【解決手段】部品取付構造30では、機器筐体14側のねじ穴42に対して脱落防止ねじ34が所望の締付状態まで締め付けられていない場合には、脱落防止ねじ34が底面パネル12に干渉することで該底面パネル12の装着が規制される一方、ねじ穴42に対して脱落防止ねじ34が所望の締付状態まで締め付けられた場合には、脱落防止ねじ34が底面パネル12に干渉せずに該底面パネル12を装着可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のようにユーザ自身が電子部品や機器ユニット等の部品を機器筐体に対して着脱する場合には、固定用のねじを締め忘れてしまう懸念がある。これら部品の固定が不十分であると、電子機器の持ち運び時や運転時に電子部品や機器ユニットが機器筐体から脱落し、或いは機器筐体内でがたつきを生じるといった問題を発生する。
【0005】
特に、機器筐体に対して電子部品や機器ユニットを装着した後、その上に筐体カバー等を装着する構成の場合には、ねじの締め忘れに気付かずに上記問題を発生してしまう可能性が一層高いものとなる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、機器筐体に対して複数の部品を取り付ける場合での誤装着を防止することができる部品取付構造及び該部品取付構造を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る部品取付構造は、機器筐体に対してねじを用いて第1の部品を固定した後、前記機器筐体に対して第2の部品を装着する部品取付構造であって、前記機器筐体側のねじ穴に対して前記ねじが所望の締付状態まで締め付けられていない場合には、前記ねじが前記第2の部品に干渉することで該第2の部品の装着が規制される一方、前記ねじ穴に対して前記ねじが所望の締付状態まで締め付けられた場合には、前記ねじが前記第2の部品に干渉せずに該第2の部品を装着可能であることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、先に装着する第1の部品を適正に装着しなければ、後に装着する第2の部品に対してねじが干渉し、その装着を妨害する。これにより、ねじの締め付けが不十分であり、先に装着した第1の部品の固定が適正になされないままで第2の部品が装着されてしまう誤装着を防ぎ、第1の部品が脱落し或いはがたつくことを確実に防止できる。
【0009】
前記ねじは、頭部と、ねじ部と、該頭部及び該ねじ部との間を繋ぐ軸部とを備え、前記ねじは、前記機器筐体に形成されたフランジ部に前記軸部が挿通配置されると共に、該フランジ部の表面及び裏面に対して前記頭部及び前記ねじ部がそれぞれ係止されることで、該機器筐体に保持された脱落防止ねじであってもよい。そうすると、ねじの紛失を防止し、さらに第2の部品を取り外した状態ではねじが常に露出しているため、その締め付け忘れを一層確実に防止できる。
【0010】
前記フランジ部の表面と前記ねじの頭部との間には、前記ねじが前記ねじ穴に対して締め付けられていない状態で該ねじを前記ねじ穴から離間する方向へと移動させる弾性体が介在しているとよい。そうすると、ねじを締め付けない状態では弾性体の付勢力によって常にねじを第2の部品側へと突出させることができるため、第2の部品に対するねじの干渉作用を一層確実に発揮させることができる。しかも、第1の部品の装着時、弾性体の付勢力によってねじをねじ穴から退避させておくことができるため、第1の部品の装着がより円滑なものとなる。
【0011】
前記機器筐体は、前記フランジ部を有して前記ねじを保持する第1の筐体部と、該第1の筐体部との間に隙間を介して配置されると共に前記ねじ穴を有する第2の筐体部とを備え、前記第1の部品は、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部との間の隙間に挿入可能なブラケットを有し、該ブラケットには前記ねじのねじ部を挿通可能な取付孔が設けられていてもよい。
【0012】
前記第2の部品は、前記機器筐体に対して前記ねじの上部でスライドさせて装着する蓋体であってもよい。そうすると、ねじの締め付けが不十分な場合にねじによって蓋体のスライドを妨害することができるため、第1の部品の誤装着をユーザに確実に認識させることができる。
【0013】
この場合、前記蓋体は、前記ねじ穴に対して前記ねじが所望の締付状態まで締め付けられていない状態でスライドさせた場合に前記ねじと当接するストッパ部を有してもよい。
【0014】
前記第2の部品は、前記機器筐体に対して前記ねじの上方から置いて装着する蓋体であってもよい。そうすると、ねじの締め付けが不十分な場合に蓋体を所定の装着位置に載置することができなくなるため、第1の部品の誤装着をユーザに確実に認識させることができる。
【0015】
本発明に係る電子機器は、上記構成の部品取付構造を備えることを特徴とする。これにより、電子機器の内部での部品の誤装着を防止することが可能となり、電子機器の動作が不安定となり、或いは部品が脱落することを防止できる。
【0016】
この場合、前記機器筐体には、複数の電子部品が搭載され、前記第1の部品は、前記機器筐体に着脱可能な機器ユニット又は電子部品であり、前記第2の部品は、前記機器筐体の一面を覆う蓋体であると、機器ユニット又は電子部品に対するねじの締め付けが適正に行われない状態では蓋体の装着ができないため、機器ユニットや電子部品の誤装着を確実に防止できる。
【0017】
当該電子機器は、携帯用情報機器であり、機器ユニットは、前記電子機器筐体の側面に開口した装着スロットに対して着脱されるものであると、装着スロットからの機器ユニットの脱落を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、先に装着する第1の部品の固定のためのねじの締め付けが適正になされないままで第2の部品が装着されてしまう誤装着を防ぎ、第1の部品が脱落し或いはがたつくことを確実に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る部品取付構造について、この構造を備える電子機器との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器10の構成を模式的に示す底面図であり、
図2は、
図1に示す電子機器10の底面パネル12を取り外し、内部構造を模式的に示す底面図である。本実施形態では、電子機器10として、携帯用情報機器であるノート型PCを例示する。本発明に係る電子機器はノート型PC以外、例えばデスクトップ型PCや家電製品等、各種の電気電子機器に適用可能である。
【0022】
図1に示すように、電子機器10は、底面の大部分が底面パネル12で覆われる機器筐体14と、機器筐体14の側面に開口した装着スロット16に対して収納可能且つ着脱可能なODD装置(光学ディスクドライブ装置)18とを備える。機器筐体14の底面において底面パネル12で覆われない部分には、バッテリ装置20が配設されている。電子機器10は一般的な構成からなるノート型PCであり、図示はしないが、機器筐体14の上面に設けられたキーボート装置と、機器筐体14の後端部にヒンジを介して開閉可能に設けられたディスプレイ装置とを備える。
【0023】
底面パネル(底面カバー)12は、金属板又は樹脂板で形成された薄い蓋体である。
図2中に2点鎖線で示すように、底面パネル12は機器筐体14の底面に載置してからスライドさせることで機器筐体14への着脱が行われる。底面パネル12を装着する際のスライド方向で先端側となる2つの隅部には、固定孔12aがそれぞれ形成されている。固定孔12aは、底面パネル12が所定の装着位置にスライドされた際に機器筐体14側のねじ穴22に重なる位置に形成されている。すなわち、底面パネル12を機器筐体14に装着する際には、所定の装着位置までスライドさせた底面パネル12の固定孔12aを通して機器筐体14のねじ穴22に固定ねじ23を螺合させ、底面パネル12を機器筐体14に締結する。これにより、底面パネル12が機器筐体14に固定される。
【0024】
図2に示すように、機器筐体14は、その下面側に底面パネル12が装着される第1の筐体部14aと、第1の筐体部14aの上部に配設された第2の筐体部14bとを有する2層構造であり、第1の筐体部14aと第2の筐体部14bとの間となる位置に基板14cが設けられている。
【0025】
このような機器筐体14の内部には、CPU(中央処理装置)25、冷却ファン26、HDD装置(ハードディスクドライブ装置)27、メモリ28及び通信カード29等、各種の電子部品や機器ユニットが配設されている。本実施形態の場合、これら電子部品や機器ユニットは、基板14c、第1の筐体部14a又は第2の筐体部14bに対し、それぞれ取付ねじ24を用いて固定され、基板14cと電気的に接続される。
【0026】
ODD装置18は、装着スロット16に挿入された状態で基板14cとコネクタ接続によって電気的に接続されると共に、本実施形態に係る部品取付構造30を用いて機器筐体14に固定される。この部品取付構造30は、ODD装置18が適正に固定された場合に限り、底面パネル12の適正な装着を可能とするフェイルセーフ構造を有する。ODD装置18には、装着スロット16への挿入先端面から突出した矩形状の金属板であるブラケット32が設けられ、その略中央には取付孔32aが貫通形成されている。装着スロット16には、ODD装置18との交換で図示しないHDD装置等を装着することもできる。
【0027】
次に、本実施形態に係る部品取付構造30の構成について説明する。
【0028】
図3は、部品取付構造30を用いてODD装置18及び底面パネル12を機器筐体14に装着する一手順を模式的に示す断面説明図である。
図4は、
図3に示す状態からODD装置18及び底面パネル12を適正に装着した状態を模式的に示す断面説明図であり、
図5は、
図3に示す状態からODD装置18及び底面パネル12を誤って装着した状態を模式的に示す断面説明図である。なお、
図2から明らかなように、本実施形態に係る電子機器10では、ODD装置18の装着方向と底面パネル12のスライド方向とは互いに直交する方向に設定されているが、
図3〜
図5では、それぞれの装着動作の関連性を明示するため前記装着方向と前記スライド方向とを平行する方向に図示しており、後述する
図6〜
図8についても同様である。
【0029】
図3に示すように、部品取付構造30は、機器筐体14の一方の筐体部、ここでは第1の筐体部14aに保持された脱落防止ねじ34と、底面パネル12に設けられたストッパ凹部36とを備える。
【0030】
脱落防止ねじ(キャプチャねじ)34は、図示しないドライバ等で締め付けるための操作部となる頭部34aと、雄ねじが形成されたねじ部34bと、頭部34aとねじ部34bとの間を繋ぐ軸部34cとを備える。ねじ部34bは軸部34cの先端側に設けられている。
【0031】
脱落防止ねじ34を保持する第1の筐体部14aには、円形の凹部38と、凹部38の底部となるフランジ部40とが形成されている。フランジ部40には、脱落防止ねじ34の軸部34cが軸方向に移動可能な状態で挿通される保持孔40aが形成されている。また、第2の筐体部14bには、脱落防止ねじ34のねじ部34bを締付可能な雌ねじが形成されたねじ穴42が設けられている。
図3から明らかなように、ねじ穴42の開口縁部と第1の筐体部14aとの間には、ODD装置18のブラケット32を挿入可能な隙間Gが設けられている。ねじ穴42は、保持孔40aと同軸上に形成されている。
【0032】
脱落防止ねじ34は、軸部34cが保持孔40aに挿通され、頭部34a及びねじ部34bがそれぞれフランジ部40の上面(表面)及び下面(裏面)に係止されることで第1の筐体部14aからの脱落が防止されている。本実施形態の場合、フランジ部40の上面と頭部34aとの間の軸部34cには、コイルばね(弾性体)44が外挿されている。コイルばね44により、脱落防止ねじ34は頭部34aが
図3中で凹部38の上方へと突出する方向(ねじ穴42から離間する方向)へと常時付勢されている。また、フランジ部40の上面には、遊動ワッシャ46が配設されている。遊動ワッシャ46は、保持孔40aより小径の孔部によって軸部34cに対して外挿されており、コイルばね44の下端を抜け止め保持している。
【0033】
フランジ部40の下面側には、脱落防止ねじ34のねじ部34bを収納可能な収納凹部48が形成されている。
図3に示すように、脱落防止ねじ34がコイルばね44の付勢力によって最も上動した位置ではねじ部34bが収納凹部48に完全に収納される。これにより、第1の筐体部14aと第2の筐体部14bとの間にブラケット32を挿入可能な隙間Gを形成することができる。
【0034】
ストッパ凹部36は、底面パネル12の内面(機器筐体14の内部に配置される面)に形成されている。ストッパ凹部36は、底面パネル12を機器筐体14に装着する際のスライド方向(
図3〜
図5では右側)で後方側となる面が脱落防止ねじ34に干渉するストッパ面(ストッパ部)36aとして機能する。
【0035】
次に、部品取付構造30を用いてODD装置18及び底面パネル12を機器筐体14に取り付ける手順について説明する。
【0036】
図2に示すように、部品取付構造30では、底面パネル12を取り外した状態でODD装置18を機器筐体14に装着し、その後に底面パネル12を装着する。
【0037】
先ず、装着スロット16に対してODD装置18を所定の収納位置まで挿入する。そうすると、
図3に示すように、ブラケット32が第1の筐体部14aと第2の筐体部14bとの間の隙間Gに挿入配置される。なお、通常は脱落防止ねじ34を締め付けた後に底面パネル12を機器筐体14の底面(
図3では上面)に配置する手順となるが、
図3では、この時点での底面パネル12の固定孔12aと機器筐体14のねじ穴22との位置関係を明示するため底面パネル12についても図示している。
【0038】
続いて、脱落防止ねじ34をコイルばね44の付勢力に抗して進動させて第2の筐体部14bのねじ穴42に螺合させ、
図4に示すように、脱落防止ねじ34を所望の締付状態まで締め付ける。そうすると、
図4に示すように、コイルばね44が頭部34aと遊動ワッシャ46(フランジ部40)との間で圧縮され、脱落防止ねじ34は頭部34aが第1の筐体部14aの凹部38に完全に埋没した位置となる。これにより、ODD装置18の機器筐体14への装着作業が完了する。
【0039】
次に、底面パネル12を機器筐体14上での所定のスライド開始位置(
図3に示す位置。
図2に2点鎖線で示す底面パネル12も参照)に載置し、装着方向へとスライドさせる。なお、このスライド開始位置では、底面パネル12の固定孔12aは機器筐体14のねじ穴22から外れた位置にある(
図3参照)。
【0040】
そして、底面パネル12のスライドが完了すると、
図4に示すように、固定孔12aが機器筐体14のねじ穴22に重なる位置となる。そこで、固定孔12aを通して固定ねじ23をねじ穴22に締め付けることにより、底面パネル12が機器筐体14に適正に固定され、その装着作業が完了する。
【0041】
このような装着作業において、ODD装置18を装着スロット16の所定の収納位置まで挿入した後、脱落防止ねじ34のねじ穴42に対する締め付けを忘れた場合又は締め付けが適正でない場合には、
図5に示すように、脱落防止ねじ34はコイルばね44の付勢力によって機器筐体14の凹部38から突出した状態にある。
【0042】
この状態で底面パネル12を機器筐体14に対してスライド開始位置に載置すると、ストッパ凹部36に脱落防止ねじ34の頭部34aが挿入された状態となる。その後スライドさせた場合には、
図5に示すように底面パネル12のストッパ面36aが頭部34aに当接し、それ以上のスライドが規制される。この状態では、底面パネル12の固定孔12aは機器筐体14のねじ穴22から外れた位置にある。このため、固定ねじ23を締め付けることができず、底面パネル12の装着を適正に完了することができない。
【0043】
従って、ユーザは、ODD装置18の装着に誤りがあったことを確実に認識することができるため、底面パネル12を逆方向にスライドさせて一旦取り外し、脱落防止ねじ34を適正に締め付けた後、再び底面パネル12を装着する。これにより、ODD装置18を固定するための脱落防止ねじ34の締め付けが完了していない状態で底面パネル12の装着が完了することを防止できるため、ODD装置18及び底面パネル12を
図4に示すような適正な状態で確実に装着することが可能となる。
【0044】
図6は、変形例に係る部品取付構造50を用いた構成において、ODD装置18及び底面パネル12を誤って装着した状態を模式的に示す断面説明図である。
【0045】
この部品取付構造50の場合、底面パネル12の内面には、ストッパ凹部36に代えて、ストッパ面36aを有する突起52が設けられている。従って、部品取付構造50においても、脱落防止ねじ34が適正に締め付けられていない状態で底面パネル12の装着作業を行うと、
図6に示すように突起52のストッパ面36aが脱落防止ねじ34の頭部34aに当接し、そのスライドが規制される。これにより、ODD装置18を固定するための脱落防止ねじ34の締め付けが完了していない状態で底面パネル12の装着が完了することを防止できるため、ODD装置18及び底面パネル12を
図4と同様な適正な状態で装着することができる。
【0046】
図7は、別の変形例に係る部品取付構造60を用いた構成において、ODD装置18及び底面パネル62を誤って装着した状態を模式的に示す断面説明図であり、
図8は、
図7に示す部品取付構造60を用いた構成において、ODD装置18及び底面パネル12を適正に装着した状態を模式的に示す断面説明図である。
【0047】
この部品取付構造60は、上記した部品取付構造30,50のように、スライドして装着する方式の底面パネル12ではなく、機器筐体14の底面の上に置いた後、スライドさせずにそのまま固定ねじ23で固定する方式の底面パネル62を用いた構成に特に有効に用いられる。
【0048】
図7に示すように、部品取付構造60における脱落防止ねじ34は、ねじ部34bをねじ穴42に螺合させず、ねじ部34bをねじ穴42の開口縁部に当接させた状態で、頭部34aが機器筐体14の凹部38から突出する寸法に設定されている。また、底面パネル62は、その内面にストッパ凹部36や突起52は設けられていない。
【0049】
従って、部品取付構造60では、
図7に示すように、脱落防止ねじ34の締め付けが完了していない状態で底面パネル62の装着作業を行うと、脱落防止ねじ34はコイルばね44の付勢力に抗して底面パネル62によってある程度は押下される。ところが、ねじ部34bがねじ穴42の開口縁部に当接した時点で脱落防止ねじ34のそれ以上の押下が規制される。
【0050】
この状態であっても、底面パネル62の固定孔12aは機器筐体14のねじ穴22と重なる位置にある。ところが、この部品取付構造60では、この状態では固定ねじ23はそのねじ部がねじ穴22に十分に届かず、適正に締め付けることができない全長寸法に設定されている。このため、底面パネル62の適正な装着を完了することができない。
【0051】
従って、ユーザは、ODD装置18の装着に誤りがあったことを認識することができるため、底面パネル12を一旦持ち上げて取り外し、
図8に示すように脱落防止ねじ34を適正に締め付けた後、再び底面パネル62を装着することで、固定ねじ23をねじ穴22に適正に締め付けることができる。これにより、ODD装置18を固定するための脱落防止ねじ34の締め付けが完了していない状態で底面パネル62の装着が完了することを防止できるため、ODD装置18及び底面パネル62を
図8に示すような適正な状態で確実に装着することが可能となる。
【0052】
なお、この部品取付構造60の場合には、
図8中に2点鎖線で示すように、底面パネル62の内面に突起64を設けておいてもよい。突起64は、脱落防止ねじ34が適正に締め付けられた状態で機器筐体14の凹部38に挿入可能な形状であり、底面パネル62の装着を邪魔しない。この突起64を設けると、
図7に示すように脱落防止ねじ34が適正に締め付けられていない状態で底面パネル62を装着しようとした際、突起64が脱落防止ねじ34の頭部34aに当接する。このため、底面パネル62の位置が
図7の状態よりも機器筐体14から離れた位置となる。そのため、底面パネル62の装着状態がより不自然に感じられ、また固定ねじ23のねじ穴23への締め付けも一層困難なものとなるため、ユーザは、ODD装置18の装着に誤りがあったことを一層容易に認識することができる。
【0053】
また、上記したように、部品取付構造60における脱落防止ねじ34は、ねじ部34bをねじ穴42に螺合させず、ねじ部34bをねじ穴42の開口縁部に当接させた状態で、頭部34aが機器筐体14の凹部38から突出する寸法に設定している。このため、このような寸法に脱落防止ねじ34を設定しておくと、コイルばね44の有無に関わらず脱落防止ねじ34による底面パネル62の干渉機能は発揮できるため、コイルばね44を省略することもできる。同様に、
図3〜
図6に示す部品取付構造30,50についても脱落防止ねじ34の寸法を部品取付構造60の場合と同様に設定しておくことにより、コイルばね44の省略が可能となる。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る部品取付構造30(50,60)は、機器筐体14に対して脱落防止ねじ34を用いて第1の部品となるODD装置18を固定した後、機器筐体14に対して第2の部品となる底面パネル12(62)を装着する構造であり、機器筐体14側のねじ穴42に対して脱落防止ねじ34が所望の締付状態まで締め付けられていない場合には、脱落防止ねじ34が底面パネル12に干渉することで該底面パネル12の装着が規制される一方、ねじ穴42に対して脱落防止ねじ34が所望の締付状態まで締め付けられた場合には、脱落防止ねじ34が底面パネル12に干渉せずに該底面パネル12を装着可能である。
【0055】
従って、当該部品取付構造30(50,60)によれば、先に装着するODD装置18を適正に装着しなければ、脱落防止ねじ34が後に装着する底面パネル12(62)に干渉し、その装着を妨害する。これにより、脱落防止ねじ34の締め付けが不十分であり、先に装着したODD装置18の固定が適正になされないままで上から底面パネル12が装着されてしまう誤装着を防ぎ、ODD装置18が脱落し或いはがたつくことを確実に防止できる。特に、本実施形態に係る電子機器10では、底面パネル12(62)を装着するとODD装置18を固定する脱落防止ねじ34の状態を外部から視認できなくなるため、当該部品取付構造30(50,60)を用いることで各部品の誤った取り付けを未然に防ぎ、使用時の故障等の発生を防止できる。
【0056】
脱落防止ねじ34は、機器筐体14に形成されたフランジ部40に軸部34cが挿通配置されると共に、該フランジ部40の表面及び裏面に対して頭部34a及びねじ部34bがそれぞれ係止されることで該機器筐体14に保持されている。すなわち、脱落防止ねじ34の代わりに脱落防止構造のないねじを用いた場合、ODD装置18の固定時に機器筐体14内に落としてしまったりすることがある。この点、本実施形態では脱落防止ねじ34を用いているため、ねじの紛失を防止し、さらに底面パネル12を取り外した状態では脱落防止ねじ34が常に露出しているため、その締め忘れを一層確実に防止できる。
【0057】
本実施形態の場合、フランジ部40の表面と脱落防止ねじ34の頭部34aとの間には、脱落防止ねじ34がねじ穴42に対して締め付けられていない状態で該脱落防止ねじ34をねじ穴42から離間する方向へと移動させる弾性体であるコイルばね44が介在している。このため、脱落防止ねじ34を締め付けない状態ではコイルばね44の付勢力によって常に脱落防止ねじ34が底面パネル12側へと突出するため、底面パネル12に対する干渉作用を一層確実に発揮させることができる。しかも、ODD装置18の装着時、コイルばね44の付勢力によって脱落防止ねじ34が第1の筐体部14aと第2の筐体部14bとの間の隙間Gから退避しているため、ODD装置18の装着が円滑なものとなる。
【0058】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0059】
例えば、上記実施形態では、部品取付構造30(50,60)をODD装置18と底面パネル12(62)の装着時のフェイルセーフ機能として用いた構成を例示したが、部品取付構造は他の部品に対しても適用できる。例えば、
図2に示す電子機器10の場合、部品取付構造30(50,60)を、CPU25、冷却ファン26、HDD装置27、メモリ28及び通信カード29の装着用として適用し、これら各部品を適正に取り付けていない場合には、その上から底面パネル12(62)又は他の部品を適正に装着することができないように構成してもよい。この場合、これら各部品の固定用である取付ねじ24に代えて脱落防止ねじ34を用いるとよい。