【課題】第1の光源から光を受けたときに輪郭干渉縞投影パターンを有し、第2の光源から光を受けたときに実質的に一様な照明場を有する照明光線を形成する照明場発生器を有する口腔内撮像装置を提供する。
【解決手段】照明光線の経路内の偏光子14は、第1の偏光透過軸を有する。投影レンズ16は、偏光された照明光線を歯表面に向け、結像レンズ22は、歯表面からの光の少なくとも一部を検出経路に沿わせる。検出経路に沿って配置された偏光選択的要素は、第2の偏光透過軸を有する。少なくとも1つの検出器30は、偏光選択的要素を通じて供給される光から画像データを取得する。制御論理プロセッサ34は、第1の光源と第2の光源とに順次、電力を交互に供給し、輪郭干渉縞投影データおよびカラー画像データの両方を取得するためのプログラムされた命令に応答する。
単色光を提供するための第1の光源、多色光を提供するための第2の光源、および、前記第1の光源から入射光を受けたときに輪郭縞投影パターンを有する第1の照明光線を形成し、前記第2の光源から入射光を受けたときに実質的に一様な照明場を有する第2の照明光線を形成するように作動可能な1つの空間光変調器、を備える照明場発生器と、
前記照明場発生器から放射される前記照明光線の経路内にあり、第1の偏光透過軸を有する偏光子と、
歯表面の方へ前記偏光子により偏光された照明光線を入射照明光として向けるように配置されている投影レンズと、
前記歯表面で前記入射照明光から反射され、散乱された光の少なくとも一部を検出経路に沿った方向に向けるように配置されている結像レンズと、
前記検出経路に沿って配置され、第2の偏光透過軸を有する偏光選択的要素と、
前記偏光選択的要素を通じて供給される前記光から画像データを取得するための前記検出経路に沿って配置されている少なくとも1つの検出器と、
前記第1の光源と第2の光源とに電力を交互に供給することで、前記照明場発生器に前記第1の照明光線及び前記第2の照明光線を交互に発生させるため、前記少なくとも1つの検出器から輪郭干渉縞投影データおよびカラー画像データの両方を取得するため、および、3次元カラー画像表示のためのデータとして前記輪郭干渉縞投影データと前記カラー画像データを記憶するためのプログラムされた命令に応答する制御論理プロセッサと、
を備えることを特徴とする口腔内撮像装置。
【背景技術】
【0002】
歯の形状と色合いの両方の正確なモデリングは、修復歯科および関連業務を行う上で重要な機能である。従来、歯の輪郭を決定する機能と歯の色合わせを行う機能は、別々の作業として実行されてきた。このため、色合い情報と形状情報との位置合わせを行う、または相関を求めることは困難である。色合いの決定は、特に、ヒューマンエラーの影響を受けやすく、また全体的な精度も、開業医の相対的経験度に依存することが多い。
【0003】
デジタル撮像技術が出現したことで、歯から表面輪郭データまたは色合い情報を取得するための多数のツールが利用可能になった。歯の輪郭を取得することに適合されている技術の1つは、干渉縞投影撮像である。干渉縞投影撮像では、パターン形成された、または構造化された光を使用して、さまざまな種類の構造物に対する表面輪郭情報を取得する。干渉縞投影撮像では、干渉縞または干渉格子の線のパターンが、所定の方向から対象物の表面に向けて投影される。次いで、表面から投影されたパターンは、他の方向から輪郭画像として見え、そこで三角測量法を利用して等高線の外観に基づき表面情報を分析する。新しい配置でさらに測定を行うために投影されたパターンの空間的シフト量を徐々に増やす、位相シフトは、典型的には、干渉縞投影撮像の一部として適用され、これを使用して、表面の輪郭マッピングを完成し、輪郭画像内の総合分解能を高める。
【0004】
干渉縞投影撮像は、中身の詰まっている不透明度の高い物体の表面輪郭の撮像に使用され、人体のいくつかの部分に対する表面輪郭を撮像するため、また皮膚構造に関する詳細データを取得するために使用されている。しかし、技術上の障害が多数あるため、これまで歯の干渉縞投影撮像の効果的利用が阻まれていた。歯科用表面撮像法における難題の1つは、歯が半透明であることに関係する。半透明または準半透明の材料は、一般に、干渉縞投影撮像にとって特に厄介であることが知られている。半透明構造物中の表面下散乱は、全体的な信号対雑音(S/N)比を下げ、光度をシフトし、高さデータを不正確なものにする可能性がある。他の問題は、さまざまな歯表面に対する高い反射レベルに関係する。反射率の高い材料、特に中空の反射構造物は、このタイプの撮像法のダイナミックレンジを事実上低下させうる。
【0005】
干渉縞投影撮像全体において、コントラストは典型的には低く、雑音は有意な因子となっている。コントラストを改善するために、いくつかの干渉縞投影撮像システムでは、輪郭画像内の雑音の量を低減する対策を講じている。一般に、干渉縞撮像技術を使用して正確な表面形状測定を行うために、試験対象の構造物の表面から直接反射される光を捕らえ、その表面の下にある材料または構造物から反射される光をはじくことが望ましい。これが、半透明物体の3D表面走査のアプローチである。
【0006】
光学系の観点からは、歯それ自体の構造が、干渉縞投影撮像に対するさらなる多くの難題をもたらす。すでに指摘されているように、歯の表面の下を貫通する光は、半透明の歯材料内で著しい散乱を受ける傾向がある。さらに、歯表面の下の不透明な特徴からの反射も生じることがあり、これによって、感知された信号を劣化させる雑音が加わり、したがって、歯表面分析の作業がさらに複雑なものとなる。
【0007】
歯の輪郭撮像のために干渉縞投影がうまく機能するように1つの是正処置が試みられたが、これは、歯表面それ自体の反射特性を変えるコーティングを塗布するというものである。ここで、歯の相対的半透明性によって引き起こされる問題に対処するために、多くの従来方式の歯輪郭撮像システムでは、表面輪郭撮像の前に塗料または反射性粉末を歯表面に塗布する。干渉縞投影撮像の目的に関して、この追加されたステップにより、歯の不透明度が上がり、前に指摘されている散乱光効果が低減されるか、またはなくなる。しかし、このタイプのアプローチにはいくつかの短所がある。コーティング用の粉末または液体を塗布するステップは、歯輪郭撮像プロセスにコストと時間の増大をもたらす。コーティング層それ自体の厚さは所定の厚さを有し、多くの場合、歯表面全体にわたって不均一であるため、結果として測定誤差が容易に生じる。コーティングが施されるときに、歯の相対的半透明性に関する情報はいっさい利用可能でない。さらに、コーティングを施すと、輪郭撮像が容易になるが、歯に関する他の問題を覆い隠す傾向があり、そのため、取得されうる情報の全体的な量が減る可能性がある。歯のコーティングまたは他のタイプの表面調整が使用される場合であっても、歯表面のすべてに十分な量の光を当て、歯表面のすべてから反射して返ってくる光を感知することはそれでも困難である可能性がある。歯の異なる表面が、互いに関して90度に配向されることがあるため、コーティングが施されようとされまいと、歯のすべての部分を正確に撮像するために十分な光を当てることは困難である。
【0008】
歯構造の撮像の難題に構造光表面プロファイリング技術を適応させる試みがなされた。例えば、Massenらの「Optical Probe and Method for the Three−Dimensional Surveying of Teeth」という表題の特許文献1では、LCDマトリクスを使用してストライプのパターンを形成し歯表面上に投影することを説明している。他のアプローチは、O’Keefeらの「Front End for 3−D Imaging Camera」という表題の特許文献2において説明されている。Trisselの「Polarizing Multiplexer and Methods for Intra−Oral Scanning」という表題の特許文献3では、三角測量法および偏光を使用して歯表面のプロファイリングを行うが、作業のために蛍光コーティングを施す必要のある方法を説明している。さらに、Pfeifferらの「3−D Camera for Recording Surface Structures,In Particular for Dental Purposes」という表題の特許文献4では、三角測量法を使用するが、これも撮像のために歯表面に不透明粉末を塗布する必要のある歯科用撮像装置を開示している。
【0009】
粉末または他の表面コーティングを使用すると、輪郭の撮像を使いやすくできるが、同時に色合い情報を取得することができなくなる。したがって、色合い情報および表面輪郭情報は、別々に取得されなければならず、色合いおよび形状情報を互いに対し位置合わせすることが困難である。
【0010】
1つの装置から形状と色合いの両方の情報を取得するアプローチでは、共焦点撮像を利用しており、これは、Babayoffの「Method and Apparatus for Colour Imaging a Three−Dimensional Structure」という表題の特許文献5で説明されている。焦点距離を徐々に延ばしつつ歯の数百枚の画像を撮り、相対的ピクセル強度を歯表面上の複数の点に対する表面輪郭の尺度として使用することは、最もよく理解される。次いで、こうして得られた色および深度のデータを組み合わせて、歯の形状および色合いを取得し、表示する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の前述の目的、特徴、および利点ならびに他の目的、特徴、および利点は、添付図面に示されているように、本発明の実施形態の以下のより具体的な説明から明白になる。図面の要素は、必ずしも互いに関して縮尺されていない。
【0021】
同一出願人による2009年4月16日に出願したLiangの「Dental Surface Imaging Using Polarized Fringe Projection」という表題の米国特許出願第12/424,562号を参照する。
【0022】
本明細書で示されている図は、本発明による重要な動作原理およびコンポーネントの関係をそれらの各光路に沿って示すために与えられており、実寸を示す、または縮尺通りに示すことを意図して描かれてはいない。基本的な構造物の関係または動作原理を強調するために、ある程度の誇張が必要になる場合もある。例えば、電力の供給、パッケージング、ならびにシステム光学系の装着および保護のために使用されるサポートコンポーネントなど、説明されている実施形態の実装に必要になり得るいくつかの従来のコンポーネントは、発明それ自体の説明を簡素化するために図面に示されていない。以下に述べる図面および本文において、類似のコンポーネントは、類似の参照番号で指示され、すでに説明されているコンポーネントおよびコンポーネントの配置構成もしくは相互作用に関する類似の説明は、省略されている。
【0023】
本開示の文脈では、「干渉縞パターン照明」という用語は、干渉縞投影撮像または「輪郭(contour)」撮像に使用されるタイプの構造化照明を記述するために使用される。干渉縞パターンそれ自体は、パターンの特徴として、照明されている領域上に分布し、所定の周期で繰り返し生じる、所定の空間周波数を有する複数の線、円、曲線、または他の幾何学的形状を含みうる。
【0024】
構造化照明のパターン内の光または他の特徴の線の2つの部分は、その投影線幅が線の長さにわたって±15パーセント以内で同じであるときに実質的に「寸法的に一様である」と考えることができる。この後さらに詳しく説明されているように、一様な空間周波数を維持するために、構造化照明のパターンの寸法的一様性が必要である。
【0025】
本開示の文脈において、「実質的に一様な」光線は、その場にわたって視覚で知覚できるほどの強度の変化を示さない。
【0026】
[ワークフロー]
本発明で解決される問題をより完全に理解するために、本発明の装置および方法が、クラウンまたは他の色合わせした歯科補綴物を設計し、加工し、装着するワークフロー全体においてどのように使用されるかを考えることは有益である。
図1のワークフロー図を参照すると、このプロセスは、画像取り込みステップS160から開始し、既存の歯構造物の適切な形状および色合いを判定するために使用される画像を取得する。干渉縞投影画像は、形状構成ステップS164において3D(3次元)形状情報を生成するために使用される。色合い抽出ステップS168で必要な色情報を供給するために、異なる照明波長を有するカラー画像またはモノクロ画像が使用される。次いで、カラー3D画像生成ステップS170が、色合いおよび形状複合データを使用してカラー画像を形成する。次いで、補綴物指定ステップS174は、この情報と他の情報を使用して、クラウンまたは他の歯科用補綴物の材料および他の特徴を指定する。プロトタイプ作製ステップS178により、例えば、カラーディスプレイなどに補綴物を視覚的に表示することができる。顧客承認ステップS180が続き、そこで、歯科開業医がプロトタイプを承認する。承認された後、加工ステップS184が続き、そこで、色合いおよび形状データおよびそれから生成されたプロトタイプ作成情報を使用する。その後装着ステップS188が続き、そこで、クラウンまたは他の歯科器具が患者に装着され、必要な微調整が加えられる。最後に、検査ステップS190が実行される。
【0027】
図1にアウトラインが示されているワークフローについて、本発明は、主に、画像取り込みステップS160、形状構成ステップS164、色合い抽出ステップS168、およびその後のカラー3D画像生成ステップS170に関係する。
【0028】
一般に、形状構成ステップS164のために歯から輪郭情報を取得するという問題は、色合い抽出ステップS168でカラー画像を取得するための要件とは矛盾するおそれのある技術およびアプローチを必要とする。例えば、輪郭撮像は、濃淡出力を使用するので、多色光源ではなくモノクロ光源を使用した場合に最もよい結果をもたらし、構造化光パターンに対する波長の狭い帯域を使用することで、干渉縞パターン検出が簡素化され、また本質的に、例えば、周囲迷光の効果が低減される。特に歯科撮像では、歯が半透明であり、必然的に散乱を引き起こすため、歯の輪郭撮像にはより短い波長の光が他の光より有利であることがわかっているが、これは波長によって変わる。干渉縞投影撮像と色合い撮像との間のさらなる差異は、後でさらに詳しく説明されるように、それぞれのタイプについて有利である光度の一様性に関係する。
【0029】
歯の光散乱に対する波長の効果は、
図2Aに表されており、また、これに対応する
図2Bのグラフが示されている。
図2Aは、歯20に向けられた3つの異なる波長λ1、λ2、およびλ3を示している。最短波長λ1によると、歯を貫通する距離が最短である。次に長い波長λ2によると、歯を貫通する距離が追加される。最後に、最長波長λ3によると、歯を貫通する距離が最も長い。
図2Bのグラフは、それぞれの波長から歯表面上の光のフットプリントに対する散乱の影響を示している。波長が長ければ長いほど、フットプリントは広くなり、その結果、測定誤差が大きくなる。波長λ1は、例えば、350nmから500nmまでの波長帯の近UVまたは青色光とすることが可能である。波長λ2は、例えば、500nmから700nmまでの波長帯の緑色光とすることが可能である。波長λ3は、例えば、700nm以上の波長帯の赤色光またはIR光とすることが可能である。したがって、350nm〜500nmの波長帯の青色または近UV光は、歯構造内への貫通が最小となるので、一実施形態では干渉縞投影撮像に好適な光源であることが判明している。
【0030】
図3の概略図は、1つ以上の歯20に対する表面輪郭および色合いの画像を形成するためにプローブ120を有する撮像装置100を備える口腔内撮像システム42を示している。ホストプロセッサ134、典型的にはコンピュータワークステーションまたは他の専用論理プロセッサが、撮像装置100からデータを収集して処理し、典型的には、ディスプレイ38上にこの情報を表示する。ハンドヘルドプローブ120は、患者の口の中に、不快感をほとんどまたは全く与えずに容易に配置できる。プローブ120は、有線または無線データ通信チャネルを介して、ホストプロセッサ134と通信する。
【0031】
図4の論理流れ図は、一実施形態における表面輪郭および色合いの組み合わされた画像を取得するために使用されるステップを示している。位置決めステップS200で、操作者が、患者の口の中のプローブ120(
図3)の位置決めを行う。次いで、形状撮像ステップS210および色合い撮像ステップS220を迅速に続けて実行して、互いに対して位置合わせできる色情報および輪郭情報を取得する。2つのタイプの画像を互いに位置合わせするには、画像処理技術分野の当業者に周知の多数の技術のいずれを使用することもでき、また例えば、2つのタイプの画像のそれぞれにおいてくっきり明瞭であるか、または容易に識別可能である特徴の検出を伴いうる。
【0032】
さらに
図4を参照すると、ステップS210およびS220は、いずれの順序でも実行可能である。一実施形態では、色合い撮像ステップS220を最初に実行し、その結果を使用して、すぐ後に続く形状撮像ステップS210の実行を調整する。この特定のタイプのシーケンスの使用は、後からさらに詳しく説明する。組み合わせステップS230で、前のステップからの色合い情報および形状情報は、輪郭と色合いの両方のデータを持つ単一画像が表示および格納ステップS240で取得され、表示され、格納されるように、組み合わされる。
【0033】
図5の概略ブロック図は、干渉縞投影および色合いの両方の画像を取得するように構成された撮像装置100の一実施形態を示している。照明場発生器112は、干渉縞投影撮像およびカラー撮像の両方に対する必要な照明を形成するために電力の供給を受けることができる。干渉縞投影撮像では、照明場発生器112は、特徴の一パターンを生成するが、これは、可変強度を持つ場合もある。カラー撮像では、照明場発生器112は、広帯域スペクトルを持つ実質的に一様な場、あるいは、異なる波長を持つ2つ以上の順次的で一様な場を生成する。照明場発生器112の内部コンポーネントおよび照明場発生器112の動作は、後でさらに詳しく説明する。
【0034】
さらに
図5を参照すると、照明場発生器112からの照明光は、偏光子14に通され、入射照明光として、投影レンズ16を通して歯20に当てられる。歯20から反射され、散乱された光は、結像レンズ22および検光子28などの偏光選択的要素を通して、検出器30に送られる。検出器30は、結像レンズ22の像面のところで、検出経路88に沿って配置される。制御論理プロセッサ34は、検出器30から画像データを受け入れて処理し、その画像データをホストプロセッサ134(
図3)に渡し、その画像データを使用して、それ専用の動作を制御することができるが、これについては後でさらに詳しく説明する。
【0035】
[干渉縞投影撮像]
撮像装置100は、カラー撮像の直前または直後にステップS210(
図4)で干渉縞投影撮像を実行するために使用される。制御論理プロセッサ34(
図5)は、この機能用に撮像装置100のコンポーネントを構成し、検出器30のところで歯から輪郭画像データを取得する。一実施形態では、干渉縞投影撮像に使用される照明光は、350nm〜450nmの波長帯の青色光である。
【0036】
干渉縞投影撮像中の制御論理プロセッサ34の1つの機能は、干渉縞の位置を漸増的にシフトし、検出器が歯表面に関する3次元情報を算出するためにそのときに使用される画像を取り込むのをトリガーすることである。位相シフト干渉縞投影法では、物体の3次元情報を計算できる十分な情報を供給するためには、少なくとも3つの画像が典型的には必要である。それら3つの投影された画像に対する干渉縞の相対的位置は、典型的には、干渉縞周期の1/3だけシフトされる。制御論理プロセッサ34は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、またはプログラムされた命令を実行する他の専用論理処理装置とすることができる。
【0037】
図5の口腔内撮像装置100は、歯20の表面撮像に偏光を使用する。偏光子14は、照明場発生器112からの干渉縞パターン照明を直線偏光として供給する。一実施形態では、検光子28の透過軸は、偏光子14の透過軸と平行である。この配置構成により、干渉縞パターンと同じ偏光を有する光のみが、検出器30に送られる。他の実施形態では、検光子28は、検出器30への反射光の経路内で、必要に応じて、アクチュエータ18によって以下の2つの配向のうちいずれかになるように回転される。
(a)偏光子14と同じ偏光透過軸。この「共偏光(co−polarization)」位置では、検出器30は、歯20の表面から反射された正反射光、歯20のエナメル質表面の表層から散乱され反射された光の大半、さらには歯の表面下位置から散乱して戻った光の一部を取得する。検光子28の軸の共偏光配向は、
図6Aに示されている。平行または共偏光は、他の構成に勝るコントラストの改善をもたらす。
(b)偏光子14に関する直交偏光透過軸。直交偏光(orthogonal polarization)または交差偏光(cross−polarization)を使用すると、歯表面からの正反射成分を低減し、歯の内側部分からの散乱光のより多くを取得することができる。検光子28の軸の交差偏光配向は、
図6Bに示されている。
【0038】
歯が撮像システムおよびセンサによって撮像されるときに、センサで利用できる光は、(i)歯上面から反射された光、(ii)歯の近表面体積または部分から散乱または反射された光、および(iii)歯の内側で散乱した光、とすることができる。本開示の文脈において、歯の「近表面体積」は、表面から数百μm以内にある歯構造の部分である。
【0039】
歯表面から反射された光(i)、正反射光は、入射光の偏光状態を維持することが知られている。入射光が歯の中へさらに伝搬するにつれ、光は次第に偏光解消してゆく。
【0040】
不都合なことに、輪郭パターンに対する光(i)の一部は、歯表面の反射率のより高い部分に入射することがあり、これにより、光検出を低下させるある程度の飽和すら引き起こされる。歯からのすべての光を使用する従来のアプローチとは対照的に、本発明の方法では、正反射光(i)と近表面反射光(ii)の両方の少なくとも一部を使用し、歯内部の深いところで散乱された光(iii)を回避する。近表面光(ii)は、特に青色光およびより短い波長については、なおも、実質的に偏光されることがわかった。したがって、例えば、歯のエナメル質の表層から散乱され反射された光の大部分も、入射光と、また正反射光(i)と同じ偏光状態を有する。
【0041】
図7Aおよび
図8Aは、本発明の装置および方法において、歯の表面のすぐ下からの散乱された近表面光をなぜ使用するかを示している。
図8Aおよび
図8Bは、平行偏光の使用と交差偏光の使用との違いを示している。小さな寸法で偏光P0が歯に照射されると、光P1の一部が歯の表面から正反射され、照明光P0と同じ偏光状態を有する。照明光P0の他の部分は、歯の中に入り、散乱の作用を受け、偏光解消する。散乱光P2の一部は、照明領域近くの歯の表面から漏れ、検出器30(
図5)に到達しうる。
【0042】
重要なことに、線の太さなど、構造光のパターンの特徴の寸法に関係する、散乱光P2の空間「フットプリント」は、反射光P1の対応する空間フットプリント上の増大を示している。例えば、構造光パターンが所定の太さの光の平行線からなる場合、これらのパターン特徴からの反射光P1は、投影パターンと実質的に同じ太さの線を有する。しかし、散乱光P2は、わずかに太さを増した線として検出される。つまり、光P2は歯の中で散乱しているため、歯表面上の投影フットプリントは、入射光として投影された照明光線と同じサイズである、正反射光のフットプリントに比べて広い。
図7Bのグラフは、歯表面からの光(P1)のフットプリントと歯内部からの光(P2)のフットプリントとの間の差異を示している。その結果生じうる測定誤差を低減するために、歯内部から検出された光を最小にしなければならない。発明者は、偏光は、歯表面からの正反射光(P1)を歯内部からの散乱光から分離し、その一方で散乱光(P2)の一部を利用するための効果的な弁別手段となることを発見した。
【0043】
図5の実施形態に関して、1つ以上の空間光変調器を照明場発生器112の一部として使用し、偏光干渉縞投影撮像に必要なシフト動作を行わせることができるが、これについては後でさらに詳しく説明する。干渉縞パターンそれ自体は、撮像時に少なくとも1つの追加の代替位置に、より好ましくは2つ以上の代替位置にシフトされる。光パターンのこのようなシフトは、高精度の漸増的移動を行うために照明場発生器112の一部である圧電型または他のタイプのアクチュエータなどの、独立型アクチュエータ(
図5に示されていない)によって引き起こされうる。その代わりに、照明場発生器112が空間光変調器を使用する場合、このシフトは、照明場発生器112内の部品の機械的移動を用いずに、電子的に実行できる。それに加えて、偏光子14または検光子28(
図5に示されているような)に90度の回転を加えて、共偏光と交差偏光の両方の画像を得られるように、もう1つのアクチュエータ18を位置決めすることができる。偏光は、LCD空間光変調器を使用する場合に各直交位置まで回転させることもできる。
【0044】
[色合い撮像]
干渉縞投影撮像の直後または直前に、撮像装置100は、
図5を参照しつつ説明されているのと同じ光路コンポーネントを使用して、カラー画像、またはカラー画像を形成するために異なる照明波長を持つ多数のモノクロ画像も取得する。照明場発生器112は、輪郭特徴のパターンではなく、実質的に一様な照明場を形成する。光は、赤色(約630nm〜700nm)、青色(約440nm〜480nm)、および緑色(約500nm〜540nm)の光源からの多色光である。この照明光は、ここでもまた、偏光子14によって偏光され、歯20に投影される。歯20から戻ってきた光は、
図6Bおよび
図8Bを参照しつつ説明されたように、交差偏光となる配向で位置決めされうる、つまり、偏光子14の軸に直交する偏光透過軸を持つ、検光子28に通される。この配向は、検出器の飽和を引き起こす可能性のある正反射光を低減するのに役立つため有利である。その代わりに、検光子28は、
図6Aおよび
図8Aを参照しつつ説明されたように、共偏光となる配向で位置決めされうる、つまり、偏光子14の軸に平行な偏光透過軸を持っていてもよい。
【0045】
図5の実施形態で示されているような単一検出器30の使用は、部品点数が低い点と、同じ画像経路およびコンポーネントを干渉縞投影および色合い撮像の両方に使用する点で有利である。しかし、この実施形態は、いくつかの条件の下では周囲光にいくぶん敏感である場合がある。
【0046】
図9の概略ブロック図は、干渉縞投影およびカラー画像の両方を取得し、また画像の取り込みとその次の取り込みの間に偏光子14または検光子28の回転を必要とせずに両方の偏光状態の光を取得する口腔内撮像装置140の一実施形態を示している。別の検光子は不要である。偏光ビームスプリッタ36は、検出経路88内で偏光選択的要素として働き、反射光と散乱光とを分離し、交差偏光を検出器30bに反射し、共偏光を検出器30aに透過する。両方の偏光状態の光を使用することができるので、口腔内撮像装置140は、形状と色合いの両方の測定に対してより多くの情報を取得することができる。青色透過フィルタ90は、オプションであり、周囲照明が検出経路88から他の何らかの方法でブロックされない場合に必要になることがある。一実施形態では、フィルタ90は、350nm〜500nmの波長帯の光に対し透過的である。
【0047】
本明細書で説明されている実施形態における検出器30,30a,30bは、例えば、CCDなどのさまざまな種類の画像感知アレイのうちのどれかとすることができる。偏光子および検光子は、ワイヤグリッド型または他の偏光子タイプとすることができる。
【0048】
[照明場発生器112]
図10は、輪郭撮像に使用される干渉縞投影パターンと色合い撮像に使用される一様な照明場の両方を形成するための照明場発生器112の一実施形態を示している。
図10の実施形態では、光源80は、干渉縞投影撮像用の光源として使用される。モノクロ光源80は、発光ダイオード(LED)またはレーザーなどの固体光源であるか、またはランプもしくは他の光源とすることができる。350nm〜400nm波長帯の青色または近UV光は、前の方で説明されているように、歯の近表面部分から使用可能な画像成分を供給するために使用される。2色性の表面92は、光源80からレンズまたは他の光学素子82に350nm〜400nmの光を伝送する。
図10の実施形態において光源81r,81g,および81bを含むものとして示されている、多色光源78は、色合い撮像に必要な多色照明光を放出する。一実施形態では、光源81r,81g,および81bは、それぞれ、赤色、青色、および緑色のLEDであり、カラー画像を形成するために同時に、または順次に電力の供給を受ける。代替色の光源、または異なる波長帯域を持つ固体光源などの異なる数のカラー光源を他の実施形態において使用することが可能である。その代わりに、白色光LED、ランプ、有機LED(OLED)、あるいは1つ以上のレーザーもしくは他の固体発光体などの単一の白色光源、または他の光源を、光源78からの多色照明光を放出するために使用することが可能である。2色性の表面92は、光源78から光学素子82に向けて多色光を反射する。
【0049】
光源80は、その代わりに、干渉縞投影画像を取得するためにフィルタが照明経路内に、あるいは検出経路88または照明経路と検出経路の両方に沿って備えられている広帯域光源とすることも可能であることに留意されたい。代替実施形態では、単一の広帯域光源が、干渉縞投影およびカラー撮像の両方に使用され、移動可能フィルタは干渉縞投影撮像時にモーターまたは他のアクチュエータによって適所に位置決めされ、カラー撮像時に照明経路から取り除かれる。
【0050】
さらに
図10を参照すると、照明光線を形成するために空間光変調器84が備えられている。一実施形態では、空間光変調器84は、例えば、テキサス州ダラス所在のTexas Instruments社のDigital Light Processor(DLP(商標))などのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD,digital micromirror device)である。液晶デバイス(LCD)または他の電子制御光変調器をその代わりに使用することも可能である。干渉縞投影撮像では、空間光変調器84は、モノクロ光源80からの照明光を使用して構造光の特徴付けられた干渉縞投影パターンを形成する。カラー撮像では、空間光変調器84は、その後歯に当てられる光の実質的に一様な場を形成する。
【0051】
空間光変調器(SLM)は、照明光線を整形し、輪郭干渉縞パターンを形成する上で多数の利点を有する。一利点として、光度のSLMのピクセルベースの制御により、投影された光線またはパターンの非一様性に対する補正を行うことができる。このような能力があるため、SLMは、例えば、経年変化などにより生じる、光源の非一様性を補正することができる。SLMは、輪郭撮像または色合い撮像のいずれかについて投影された照明光パターンを動的に変化させることができる。例えば、同じパターン、または輪郭データを取得するために使用されたのと異なるパターンを使用して、色合い測定のためにパターン形成された照明光線を形成すると都合がよいと思われる。SLMは、半透明度の測定に対して有利な場合がある、1つ以上の光線または1つ以上の点源を形成するために使用することもできる。
【0052】
[適応型干渉縞投影撮像]
前述の背景技術の文献において指摘されているように、歯の顕著な輪郭は、互いに関して急勾配になっている複数の表面を備え、このため、それぞれの表面に十分な光を当てる作業が困難になっている。その結果、歯のいくつかの表面は、十分な3D情報をもたらしえない。
図11A〜
図11Cを参照すると、この問題は、歯20の背面26に関して表されている。撮像装置10から出るパターン形成された光は、
図11Bに示されているように、歯20上に輪郭検出干渉縞パターン44を生成する。干渉縞パターン44は、領域52上にアウトラインが示されているように、上面46の上で3D画像内容を取得するのに十分な輝度を持つが、歯20の裏面26に対応し、暗領域54としてアウトラインが示されている背面領域は、非常に薄暗くなっている。このため、裏面26の輪郭のよくても粗い推定しかできない。
【0053】
従来の干渉縞投影パターン形成技術を使用してこのような輝度の不足を補正するために、本発明の一実施形態では、所定の領域上の投影された干渉縞パターン照明の光度を選択的に高める。
図11Cでは、干渉縞パターン50は、その相対的光度によって区別される、2つの異なる領域を持つものとして示されている。干渉縞パターン50では、第1の光度56は、輪郭撮像のためにより容易にアクセス可能な上面46などの表面の干渉縞投影撮像のために与えられる。第2の光度58は、図示されている実施例については第1の光度56より高く、
図11Cの暗色線によって示されている通りであり、歯の背面領域について与えられる。この実施例におけるパターン特徴である投影された等高線の実際のパターン特徴の間隔および太さは、この実施形態では変わらないことが見て取れるはずである。干渉縞パターン50の同じ空間周波数は、保たれる。これは、輪郭パターン、干渉縞パターン50は、寸法的に一様のままであり、個別の線または他のパターン特徴は強度のみが変わり、寸法または間隔(周期)は変わらないことを意味している。必要ならば、1つ以上の領域上の干渉縞パターン照明の相対的光度のみが高められる。例えば、構造光干渉縞パターン50内のどれか1つの線に沿って、
図11Cの第1の光度56および第2の光度58として示されているような2つの光度など、多数の光度がありうる。干渉縞パターン内の線の太さは、変わらず、干渉縞パターンの空間周波数は、保たれる。
【0054】
干渉縞パターンの寸法的一様性および空間周波数を維持することは、輪郭撮像にとって有利である。これは、画像場の全体において一様な分解能をもたらすからである。特定の領域上のパターンの線を太くするなど、パターンの寸法それ自体を変えるための他の技術が提案されているが、干渉縞パターンの空間周波数は、そのような技術を使用したときに変わるため、その結果得られる輪郭画像の分解能は非一様となる。
図11Cに示されている例示的な干渉縞パターン50に関して、第2の光度58として示されている領域が実際にはより太い線を使用していた場合に、結果として得られる輪郭画像は、この領域上で分解能を下げることになることを観察することは有益である。干渉縞パターン50の線を寸法的に一様なものとして維持し、この実施例における第2の光度58を与えるように光度を高めるだけにすることによって、本発明の実施形態では、暗領域上の分解能を失うことなく照明を高める。
【0055】
図11A〜
図11Cの略図は、干渉縞パターン50が2つの異なる光度56および58を使用することによって表面の急勾配を補正する単純な事例を示していた。
図12Aおよび12Bは、2つよりも多い光度を使用する他の可能な配置構成の例を示している。
図12Aでは、例えば、干渉縞パターン照明に対する光は、この実施例の最高光度として表される、第1の光度56、第2の光度58、または第3の光度66とすることができる。
図9Bでは、光は、それぞれ第1の光度56、第2の光度58、または第3の光度66、あるいは図示されているようにさらに高い第4の光度68とすることができる。光度は、投影された干渉縞パターン50内の単一の線に沿うなど、個別のパターン特徴に沿って変化しうる。
【0056】
歯表面の暗領域上の光度を撮像装置10の位置に対して相対的に増大することに加えて、そうでなければ検出器の飽和を引き起こす高い正反射がありうる領域上で光度を下げることも可能である。ここでもまた、変化するものは、投影された光パターンの1つ以上の部分にわたる光度であることに留意されたい。線の太さおよび間隔は、両方とも空間周波数に関係しており、異なる光度に対しても同じままである。
【0057】
図5または
図9のブロック図を再び参照すると、投影されたパターン上の光度は、プログラムされた命令に応答する、制御論理プロセッサ34からのコマンドを使って、また制御論理プロセッサ34から関係する制御コンポーネントに供給される信号を使って照明場発生器112を制御することにより変えることができる。次いで、パルス幅変調(PWM)を使用してDMDの回転可能なミラーの実効デューティサイクルを高めることによって、投影された干渉縞パターン50の一部で光度を高めることができる。これにより、光源の照明光が干渉縞パターンの特定の部分の上で適当な長さの時間の間供給される。照度調節の他の方法は、画像処理分野の当業者にとって馴染みのある光変調技術を使用して、LCDに適用され、さらに他の透過性および発光性の空間光変調器にも適用され得る。
【0058】
図5および
図9を再び参照すると、制御論理プロセッサ34は、撮像条件に応じて干渉縞パターン50内の線または他の特徴の局所的光度を自動的に適応させる命令でプログラムされることがわかる。一実施形態では、歯のカラー撮像が最初に実行され、そのカラー画像を分析して、光度を高める照明の部分を決定する。他の実施形態では、初期干渉縞投影画像を取り込み、チェックして、輪郭画像を取得するために光度の増減を行う領域を決定する。次いで、この情報を使用して、実際の輪郭画像が取り込まれる。
【0059】
図13の論理流れ図は、一実施形態における適応型干渉縞投影撮像に使用される一連のステップを示している。初期ステップS60では、第1の参照画像が得られる。参照画像は、歯表面上に構造光を投影することによって形成される、輪郭画像とすることができる。その代わりに、参照画像は、光の一様な場の歯表面上への投影から得られる従来の2次元画像とすることができる。得られる参照画像は、高分解能のものであってよい。あるいは、参照画像は撮像に直接的には使用されないが、代わりにそれぞれの表面領域上で返される光の全量を決定するために使用されるので、参照画像は、低い分解能であってもよい。
【0060】
なおも
図13を参照すると、分析ステップS64が続き、そこで、十分に明るくない感知された参照画像からの領域が識別される。歯科用撮像用途については、分析ステップS64で、歯構造に関する既知のデータを利用することができる。例えば、操作者は、数によって歯を識別することができるか、または分析ステップS64で使用される他の情報を与えることができる。次いでマップ生成ステップS70が実行され、そこで、より大きな、または小さな光度の領域が第1の参照画像に従って画定される。
図12Aおよび
図12Bに関して、ステップS70は、次いで、可変光度干渉縞パターン50を設定する。次いで、画像取得ステップS74において、
図11A〜
図11Cに関して説明されているように輝度が加えられた輪郭画像を取得するために生成された干渉縞パターン50を使用する。画像取得ステップS74の後に、マップ生成ステップS70の分析を繰り返すオプションのループステップS76を実行し、それにより、投影された構造照明光パターンが、光度の適切な変更とともに、1回以上シフトされるように第2の、または他の追加のマッピングを生成することができる。このシフトは、干渉縞投影技術を使用して歯の輪郭のより正確な評価を行うために実行される。個別に得られた輪郭画像を組み合わせて、画像処理分野において周知の技術を使用することで、表面構造情報を取得する。一実施形態では、画像取得ステップS74は、共偏光(
図6Aに示されているような)と交差偏光(
図6B)の両方を使用して画像を得るために通電アクチュエータ18(
図5)も備える。
【0061】
代替実施形態では、輪郭干渉縞パターンの線の太さまたは他のパターン要素の相対的サイズは、歯の一部にわたって追加の光を供給するか、または減光するように変えることが可能であることに留意されたい。しかし、輪郭撮像データは、分解能が低くなり、形状計算処理がより複雑なものとなる。
【0062】
本発明の実施形態は、光の特性および空間光変調器の機能を利用して適合型干渉縞投影パターンを形成することによって歯に対するカラー撮像および改善された輪郭撮像の両方を行う。空間光変調器を使用すると、可変光度の干渉縞パターンを形成することができ、さらにカラー撮像のための一様な照明場も形成できる。干渉縞投影画像とカラー画像を別々に迅速に続けて撮像し、歯または他の構造物の正確なカラー3D画像を形成するために形状および色合いの内容を位置合わせすることに関連する問題を最小限に抑えることができる。本発明の装置および方法は、干渉縞投影撮像については短波長の光を使用し、干渉縞投影およびカラー撮像の両方については偏光の原理を使用することによって歯の半透明性に関係する問題を補う。
【0063】
図1に関して前の方で説明されているように、本発明の装置および方法を使用して得られた画像データは、クラウンおよび他の義歯の加工の精度と適時性を改善するために使用できる。これにより、いくつかの条件の下で印象を採取する必要が軽減されるか、なくなり、歯科治療の全体的費用が低減されうる。したがって、この方法および装置を使用して撮像を実行することで、歯科医による調節がほとんどまたは全くなしで取り付けられる、優れた装着感の補綴装置を実現することができる。他の態様から、本発明の装置および方法は、歯、支持構造物、および噛み合わせの長期間にわたる追跡に使用することができ、これにより、診断がしやすくなり、また重大な健康上の問題を防止することができる。全体として、このシステムを使用して生成されるデータは、患者と歯科医との間、および歯科医、職員、および研究設備の間のコミュニケーションの改善に役立てるために使用されうる。
【0064】
有利には、本発明の装置および方法は、歯表面に対し特殊な粉末を使用したり、他の何らかの一時的コーティングを施したりすることなく歯および他の歯の特徴の3D撮像を行うための口腔内撮像システムを実現する。一実施形態におけるシステムは、25μm〜50μmの範囲で高分解能を達成する。
【0065】
本発明は、本発明の現在好ましい実施形態を特に参照しつつ詳しく説明されているが、本発明の精神および範囲内で変更および修正を加えることができることは理解されるであろう。例えば、多数の異なる種類の空間光変調器のうちのどれかを、照明場発生器の一部として使用することが可能である。さまざまな略図内に単一コンポーネントとして示されている、レンズ16および22は、1つ以上の屈折または反射素子を用いたより複雑な配置構成とすることも可能である。
【0066】
なお、以下に付記として本発明の構成の例を示す。
(付記1)
第1の光源から入射光を受けたときに輪郭縞投影パターンを有し、第2の光源から入射光を受けたときに実質的に一様な照明場を有する照明光線を形成するように作動可能な空間光変調器を備える照明場発生器と、
前記照明場発生器から放射される前記照明光線の経路内にあり、第1の偏光透過軸を有する偏光子と、
歯表面の方へ前記偏光された照明光線を入射照明光として向けるように配置されている投影レンズと、
前記歯表面で前記入射照明光から反射され、散乱された光の少なくとも一部を検出経路に沿った方向に向けるように配置されている結像レンズと、
前記検出経路に沿って配置され、第2の偏光透過軸を有する偏光選択的要素と、
前記偏光選択的要素を通じて供給される前記光から画像データを取得するための前記検出経路に沿って配置されている少なくとも1つの検出器と、
前記第1の光源と第2の光源とに順次、電力を交互に供給し、前記少なくとも1つの検出器から輪郭干渉縞投影データおよびカラー画像データの両方を取得するためのプログラムされた命令に応答する制御論理プロセッサと、
を備えることを特徴とする口腔内撮像装置。
(付記2)
付記1に記載の撮像装置であって、
前記偏光子または前記偏光選択的要素のいずれかに結合され、前記結合された偏光子または偏光選択的要素を回転して2つの各直交位置のうちの一方に来るように電力の供給を受けることができるアクチュエータをさらに備える、
ことを特徴とする撮像装置。
(付記3)
付記1に記載の撮像装置であって、
前記偏光選択的要素は、検光子である、
ことを特徴とする撮像装置。
(付記4)
付記1に記載の撮像装置であって、
前記偏光選択的要素は、偏光ビームスプリッタであり、
前記少なくとも1つの検出器は、前記偏光ビームスプリッタを透過する光を受け取るように配置された第1の検出器を備え、前記偏光ビームスプリッタから反射された光を受け取るように配置された第2の検出器をさらに備える、
ことを特徴とする撮像装置。
(付記5)
付記1に記載の撮像装置であって、
前記空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスおよび液晶デバイスからなる群から選択される、
ことを特徴とする撮像装置。
(付記6)
付記1に記載の撮像装置であって、
前記第1の光源および第2の光源のうちの少なくとも一方は、発光ダイオードである、
ことを特徴とする撮像装置。
(付記7)
付記1に記載の撮像装置であって、
前記第2の光源は、複数の固体光源を含む、
ことを特徴とする撮像装置。
(付記8)
付記1に記載の撮像装置であって、
前記検出経路に沿って配置され、350nm〜500nm波長帯の光に対し透過性を有するフィルタをさらに備える、
ことを特徴とする撮像装置。
(付記9)
口腔内撮像のための方法であって、
第1の光源から光を放射するときに輪郭干渉縞投影パターンを有し、第2の光源から光を放射するときに一様な照明場を有する照明光線を形成することと、
第1の偏光透過軸に沿って照明光線を偏光することと、
歯表面の方へ前記偏光された照明光線を入射照明光として向けることと、
前記入射照明光から前記歯表面で反射され、散乱された前記光の少なくとも一部を検出
経路に沿った方向に向けることと、
第2の偏光透過軸を有する偏光選択的要素を前記検出経路に沿って配置することと、
前記第1の光源および前記第2の光源を順次、交互に通電し、輪郭干渉縞投影画像データおよびカラー画像データの両方を、前記偏光選択的要素を通じて供給される前記光から取得することと、
を含むことを特徴とする方法。
(付記10)
付記9に記載の方法であって、
前記第1の光源は、350nm〜500nmの波長帯の光を放射する、
ことを特徴とする方法。
(付記11)
付記9に記載の方法であって、
前記照明光線を形成することは、空間光変調器を通電することを含む、
ことを特徴とする方法。
(付記12)
付記9に記載の方法であって、
前記輪郭干渉縞投影データを前記カラー画像データに位置合わせすることをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
(付記13)
付記9に記載の方法であって、
前記輪郭干渉縞投影パターンを有する前記照明光線を形成することは、前記歯表面に対応する前記干渉縞投影パターンの1つ以上の部分の光度を高めることをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
(付記14)
付記13に記載の方法であって、
前記光度を高めることにおいて、前記干渉縞投影パターンの空間周波数を保つ、
ことを特徴とする方法。
(付記15)
付記9に記載の方法であって、
前記第2の光源から光を放射することは、2つ以上の固体光源のうちのそれぞれから光を相次いで放射することを含み、
前記固体光源は、異なる波長域の光を放射する、
ことを特徴とする方法。