【実施例】
【0015】
上記の製造方法に従って、上層2と下層3に酸味料を配合しない、もしくは低配合したチューインガムを、センター層4に酸味料を高配合したチューインガムを配置して、一定形状の三層ガム1を製造した。配合は表1および表2のとおりである。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
成形後の各層のサイズはそれぞれ、短辺Sが12mm、長辺Lが43mmとなるよう調整した。各層の厚さは、上層2と下層3が1.2mm、センター層4が1.0mmとなるよう調整した。
成形後の三層ガム1に、アルミと紙を貼り合わせた銀紙を用いて、包装を行った。使用した銀紙の大きさは、三層ガム1の短辺Sの約3倍、長辺Lの約1.5倍のものとした。
【0019】
三層ガム1を長辺Lが縦となるような向きで銀紙の上に置き、長辺Lの左右外方にはみ出した銀紙を長辺Lに沿って折り込んだのち、短辺Sの上下外方にはみ出した銀紙を短辺Sに沿って折り込むことで、三層ガム1の包装を行った。
三層ガム1の品質の安定性を確認するため、加速虐待試験を行った。高温・高湿の加速虐待条件下で、銀紙で包装した三層ガム1を24時間静置した。加速虐待後の三層ガム1について、それぞれ銀紙への付着や色移りの有無について確認し、吸湿性の評価を行った。また、訓練された専門パネラー3名により、咀嚼した三層ガム1それぞれについて、香味や食感の劣化が見られるかどうかについて、評価を行った。
表3に、三層ガム1の吸湿性の評価を示す。
【0020】
【表3】
【0021】
吸湿性の評価における評価基準は、次の通りである。
[吸湿性評価基準]
◎ 銀紙に色移りが無く、付着もない。
○ 銀紙への色移りや付着が少し見られるも、銀紙から剥離可能。
○’ 銀紙への色移りや付着がやや強く見られるも、銀紙から剥離可能。
△ 銀紙への色移りや付着が強く見られ、銀紙から剥離するのが困難。
× 銀紙への色移りや付着が激しく見られ、銀紙から剥離できない。
【0022】
吸湿性の評価の結果は、次のコメントの通りである。
[吸湿性評価のコメント]
センター層4中の酸味料が10.0重量%以下、かつ上層2および下層3中の酸味料が2.0重量%以下の範囲の場合、銀紙から剥離可能であり、吸湿性が比較的少ない結果となった。しかしセンター層4中の酸味料が15.0重量%の場合、三層ガム1を銀紙から剥離できないほどの著しい吸湿が認められた。また、上層2および下層3中の酸味料が3.0重量%の場合においても、センター層4中の酸味料が5.0重量以上の場合、三層ガム1を銀紙から剥離するのが困難となり、強い吸湿が認められた。
【0023】
従って、センター層4中の酸味料は10.0重量%以下、上層2および下層3中の酸味料は0〜2.0重量%とするのが好適である。
表4に三層ガム1の香味の評価を示す。
【0024】
【表4】
【0025】
香味の評価における評価基準は、次の通りである。
[香味の評価基準]
◎ 劣化がほとんど見られず、非常に良好な香味を有する。
○ 劣化が少し見られるも、良好な香味を有する。
○’ 劣化が幾分見られるも、異味・異臭は見られない。
△ 劣化が大きく見られ、異味・異臭が気になる。
× 劣化が激しく見られ、異味・異臭が目立つ。
【0026】
香味の評価の結果は、次のコメントの通りである。
[香味の評価のコメント]
センター層4中の酸味料が10.0重量%以下、かつ上層2および下層3中の酸味料が2.0重量%以下の範囲の場合、香味の劣化が幾分見られるとしても、異味・異臭は認められないという結果となった。しかし上層2および下層3中の酸味料が3.0重量%の場合、異味・異臭が認められた。これは香料成分などの吸湿による劣化に起因するものと思われる。また、センター層4中の酸味料が15.0重量%の場合においても、上層2および下層3中の酸味料が1.0重量以上の場合、異味・異臭が目立つ結果となった。
【0027】
従って、センター層4中の酸味料は10.0重量%以下、上層2および下層3中の酸味料は0〜2.0重量%とするのが好適である。
表5に、三層ガム1の食感の評価を示す。
【0028】
【表5】
【0029】
食感の評価における評価基準は、次の通りである。
[食感の評価基準]
◎ 非常に良好な食感を有する。
○ 劣化が少しみられるも、良好な食感を有する。
○’ 劣化は見られるも、良好な食感を残している。
△ 劣化が目立ち、好ましくない食感を有する。
× 劣化が激しく、食するに適さない食感を有する。
【0030】
食感の評価結果は、次のコメントの通りである。
[食感の評価のコメント]
センター層4中の酸味料が10.0重量%以下、かつ上層2および下層3中の酸味料が2.0重量%以下の範囲の場合、良好な食感を残しているという結果となった。しかし上層2および下層3中の酸味料が3.0重量%の場合において、センター層4中の酸味料が5.0重量%以上の場合、好ましくない食感を有する結果となった。これは吸湿によるべたつきなどに起因するものと思われる。また、センター層4中の酸味料が15.0重量%の場合においても、上層2および下層3中の酸味料が2.0重量以上の場合、食感の劣化が激しく食するに適さないという結果となった。
【0031】
従って、センター層4中の酸味料は10.0重量%以下、上層2および下層3中の酸味料は0〜2.0重量%とするのが好適である。
吸湿性・香味・食感の評価結果を総合すると、センター層4中の酸味料は10.0重量%以下、上層2および下層3中の酸味料は0〜2.0重量%とするのが好適である、との結果となった。
【0032】
なお、強い酸味を発現させて美味しさを増強させる、という観点から考えると、センター層4中の酸味料は2.0重量%以上、とするのが好ましい。
[センター層4の厚さT4を変更しての吸湿性の評価]
また、センター層4の厚さT4を変更した場合において、吸湿性を評価した。
上記例と同様に三層ガム1の製造を行い、銀紙にて包装したのち、高温・高湿の加速虐待条件下で24時間静置することで、吸湿性についてのみ評価を行った。
【0033】
三層ガム1の配合は、表1および表2の配合表に準じ、センター層4中の酸味料が5.0重量%、かつ上層2および下層3中の酸味料が1.0重量%となるようにした。成形後の各層のサイズはそれぞれ、短辺Sが12mm、長辺Lが43mmとなるよう調整し、各層の厚さを、上層2と下層3が1.2mmで固定し、センター層4が1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mmとなるよう調整した。
表6に吸湿性の評価結果を示す。
【0034】
【表6】
【0035】
吸湿性の評価基準は次の通りである。
[吸湿性の評価基準]
◎ 銀紙に色移りが無く、付着もない。
○ 銀紙への色移りや付着が少し見られるも、銀紙から剥離可能。
○’ 銀紙への色移りや付着がやや強く見られるも、銀紙から剥離可能。
△ 銀紙への色移りや付着が強く見られ、銀紙から剥離するのが困難。
× 銀紙への色移りや付着が激しく見られ、銀紙から剥離できない。
【0036】
センター層4の厚さT4を変更した場合の吸湿性評価に対するコメントは、以下の通りである。
[吸湿性評価に対するコメント]
センター層4の厚さT4が2.0mm以下の場合、銀紙から剥離可能であり、吸湿性が比較的少ない結果となった。しかしセンター層4の厚さT4が2.5mmの場合、三層ガム1を銀紙から剥離するのが困難となり、強い吸湿が認められた。
従って、センター層4の厚さT4は2.0mm以下とするのが好適である。