【課題を解決するための手段】
【0048】
本発明の考察
この目標、およびさらに他の目標は、好ましくは、
− このゲルの質量に基づいて、5〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは8〜20質量%の少なくとも1つの無機増粘剤と;
− 1Lのゲルあたり0.5〜10mol、好ましくは1〜10molの少なくとも1つの活性な生物学的除染剤と;− このゲルの質量に基づいて、0.05〜5質量%、好ましくは0.05〜2質量%の少なくとも1つの高吸水性ポリマーと;
− このゲルの質量に基づいて、0.1〜2質量%の少なくとも1つの界面活性剤と;
− 残りの溶媒と;
からなる、コロイド溶液からなる、生物学的除染ゲルを用いて本発明によって達成される。
【0049】
本発明によるゲルは、先行技術には決して記載されていない。
【0050】
詳細には除染ゲルにおける高吸水性ポリマーの組み込み、さらにはこのような高吸水性ポリマーと生物学的除染剤とのこのようなゲルでの組み合わせは、とりわけ上述の文書によって提示されているとおり、先行技術には決して記載されていない。
【0051】
本発明によるゲルは、上記のすべての要件を満たしており、それらのゲルは上述の文献に記載されるような、先行技術のゲルの欠点、欠陥、限界および不利な点を持っていない。
【0052】
本発明のゲルは、先行技術の生物学的除染ゲルによって提示された問題を、これらのゲルの全ての公知の有益な特性を保持しながら、その欠点なしで解決する。
【0053】
本発明によるゲルは、コロイド溶液であり、これは、本発明によるゲルが、鉱物の、無機の、増粘剤の固体粒子(その主な要素である粒子が一般には2〜200nmの大きさを有する)を含むことを意味する。
【0054】
有機増粘剤をなんら含まない、概して排他的に無機の増粘剤の適用という理由で、本発明によるゲルの有機物含有量は、一般には4質量%未満、好ましくは2質量%未満であり、これはさらに、本発明によるゲルの別の利点である。
【0055】
これらの無機の鉱物の固体粒子は、溶液、例えば、水性溶液がゲル化し、それによって、処理され、除染されるべき表面に対して、その幾何学形状、その形状、その大きさおよび除去すべき汚染物質がどこで見出されるかにかかわらず、付着することを可能にするための増粘剤(viscosifier)の役割を果たす。
【0056】
有利には、無機系増粘剤は、アルミナ類、シリカ類、アルミノシリケート類、スメクタイトなどのクレー類、およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0057】
特に、無機の増粘剤は、アルミナ(Al
2O
3)および(SiO
2)から選択されてもよい。
【0058】
無機増粘剤は、単一のシリカもしくはアルミナ、またはそれらの混合物、すなわち、2つ以上の異なるシリカ類(SiO
2/SiO
2混合物)の混合物、2つ以上の異なるアルミナ類の混合物(Al
2O
3/Al
2O
3混合物)を含んでもよいし、またはさらに、1つ以上のシリカ類と1つ以上のアルミナ類の混合物(SiO
2/Al
2O
3混合物)を含んでもよい。
【0059】
有利には、無機系増粘剤は、火成シリカ類、沈降シリカ類、親水性シリカ類、疎水性シリカ類、シリカ酸類、Rhodia社が市販するシリカTixosil 73(商標)のような塩基性シリカ類、およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0060】
酸性シリカ類の中でも、とりわけ、CABOTが市販する火成シリカ類またはヒュームドシリカ類「CAB−O−SIL」M5、H5またはEH5(商標)、およびAEROSIL(商標)の名称でDEGUSSAが市販している火成シリカ類を挙げることができる。
【0061】
これらの火成シリカ類の中でも、比表面積380m
2/gというシリカAEROSIL380(商標)がさらに好ましく、これは、最小の鉱物負荷で最大の増粘特性をもたらす。
【0062】
用いられるシリカはまた、例えば、湿式の経路を介して、ケイ酸ナトリウム溶液と酸とを混合することによって得られるいわゆる沈降シリカであってもよい。好ましい沈降シリカは、DEGUSSAからSIPERNAT 22 LSおよびFK 310(商標)という名称で、またはさらに、Rhodiaから、TIXOSIL 331(商標)の名称で市販されているものであり、後者の方は、平均の比表面積が170〜200m
2/gである沈降シリカである。
【0063】
有利には、無機の増粘剤は、沈降シリカの、および火成シリカの混合物からなる。
【0064】
アルミナは、焼成アルミナ類、粉砕した焼成アルミナ類、およびそれらの混合物から選択され得る。
【0065】
例えば、微細な火成アルミナである「AEROXIDE Alumine C」という商標でDEGUSSAから販売されている製品を挙げることができる。
【0066】
有利には、本発明によれば、増粘剤は、ゲルの質量に基づいて5質量%〜30質量%に一般には相当する、1つ以上のアルミナ(単数または複数)からなる。
【0067】
この場合には、20℃〜50℃の温度で、かつ平均で20〜60%である相対湿度で30分〜5時間内でゲルを確実に乾燥するために、アルミナは、このゲルの総質量に基づいて、8〜17質量%の濃度であることが好ましい。
【0068】
無機増粘剤の性質は、とりわけ、それが、1つ以上のアルミナ(単数または複数)からなるとき、本発明によるゲルの乾燥、および得られた残渣の粒子サイズに影響することがある。
【0069】
実際、乾燥ゲルは、制御された大きさの粒子として、さらに具体的には、ミリメートルの固体フレークとして出現し、その大きさは、特に、増粘剤が1つ以上のアルミナ(単数または複数)からなる場合、本発明の上述の組成物の使用に特に起因して、一般には、1〜10mm、好ましくは2〜5mmの範囲である。
【0070】
粒径は、一般的にその最大の寸法に相当することに注意のこと。
【0071】
本発明によるゲルは、活性な生物学的除染剤を含む。
【0072】
殺生剤としても記載され得る生物学的除染剤とは、生物種、とりわけ、有毒な生物種と接触させられる場合、これを不活性化または破壊できる、任意の薬剤を意味する。
【0073】
生物種とは、細菌、真菌、酵母、ウイルス、毒素、芽胞、とりわけBacillus Anthracisの芽胞、および原生動物などの任意の種類の微生物を意味する。
【0074】
本発明によるゲルによって除去、破壊、不活性化される生物種とは本質的に、生体毒性種、例えばBacillus Anthracisの芽胞のような病原性の芽胞など、毒素、例えば、ボツリヌス(Botulinum)毒素、およびウイルスなどである。
【0075】
活性な生物学的除染剤は、塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびそれらの混合物;酸、例えば、硝酸、リン酸、塩酸、硫酸、およびそれらの混合物;酸化剤、例えば、過酸化物類、過マンガン酸塩類、過硫酸塩類、オゾン、次亜塩素酸塩類、およびそれらの混合物;四級アンモニウム塩、例えば、塩化ヘキサセチルピリジニウムのようなヘキサセチルピリジニウム塩;ならびにそれらの混合物から選択され得る(特に実施例1および2を参照のこと)。
【0076】
特定の活性な除染剤は、上記の定義のカテゴリーのいくつかのうちに分類され得る。
【0077】
従って、硝酸は酸であるが、また酸化剤でもある。
【0078】
殺生剤などの活性な除染剤は、一般的に、ゲルの乾燥時間と適合して、生物種の阻害力、特に生体毒性種の阻害力を確保するために、そして、例えば、20℃〜50℃の温度で、かつ平均で20〜60%である相対湿度で30分〜5時間内でゲルを確実に乾燥するために、ゲル1Lあたり、0.5〜10モル、好ましくは1〜10モルの濃度で用いられる。
【0079】
活性な除染剤は、酸であっても、または酸の混合物であってもよい。これらの酸は、一般には、鉱酸、例えば、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸などから選択される。
【0080】
特に好ましい生物学的な除染剤は、硝酸である。
【0081】
実際、まったく驚くべき方法で、硝酸は、生物種、とりわけ、生体毒性の種を破壊し、不活性化することが見出された。
【0082】
特に驚くべきことに、硝酸は、特に耐性の種であるBacillus thuringiensisの芽胞のような芽胞の破壊、不活性化を確実に行うことが示された。
【0083】
酸(単数または複数)は好ましくは、一般に20℃〜50℃の温度で、かつ平均で20〜60%である相対湿度で30分〜5時間内にゲルを確実に乾燥するために、0.5〜10mol/L、さらに好ましくは1〜10mol/Lの濃度で存在する。
【0084】
この種の酸性ゲルのために、無機の増粘剤は好ましくは、シリカまたはシリカの混合物である。
【0085】
あるいは、活性な生物学的除染剤は、塩基、好ましくは無機塩基、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびそれらの混合物から選択された塩基であってもよい。
【0086】
このような塩基性ゲル剤の場合、本発明によるゲルの場合には、除染の作用に加えて、脱脂作用を有する。
【0087】
ゲルの乾燥時間に対して最も望ましくない天候条件下であることを含めて、全体的な有効性を得るためには、本発明によるゲルは、広範囲の濃度の塩基性の除染剤(単数または複数)を有してもよい。
【0088】
実際、一般に、殺生剤の役割を果たす、NaOHまたはKOHのような塩基性の除染剤の濃度の増大によって、Bacillus thuringiensisの芽胞について示されたように、生物種を阻害する速度がかなり増大するという可能性が示される(実施例2)。
【0089】
塩基は、20℃〜50℃の温度で、かつ平均で20〜60%である相対湿度で30分〜5時間内にゲルを確実に乾燥するために、10mol/L未満、好ましくは0.5〜7mol/L、さらに好ましくは1〜5mol/Lの濃度で存在することが有利である。
【0090】
この種のアルカリの塩基性のゲルに関しては、無機の増粘剤は、好ましくはアルミナまたはアルミナ類の混合物である。
【0091】
処理の安全性を確保しながら、広範囲の材料にわたって最大効率が得られるように、生物学的な除染剤は、好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
【0092】
セメントマトリックスの処理の場合には、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを使用することにより誘導される、ゲルの塩基性のpHによって、表面上のゲルの整合性を損なう、従って、この方法の有効性を損なう、除染すべき材料とゲルとの間の酸塩基反応を回避する可能性が得られる。
【0093】
水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの吸湿性はまた、ゲルの乾燥現象を遅くするためにはかなりの利点でもある。本発明によるゲル(例えば、殺生剤溶液を含む)と、生物学的汚染物質との間の接触時間は、これによって、かなり増大することが見出される。
【0094】
実際、水相の蒸発過程と、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの結晶によって取り込まれる水の蒸発過程との間の競合は、このゲルの乾燥の速度論を好都合に改善する(実施例3)。
【0095】
芽胞を阻害する速度論(実施例2)および温度の関数としてのゲルの乾燥時間(実施例4)に関して、殺生剤は、好ましくは、1〜5mol/Lの濃度の水酸化ナトリウムである。
【0096】
本発明によるゲルは、さらに基本的な成分として、高吸収性ポリマーを含む。
【0097】
「SAP」とも命名された「高吸水性ポリマー」とは、一般的に、乾燥した条件および状態で、その重量の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも20倍の、水性の液体、特に水、特に蒸留水を自然に吸収できるポリマーを意味する。
【0098】
いくつかの「SAP」は、その液体重量の最大1,000倍までおよびそれ以上さえ吸収し得る。
【0099】
このような高吸水性ポリマーは、特に、教科書「Absorbent Polymer Technology,Studies in Polymer Science 8」L. BRANNON−PAPPASおよびR.HARLAND,Elsevier編集,1990(参照がなされ得る)に記載されている。
【0100】
自然な吸収とは、最大約1時間におよぶ吸収時間を意味する。
【0101】
高吸水性ポリマーは、その重量の10〜2000倍、好ましくはその重量の20〜2000倍(すなわち、吸収ポリマーの1グラムあたり20g〜2000g)、さらに好ましくは、30〜1500倍、特に50〜1,000倍におよぶ水吸収能力を有する場合がある。
【0102】
これらの水吸収特性は、標準状態の温度(25℃)および圧力(760mmHg、すなわち100,000Pa)のもとで、かつ蒸留水についての意味である。
【0103】
本発明による生物学的除染ゲルのSAPは、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム塩類、(メタ)アクリルポリマーとグラフトされたデンプン、(メタ)アクリルポリマーとグラフトされた加水分解デンプン;デンプン、ガム、およびセルロース誘導体系のポリマー類;ならびにこれらの混合物から選択され得る。
【0104】
より具体的には、本発明によるゲルで用いられ得るSAPは、例えば以下から選択され得る:
− アクリルポリマー、メタクリルポリマー類(特にアクリル酸および/またはメタクリル酸の重合、および/またはアクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマー類の重合に由来する)またはビニルポリマーなどのエチレン性不飽和の水溶性モノマー類の部分的な架橋との重合から生じるポリマー、特に架橋されかつ中和されたポリ(メタ)アクリレート類、特にゲルとして;ならびに塩、特に、アルカリ塩、例えば、これらのポリマー類のナトリウム塩またはカリウム塩;
− ポリアクリレート類とグラフトされたデンプン;
− アクリルアミド/アクリル酸コポリマー類、特にナトリウム塩またはカリウム塩型;
− アクリルアミド/アクリル酸グラフトのデンプン類、特にナトリウム塩類またはカリウム塩型;
− カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩またはカリウム塩類;
− 架橋ポリアスパラギン酸類の塩類、特にアルカリ塩類;
− 架橋ポリグルタミン酸類の塩類、特にアルカリ塩類。
【0105】
特に、「SAP」としては、以下から選択される化合物を用いてもよい:
− 以下の名称で販売される、架橋のポリアクリル酸ナトリウムまたはポリアクリル酸カリウム、SALSORB CL 10、SALSORB CL 20、FSAタイプ101、FSAタイプ102(Allied Colloids);ARASORB、S−310(荒川化学);ASAP 2000 Aridall 1460(Chemdal);KI−GEL 201−K(Siber Hegner);AQUALIC CA W3、AQUALIC CA W7、AQUALIC CA W10;(日本触媒)AQUA KEEP D50、AQUA KEEP D60、AQUA KEEP D65、AQUA KEEP S 30、AQUA KEEP S 35、AQUA KEEP S 45、AQUA KEEP A1 M1、AQUA KEEP A1 M3、AQUA KEEP HP 200、NORSOCRYL S 35、NORSOCRYL FX 007(Arkema);AQUA KEEP 10SH−NF、AQUA KEEP J−550(Kobo);LUQUASORB CF、LUQUASORB MA 1110、LUQUASORB MR 1600、HYSORB C3746−5(BASF);COVAGEL(Sensient Technologies)、SANWET IM−5000D(Hoechst Celanese);
− SANWET IM−100、SANWET IM−3900、SANWET IM−5000S(Hoechst)の名称で販売されるデンプングラフトのポリアクリレート類;
− WATERLOCK A−100、WATERLOCK A−200、WATERLOCK C−200、WATERLOCK D−200、WATERLOCK B−204(Grain Processing Corporation)の名称で販売されるナトリウム塩またはカリウム塩型の、デンプングラフトのアクリルアミド/アクリル酸コポリマー;
WATERLOCK G−400(Grain Processing Corporation)の名称で販売されるナトリウム塩型のアクリルアミド/アクリル酸コポリマー類;
− AQUASORB A250(Aqualon)の名称で販売されるカルボキシメチルセルロース;
− GELPROTEIN(Idemitsu Technofine)の名称で販売される架橋ポリグルタミン酸ナトリウム。
【0106】
高吸水性ポリマー、特に、高吸水性ポリマー(高分子電解質)(例えばポリ(メタクリル酸)アクリル酸エステル型のナトリウムまたはカリウムの、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンなどのアルカリイオンを含有する)は、除染ゲルに対して多くの特性を付与する。
【0107】
まず第一に、それらのポリマーは、製品のレオロジー、特にその流動閾値に影響する。この方法の適用に関しては、噴霧されたゲルの厚みが1mmを超えている場合、処理された材料上で、特に垂直面や天井で、ゲルが完全に維持されることを保証することが重要である。
【0108】
ゲルによる生物学的除染方法の範囲内で、高吸水性ポリマーが特に興味深い。なぜなら、このポリマーは、水素結合を介して溶液の一部、例えば、このゲルに含まれる殺生溶液の一部を吸収するからである。ゲルの溶液、例えば、殺生溶液と、ポリアクリル酸ナトリウムなどの高吸水性ポリマーとの間で形成される水素結合の数は、塩負荷に依存するので、吸収/脱離現象は、除染ゲルの塩負荷が改変されるとき、生じる。
【0109】
次いで、この機構は、例えば、セメントマトリックスのような無機でかつ多孔性の材料を除染することが論点である場合、特に重要である。
【0110】
実際、材料と接触している際、カルシウムに基づく場合が極めて多い無機粒子の存在のせいで、ゲルの塩負荷は増大する。ポリアクリル酸ナトリウムなどの高吸水性ポリマーの中では、対イオンNa
+をカルシウム由来のCa
2+で置換することによって、カルシウムイオンのより大きな立体障害という理由で、即時的に、溶液、例えば、殺生溶液の脱塩現象が生じる。
【0111】
次いで、ポリアクリル酸ナトリウムなどの高吸水性ポリマーによって遊離される殺生溶液の量は、即座に材料の孔に拡散し、深く浸透し得る。
【0112】
除染剤の、例えば殺生剤の、この材料のコアに対する拡散現象は、なんら高吸水性ポリマーを含まないゲルの場合、はるかに制限される(実施例6を参照のこと)。
【0113】
従って、本発明によるゲルに高吸水性ポリマーを添加することによって、本発明によるゲルおよび方法の有効性は、1〜数ミリメートル、例えば、最大2、5、10、20または100ミリメートルの厚みにおよぶ深部で汚染されている多孔性材料の存在下で有意に増大することができる(実施例6)。
【0114】
高吸水性ポリマーは、好ましくは、ARKEMAが市販するAquakeep(登録商標)またはNorsocryl(登録商標)のシリーズのなかから選択され得る。
【0115】
このゲルはまた、好ましくは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーのようなブロックコポリマー、ならびにエトキシル化脂肪酸およびそれらの混合物などの非イオン性界面活性剤のファミリーから選択される界面活性剤または界面活性剤の混合物を含んでもよい。
【0116】
この種類のゲルに関しては、界面活性剤は好ましくは、「PLURONIC(登録商標)」の名称でBASFが市販しているブロックコポリマーである。
【0117】
Pluronics(登録商標)は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである。
【0118】
これらの界面活性剤は、床、壁または天井に噴霧可能にするため、さらに垂れ流れることを回避することによって、ゲルのレオロジー特性、特に製品のチキソトロピー性、および回復時間に影響する。
【0119】
界面活性剤の使用に加えて、乾燥廃棄物の付着を制御し[実施例7]、廃棄物が発塵しないことを保証するために、乾燥残渣のフレークの大きさを制御する[実施例8]ことが可能である。
【0120】
本発明による溶媒は通常、水、有機溶媒、およびそれらの混合物から選択される。
【0121】
好ましい溶媒は水であり、従って、この場合には、溶媒は水からなり、100%の水を含む。
【0122】
本発明は、さらに、この表面上で、可能性としてはこの表面の下で基材の深部で見出される少なくとも1つの生物種によって汚染された固体基材の表面の生物学的除染のための方法であって、ここで以下の連続工程を含む少なくとも1つのサイクルが行われる方法に関する:
a)上記のように、本発明のゲルをこの表面に塗布する工程;
b)このゲルを、少なくとも十分な時間この表面上で維持し、その結果このゲルが、この生物種を破壊および/または不活性化および/または吸収し、かつその結果、このゲルが乾燥して、この生物種を含有する乾燥し、かつ固体の残渣を形成する工程;
c)この生物種を含有する乾燥し、かつ固体の残渣を除去する工程。
【0123】
非多孔性表面の場合には、「不活性化された」生物学的汚染剤は、凍結乾燥フレークによって回収されることに留意すべきである。
【0124】
他方では、セメントマトリックスのような多孔質材料の場合のように、深部汚染の場合、乾燥ゲルは、表面汚染の残渣しか含まない。
【0125】
高吸水性ゲルの作用の後で、その場で「不活性化された」深部の内部汚染は、この基材材料のコアに残る。
【0126】
固体基材は、多孔質基材、好ましくは、多孔性無機基材であることが有利である。
【0127】
しかし、本発明によるゲルの有効性および本発明による方法の有効性は、非多孔性の表面および/または非鉱物表面の存在下で、ちょうど同じように良い。
【0128】
有利には、基材は、ステンレス鋼のような金属;ポリマー、例えば、プラスチック材料またはポリ(塩化ビニル)類またはPVCのようなゴム、ポリプロピレン類またはPP、ポリエチレン類またはPE、特に高密度ポリエチレン類またはHDPE、ポリ(メチルメタクリレート)類またはPMMA、ポリ(フッ化ビニリデン)類またはPVDF、ポリカーボネートまたはPC;ガラス;セメント;モルタルおよびコンクリート;しっくい;レンガ、天然石または人工の石;セラミックスから選択される少なくとも1つの材料からできている。
【0129】
生物種は既に上記で列挙した有毒な生物種から選択されることが有利である。
【0130】
ゲルは、表面1m
2あたり100g〜2000g、好ましく表面1m
2あたり500〜1,500グラム、さらに好ましくは表面1m
2あたり600〜1,000g(これは、一般には、0.5mm〜2mmの表面上に沈着されたゲル厚に相当する)の量で、除染されるべき表面に塗布(適用)されることが有利である。
【0131】
ゲルは、スプレーによって、ブラシを用いて、またはコテを用いて固体表面に塗布(適用)されることが有利である。
【0132】
工程b)において、乾燥は1℃〜50℃、好ましくは15℃〜25℃の温度で、かつ20%〜80%の相対湿度、好ましくは20%〜70%の相対湿度で達成されることが有利である。
【0133】
ゲルは、2〜72時間、好ましくは2〜48時間、より好ましくは5〜24時間の間、表面上で維持されることが有利である。
【0134】
乾燥した固体の残渣は、粒子、例えば、1〜10mm、好ましくは2〜5mmの大きさを有するフレークとして出現することが有利である。
【0135】
この乾燥した固形の残渣は、ブラッシングおよび/または吸引によって固体表面から除去されることが有利である。
【0136】
有利には、上記のサイクルは、全てのサイクルの間、同じゲルを用いて、または1回または複数回のサイクルの間異なるゲルを用いて、例えば、1〜10回繰り返してもよい。
【0137】
工程b)において、ゲルを、完全乾燥の前に、生物学的除染剤の溶液を用いて、好ましくは、このゲルの溶媒中で工程a)の間に適用されるゲルの生物学的活性剤の溶液を用いて、再湿潤化することが有利である。
【0138】
工程b)の間、このゲルは、完全な乾燥の前に、既に上記した生物学的除染ゲル中に含まれる殺生溶液で再湿潤化してもよく、次いでこれによって、一般に、表面上へのゲルの適用の繰り返しが避けられ、試薬の保持および廃棄物の量の制限が生じる。この再湿潤操作は繰り返されてもよい。
【0139】
まとめると、本発明による方法およびゲルは、とりわけ、以下の有利な特性を有する:
− 噴霧によるゲルの塗布(適用)、
− 壁に対する付着、
− 特に多孔性表面の場合には浸透性の汚染の状況を含めて、このゲルの乾燥段階の終わりに最大の除染有効性を得ること。
【0140】
一般には、乾燥時間は、不活性化に必要な時間より長いかまたは等しいことが保証される。深部不活性化の場合、当業者は一般に、再湿潤化を用いる。
− 極めて広範な材料の処理、
− 処理の終わりにこの材料の任意の機械的または物理的な変化がないこと、
− 変動する気候条件下でこの方法の適用、
− 廃棄容積の減少、
− 乾燥廃棄物の容易な回収。
【0141】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読めば、さらに明確になり、この説明は、添付の図面に関して、例示であって限定ではないものである。