【解決手段】特定タイプのリソースエレメント群を無線通信システム内でシグナリングする方法が開示される。前記方法では、無線端末において、前記無線端末宛のデータを伝送する一組の割り当てリソースエレメントの情報を提供するメッセージを受信する(610)ことができる。前記方法では、前記一組の割り当てリソースエレメントのうちの特定タイプのリソースエレメントに対応する指示を受信する(620)ことができる。前記方法では、前記無線端末宛のデータを伝送するリソースエレメント群を、情報を提供する前記メッセージに基づいて、かつ前記指示に基づいて復号化する(630)ことができる。
前記プロセッサは、前記特定タイプの1つまたは複数のリソースエレメントの第1の組から情報を抽出する前に干渉を抑圧するようにさらに構成される、請求項5に記載の無線通信端末。
前記特定タイプの1つまたは複数のリソースエレメントの第1の組に対応する指示は、前記無線通信端末に認識された一組の参照信号パターンのうちの既知の参照信号パターンのインデックスを含む、請求項1に記載の無線通信端末。
前記特定タイプの1以上のリソースエレメントの第1の組に対応する指示は、既知の参照信号パターンをシフトするためのシフト値を含む、請求項1に記載の無線通信端末。
前記特定タイプの1つまたは複数のリソースエレメントの第1の組に対応する指示は、前記無線通信端末に認識された参照信号パターンの一組における既知の参照信号パターンのインデックスを含む、請求項11に記載の方法。
前記特定タイプの1つまたは複数のリソースエレメントの第1の組に対応する指示は、既知の参照信号パターンをシフトするためのシフト値を含む、請求項11に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
無線OFDM通信システムでは、単一のOFDMシンボルは、複数の周波数サブキャリアから成る。データ変調シンボル群は、これらのサブキャリアに直接マッピングされる。これらのサブキャリアのうちの幾つかが参照シンボル/パイロットシンボルのために予約されて、ユーザ機器(UE)における復調を容易にすることができる。更に、全ての利用可能なサブキャリアを、サブキャリアセット群またはサブキャリアグループ群に細かく分割することにより、ユーザ群への割り当てを、少ない信号伝達のオーバーヘッドで行なうことができる。
【0003】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3
rd Generation Partnership Project:3GPP)ロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)のような通常のOFDM利用システムでは、14個の連続するOFDMシンボルから成るブロックは、サブフレームと表記される。これらのOFDMシンボルの各々における各サブキャリア位置は、リソースエレメント(resource element:RE)と表記されるが、その理由は、単一のデータ変調シンボルをこのようなリソースエレメントにマッピングすることができるからである。リソースブロック(RB)はREブロックとして定義され、当該REブロックは、1スロットの12個の連続するサブキャリア周波数位置、及び7個のシンボルから成るセットから構成される。各サブフレームは2個のスロット、従って14個のシンボルから形成される。1ユーザに割り当てられる最小リソース単位は、合計で2x12x7個のREのための1サブフレーム内の2個のスロットに対応する2個のRBである。
【0004】
当該RB内のRE群の幾つかを制御チャネル機能群のために予約することができ、幾つかのREの位置がUEに認識される。本開示は更に詳細には、当該RBのデータ伝送部分に関するものである。これは、例えばRelease−8 LTEにおける物理データ共有チャネル(Physical Data Shared Channel:PDSCH)と表記される。本明細書の残りの部分におけるRE群は、RB群のこのようなデータ伝送部分におけるRE群を指している。
【0005】
1つのRBにおけるRE群の幾つかを参照シンボル群(reference symbols:RSs)(パイロット群とも表記される)のために予約して、当該UEにおける復調及び他の測定を容易にする。これらの参照シンボルは、Release−8 LTEに規定されているように、2つのタイプに更に分けることができる。第1タイプは、セル固有参照シンボル群(cell−specific reference symbols:CRS)であり、これらの参照シンボルは、セル固有であり、かつ全てのユーザに「共通」であり、そしてRB群の全てで送信される。CRSは、トランスミッタの実際の物理アンテナ群に対応させる必要があるか、または対応させなくてもよいが、CRSは、1つ以上の物理アンテナ「ポート」、または1つ以上の仮想アンテナ「ポート」のいずれかに関連付けられる。
【0006】
第2タイプは、ユーザ固有参照シンボル群または専用参照シンボル群(dedicated reference symbols:DRS)であり、これらの参照シンボルは、ユーザ固有であり、従って、当該ユーザにのみ適用することができ、そして当該ユーザに割り当てられるRBで割り当てられる。更に、DRSは通常、「プリコード化」RSまたはビーム形成RSに対応し、当該DRSをユーザが直接使用することにより、データストリーム群を復調することができる。
【0007】
参照シンボル群の位置は、ユーザ機器が、高位レイヤ構成に基づいて認識する。例えば、送信ユニットで構成されるアンテナポート群の個数に依存するが、ユーザ機器は、全ての構成アンテナポート群に対応する参照シンボル群の全ての位置を認識する。別の例として、ユーザ機器に指示してDRSを使用させる場合、ユーザは、ユーザ識別情報に応じたDRS位置も認識する。
【0008】
ユーザに割り当てられるRB群でユーザ宛に送信されるデータシンボル群は、参照シンボル群を設定した後に、残りのREセットにマッピングされる。一旦、これらのRS位置が明らかになると、ユーザ機器と送信ユニットとの間のデータマッピングの曖昧さは生じない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の種々の態様、特徴、及び利点は、この技術分野の当業者には、本発明に関する以下の詳細な説明を、以下に説明される添付の図面と併せて注意深く考察することにより一層完全に明らかになる。これらの図面は、分かり易くするために簡略化されており、そして必ずしも寸法通りには描かれていない。
【0016】
実施形態群は、特定タイプのリソースエレメントを無線通信システムにおいて信号伝達する方法を提供する。当該方法では、無線端末において、当該無線端末宛のデータを伝送する割り当てリソースエレメントセットの情報を提供するメッセージを受信することができる。当該方法では、当該割り当てリソースエレメントセット内の特定タイプのリソースエレメントに対応する指示を受信することができる。当該方法では、無線端末宛のデータを伝送するリソースエレメント群を、情報を提供する当該メッセージに基づいて、かつ当該指示に基づいて復号化することができる。
【0017】
実施形態群は、特定タイプのリソースエレメントを無線通信システムにおいて信号伝達する方法を提供する。当該方法では、データのリソースエレメントマッピングを信号伝達することができる。当該方法では、無線端末宛のデータを伝送する割り当てリソースエレメントセットの情報を提供するメッセージを送信することができる。当該方法では、指示を、直交周波数分割多重システムにおいて送信することができ、当該指示は、当該割り当てリソースエレメントセット内の特定タイプのリソースエレメントに対応する。当該方法では、データ変調シンボル群を、当該割り当てリソースエレメントセットに、当該指示に基づいてマッピングすることができる。
【0018】
実施形態群は無線端末を提供する。当該無線端末はトランシーバを含むことができ、当該トランシーバは、当該無線端末宛のデータを伝送する割り当てリソースエレメントセットの情報を提供するメッセージを受信するように構成され、かつ当該割り当てリソースエレメントセット内の特定タイプのリソースエレメントに対応する指示を受信するように構成される。当該無線端末は、当該トランシーバに接続されるプロセッサを含むことができ、当該プロセッサは、当該無線端末の動作を制御するように構成され、当該プロセッサは、当該無線端末宛のデータを伝送するリソースエレメント群を、情報を提供する当該メッセージに基づいて、かつ当該指示に基づいて復号化するように構成される。
【0019】
本発明の更に別の特徴及び利点は、以下に続く記載に示され、そして記載から部分的に明らかになる、または本発明を実施することにより習得することができる。本発明の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲において具体的に挙げられる手段及び組み合わせによって実現され、そして達成される。本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、以下の説明及び添付の請求項から更に完全な形で明らかになる、または本明細書に示される本発明を実施することにより習得することができる。
【0020】
本発明の種々の実施形態を以下に詳細に説明する。特定の実施形態が説明されるが、この説明は例示のためにのみ行なわれることを理解されたい。関連分野の当業者であれば、他の構成要素及び構成を、本発明の思想及び範囲から逸脱しない限り使用することができることが理解できるであろう。
【0021】
本発明は、方法、装置、及び電子デバイスのような種々の実施形態、及び本発明の基本コンセプトに関連する他の実施形態を含む。電子デバイスは、コンピュータ、モバイルデバイス、または無線通信デバイスの如何なる形態でもよい。
【0022】
図1では、無線通信システム100は、1つ以上の固定基地インフラストラクチャユニット101,102を含むことができ、これらのユニットが、地理的領域に敷設されるネットワークを構成して、リモートユニット群と通信する。基地ユニット101は、アクセスポイント、アクセス端末、基地(base)、基地局(base station)、Node−B(ノード−B)、eNode−B(eノード−B)、Home Node−B(ホームノード−B)、Home eNode−B(ホームeノード−B)、中継ノード(relay node)と表記することもできるか、またはこの技術分野において使用される他の技術用語によって表わすこともできる。1つ以上の基地ユニット101,102はそれぞれ、ダウンリンク送信を行なう1つ以上のトランスミッタと、そしてアップリンク送信を受信する1つ以上のレシーバと、を備えることができる。基地ユニット101,102は通常、1つ以上の対応する基地ユニットに通信可能に接続される1つ以上のコントローラを含む無線アクセスネットワークの一部である。アクセスネットワークは通常、1つ以上のコアネットワークに通信可能に接続され、これらのコアネットワークは、他のネットワークの中でもとりわけ、インターネット及び公衆交換電話網のような他のネットワークに接続することができる。アクセスネットワーク及びコアネットワークのこれらの構成要素、及び他の構成要素は図示されないが、この技術分野の当業者に良く、かつ広く知られている。
【0023】
図1では、1つ以上の基地ユニットは、対応する担当エリア、例えばセルまたはセルセクタの内部の多数のリモートユニット103,104,105,106,107を無線通信リンクを介して担当することができる。リモートユニット103,104,105,106,107は、固定ユニットまたは移動ユニットとすることができる。リモートユニット103,104,105,106,107は、加入者ユニット、移動体、移動ステーション、ユーザ、端末、加入者ステーション、ユーザ機器(UE)、ユーザ端末、無線通信デバイスと表記することもできるか、またはこの技術分野において使用される他の技術用語によって表わすこともできる。リモートユニット103,104,105,106,107は、1つ以上のトランスミッタと、1つ以上のレシーバと、を含むことができる。
図1では、基地ユニット101は、ダウンリンク通信信号を送信して、時間領域、周波数領域、及び空間領域のうちの少なくとも1つでリモートユニット103,105,107を担当することができる。リモートユニット103,105,107は、基地ユニット101とアップリンク通信信号を介して通信することができる。リモートユニット104,106は、基地ユニット102及び基地ユニット101のうちの少なくとも1方と通信することができる。基地ユニット101は、リモートユニット103,105,107の担当セル、または被接続セル、或いはアンカーセルと表記されることがあり、それに応じて、基地ユニット102は、リモートユニット104,106のアンカーセルと表記される。リモートユニット103,104,105,106,107は、半二重(half duplex:HD)トランシーバまたは全二重(full duplex:FD)トランシーバを有することができる。半二重トランシーバは、送信及び受信を同時に行なうことがないのに対し、全二重トランシーバは、送信及び受信を同時に行なう。これらのリモートユニットは、これらの基地ユニットと中継ノードを介して通信することができる。従来の如く、シングルポイント動作は、アンカー基地ユニット(例えば101)がデータを、当該基地ユニットが担当するリモートユニット(例えば、この場合における103,105,107)に送信するときに行なわれる。マルチユーザ方式では、このような基地ユニット101はデータを、無線経由で、かつ同じRE/RBセットで、二人以上のユーザ103,105,107に同時に送信することができる。協調マルチポイントMIMO(CoMP)動作では、2つ以上の隣接基地ユニット101,102は、1つ以上のユニット103,104,105,106,107に対して、協調することにより個々のユーザに送信すべきデータを同時に送信し、そして干渉チャネル関連情報を考慮に入れることができる。このような場合においては、1つのリモートユニットは制御情報を、当該リモートユニットのアンカー基地ユニットとの間で授受し、かつ他の基地ユニット群からの送信を受信することができる。当該リモートユニットは、このような協調送信の正確な詳細/パラメータに部分的に、または全く認識(検出)できない可能性がある。
【0024】
1つの実施形態では、無線通信システムは、発展型ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションズシステム(Evolved Universal Mobile Telecommunications System:UMTS)地上無線アクセス(Terrestrial Radio Access:EUTRA)またはRelease−8(Rel−8) 3GPP LTE、或いは当該LTEの幾つかの次世代版(例えば、Release−10またはLTE−Advanced(LTEの次世代版))とも表記される第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションズシステム(Universal Mobile Telecommunications System:UMTS)ロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)プロトコルに対応することができる。この場合、基地ユニット101は、直交周波数分割多重(OFDM)変調方式をダウンリンクに使用して送信を行なうことができ、そしてユーザ端末103,104は、単一搬送波周波数分割多重接続(SC−FDMA)方式を使用して、アップリンクで送信を行なうことができる。しかしながら、更に一般的には、無線通信システム100は、幾つかの他のオープン通信プロトコルまたは専用通信プロトコルを実装する、例えば他のプロトコルの中でもとりわけ、WiMAXを実装することができる。
【0025】
図2では、無線通信ユニットまたは端末200はコントローラ/プロセッサ210を含むことができ、当該コントローラ/プロセッサ210は、システムバス220を介して接続されるメモリ212、データベースインターフェース214、トランシーバ216、及び入力/出力(I/O)デバイスインターフェース218に通信可能に接続される。無線通信ユニット200は、基地ユニットまたはリモートユニットとして実現することができ、無線通信システムのプロトコルに対応することができ、当該無線通信システム内で、例えば3GPP LTE Rel−8、または上に説明した次世代プロトコルのようなプロトコルが動作する。
図2では、コントローラ/プロセッサ210は、いずれのプログラムプロセッサとしても実装することができる。しかしながら、本明細書に記載される機能は、汎用コンピュータまたは特殊用途コンピュータ、プログラムマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ、周辺集積回路素子、特定用途向け集積回路または他の集積回路、個別素子回路のようなハードウェア/電子論理回路、プログラマブルロジックアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイなどのようなプログラマブルロジックデバイスで実行することもできる。
図2では、メモリ212は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュ、ハードドライブ、リードオンリメモリ(ROM)、ファームウェア、または他のメモリデバイスのような1つ以上の電気メモリ、磁気メモリ、または光メモリを含む、揮発性データストレージ及び不揮発性データストレージを含むことができる。メモリ212は、特定データに高速にアクセスするためのキャッシュを有することができる。データは、メモリ212に、または別のデータベースに保存することができる。データベースインターフェース214をコントローラ/プロセッサ210が使用することにより、データベースにアクセスすることができる。トランシーバ216は、ユーザ端末群及び基地局群と、実装される無線通信プロトコルに従って通信する機能を備えることができる。例えば、無線通信ユニット200がユーザ端末103として実現される幾つかの実施形態では、無線通信ユニット200は、1つ以上の入力デバイスと接続するI/Oデバイスインターフェース218を含むことができ、これらの入力デバイスは、キーボード、マウス、ペン、または指タッチスクリーンまたは指タッチモニタ、音声認識デバイス、または入力を受け付けるいずれかの他のデバイスを含むことができる。I/Oデバイスインターフェース218は、モニタ、プリンタ、ディスクドライブ、スピーカ、またはデータを出力するために設けられるいずれかの他のデバイスのような1つ以上の出力デバイスと接続することもできる。
【0026】
動作状態では、トランシーバ216は、無線端末200宛のデータを伝送する割り当てリソースエレメントセットの情報を提供するメッセージを受信することができる。トランシーバ216は、当該割り当てリソースエレメントセット内の特定タイプのリソースエレメントに対応する指示を受信することができる。プロセッサ210は、無線端末200の動作を制御することができる。プロセッサ210は、無線端末200宛のデータを伝送するリソースエレメント群を、情報を提供する当該メッセージに基づいて、かつ当該指示に基づいて復号化することができる。
【0027】
図1に戻って参照するに、ネットワーク基地局101は、UE装置103,105,107へのデータ送信を行なう物理アンテナセット108を有することができる。ネットワーク基地局101は、1つ以上の他のネットワーク基地局102と協調して、データ送信を行なうことができる。データ送信は、データタイプまたは送信方式に関係なく、データを送信する動作とすることができる。データ送信は、1つ以上の有効チャネル経由の1つ以上のデータストリームを含むことができる。アンテナポートは、UE装置103が観測することができる実際のチャネル、または有効チャネルに関連付けることができる。1つの物理アンテナ108は、単一のアンテナポートに直接マッピングすることができ、この場合、1つのアンテナポートが1つの実際の物理アンテナに対応する。
【0028】
別の構成として、物理アンテナセットまたは物理アンテナサブセット108、或いはアンテナセット108は、複素重み、または巡回遅延、或いはこれらの両方を、各物理アンテナ108で送信される信号に与えた後の1つ以上のアンテナポートにマッピングすることができる。物理アンテナセット108は、単一の基地局101のアンテナ、または複数の基地局のアンテナを有することができる。これらの重みは、巡回遅延ダイバーシチ(cyclic delay diversity:CDD)のような仮想アンテナ化技術におけるように固定することができる。関連パイロット群は異ならせることができるか、または全てのUE装置103,104,105,106,107に共通とすることができる。物理アンテナ群108に係るアンテナポートを特定するために使用される手順は、基地局101の形態に固有であり、かつUE装置103,104,105,106,107に対して透過的である。
【0029】
直交周波数分割多重(OFDM)システムでは、帯域幅全体を直交サブキャリア群に分割することができる。1OFDMシンボル期間の1周波数サブキャリアは、リソースエレメント(resource element:RE)と表記することができる。1つのOFDMシンボルセットが1つのサブフレームを構成し、このサブフレーム内で、基地局101が、REセットを時間領域及び周波数領域のうちの少なくとも1方で各UEに割り当てて、データ送信を行なうことができる。OFDMシステム内のサブフレームの例を
図3に示し、この図では、UE103,105,及び107にはそれぞれ、当該サブフレーム内のREセットが割り当てられる。これらの割り当ては、周波数領域で隣接して行なう必要があるか、または隣接して行なう必要はない。リソースブロック(Resource Block:RB)の定義を行なう必要があるか、または行なわなくてもよく、このリソースブロックは、周波数領域で数OFDMシンボル期間に亘る連続(または、不連続でもよい)サブキャリアセットである。RBが、
図3において仮定される基本割り当て単位として定義される場合、リソース割り当ては、複数のRBで行なうことができる。各UEへのRE割り当ては、複数のRBを互いに隣接させる必要があるか、または隣接させなくてもよいように行なうことができることに注目されたい。
図3では、UE103への割り当ては、2個のRB(すなわち、RB306及びRB310)が隣接することがないように行なわれる。
【0030】
1つのUEは通常、制御メッセージを受信し、この制御メッセージは、当該UE宛のデータシンボル群を伝送する割り当てREセットの情報を提供する。このような割り当ては、多数のRBとして、これらのRBの位置と共に表わすことができる。一般的に、当該割り当て内で、通常、当該UEに認識される位置を有するパイロット群または参照シンボル群(RS)として使用され、かつデータを伝送しないRE群が設定されることを各UEが認識している。RSをUE群に供給して、これらのUEがチャネルを推定して、基地局に報告を返すように要求されるときに、データ復調を行なう、または或る種類の測定を行なうようにする。これまでに説明したように、2つのタイプのRS:全てのUEが当該セルにおいて使用するように意図されたセル固有RSまたはCRS、及び特定のUEだけが使用するように意図された専用(すなわち、ユーザ固有)RSまたはDRSを設定することができる。
【0031】
図3に示すフレーム構造の例では、基地局101は参照シンボル群を時間領域及び周波数領域の両方で送信して、UE103,105,及び107が両方の領域におけるチャネル情報を取得して復調を行なうことができるようにする。CRSセット302をシステム帯域幅全体に分散させて、UE103,105,及び107が帯域全体に対するチャネルを推定することができるようにする。CRSセット302を、時間軸で、またはフレーム内で分散させて、同じ基地局が担当する全てのUEが、チャネルの時間変化を追跡することができるようにする。CRSは、UEの数、及びこれらのUEへの割り当てに関係なく送信される。
【0032】
図3では、DRS304を送信して特定のUE103が、当該UEによるデータ復調にのみ有用な有効チャネルを取得することができるようにすることもできる。通常、基地局101は、DRS304をユーザ固有割り当てリソース領域群に組み込むことができる。両方のタイプのRSを
図3に示しているが、これらのRSを同時に設定する必要があるか、または設定しなくてもよいことを指摘しておく必要がある。例えば、DRSのみを、またはCRSのみをシステム内で設定してもよい。各UEから見ると、DRSは、設定する必要があるか、または設定しなくてもよい。例えば、UE103には、当該UE103に割り当てられるRB306及び310内のDRSを割り当てるのに対し、UE105には、いずれのDRSも割り当てない。
【0033】
OFDM送信におけるCRS及びDRSの機能に関する更なる詳細を以下に提供するが、この場合、トランスミッタは複数のアンテナを有し、そしてレシーバは少なくとも1つの、通常は、1つよりも多くのアンテナを有する。共通参照シンボル群またはセル固有参照シンボル群(CRS)は、これまでに説明したように、基地局101からセル内の全てのUE装置宛に送信することができる。CRSパターン(すなわち、複数のRS位置、及びこれらの位置の値)はセル毎に異ならせることができ、従って「セル固有」という用語で表わすことができ、かつこれらのCRSパターンは、セル内の全てのUEが使用することができ、従って「共通である(common)」という用語で表わすことができる。1つのUE装置は通常、当該UE装置がセルIDの情報を取得した後にCRSパターンを学習する。例えば、3GPP LTEでは、CRSは均一間隔を有し、この場合、周波数領域における始点位置は、セルIDに依存するオフセットを有する。3つの可能なオフセット値が存在し、この場合、当該オフセットはRB内の1番目のREを基準にしている。
【0034】
マルチ送信アンテナの場合、CRSは多くの場合、多数のサブセットに分割することができ、各サブセットは、1つの物理アンテナポートまたは1つの「仮想」アンテナポートに対応し、この場合、仮想化プロセスでは、前に説明したように、放射エレメントグループに、同じ信号を固定した方法で送信させることができる。仮想化プロセスでは、信号は、基地局101の形態に基づいて予め決定しておくことができるが、それ以外の場合は、全てのUE装置に共通であり、かつ全てのUE装置に対して透過的である。LTE仕様の例では、この場合も同じように、CRSは、eNBから通知される数の1個,2個,または4個のアンテナポートに対応する1個,2個,または4個のサブセットに分割することができる。実際の物理アンテナ群または放射エレメント群は、仮想化に使用される1つ以上のこのようなサブセットに属することができる。更に広い意味では、仮想化は、放射エレメントセットを共通アンテナポートセットにマッピングする手法であると見なすことができ、このような仮想化は全てのUEに共通である。
【0035】
全てのUE宛のCRSとは異なり、専用参照シンボル(DRS)、またはユーザ固有パイロット群は、特定のUE宛に送出することができる。通常動作では、DRSは、LTEに規定されるサブキャリア群またはサブバンド群、或いはRB群のような、ユーザへの割り当て内に組み込むことができる。DRSは「プリコード化」参照シンボルに対応させることができ、この場合、プリコード化は、データシンボル群に適用されるプリコード化と同様の方法で行なうことができる。
【0036】
当該「プリコーディング」演算について以下に説明する。基地局は各アンテナ信号に複素値で重み付けすることにより信号を送信し、この演算は、プリコーディングと表記され、行列方程式で数学的に表わすことができ:
Y=HVs+n当該方程式は、1つのデータストリームまたはランク−1を送信する場合、次のように表わすことができ:
【0037】
【数1】
当該方程式は、2つのデータストリームまたはランク−2を送信する場合、次のように表わすことができ:
【0039】
【数3】
は、UEの受信アンテナ#1〜#N
Rのそれぞれで受信されるデータとすることができる。ランク−1送信を行なう例では、または1つのデータストリームが“s”で示される送信を行なう例では、Vはプリコードディングベクトルとすることができ、この場合、重み
【0040】
【数4】
は、基地局の送信アンテナ#1〜#N
Tのそれぞれに対応する。ランク−2送信を行なう実施形態では、または2つのデータストリームs1及びs2を同じサブキャリアで伝送する実施形態では、Vはプリコードディング行列とすることができる。行列Hは、送信アンテナ群と受信アンテナ群との間の伝搬チャネル行列とすることができ、この場合、エントリh
ijは、j番目の送信アンテナとi番目の受信アンテナとの間のチャネルを表わす。値nは、雑音及び干渉を表わすことができる。プリコーディング重みVは、ベクトルまたは行列のいずれであっても、基地局によって通常、UEに特定のチャネルに基づいて決定することができるか、またはUE固有とすることができ、UEからのフィードバックにより指示される優先度を考慮に入れることもできる。更に、行列HVは、ユーザのデータストリーム群と当該ユーザのレシーバ群との間の有効チャネルと表記することができる。UEが復調を行なうために必要とするのは、伝搬チャネルHではなく、有効チャネルだけである。プリコーディング重みは、所定のベクトル集合または所定の行列集合から成る所定のコードブックに限定される必要があるか、または限定されなくてもよい。プリコーディングが限定される実施形態では、プリコーディング行列は、基地ユニットによって、プリコーディング行列インデックス(precodeing matrix index:PMI)、または所定のコードブック内のプリコーディング行列を指示するインデックスを用いて効率的に信号伝達することができる。「matrix(行列)」という用語は、縮退した特殊な場合のベクトルを含むことができる。最も一般的な意味では、「precoding(プリコーディング)」という用語は、データストリームセットをアンテナセットに行列Vを使用してマッピングする処理と見なすことができる全ての可能な送信方式を指すことができる。「precoding」という用語は、アンテナ群を重み付けしない特殊な「プリコーディング」としての「open−loop(開ループ)」送信、及び巡回遅延ダイバーシチ(CDD)のような全てのアンテナ仮想化方式を含むことができる。
【0041】
適用されるプリコーディングは、UEからの対応フィードバック、または基地局におけるチャネル測定に基づくことができる。簡単なシングルユーザ/シングル基地ユニット方式では、1つのDRSセットは、有効プリコード化チャネル(すなわち、上記方程式中の「HV」)に対応するように定義することができる。2つのストリームがユーザにランク−2送信で送信される場合、実際の信号送信が、N
Tを2よりも大きいとすることができる基地ユニットにおけるN
T本のアンテナの全てから行なわれても、2つのDRSポート(すなわち、各サブセットが1つのプリコード化アンテナポートに対応する場合の2つのDRSサブセット)だけで十分である。
【0042】
別の方法では、有効チャネルは、伝搬チャネル情報、及びUEに信号伝達されるユーザ固有プリコーディング行列を伝送するCRSに基づいて構成することもできる。
理解できることであるが、DRSとCRSとの差の一つは、DRSの設定が多くの場合、特定のUEに認識され、そして注目されることである。
図4は、どのようにしてDRS及びCRSをRBに組み込めばよいかを示す1つの実施形態をブロック図で示している。RE群をUEセットに割り当てる場合に、RBをフレーム内に定義する必要があるか、または定義しなくてもよいことに留意されたい。
図4に示すRB400は、
図3のRB306に対応させることができる。具体的には、
図4に示す例示的なRBは、LTE仕様に規定されているようなRBである。LTEに規定されるRBは、12個の周波数サブキャリアを含み、かつ1個の時間スロットを含み、この場合、2個のスロットが1つの「サブフレーム」を構成し、そして各スロットが、7個のOFDM時間シンボルにより構成される。RB400内に示すCRSは、幾つかのサブセットに分割することができ、この場合、各サブセットは異なるアンテナポートに関連付けられる。例えば、RB400は、アンテナポート#0に関連付けられる第1CRSサブセット404、及びアンテナポート#1に関連付けられる第2CRSサブセット406をそれぞれ有することができ、この場合、各サブセットは4個の位置をRB400内にそれぞれ有する。更に、RB400は、アンテナポート#2に関連付けられる第3CRSサブセット408、及びアンテナポート#3に関連付けられる第4CRSサブセット410を有することができる。基地局101から送信される全てのCRSの他に、追加のDRSをUE固有割り当て内で送信することもできる。RB400は、「プリコード化」アンテナポート#5に関連付けられるDRSセット412、この例では、6個のDRS412を有することができる。この場合、実際のアンテナではなく、基地局101がプリコーディングを物理アンテナセット108に適用した後にアンテナポート#5をUE装置103で観測される有効チャネルに対応させることができる。当該プリコーディングは、ビームフォーミングの形態を採ることができ、この場合、重みベクトルをアンテナセットに適用して有効チャネルを取得することができる。
【0043】
DRSパターン(すなわち、DRS位置及び関連する参照シンボル値)はUEに、セルID及びユーザIDのような幾つかのパラメータの所定関数として認識される。
従来の動作では、一旦、UEが複数RS位置の全てを上述のように認識すると、当該UEは、これらのデータ伝送REを、当該UEへの割り当て内であると認識する。当該UEは、これらのデータ伝送REを復調し、そして当該UE自体に向けて送出される情報を復号化する。しかしながら、基地局が更に、割り当てREセット内の特定タイプのREセットを指定して特殊な使用に供する必要が生じる可能性がある。この後の説明における簡便性のために、特定タイプのREを「特殊RE(special RE)」と表記することもある。RB内の特定タイプのRE群の例を
図5に示す。
図4と比較するに、特殊RE520,521,522,及び523が示されている。
図5に示す特殊RE群の個数、及びこれらの特殊REの位置は、例示のための例に過ぎないことに留意されたい。勿論、特殊RE群の設定は、
図4及び
図5に示すCRSまたはDRS、或いはこれらの両方の設定及びパターンとは無関係である。特定タイプのREに対応するこのような指示を受信した後のUEは、データ変調及び復号化の過程で、通常のデータ伝送REとは異なるやり方でこれらの特殊REを処理することができる。
【0044】
特定タイプのこれらのREの使用について説明する前に、当該特定タイプのREに対応する指示は、基地局から受信される制御メッセージ内の単なるビットフィールドとすることができ、当該制御メッセージは、割り当てREセットの情報を通常動作で提供することに注目されたい。このような指示は、特定タイプのいずれかのこのようなREを設定している、またはいずれのこのようなREも設定していないことを示す指示を含むことができる。これらの特殊REを実際に設定する場合、当該指示は、特定タイプの少なくとも1つのREの位置だけでなく、場合によっては、特殊RE群の特性に関する情報を含むことにより、UEがこれらの特殊REを処理する方法を認識することができるようにする。
【0045】
特殊RE群の位置情報を伝送する多くの方法がある。1つの例では、当該情報は、所定の許容パターンセットを指示するインデックスとして伝送される。別の例では、特殊RE群の位置情報は、既知の参照パターンとの関係を表わす値により指示される。例えば、当該参照パターンを周波数領域または時間領域で巡回シフトさせて(すなわち、ずらして)これらの特殊RE位置を取得することができる。当該既知の参照パターンは、当該パターンを当該UEが認識する限り、いずれのRSパターンにも対応させることができる。当該既知の参照パターンは、当該UEが認識する担当セルまたは隣接セルのセル固有RSパターンとするか、または当該UEが認識するユーザ固有RSパターンとすることができる。
【0046】
図6は、1つの実施形態による方法の動作の概要を表わす例示的なフローチャートである。610では、無線端末宛のデータを伝送する割り当てリソースエレメントセットの情報を提供するメッセージを受信する。620では、割り当てリソースエレメントセット内の特定タイプのREに対応する指示を受信する。630では、当該無線端末宛のデータを伝送するリソースエレメント群を、情報を提供する当該メッセージに基づいて、かつ当該指示に基づいて復号化する。
【0047】
図7は、1つの実施形態による方法の動作の概要を表わす例示的なフローチャートである。710では、リソースブロックセットをユーザに割り当て、そして無線端末宛のデータを伝送する割り当てリソースエレメントセットの情報を提供するメッセージを当該無線端末に送信する。720では、特定タイプのリソースエレメントセットを、マルチユニットまたは協調マルチポイントのような所望の送信モードに関して決定する。730では、割り当てリソースエレメントセット内の特定タイプのリソースエレメントに対応する指示を送信する。740では、当該指示に基づいてデータ変調シンボル群を当該サブフレーム内のリソースエレメント群にマッピングすることにより、サブフレームを符号化する。
【0048】
特定タイプのRE群を使用する場合について、次の実施形態において説明する。
1つの実施形態では、特定タイプのREは、当該UE宛の情報データシンボルを全く含んでいないREである。従って、当該UEは、これらの特殊RE群を、データ復調中及びデータ復号中に無視する必要がある。
【0049】
このシナリオは、2つ以上のセルが協調送信(すなわち、前に述べたCoMP)で同じUEを担当する場合に実行される。
図8に示すように、単一のUE808に対する2つの基地局801,802の間の協調送信の例について考察する。両方の基地局801,802が協調して、同じデータをUE808に送信するが、当該UE808は表面的には、例えば当該UEを担当するセル基地局801が担当する範囲内に存在している。この例では、基地局802は、UE808から見ると、協調(または「支援」)基地局である。この先端CoMP動作では、基地局801,802が、UE808宛の同じデータ内容を有することを必要とする。しかしながら、UE808は、実際の送信ポイント群に気付く必要はないので、当該UE808から見たときに、当該UE808は、基地局801からの通常送信であると見なすだけで済む。前に説明したように、DRSを使用することにより、当該DRSがデータ伝送RE群と同じ方法で送信される限り、このような動作を可能にすることができる。基地局801もこれらのDRSパターンを協調が行なわれないときに使用する場合に、UE808はDRSパターンを認識する。UE808は当然、特に、協調を当該UEが認識しないので、協調が行なわれているにも拘わらず、同じDRSパターンであると見なす。
【0050】
それと同時に、協調基地局802は多くの場合、UE群が必要とするときに応じてCRSも送信する必要があり、これらのUEは、基地局802を、いずれかの協調送信を行なう、または協調送信を全く行なわない担当セル群であると見なす。前に述べたように、各セルに対応するCRSパターンは、セルIDに依存して異ならせることができる。
図8に示す例では、基地局802に対応するCRS位置は、周波数領域で、基地局801に対応するCRS位置からずれているか、またはシフトしている。
図8から、UE808に対応する通常のデータ伝送REは、協調基地局802のCRS位置に対応させることができることが分かり、これは更に、これらのREで、基地局802がUE808への送信を、他のRE群での送信と同じ方法で基地局801と協調して行なうことはできないことを意味する。UE808における性能劣化を回避するために、基地局801及び802は、データをREセットでのみ、このような競合を伴うことなく送信するように選択することができる。この場合、基地局801はUE808に、これらの通常のデータ伝送RE群がこの時点で、特定タイプのRE群であり、更には、この実施形態では、これらの特殊REがUE808宛の情報データシンボルを全く含んでいないので、データ復調中及びデータ復号中に無視される必要があることを指示する必要がある。
【0051】
別の実施形態では、特定タイプのリソースエレメントに対応する指示は、参照シンボル及びデータシンボルを、当該特定タイプの少なくとも1つのリソースエレメントに重畳する指示に対応する。これは、上記実施形態の変形と考えることができ、この場合、特殊RE群は、これらのREが、通常のデータ伝送RE群とは、基地局802が、当該基地局によるCRS送信義務により送信に協調することができない点で異なることを除いて、UE808宛のデータシンボル群も伝送する。従って、UE808は、特殊REで伝送される信号を、すなわち当該UE808を担当するセル801から送信される情報データシンボル群、及び幾つかの他の基地局(この場合のセル802であるが、他の基地局とすることもできる)からの参照シンボル群を重畳した信号を受信する。これらの特殊RE群の指示は、当該UEに警告して、これらのREを、他のデータ伝送RE群とは異なる方法で処理することができるようにするために利用される。例えば、当該UEは、有用情報をこれらの特殊REから更に抽出する前に重畳参照シンボルによる干渉を抑圧するように選択することができる。
【0052】
上記実施形態では、特殊RE群は、1つよりも多くの基地局から協調送信が行なわれることに起因して導入され、この場合、協調基地局は、担当セルのCRSに対してオフセット位置に設定することができる当該基地局固有のCRSを送信する義務がある。特殊REの位置は、周波数領域オフセット(すなわち、シフト)値として容易に指示することができ、この場合、当該オフセットは、この場合における担当セルのCRS位置に対応する参照パターンを基準としている。勿論、協調セル802のセルIDがUE808に認識される場合、当該UEは、特殊REパターンを引き出すこともできる。しかしながら、通常、シフト値(例えば、LTE仕様における0,1,2のシフト値に対応する3個)のみを限定して用いることができるので、他のセル群のセルIDを信号伝達するよりもシフト値を信号伝達する方が効率が良い。オフセット値は、例えばダウンリンク制御情報(Downlink Control Information:DCI)フォーマットに指定される追加フィールドとして伝送され、この追加フィールドは、UEへの動的リソース割り当ての情報を提供する制御メッセージである。更に、シフトを信号伝達すると、オーバーヘッドが小さいので、特殊RE群の異なる設定を必要とする異なる送信モード間の切り替えを更に動的に行なうことができる。
【0053】
特殊RE群の使用は、上記協調送信を行なう場合に限定されない。別の実施形態では、特定タイプのリソースエレメントに対応する指示は、異なる無線端末に固有の参照シンボルパターンの指示に対応する。特殊RE群は、1つの基地局が異なる情報データシンボル群を1つよりも多くのUEに同じREセットで送信するマルチユーザ送信に有用となり得る。しかしながら、各UEは異なるRSを有することができる。従って、1つのUEに対応する参照シンボル群は、別のUEに特殊RE群としてシグナリングすることができる。
【0054】
図9および
図10は、マルチユーザ送信を行なう上記実施形態によるリソースブロック910,920,及び930を例示的に示している。この場合、DRSを用いる場合、異なるDRSポートを各ストリーム及び各UEに割り当てることができる。例えば、ランク−2送信を2つのUEの各UEに対して行なって、合計で4つのストリームを送信する場合、4個のDRSポートを割り当てることができる。これらのDRSポートは、910における(1つのストリームをそれぞれ用いる2つのUE)ように、FDMにより(周波数分割多重するか、または周波数共有することにより)、920における(1つのストリームをそれぞれ用いる2つのUE)ように、CDMにより(符号分割多重するか、または符号領域において共有することにより)、または930における(2つのストリームをそれぞれ用いる2つのUE)ように、FDM及びCDMを組み合わせることにより、割り当てることができる。しかしながら、各個々のUEは、各場合における当該UEのストリーム群に対応するDRSポート群を認識する必要がある。他のUEに対応するDRSを設定した状態では、これらのポートの追加情報は当該UEに有用となり得る。
【0055】
1つの実施形態では、910において、データシンボル群は、DRS RE群のいずれのREにもマッピングされない。この場合、いずれのUEから見たときにも、他のUE(群)に対応するDRSは、このUE宛のデータ情報シンボル群を含まない特殊RE群として指示される。この場合も同じように、特殊RE位置の情報は、当該UEが認識する参照DRS位置に対するシフトまたはオフセットとして伝送することができる。
【0056】
上記実施形態の変形では、データも、他のユーザ群に対応するDRSが重畳された特殊RE群で送信される。詳細には、910に示すUE0に対応するDRSポート0の複数位置には、UE1に対応するデータをマッピングすることができる。これによって、ユーザ群が空間的に分離され、かつ各ユーザのポスト−プリコード化信号電力が他のユーザから観測したときに小さい場合に、大きな性能劣化をもたらすことはない。これは、例えば基地ユニット群におけるフィードバック/チャネル状態情報を改善することにより可能になり、これにより、これらの基地ユニットは、このように分離され、かつプリコーディング行列を良好に選択する良好なユーザペアを選択することができる。このような場合、更に、DRS信号群をデータよりも固定倍数だけ昇圧してチャネル推定を向上させることが可能である。1つのUEは、MU送信を行なっている他のUE群のRSポートの位置情報(特殊RE群としてシグナリングされる)を利用して、当該UEにおける干渉計算に修正を加えて復号化を行なう。更に詳細には、他のユーザのDRSを、昇圧倍数を乗じた当該ユーザのデータに重畳した情報を使用して、これらの位置における干渉/雑音分散推定を修正することができる。他のユーザのパイロットシーケンス(普通、セルID(CellID)及びユーザ識別子に依存する)の情報が付加されたこれらの特殊RE位置の他に、1つのUEは、別のUEのチャネルを推定して、干渉除去を行なうことができる。
【0057】
1つの実施形態では、特定タイプのRE群は、1つ以上のセルからの信号送信がRE群を使用して行なわれることが全くないような当該RE群である。このような特殊REを設定すると、当該UEは、干渉特性を「察知する(sniff)」ことができる。
【0058】
特定タイプのRE群を指示するコンセプトは、当該UEが特殊RE群を認識するようにする必要がある場合の多くの他のシナリオに広く適用することができる。例えば、当該コンセプトを使用して更に別のRSを挿入することができる。特殊RE群を少なくとも無視する機能を有するUEは、特殊RE群が特殊目的のために分割される(carved out)必要がある場合に規格が将来拡張されることに起因して起こり得るどのような影響も軽減することができる。
【0059】
1つの例では、最大4つのアンテナに対応するCRSは、Release−8のLTE仕様に規定される。4つよりも多くのアンテナが、将来版のLTE仕様においてサポートされる場合には、各アンテナに対応する幾つかのタイプのRSには、UEがチャネル群の全空間特性を測定することができるようにすることが要求される。従って、これらのRSは、CSI−RS(チャネル状態情報に含まれているような)、またはCQI−RS(Channel Quality Information:チャネル品質情報)、またはLCRS(Low Density CRS:低密度のCRS)と表記することができる。これらの測定を行なう場合、復調とは異なり、RSを、より少ない回数で送信することができる。しかしながら、異なるアンテナ群または追加アンテナ群に対応する新規のCSI−RSの挿入を、幾つかの通常のデータ伝送REを特殊RE群に変換することにより実行することができる場合、これらのREを信号伝達して、UEによる復調に対するいかなる性能上の影響も回避することが、より好ましい。
【0060】
将来版の仕様(LTE−A/Release 10)では、CRSポート群を、必ずどのRBにも割り当てなければならないという訳ではない。更に、専用LTE−Aサブフレーム群は、Release−8 UE群をサポートするシステム群において割り当てることもでき、これらのシステムはCRSをサポートする必要はない。このような場合においては、最大8個のDRSポートを定義して、8個という非常に多くのデータストリームを8つの送信アンテナでサポートすることができる。これらのデータストリームは全て、シングルユーザまたはマルチユーザに向けて送出される。ユーザ数、ユーザ当たりのストリーム数、及びFDM/CDMの数の異なる割り当てにより可能になる異なるパターンを、特定タイプのRE群の位置、例えばデータ消失または増加干渉の位置を表わす、または干渉チャネルを推定するための位置を表わす有用パターンセットに効率的にマッピングすることができ、この干渉チャネルに所定のマッピングによりインデックスを付け、そしてこの干渉チャネルを、ビットパターンとしてダウンリンク制御シグナリングで通知することができる。