【実施例1】
【0017】
以下、実施例1に係る破砕装置について
図1〜
図5に基づいて説明する。
図1に示すように、ショベル系掘削機である油圧ショベル1は、1対のクローラ2を備えた下部走行体3と、この下部走行体3の上部に旋回自在に装備され操作者が乗り込む運転室を備えた上部旋回体4とを有している。上部旋回体4の後部には、油圧供給源として油圧ポンプ(図示略)と、この油圧ポンプを駆動する油圧発生用エンジン(図示略)と、後述する破砕装置20に対する油圧の供給/排出を切替えるバルブユニット(図示略)等が配設されている。
【0018】
この油圧ショベル1は、後端を上部旋回体4に回動可能に支持されたブーム5と、このブーム5を傾動させる油圧式のブームシリンダ6と、ブーム5の前端部に後部が回動可能に支持されたアーム7と、このアーム7を傾動させる油圧式のアームシリンダ8と、油圧式のバケットシリンダ9と、アーム7の先端部に連結されたバケット10を含む破砕装置20等を備えている。
【0019】
アーム7は、ブーム5の前端部に回動可能に支持されている。
アームシリンダ8のシリンダ本体の基端部がブーム5の途中部に回動可能に支持され、アームシリンダ8のピストンロッドの先端部がアーム7の後端部に回動可能に支持されている。アームシリンダ8のピストンロッドが伸長又は収縮したとき、アーム7はアーム揺動軸を回動中心として前後方向へ回動する。
【0020】
アーム7には油圧ポンプに接続された油圧式バケットシリンダ9が設けられている。
図1に示すように、バケットシリンダ9は、破砕作業時、アーム7に対して前方、所謂上部旋回体4と反対側に配設されている。バケットシリンダ9のシリンダ本体の基端部がアーム7の基端側途中部に回動可能に支持され、ピストンロッド9a(出力ロッド)がバケットシリンダ9の長さ方向(軸心方向)に伸縮可能に構成されている。
【0021】
次に、破砕装置20について説明する。
図1〜
図5に示すように、破砕装置20は、バケット10と、破砕フレーム21と、バケット固定手段30と、リンク機構40等を備え、バケット10によって掬い込んだ破砕対象物を破砕フレーム21によって挟圧破砕可能に構成されている。
この破砕装置20は、連結軸14aとバケット固定手段30によって油圧ショベル1のアーム7の先端部分に対して着脱可能なアタッチメントである。
【0022】
バケット10は、破砕作業時、アーム7に対して後方向きに、所謂上部旋回体4側に配設されている。このバケット10は、矩形状の導入口10aから掬い込んだ破砕対象物を収容可能な本体部11と、この本体部11の上端部から上方へ張り出した取付部12とを備えている。本体部11の底壁部上面には、後側部分において上方に突出した複数の突起22と、前側部分において上方に突出し且つ前後方向に延びる複数のジョー歯23とが設けられている。複数の突起22は、前記後側部分の中央位置に配置された第1突起22aと、この第1突起22aの周囲に配置され第1突起22aよりも歯高さが低い複数の第2突起22bによって構成されている。
【0023】
バケット10内には、本体部11の底壁部と協働して破砕対象物を挟圧破砕可能な略矩形板状の破砕フレーム21が配設されている。
破砕フレーム21は、前端部が本体部11の左右1対の側壁部の前部の下部に形成された第1枢支部13に回動可能に支持されている。
バケット10には、本体部11の底壁部前端部分に砕片(破砕物)をバケット10内から排出するための排出口10bが形成されている。
【0024】
破砕フレーム21の下面には、下方に突出した複数の突起24と、下方に突出し且つ前後方向に延びる複数のジョー歯25とが設けられている。複数の突起24は、挟圧状態のとき第1突起22aに対向した位置の近傍位置に配置された第1突起24aと、この第1突起24aの周囲に配置され第1突起24aよりも歯高さが低い複数の第2突起24bとを備えている。これにより、破砕初期、第1突起22aと第1突起24aが破砕対象物に亀裂の起点をを形成し、破砕中期、第2突起22bと第2突起24bが破砕対象物を比較的大きな砕片に破砕し、破砕後期、ジョー歯23とジョー歯25とが破砕対象物を小粒径の砕片まで破砕している。
【0025】
バケット10には、上端部から上方に延びる取付部12が形成されている。
取付部12の左右1対の側壁部には、バケット10を連結軸14aを介してアーム7の先端部に連結するための連結部14と、この連結部14よりも下方に形成された第2枢支部15とが夫々設けられている。これにより、連結部14によってバケット10をアーム7に連結することができ、バケット固定手段30によって連結部14を中心としたバケット10の揺動を規制している。
【0026】
バケット固定手段30は、取付部12の上端部から上方に延びる延長アーム31と、この延長アーム31の上端部をアーム7の長さ方向途中部に締結するための締結部32とを備えている。延長アーム31の後壁部の下端は、導入口10aの上端部を形成している。
締結部32は、アーム7の前側部分に当接可能な当接部33と、延長アーム31の左右1対の側壁部の上端部と当接部33とを左右方向に貫通する軸部34と、アーム7の後側部分に当接可能な略コ字状のブラケット35とを備えている。そして、ブラケット35の左右両端部分には、軸部34の左右両端部に形成された開口に挿通可能なねじ部が夫々形成されている。
ねじ部に螺合されたナット(図示略)を締め付け側に操作して当接部33とブラケット35との間隔を狭くすることにより、アーム7の長さ方向途中部を前後方向から挟持することができ、バケット10の揺動を規制することができる。
【0027】
次に、リンク機構40について説明する。
図1〜
図5に示すように、リンク機構40は、バケットシリンダ9の駆動力を破砕フレーム21の破砕力に変換するための機構である。このリンク機構40は、平面視にて略H字状のHリンク41と、側面視にて略直線状のサイドリンク42と、側面視にて略L字状の可動フレーム43と、側面視にて略直線状の揺動リンク44を備えている。
【0028】
Hリンク41は、一端部がピストンロッド9aの先端部に回動可能に連結されている。サイドリンク42は、一端部がピストンロッド9aの先端部に回動可能に支持され、他端部がアーム7の先端側部分に回動可能に支持されている。
Hリンク41とサイドリンク42は、ピストンロッド9aが伸長動作したとき、Hリンク41の他端部とサイドリンク42の他端部とが離隔し、ピストンロッド9aが短縮動作したとき、
図1に示すように、Hリンク41の他端部とサイドリンク42の他端部とが接近するように構成されている。
【0029】
図4,
図5に示すように、可動フレーム43は、側面視にて下方に屈曲した略L字形状に形成されている。
可動フレーム43は、Hリンク41の他端部に回動可能に支持された入力端部43aと、第2枢支部15に回動可能に支持された枢支端部43bと、側面視にて下方に屈曲した位置に形成された途中部43cとを備えている。側面視にて入力端部43aから途中部43cまでの長さが、枢支端部43bから途中部43cまでの長さの約2倍以上の長さに設定されている。途中部43cは、ピストンロッド9aが伸長動作したとき、第1枢支部13と連結部14とを結ぶ延長線よりも後側に配置され、ピストンロッド9aが短縮動作したとき、第1枢支部13と連結部14とを結ぶ延長線よりも前側に配置される。
【0030】
揺動リンク44は、一端部が可動フレーム43の途中部43cに回動可能に支持され且つ他端部が破砕フレーム21の後端部に回動可能に連結されている。
これにより、揺動リンク44は、ピストンロッド9aが伸長動作したとき、破砕フレーム21を第1枢支部13を中心として時計回りに回動し、ピストンロッド9aが短縮動作したとき、破砕フレーム21を第1枢支部13を中心として反時計回りに回動する。
また、入力端部43aから途中部43cまでの長さを枢支端部43bから途中部43cまでの長さの2倍以上にすることにより、バケットシリンダ9の駆動力(例えば20t)よりも高い破砕フレーム21の破砕力(例えば40t)を得ることができる。
【0031】
次に、実施例1に係る破砕装置20の作用、効果について説明する。
この破砕装置20は、油圧ショベル1のバケットシリンダ9の駆動力により破砕フレーム21を駆動するため、破砕フレーム専用の油圧シリンダや、この油圧シリンダに必要な油圧配管等を省略することができ、製作コストを低減することができる。
また、バケット10内に油圧シリンダを配置する必要がないため、バケット10を大きくすることなく破砕対象物を収容する大きな有効容量を確保することができ、破砕処理能率を向上することができる。
【0032】
バケット固定手段30が、バケット10から上方へ延びた延長アーム31と、延長アーム31の上端部をアーム7の途中部に締結する締結部32とを有するため、バケット10をアーム7の先端部に簡単な構成で着脱可能に装着することができ、装置のコンパクト化を図ることができる。
アーム7に対してバケット10が油圧ショベル1の上部旋回体4側に配設されているため、運転室のオペレータがバケット10内の処理状況を視認しながら破砕処理を実行することができる。
【0033】
破砕フレーム21の他端部と可動フレーム43の途中部43cとを回動自在に連結する揺動リンク44を設けたため、簡単な構成でアーム7に対して運転室と反対側に配設されたバケットシリンダ9からアーム7に対して運転室側に配設されたバケット10内の破砕フレーム21に駆動力を伝達することができ、装置のコンパクト化を更に図ることができる。
【0034】
可動フレーム43は、側面視にて下方に屈曲した略L字形状を有し、入力端部43aから途中部43cまでの長さが枢支端部43bから途中部43cまでの長さの約2倍以上の長さに設定されているため、破砕フレーム21の破砕力を増加でき、破砕処理能率を一層向上することができる。
【0035】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、バケットをアームに対して運転室側に配設した例を説明したが、アームに対して運転室と反対側に配設することも可能である。
【0036】
2〕前記実施形態においては、油圧ショベルのバケットシリンダと破砕フレームとの間にHリンク、サイドリンク、可動フレーム、揺動リンクから構成されたリンク機構を設けた例を説明したが、Hリンクとサイドリンクを省略しても良い。
【0037】
3〕前記実施形態においては、L状の可動フレームを用いた例を説明したが、C字状の可動フレームでも良く、形状は任意に設定することができる。また、入力端部から途中部までの長さを枢支端部から途中部までの長さの2倍以上に設定した例を説明したが、設計条件に応じて比率を変更しても良い。
【0038】
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。