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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-9295(P2016-9295A)
(43)【公開日】2016年1月18日
(54)【発明の名称】現金処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20151215BHJP
【FI】
   G07D9/00 456Z
   G07D9/00 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-129014(P2014-129014)
(22)【出願日】2014年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】戸村 喜代貴
【テーマコード(参考)】
3E040
【Fターム(参考)】
3E040BA06
3E040BA09
3E040CA06
3E040FG11
3E040FL10
(57)【要約】
【課題】コスト増を抑制しつつ業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる現金処理システムの提供。
【解決手段】窓口操作員により操作される窓口操作機11と、入金紙幣を金種別に収納するとともに当該収納した収納紙幣を払い出す紙幣収納部を有する現金処理機12と、を備えた現金処理システム10であって、窓口操作機11の入力手段15の周辺での指先Fの動きを検出するモーションセンサ13と、モーションセンサ13の検出結果から取引を予測して当該取引に対応する準備動作を紙幣収納部に実行させる制御手段とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓口操作員により操作される窓口操作機と、
入金紙幣を金種別に収納するとともに当該収納した収納紙幣を払い出す紙幣収納部を有する現金処理機と、を備えた現金処理システムであって、
前記窓口操作機の入力手段の周辺での指先の動きを検出するモーションセンサと、
該モーションセンサの検出結果から取引を予測して当該取引に対応する準備動作を前記紙幣収納部に実行させる制御手段とを有することを特徴とする現金処理システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記モーションセンサの検出結果から入金取引有りを予測した場合に、入金紙幣を取り込む入金動作の準備動作を前記紙幣収納部に実行させることを特徴とする請求項1記載の現金処理システム。
【請求項3】
前記入金動作の準備動作は、入金紙幣を受け取る受取部材を上部の紙幣取込部に向けて上昇させる動作を含むことを特徴とする請求項2記載の現金処理システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記モーションセンサの検出結果から払い出し取引有りを予測した場合に、収納紙幣を払い出す払い出し動作の準備動作を前記紙幣収納部に実行させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の現金処理システム。
【請求項5】
前記払い出し動作の準備動作は、収納紙幣を支持する支持部材を上部の紙幣払出部に向けて上昇させる動作を含むことを特徴とする請求項4記載の現金処理システム。
【請求項6】
前記現金処理機は、所定時間未使用状態が続くと省電力状態となり、
前記制御手段は、前記モーションセンサの検出結果から操作の開始有りを予測すると前記現金処理機の省電力状態を解除することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の現金処理システム。
【請求項7】
前記制御手段は前記現金処理機に設けられており、
前記モーションセンサが前記現金処理機に直接接続されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の現金処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金の入出金が可能な現金処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務効率向上ならびに顧客サービス向上等の観点から、現金処理システムにおいて処理に要する時間を短縮する要望がある。例えば、分別を行わない回収時に紙幣の繰り出しの間隔を、分別を行う場合と比べて短くして回収の処理時間を短縮して業務効率向上を図るものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−54223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現金処理システムにおいては、所定のキー操作入力が行われることによって、入金貨幣を金種別に収納する入金モードを実行するようになっており、所定のキー操作入力が行われることによって、収納している収納貨幣を払い出す払い出しモードを実行するようになっている。
【0005】
ところで、特に、入金紙幣を金種別に収納するとともにこのように収納した収納紙幣を出金用として払い出す還流式の現金処理機を用いたシステムでは、実際に入金紙幣を受け入れ可能な状態となるまでに時間を要する場合があり、あるいは、実際に収納紙幣を払い出し可能な状態となるまでに時間を要する場合がある。よって、これらを改善することにより業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる。しかしながら、システムの大幅な変更はコスト増となってしまうことから好ましくない。
【0006】
したがって、本発明は、コスト増を抑制しつつ業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる現金処理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、窓口操作員により操作される窓口操作機と、入金紙幣を金種別に収納するとともに当該収納した収納紙幣を払い出す紙幣収納部を有する現金処理機と、を備えた現金処理システムであって、前記窓口操作機の入力手段の周辺での指先の動きを検出するモーションセンサと、該モーションセンサの検出結果から取引を予測して当該取引に対応する準備動作を前記紙幣収納部に実行させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記制御手段は、前記モーションセンサの検出結果から入金取引有りを予測した場合に、入金紙幣を取り込む入金動作の準備動作を前記紙幣収納部に実行させることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記入金動作の準備動作は、入金紙幣を受け取る受取部材を上部の紙幣取込部に向けて上昇させる動作を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記モーションセンサの検出結果から払い出し取引有りを予測した場合に、収納紙幣を払い出す払い出し動作の準備動作を前記紙幣収納部に実行させることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記払い出し動作の準備動作は、収納紙幣を支持する支持部材を上部の紙幣払出部に向けて上昇させる動作を含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれか一項に係る発明において、前記現金処理機は、所定時間未使用状態が続くと省電力状態となり、前記制御手段は、前記モーションセンサの検出結果から操作の開始有りを予測すると前記現金処理機の省電力状態を解除することを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1から6のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は前記現金処理機に設けられており、前記モーションセンサが前記現金処理機に直接接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、窓口操作機の入力手段の周辺での指先の動きを検出するモーションセンサの検出結果から、制御手段が取引を予測してこの取引に対応する準備動作を紙幣収納部に実行させる。これにより、所定のキー操作入力が行われる前に、予測した取引に対応する準備動作を紙幣収納部に開始させることができるため、取引の時間を短縮することができる。したがって、業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる。加えて、窓口操作機の入力手段の周辺での指先の動きをモーションセンサによって間接的に検出して取引を予測することから窓口操作機側の変更を要することなく、現金処理機側の変更のみで対応可能となる。したがって、コスト増を抑制することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、モーションセンサの検出結果から入金取引有りを予測した場合に、制御手段が、入金紙幣を取り込む入金動作の準備動作を紙幣収納部に実行させる。これにより、入金取引有りを判断できる所定のキー操作入力を待たずに、入金紙幣を取り込む入金動作の準備動作を紙幣収納部に開始させることができる。したがって、入金取引の処理時間を短縮することができ、入金取引を行う際の業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、モーションセンサの検出結果から入金取引有りを予測した場合に、制御手段が、紙幣収納部において入金紙幣を受け取る受取部材を上部の紙幣取込部に向けて上昇させる。したがって、入金取引の処理時間を確実に短縮することができ、入金取引を行う際の業務効率向上ならびに顧客サービス向上を確実に図ることができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、モーションセンサの検出結果から払い出し取引有りを予測した場合に、制御手段が、収納紙幣を払い出す払い出し動作の準備動作を紙幣収納部に実行させる。これにより、払い出し取引有りを判断できる所定のキー操作入力を待たずに、収納紙幣を払い出す払い出し動作の準備動作を紙幣収納部に開始させることができる。したがって、払い出し取引の処理時間を短縮することができ、払い出し取引を行う際の業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、モーションセンサの検出結果から払い出し取引有りを予測した場合に、制御手段が、紙幣収納部において収納紙幣を支持する支持部材を上部の紙幣払出部に向けて上昇させる。したがって、払い出し取引の処理時間を確実に短縮することができ、払い出し取引を行う際の業務効率向上ならびに顧客サービス向上を確実に図ることができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、制御手段が、モーションセンサの検出結果から操作の開始有りを予測すると現金処理機の省電力状態を解除するため、所定のキー操作入力を待たずに、省電力状態にある現金処理機を動作可能な状態とすることができる。したがって、この点からも業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、制御手段を有する現金処理機にモーションセンサが直接接続されていることから、窓口操作機を介することなく、モーションセンサの検出結果から制御手段が取引を予測してこの取引に対応する準備動作を紙幣収納部に実行させることができる。したがって、コスト増を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る現金処理システムを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る現金処理システム全体の制御系ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る現金処理システムの紙幣処理装置部を概略的に示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る現金処理システムの紙幣収納部を示す正面図であって、待機状態を示すものである。
図5】本発明の一実施形態に係る現金処理システムの紙幣収納部を示す正面図であって、(a)は入金動作の準備動作を示すものであり、(b)は入金動作の本動作の第1段階を示すものである。
図6】本発明の一実施形態に係る現金処理システムの紙幣収納部を示す正面図であって、(a)は入金動作の本動作の第2段階を示すものであり、(b)は入金動作の本動作の第3段階を示すものである。
図7】本発明の一実施形態に係る現金処理システムの紙幣収納部を示す正面図であって、(a)は入金動作の本動作の第4段階および払い出し動作の本動作の第2段階を示すものであり、(b)は入金動作の本動作の第5段階および払い出し動作の本動作の第3段階を示すものである。
図8】本発明の一実施形態に係る現金処理システムの紙幣収納部を示す正面図であって、(a)は入金動作の本動作の第6段階および払い出し動作の本動作の第4段階を示すものであり、(b)は入金動作の本動作の第7段階および払い出し動作の本動作の第5段階を示すものである。
図9】本発明の一実施形態に係る現金処理システムの紙幣収納部を示す正面図であって、返却動作の準備動作を示すものである。
図10】本発明の一実施形態に係る現金処理システムの紙幣収納部を示す正面図であって、(a)は払い出し動作の準備動作を示すものであり、(b)は払い出し動作の本動作の第1段階を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る現金処理システムを図面を参照して以下に説明する。本実施形態の現金処理システムは、金融機関の窓口に設置されて窓口操作員(テラー)によって使用される窓口システムである。
【0023】
本実施形態の現金処理システム10は、図1に示すように、窓口操作機11と、窓口操作機11にネットワークを介して接続される現金処理機12と、現金処理機12に直接接続されるモーションセンサ13とを備えている。
【0024】
窓口操作機11は、窓口操作員により操作されるパーソナルコンピュータからなるもので、窓口操作員により操作入力が行われるキーボード等からなる端末操作部15(入力手段)と、窓口操作員に対し表示を行う液晶モニタ等からなる端末表示部16と、端末操作部15からの信号に基づいて、端末表示部16の表示画面を制御し入金指示信号および出金指示信号等を現金処理機12に送信する端末本体17とを有している。端末本体17は、各部を制御する図2に示す端末制御部18と端末記憶部19とを備えている。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の現金処理機12には、窓口操作員により操作入力が行われる処理機操作部25と、窓口操作員に対し表示を行う液晶モニタ等からなる処理機表示部26とが上面に設けられている。これら処理機操作部25および処理機表示部26は、現金処理機12の各部を制御する図2に示す処理機制御部27(制御手段)に接続されており、処理機制御部27には処理機記憶部28が接続されている。
【0026】
図1に示すように、現金処理機12の上面には、機外から入金硬貨が投入される硬貨入金口30が設けられている。硬貨入金口30は、待機状態である閉状態から開状態になることで、機外から一括投入される硬貨を受け入れることになり、また、受け入れた硬貨を、閉状態となってから一枚ずつ分離して機内へ繰り出す。
【0027】
現金処理機12には、高さ方向の中央よりも上部側に機体の前面から後方に凹む凹部32が設けられており、この凹部32には受皿33が挿入可能となっている。凹部32の天井面には、凹部32内に挿入された受皿33内に機内から硬貨を放出する図示略の硬貨放出口が設けられている。また、現金処理機12には、凹部32の側方に、硬貨が機外に取り出し可能に繰り出される硬貨入金リジェクト口36が設けられている。
【0028】
現金処理機12は、その上面と凹部32との間の部分が、硬貨入金口30、図示略の硬貨放出口および硬貨入金リジェクト口36を含む硬貨処理装置部40となっている。この硬貨処理装置部40は、入金取引時には、硬貨入金口30に投入された入金硬貨を硬貨入金口30から繰り出し識別しつつ計数して、識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された入金硬貨を金種別に一時貯留する一方、受け入れ不可と識別された硬貨を上記した硬貨入金リジェクト口36に排出する。
【0029】
硬貨処理装置部40は、入金硬貨を一時貯留した状態で、キャンセル操作が入力されると、一時貯留した入金硬貨を上記した図示略の硬貨放出口から受皿33に放出させる一方、承認操作が入力されると、一時貯留した入金硬貨を金種別に収納する。また、硬貨処理装置部40は、このように金種別に収納した収納硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ上記した図示略の硬貨放出口から受皿33に放出させる。
【0030】
現金処理機12は、凹部32よりも下側が機体前方に突出している。この突出部分の上面には、機体後側に、機外から入金紙幣が投入される紙幣入金口50が設けられており、紙幣入金口50よりも機体前側に、紙幣が機外に取り出し可能に繰り出される紙幣出金口51が設けられている。
【0031】
紙幣入金口50には、これを開閉する入金口シャッタ52と入金口シャッタ52を開閉作動させる図3に示す入金口シャッタ駆動部53とが設けられている。図1に示すように、入金口シャッタ52は閉状態を待機状態としており、この閉状態から開状態になることで、紙幣入金口50が機外から集積状態で一括投入される紙幣を受け入れることになる。また、紙幣入金口50は、受け入れた紙幣を、入金口シャッタ52が閉状態になってから一枚ずつ分離して機内へ繰り出す。
【0032】
紙幣出金口51には、これを開閉する出金口シャッタ55と出金口シャッタ55を開閉作動させる図3に示す出金口シャッタ駆動部56とが設けられている。図1に示すように、出金口シャッタ55は閉状態を待機状態としており、この閉状態にあるとき、一枚ずつ機内で搬送されてきた紙幣を集積させることになる。また、紙幣出金口51は、出金口シャッタ55が開状態になると集積状態の紙幣が機外に取り出し可能となる。
【0033】
現金処理機12は、凹部32よりも下側の部分が、紙幣入金口50および紙幣出金口51を含む紙幣処理装置部60となっている。
【0034】
図3に示すように、紙幣処理装置部60は、上記した紙幣入金口50と、紙幣入金口50から繰り出された紙幣を識別しつつ計数する紙幣入金識別部61と、紙幣入金識別部61の識別結果に基づいて紙幣を複数の方向に振り分ける紙幣入金振分部62と、紙幣入金識別部61で受け入れ可能と識別されて紙幣入金振分部62で金種別に振り分けられた紙幣を取り込む金種別の紙幣収納部63,63,…とを有している。
【0035】
紙幣収納部63,63,…は、それぞれ、取り込んだ対応する金種の入金紙幣を一時貯留させるとともに、一時貯留させた入金紙幣をキャンセル操作が入力されると払い出す一方、承認操作が入力されると収納する。このとき、紙幣収納部63,63,…から払い出された入金紙幣は、紙幣出金口51に搬送される。また、紙幣収納部63,63,…は、それぞれ、収納している収納紙幣を計数しつつ払い出すようになっている。
【0036】
紙幣処理装置部60は、紙幣収納部63,63,…から払い出された収納紙幣を、計数しつつ重送や斜行等の異常搬送を検出する紙幣出金識別部65と、紙幣出金識別部65で識別後の紙幣をその識別結果に基づいて振り分ける紙幣出金振分部66とを有している。紙幣出金振分部66は、紙幣を、紙幣出金口51と紙幣機内リジェクト部67とに振り分ける。
【0037】
紙幣収納部63,63,…は、上記したように、紙幣入金識別部61の識別結果に基づいて紙幣入金振分部62で金種別に振り分けられた入金紙幣を金種別に収納するとともに当該収納した収納紙幣を払い出す還流式の紙幣収納部である。つまり、紙幣収納部63,63,…は、それぞれが、対応する一金種の紙幣を払い出し可能に収納する。
【0038】
次に、図4を主に参照して、紙幣収納部63を説明する。紙幣収納部63は、受け入れた紙幣Sを上下方向に集積させた状態で収容する受入空間70を内側に形成する角筒状の周囲壁部71と、周囲壁部71の上部に配置されて受入空間70とそれよりも上側の空間とを区画する天井部72とを有している。
【0039】
また、紙幣収納部63は、上部に、紙幣入金振分部62(図3参照)から搬送されてきた紙幣Sを受入空間70に取り込むとともに、受入空間70に収納している紙幣Sを紙幣出金識別部65(図3参照)に向けて払い出す取込操出部75(紙幣取込部,紙幣払出部)を有している。この取込操出部75は、ローラ駆動部76(図3参照)と、ローラ駆動部76の駆動で正逆回転するメインローラ77と、メインローラ77の下側に配置されてメインローラ77が下部を受入空間70に向けて移動させるように正回転するときメインローラ77と連れ回りする一方、メインローラ77が逆回転するとき停止状態に維持されるサブローラ78と、天井部72から下方に突出してメインローラ77が逆回転するときメインローラ77と同方向に回転する蹴出ローラ79と、受入空間70に取り込む紙幣Sを案内する集積ガイド80とを有している。
【0040】
取込操出部75は、紙幣入金振分部62(図3参照)から搬送されてきた紙幣Sを受入空間70に取り込む際には、メインローラ77が正回転することになり、メインローラ77とサブローラ78とで紙幣Sを挟んで受入空間70に取り込む。集積ガイド80は、メインローラ77側に設けられた支持軸81で揺動可能に支持されており、図示略のストッパに当接してメインローラ77およびサブローラ78による紙幣Sの繰り出し方向に対して前下がりの状態となる。これにより、メインローラ77とサブローラ78とで受入空間70に取り込まれる紙幣Sは前下がりに傾斜して受入空間70内に放出され、周囲壁部71に当接して下方に移動する。集積ガイド80は、下方から押し上げられると、支持軸81を中心に揺動して蹴出ローラ79よりも上側に移動する。
【0041】
また、取込操出部75は、受入空間70内に上下に集積された紙幣Sを紙幣出金識別部65(図3参照)に向けて繰り出すときには、メインローラ77が逆回転することになり、これと同期回転する蹴出ローラ79が受入空間70の最上位置の紙幣Sをメインローラ77に向けて蹴り出し、停止するサブローラ78で最上位置の紙幣Sよりも下側の紙幣Sを停止させながらメインローラ77が周方向に部分的に配置された図示略の高摩擦部で最上位置の紙幣Sを一枚ずつ間隔をあけて繰り出す。
【0042】
また、紙幣収納部63は、天井部72を越えて昇降可能なプッシャ85と、このプッシャ85を昇降させるプッシャ駆動部86(図3参照)とを有している。プッシャ85は、天井部72と高さが合う位置が昇降の上限位置(図4に示す位置)となっており、この上限位置が待機位置となっている。
【0043】
紙幣収納部63は、天井部72よりも下側にあって受入空間70に対し進退可能な一対のフラップ91,91と、一対のフラップ91,91を開閉させるフラップ駆動部92(図3参照)とを有している。一対のフラップ91,91は、それぞれ支持軸93,93を中心に回転することで、受入空間70内に押さえ部94,94を進入させる閉状態(図4に示す状態)と、受入空間70から押さえ部94,94を退避させる開状態(図6に示す状態)とに切り替わる。一対のフラップ91,91は、閉状態が待機状態となっている。ここで、一対のフラップ91,91は、閉状態にあるとき押さえ部94,94を水平に配置しており、上記したプッシャ85は、このように閉状態にある一対のフラップ91,91の押さえ部94,94よりも下側位置が昇降の下限位置となっている。プッシャ85は、閉状態にある一対のフラップ91,91を越えて昇降可能となっている。
【0044】
また、紙幣収納部63は、閉状態にある一対のフラップ91,91の上方のこれらフラップ91,91の動作に干渉しない位置を下限位置(図4に示す位置)として受入空間70内を昇降可能な収納部内シャッタ101(受取部材)と、収納部内シャッタ101を移動させる収納部内シャッタ駆動部102(図3参照)とを有している。収納部内シャッタ101は、蹴出ローラ79に接触する位置を昇降の上限位置としている。収納部内シャッタ101は、受入空間70内の下限位置から水平移動可能して受入空間70外の退避位置(図6(b)に示す位置)に退避可能となっている。この収納部内シャッタ101は、受入空間70内の下限位置が待機位置となっている。また、上限位置と下限位置との間の上限位置に寄った位置が取り込んだ入金紙幣Sの受け取りを開始する取込開始位置(図5(a)に示す位置)となっている。
【0045】
紙幣収納部63は、受入空間70内を昇降可能なリフト105(支持部材)と、リフト105を昇降させるリフト駆動部106(図3参照)とを有している。リフト105は、取込操出部75の蹴出ローラ79に接触する位置が昇降の上限位置となっており、閉状態にある一対のフラップ91,91の押さえ部94,94よりも下側位置が昇降の下限位置(図7に示す位置)となっている。リフト105は、閉状態にある一対のフラップ91,91の押さえ部94,94に干渉するため、押さえ部94,94を越えて昇降する場合は、一対のフラップ91,91を開状態にしてから昇降する。同様に、リフト105は、受入空間70内にある収納部内シャッタ101に干渉するため、収納部内シャッタ101を越えて昇降する場合は、収納部内シャッタ101を退避位置に退避させてから昇降する。
【0046】
紙幣収納部63は、図4に示すように、プッシャ85が上限位置にあり、一対のフラップ91,91が閉状態にあり、収納部内シャッタ101が受入空間70内にあって下限位置にあり、リフト105が、閉状態にある一対のフラップ91,91の押さえ部94,94とで収納紙幣Sを挟持している状態が待機状態となっている。
【0047】
図1に示すように、モーションセンサ13は、窓口操作機11の端末操作部15の周辺である端末操作部15上の所定の検出可能空間A(図1にそのイメージを破線で示す)内での指先Fの3次元空間座標を検出し、その結果、窓口操作員の指先Fの動きを検出する。現金処理機12の図2に示す処理機制御部27は、このモーションセンサ13の検出結果が窓口操作機11を介さず入力されることになり、この検出結果から、検出時点よりも後に実行されるであろう取引を予測して当該取引に対応する準備動作を紙幣収納部63,63,…に実行させる。以下、一つの紙幣収納部63を例にとって各取引での紙幣処理装置部60についての制御内容について説明する。
【0048】
「入金取引」
入金取引に際して、窓口操作員は、窓口操作機11に、伝票に記載された取引内容の入力を行うことになり、その際に窓口操作機11の端末操作部15に入力操作を行う。この取引内容としては、例えば、入金する口座番号、入金金額等である。そして、入金取引の取引内容の入力の最終的な確定操作として端末操作部15の図2に示す送信キー15aを押下する。すると、端末制御部18が、端末記憶部19にこの取引内容を記憶するとともに、入金取引の取引内容の入力が完了した旨と、その取引内容とを店舗内サーバおよび現金処理機12の処理機制御部27へ送信する。処理機制御部27は、入金取引の取引内容の入力が完了した旨と、その取引内容とを受信すると、現金処理機12において当該入金取引に関連する入金処理が行われていなければ入金処理を行い、紙幣Sの入金がある場合には紙幣収納部63に入金紙幣Sを取り込む入金動作を行う。
【0049】
他方で、窓口操作機11への取引内容の入力開始後、完了前に、取引内容の入力(言い換えれば、窓口操作機11の端末操作部15による入力操作の受付)と並行して現金処理機12により入金処理を行い、紙幣Sの入金がある場合には紙幣収納部63に入金紙幣Sを取り込む入金動作を行うこともできる。
【0050】
あるいは、窓口操作機11への取引内容の入力開始前に、現金処理機12により入金処理を行い、紙幣Sの入金がある場合には紙幣収納部63に入金紙幣Sを取り込む入金動作を行うとともに、これと並行して、あるいは入金処理後に、取引内容の入力(言い換えれば、窓口操作機11の端末操作部15による入力操作の受付)を行うこともできる。
【0051】
モーションセンサ13は、常時、つまり窓口操作機11への入金取引の取引内容の入力の前から、窓口操作機11の端末操作部15の周辺である端末操作部15上の所定の検出可能空間A内での窓口操作員の指先Fの動きを検出している。処理機制御部27は、モーションセンサ13による指先Fの動きの検出結果から、入金取引有りを予測した場合に、入金紙幣Sを取り込む入金動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。
【0052】
「取引内容の入力開始後、完了前または完了後に入金処理を開始させる場合」
窓口操作機11への取引内容の入力開始後、完了前に、取引内容の入力と並行して現金処理機12により入金処理を開始させる場合と、取引内容の入力完了後に入金処理を開始させる場合とについては、まず、窓口操作機11にて取引内容の入力が開始される。窓口操作機11への取引内容の入力開始時点から、例えば、端末操作部15のうち入金取引特有で使用される入金取引特有キー15dが、指先Fにより押圧されたことをモーションセンサ13により検出すると、処理機制御部27は、入金取引有りと予測し、入金紙幣Sを取り込む入金動作の準備動作として、収納部内シャッタ駆動部102を駆動して、図5(a)に示すように、収納部内シャッタ101を取込開始位置まで上昇させる動作を紙幣収納部63に実行させる。よって、入金動作の準備動作は、入金紙幣Sを受け取る収納部内シャッタ101をそれよりも上部位置にある取込操出部75に向けて上昇させる動作を含んでいる。その際に、窓口操作機11への取引内容の入力(言い換えれば、窓口操作機11の端末操作部15による入力操作の受付)が行われていても、これと並行して入金動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。ここで、入金取引特有キー15dは複数あり、その中の一つあるいは適宜の複数が、指先Fにより押圧されたことをモーションセンサ13により検出すると、処理機制御部27は、入金取引有りと予測する。
【0053】
窓口操作機11への取引内容の入力開始後に、現金処理機12により入金処理を開始させる場合、窓口操作員は、取引内容の入力中に、入力を中断しまたは入力を行いながら、あるいは、取引内容の入力後に、例えば、入金動作を開始させる際に端末操作部15にて押圧される計数開始キー15eまたは占有キー15f(図2参照)、あるいは現金処理機12の処理機操作部25に設けられた入金キー25aを押下する。すると、処理機制御部27は、紙幣処理装置部60については入金口シャッタ駆動部53で入金口シャッタ52を開く。入金口シャッタ52が開かれると、窓口操作員は、紙幣入金口50内に紙幣Sを投入し、現金処理機12の処理機操作部25に設けられたスタートキー25b(図2参照)を押下する。すると、処理機制御部27は、入金口シャッタ駆動部53で入金口シャッタ52を閉じるとともに、収納部内シャッタ101が、図5(a)に示すように取込開始位置まで上昇しているか否かを確認する。ここで、占有キー15fは、これが設けられた窓口操作機11に現金処理機12を占有する状態に切り替える際に押圧操作されるものである。
【0054】
収納部内シャッタ101が、上記した入金動作の準備動作により取込開始位置まで上昇していれば、処理機制御部27は、即座に紙幣収納部63に以下の入金動作の本動作を実行させる。また、収納部内シャッタ101が取込開始位置まで上昇していないものの、上記した入金動作の準備動作により上昇中である場合に、処理機制御部27は、収納部内シャッタ101が取込開始位置まで上昇するのを待機し、取込開始位置まで上昇すると即座に紙幣収納部63に以下の入金動作の本動作を実行させる。また、収納部内シャッタ101が待機位置で停止している場合に、処理機制御部27は、上記の入金動作の準備動作を行わせて収納部内シャッタ101が取込開始位置まで上昇するのを待機し、取込開始位置まで上昇すると即座に紙幣収納部63に以下の入金動作の本動作を実行させる。
【0055】
紙幣収納部63の入金動作の本動作に合わせて、処理機制御部27は、紙幣入金口50から入金紙幣Sの繰り出しを開始させる。紙幣入金口50から繰り出された入金紙幣Sは、紙幣入金識別部61で識別されるとともに計数され、受け入れ可能と識別された入金紙幣Sが、紙幣収納部63に搬送される。紙幣収納部63の入金動作の本動作では、処理機制御部27が、ローラ駆動部76でメインローラ77を正回転させる。すると、紙幣入金口50から繰り出され紙幣入金識別部61で受け入れ可能と識別された入金紙幣Sが、メインローラ77とサブローラ78とで受入空間70に取り込まれ、図5(b)に示すように、収納部内シャッタ101の上に集積される。処理機制御部27は、受入空間70に取り込んだ入金紙幣Sの枚数に応じて収納部内シャッタ駆動部102を駆動して収納部内シャッタ101を下降させる。
【0056】
紙幣処理装置部60への入金紙幣Sの取り込みが完了すると、処理機制御部27は、紙幣入金識別部61の識別結果を端末制御部18に送信する。すると、端末制御部18は、取引内容の入力が完了しているか否かと硬貨処理装置部40の同様の識別結果を受信しているか否かとを確認する。取引内容の入力が完了しており、硬貨処理装置部40の識別結果を受信していれば、端末制御部18が、即座に、紙幣処理装置部60の紙幣入金識別部61の識別結果と、硬貨処理装置部40の同様の識別結果とを端末表示部16に表示させる。取引内容の入力が完了していなければ完了するまで待機する。また、硬貨処理装置部40の識別結果を受信していなければ受信するまで待機する。取引内容の入力の完了と硬貨処理装置部40の識別結果の受信完了とを確認すると、端末制御部18は、紙幣処理装置部60の紙幣入金識別部61の識別結果と、硬貨処理装置部40の識別結果とを端末表示部16に表示させる。
【0057】
この間も、モーションセンサ13は、窓口操作機11の端末操作部15の周辺である端末操作部15上の所定の検出可能空間A内での窓口操作員の指先Fの動きを検出している。処理機制御部27は、モーションセンサ13による指先Fの動きの検出結果から、入金承認有りを予測した場合に、入金紙幣Sを収納する収納動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。
【0058】
例えば、端末操作部15の承認キー15c(図2参照)の方向に指先Fが向かい指先Fが承認キー15cに所定の距離まで近づいたと判断すると、処理機制御部27は、入金承認有りと予測し、紙幣収納部63に入金紙幣Sを収納させる収納動作の準備動作として、収納部内シャッタ駆動部102を駆動して、図6(a)に示すように、収納部内シャッタ101を受入空間70内の下限位置まで下降させるとともに、フラップ駆動部92を駆動して一対のフラップ91,91を開状態とする。ここで、モーションセンサ13が検出する指先Fの動きからは入金承認有りを予測できない状態であっても、後述のように窓口操作機11の端末操作部15に設けられた承認キー15cが押下されると、処理機制御部27は、収納動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。
【0059】
他方、処理機制御部27は、モーションセンサ13による指先Fの動きの検出結果から、入金キャンセル有りを予測した場合に、入金紙幣Sを繰り出す入金キャンセル動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。
【0060】
例えば、端末操作部15のキャンセルキー15b(図2参照)の方向に指先Fが向かい指先Fがキャンセルキー15bに所定の距離まで近づいたと判断すると、処理機制御部27は、入金キャンセル有りと予測し、紙幣収納部63に入金紙幣Sを繰り出させるキャンセル動作の準備動作として、収納部内シャッタ駆動部102を駆動して、図9に示すように、収納部内シャッタ101を、その上に集積されている入金紙幣Sの最上位置のものを蹴出ローラ79に接触させる繰出位置(紙幣量により異なる)まで上昇させる。ここで、モーションセンサ13が検出する指先Fの動きからは入金キャンセル有りを予測できていない状態であっても、後述のように窓口操作機11の端末操作部15に設けられたキャンセルキー15bが押下されると、処理機制御部27は、キャンセル動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。
【0061】
上記の識別結果の表示を見て、窓口操作員が端末操作部15の承認キー15cを押下すると、端末制御部18は、その旨の信号を処理機制御部27に送信する。すると、処理機制御部27は、フラップ駆動部92で、図6(a)に示すように、一対のフラップ91,91が開状態にあり且つ収納部内シャッタ101が受入空間70内の下限位置にあるか、否かを判断する。上記した収納動作の準備動作によって収納部内シャッタ101が受入空間70内の下限位置まで下降していれば、処理機制御部27は、即座に収納部内シャッタ駆動部102で、図6(b)に示すように収納部内シャッタ101を退避位置まで水平移動させるとともにプッシャ駆動部86でプッシャ85を下降させる。また、収納部内シャッタ101が受入空間70内の下限位置まで下降していないものの上記した収納動作の準備動作によって下降中である場合に、処理機制御部27は、収納部内シャッタ101が下限位置に下降するまで待機し、収納部内シャッタ101が下限位置まで下降するとそのままこれを退避位置まで水平移動させるとともにプッシャ駆動部86でプッシャ85を下降させる。さらに、収納部内シャッタ101が下限位置になく且つ下降中になければ、処理機制御部27は、フラップ駆動部92を駆動してフラップ91,91を開状態にするとともに、収納部内シャッタ駆動部102を駆動して収納部内シャッタ101を下限位置まで下降させた後、退避位置まで水平移動させる。
【0062】
図6(b)に示すように収納部内シャッタ101が退避位置まで水平移動すると、収納部内シャッタ101上の紙幣Sは、周囲壁部71で受入空間70内にとどまり、リフト105上のすでに収納されている紙幣Sの上に搭載される。処理機制御部27は、収納部内シャッタ101の退避位置への水平移動後、プッシャ駆動部86およびリフト駆動部106で、図7(a)に示すようにプッシャ85およびリフト105を、紙幣Sを挟持しながら下降させてリフト105を下限位置まで移動させる。
【0063】
その後、処理機制御部27は、フラップ駆動部92で、図7(b)に示すようにフラップ91,91を閉状態にした後、プッシャ駆動部86およびリフト駆動部106で、図8(a)に示すようにプッシャ85およびリフト105を、紙幣Sを挟持しながら上昇させて、一対のフラップ91,91の押さえ部94,94とリフト105とで収納紙幣Sを挟持させる。この挟持後もプッシャ85についてはそのまま上限位置まで上昇させることになり、処理機制御部27は、プッシャ85が収納部内シャッタ101よりも上側に位置すると、収納部内シャッタ駆動部102で図8(b)に示すように収納部内シャッタ101を水平移動させて受入空間70内の下限位置に戻して、入金取引を終了する。入金取引の終了までに要する時間が、上記のように入金動作の準備動作の開始、収納動作の準備動作の開始を早めることによって短縮可能となる。
【0064】
他方、上記の識別結果の表示を見て、窓口操作員が端末操作部15のキャンセルキー15b(図2参照)を押下すると、端末制御部18は、その旨の信号を処理機制御部27に送信する。すると、処理機制御部27は、図9に示すように収納部内シャッタ101が入金紙幣Sを蹴出ローラ79に接触させる繰出位置にあるか否かを判断する。処理機制御部27は、収納部内シャッタ101が、上記したキャンセル動作の準備動作によって繰出位置まで上昇していれば、即座にローラ駆動部76でメインローラ77を逆回転させる。また、処理機制御部27は、収納部内シャッタ101が繰出位置まで上昇していないものの上記したキャンセル動作の準備動作によって上昇中である場合には繰出位置に上昇するまで待機し、繰出位置まで上昇すると即座にローラ駆動部76でメインローラ77を逆回転させる。さらに、処理機制御部27は、収納部内シャッタ101が繰出位置になく且つ上昇中になければ、収納部内シャッタ駆動部102を駆動して収納部内シャッタ101を上昇させ、収納部内シャッタ101が繰出位置まで上昇すると即座にローラ駆動部76でメインローラ77を逆回転させる。
【0065】
ローラ駆動部76でメインローラ77を逆回転させると、蹴出ローラ79が入金紙幣Sを蹴り出し、メインローラ77およびサブローラ78が入金紙幣Sを最上位置のものから一枚ずつ分離して紙幣出金識別部65に向け払い出す。払い出された入金紙幣Sは、紙幣出金識別部65を通過後に紙幣出金振分部66ですべて紙幣出金口51に搬送される。
【0066】
収納部内シャッタ101上の紙幣Sがすべて紙幣収納部63から繰り出され、すべての入金紙幣Sが紙幣出金口51に搬送されると、処理機制御部27は出金口シャッタ駆動部56を駆動して紙幣出金口51の出金口シャッタ55を開く。これにより、紙幣出金口51から入金紙幣Sが取り出されて返却される。
【0067】
上記のように収納部内シャッタ101上の紙幣Sがすべて紙幣収納部63から繰り出されると、処理機制御部27は、収納部内シャッタ駆動部102で収納部内シャッタ101を図4に示すように受入空間70内の下限位置に戻して、入金取引を終了する。この入金取引の終了までに要する時間が、上記した入金動作の準備動作の開始およびキャンセル動作の準備動作の開始を早めることによって短縮可能となる。
【0068】
「取引内容の入力開始前に入金処理を開始させる場合」
窓口操作機11への取引内容の入力開始前に、現金処理機12により入金処理を開始させる場合であっても、モーションセンサ13は、窓口操作機11の端末操作部15の周辺での窓口操作員の指先Fの動きを検出している。モーションセンサ13による指先Fの動きの検出結果から、処理機制御部27は、入金取引有りを予測した場合に、入金紙幣Sを取り込む入金動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。
【0069】
例えば、入金動作を開始させる際に、端末操作部15にて押圧される計数開始キー15eまたは占有キー15f(図2参照)の方向に指先Fが向かい指先Fが計数開始キー15eまたは占有キー15fに所定の距離まで近づいたと判断すると、処理機制御部27は、入金取引有りと予測し、紙幣収納部63に入金紙幣Sを取り込む入金動作の準備動作として、収納部内シャッタ駆動部102を駆動して、図5(a)に示すように収納部内シャッタ101を取込開始位置まで上昇させる動作を実行させる。ここで、入金動作の準備動作開始後に、窓口操作機11への取引内容の入力(言い換えれば、窓口操作機11の端末操作部15による入力操作の受付)が行われても、処理機制御部27は、これと並行して入金動作の準備動作を紙幣収納部63に続けさせる。この場合も、モーションセンサ13が検出する指先Fの動きからは入金取引有りを予測できていない状態で、後述のように現金処理機12の処理機操作部25に設けられた入金キー25aが押下されると、処理機制御部27は、入金動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。
【0070】
窓口操作機11への取引内容の入力開始前に、現金処理機12により入金処理を開始させる場合、窓口操作員は、端末操作部15の計数開始キー15eまたは占有キー15f、あるいは現金処理機12の処理機操作部25に設けられた入金キー25aを押下する。すると、処理機制御部27は、入金口シャッタ駆動部53で入金口シャッタ52を開く。入金口シャッタ52が開かれると、窓口操作員は、紙幣入金口50内に紙幣Sを投入し、現金処理機12の処理機操作部25に設けられたスタートキー25bを押下する。すると、処理機制御部27は、入金口シャッタ駆動部53で入金口シャッタ52を閉じるとともに、収納部内シャッタ101が、図5(a)に示すように取込開始位置まで上昇しているか否かを確認する。
【0071】
収納部内シャッタ101が、入金動作の準備動作によって取込開始位置まで上昇していれば、処理機制御部27は、即座に紙幣収納部63に入金動作の本動作を実行させる。また、収納部内シャッタ101が取込開始位置まで上昇していないものの、入金動作の準備動作によって上昇中である場合に、処理機制御部27は、収納部内シャッタ101が取込開始位置まで上昇するのを待機し、取込開始位置まで上昇すると即座に紙幣収納部63に入金動作の本動作を実行させる。また、収納部内シャッタ101が待機位置で停止している場合に、処理機操作部25は、上記の入金動作の準備動作を行わせて収納部内シャッタ101が取込開始位置まで上昇するのを待機し、取込開始位置まで上昇すると即座に紙幣収納部63に入金動作の本動作を実行させる。なお、窓口操作員は、現金処理機12により入金処理を行わせている最中に、窓口操作機11へ取引内容を入力する。
【0072】
紙幣収納部63の入金動作の本動作に合わせて、処理機制御部27は、紙幣入金口50から入金紙幣Sの繰り出しを開始させる。紙幣入金口50から繰り出された入金紙幣Sは、紙幣入金識別部61で識別されるとともに計数され、受け入れ可能と識別された入金紙幣Sが、紙幣収納部63に搬送される。紙幣収納部63の入金動作の本動作では、処理機制御部27が、ローラ駆動部76でメインローラ77を正回転させる。すると上記と同様に、入金紙幣Sがメインローラ77とサブローラ78とで受入空間70に取り込まれ、図5(b)に示すように収納部内シャッタ101の上に集積される。
【0073】
紙幣処理装置部60への入金紙幣Sの取り込みが完了すると、処理機制御部27は、紙幣入金識別部61の識別結果を端末制御部18に送信する。すると、端末制御部18は、取引内容の入力が完了しているか否かと硬貨処理装置部40の同様の識別結果を受信しているか否かとを確認する。取引内容の入力が完了していなければ完了するまで待機する。また、硬貨処理装置部40の識別結果を受信していなければ受信するまで待機する。
【0074】
取引内容の入力の完了と硬貨処理装置部40の識別結果の受信完了とを確認すると、端末制御部18は、紙幣処理装置部60の紙幣入金識別部61の識別結果と、硬貨処理装置部40の同様の識別結果とを端末表示部16に表示させる。以後は、上述した「取引内容の入力開始後、完了前に入金処理を開始させる場合」と同様である。
【0075】
つまり、取引内容の入力開始前に入金処理を開始させる場合も、識別結果の表示以前から行われているモーションセンサ13による指先Fの動きの検出結果から、入金承認有りを予測した場合には、その時点で、図6(a)に示すように収納動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させることになり、入金キャンセル有りを予測した場合には、その時点で、図9に示すように入金キャンセル動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。
【0076】
「払い出し取引」
払い出し取引に際して、窓口操作員は、窓口操作機11に、伝票に記載された取引内容の入力を行うことになり、その際に窓口操作機11の端末操作部15に入力操作を行う。この取引内容としては、例えば、払い出しする口座番号、払い出し金額等である。そして、取引内容の入力の最終的な確定操作として端末操作部15の送信キー15aを押下する。すると、端末制御部18が、端末記憶部19にこの取引内容を記憶するとともに、払い出し取引の取引内容の入力が完了した旨と、その取引内容とを、店舗内サーバおよび現金処理機12の処理機制御部27へ送信する。
【0077】
モーションセンサ13は、払い出し取引の窓口操作機11への取引内容の入力前から、窓口操作機11の端末操作部15の周辺である端末操作部15上の所定の検出可能空間A内での窓口操作員の指先Fの動きを検出している。処理機制御部27は、モーションセンサ13による指先Fの動きの検出結果から、払い出し取引有りを予測した場合に、収納紙幣Sを払い出す払い出し動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。この場合も、払い出し動作の準備動作の開始後、窓口操作機11への取引内容の入力(言い換えれば、窓口操作機11の端末操作部15による入力操作の受付)が行われても、処理機制御部27は、これと並行して払い出し動作の準備動作を紙幣収納部63に続けさせる。
【0078】
例えば、端末操作部15のうち払い出し取引特有で使用される払出取引特有キー15gが、指先Fにより押圧されたことをモーションセンサ13により検出すると、処理機制御部27は、払い出し取引有りと予測し、紙幣収納部63から収納紙幣Sを払い出す払い出し動作の準備動作として、収納部内シャッタ駆動部102およびフラップ駆動部92を駆動して、図10(a)に示すように収納部内シャッタ101を退避位置まで水平移動させるとともにフラップ91,91を開状態とする。その後、リフト駆動部106を駆動して、図10(b)に示すようにリフト105を上昇させて、その上に集積されている入金紙幣Sの最上位置のものを蹴出ローラ79に接触させる繰出位置(紙幣量により異なる)まで上昇させる。つまり、払い出し動作の準備動作は、収納紙幣Sを支持するリフト105をそれよりも上部位置にある取込操出部75に向けて上昇させる動作を含んでいる。ここで、モーションセンサ13が検出する指先Fの動きからは払い出し取引有りを予測できていない状態であっても、後述するように窓口操作機11の端末操作部15に設けられた送信キー15aが払い出し取引の取引内容の入力完了後に押下されると、処理機制御部27は、払い出し動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。払出取引特有キー15gは複数あり、その中一つあるいは適宜の複数が、指先Fにより押圧されたことをモーションセンサ13により検出すると、処理機制御部27は、払い出し取引有りと予測する。
【0079】
窓口操作機11への払い出し取引の取引内容の入力完了後に、窓口操作員は、窓口操作機11の端末操作部15に設けられた送信キー15aを押下する。すると、処理機制御部27は、図10(b)に示すようにリフト105がその上に集積されている入金紙幣Sの最上位置のものを蹴出ローラ79に接触させる繰出位置まで上昇しているか否かを確認する。
【0080】
上記した払い出し動作の準備動作によってリフト105が繰出位置まで上昇していれば、処理機制御部27は、即座に紙幣収納部63に以下の払い出し動作の本動作を実行させる。また、リフト105が繰出位置まで上昇していないものの、払い出し動作の準備動作によって、収納部内シャッタ101が退避位置に向けて水平移動中、または、その後のリフト105の上昇中のいずれかである場合に、処理機制御部27は、リフト105が繰出位置に上昇するまで待機し、リフト105が繰出位置まで上昇すると即座に紙幣収納部63に以下の払い出し動作の本動作を実行させる。また、収納部内シャッタ101が退避位置まで水平移動中でなくリフト105が上昇中でもない場合に、処理機制御部27は、払い出し動作の準備動作を行わせて、リフト105が繰出位置に上昇するまで待機し、リフト105が繰出位置まで上昇すると即座に紙幣収納部63に以下の払い出し動作の本動作を実行させる。
【0081】
紙幣収納部63の払い出し動作の本動作では、ローラ駆動部76でメインローラ77を逆回転させる。すると、これと同期回転する蹴出ローラ79が収納紙幣Sを蹴り出し、メインローラ77およびサブローラ78が収納紙幣Sを最上位置のものから一枚ずつ分離して紙幣出金識別部65に向け払い出す。払い出された入金紙幣Sは、紙幣出金識別部65で識別され、正常に搬送されていると識別された紙幣Sが、紙幣出金振分部66によって紙幣出金口51に搬送される一方、重送や斜行等の搬送異常が発生した紙幣Sが紙幣出金振分部66によって紙幣機内リジェクト部67に搬送される。紙幣処理装置部60によって払い出し取引で払い出すべきすべての収納紙幣Sが紙幣出金口51に搬送されると、処理機制御部27は、出金口シャッタ駆動部56を駆動して紙幣出金口51の出金口シャッタ55を開く。これにより、紙幣出金口51から払い出し紙幣Sが取り出される。
【0082】
払い出し取引で払い出すべきすべての収納紙幣Sが紙幣収納部63から繰り出されると、処理機制御部27は、プッシャ駆動部86およびリフト駆動部106で、図7(a)に示すようにプッシャ85およびリフト105を、紙幣Sを挟持しながら下降させてリフト105を下限位置まで移動させる。その後、処理機制御部27は、フラップ駆動部92で、図7(b)に示すようにフラップ91,91を閉状態にした後、プッシャ駆動部86およびリフト駆動部106で、図8(a)に示すようにプッシャ85およびリフト105を、紙幣Sを挟持しながら上昇させて、一対のフラップ91,91の押さえ部94,94とリフト105とで収納紙幣Sを挟持させる。この挟持後もプッシャ85をそのまま上限位置まで上昇させることになり、その途中、プッシャ85が収納部内シャッタ101よりも上側に位置すると、処理機制御部27は、収納部内シャッタ駆動部102で図8(b)に示すように収納部内シャッタ101を水平移動させて受入空間70内の下限位置に戻す。払い出し取引の終了までに要する時間が、上記のように払い出し動作の準備動作の開始を早めることによって短縮可能となる。
【0083】
処理機制御部27は、常時、現金処理機12の未使用状態の継続時間を計時しており、所定時間未使用状態が続くと、現金処理機12を省電力状態とする。省電力状態では、例えば、処理機表示部26の液晶画面のバックライトをオフし、現金処理機12内に設けられたDCモータドライバに供給されている24V電源をオフし、現金処理機12内の搬送用駆動モータに供給されているAC電源(100V)をオフし、現金処理機12内の貨幣の走行を検知する走行センサ回路の電源をオフする。なお、省電力状態としても現金処理機12のセキュリティ上必要な監視センサ等への給電は維持する。処理機制御部27は、省電力状態中に、モーションセンサ13の検出結果から操作の開始有りを予測すると現金処理機12の省電力状態を解除して通常状態とする。通常状態では、処理機表示部26の液晶画面のバックライトをオンし、現金処理機12内に設けられたDCモータドライバへの24V電源をオンし、現金処理機12内の搬送用駆動モータへのAC電源(100V)をオンし、現金処理機12内の貨幣の走行を検知する走行センサ回路の電源をオンする。処理機制御部27は、モーションセンサ13による指先Fの動きの検出結果から、例えば、モーションセンサ13による検出可能空間A内に同一の指先Fが所定時間以上継続して存在している場合に、操作の開始有りを予測する。
【0084】
以上に述べた本実施形態の現金処理システム10によれば、処理機制御部27が、窓口操作機11の端末操作部15の周辺での指先Fの動きを検出するモーションセンサ13の検出結果から取引を予測してこの取引に対応する準備動作を紙幣収納部63に実行させる。これにより、所定のキー操作入力である送信キー15a、キャンセルキー15b、承認キー15cおよび入金キー25aの押下操作が行われる前に、予測した取引に対応する準備動作を紙幣収納部63に開始させることができるため、取引の時間を短縮することができる。したがって、業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる。
【0085】
つまり、モーションセンサ13の検出結果から入金取引有りを予測した場合に、処理機制御部27は、入金紙幣Sを取り込む入金動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。これにより、入金取引有りを判断できる所定のキー操作入力である、現金処理機12の処理機操作部25に設けられた入金キー25aの押下操作を待たずに、入金紙幣Sを取り込む入金動作の準備動作を紙幣収納部63に開始させることができる。よって、その後、現金処理機12の処理機操作部25に設けられたスタートキー25bが押下されると紙幣収納部63にて実行される入金動作の本動作の開始を早めることができる。したがって、入金取引の処理時間を短縮することができ、入金取引を行う際の業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる。
【0086】
具体的に、モーションセンサ13の検出結果から入金取引有りを予測した場合に、処理機制御部27は、紙幣収納部63の入金動作の準備動作として、入金紙幣Sを受け取る収納部内シャッタ101を上部の取込操出部75に向けて上昇させて取込開始位置に位置させる。したがって、入金取引において比較的時間を要する動作である収納部内シャッタ101の上昇動作の開始を早めるため、入金取引の処理時間を確実に短縮することができ、入金取引を行う際の業務効率向上ならびに顧客サービス向上を確実に図ることができる。
【0087】
また、モーションセンサ13の検出結果から払い出し取引有りを予測した場合に、処理機制御部27は、収納紙幣Sを払い出す払い出し動作の準備動作を紙幣収納部63に実行させる。これにより、払い出し取引有りを判断できる所定のキー操作入力である、窓口操作機11の端末操作部15に設けられた送信キー15aの押下操作を待たずに、収納紙幣Sを払い出す払い出し動作の準備動作を紙幣収納部63に開始させることができる。よって、その後、窓口操作機11の端末操作部15に設けられた送信キー15aが押下されると紙幣収納部63にて実行される払い出し動作の本動作の開始を早めることができる。したがって、払い出し取引の処理時間を短縮することができ、払い出し取引を行う際の業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる。
【0088】
具体的に、モーションセンサ13の検出結果から払い出し取引有りを予測した場合に、処理機制御部27は、紙幣収納部63の払い出し動作の準備動作として、収納部内シャッタ101を退避位置に水平移動させるとともにフラップ91,91を開作動させ、その後、収納紙幣Sを支持するリフト105を上部の取込操出部75に向けて上昇させて、収納紙幣Sの最上位置のものを蹴出ローラ79に接触させる繰出位置に位置させる。したがって、払い出し取引において比較的時間を要する動作である、収納部内シャッタ101の退避位置への水平移動およびリフト105の上昇動作の開始を早めるため、払い出し取引の処理時間を確実に短縮することができ、払い出し取引を行う際の業務効率向上ならびに顧客サービス向上を確実に図ることができる。
【0089】
加えて、窓口操作機11の端末操作部15の周辺での指先の動きを、窓口操作機11とは別に設けられたモーションセンサ13によって間接的に検出して取引を予測することから、窓口操作機11側の変更を要することなく、現金処理機12側の変更のみで対応可能となる。したがって、コスト増を抑制することができる。
【0090】
また、処理機制御部27が、モーションセンサ13の検出結果から操作の開始有りを予測すると現金処理機12の省電力状態を解除して通常状態に戻すため、所定のキー操作入力を待たずに、省電力状態にある現金処理機12を動作可能な状態とすることができる。したがって、この点からも業務効率向上ならびに顧客サービス向上を図ることができる。
【0091】
また、処理機制御部27を有する現金処理機12にモーションセンサ13が直接接続されていることから、窓口操作機11を介することなく、モーションセンサ13の検出結果から処理機制御部27が取引を予測してこの取引に対応する準備動作を現金処理機12の紙幣収納部63に実行させることができる。したがって、コスト増を抑制することができる。
【符号の説明】
【0092】
10 現金処理システム
11 窓口操作機
12 現金処理機
13 モーションセンサ
15 端末操作部(入力手段)
27 処理機制御部(制御手段)
63 紙幣収納部
75 取込操出部(紙幣取込部,紙幣払出部)
101 収納部内シャッタ(受取部材)
105 リフト(支持部材)
F 指先
S 紙幣
図1
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図10