【解決手段】絶縁部120と、熱伝導性物質で形成され、前記絶縁部に挿入される第1熱伝達用構造体110と、を含み、第1熱伝達用構造体には、キャビティまたはリセス部が備えられ、その内部に電子素子200の少なくとも一部が挿入される回路基板を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、添付した図面に基づいて本発明の構成及び作用効果をより詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る回路基板100を概略的に示した断面図であり、
図2は、本発明の他の実施形態に係る回路基板100を概略的に示した断面図であり、
図3aから
図3cは、本発明の他の実施形態に係る第1熱伝達用構造体を説明するための図であって、
図3aは、第1熱伝達用構造体及び第2電子部品を概略的に示した分解斜視図であり、
図3bは、
図3aのI−I´線による断面図であり、
図3cは、第1構造層の平面形状を概略的に示した図である。そして、
図4は、本発明の一実施形態に係る回路基板の平面形状を概略的に示した図であり、
図5は、本発明の一実施形態に係る回路基板を概略的に示した水平断面図であり、
図6は、本発明の他の実施形態に係る回路基板を概略的に示した水平断面図であり、
図7は、本発明の一実施形態に係る回路基板の主要部を概略的に示した部分抜粋断面図であり、
図8は、本発明の一実施形態に係る第2熱伝達用構造体を説明するための図であり、
図9は、本発明の他の実施形態に係る第2熱伝達用構造体を説明するための図であり、
図10は、本発明のまた他の実施形態に係る第2熱伝達用構造体を説明するための図である。
【0018】
本発明の一実施形態に係る回路基板100は、第1熱伝達用構造体110を含み、第1熱伝達用構造体110は、少なくとも一部が絶縁部120に挿入される。ここで、第1熱伝達用構造体110は、熱伝導性の高い材料で形成される。そして、第1熱伝達用構造体110は、かたまり状に形成される。一実施形態において、第1熱伝達用構造体110は、円柱または多角柱形状に形成されることができる。また、第1熱伝達用構造体110は、銅などの金属材質で形成されることができる。他の実施形態において、第1熱伝達用構造体110は、黒鉛、グラファイト、グラフェンなどの熱伝導性の高い非金属材質で形成されることができる。
【0019】
一実施形態では、第1熱伝達用構造体110の一面から他面まで貫通されたキャビティ110cが第1熱伝達用構造体に備えられる。他の実施形態では、第1熱伝達用構造体110の一面から他面方向に凹むが、貫通しないリセス部(図示せず)が第1熱伝達用構造体110に備えられることができる。
【0020】
このように備えられたキャビティ110cまたはリセス部には、第2電子部品200の少なくとも一部が挿入されることが可能である。ここで、第2電子部品200としては、ICなどの能動素子や、キャパシタ、インダクターなどの受動素子がある。このような観点から、第2電子部品200を電子素子と称することもある。
【0021】
図3aから
図3cを参照すると、第1熱伝達用構造体110は、第1構造層110−1、第2構造層110−2、第3構造層110−3で構成されることができる。ここで、第1構造層110−1を中心にして第1構造層110−1の上面に第2構造層110−2が備えられ、第1構造層110−1の下面に第3構造層110−3が備えられることが可能である。そして、第1構造層110−1には貫通孔110−1cが備えられることができる。ここで、第2構造層110−2と第3構造層110−3とが同一の材質で形成され、また第2構造層110−2及び第3構造層110−3を構成する物質が貫通孔110−1cの内部に充填されることにより、第2構造層110−2、連結部110CN、及び第3構造層110−3が一体になるようにすることができる。これにより、第2構造層110−2及び第3構造層110−3が第1構造層110−1に堅固に固定されることができる。
【0022】
一実施形態において、インバー(Invar)など剛性の大きい材質で第1構造層110−1が形成され、銅(Copper、Cu)などの材質により第2構造層110−2及び第3構造層110−3が形成されることができる。これにより、第1熱伝達用構造体110が、回路基板100の歪み(Warpage)を低減させる機能が強化され、ホットスポットなどの発熱現象を効果的に緩和させることができる。
【0023】
他の実施形態では、グラファイトまたはグラフェンなど熱伝導性が著しく高い材質で第1構造層110−1を形成することができる。グラファイトやグラフェンは、XY方向への熱伝導度が非常に大きいので、要求される熱伝導方向に応じてグラファイトやグラフェンを配置することにより、所望の目的を達成することができる。一方、グラファイトやグラフェンを用いて水平方向への熱拡散を図る場合、グラファイトまたはグラフェンの層間結合力が相対的に弱い特性から、垂直方向への剥離現象が発生することがある。このとき、上述したように、第2構造層110−2と第3構造層110−3によりグラファイトまたはグラフェンを固定することにより剥離現象を緩和させることができる。
【0024】
一実施形態において、絶縁部120は、一つの絶縁層で構成されることができ、複数の絶縁層で構成されることもできる。ここで、
図1には、絶縁部120が3つの絶縁層10、121、121´で構成され、中心部に位置する絶縁層がコア部10である場合が例示されているが、これに限定されない。
【0025】
一実施形態において、第1熱伝達用構造体110は、絶縁部120の中間に位置する。図示されているように、コア部10が備えられた場合、コア部10を貫通する第1キャビティC1が形成され、第1キャビティC1内に第1熱伝達用構造体110が挿入されることが可能である。
【0026】
一実施形態において、絶縁部120に形成されたビアが第1熱伝達用構造体110と接触することができる。以下では、第1熱伝達用構造体110の上部に位置するビアを第1ビアV1、下部に位置するビアを第2ビアV2と称する。このとき、絶縁部120には少なくとも一つの金属パターンが備えられてもよく、以下では、第1ビアV1と接触する金属パターンを第1金属パターン131、第2ビアV2と接触する金属パターンを第2金属パターン141と称する。また、絶縁部120には第4ビアV4及び第5ビアV5が備えられてもよく、第4ビアV4の一端と接触する金属パターンを第3金属パターン133、第5ビアV5の他端と接触する金属パターンを第4金属パターン142と称する。
【0027】
一実施形態において、第1熱伝達用構造体110は、熱を保持する機能を果たすことができ、このような機能は、第1熱伝達用構造体110の体積が大きいほど向上する。このため、図示されているように、第1熱伝達用構造体110は、柱形状に形成されることができる。このように柱形状に形成されることにより、下面の面積が同じであれば、第1熱伝達用構造体110の体積を最大化することができる。そして、第1熱伝達用構造体110の下面及び上面の形状が多角形、特に四角形であると、第1熱伝達用構造体110の下面及び上面の形状が円形や楕円形である場合に比べて第1電子部品500の小型化の傾向や回路基板100の小型化、パターンピッチの微細化などに応えることができる。
【0028】
また、図示されているように、第1熱伝達用構造体110は、第1ビアV1から第7ビアV7のように一般的なビアに比べて体積が非常に大きい。このため、第1熱伝達用構造体110の表面、特に上面や下面にはビアが複数接触することができる。すなわち、第1熱伝達用構造体110の上面及び下面の面積自体が通常のビアより大きいだけでなく、全体の体積も2倍以上大きい。これにより、熱源から熱を迅速に吸収し、第1熱伝達用構造体110と接続している他の経路に分散させることができる。また、第1熱伝達用構造体110の厚さを増加させると、第1熱伝達用構造体110とホットスポットとの間の距離が減少し、ホットスポットの熱が第1熱伝達用構造体110に移動する時間をさらに短縮できる。
【0029】
一実施形態において、回路基板100の一方には、第1電子部品500を実装することができる。また、回路基板100は、メインボードなどの付加基板800の一方に実装されることができる。ここで、第1電子部品500は、アプリケーションプロセッサ(Application Processor;AP)などの部品であってもよく、動作時に熱が発生することがある。
【0030】
一方、第1電子部品500が動作することにより熱が発生するが、発生した熱を感知すると、特に発熱がひどくて温度が高く測定される領域が存在する。このような領域をホットスポット(Hot spot)と称することもある。このようなホットスポットは、回路基板100のうち所定の領域に形成されることがあり、特に第1電子部品500の全体または一部にホットスポットが形成される。また、このようなホットスポットは、第1電子部品500の電源端子付近や、スイチング素子が相対的に密集している領域に形成されたりする。
【0031】
他の一方で、第1電子部品500は、相対的に高性能スペックを有する領域と、相対的に低性能スペックを有する領域とをそれぞれ含むことができる。例えば、クロックスピード(Clock Speed)が 1.8GHzであるコアが接続されているプロセッサと、クロックスピードが1.2GHzであるコアが接続されているプロセッサとが、第1電子部品500での領域を異にして形成されることができる。
【0032】
図4を参照すると、一実施形態においての第1電子部品500は、第1単位領域510及び第2単位領域520を含むことができる。ここで、第1単位領域510は、第2単位領域520に比べてより速い速度で演算過程を行い、これにより、第2単位領域520よりも多い電力を消耗することになり、第2単位領域520よりも多い熱が発生することになる。
【0033】
本発明の一実施形態に係る回路基板100には、ホットスポットに隣接した領域に第1熱伝達用構造体110が位置する。これにより、ホットスポットで発生した熱を迅速に伝達受け、回路基板100の他の領域や、回路基板100が結合しているメインボードなどの他のデバイスに熱を分散させることができる。
【0034】
一実施形態において、第1熱伝達用構造体110の少なくとも一部は、第1電子部品500の垂直下方領域に位置する。
【0035】
また、本発明の一実施形態によれば、第1熱伝達用構造体のキャビティ110cに第2電子部品200を挿入することができ、第2電子部品200も少なくとも一部が第1電子部品500の垂直下方領域に位置することができる。ここで、第1電子部品500がアプリケーションプロセッサである場合、電源ノイズを低減するために、キャパシタなどをアプリケーションプロセッサに接続させることができる。このように、別途の電源部(図示せず)から電源の印加を受け、電子部品に提供して応答特性を改善し、ノイズを低減するなどの機能を行うキャパシタを、デカップリングキャパシタ(Decoupling capacitor)またはバイパスキャパシタ(Bypass capacitor)と称したりする。このとき、キャパシタとアプリケーションプロセッサとの間の経路が短くなるほど電源ノイズの低減効果が増大する。
【0036】
したがって、第2電子部品200の少なくとも一部は、第1電子部品500の垂直下方領域に位置することができ、これにより、電源ノイズの低減効果を高めることができる。
【0037】
一実施形態において、第1電子部品500の垂直下方領域に第1熱伝達用構造体110の大部分が位置するようにすることができる。また、第1熱伝達用構造体110の上面の面積は、第1電子部品500の上面の面積より小さくてもよい。さらに、第1熱伝達用構造体110の上面の面積は、第1電子部品500のホットスポットの領域の幅に対応するように決められてもよい。
【0038】
これにより、ホットスポットの熱が、第1熱伝達用構造体110に迅速に移動されることができる。また、回路基板100の軽量化及びワーピジの低減に有利である。それだけではなく、第1熱伝達用構造体110を回路基板100に配置する工程の効率性を高めることができる。
【0039】
一方、第1電子部品500の垂直下方領域に第2電子部品200の大部分が位置してもよい。この場合、第1電子部品500の垂直下方領域のうち、上述した第1熱伝達用構造体110のキャビティ110cの内部に第2電子部品200が位置することができる。また、第1熱伝達用構造体110は、第2電子部品200に比べてホットスポットに近い領域に位置することができる。
【0040】
図1から
図5を参照すると、第1コア層11に備えられたキャビティの内部に第1熱伝達用構造体110及び第2電子部品200を挿入できることを理解することができる。すなわち、コア部10に第1キャビティC1及び第2キャビティC2が備えられ、第1キャビティC1には第1熱伝達用構造体110が挿入され、第2キャビティC2には第2電子部品200が挿入されることができる。また、第1熱伝達用構造体110に備えられたキャビティ110cの内部にも第2電子部品200が挿入されることが可能である。特に、第1熱伝達用構造体110は、
図4に示したホットスポット付近に集中的に配置できることを理解することができる。
【0041】
これにより、第2電子部品200による電源ノイズの低減効果を最大化しながらも、ホットスポットの熱を迅速に移動させることができる。
【0042】
一方、第1電子部品500の垂直下方領域において、第1熱伝達用構造体110と第2電子部品200とが隣接するように配置可能であり、特に、本発明の一実施形態に係る回路基板100においては、第2電子部品200が第1熱伝達用構造体110のキャビティ110c内に配置されることにより、電源ノイズの低減効果とともに放熱性能を改善することができる。また、第1熱伝達用構造体110と第2電子部品200とを離隔した位置に個別的に内蔵する場合に比べて、内蔵に必要な面積が低減されるだけでなく、要素を内蔵するためのキャビティの形成過程も簡素化することができる。勿論、第2電子部品200がさらに必要な場合は、第1熱伝達用構造体110の外部にも第2電子部品200を備えることができるが、少なくとも一つの第2電子部品200が第1熱伝達用構造体110のキャビティ110c内に配置されることにより、上述した効果をより向上させることができる。
【0043】
図面には、第1熱伝達用構造体110のキャビティ110c内部に第2電子部品200の一つだけが挿入されたことが例示されているが、第1熱伝達用構造体110の大きさ、第2電子部品200の大きさ、及び必要性などを総合的に考慮してキャビティ110c内部に第2電子部品200を複数挿入することもできる。
【0044】
一実施形態において、第1電子部品500は、ソルダSなどにより回路基板100に結合することができる。このとき、第1電子部品500は、ソルダSにより、第1金属パターン131、第3金属パターン133、第5金属パターン134などと結合することができる。
【0045】
また、回路基板100の第2金属パターン141、第4金属パターン142、第6金属パターン144などは、ソルダSを媒介にしてメインボードなどの付加基板800に接続することができる。
【0046】
一実施形態において、第2金属パターン141と付加基板800との間には一般的なソルダSではなく、第1熱伝達用構造体110と類似の材質及び形状に形成される第3熱伝達用構造体L1が備えられることができる。すなわち、第1熱伝達用構造体110の熱を付加基板800へ迅速に伝達するために、一般的なソルダSよりも熱伝導性の大きい物質で形成され、かたまり状の第3熱伝達用構造体L1を用いて第2金属パターン141と付加基板800とを接続させることができる。また、第3熱伝達用構造体L1の熱を迅速に受けて分散または発散するように、付加基板800に放熱部L2を備えることができる。この放熱部L2は、付加基板800の上面方向に露出し、必要によって下面方向にも露出して熱発散効率を向上させることができる。
【0047】
これにより、ホットスポットで発生した熱が、第1金属パターン131−第1ビアV1−第1熱伝達用構造体110−第2ビアV2−第2金属パターン141の経路を経て付加基板800へ迅速に伝達されることができる。
【0048】
一方、
図1に例示されたように、第1金属パターン131から第6金属パターン144が絶縁部120の外面に露出するように備えられた場合、金属パターンは、一種の接続パッドとしての機能を果たすことができる。また、図示されていないが、金属パターンの一部を露出させながら金属パターンの他の部分と絶縁部120などとを保護するために、ソルダレジスト層を備えることができる。また、ソルダレジスト層の外部に露出された金属パターンの表面には、ニッケル−金メッキ層など様々な表面処理層が備えられてもよい。
【0049】
他の一方で、第1電子部品500の端子中、第1金属パターン131に接続する端子が信号の送受信用端子である場合、第1ビアV1、第1熱伝達用構造体110、第2ビアV2、第2金属パターン141を含む経路は、信号伝送機能を果たすことができる。このとき、第2金属パターン141に接続される付加基板800の接続パッドまたは端子も信号伝送機能を果たすことができる。
【0050】
これに対して、第1電子部品500の端子中、第1金属パターン131に接続する端子が信号送受信用端子ではない場合、第1ビアV1、第1熱伝達用構造体110、第2ビアV2、第2金属パターン141を含む経路は、図示されていない別の接地端子(Ground terminal)と電気的に接続することができる。このとき、第2金属パターン141に接続される付加基板800の接続パッドまたは端子も、図示されていない別の接地端子と電気的に接続することができる。ここで、接地端子は回路基板100または付加基板800のうちの少なくとも一つに備えられることができる。
【0051】
また、第1電子部品500の端子中、第1金属パターン131に接続する端子が電源端子である場合、第1ビアV1、第1熱伝達用構造体110、第2ビアV2、第2金属パターン141を含む経路は、図示されていない別の電源提供回路と電気的に接続することができる。このとき、第2金属パターン141に接続される付加基板800の接続パッドまたは端子も、図示されていない別の電源提供回路と電気的に接続することができる。ここで、電源提供回路は、回路基板100または付加基板800のうちの少なくとも一つに備えられることができる。
【0052】
また、第1電子部品500の端子中、第1金属パターン131に接続する端子は、ダミー端子であってもよい。このとき、ダミー端子は、第1電子部品500の熱を第1電子部品500の外部へ伝達する通路としての機能のみを果たすものであってもよい。
【0053】
図1から
図10を参照すると、本発明の一実施形態に係る回路基板100は、コア部10を含むことができる。コア部10は、回路基板100の剛性を補強して、歪みによる問題を緩和させる役割をすることができる。また、熱伝導性の大きい物質をコア部10に含ませることにより、上述したホットスポットなどの局地的領域で発生した熱を回路基板100の他の部分に迅速に分散させ、過熱による問題を緩和させることもできる。
【0054】
一方、コア部10の上面には第1上部絶縁層121が備えられ、コア部10の下面には第1下部絶縁層121´が備えられることができる。また、必要によって、第2上部絶縁層122及び第2下部絶縁層122´がさらに備えられることができる。
【0055】
一実施形態において、コア部10には第2熱伝達用構造体が含まれることができる。例えば、コア部10は、グラファイトまたはグラフェンなどで形成された第1コア層11を含むことができる。ここで、グラファイトなどは、XY平面方向への熱伝導度が非常に高く、これにより、熱を効果的かつ迅速に拡散させることができる。
【0056】
一実施形態において、第2熱伝達用構造体は、第1熱伝達用構造体110の側面に直接接触することができる。例えば、コア部10に備えられた第1キャビティC1から第2熱伝達用構造体の側面が露出され、第1熱伝達用構造体110が第1キャビティC1に接触することができる。他の実施形態では、第2熱伝達用構造体と第1熱伝達用構造体110との間の領域に、熱伝導性の高い物質が備えられることができる。ここで、熱伝導性の高い物質として、サーマルインターフェースマテリアル(Thermal Interface Material;TIM)を使用することができる。このTIMには、高分子−金属複合材料、セラミック複合材料及び炭素系複合材料などが含まれ得る。例えば、エポキシ及び炭素繊維充填剤が混合された物質(熱伝導度、約660W/mK)、窒化シリコン(Silicon Nitride;Si3N4、熱伝導度、約200〜320W/mK)、エポキシ及び窒化ホウ素(Boron Nitride;BN、熱伝導度、約19W/mK)がサーマルインターフェースマテリアルとして使用できる。これにより、第1熱伝達用構造体110に流入された熱が、垂直方向に移動するだけでなく、第2熱伝達用構造体を介して水平方向にも迅速に分散することができる。
【0057】
このように、第1熱伝達用構造体110と第2熱伝達用構造体とが直接接触したり、またはTIMを媒介として接続したりすることにより、第1電子部品500などの熱が第1熱伝達用構造体110に迅速に移動された後、下方のみに伝達される場合に比べて、熱がより迅速に分散することができる。また、回路基板100の観点から、ホットスポットなどの特定領域のみに過度に温度が上昇する場合に比べて、回路基板100の全体に熱が均等に分散されることにより、回路基板100に搭載された各種部品や要素それぞれの温度偏差が緩和できるので、信頼性が向上することができる。また、回路基板100の全体に熱が迅速に分散されるので、回路基板100の全体が一種の放熱板の役割をし、結果的に放熱面積が増加する効果を実現することができる。
【0058】
一実施形態において、コア部10の表面には、第1回路パターンP1及び第2回路パターンP2などが備えられることができ、コア部10を貫通するスルービアTVにより、第1回路パターンP1と第2回路パターンP2とが電気的に接続されることができる。また、第1回路パターンP1は、第4ビアV4により第3金属パターン133と接続することができ、第2回路パターンP2は、第5ビアV5により第4金属パターン142と接続することができる。そして、第3金属パターン133は、ソルダSにより第1電子部品500と接続することができ、第4金属パターン142は、ソルダSにより付加基板800の接続パッド810と接続することができる。これにより、第1電子部品500と付加基板800との間に電気的信号を送受信できる経路をさらに確保することができる。
【0059】
一方、第1コア層11の一面には、第2コア層12が備えられ、第1コア層11の他面には、第3コア層13が備えられることができる。一実施形態において、第2コア層12及び第3コア層13のうち少なくとも一つは、PPGなどの絶縁物質で形成されることができる。他の実施形態では、第2コア層12及び第3コア層13は、銅やインバー(Invar)などの金属で形成されることもできる。また他の実施形態では、第1コア層11がインバー(Invar)で形成され、第2コア層12及び第3コア層13が銅で形成されることもできる。ここで、第2コア層12及び第3コア層13のうちの少なくとも一つが導電性物質で形成された場合は、コア部10の表面に第1回路パターンP1や第2回路パターンP2などが備えられることにより、意図しない経路に信号が伝送される問題が発生することもあるので、コア部10の表面に絶縁性を確保するための手段を備えることができる。
【0060】
一実施形態において、第1熱伝達用構造体110のキャビティ110cには、第2電子部品200が挿入される。そして、第2電子部品200は、第6ビアV6により第5金属パターン134と接続し、第7ビアV7により第6金属パターン144と接続することができる。一方、第2電子部品200は、インダクター、キャパシタなどの受動素子であってもよく、必要によって、ICなどの能動素子を第2電子部品200として搭載することも可能である。特に、第2電子部品200がキャパシタである場合、第5金属パターン134と接続する第1電子部品500の端子は、電源端子であることができる。すなわち、第2電子部品200がデカップリングキャパシタとして搭載され、第1電子部品500の電源ノイズを低減させる役割をすることができる。
【0061】
この場合、第2電子部品200と第1電子部品500との間の経路が短くなるほどノイズの低減効果は向上し、これのために、本発明の一実施形態に係る回路基板100では第2電子部品200の少なくとも一部を第1電子部品500の垂直下方領域に配置する。
【0062】
図示されていないが、コア部10を貫通するキャビティの代わりにコア部10の一部が凹んだリセス部を備えることが可能であり、このリセス部に第1熱伝達用構造体110や第2電子部品200を挿入することができる。
【0063】
一方、
図1を参照すると、第1熱伝達用構造体110の厚さは、第2回路パターンP2の下面から第1回路パターンP1の上面までの厚さよりも厚く形成することができる。さらに、第1熱伝達用構造体110の上面は、第1回路パターンP1の上面よりも回路基板100の上面に近く位置することができる。これにより、第1熱伝達用構造体110の熱容量が増加し、熱を保持する機能を向上させることができる。また、第1熱伝達用構造体110とホットスポットとの間の距離が減少し、ホットスポットの熱が第1熱伝達用構造体110に移動される時間をより短縮することができる。
【0064】
また、
図2を参照すると、第1上部絶縁層121上に第2上部絶縁層122を形成することができ、この場合にも、回路基板100の外面と第1熱伝達用構造体110との間に備えられた第1ビアV1または第2ビアV2の高さを、回路基板100の外面と内層パターンP1´、P2´との間を接続させるビアV4´、V5´の高さより小さくすることにより、第1熱伝達用構造体110の熱容量を増加させるとともに熱分散速度を向上させることができることを理解できる。
【0065】
図7を参照すると、コア部10の表面に絶縁膜14を備えることができる。一実施形態において、第1コア層11から第3コア層13が熱伝導性を有するだけでなく、電気伝導性を有することもできる。したがって、コア部10の表面に第1回路パターンP1などを備える場合、コア部10により、所望しない経路に通電されることを防止する必要がある。ここで、絶縁膜14は、パリレン(Parylene)などをコア部10の表面に気相蒸着して形成することができる。すなわち、
図7に示されているスルービアTVを形成するためのスルービアホールをコア部10に加工した状態で、コア部10の表面に絶縁物質を提供することにより、スルービアTVホールの内部にも絶縁膜14を形成することができる。これにより、スルービアTVや第1回路パターンP1、第2回路パターンP2などとコア部10との間の絶縁性を確保することができる。
【0066】
一方、一実施形態において、第2コア層12と第3コア層13とを貫通し、第1コア層11の一部を露出させるコアビアホールを形成することができる。このコアビアホールに導電性物質が備えられて形成される第8ビアV8は、第1コア層11と直接接触することができる。ここで、コアビアホールが備えられた状態でコア部10の表面に絶縁膜14を形成する場合、露出された第1コア層11の表面にも絶縁膜14が形成されるので、第1コア層11と第8ビアV8とは、絶縁膜14を隔てて接触することができる。このように、第1コア層11と直接(または絶縁膜14がある場合は間接)的に接触する第8ビアV8に熱が移動される場合、第1コア層11に沿って回路基板100に水平の方向へ熱が迅速に分散されることができる。
【0067】
一実施形態において、第2熱伝達用構造体がグラファイトまたはグラフェンで形成されることができるが、この場合、グラファイトまたはグラフェンなどは、層間結合力が相対的に低い方である。このため、回路基板100を製造する過程中に第2熱伝達用構造体が破損したり、回路基板100が完成された後であっても層間結合力が弱化したりして信頼性の問題を誘発することがある。
【0068】
図7に示すように、第1コア層11に貫通孔11cが備えられ、第2コア層12及び第3コア層13が貫通孔11cを介して一体に接続され、第1コア層11を堅固に支持することができる。これにより、第1コア層11がグラファイトなどで形成されても層間結合力を強化することができる。
【0069】
一方、
図8を参照すると、第1コア層11の外面にプライマー層111が備えられている。すなわち、グラファイトシートの外面にプライマー層111を備えることにより、層間の結合力を向上させることができる。このとき、プライマー層111は、グラファイト同士間の層間結合力を向上させるだけでなく、第1コア層11と第2コア層12との間及び第1コア層11と第3コア層13との間の層間結合力を向上させる機能も果たすことができる。
【0070】
他の実施形態では、
図9を参照すると、グラファイトの表面にプライマー層111が備えられて形成される単位体11−1、11−2、11−3、11−4を垂直方向に積層して第1コア層11を形成することができる。この場合、第1コア層11の水平放熱機能が減少することを最小化しながらも第1コア層11の垂直方向の剥離問題を緩和することができる。
【0071】
また他の実施形態では、
図10を参照すると、グラファイトの表面にプライマー層111が備えられて形成される単位体11−1´、11−2´、11−3´、11−4´を水平方向に結合して第1コア層11を形成することができる。ここで、グラファイトのXY平面は、垂直方向に平行に配置することができる。この場合、水平方向への放熱機能は多少低下するものの、第1コア層11を用いた垂直放熱機能が向上することができる。
【0072】
一方、本発明の一実施形態に係る回路基板100に含まれる第1熱伝達用構造体110は、絶縁部120との密着力を向上させるための手段を備える。
【0073】
第1熱伝達用構造体110の表面が絶縁部120と直接接触する場合、リフロー(Reflow)工程や半田槽(Solder pot)工程などを行う過程で第1熱伝達用構造体110と絶縁部120との間に透き間が発生することがあり、このようなことをデラミネーション(Delamination)と称することもある。このとき、絶縁部120との密着力を向上させる手段として、第1熱伝達用構造体110の表面に備えられたプライマー層111を含むことができる。一実施形態において、プライマー層111は、イソプロピルアルコール(Iso Propyl alcohol)及びアクリル(Acryl)系シラン(Silan)を含むプライマーで形成することができる。
【0074】
また、プライマー層111は、MPS(3−(trimethoxysilyl)propylmethacrylate)で形成することができ、シラン系添加剤を加えることができる。
【0075】
図11aは、熱伝達用構造体の表面にプライマー層111が備えられた状態でリフローテストを行った結果を概略的に示し、
図11bは、熱伝達用構造体の表面にプライマー層111が備えられた状態で半田槽テストを行った結果を概略的に示す図である。そして、
図12aは、熱伝達用構造体に直接絶縁部120を接触させた状態でリフローテストを行った結果を概略的に示し、
図12bは、熱伝達用構造体に直接絶縁部120を接触させた状態で半田槽テストを行った結果を概略的に示す図である。
【0076】
図11aから
図12bを参照すると、プライマー層111がない場合、リフロー工程を行ったり、半田槽工程を行ったりすると、熱伝達用構造体と絶縁部120との間に透き間Dが形成されるが、熱伝達用構造体の表面にプライマーを備えることにより、熱伝達用構造体と絶縁部120との間の密着力が向上できることを理解することができる。ここで、熱伝達用構造体は、上述した第1熱伝達用構造体110または第2熱伝達用構造体のうちの少なくとも一つを意味する。
【0077】
一方、第1熱伝達用構造体110の表面に黒化処理及び粗面化処理などの表面処理を行うことにより、第1熱伝達用構造体110と絶縁部120との間の密着力を向上させることもできる。
【0078】
但し、第1熱伝達用構造体110の表面に、上述したような表面処理を行うと、製造工程中に次のような問題が発生することがある。例えば、表面処理により第1熱伝達用構造体110の色相が変わることがあり、この場合、第1熱伝達用構造体110などを絶縁部120上の所定の位置に実装する自動化装備が第1熱伝達用構造体110を認識する過程でエラーを起こすことがある。
【0079】
これにより、本発明の一実施形態に係る回路基板100は、第1熱伝達用構造体110と絶縁部120との間のデラミネーション現象を低減することができる。
【0080】
一方、
図1などを再び参照すると、第1熱伝達用構造体110の表面にプライマー層111が備えられた場合、上述した第1ビアV1や第2ビアV2は、プライマー層111も貫通して第1熱伝達用構造体110と直接接触することができる。これにより、プライマー層111による熱伝達機能の低下を最小化することができる。
【0081】
図13は、本発明の一実施形態に係る第1熱伝達用構造体110の製造過程を説明するための図である。
【0082】
図13を参照すると、銅などの金属材質で形成される金属板110−1を提供し、その後、金属板110−1上にレジスト層Rを形成する。
【0083】
次に、第1熱伝達用構造体110の形状に対応するようにレジスト層Rをパターニングして開口部H1−1、H1−2、H2−1、H2−2を形成した後に、エッチング工程を行うことによりエッチングホールE1、E2、E1−1、E2−1を形成する。このとき、一つの金属板110−1で複数の第1熱伝達用構造体110を形成しようとする場合、後続工程を容易にするために、コネクティング部CNが残っている状態までエッチング工程を行う。その後、レジスト層Rを除去した後、エッチングされた金属板110−1を別途のプレートPに配置し、コネクティング部CNを除去する。これにより、第1熱伝達用構造体110を製造することができる。ここで、開口部H2−1、H2−2により形成されるエッチングホールE1−1、E2−1は、最終的に第1熱伝達用構造体110のキャビティ110cを形成することになる。
【0084】
図14は、本発明の他の実施形態に係る第1熱伝達用構造体110の製造過程を説明するための図である。
【0085】
図14を参照すると、シード層SE上にレジスト層Rを形成した後に、第1熱伝達用構造体110の形状に対応する部分がオープンするようにレジスト層Rをパターニングする。その後、1回以上のメッキを施して第1熱伝達用構造体110を形成し、その後、レジスト層Rと残余シード層とを除去して第1熱伝達用構造体110を製造することができる。このとき、第1熱伝達用構造体110の厚さを増加させるためには、数回から数百回のメッキを多段で行うこともでき、このように多段メッキを行った場合は、その断面から層状構造を確認することができる。ここで、Iは、シード層SEを支持するための要素であって、金属または非金属材質から形成される一種のプレートであることができる。
【0086】
図13を参照して説明した実施形態によると、第1熱伝達用構造体110における厚さの均一性は高くなるものの、第1熱伝達用構造体110の側面部の形状が相対的に不規則になる。また、その結果、第1熱伝達用構造体110の横幅、縦幅の偏差が相対的に大きくなる。
【0087】
したがって、第1熱伝達用構造体110において厚さの制御が重要である場合は、本実施形態に係る方法により第1熱伝達用構造体110を製造することができる。
【0088】
これに対して、
図14を参照して説明した実施形態によると、第1熱伝達用構造体110の幅の均一性は向上できるものの、メッキ工程の偏差により厚さの偏差が相対的に増加することになる。
【0089】
したがって、第1熱伝達用構造体110における幅の制御が重要である場合は、本実施形態に係る方法により第1熱伝達用構造体110を製造することができる。
【0090】
図15は、本発明の一実施形態に係るコア部10を処理する過程を説明するための図である。
【0091】
図15を参照すると、第1コア層11、第2コア層12及び第3コア層13を含むコアにビアホールVH1を形成し、ビアホールVH1の内面を含んでコア表面に絶縁膜14を形成し、その後、第1回路パターンP1、スルービアTV、第2回路パターンP2を形成することができる。これにより、第1回路パターンP1などとコア部10との間に絶縁性を確保することができる。