【課題】着用者からの排泄物を吸収した後でも、バックシート側から見て、排泄物による着色を目立たなくすることができるとともに、バックシート側に意匠性を付与することができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収体4とを有する吸収性物品1であって、吸収体4とバックシート3の間に着色シート5が設けられ、バックシート3と着色シート5とがストライプ状に塗工された接着剤6で互いに接着されている。
前記バックシートには模様が施され、前記模様は、前記吸収体の外縁より外方で、吸収性物品のトップシート側から視認可能である請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸収性物品を使用した後、廃棄する際には、バックシートを外側にして折り畳んだり小さく丸めたりしてゴミ箱に捨てたりするが、バックシート側から見て吸収性物品が排泄物によって着色しているのが分かると、ゴミ箱の中の見栄えが悪くなったり、ゴミ箱に捨てられた吸収性物品を外部処理に出す際の見栄えが悪くなったりする。また、それによって吸収性物品の使用者の心理的負荷が増えるばかりでなく、周囲の介護者等にも心理的負荷をかけるおそれがある。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、着用者からの排泄物を吸収した後でも、バックシート側から見て、排泄物による着色を目立たなくすることができるとともに、バックシート側に意匠性を付与することができる吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品とは、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収体とを有し、吸収体とバックシートの間に着色シートが設けられ、バックシートと着色シートとがストライプ状に塗工された接着剤で互いに接着されているところに特徴を有する。
【0008】
本発明の吸収性物品は、吸収体とバックシートの間に着色シートが設けられているため、吸収性物品の使用後、バックシートを外側にして折り畳んだり小さく丸めたりした際、排泄物によって吸収体が汚れて着色していても、吸収体の着色を目立たなくすることができる。また、バックシートの吸収体側に着色シートを設け、バックシートと着色シートを所定のパターンで塗工された接着剤で互いに接着することにより、吸収性物品をバックシート側から見た際、接着剤塗工部分でより着色シートの色がバックシートを透過しやすくなり、接着剤の塗工パターンを認識できるようになる。特に、接着剤をストライプ状のパターンで塗工することにより、接着剤塗工部分と接着剤非塗工部分のコントラストがはっきりと出やすくなる。そのため、接着剤の塗工パターンによって、吸収性物品のバックシート側に意匠性を付与することができる。
【0009】
着色シートは、L
*a
*b
*表色系による明度(L
*)が25以下であることが好ましい。着色シートの明度(L
*)が25以下であれば、着色シートが比較的暗い色で形成され、吸収体の隠蔽効果を高めることができる。
【0010】
着色シートは、活性炭を含有していてもよい。着色シートが活性炭を含有していれば、活性炭によって着色シートを黒色〜灰色に着色することができるとともに、活性炭による消臭効果も期待できる。
【0011】
バックシートはフィルム層を有し、フィルム層が着色シートと接着していることが好ましい。フィルムは表面が比較的平滑に形成されているため、バックシートがフィルム層を有し、フィルム層が着色シートと接着していれば、接着剤塗工部分で接着剤がフィルム層にムラなく塗工されやすくなり、吸収性物品のバックシート側から見て、接着剤塗工部分がはっきりと形成されやすくなる。
【0012】
着色シートは、吸収体の外縁でトップシート側に折り返されていてもよい。着色シートが吸収体の外縁でトップシート側に折り返されていれば、吸収性物品をトップシート側やバックシート側から見たときに、吸収体の外縁を視認しやすくなる。そのため、吸収性物品を装着する際、吸収性物品を着用者の股間の適切な位置に合わせやすくなる。
【0013】
バックシートには模様が施され、当該模様は、吸収体の外縁より外方で、吸収性物品のトップシート側から視認可能であることが好ましい。このように吸収性物品が構成されていれば、吸収性物品をトップシート側から見たときに、バックシートに施された模様の存在を目安にして、吸収性物品の外縁やその近傍を認識しやすくなる。そのため、吸収性物品を着用者の下着や他の使い捨ておむつの内側に取り付けた場合でも、吸収性物品の取り外し作業等を容易に行えるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸収性物品は、吸収体とバックシートの間に着色シートが設けられているため、吸収性物品の使用後、バックシートを外側にして折り畳んだり小さく丸めたりした際、排泄物によって吸収体が汚れて着色していても、吸収体の着色を目立たなくさせることができる。また、バックシートの吸収体側に着色シートを設け、バックシートと着色シートを所定のパターンで塗工された接着剤で互いに接着することにより、吸収性物品をバックシート側から見た際、接着剤塗工部分でより着色シートの色がバックシートを透過しやすくなり、接着剤の塗工パターンを認識できるようになる。特に、接着剤をストライプ状のパターンで塗工することにより、接着剤塗工部分と接着剤非塗工部分のコントラストがはっきりと出やすくなる。そのため、接着剤の塗工パターンによって、吸収性物品のバックシート側に意匠性を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の吸収性物品は、トップシートとバックシートとこれらの間に設けられた吸収体を有する。本発明の吸収性物品は、使い捨ておむつ、尿パッド(失禁パッドを含む)、生理用ナプキン等に適用できる。
【0017】
吸収性物品は、前後方向と幅方向とを有する。前後方向とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。幅方向とは、吸収性物品と同一面上にあり前後方向と直交する方向を意味し、吸収性物品を着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、前後方向と幅方向から形成される面に対して垂直方向を、厚み方向とする。
【0018】
吸収性物品の形状は特に限定されない。吸収性物品が、尿パッド、生理用ナプキンである場合、吸収性物品の形状としては、略長方形、長円形、砂時計形、ひょうたん形等が示される。尿パッドが男性用に特化したものである場合は、吸収性物品の形状は略円形であってもよい。
【0019】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、前側部と後側部とこれらの間に位置し吸収体が備えられた股部とから構成される。使い捨ておむつは、例えば、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有するパンツ部材の股部に、トップシートとバックシートの間に吸収体が配された積層体が備えられて構成される。使い捨ておむつはまた、トップシートとバックシートの間に吸収体が配された積層体が、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有するパンツ形状に形成されていてもよい。なお、前側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部は、前側部と後側部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。
【0020】
使い捨ておむつは、後側部の左右側端に止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ形状に形成するオープンタイプ(テープタイプ)の使い捨ておむつであったり、前側部と後側部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。
【0021】
トップシートは、吸収性物品の着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0022】
バックシートは、吸収性物品の着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。本発明において、液不透過性とは撥水性の意味も含まれる。
【0023】
トップシートやバックシートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0024】
吸収体は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0025】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0026】
吸収体は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0027】
シート状吸収体は、吸収性材料として吸水性繊維を用いてもよい。この場合もまた、シート状吸収体は嵩張らず薄型に形成される。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、特公昭52−42916号公報に開示されるように、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
【0028】
吸収体の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形、略円形等が挙げられる。
【0029】
吸収性物品の上面には、幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられていてもよい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側に、前後方向に延在する防漏用シートを接合し、防漏用シートの幅方向内方に弾性部材を設けることにより形成される。このように防漏用シートと弾性部材とを設けることにより、弾性部材の収縮力により防漏用シートの幅方向内方が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップが形成される。立ち上がりフラップまたは防漏用シートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
【0030】
本発明の吸収性物品は、吸収体とバックシートの間に着色シートが設けられている。なお本発明において、「着色シート」とは、白色以外の色を有するシート部材を意味する。吸収性物品は、一般に白色を有していることから、「着色」とは、白色以外の色に着色されることを意味する。
【0031】
着色シートは、着用者からの排泄物によって吸収体が着色しても、着色した吸収体がバックシート側から見て目立たないようにするために設けられる。吸収性物品は、使用後廃棄する際に、バックシートを外側にして折り畳んだり小さく丸めたりしてゴミ箱に捨てたりするが、バックシート側から見て吸収体が排泄物によって着色しているのが分かると、ゴミ箱の中の見栄えが悪くなったり、ゴミ箱に捨てられた吸収性物品をまとめて外部処理に出す際の見栄えが悪くなったりする。そのため、本発明の吸収性物品では、吸収体とバックシートの間に着色シートを設けて、吸収体の着色をバックシート側から見て目立たなくさせている。
【0032】
本発明の吸収性物品はまた、バックシート側に意匠性を付与して、吸収性物品をバックシート側から見たときの見栄えを向上させるために、バックシートと着色シートとを所定のパターンで塗工された接着剤で互いに接着している。吸収性物品は一般にバックシート側が白色に形成されており、バックシートとその内側(肌面側)に隣接する部材がともに白色であることが多い。この場合、バックシートとその内側に隣接する部材とを所定のパターンで塗工した接着剤で互いに接着しても、バックシートとその内側に隣接する部材が同じような白色であるため、吸収性物品をバックシート側から見て、接着剤の塗工パターンをほとんど視認することができない。これに対して本発明の吸収性物品は、バックシートの吸収体側に着色シートを設け、着色シートとバックシートとを所定のパターンで塗工した接着剤で互いに接着しているため、吸収性物品をバックシート側から見た際、接着剤塗工部分でより着色シートの色がバックシートを透過しやすくなり、着色シートの色を認識しやすくなる。一方、接着剤非塗工部分では、着色シートとバックシートの間で光が散乱して、バックシート側から見て着色シートの色が分かりにくくなる。そのため、接着剤の塗工パターンを視認しやすくなり、接着剤の塗工パターンにより、吸収性物品のバックシート側に意匠性を付与することが可能となる。
【0033】
着色シートは、少なくとも吸収体とバックシートの間に存在する。着色シートはバックシートと接着されるため、バックシートに隣接して設けられる。着色シートは、吸収体のバックシート側の面の50%以上を覆うように設けられることが好ましく、65%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。着色シートは、吸収体のバックシート側の面の全体を覆うように設けられてもよい。
【0034】
着色シートは、トップシートやバックシートに使用可能なシート部材を用いることができる。着色シートは、例えば、不織布、織布、編布、プラスチックフィルム等から構成したり、紙(ティッシュペーパーやクレープ紙等)から構成されていてもよい。なかでも、着色シートは、不織布または紙から構成されることが好ましい。着色シートは、液透過性であっても液不透過性であってもよいが、例えば着色シートが液透過性であれば、着色シートによって、吸収体のバックシート側の面における尿等の拡散性を高めることができる。
【0035】
着色シートは、吸収体の外縁でトップシート側に折り返されていてもよい。このように着色シートが設けられていれば、吸収性物品をトップシート側やバックシート側から見て吸収体の外縁を視認しやすくなり、装着の際、吸収性物品を着用者の股間の適切な位置に合わせやすくなる。吸収体の外縁でトップシート側に折り返された着色シートは、吸収体とトップシートの間に延在していることが好ましい。トップシート側に折り返された着色シートは、吸収体のトップシート側の面の全体を覆うように設けられてもよい。なお、このように着色シートが設けられる場合、着色シートは液透過性であることが好ましく、これにより、トップシートを透過した尿等が吸収体にスムーズに吸収されやすくなる。
【0036】
着色シートは、吸収体の外縁よりも外方に延在するように設けられてもよい。このように着色シートが設けられていれば、着色シートによる吸収体の隠蔽効果を高めることができる。また、吸収性物品をトップシート側から見たときに、吸収体の外縁を視認しやすくなり、装着の際、吸収性物品を着用者の股間の適切な位置に合わせやすくなる。この場合、吸収体は着色シートの上に配され、着色シートはトップシート側に折り返されない(すなわち、着色シートは吸収体とトップシートの間に存在しない)ことが好ましい。
【0037】
着色シートの色は、白色以外であれば特に限定されないが、吸収体の隠蔽効果を高める点から、比較的暗い色であることが好ましい。具体的には、着色シートは、L
*a
*b
*表色系による明度(L
*)が25以下であることが好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。明度(L
*)=0の場合は黒色となり、明度(L
*)=100の場合は白色となる。なお、L
*a
*b
*表色系による色表示はJIS Z 8729に準拠し、日本電色工業株式会社製のハンディ型分光色差計NF333により測定した値を用いる。
【0038】
着色シートは、彩度(C
*)が30以下であることが好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。彩度(C
*)は、L
*a
*b
*表色系のa
*とb
*の値から、次式により求めることができる:彩度(C
*)=[(a
*)
2+(b
*)
2]
1/2。着色シートの彩度(C
*)が30以下であれば、着色シートはくすんだ色あるいは無彩色に近づく。
【0039】
着色シートは、模様等が施されず、無地であることが好ましい。すなわち着色シートは、全体が同じ色で着色されていることが好ましい。着色シートが無地であれば、バックシートと着色シートを接着する接着剤の塗工パターンが、吸収性物品のバックシート側から見て認識しやすくなり、吸収性物品のバックシート側に、接着剤の塗工パターンによる意匠性を付与しやすくなる。
【0040】
着色シートは活性炭を含有していてもよい。着色シートが活性炭を含有していれば、活性炭によって着色シートを黒色〜灰色に着色することができるとともに、活性炭による消臭効果も期待できる。
【0041】
なお、トップシートとバックシートは、一般の吸収性物品のように白を基調としたものであることが好ましい。例えば、明度(L
*)は75以上が好ましく、80以上がより好ましく、85以上がさらに好ましい。彩度(C
*)は25以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。
【0042】
トップシートとバックシートはある程度の光透過性を有することが好ましく、例えば、全光線透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。全光線透過率はJIS K 7361に準拠し、日本電色工業株式会社製のヘーズメーターNDH4000により測定する。
【0043】
トップシートやバックシートには模様が施されていてもよいが、この場合、明度や彩度等の色に関する指標や全光線透過率は、地の部分について測定した値を用いるものとする。
【0044】
吸収性物品は、バックシート側から見て、着色シートが視認可能に構成されていることが好ましく、具体的に次のように構成されていることが好ましい。すなわち、吸収性物品は、バックシート側から見て、着色シートの存在部分と非存在部分の色差(ΔE
*ab)が3以上であることが好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。色差(ΔE
*ab)は、L
*a
*b
*表色系におけるL
*とa
*とb
*の差から、次式により求めることができる:ΔE
*ab=[(ΔL
*)
2+(Δa
*)
2+(Δb*)
2]
1/2。
【0045】
バックシートと着色シートとを接着する接着剤の塗工パターンは特に限定されないが、ストライプ状、蛇行線状、オメガ状、スパイラル状等の線状パターンであることが好ましい。接着剤が線状パターンで塗工されていれば、接着剤の塗工部分と非塗工部分との差を出しやすくなり、接着剤の塗工パターンにより吸収性物品のバックシート側に意匠性を付与しやすくなる。なかでも、接着剤はストライプ状のパターンで塗工されていることが好ましく、すなわち、バックシートと着色シートとが、ストライプ状に塗工された接着剤で互いに接着されていることが好ましい。このようなパターンで接着剤が塗工されていれば、吸収性物品をバックシート側から見て、接着剤の塗工部分と非塗工部分との差がより明確に出やすくなる。特に、ストライプ状に接着剤を塗工することにより、接着剤の線幅を太くして、接着剤塗工部分を目立たせることが容易になる。
【0046】
ストライプ状に接着剤を塗工する場合、接着剤塗工部分の幅と接着剤非塗工部分の幅は0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましい。このように接着剤塗工部分と接着剤非塗工部分を設けることにより、吸収性物品をバックシート側から見て、接着剤塗工部分と接着剤非塗工部分を認識しやすくなる。一方、接着剤塗工部分の幅は10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましく、これにより、接着剤の塗工によるバックシートの柔軟性低下の度合いを少なくすることができる。また、接着剤非塗工部分の幅は25mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、これにより、バックシートと着色シートとの接着領域を十分確保しやすくなる。
【0047】
ストライプ状の接着剤塗工パターンは、直線状の接着剤塗工部分が複数並んで配置されていればよい。各接着剤塗工部分は、同じ幅であってもよく、異なる幅であってもよい。各接着剤非塗工部分も、同じ幅であってもよく、異なる幅であってもよい。
【0048】
ストライプ状のパターンで接着剤を塗工する場合、接着剤は、吸収性物品の前後方向または幅方向に延びるストライプ状に塗工されることが好ましい。この場合、ストライプ状の接着剤の塗工パターンによって吸収性物品の方向性や位置を認識することができ、吸収性物品を適切に装着することが容易になる。
【0049】
バックシートと着色シートとを接着した際に、バックシート側から見て接着剤塗工部分が目立つようにする点から、バックシートはフィルム層を有し、このフィルム層が着色シートと接着していることが好ましい。フィルム層は表面が比較的平滑に形成されているため、接着剤塗工部分では接着剤がフィルム層にムラなく(隙間なく)塗工されやすくなり、接着剤塗工部分がはっきりと形成されやすくなる。好ましくは、バックシートのフィルム層に接着剤がコーター等で塗工され、そこに着色シートが配置されてバックシートのフィルム層と接着される。この場合、バックシートはフィルム層のみから構成されていてもよく、フィルム層の外側に不織布層などが積層されていてもよい。
【0050】
バックシートには模様が施されていてもよい。この場合、バックシートには、地の部分と模様の部分が形成されることとなる。模様は印刷等により施されればよい。バックシートが複数層(例えば、フィルム層と不織布層)から構成される場合は、いずれの層に模様が施されていてもよい。バックシートに模様が施されることにより、バックシートと着色シートとを接着する接着剤の塗工パターンと相まって、吸収性物品をバックシート側の意匠性を高めることができる。模様の柄は特に限定されず、縞模様、格子模様、水玉模様、市松模様、唐草模様、鱗模様等が挙げられる。
【0051】
模様の色は特に限定されないが、着色シートとともに吸収体の隠蔽効果を高める点から、模様の色は比較的暗い色であることが好ましく、明度(L
*)が25以下であることが好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。また、彩度(C
*)は30以下であることが好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。
【0052】
バックシートに施された模様は、吸収体の外縁より外方で、吸収性物品のトップシート側から視認可能であることが好ましい。この場合、吸収性物品をトップシート側から見たときに、バックシートに施された模様の存在を目安にして、吸収性物品の外縁やその近傍を認識しやすくなる。そのため、吸収性物品を着用者の下着や他の使い捨ておむつの内側に取り付けた場合でも、吸収性物品の取り外し作業等を容易に行えるようになる。また、吸収性物品をトップシート側から見たときに、吸収体の位置を認識しやすくなり、吸収性物品を装着する際、吸収体を、着用者の排尿部に面するように適切な位置に配置することが容易になる。
【0053】
次に、本発明の吸収性物品について、図面を参照して説明する。
図1〜
図3には、本発明の吸収性物品の一例として、パンツの内側に取り付ける失禁パッドを示した。
図1は、失禁パッドをバックシート側から見た平面図を表す。
図2は、
図1に示した失禁パッドをトップシート側から見た平面図を表す。
図3は、
図1および
図2に示した失禁パッドのIII−III断面図を表す。図面では、矢印xが幅方向を表し、矢印yが前後方向を表し、矢印zが厚み方向を表す。なお本発明の吸収性物品は、図面に示された実施態様に限定されない。
【0054】
吸収性物品1(1A)は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収体4とを有する。トップシート2は、着用者の股部の肌に面するように配置され、尿等の排泄物を透過する。トップシート2を通過した尿等の排泄物は、吸収体4に収容される。バックシート3は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0055】
吸収体4とバックシート3の間には着色シート5が設けられている。吸収体4とバックシート3の間に着色シート5を設けることにより、吸収性物品の使用後、バックシート3を外側にして折り畳んだり小さく丸めたりした際、排泄物によって吸収体4が汚れて着色していても、吸収体4の着色を目立たなくさせることができる。
【0056】
吸収性物品1Aでは、着色シート5が、吸収体4の外縁よりも外方に延在するように設けられている。このように着色シート5が設けられていれば、
図2に示すように、吸収性物品1Aをトップシート2側から見たときに、吸収体4と着色シート5との色の違いによって吸収体4の外縁を認識しやすくなる。そのため、吸収性物品を装着の際、吸収性物品を着用者の股間の適切な位置に合わせやすくなる。
【0057】
バックシート3と着色シート5は、ストライプ状に塗工された接着剤6で互いに接着されている。吸収性物品1Aは、バックシート3の吸収体4側に着色シート5が設けられているため、接着剤6が塗工された部分で着色シート5の色がバックシート3を透過しやすくなり、吸収性物品1Aをバックシート3側から見たときに、接着剤6の塗工パターンを視認しやすくなる。そのため、吸収性物品1Aのバックシート3側は、
図1に示すように、接着剤6によるストライプ状の塗工パターンが浮き上がるように形成され、吸収性物品1Aのバックシート3側に意匠性が付与される。
【0058】
吸収性物品1Aでは、接着剤6は、前後方向yに延びるストライプ状に塗工されている。これにより、吸収性物品1Aの前後方向yを正確に把握しやすくなる。また、ストライプ状に塗工された接着剤6の各線幅が、幅方向の中央から外方に向かって狭くなるように形成されている。これにより、吸収性物品1Aの幅方向xの中心線(前後方向yに延びる中心線)を認識しやすくなる。なお、同様の目的のために、ストライプ状に塗工された接着剤の各線幅を、幅方向の中央から外方に向かって広くなるように形成したり、隣接する接着剤の間隔が幅方向の中央から外方に向かって広くまたは狭くなるように形成することも好ましい。
【0059】
図4〜
図6には、本発明の吸収性物品の他の一例として、使い捨ておむつの内側に取り付けて用いる尿パッドを示した。
図4は、尿パッドをバックシート側から見た平面図を表す。
図5は、
図4に示した尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。
図6は、
図4および
図5に示した尿パッドのVI−VI断面図を表す。
図4〜
図6では、
図1〜
図3に示した吸収性物品(失禁パッド)と同じ構成要素を同一の符号で表している。なお、下記の説明において、
図1〜
図3の吸収性物品と重複する部分の説明は省略する。
【0060】
図4〜
図6に示した吸収性物品1(1B)では、吸収体4とバックシート3の間に配された着色シート5が、吸収体4の外縁でトップシート2側に折り返されて、吸収体4のトップシート2の間に延在している(
図6を参照)。このように着色シート5が設けられていれば、
図4や
図5に示すように、吸収性物品1Bをトップシート2側やバックシート3側から見たときに、吸収体4の外縁が着色シート5で覆われることによって、吸収体4の外縁を認識しやすくなる。そのため、吸収性物品を装着の際、吸収性物品を着用者の股間の適切な位置に合わせやすくなる。
【0061】
吸収性物品1Bでは、
図4に示すように、バックシート3に模様7が施されている。
図4では、蛇行線状の点線の模様7が描かれており、接着剤6によるストライプ状の塗工パターンと相まって、吸収性物品1Bの意匠性が高められている。
【0062】
模様7は、
図5に示すように、吸収体4の外縁より外方で、吸収性物品1Bのトップシート2側から視認可能となっている。そのため吸収性物品1Bは、模様7によって、トップシート2側から見たときに、吸収性物品1Bの外縁やその近傍を認識しやすくなり、吸収性物品1Bを使い捨ておむつの内側に取り付けた場合でも、吸収性物品1Bの取り外し作業等を容易に行えるようになる。