【解決手段】圧電素子本体200の一方の側面から主面に亘り形成された第1外部電極310と、圧電素子本体200の他方の側面から前記主面に亘り形成された第2外部電極320とを備え、圧電素子本体200の主面には第1外部電極310及び第2外部電極320の対向領域において第1外部電極310及び第2外部電極320の一方又は双方の少なくとも一部を被覆する絶縁膜501,502が形成されている。
圧電体層と一つ又は複数の内部電極とを積層してなる圧電素子本体と、圧電素子本体の一方の側面から主面に亘り形成された第1外部電極と、圧電素子本体の他方の側面から前記主面に亘り形成された第2外部電極とを備え、内部電極は圧電素子本体の側面において第1外部電極及び第2外部電極の何れか一方に電気的に接続した圧電素子において、
圧電素子本体の主面には第1外部電極及び第2外部電極の対向領域において第1外部電極及び第2外部電極の一方又は双方の少なくとも一部を被覆する絶縁膜が形成されている
ことを特徴とする圧電素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、圧電素子の実装先となる各種電子機器の小型化・高密度化に伴い、圧電素子の実装密度や実装自由度の向上、また実装の容易性などが課題となっている。具体的な要望として、圧電素子本体の側面ではなく表面のみにリード線を半田付けしたいというものがある。このような課題を解決する方策としては、上記従来の圧電素子において圧電素子本体の側面のみに形成された第2外部電極を、圧電素子本体の表面にまで延長して形成することが挙げられる。しかしこの場合、圧電素子本体の表面には既に第1外部電極が形成されているので、第1外部電極と第2外部電極との間のクリアランスが小さくなってしまい、実装の際に電極間が短絡するおそれがある。これを解決するために、圧電素子本体の主面に形成された第1外部電極の形成面積を小さくすることにより電極間のクリアランスを十分に確保する方策が考えられる。しかし、圧電素子本体の主面に形成された第1外部電極は、内部電極との間の圧電効果に資するものである。このため、第1外部電極を小さくすることは変位量の減少を招くおそれがある。さらに第1外部電極と内部電極との間の変位領域と、内部電極間の変位領域が厚み方向で一致しなくなるので、圧電素子本体内に応力が生じ、クラック発生の原因となるおそれもある。さらに、この種の圧電素子は、圧電素子本体の一方の主面にシム板と呼ばれる振動板を付設して用いられることが一般的である。ここで、シム板は金属製の板状部材が用いられることが多い。このため、第1外部電極及び第2外部電極が形成された主面にシム板と呼ばれる振動板を付設した場合、振動板により電極間が短絡するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、良好な状態で高密度実装が可能な圧電素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、圧電体層と一つ又は複数の内部電極とを積層してなる圧電素子本体と、圧電素子本体の一方の側面から主面に亘り形成された第1外部電極と、圧電素子本体の他方の側面から前記主面に亘り形成された第2外部電極とを備え、第1外部電極及び第2外部電極の少なくとも一方又は双方は圧電素子本体の側面において第1外部電極と第2外部電極が短絡しないように内部電極と電気的に接続した圧電素子において、圧電素子本体の主面には第1外部電極及び第2外部電極の対向領域において第1外部電極及び第2外部電極の一方又は双方の少なくとも一部を被覆する絶縁膜が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、圧電素子本体の主面に第1外部電極と第2外部電極が形成され、且つ、第1外部電極と第2外部電極とが対向する領域に絶縁膜が形成されているので、第1外部電極と第2外部電極の間の絶縁性を十分に確保することができ、結果として実装密度の向上を図ることができる。
【0008】
本発明の好適な態様の一例としては、圧電素子本体の一方の主面に付設された振動板を備え、前記絶縁膜は圧電素子本体の他方の主面に形成されていることを特徴とするものが挙げられる。本発明によれば、振動板が付設されていない側の圧電素子本体の主面に第1外部電極と第2外部電極が形成されているので、該主面において一対のリード線の双方を半田付けすることができるなど、実装密度の向上や実装の容易性の向上が図れる。また、本発明では、第1外部電極と第2外部電極とが対向する領域に形成された絶縁膜により、第1外部電極の露出領域と第2外部電極の露出領域のクリアランスを十分に確保することができ、これによりリード線の半田付けなどの実装工程を容易に行うことができる。また、本発明では、第1外部電極と第2外部電極のクリアランスを大きく確保する必要がないので、大きな変位領域を確保することができる。
【0009】
本発明の好適な態様の他の例としては、圧電素子本体の一方の主面に付設された振動板を備え、前記絶縁膜は圧電素子本体の前記一方の主面において第1外部電極及び第2外部電極の一方又は双方の全面を被覆するように形成されていることを特徴とするものが挙げられる。本発明によれば、振動板が導電性を有する場合であっても、振動板を介して第1外部電極と第2外部電極が短絡することを絶縁膜により防止できるので、振動板の実装工程が容易となる。なお絶縁膜は、第1外部電極と第2外部電極の少なくとも一方の全面に形成すれば足りる。この場合、振動板をリード線等の接続端子として機能させることもできる。
【0010】
本発明の好適な態様の他の例としては、圧電素子本体の一方の主面に付設された振動板を備え、前記絶縁膜は圧電素子本体の双方の主面に形成され、且つ、圧電素子本体の一方の主面においては第1外部電極及び第2外部電極の一方又は双方の全面を被覆するように形成されていることを特徴とするものが挙げられる。本発明は、上記2つの態様の作用及び効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、圧電素子本体の主面に第1外部電極と第2外部電極が形成され、且つ、第1外部電極と第2外部電極とが対向する領域に絶縁膜が形成されているので、第1外部電極と第2外部電極の間の絶縁性を十分に確保することができ、結果として実装密度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
本発明の一実施の形態に係る圧電素子について図面を参照して説明する。
図1は圧電素子の断面図である。なお同図は、本発明の特徴を明瞭にすべく模式的に記載したものであり、必ずしも実物とは寸法比等が一致しない点に留意されたい。
【0014】
本実施の形態に係る圧電素子1は、
図1に示すように、1つの圧電素子100を、シム板と呼ばれる振動板10の一方の主面に接着材20により接着したものである。なお、このような圧電素子100と振動板10の組はユニモルフ型の圧電素子と呼ばれる。
【0015】
圧電素子100は、略直方体形状の圧電素子本体200と、圧電素子本体200の一方の側面から両主面に亘って形成された第1外部電極310と、圧電素子本体200の他方の側面から両主面に亘って形成された第2外部電極320とを備えている。
【0016】
圧電素子本体200は、複数(本実施の形態では2つ)の圧電体層205と、一つ又は複数(本実施の形態では1つ)の内部電極210とを積層してなる。
【0017】
圧電体層205は、圧電セラミックなどの適宜の圧電材料により形成されている。本実施の形態では、圧電セラミックを用い、具体的にはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミックを用いた。
【0018】
内部電極210は、圧電素子本体200に複数設けられている場合には、交互に圧電素子本体200の異なる側面に露出する。圧電素子本体200に内部電極210が1つの場合には、圧電素子本体200の一方の側面に露出する。内部電極210は、圧電素子本体200の側面において第1外部電極310又は第2外部電極320と電気的に接続する。本実施の形態では、内部電極210は1つであり、第2外部電極320が形成されている圧電素子本体200の側面に露出し、第2外部電極320と電気的に接続する。内部電極210は、圧電体層205を介して対向する他の内部電極210、又は、第1外部電極310或いは第2外部電極320であって圧電素子本体200の主面に形成された部位と対向し、圧電効果による変位領域を形成する。このため内部電極210は、第1外部電極310と第2外部電極320が短絡しない範囲で大きく形成することが好ましい。内部電極210は、Ag、Cu、Sn、Au、Ni,Fe、Pd、Pt等の金属やこれらの合金により形成される。本実施の形態ではAg−Pd合金を用いた。
【0019】
第1外部電極310は、圧電素子本体200の一方の側面の全面に形成された側面部311と、振動板10が付設されていない側の主面側に張り出した第1張出部312と、振動板10が付設されている側の主面側に張り出した第2張出部313とを一体に形成してなる。本実施の形態では内部電極210が1つのみであるという関係上、側面部311は内部電極210とは接続されていない。第1張出部312及び第2張出部313は、圧電体層205を介して内部電極210と対向し、圧電効果による変位領域を形成する。このため、第1張出部312及び第2張出部313は、第2外部電極320と短絡しない範囲で大きく形成することが好ましい。また、第1張出部312及び第2張出部313は、内部電極210との関係で変位領域が厚み方向で一致すると好ましい。変位領域と非変位領域との界面又はその近傍における応力の発生を軽減し、クラックの発生などを防止するためである。本実施の形態では、第1張出部312及び第2張出部313を、同一形状とした。第1外部電極310は、Ag、Cu、Sn、Au、Ni,Fe、Pd、Pt等の金属やこれらの合金により形成される。本実施の形態ではAg−Pd合金を用いた。
【0020】
第2外部電極320は、圧電素子本体200の他方の側面の全面に形成された側面部321と、振動板10が付設されていない側の主面側に張り出した第1張出部322と、振動板10が付設されている側の主面側に張り出した第2張出部323とを一体に形成してなる。側面部321は、内部電極210と電気的に接続している。第1張出部322及び第2張出部323は、圧電体層205を介して内部電極210と対向しているものの、該内部電極210と各張出部322,323とは電気的に接続しているので、両者間では圧電効果による変位領域は形成しない。このため、圧電効果という観点からは、第1張出部322及び第2張出部323の大きさは不問である。しかし、圧電素子本体201からの剥離を防止する等の観点から、第1外部電極310の大きさに影響を与えず、且つ、第1外部電極310と短絡しない範囲で大きく形成することが好ましい。第2外部電極320は、Ag、Cu、Sn、Au、Ni,Fe、Pd、Pt等の金属やこれらの合金により形成される。本実施の形態ではAg−Pd合金を用いた。
【0021】
圧電素子本体200の一方の主面であって振動板10が付設されていない側の主面には、第1外部電極310の第1張出部312と第2外部電極320の第1張出部322とが対向する領域に、第1外部電極310の第1張出部312と第2外部電極320の第1張出部322の何れか一方又は双方の一部を被覆する第1絶縁膜501が形成されている。本実施の形態では、第1絶縁膜501は第1外部電極310の第1張出部312と第2外部電極320の第1張出部322の双方の一部と、第1外部電極310の第1張出部312と第2外部電極320の第1張出部322の間隙を被覆している。
【0022】
圧電素子本体200の他方の主面であって振動板10が付設されている側の主面には、第1外部電極310の第2張出部313と第2外部電極320の第2張出部323の何れか一方又は双方の全面を被覆する第2絶縁膜502が形成されている。ここで、第2絶縁膜502は、第1外部電極310又は第2外部電極320の全面ではなく、振動板10と対向している部位である第2張出部313又は323の何れか一方又は双方の全面に形成されるものであり、側面部311,321には形成されない点に留意されたい。本実施の形態では、第2外部電極320の第2張出部323の全面に第2絶縁膜502が形成されている。
【0023】
第1及び第2絶縁膜501,502としては、高硬度且つ均一性が良好なものが好ましい。これは、特に振動体10との接着面に形成される第2絶縁膜502について顕著である。すなわち、第2絶縁膜502として樹脂のような柔らかい材質を用いると圧電体の変位をロスしてしまい、振動源としての効果を最大限発揮できなくなるためであるとともに、第2絶縁膜502が均一な膜でないと、素子に局部的な応力を発生させることとなり、素子を壊してしまうおそれがあるためである。
【0024】
そこで第1及び第2絶縁膜501,502としては、Al
2O
3やSiO
2、SnO
2基膜であるSnO
2−InO
2−ZnO−SiO
2など、各種絶縁性の酸化膜を用いる。本実施の形態では、(44.2)SnO
2−InO
2−ZnO−SiO
2膜を用いた。当該材料を選択するに至った理由について説明する。
【0025】
この(44.2)SnO
2−InO
2−ZnO−SiO
2膜は、元来光ディスクの保護膜としての用途が一般的であり、絶縁性としての用途は一般的ではない。他方、SiO
2は絶縁膜としての用途が知られているが、材質が不導体である。本実施の形態では、後述するように第1及び第2絶縁膜501,502をDCスパッタリングにより形成することを想定している。しかし、SiO
2はDCスパッタができず、プラズマCVDやRFスパッタを用いた膜生成となるために生成速度が非常に遅く、量産向きではない。また、ITOのように導電性を持たせることで、DCスパッタとすることで膜の生成速度を向上できるが、これでは絶縁の用途から外れる。ターゲット材は導電性とし、反応性スパッタとして酸素量を増加させることで、DCスパッタの膜生成速度と絶縁性を両立できるのが、この材料である。ここで、ターゲット材は導電性であるのに、できた膜が絶縁性であることがポイントとなる。これは、スパッタ時の酸素の量を最適とすることで、具現できている。また、InをZnで置き換えることで、ITOよりも安価にできている。スパッタ法で生成させるメリットとして、膜の密着性、均一性、ピンホールレスといった特徴があり、これらも圧電素子にとっては高効果となる。
【0026】
振動板10は、42アロイ,ステンレス鋼等の導電性材料、又は、液晶ポリマー,PET等の絶縁性材料で構成される。本実施の形態では、導電性材料である42アロイを用いた。接着材20は、圧電素子100の主面の少なくとも一部に塗布される。接着材20としては、各種一般的な物を用いることができるが、本実施の形態では、嫌気性UV硬化型接着剤を用いた。接着材20は10〜30(μm)程度の厚さで塗布された後に加圧され、第1外部電極310が振動板10と電気的に接続される。一方、第2外部電極320は第2絶縁膜502により振動板10とは絶縁されている。
【0027】
次に、本実施の形態に係る圧電素子100の製造方法について説明する。まず、圧電体層205に対応するセラミック圧電材料と、圧電素子本体200の内層である内部電極210に対応する所定パターンの電極材料とを積層して積層体を得る。次に、この積層体を焼成する。次に、焼成した積層体を部品単位に裁断する。これにより内部電極210が側面に露出する。次に、スパッタリングなどの薄膜法により、第1外部電極310及び第2外部電極320を形成する。次に、DCスパッタリングにより、第1及び第2絶縁膜501,502を形成する。最後に、分極処理を行うことで圧電素子100が得られる。
【0028】
このように本実施の形態に係る圧電素子100によれば、圧電素子本体200の一方の主面に形成された第1外部電極310の第1張出部312と第2外部電極320の第1張出部322をリード線の半田付け箇所として用いることができる。これにより実装密度及び実装自由度が向上する。ここで第1外部電極310の第1張出部312の露出領域と第2外部電極320の第1張出部322の露出領域との間隔は第1絶縁膜501により十分に確保されている。これにより両電極の短絡を防止することができ、リード線等の実装容易性も向上する。なお、第1外部電極310は振動板10と導通している。このため、リード線等を第1外部電極310ではなく振動板10に接続するようにしてもよい。
【0029】
また本実施の形態に係る圧電素子100では、圧電素子本体200の他方の主面に形成された第1外部電極310の第2張出部313と第2外部電極320の第2張出部323の何れか一方又は双方の全面に第2絶縁膜502が形成されるので、電極間が振動板10により短絡することを防止できる。すなわち、圧電素子100の取付先である振動板10や接着材20が導電性を有しているか否かを気にする必要がないので、使い勝手が向上する。
【0030】
また、圧電素子本体200の一方の主面に形成された第1外部電極310の第1張出部312は、第2外部電極320の第1張出部322との間隔を確保するために形成面積を小さくしているわけではないので、変位領域を十分に確保することができる。さらに、第1外部電極310の第1張出部312と内部電極320による変位領域と、他方の主面に形成された第1外部電極310の第2張出部313と内部電極320による変位領域とは厚み方向で一致している。これにより、変位領域と非変位領域との界面又はその近傍での応力の発生を軽減できるので、クラックの発生などを防止できる。
【0031】
なお、上記実施の形態では、第1絶縁膜501は第1外部電極310の第1張出部312と第2外部電極320の第1張出部322の双方の一部を被覆しているが、何れか一方の一部のみを被覆するように構成してもよい。
【0032】
同様に、上記実施の形態では、第2絶縁膜502は第2外部電極320の第2張出部323の全面のみを被覆しているが、第1外部電極310の第2張出部313の全面のみを被覆してもよいし、第1外部電極310の第2張出部313及び第2外部電極320の第2張出部323の双方の全面を被覆してもよい。前者の場合、第2外部電極320と振動板10が電気的に接続されるので、第2外部電極320ではなく振動板10をリード線等の接続位置とすることができる。また、上記実施の形態では、第2絶縁膜502は第2外部電極320の第2張出部323の全面のみを被覆し、振動板10を圧電素子本体100に加圧接着することにより、第1外部電極100と振動板10とを導通状態にしているが、接着材20の厚みや材料等を適宜選択することにより第1外部電極100と振動板10とを絶縁状態としてもよい。このような変形例は、前述したような、第1外部電極310の第2張出部313の全面を第2絶縁膜502で被覆した場合にも同様である。
【0033】
また、上記実施の形態では、振動板10の一方の主面に1つの圧電素子100を付設したユニモルフ型の圧電素子について説明したが、
図2に示すように、振動板10の両面に上記の圧電素子100を付設してバイモルフ型の圧電素子を構成するようにしてもよい。なおこの場合、上下の素子で分極の特性が異なる点に留意されたい。
【0034】
(第2の実施の形態)
本発明の一実施の形態に係る圧電素子について図面を参照して説明する。
図3は圧電素子の断面図である。なお同図は、本発明の特徴を明瞭にすべく模式的に記載したものであり、必ずしも実物とは寸法比等が一致しない点に留意されたい。
【0035】
本実施の形態に係る圧電素子が第1の実施の形態と異なる点は、圧電素子本体200の層構造及び外部電極の構造にある。具体的には、第1の実施の形態では圧電体層205が偶数(2つ)の層構造であったが、本実施の形態では圧電体層205が奇数(3つ)の層構造になっている点が異なり、これに伴い外部電極の構造も異なる。その他の点については第1の実施の形態と同様なので、ここでは相違点のみを説明する。
【0036】
本実施の形態に係る圧電素子101の圧電素子本体201は、
図3に示すように、複数(本実施の形態では3つ)の圧電体層205と、2つの内部電極211,212とを積層してなる。
【0037】
内部電極211,212は、交互に圧電素子本体200の異なる側面に露出する。具体的には、一方の内部電極211は、圧電素子本体200の一方の側面に露出し、第2外部電極320に電気的に接続する。他方の内部電極212は、圧電素子本体200の他方の側面に露出し、第1外部電極310に電気的に接続する。一方の内部電極211は、圧電体層205を介して対向する他の内部電極212、及び、第1外部電極310であって圧電素子本体200の主面に形成された部位と対向し、圧電効果による変位領域を形成する。他方の内部電極212は、圧電体層205を介して対向する他の内部電極211、及び、第2外部電極320であって圧電素子本体200の他方の主面に形成された部位と対向し、圧電効果による変位領域を形成する。
【0038】
第1外部電極310は、圧電素子本体200の一方の側面の全面に形成された側面部311と、振動板10が付設されていない側の主面側に張り出した第1張出部312と、振動板10が付設されている側の主面側に張り出した第2張出部313とを一体に形成してなる。側面部311は内部電極212と接続している。第1張出部312は、圧電体層205を介して内部電極211と対向し、圧電効果による変位領域を形成する。このため、第1張出部312は、第2外部電極320と短絡しない範囲で大きく形成することが好ましい。一方、第2張出部313は、圧電体層205を介して内部電極212と対向しているものの、該内部電極212と第2張出部313とは電気的に接続しているので、両者間では圧電効果による変位領域は形成しない。このため、圧電効果という観点からは、第2張出部313の大きさは不問である。しかし、圧電素子本体201からの剥離を防止する等の観点から、第2外部電極320の大きさに影響を与えず、且つ、第2外部電極320と短絡しない範囲で大きく形成することが好ましい。
【0039】
第2外部電極320は、圧電素子本体200の他方の側面の全面に形成された側面部321と、振動板10が付設されていない側の主面側に張り出した第1張出部322と、振動板10が付設されている側の主面側に張り出した第2張出部323とを一体に形成してなる。側面部321は内部電極211と接続している。第2張出部323は、圧電体層205を介して内部電極212と対向し、圧電効果による変位領域を形成する。このため、第2張出部323は、第1外部電極310と短絡しない範囲で大きく形成することが好ましい。一方、第1張出部322は、内部電極211と圧電体層205を介して対向しているものの、該内部電極211と第1張出部322とは電気的に接続しているので、両者間では圧電効果による変位領域は形成しない。このため、圧電効果という観点からは、第1張出部322の大きさは不問である。しかし、圧電素子本体201からの剥離を防止する等の観点から、第1外部電極310の大きさに影響を与えず、且つ、第1外部電極310と短絡しない範囲で大きく形成することが好ましい。
【0040】
本実施の形態に係る圧電素子100では、第1外部電極310の第1張出部312と内部電極211との間、内部電極211と内部電極212との間、内部電極212と第2外部電極320の第2張出部323との間は、圧電効果による変位領域となる。ここで各変位領域は、厚み方向に一致するように各部の寸法が規定されている。
【0041】
圧電素子本体201の一方の主面であって振動板10が付設されていない側の主面には、第1外部電極310の第1張出部312と第2外部電極320の第1張出部322とが対向する領域に、第1外部電極310の第1張出部312と第2外部電極320の第1張出部322の何れか一方又は双方の一部を被覆する第1絶縁膜501が形成されている。本実施の形態では、第1絶縁膜501は第1外部電極310の第1張出部312と第2外部電極320の第1張出部322の双方の一部と、第1外部電極310の第1張出部312と第2外部電極320の第1張出部322の間隙を被覆している。
【0042】
圧電素子本体201の他方の主面であって振動板10が付設されている側の主面には、第1外部電極310の第2張出部313と第2外部電極320の第2張出部323の何れか一方又は双方の全面を被覆する第2絶縁膜502が形成されている。本実施の形態では、第2外部電極320の第2張出部323の全面に第2絶縁膜502が形成されている。
【0043】
本実施の形態に係る圧電素子101によれば、第1の実施の形態と同様の作用・効果を得ることができる。なお、本実施の形態に対しても第1の実施の形態と同様の変形例を適用できる。例えば、本実施の形態では、振動板10の一方の主面に1つの圧電素子101を付設したユニモルフ型の圧電素子について説明したが、
図4に示すように、振動板10の両面に上記の圧電素子101を付設してバイモルフ型の圧電素子を構成するようにしてもよい。なおこの場合、上下の素子で分極の特性が異なる点に留意されたい。
【0044】
以上本発明の実施の形態について詳述したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば上記第1の実施の形態では圧電体層205が2つ、第2の実施の形態では圧電体層205が3つのものを例示したが、さらに圧電体層205の層数を増やしても本発明を適用できる。