特開2016-92403(P2016-92403A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特開2016092403-軟磁性金属複合体 図000004
  • 特開2016092403-軟磁性金属複合体 図000005
  • 特開2016092403-軟磁性金属複合体 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-92403(P2016-92403A)
(43)【公開日】2016年5月23日
(54)【発明の名称】軟磁性金属複合体
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/26 20060101AFI20160418BHJP
   H01F 1/28 20060101ALI20160418BHJP
   H01F 1/33 20060101ALI20160418BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20160418BHJP
   B22F 3/00 20060101ALI20160418BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20160418BHJP
【FI】
   H01F1/26
   H01F1/28
   H01F1/33
   B22F1/02 E
   B22F3/00 B
   B22F1/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-187048(P2015-187048)
(22)【出願日】2015年9月24日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0151970
(32)【優先日】2014年11月4日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ビョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】リー、セ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】パーク、イル ジン
【テーマコード(参考)】
4K018
5E041
【Fターム(参考)】
4K018BA04
4K018BA13
4K018BA15
4K018BA16
4K018BA20
4K018BB05
4K018BB06
4K018BB07
4K018BC12
4K018BC28
4K018BD01
4K018GA04
4K018KA43
5E041AA04
5E041AA11
5E041AA19
5E041BB03
5E041BC01
5E041BC05
5E041BD03
5E041CA01
5E041HB14
5E041NN05
5E041NN06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐電圧に強く、表面絶縁層の破損を抑制できる軟磁性金属インダクタを提供する。
【解決手段】軟磁性金属複合体100は絶縁層120でコーティングされた軟磁性金属粉末110、絶縁体ナノパウダー131及び高分子樹脂140を含み、軟磁性金属粉末110と絶縁体ナノパウダー131は高分子樹脂140内に分散されている構造とすることで、軟磁性金属インダクタの耐電圧特性を向上させることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層でコーティングされた軟磁性金属粉末と、
絶縁体ナノパウダーと、
高分子樹脂と、を含み、
前記軟磁性金属粉末と前記絶縁体ナノパウダーは前記高分子樹脂内に分散されている、軟磁性金属複合体。
【請求項2】
前記軟磁性金属粉末は、Fe−Si−Cr系、Fe−Ni−Mo系及びFe−Si−Al系軟磁性合金粉末のうち何れか1つ以上である、請求項1に記載の軟磁性金属複合体。
【請求項3】
前記軟磁性金属粉末は非晶質またはナノ結晶系である、請求項1または2に記載の軟磁性金属複合体。
【請求項4】
前記絶縁体ナノパウダーはセラミックナノパウダーである、請求項1から3のいずれか1項に記載の軟磁性金属複合体。
【請求項5】
前記セラミックナノパウダーはAl、SiO、TiOのうち何れか1つ以上である、請求項4に記載の軟磁性金属複合体。
【請求項6】
前記絶縁体ナノパウダーはフェライトナノパウダーである、請求項1から3のいずれか1項に記載の軟磁性金属複合体。
【請求項7】
前記フェライトナノパウダーは、NiZn系フェライトまたはNiCuZn系フェライトのうち何れか1つ以上である、請求項6に記載の軟磁性金属複合体。
【請求項8】
前記高分子樹脂はエポキシ、ウレタン、シリコンのうち何れか1つである、請求項1から7のいずれか1項に記載の軟磁性金属複合体。
【請求項9】
前記絶縁体ナノパウダーは、前記軟磁性金属粉末の表面に接触して分散されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の軟磁性金属複合体。
【請求項10】
前記絶縁体ナノパウダーの平均半径は5nm以上500nm以下である、請求項1から9のいずれか1項に記載の軟磁性金属複合体。
【請求項11】
軟磁性金属粉末及び高分子樹脂を含むパワーインダクタ用軟磁性金属複合体において、前記軟磁性金属粉末の間に介在されて耐電圧性を向上させるための絶縁体ナノパウダーをさらに含む、軟磁性金属複合体。
【請求項12】
前記絶縁体ナノパウダーは、セラミックナノパウダーまたはフェライトナノパウダーのうち何れか1つであるか、セラミックナノパウダーとフェライトナノパウダーが混合されたものである、請求項11に記載の軟磁性金属複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性が向上した軟磁性金属複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、スマートフォン、タブレットPCなどの携帯機器が発展するに伴って、高性能のデュアルコア及びクアッドコアAP(Application Processor)、及び大面積のディスプレイ(Display)の需要が増加しており、従来のフェライト(Ferrite)インダクタでは十分な定格電流を有することができない。従って、従来のフェライトインダクタに比べて高い定格電流を有する軟磁性金属粉末(powder)と有機物を複合した様々な軟磁性金属インダクタが登場している。
【0003】
このような軟磁性金属インダクタは、良好なDC−bias特性及び低いコアロス(core loss)などの様々な長所を有するが、金属粉末の表面の薄い絶縁膜で導体間を絶縁させるため、耐電圧の側面において弱点がある。また、破壊電圧(BDV、Breakdown voltage)も、フェライトインダクタの10分の1未満であるため、一般的な携帯電話の電圧を降圧するBuck−type DC−DC Converterでは殆ど問題にならないが、OLEDなどに用いられるBoost Converterなどでは瞬間的にインダクタの両端に10V以上の高電圧がかかるため、軟磁性金属粉末の表面の絶縁層が破損する恐れがある。
【0004】
通常、金属インダクタの製造に用いられる金属粉末は、その表面が絶縁コーティングされた状態であるため、当該金属粉末を使用して金属インダクタを製造する場合には、表面絶縁層の破損を最小化するように材料を分散し、エポキシ(Epoxy)などの硬化性有機物と混合して所望する形状にしてから加工する方法が主に用いられる。この場合、金属インダクタ内の金属粉末同士が完全に接触しない領域に樹脂(resin)が位置して、絶縁性にさらに寄与する。
【0005】
しかし、軟磁性金属インダクタの製造工程中にこのような絶縁層の破損が生じ得るため、フェライトインダクタより信頼性が低い可能性がある。
【0006】
特に、現在、電子機器にはより小さいサイズ、より薄い部品が継続的に求められているため、透磁率を向上させなければならない。このとき、透磁率は磁性体の充填密度に比例するため、材料内の非磁性体が占める比率を低くし、粒子間の距離もさらに減少させなければならないが、これにより、金属粒子間の距離が近くなり、電場がさらに大きくなるため、絶縁抵抗及び耐電圧においてはさらに不利になる。
【0007】
よって、インダクタの小型化及び薄型化を達成しながらも、高透磁率と信頼性を確保することが益々重要な課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2013−0104807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、従来の金属インダクタに用いられる軟磁性金属複合体における上記課題を解決するためのもので、絶縁体ナノパウダーが含まれた軟磁性金属複合体を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、上記絶縁体ナノパウダーとしてセラミックナノパウダーまたはフェライトナノパウダーが含まれた軟磁性金属複合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、絶縁層でコーティングされた軟磁性金属粉末、絶縁体ナノパウダー、及び高分子樹脂を含み、上記軟磁性金属粉末と絶縁体ナノパウダーは上記高分子樹脂内に分散されている軟磁性金属複合体が提供されることによって達成される。
【0012】
上記軟磁性金属粉末は、Fe−Si−Cr系、Fe−Ni−Mo系、及びFe−Si−Al系の何れか1つ以上であってもよく、非晶質またはナノ結晶系であってもよい。
【0013】
上記絶縁体ナノパウダーとしては、Al、SiOなどのセラミックナノパウダーを使用してもよいが、NiZn系フェライトまたはNiCuZn系フェライトのうち何れか1つ以上のフェライトナノパウダーを用いて軟磁性金属粉末の表面に存在する絶縁体ナノパウダーの比率を上げることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による軟磁性金属複合体は、軟磁性金属粉末の間に介在される絶縁体ナノパウダーを含み、軟磁性金属粉末間の絶縁性を向上させることができる。
【0015】
従って、本発明による軟磁性金属粉末により製造された金属インダクタの破壊電圧(BDV、Breakdown Voltage)が向上して、耐電圧特性と信頼性が向上した金属インダクタを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による軟磁性金属複合体の模式図である。
図2】本発明の一実施形態による軟磁性金属複合体においてセラミックナノパウダーが凝集した状態の模式図である。
図3】本発明の他の実施形態による軟磁性金属複合体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による軟磁性金属複合体の模式図であり、図2は、本発明の一実施形態による軟磁性金属複合体においてセラミックナノパウダーが凝集した形態の模式図であり、図3は、本発明の他の実施形態による軟磁性金属複合体の模式図である。
【0019】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施形態による軟磁性金属複合体100は、絶縁層120でコーティングされた軟磁性金属粉末110、絶縁体ナノパウダー130及び高分子樹脂140を含み、軟磁性金属粉末110と絶縁体ナノパウダー130は高分子樹脂140に分散されたものであってもよく、軟磁性金属インダクタのコアまたはボディ(body)として用いられてもよい。
【0020】
軟磁性金属粉末110は、インダクタなどの磁性部品において磁路の役割をすることができ、Fe−Si−Cr系、Fe−Ni−Mo系及びFe−Si−Al系軟磁性金属粉末の何れか1つ以上を使用してもよい。
【0021】
Fe−Si−Cr系軟磁性金属粉末のうちCrは緻密な酸化膜を形成して軟磁性金属粉末の酸化を抑制する効果があるが、磁性を劣化させる金属であり、Crの含量は、全体軟磁性金属粉末を100wt%としたとき、2.0〜15.0wt%であることができ、Fe−Ni−Mo系及びFe−Si−Al系軟磁性金属粉末のうちMoとAlの含量も、全体軟磁性金属粉末を100wt%としたとき、2.0〜15.0wt%であることができる。
【0022】
上記軟磁性金属粉末に含まれたCr、Mo、Alの含量が2.0wt%未満では軟磁性金属粉末の酸化を抑制する効果が低下する恐れがあり、15.0wt%を超えると、軟磁性金属の磁気特性が低下して好ましくない。
【0023】
軟磁性金属粉末110は絶縁層120でコーティングされて形成され、絶縁層120によって交流電場で発生する電気抵抗に因る渦電流損失(Eddy loss)を減少させることができる。
【0024】
絶縁層120は、Feなどの金属酸化物コーティング、リン酸亜鉛、リン酸鉄、マンガンリン酸塩などのリン酸塩コーティング、及びエポキシなどの高分子樹脂140を用いる有機コーティングを施して形成してもよいが、これに限定されない。
【0025】
絶縁層120の厚さ増加は耐電圧特性の側面では有利であるが、透磁率の側面では多少不利である。従って、絶縁層120の厚さは金属インダクタが用いられる製品群の用途に合わせて適切に調節することができる。
【0026】
本実施形態では、Fe−Si−Cr系、Fe−Ni−Mo系またはFe−Si−Al系軟磁性金属粉末の酸化物を絶縁層120として使用することが、生産工程の簡素化の観点で好ましいが、上述したリン酸塩コーティングや有機コーティングなどで絶縁層120を形成することも可能である。
【0027】
また、軟磁性金属粉末110としては、非晶質、ナノ結晶系、金属系ガラス質軟磁性金属粉末を使用してもよい。
【0028】
本実施形態の絶縁体ナノパウダーはセラミックナノパウダー130であってもよく、セラミックナノパウダー130としてはAl、SiO、TiOを用いることができる。
【0029】
セラミックナノパウダー130は、図1に示したように軟磁性金属粉末110の間に介在されて軟磁性金属複合体100の絶縁抵抗を向上させることができ、これにより軟磁性金属インダクタの耐電圧特性を向上させることができる。
【0030】
セラミックナノパウダー130の平均半径は5nm以上500nm以下であることができ、5nm未満では軟磁性金属複合体100の絶縁抵抗が十分に向上せず、500nmを超えると、軟磁性金属複合体100の磁気特性が悪化する恐れがあるため、好ましくない。
【0031】
図3を参照すると、本発明の他の実施形態による軟磁性金属複合体100は、絶縁体ナノパウダーとしてフェライトナノパウダー131を用いてもよい。
【0032】
フェライトナノパウダー131としては、透磁率と絶縁性の高いNiZn系フェライトとNiCuZnフェライトを使用してもよいが、これに限定されない。
【0033】
フェライトナノパウダー131を合成する際、最後の溶剤で溶媒置換し分散された状態でエポキシなどの有機物溶液で金属粒子と分散させることが好ましい。この場合、フェライトナノパウダー131が単一磁区(single magnetic domain)を有するため、それ自体で磁性を帯びるようになり、相対的に大きい軟磁性金属粉末110の表面に容易に吸着されるため、軟磁性金属粉末110の表面に接触して分散されたフェライトナノパウダー131の比率を上げることができる。
【0034】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による軟磁性金属複合体100において、一部のセラミックナノパウダー130が凝集した状態で軟磁性金属複合体中に分散されることができるが、絶縁体ナノパウダーとしてフェライトナノパウダー131を使用する場合、より効率的に絶縁体ナノパウダーを軟磁性金属粉末の表面に分布させることができる。
【0035】
よって、同じ含量のフェライトナノパウダー131が軟磁性金属複合体100に含まれても軟磁性金属粉末110間の絶縁性を効率的に向上させることができるようになり、軟磁性金属インダクタの耐電圧特性を向上させることができる。
【0036】
フェライトナノパウダー131の平均半径も5nm以上500nm以下であることができるが、5nm未満では軟磁性金属複合体100の絶縁抵抗が十分に向上せず、500nmを超えると、軟磁性金属複合体100の磁気特性が悪化する恐れがあるため、好ましくない。
【0037】
本発明の実施形態による軟磁性金属複合体100は、エポキシ、ウレタン、シリコンのうち何れか1つ以上の高分子樹脂140を含んでもよい。
【0038】
比較例
平均半径が20μmの絶縁層がコーティングされたFe−Si−Al系軟磁性金属粉末をエポキシ樹脂に分散させて、透磁率と絶縁性をテストするため軟磁性金属複合体を用意する。このとき、エポキシの含量は軟磁性金属複合体の1.5wt%である。
【0039】
上記軟磁性金属複合体を用いて外径20mm、内径13mm、厚さ4mm、巻線数10回のトロイダル状のインダクタを製造し、Agilent社の4982 LCR−meterで透磁率を測定する。
【0040】
また、上記軟磁性金属複合体を用いて直径1cm、厚さ3mmのディスク状の試料を作製した後、IR Agilent社の4339B IR−meterで比抵抗を、Kiethley社の2410 Sourcemeterで破壊電圧を測定する。
【0041】
実施例1
平均半径が20μmの絶縁層がコーティングされたFe−Si−Al系軟磁性金属粉末を用意し、平均半径が20nmのSiOナノパウダーとともにエポキシ樹脂に分散させて透磁率と絶縁性をテストするため軟磁性金属複合体を用意する。このとき、SiOナノパウダーの含量は軟磁性金属複合体の0.1wt%であり、エポキシの含量は軟磁性金属複合体の1.5wt%である。
【0042】
上記軟磁性金属複合体を用いて外径20mm、内径13mm、厚さ4mm、巻線数10回のトロイダル状のインダクタを製造し、Agilent社の4982 LCR−meterで透磁率を測定する。
【0043】
また、上記軟磁性金属複合体を用いて直径1cm、厚さ3mmのディスク状の試料を作製した後、IR Agilent社の4339B IR−meterで比抵抗を、Kiethley社の2410 Sourcemeterで破壊電圧を測定する。
【0044】
実施例2
平均半径が20μmの絶縁層がコーティングされたFe−Si−Al系軟磁性金属粉末を用意し、平均半径が20nmのNiZnフェライトナノパウダーとともにエポキシ樹脂に分散させて透磁率と絶縁性をテストするため軟磁性金属複合体を用意する。このとき、NiZnフェライトナノパウダーの含量は軟磁性金属複合体の0.1wt%であり、エポキシの含量は軟磁性金属複合体の1.5wt%である。
【0045】
上記軟磁性金属複合体を用いて外径20mm、内径13mm、厚さ4mm、巻線数10回のトロイダル状のインダクタを製造し、Agilent社の4982 LCR−meterで透磁率を測定する。
【0046】
また、上記軟磁性金属複合体を用いて直径1cm、厚さ3mmのディスク状の試料を作製した後、IR Agilent社の4339B IR−meterで比抵抗を、Kiethley社の2410 Sourcemeterで破壊電圧を測定する。
【0047】
【表1】
【0048】
比較例と実施例1、実施例2の透磁率は20.1〜20.8と有意差がないが、耐電圧の程度が分かる比抵抗や破壊電圧(BDV)は、絶縁体ナノパウダーのない比較例が最も低く、絶縁体ナノパウダーとしてSiOナノパウダーを使用した実施例1は比較例より高い耐電圧特性を示しており、NiZnフェライトナノパウダーを使用した実施例2が最も高い比抵抗と破壊電圧(BDV)の数値を示しているため、耐電圧特性が最もよいことが分かる。
【0049】
これは、上述したように、絶縁体ナノパウダーが軟磁性金属粉末の間に介在されて絶縁性を高めるためであると判断され、同じ大きさと同じ含量を使用したにもかかわらず、SiOナノパウダーを使用した実施例1よりNiZnフェライトナノパウダーを使用した実施例2の耐電圧特性がよいが、これは、磁性を有するNiZnフェライトナノパウダーが軟磁性金属粒子の表面に分布する比率が増加するためであると思われる。
【0050】
よって、少量の絶縁体ナノパウダーを添加して耐電圧特性を向上させ、且つ透磁率を維持することができる軟磁性金属インダクタを提供することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0052】
100 軟磁性金属複合体
110 軟磁性金属粉末
120 絶縁層
130 セラミックナノパウダー
131 フェライトナノパウダー
140 高分子樹脂
図1
図2
図3