【解決手段】建物についての断熱性を表す所定の断熱性指標値の算出に用いるパラメータとして、建物の外周長と、建物の高さと、床面積と、開口部寸法と、外周長と高さ以外の建物に関する所定の補助寸法との入力を少なくとも受け付ける入力受付部と、入力受付部が入力を受け付けた各パラメータと、建物に用いる建材ごとの熱伝導性に関する特性を示す情報として予め登録された建材特性情報とに少なくとも基づいて、所定の断熱性指標値を算出する断熱性指標値算出部とを備えて断熱性指標値算出装置を構成する。
建物についての断熱性を表す所定の断熱性指標値の算出に用いるパラメータとして、建物の外周長と、建物の高さと、床面積と、開口部寸法と、外周長と高さ以外の建物に関する所定の補助寸法との入力を少なくとも受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部が入力を受け付けた各パラメータと、前記建物に用いる建材ごとの熱伝導性に関する特性を示す情報として予め登録された建材特性情報とに少なくとも基づいて、前記所定の断熱性指標値を算出する断熱性指標値算出部と
を備える断熱性指標値算出装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態における断熱性指標値算出装置について図面を参照して説明する。本実施形態の断熱性指標値算出装置は、建物の断熱性についての指標値の1つである建物のU値(外皮平均熱貫流率)について概略的に算出する。本実施形態の断熱性指標値算出装置は、同じ建物の断熱性についての指標値の1つであるQ値(熱損失係数)についても算出することができる。
【0010】
図1は、本実施形態における断熱性指標値算出装置100の構成例を示している。本実施形態の断熱性指標値算出装置100は、入力デバイス101、出力デバイス102、制御部103及び記憶部104を備える。
【0011】
入力デバイス101は、断熱性指標値算出装置100に対してユーザが入力操作を行うのに用いるデバイスである。入力デバイス101の具体例としては、キーボード、マウス、トラックパッドなどを挙げることができる。また、出力デバイス102がタッチパネルとして構成される場合には、タッチパネルも入力デバイス101に含まれる。
【0012】
出力デバイス102は、制御部103における出力制御部133の制御に応じた情報の出力を行う。具体的に、出力デバイス102は、表示デバイスを備えて、出力制御部133の制御に応じて、断熱性指標値計算に関する画像の表示を行うことができる。また、出力デバイスは、プリンタを備えて、断熱性指標値計算に関する情報を印刷することができる。
【0013】
制御部103は、断熱性指標値算出装置100としての機能を実現するための各種制御を実行する。制御部103としての機能は、例えば断熱性指標値算出装置100が備えるCPU(Central Processing Unit)が、断熱性指標値の算出に応じたプログラムを実行することにより実現される。このようなプログラムは、記憶部104に記憶されればよい。また、このようなプログラムは、可搬型の記憶媒体などに記憶させてもよい。
【0014】
制御部103は、入力受付部131、断熱性指標値算出部132及び出力制御部133を備える。
入力受付部131は、U値またはQ値の算出に用いるパラメータとして、建物の外周長と、建物の高さと、床面積と、開口部寸法と、外周長と高さ以外の建物に関する所定の補助寸法との入力を少なくとも受け付ける。
断熱性指標値算出部132は、入力受付部131が入力を受け付けた各パラメータと、建物に用いる建材ごとの熱伝導性に関する特性を示す情報として予め登録された建材特性情報とに基づいて、建物についての断熱性を表す所定の断熱性指標値を算出する。前述のように、本実施形態において断熱性指標値算出部132が算出する断熱性指標値は、U値とQ値との少なくともいずれか一方である。
出力制御部133は、断熱性指標値計算に関する情報を出力デバイス102に出力する。具体的に、出力制御部133は、前述の断熱性指標値計算にあたり入力受付部131が受け付ける各パラメータを入力するためのパラメータ入力画面やU値及びQ値についての計算結果を示す画像を出力デバイス102にて表示させることができる。また、出力制御部133は、パラメータ入力画面やU値及びQ値についての計算結果などを印刷により出力デバイス102から出力させることができる。
【0015】
記憶部104は、制御部103が利用する各種の情報を記憶する。同図に示すように記憶部104は、制御部103が利用する情報の1つとして、断熱性指標値計算制御情報140を記憶する。
断熱性指標値計算制御情報140は、一例として、パラメータ情報141、建材特性情報142、固定設定情報143、安全率144、計算式情報145、地域基準値情報146を含む。
パラメータ情報141は、ユーザが入力デバイス101を用いてパラメータ入力画面に対して行った入力操作に応じて入力受付部131が受け付けたパラメータを含む情報である。
建材特性情報142は、建物に用いられる建材の種別と熱伝導性に関する特性とを対応付けた情報である。建材特性情報142は、例えば断熱性指標値算出装置100を利用する工務店が、自社で採用する建材に応じた内容のものを予め登録しておくことができる。
固定設定情報143は、U値またはQ値の計算にあたり、固定的に設定された項目についての値を示す情報である。固定設定情報が含む項目としては、例えば、1階の天井高、2階の天井高、階間の高さである。
【0016】
安全率144は、算出されたU値またはQ値に対して安全性を考慮して、U値またはQ値に与えられるマージンである。U値とQ値は、いずれも値が小さいほど断熱性が良好であることを示す。また、本実施形態において算出されるU値とQ値は、例えば施主と設計者との間で合意が得られるのに十分な程度の精度が得られることが実証されてはいるが、あくまでも概算値である。また、U値とQ値は、それぞれ、省エネルギー基準のもとで定められた基準値に適合している必要がある。この点を考慮すれば、U値及びQ値の算出結果としては、高めに見積もられているほうが安全ということになる。そこで、本実施形態においては、安全率を設定したうえで、安全率が反映されたU値とQ値の計算結果を出力する。これにより、例えばU値について厳密に計算した場合には不適合であるのに、本実施形態の断熱性指標値算出装置100により計算された結果が適合となるようなことが起こりにくくなる。
【0017】
計算式情報145は、本実施形態における概算としてのU値、Q値のそれぞれを算出するための計算式を示す情報である。
地域基準値情報146は、U値とQ値とのそれぞれについての地域ごとの基準値を示す情報である。省エネルギー基準において、U値の基準値とQ値の基準値は、それぞれ地域ごとに応じた所定値が定められている。
【0018】
図2は、出力デバイス102としての表示デバイスに表示されるパラメータ入力画面200の一態様例を示している。例えば、工務店の営業担当であるユーザは、施主の希望に応じた建物の設計に応じたU値またはQ値を計算するにあたり、入力デバイス101に対する操作によって、同図に示されるパラメータ入力画面200を表示させる。
【0019】
同図に示すパラメータ入力画面200においては、見出し情報入力エリアAR1と、パラメータを入力するパラメータ入力エリアAR2とが配置される。見出し情報入力エリアAR1は、U値とQ値との計算結果を示す計算書類の見出しとなる見出し情報を入力するエリアである。パラメータ入力エリアAR2は、U値またはQ値を算出するのに利用されるパラメータを入力するエリアである。
【0020】
見出し情報入力エリアAR1においては、会社分類エリアAR11、会社入力エリアAR12、年月日入力エリアAR13、番号入力エリアAR14、施主入力エリアAR15、計算対象指標値入力エリアAR16、建設地入力エリアAR17が配置される。
【0021】
会社分類エリアAR11は、設計者に対応する会社の名称を会社入力エリアAR12に入力するのに先立って、会社の名称の先頭の文字を入力するエリアである。会社分類エリアAR11はプルダウンメニューになっており、ユーザは、入力デバイス101に対する操作により、プルダウンメニューに提示されるひらがなの文字のうちから、会社の名称の先頭の文字を選択することができる。
会社入力エリアAR12は、設計者に対応する会社の名称が入力されるエリアである。会社入力エリアAR12はプルダウンメニューとなっており、会社分類エリアAR11にて入力された文字が名称の先頭である会社のリストが提示される。ユーザは、提示されたリストのうちから、会社の名称を選択する。
【0022】
年月日入力エリアAR13は、U値またはQ値の計算を行った年月日を入力するエリアである。年月日入力エリアAR13に対する入力は、入力デバイス101に対する文字入力操作によって行われてもよいし、例えば、当日の年月日が自動的に入力されるようにしてもよい。
施主入力エリアAR15は、施主の名称(氏名)を入力するエリアである。施主入力エリアAR15に対する名称の入力は、入力デバイス101に対する文字入力操作によって行われてもよい。
計算対象指標値入力エリアAR16は、計算対象とする断熱性指標値の種別を入力するエリアである。計算対象指標値入力エリアAR16は、プルダウンメニューとなっており、例えば、U値のみ、Q値のみ、U値及びQ値との3つの選択肢のうちから選択できるようになっている。
建設地入力エリアAR17は、建物が建てられる地域を入力するエリアである。建設地入力エリアAR17は、例えば都道府県を選択するプルダウンメニューと、選択された都道府県内の区市町村等を選択するプルダウンメニューとから構成される。
【0023】
パラメータ入力エリアAR2においては、高さ入力エリアAR21、外周長入力エリアAR22、床面積入力エリアAR23、屋根勾配入力エリアAR24、外気床及びルーフバルコニー面積入力エリアAR25、妻側面積入力エリアAR26、床下断熱種別入力エリアAR27、玄関ドアサイズ入力エリアAR28、サッシサイズ入力エリアAR29及びみなし換気回数入力エリアAR30が配置される。
【0024】
高さ入力エリアAR21は、建物の高さを示す数値を入力するエリアである。同図に示すように、高さ入力エリアAR21においては、1階と2階のそれぞれの高さを入力できるようになっている。高さ入力エリアAR21に対する数値の入力は、入力デバイス101に対する数字の入力操作によって行われる。
【0025】
外周長入力エリアAR22は、建物の外周長を示す数値を入力するエリアである。同図に示すように、外周長入力エリアAR22においては、1階における東西方向の寸法と南北方向の寸法を入力し、2階における東西方向の寸法と南北方向の寸法を入力するようにされている。
床面積入力エリアAR23は、建物の床面積を示す数値を、1階と2階とに分けて入力するエリアである。
屋根勾配入力エリアAR24は、建物の屋根勾配を入力するエリアである。屋根勾配の値は、屋根の面積を求めるのに利用される。
外気床及びルーフバルコニー面積入力エリアAR25は、外気床の面積とルーフバルコニーの面積を示す数値を入力するエリアである。なお、建物において外気床が無い場合には、屋根勾配入力エリアAR24への外気床面積の数値を入力する必要はない。同様に、建物においてルーフバルコニーが無い場合にはルーフバルコニー面積の数値を入力する必要はない。
妻側面積入力エリアAR26は、妻側の面積としての数値を入力するエリアである。
床下断熱種別入力エリアAR27は、床下断熱が床断熱と基礎断熱のいずれであるのかを入力するエリアである。床下断熱種別入力エリアAR27は、プルダウンメニューとなっており、例えば、基礎断熱と複数種類の床断熱とのうちから1つを選択できるようになっている。床断熱の場合、例えば風呂場、玄関などのように床断熱が施されない部分が床面積において生じる。床下断熱種別入力エリアAR27のプルダウンメニューにおいては、床断熱が施されない部分の面積をおおまかに複数のパターンに分類した床断熱のリストが提示されるようになっている。ユーザは、複数の床断熱のリストのうちから、建物において床断熱が施されない部分の面積が該当する床断熱のパターンを選択するようにされている。このように、本実施形態においては、床断熱が行われる場合において床断熱が施されない部分の面積の入力が簡易化されている。
【0026】
玄関ドアサイズ入力エリアAR28は、建物における開口部(断熱が施されない部分)の1つである玄関ドアのサイズを幅と高さの各数値により入力するエリアである。
サッシサイズ入力エリアAR29は、建物に設けられるサッシごとのサイズを入力するエリアである。サッシサイズ入力エリアAR29に対するサッシエリアのサイズの入力には、規格で定められた呼称(呼称寸法)が用いられる。このような呼称寸法は建築等の業務において通常に用いられていることから、呼称に従った数値入力とするとによってユーザの入力作業が楽になる。
みなし換気回数入力エリアAR30は、みなし換気回数を入力するエリアである。みなし換気回数は、Q値の計算のみに用いられるパラメータであることから、U値を計算しQ値を計算しない場合には入力を省略してよい。
【0027】
正式なU値の計算では、建物における正確な熱損失と、正確な外皮面積とを求める必要がある。このためには、例えば外壁の面積を正確に求める必要がある。一具体例として平面からみて外壁が凸字形状あるいは凹字形状などのようになっているような場合には、このような形状に沿った壁面の面積が正確に反映されるようにする必要がある。さらには、方角ごとに応じた外壁の面積を正確に求める必要もある。このように正確な外壁の面積を求めるには、例えば建物の正確な設計図が必要になる。
【0028】
これに対して、本実施形態の場合には、以下のようにして外壁の面積が求められる。つ、まり、外周長入力エリアAR22に入力された各階における東西方向と南北方向の外周長と、高さとにより求められる面積を合計することにより外壁面積が求められる。
【0029】
つまり、本実施形態においては、外壁の面積を求めるにあたり、外周方向における外壁の形状の変化などは無視し、東西方向と南北方向とに応じた外周長を利用することとしている。このように、本実施形態においては、外壁の面積を求めるにあたっての入力項目の簡易化が図られている。
【0030】
また、建物によっては、複数の屋根勾配を持つものがある。しかし、本実施形態においては、屋根勾配入力エリアAR24における屋根勾配の入力はプルダウンメニューにより1つの値のみが選択できるように簡易化が図られている。
【0031】
さらに床下断熱についても、基礎断熱と床断熱(床断熱については断熱が施されない床部分の面積によってさらにいつくかに分類される)のうちのいずれであるのかが床下断熱種別入力エリアAR27におけるプルダウンメニューにより選択されるようになっている。この点でも、パラメータ入力の簡易化が図られている。
【0032】
図3は、
図1の断熱性指標値計算制御情報140に含まれる建材特性情報142の内容例を示している。
同図の例では、建物における部位として、外壁、屋根、天井、床、基礎(玄関など)、基礎(UB(ユニットバス)など)、外気床、ルーフバルコニー、開口部(サッシ)、開口部(玄関)が示される。
そのうえで、部位ごとに、外張と充填との断熱工法の項目が対応付けられる。厚さ1と熱伝導率1は、それぞれ、対応の部位において外張の断熱が施される場合の断熱材(建材)の厚さと熱伝導率とを示す。また、厚さ2と熱伝導率2は、それぞれ、対応の部位において充填による断熱が施される場合の断熱材(建材)の厚さと熱伝導率とを示す。
なお、開口部(サッシ)、開口部(玄関)の各材料については、便宜上、外張の項目に含めている。
【0033】
一具体例として、この場合の外壁については、充填による断熱が施され、外張による断熱は施されないので、同図に示すように、外張、厚さ1、熱伝導率1の各項目は空欄であるのに対して、充填の項目には、使用される断熱材Aの名称が格納される。また、外壁に対応する厚さ2の項目には例えば「90」のように充填された断熱材の厚さを示す値が格納される。また、外壁に対応する熱伝導率2の項目には、断熱材Aの熱伝導性に関する特性である熱伝導率の値が、例えば「0.035」のように示される。
また、外壁に対応する平均熱貫流率の項目においては、断熱材Aの厚さ90と、熱伝導率である0.035とに基づいて求められた、外壁の平均熱貫流率の値である0.199が格納される。
【0034】
同図に示すように、建材特性情報142において格納される部位ごとに採用する断熱材、厚さ、熱伝導率の情報は、本実施形態の断熱性指標値算出装置100を使用する設計者側が予め登録しておく。例えば、断熱材などの建材に関しては、設計者により採用する製品などが予め決まっている場合が多い。このような場合、設計者が使用する製品を建材特性情報142に予め登録しておけば、その後において建材特性情報142を継続して使用できる。
登録に際しては、例えば設計者側の営業担当などが、建材特性情報142への入力を行うための建材特性情報入力画面を表示させ、入力デバイス101に対する入力操作によって必要事項の入力を行うようにすればよい。また、建材特性情報入力画面としては、例えば、建材の選択をプルダウンメニューなどにより行えるようにしてもよい。この場合、建材のデータベースと連携することにより、建材の選択が行われるのに応じて、対応の熱伝導率がデータベースから取得され、建材特性情報142に格納されるようにしてもよい。また、平均熱貫流率については、入力された厚さと熱伝導率とを利用して、断熱性指標値算出部132が自動計算した値が格納されるようにしてよい。
【0035】
また、建材特性情報142は、事前に登録されるものであるとして説明した。しかし、例えば、施主との商談に際して、施主から建材の変更の希望があったような場合に、設計者側の営業担当者が上記の建材特性情報142への入力作業を行って建材の登録変更を行ったうえでU値またはQ値を計算し直すことも可能である。
【0036】
図2に示すパラメータ入力画面200に対して入力されたパラメータは、
図1の断熱性指標値計算制御情報140においてパラメータ情報141として格納される。
そして、制御部103における断熱性指標値算出部132は、パラメータ情報141と、建材特性情報142と、固定設定情報143と、安全率144とを利用して、計算式情報145が示す計算式に従って演算を行うことで、概算としてのU値またはQ値を算出する。
そして、断熱性指標値算出部132は、上記のように算出したU値またはQ値が、パラメータ情報141に含まれる建設地のパラメータが示す建設地において定められた基準値に適合しているか否かについて判定する。パラメータ情報141に含まれる建設地のパラメータは、パラメータ入力画面200の建設地入力エリアAR17に入力された建設地を示す。
上記の基準適合判定にあたり、断熱性指標値算出部132は、地域基準値情報146からパラメータ情報141に含まれる建設地のパラメータが示す建設地に対応付けられたU値またはQ値についての基準値を取得する。断熱性指標値算出部132は、算出されたU値またはQ値が、地域基準値情報146から取得した基準値以下であれば基準に適合していると判定し、基準値を超えていれば基準に対して不適合であると判定する。
【0037】
そして、出力制御部133は、U値またはQ値についての計算結果を、建設地における基準値に対する適合判定結果とともに、出力デバイス102から出力させることができる。
図4は、出力デバイス102が備える表示デバイスにおいて表示されるU値またはQ値についての計算結果を示す計算結果画面300の一態様例を示している。同図においては、算出対象としてU値及びQ値を選択した場合に対応した例が示されている。
同図に示す計算結果画面300においては、断熱性指標値算出部132によって算出されたQ値の値と、算出されたQ値が、建設地に対応する基準値に適合していることが示されている。計算結果画面300においては、断熱性指標値算出部132によって算出されたU値の値と、算出されたU値が、建設地に対応する基準値に適合していることが示されている。
また、出力制御部133は、
図4に準じた態様により、U値またはQ値についての計算結果を、印刷により出力することもできる。
【0038】
これまでの説明から理解されるように、本実施形態においては、
図3に例示した建材特性情報142を予め登録しておいたうえで、例えば施主の希望に応じた建物の設計に応じたパラメータを
図2のパラメータ入力画面200に入力するようにされている。これにより、
図4に例示したように、概算によるU値とQ値とについての計算結果が出力される。
ここで、本実施形態においては、前述のように、外周長、屋根勾配、床下断熱などについてのパラメータの入力が簡易化されている。このようにU値またはQ値の計算に必要なパラメータの入力が簡易化されることによって、U値またはQ値を計算するにあたって正確な設計図を使用しなくともよくなる。これにより、例えば施行主は、施主への営業活動の一環として、施主が希望する建物の設計に応じた概算のU値またはQ値を計算し、計算結果を施主に提示することが手軽かつ迅速に行えるようになる。また、例えば、計算されたU値またはQ値が基準値に対して不適合であった場合に、設計を変更して計算し直すようなことも手軽に行うことができる。
【0039】
次に、
図5のフローチャートを参照して、本実施形態の断熱性指標値算出装置100が実行する処理手順例について説明する。同図に示す処理は、
図2に例示したパラメータ入力画面200が出力デバイス102における表示デバイスに表示され、入力デバイス101に対する操作によるパラメータの入力が可能な状態のもとで開始される。また、同図に示す処理は、計算対象指標値入力エリアAR16に対する入力操作によりU値とQ値との両者が計算対象として選択された場合に対応して、U値とQ値とを計算する場合の例を挙げて説明する。
【0040】
まず、入力受付部131は、パラメータの入力操作が行われるのを待機している(ステップS101−NO)。ここでのパラメータの入力操作とは、例えば
図2に示したパラメータ入力画面200が表示されている状態のもとで、見出し情報入力エリアAR1における入力エリア(AR11〜AR17)とパラメータ入力エリアAR2における入力エリア(AR21〜AR30)のいずれかに対して行われる入力操作である。
【0041】
そして、パラメータの入力操作が行われるのに応じて(ステップS101−YES)、入力受付部131は、今回の入力操作に応じたパラメータの入力を受け付ける(ステップS102)。入力受付部131は、ステップS102により入力を受け付けるのに応じて、受け付けたパラメータを、パラメータ情報141に含める。
【0042】
また、断熱性指標値算出部132は、これまでに入力したパラメータを用いての断熱性指標値(U値、Q値)の計算を指示する操作が入力デバイス101に対して行われるのを待機する(ステップS103−NOからステップS101−NOとなり、再びステップS103に至る手順)。そして、断熱性指標値の計算を指示する操作が行われるのに応じて(ステップS103−YES)、断熱性指標値算出部132は、以下のように断熱性指標値としてのU値、Q値を算出する処理に移行する。
【0043】
まず、断熱性指標値算出部132は、記憶部104の断熱性指標値計算制御情報140からパラメータ情報141を取得する(ステップS104)。パラメータ情報141に含まれるパラメータは、前述のように、
図2に例示したパラメータ入力画面200における各入力エリアに入力されたパラメータである。
次に、断熱性指標値算出部132は、外壁、屋根(または天井)、床、基礎、外気床、ルーフバルコニーごとの部位の面積を取得する(ステップS105)。
外壁の面積は、例えばパラメータ情報141に含まれる高さと外周長とを利用して算出することにより取得できる。屋根の面積は、例えばパラメータ情報141に含まれる屋根勾配と二回の床面積とに基づいて算出することにより取得できる。床の面積は、パラメータ情報141に含まれる床面積から取得できる。基礎の面積は、1階の外周長に基づいて求めることができる。外気床の面積は、パラメータ情報141に含まれる外気床の面積から取得できる。ルーフバルコニーの面積は、パラメータ情報141に含まれるルーフバルコニーの面積から取得できる。なお、例えば外気床またはルーフバルコニーについての入力操作が行われなかった場合には、ステップS105において外気床またはルーフバルコニーの面積を取得する必要はない。
【0044】
次に、断熱性指標値算出部132は、外壁、屋根(または天井)、床、基礎、外気床、ルーフバルコニーごとの部位に対応する熱貫流率を、
図3に例示した建材特性情報142から取得する(ステップS106)。
そして、断熱性指標値算出部132は、外壁、屋根(または天井)、床、基礎、外気床、ルーフバルコニーごとの部位の熱損失を算出する(ステップS107)。各部の熱損失は、ステップS105により取得された面積と、ステップS106により取得された熱貫流率とを乗算して求めることができる。
【0045】
また、断熱性指標値算出部132は、玄関、サッシ部分ごとの面積を算出する(ステップS108)。玄関とサッシ部分は、建物における開口部である。玄関の面積は、パラメータ情報141に含まれる玄関(玄関ドア)のサイズに基づいて算出することができる。また、サッシ部分の面積は、パラメータ情報141に含まれるサッシごとの呼称寸法に基づいて算出することができる。
また、断熱性指標値算出部132は、玄関、サッシ部分ごとの熱貫流率を、
図3に例示した建材特性情報142から取得する(ステップS109)。
そして、断熱性指標値算出部132は、玄関、サッシ部分の熱損失を算出する(ステップS110)。玄関、サッシ部分の各熱損失は、ステップS108により取得された玄関、サッシ部分の面積と、ステップS109により取得された玄関、サッシ部分の熱貫流率とをそれぞれ乗算して求めることができる。
【0046】
次に、断熱性指標値算出部132は、建物の熱損失合計を算出する(ステップS111)。建物の熱損失合計は、例えばステップS107により算出された外壁、屋根(または天井)、床、基礎、外気床、ルーフバルコニーごとの部位の熱損失と、ステップS110により算出された玄関、サッシ部分の熱損失とを加算することにより算出される。
【0047】
また、断熱性指標値算出部132は、建物の外皮面積を算出する(ステップS112)。外皮面積は、例えばステップS105により取得された外壁の面積と、パラメータ情報141に含まれる床面積との合計として算出することができる。
【0048】
次に、断熱性指標値算出部132は、ステップS111により算出された熱損失合計を、ステップS112により算出された外皮面積で除算することでU値を算出する(ステップS113)。
次に、断熱性指標値算出部132は、ステップS114にて算出されたU値が、パラメータ情報141に含まれるパラメータが示す建設地において定められたU値対応の基準値に適合しているか否かについての基準適合判定を行う(ステップS114)。建設地において定められた基準値は、前述のように、地域基準値情報146から取得できる。
【0049】
また、断熱性指標値算出部132は、ステップS111により算出された熱損失合計を、パラメータ情報141に含まれる床面積により除算することによって、Q値を算出する(ステップS115)。なお、Q値の算出にあたっては、前述のように、パラメータ情報141に含まれるみなし換気回数も利用される。
次に、断熱性指標値算出部132は、ステップS115にて算出されたQ値が、パラメータ情報141に含まれるパラメータが示す建設地において定められたQ値対応の基準値に適合しているか否かについての基準適合判定を行う(ステップS116)。
【0050】
そして、出力制御部133は、ステップS113、S115により求められたU値及びQ値と、ステップS114、S116により求められたU値とQ値のそれぞれについての基準適合判定結果とを、表示あるいは印刷により出力する(ステップS117)。
このような処理によって、本実施形態においては、ユーザが入力したパラメータに応じた概算的なU値とQ値と算出し、算出結果を適合判定結果とともに出力することができる。
【0051】
なお、上述の断熱性指標値算出装置100としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の断熱性指標値算出装置100としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。