を開閉自在に覆う矩形板状のカバーハウジングと、このカバーハウジングの内部に並設配置された第1コンタクトと、を備え、前記第1コンタクトは、基端部側を前記第1ハウジングに固定し、先端部側を前記凹部に向かって延出した第1固定アームと、この第1固定アームと略平行に配置された第1弾性アームと、この第1弾性アームが延びる方向と同じ方向に延出した後に、前記第1弾性アームに向かって反転した第2弾性アームと、前記第1固定アーム、前記第1弾性アーム、及び前記第2弾性アームの基端部同士を連結した第1連結脚と、を有し、前記カバーハウジングは、前記第1固定アームの先端部側と前記第1弾性アームの先端部側で回動自在に挟持される第1カム部を基端部に有し、前記第1固定アームは、前記凹部の底面と対向し、前記第1カム部を押さえる押え部を先端部側に有し、前記第1弾性アームは、前記押え部と対向し、前記第1カム部を支持する受け部を先端部側に有し、前記第2弾性アームは、反転元に設けた第1接点と、反転先に設け、前記押え部と対向配置された第2接点及び第3接点と、を有し、前記第1接点、前記第2接点、及び前記第3接点は、前記FPCの導体と接触自在に前記凹部の底面から突出している、FPC用コネクタ。
【0023】
(2) 前記第1カム部は、前記押え部に係合して前記カバーハウジングの閉姿勢を維持できる第1輪郭部と、前記受け部に係合して前記カバーハウジングの開姿勢を維持できる第2輪郭部と、を有する(1)記載のFPC用コネクタ。
【0024】
(3) FPCが挿入される開口を一方の端部に形成し、第1段差を他方の端部に形成した直方体状の第2ハウジングと、前記第1段差を開閉自在に覆う矩形板状の第1バックフリップカバーと、前記第2ハウジングの内部に並設配置された第2コンタクトと、を備え、前記第2コンタクトは、前記第2ハウジングの底部側に固定した第2固定アームと、この第2固定アームと対向配置された第3弾性アームと、この第3弾性アームが延びる方向と同じ方向に延出した後に、前記第3弾性アームに向かって反転した第4弾性アームと、前記第2固定アーム及び前記第3弾性アームの基端同士を連結する第2連結脚と、前記第3弾性アームと相反する向きに延びて前記第1段差に向けて突出した第1係合アームと、を有し、前記第1係合アームは、前記第2ハウジングの第1段差の底面に向かう鉤部を先端部に有し、前記第1バックフリップカバーは、前記第1係合アームと前記第1段差の底面との間に回動可能に保持されると共に、前記鉤部で離間困難に阻止第される第2カム部を基端部に有し、前記第2カム部は、前記第1バックフリップカバーを閉じると前記第1係合アームを押して前記第3弾性アームの先端部を前記第4弾性アームに向けて閉じ、前記第1バックフリップカバーを開くと前記第1係合アームが追従して前記第3弾性アームの先端部を前記第4弾性アームから開く第1カム面を設け、前記第4弾性アームは、反転元に設けた第4接点と、反転側に設け、前記第3弾性アームと対向配置された第5接点及び第6接点と、を有し、前記第4接点、前記第5接点、及び前記第6接点は、前記FPCの導体と接触自在に前記開口の底面から突出している、FPC用コネクタ。
【0025】
(4) FPCが挿入される開口を一方の端部に形成し、第2段差を他方の端部に形成した直方体状の第3ハウジングと、前記第2段差を開閉自在に覆う矩形板状の第2バックフリップカバーと、前記第3ハウジングの内部に並設配置された第3コンタクトと、を備え、前記第3コンタクトは、前記第3ハウジングの底部側に固定した第3固定アームと、この第3固定アームと対向配置された第5弾性アームと、この第5弾性アームが延びる方向と同じ方向に延出した後に、前記第5弾性アームに向かって反転した第6弾性アームと、前記第3固定アーム及び前記第5弾性アームの基端同士を連結する第3連結脚と、前記第5弾性アームと相反する向きに延びて前記第2段差に向けて突出した第2係合アームと、を有し、前記第2係合アームは、前記第3ハウジングの第2段差の底面に向かう押え部を先端部に有し、前記第2バックフリップカバーは、前記第2係合アームと前記第2段差の底面との間に回動可能に保持されると共に、前記押え部で押さえられる第3カム部を基端部に有し、前記第3カム部は、前記第2バックフリップカバーを閉じると前記第2係合アームを押して前記第5弾性アームの先端部を前記第6弾性アームに向けて閉じ、前記第2バックフリップカバーを開くと前記第2係合アームが追従して前記第5弾性アームの先端部を前記第6弾性アームから開く第2カム面を設け、前記第6弾性アームは、反転元に設けた第7接点と、反転側に設け、前記第5弾性アームと対向配置された第8接点及び第9接点と、を有し、前記第7接点、前記第8接点、及び前記第9接点は、前記FPCの導体と接触自在に前記開口の底面から突出している、FPC用コネクタ。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるFPC用コネクタは、FPCの一方の面に形成した導体と電気的に接触する接点を三つ備えているので、コンタクトとFPCの接続が確実になる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0029】
[第1実施形態]
(FPC用コネクタの構成)
最初に、本発明の第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、カバーハウジングを開いた状態図である。
図2は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、カバーハウジングを閉じた状態図である。
【0031】
図3は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視図であり、FPC用コネクタを底部側から観た状態図である。
図4は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図5は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す平面図である。
【0032】
図6は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、カバーハウジングを開いた状態図である。
図7は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、カバーハウジングを閉じた状態図である。
【0033】
(全体構成)
図1から
図7を参照すると、本発明の第1実施形態によるFPC用コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、直方体状の第1ハウジング1、矩形板状のカバーハウジング2、及び複数の板状の第1コンタクト3を備えている。
【0034】
図1又は
図6から
図9を参照すると、第1ハウジング1は、FPC1fcが挿入される凹部11を一方の端部に形成している。
図6又は
図7を参照すると、カバーハウジング2は、凹部11を開閉自在に覆うことができる。又、
図1から
図5を参照すると、第1ハウジング1は、所定のピッチで並設配置された第1コンタクト3を内部に備えている。
【0035】
図6又は
図7を参照すると、第1コンタクト3は、第1固定アーム31と第1弾性アーム32を備えている。又、第1コンタクト3は、第2弾性アーム33と第1連結脚34を備えている。第1固定アーム31は、その基端部側を第1ハウジング1に固定している。又、第1固定アーム31は、その先端部側を凹部11に向かって延出している。第1弾性アーム32は、第1固定アーム31と略平行に配置されている。
【0036】
図6又は
図7を参照すると、第2弾性アーム33は、第1弾性アーム32が延びる方向と同じ方向に延出した後に、第1弾性アーム32に向かって反転している。第1連結脚34は、第1固定アーム31、第1弾性アーム32、及び第2弾性アーム33の基端部同士を連結している。
【0037】
図6又は
図7を参照すると、カバーハウジング2は、第1カム部2cを基端部に有している。第1カム部2cは、第1固定アーム31の先端部側と第1弾性アーム32の先端部側で回動自在に挟持されている。
【0038】
図6又は
図7を参照すると、第1固定アーム31は、押え部31hを先端部側に形成している。押え部31hは、凹部11の底面と対向している。又、押え部31hは、第1カム部2cを凹部11の底面に向かって押さえている。
【0039】
図6又は
図7を参照すると、第1弾性アーム32は、受け部32sを先端部側に形成している。受け部32sは、押え部31hと対向配置されている。そして、受け部32sは、第1カム部2cを支持している。
【0040】
図6又は
図7を参照すると、第2弾性アーム33は、その反転元に第1接点c1を設けている。又、第2弾性アーム33は、その反転側に一組の第2接点c2及び第3接点c3を設けている。一組の第2接点c2及び第3接点c3は、押え部31hと対向配置されている。そして、第1接点c1、第2接点c2、及び第3接点c3は、FPC1fcの導体と接触自在に凹部11の底面から突出している。
【0041】
図3から
図7を参照すると、第1コンタクト3は、第2弾性アーム33と反対側にリード部3rを突出している。リード部3rは、その底面をプリント基板8pの表面にハンダ接合できる(
図6又は
図7参照)。
【0042】
図3から
図7を参照すると、コネクタ10は、一対の補強タブ35・36を更に備えている。一対の補強タブ35・36は、所定の間隔を設けて対向配置している。
【0043】
図4を参照すると、一方の補強タブ35は、圧入片35pを一端部側に形成している。同様に、他方の補強タブ36は、圧入片36pを一端部側に形成している。一方、第1ハウジング1は、一対の矩形の圧入穴15h・16hを両端部に開口している。一対の圧入片35p・36pを圧入穴15h・16hに圧入することで、一対の補強タブ35・36を第1ハウジング1に固定できる(
図1又は
図2参照)。
【0044】
図4を参照すると、一方の補強タブ35は、接合片35cを他端部側に形成している。同様に、他方の補強タブ36は、接合片35cを他端部側に形成している。一対の接合片35c・36cは、これらの底面をプリント基板8pの表面にハンダ接合できる(
図6又は
図7参照)。一対の補強タブ35・36は、プリント基板8pへのハンダ接合強度を補強している。つまり、第1実施形態によるコネクタ10は、プリント基板の表面にハンダ接合できる表面実装型コネクタである。
【0045】
図4を参照すると、一方の補強タブ35は、圧入片35pと接合片35cを架橋する架橋片35bを形成している。同様に、他方の補強タブ36は、圧入片36pと接合片36cを架橋する架橋片36bを形成している。
【0046】
図4を参照すると、カバーハウジング2は、一対の円柱状の軸部21c・21cを両側面から突出している。一対の円柱状の軸部21c・21cは、一対の架橋片35b・36bと第1ハウジング1で回動自在に保持できる(
図1又は
図2参照)。そして、コネクタ10は、第1ハウジング1に対してカバーハウジング2を開閉できる。
【0047】
(第1ハウジングの構成)
次に、第1実施形態による第1ハウジング1の構成を説明する。
図1から
図5を参照すると、第1ハウジング1は、絶縁性を有する合成樹脂からなり、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、所望の形状を得ることができる。
【0048】
図1又は
図4を参照すると、第1ハウジング1は、一対の立設壁11a・11aを凹部11の底面から突出している。これらの立設壁11a・11aは、FPC1fcをFPC1fcの案内できる。そして、これらの立設壁11a・11aは、凹部11に挿入されたFPC1fcの導体と複数の第1コンタクト3が位置合わせできるように、FPC1fcを幅方向に規制できる。
【0049】
図1又は
図4を参照すると、第1ハウジング1は、縦長の矩形溝1dを櫛の歯状に形成している。矩形溝1dは、第1ハウジング1の後部から開口され、凹部11に連通している。矩形溝11dには、第1コンタクト3の第1連結脚34を圧入できる。又、矩形溝1dには、第1コンタクト3の第2弾性アーム33を収容している(
図6又は
図7参照)。
【0050】
(カバーハウジングの構成)
次に、第1実施形態によるカバーハウジング2の構成を説明する。
図1から
図5を参照すると、カバーハウジング2は、絶縁性を有する合成樹脂からなり、絶縁性を有する合成樹脂を成形して、所望の形状を得ることができる。
【0051】
図1又は
図4を参照すると、カバーハウジング2は、櫛の歯状に形成された矩形の切り欠き2dを基端部側に有している。切り欠き2dには、第1固定アーム31の先端部側を収容している(
図6参照)。又、切り欠き2dには、第1カム部2cを介在している。複数の第1カム部2cは、同軸上に配置されている。複数の第1カム部2cは、仮想の回転軸を構成している、と言うこともできる。そして、押え部31hと受け部32sは、仮想の回転軸を回転自在に挟持している(
図6又は
図7参照)。
【0052】
図6又は
図7を参照すると、第1カム部2cは、第1輪郭部211と第2輪郭部212を外周面に形成している。第1輪郭部211が押え部31hに係合しているときは、カバーハウジング2の閉姿勢を維持できる(
図7参照)。第2輪郭部212が受け部32sに係合しているときは、カバーハウジング2の開姿勢を維持できる(
図6参照)。
【0053】
(第1コンタクトの構成)
次に、第1実施形態による第1コンタクト3の構成を説明する。すると、第1コンタクト3は、導電性を有する金属板からなり、導電性を有する金属板を打ち抜き加工して、板状の第1コンタクト3を得ることができる。第1コンタクト3は、例えば、銅合金を用いることができるが、銅合金に限定されない。
【0054】
図4又は
図5及び
図6を参照して、第1コンタクト3は、その板厚面から僅かに突出する圧入用のバーブ(barb:刺)を設けることが好ましく、第1ハウジング1に形成された縦長の矩形溝1dに第1コンタクト3を圧入して固定できる。なお、第1コンタクト3の詳細な構成は、全体構成で説明しているので省略する。
【0055】
(FPC用コネクタの作用)
次に、第1実施形態によるコネクタ10の動作を説明しながら、コネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0056】
図8は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1ハウジングにFPCを挿入した状態で、カバーハウジングを閉じる過程の状態図である。
図9は、第1実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1ハウジングにFPCを挿入した状態で、カバーハウジングを閉じた状態図である。
【0057】
図6を参照して、カバーハウジング2が開いた状態では、第1弾性アーム32と第1接点c1、第2接点c2、及び第3接点c3との対向距離がFPC1fcの板厚より大きく設定しているので、力を殆んど必要とすることなく、FPC1fcを凹部11に挿抜できる。つまり、第1実施形態によるコネクタ10は、ZIFタイプのFPC用コネクタである。
【0058】
図8に示すように、FPC1fcを凹部11に挿入した状態で、カバーハウジング2を反時計方向に回動すると、第1カム部2cの回動に連動して、第1弾性アーム32が押し下げる。そして、第1弾性アーム32は、FPC1fcを第2接点c2及び第3接点c3に向かって加圧する力を付勢している。この場合、第1固定アーム31、断面2次モーメントの大きい剛性腕で構成することが好ましい。
【0059】
図8に示した状態から、カバーハウジング2を反時計方向に更に回動して、
図9に示すように、カバーハウジング2を閉じると、第1輪郭部211が押え部31hに係合しているので、カバーハウジング2の閉姿勢を維持できる(
図7参照)。
【0060】
図9に示した状態では、第1弾性アーム32は、FPC1fcを第2接点c2及び第3接点c3に向けて加圧していると共に、カバーハウジング2の先端部側は、FPC1fcを第1接点c1に向けて加圧している。これにより、FPC1fcの導体は、第1コンタクト3と確実に接触できる。
【0061】
このように、第1実施形態によるコネクタ10は、FPC1fcの一方の面に形成した導体と電気的に接触する接点を三つ備えているので、第1コンタクト3とFPC1fcの接続が確実になるという効果がある。
【0062】
[第2実施形態]
(FPC用コネクタの構成)
次に、本発明の第2実施形態によるFPC用コネクタの構成を説明する。
図10は、本発明の第2実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、第1バックフリップカバーを開いた状態図である。
【0063】
図10を参照すると、本発明の第2実施形態によるFPC用コネクタ(以下、コネクタと略称する)20は、直方体状の第2ハウジング4、矩形板状の第1バックフリップカバー5、及び複数の板状の第2コンタクト6を備えている。
【0064】
図10を参照すると、第2ハウジング4は、FPC1fcが挿入される開口41を一方の端部に形成している。又、第2ハウジング4は、第1段差42を他方の端部に形成している。第1バックフリップカバー5は、第1段差42を開閉自在に覆うことができる。又、第2ハウジング4は、所定のピッチで並設配置された第2コンタクト6を内部に備えている。
【0065】
図10を参照すると、第2コンタクト6は、第2固定アーム61と第3弾性アーム62を備えている。又、第2コンタクト6は、第4弾性アーム63、第2連結脚64、及び第1係合アーム65を備えている。第2固定アーム61は、第2ハウジング4の底部側に固定している。第3弾性アーム62は、第2固定アーム61と対向配置されている。
【0066】
図10を参照すると、第4弾性アーム63は、第3弾性アーム62が延びる方向と同じ方向に延出した後に、第3弾性アーム62に向かって反転している。第2連結脚64は、第2固定アーム61及び第3弾性アーム62の基端部同士を連結している。
【0067】
図10を参照すると、第1係合アーム65は、第3弾性アーム62と相反する向きに延びている。そして、第1係合アーム65は、第1段差42に向けて突出している。又、第1係合アーム65は、鉤部65aを先端部に形成している。鉤部65aは、第1段差42の底面に向かっている。
【0068】
図10を参照すると、第2コンタクト6は、第2固定アーム61と反対側にリード部6rを突出している。リード部6rは、その底面をプリント基板8pの表面にハンダ接合できる(
図6又は
図7参照)。
【0069】
図10を参照すると、第1バックフリップカバー5は、第2カム部51を基端部に有している。第2カム部51は、第1係合アーム65と第1段差42の底面との間に回動可能に保持されている。又、第2カム部51は、鉤部65aで離間困難に阻止されている。
【0070】
図10を参照すると、第2カム部51は、第1カム面51cを外周に設けている。第1バックフリップカバー5を閉じると、第1カム面51cが第1係合アーム65を押して、第3弾性アーム62の先端部を第4弾性アーム63に向けて閉じることができる。一方、第1バックフリップカバー5を開くと、第1係合アーム65が第1カム面51cに追従して、第3弾性アーム62の先端部を第4弾性アーム63から開くことができる。
【0071】
図10を参照すると、第4弾性アーム63は、その反転元に第4接点c4を設けている。又、第4弾性アーム63は、その反転側に一組の第5接点c5及び第6接点c6を設けている。一組の第5接点c5及び第6接点c6は、第3弾性アーム62と対向配置されている。そして、第4接点c4、第5接点c5、及び第6接点c6は、FPC1fcの導体と接触自在に開口41の底面から突出している。
【0072】
(FPC用コネクタの作用)
次に、第2実施形態によるコネクタ20の動作を説明しながら、コネクタ20の作用及び効果を説明する。
【0073】
図10を参照して、第1バックフリップカバー5が開いた状態では、第3弾性アーム62と第4接点c4、第5接点c5、及び第6接点c6との対向距離がFPC1fcの板厚より大きく設定しているので、力を殆んど必要とすることなく、FPC1fcを開口41に挿抜できる。つまり、第2実施形態によるコネクタ20は、ZIFタイプのFPC用コネクタである。
【0074】
図10に示した状態で、FPC1fcを開口41に挿入し、第1バックフリップカバー5を時計方向に回動し、第1バックフリップカバー5を閉じると、第3弾性アーム62を第4弾性アーム63に向けて傾倒できる。そして、第3弾性アーム62は、FPC1fcを第4接点c4、第5接点c5、及び第6接点c6に向けて加圧できる。これにより、FPC1fcの導体は、第2コンタクト6と確実に接触できる。
【0075】
このように、第2実施形態によるコネクタ20は、FPC1fcの一方の面に形成した導体と電気的に接触する接点を三つ備えているので、第2コンタクト6とFPC1fcの接続が確実になるという効果がある。
【0076】
図1から
図9に示した第1実施形態によるFPC用コネクタは、FPCを挿入する前部のフリップカバーが開閉自在な、いわゆるフロントフリップタイプのコネクタであるのに対し、
図10に示した第2実施形態によるFPC用コネクタは、FPCを挿入する前部と反対側の後部に設けたフリップカバーが開閉自在な、いわゆるバックフリップタイプのコネクタである。
【0077】
[第3実施形態]
(FPC用コネクタの構成)
次に、本発明の第3実施形態によるFPC用コネクタの構成を説明する。
図11は、本発明の第3実施形態によるFPC用コネクタの構成を示す縦断面図であり、第2バックフリップカバーを開いた状態図である。
【0078】
図11を参照すると、本発明の第2実施形態によるFPC用コネクタ(以下、コネクタと略称する)30は、直方体状の第3ハウジング40、矩形板状の第2バックフリップカバー7、及び複数の板状の第3コンタクト8を備えている。
【0079】
図11を参照すると、第3ハウジング40は、FPC1fcが挿入される開口410を一方の端部に形成している。又、第3ハウジング40は、第2段差420を他方の端部に形成している。第2バックフリップカバー7は、第2段差420を開閉自在に覆うことができる。又、第3ハウジング40は、所定のピッチで並設配置された第3コンタクト8を内部に備えている。
【0080】
図11を参照すると、第3コンタクト8は、第3固定アーム81と第5弾性アーム82を備えている。又、第3コンタクト8は、第6弾性アーム83、第3連結脚84、及び第2係合アーム85を備えている。第3固定アーム81は、第3ハウジング40の底部側に固定している。第5弾性アーム82は、第3固定アーム81と対向配置されている。
【0081】
図11を参照すると、第6弾性アーム83は、第5弾性アーム82が延びる方向と同じ方向に延出した後に、第5弾性アーム82に向かって反転している。第3連結脚84は、第3固定アーム81及び第5弾性アーム82の基端部同士を連結している。
【0082】
図11を参照すると、第2係合アーム85は、第5弾性アーム82と相反する向きに延びている。そして、第2係合アーム85は、第2段差420に向けて突出している。又、第2係合アーム85は、押え部85aを先端部に形成している。押え部85aは、第2段差420の底面に向かっている。
【0083】
図11を参照すると、第3コンタクト8は、第3固定アーム81と反対側にリード部8rを突出している。リード部8rは、その底面をプリント基板8pの表面にハンダ接合できる(
図6又は
図7参照)。
【0084】
図11を参照すると、第2バックフリップカバー7は、第3カム部71を基端部に有している。第3カム部71は、第2係合アーム85と第2段差420の底面との間に回動可能に保持されている。又、第3カム部71は、押え部85aで押さえられている。
【0085】
図11を参照すると、第3カム部71は、第2カム面71cを外周に設けている。第2バックフリップカバー7を閉じると、第2カム面71cが第2係合アーム85を押して、第5弾性アーム82の先端部を第6弾性アーム83に向けて閉じることができる。一方、第2バックフリップカバー7を開くと、第2係合アーム85が第2カム面71cに追従して、第5弾性アーム82の先端部を第6弾性アーム83から開くことができる。
【0086】
図11を参照すると、第6弾性アーム83は、その反転元に第7接点c7を設けている。又、第6弾性アーム833は、その反転側に一組の第8接点c8及び第9接点c9を設けている。一組の第8接点c8及び第9接点c9は、第5弾性アーム82と対向配置されている。そして、第7接点c7、第8接点c8、及び第9接点c9は、FPC1fcの導体と接触自在に開口410の底面から突出している。
【0087】
(FPC用コネクタの作用)
次に、第3実施形態によるコネクタ30の動作を説明しながら、コネクタ30の作用及び効果を説明する。
【0088】
図10を参照して、第2バックフリップカバー7が開いた状態では、第5弾性アーム82と第7接点c7、第8接点c8、及び第9接点c9との対向距離がFPC1fcの板厚より大きく設定しているので、力を殆んど必要とすることなく、FPC1fcを開口410に挿抜できる。つまり、第3実施形態によるコネクタ30は、ZIFタイプのFPC用コネクタである。
【0089】
図11に示した状態で、FPC1fcを開口410に挿入し、第2バックフリップカバー7を反時計方向に回動し、第2バックフリップカバー7を閉じると、第5弾性アーム82を第6弾性アーム83に向けて傾倒できる。そして、第6弾性アーム83は、FPC1fcを第7接点c7、第8接点c8、及び第9接点c9に向けて加圧できる。これにより、FPC1fcの導体は、第3コンタクト8と確実に接触できる。
【0090】
このように、第2実施形態によるコネクタ30は、FPC1fcの一方の面に形成した導体と電気的に接触する接点を三つ備えているので、第3コンタクト8とFPC1fcの接続が確実になるという効果がある。
【0091】
図10に示した第2実施形態によるFPC用コネクタは、FPCを挿入する前部と反対側の後部に設けたフリップカバーを後方に倒す。いわゆるバックフリップタイプのコネクタであるのに対し、
図11に示した第3実施形態によるFPC用コネクタは、FPCを挿入する前部と反対側の後部に設けたフリップカバーを前方に倒す。いわゆるミッドフリップタイプのコネクタである。
【0092】
本発明によるFPC用コネクタは、フロントフリップタイプのコネクタに適用できることは勿論であるが、バックフリップタイプのコネクタ又はミッドフリップタイプのコネクタに応用することができる。又、接点は、三つに限定されることなく、四つ以上も可能である。