【解決手段】使い捨ておむつ1は、吸収コア22を有する本体部2と、股下部202において吸収コア22の両側部エッジ221近傍にて本体部2の長手方向に伸びる一対の股下弾性部材24とを備える。股下部202において、長手方向に沿う本体部2の中心線上における吸収コア22の厚さは、吸収コア22の他の位置における厚さよりも薄い。本体部2の内面上に補助吸収具7が載置された状態において、補助吸収具7の両側部が、一対の股下弾性部材24と重なる。一対の股下弾性部材24の収縮により、股下部202において吸収コア22および補助吸収具7を下方に凸状としつつ補助吸収具7の両側部が着用者側に押し上げられる。これにより、着用者からの排泄物を補助吸収具7にて適切に受けるとともに、補助吸収具7からの横漏れを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品である使い捨ておむつ1を広げた状態にて示す平面図である。
図2は、使い捨ておむつ1を
図1中に示すA−Aの位置で長手方向(すなわち、
図1中における縦方向)に垂直な面で切断した断面図である。使い捨ておむつ1は、着用者の腹側に接する部位と背側に接する部位とを、左右両側の止着シートである接続部4により腰周りで止着して着用するテープタイプの使い捨ておむつであり、着用者からの排泄物を受ける。
図1では、着用時に着用者に接する側(すなわち、着用者側)の面を手前にして使い捨ておむつ1を描いている。
【0014】
使い捨ておむつ1は、略シート状の本体部2、および、本体部2の内面(着用者側の面)上に載置される補助吸収具7(後述の
図4参照)を保持する吸収具保持部3を備える。
図1では、長手方向に沿う本体部2の中心線を、符号C1を付す一点鎖線にて示している。
【0015】
本体部2の
図1中における上側の部位201および下側の部位203はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する部位であり、以下の説明では、「前方部201」および「後方部203」と呼ぶ。また、前方部201と後方部203との間において前方部201および後方部203から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位202を「股下部202」と呼ぶ。使い捨ておむつ1では、本体部2が前方部201、股下部202および後方部203を長手方向に順に有し、前方部201および後方部203の幅が、股下部202の幅よりも大きい。本体部2は、使い捨ておむつ1の主要部であるため、本体部2の前方部201、股下部202および後方部203は、それぞれ使い捨ておむつ1の前方部、股下部および後方部と捉えることができる。
【0016】
吸収具保持部3は、本体部2の内面のおよそ全体に広がる補助シート31、および、補助シート31に接合される複数の弾性部材32を備える。補助シート31には、大きな開口311が形成される。後述するように、補助シート31は補助吸収具7の保持に利用される。以下、弾性部材32を「保持弾性部材32」という。吸収具保持部3の構造の詳細については後述する。
【0017】
使い捨ておむつ1は、後方部203の両側部に取り付けられた一対の接続部4をさらに備える。使い捨ておむつ1が着用者に装着される際には、本体部2の前方部201および後方部203がそれぞれ着用者の腹側および背側に接した状態で、一対の接続部4が、
図3に示すように、前方部201の外面(すなわち、着用者に接する面とは反対側の面)の被止着シート26に止着されることにより、後方部203の両側部が前方部201の両側部に接続される。
【0018】
図1および
図2に示すように、本体部2は、透液性のトップシート21、撥水性または不透液性のバックシート23、および、トップシート21とバックシート23との間に配置された吸収コア22により形成される。トップシート21は、吸収コア22の内面を覆い、バックシート23は吸収コア22の外面を覆う。
図2では、図示の都合上、使い捨ておむつ1の各構成を厚さ方向に離して描いている。また、
図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている。
【0019】
図1に示すように、前方部201および後方部203における吸収コア22の外形の幅(すなわち、本体部2の長手方向に垂直な左右方向の長さ)は、股下部202における吸収コア22の外形の幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22の外形は砂時計型である。吸収コア22の外形の幅を規定する2つのエッジ221、すなわち、吸収コア22の両側部エッジ221は、股下部202において長手方向に沿って伸び、本体部2の中心線C1にほぼ平行である。股下部202において、中心線C1から吸収コア22の各側部エッジ221までの距離は、好ましくは、中心線C1から本体部2の側部エッジまでの距離の2/3以下であり、より好ましくは、1/2以下である(例えば、1/3以上)。
【0020】
吸収コア22は、その厚さが吸収コア22の他の位置における厚さよりも薄い薄肉部222を有する。薄肉部222は、本体部2の中心線C1上に配置され、長手方向において股下部202のおよそ全体に亘って広がる。好ましい使い捨ておむつ1では、吸収コア22を形成する親水性繊維および吸水性材料が、薄肉部222に配置されない。例えば、薄肉部222の左右方向の幅は、股下部202における吸収コア22の外形の幅の1/3以下である。吸収コア22における薄肉部222は、前方部201および後方部203には設けられない。すなわち、前方部201および後方部203における吸収コア22の厚さは、ほぼ一定である。薄肉部222は、長手方向における吸収コア22の全体に亘って設けられてもよい。
【0021】
図2に示すように、トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤(他の種類の接着剤であってよい。以下同様。)を介してバックシート23に接合される。また、補助シート31における長手方向の外側の部位、および、左右方向の外側の部位は、バックシート23のトップシート21から露出する部位、および、トップシート21のエッジ近傍の部位に、ホットメルト接着剤を介して接合される。
【0022】
図1および
図2に示すように、本体部2の股下部202では、長手方向に伸びる一対の股下弾性部材24が、吸収コア22の両側部エッジ221近傍にそれぞれ配置される。各股下弾性部材24は、互いに平行に配列された複数の股下弾性要素241,242を含む。股下弾性要素241は、左右方向における各側部エッジ221の外側にてトップシート21とバックシート23との間に挟まれ、ホットメルト接着剤により両者に伸張状態にて接合されている。股下弾性要素242は、左右方向における各側部エッジ221の内側にてバックシート23と吸収コア22の外面との間に挟まれ、ホットメルト接着剤により両者に伸張状態にて接合されている。これらのホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される(以下同様)。股下部202において、一対の股下弾性部材24の左右方向における両外側には、いずれの弾性部材も設けられない。なお、トップシート21とバックシート23との接合や補助シート31とトップシート21およびバックシート23との接合は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
【0023】
図1に示すように、本体部2の長手方向の両端部にはそれぞれ、トップシート21とバックシート23とに挟まれるとともに左右方向に伸びる弾性部材25が設けられる。弾性部材25は、互いに平行に配列された複数の弾性要素を含む。使い捨ておむつ1では、伸張状態にてトップシート21およびバックシート23に接合された弾性部材25が収縮することによりウエストギャザーが形成され、使い捨ておむつ1の着用時に本体部2が着用者の腰周りに密着する。これにより、腰周りからの尿等の漏出が防止される。
【0024】
トップシート21は、透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。トップシート21は、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布であり、当該不織布として、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0025】
吸収コア22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および吸水性材料とホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性材料の脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。本実施の形態における吸収コア22は、パルプ繊維およびSAP、または、SAPのみを含み(いわゆる、SAPシート)、薄型である。
【0026】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用され、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すことが防止される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、使い捨ておむつ1の蒸れを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0027】
補助シート31としては、例えば、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が利用される。弾性部材24,25,32の弾性要素としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、本実施の形態では、ポリウレタン糸が各弾性要素として利用される。もちろん、弾性部材24,25,32は、1つの弾性要素のみを含んでよい。
【0028】
図4は、着用者からの排泄物を受ける補助吸収具7が、本体部2の内面上に取り付けられた状態における使い捨ておむつ1を示す平面図であり、
図5は、補助吸収具7および使い捨ておむつ1を
図4中に示すB−Bの位置で長手方向に垂直な面で切断した断面図である。
図4および
図5では、補助吸収具7および使い捨ておむつ1を広げた状態(すなわち、長手方向および左右方向に伸張した状態)を示している。
【0029】
既述のように、
図4に示す吸収具保持部3は、補助シート31、および、複数の保持弾性部材32を備える。補助シート31の開口311は、長手方向において本体部2の前方部201から後方部203に亘って形成される。前方部201における開口311のエッジは、本体部2の中心線C1に対して対称な形状となる一対の傾斜エッジ312を含む。本体部2の前方部201側の端部から股下部202に向かうに従って、一対の傾斜エッジ312は、本体部2の中心線C1から左右方向の両側に離れる。換言すると、左右方向における開口311の幅が、当該端部から股下部202に向かって漸次増大する。後方部203における開口311のエッジも、本体部2の中心線C1に対して対称な形状となる一対の傾斜エッジ312を含む。本体部2の後方部203側の端部から股下部202に向かうに従って、一対の傾斜エッジ312は、本体部2の中心線C1から左右方向の両側に離れる。すなわち、左右方向における開口311の幅が、当該端部から股下部202に向かって漸次増大する。股下部202における開口311の幅は、一定である。
【0030】
補助シート31には、各傾斜エッジ312に沿って保持弾性部材32が伸張状態にてホットメルト接着剤により接合される。すなわち、補助シート31の前方部201側の部位において、一対の保持弾性部材32が一対の傾斜エッジ312に沿って接合され、補助シート31の後方部203側の部位において、一対の保持弾性部材32が、一対の傾斜エッジ312に沿って補助シート31に接合される。各保持弾性部材32は、互いに平行に配列された複数の弾性要素の集合である。
【0031】
補助シート31の前方部201側の部位、および、後方部203側の部位のそれぞれにおいて、一対の傾斜エッジ312は、中心線C1に交差する接続エッジ313を介して互いに接続する。接続エッジ313は、およそ左右方向に広がる弧状である。接続エッジ313は、左右方向に伸びる直線状であってもよい。補助シート31では、接続エッジ313に沿う部位には、いずれの弾性部材も設けられない。すなわち、補助シート31において接続エッジ313に沿う部位は、左右方向に伸縮性を有さず、接続エッジ313近傍にはギャザーが形成されない。使い捨ておむつ1の設計によっては、接続エッジ313に沿って弾性部材が設けられてもよい。
【0032】
補助シート31は、開口311の周囲において本体部2の内面(トップシート21の内面またはバックシート23の内面)に接合される。詳細には、長手方向における本体部2の両端部のエッジに沿う補助シート31の部位が、端部接合部318として本体部2に接合され、本体部2の両側部のエッジ(長手方向に沿うエッジ)に沿う補助シート31の部位が、側部接合部319として本体部2に接合される。
図4では、補助シート31が本体部2の内面に接合される領域、すなわち、端部接合部318および側部接合部319を平行斜線を付して示している。
【0033】
補助シート31の前方部201側の部位、および、後方部203側の部位のそれぞれにおいて、接続エッジ313は、端部接合部318から長手方向に離間する。すなわち、接続エッジ313と端部接合部318との間には、補助シート31が本体部2に接合されない非接合領域が設定される。当該非接合領域では、補助シート31と本体部2の内面との間に、中央ポケット51が形成される。長手方向における接続エッジ313と端部接合部318との間の長さ、すなわち、中央ポケット51の深さは、例えば1〜5センチメートルである。
【0034】
また、各傾斜エッジ312と、端部接合部318および側部接合部319との間にも、補助シート31が本体部2に接合されない非接合領域が設定される。当該非接合領域では、補助シート31と本体部2の内面との間に、側部ポケット52が形成される。このように、前方部201および後方部203のそれぞれでは、中心線C1の位置に中央ポケット51が設けられ、左右方向における中央ポケット51の両外側に一対の側部ポケット52が当該中央ポケット51に連続して設けられる。
【0035】
使い捨ておむつ1では、本体部2を長手方向および左右方向に伸張した状態において、一対の傾斜エッジ312の中心線C1に対する傾斜角は、45°以下であることが好ましく、これにより、長手方向に深い側部ポケット52が形成される。また、後方部203における一対の傾斜エッジ312の中心線C1に対する傾斜角が、前方部201における当該傾斜角よりも小さいことが好ましい。これにより、後方部203における側部ポケット52の深さが、前方部201における側部ポケット52の深さよりも大きくなる。
【0036】
股下部202では、開口311の周囲における補助シート31のおよそ全体の部位が、本体部2の内面に接合される。したがって、前方部201における一対の側部ポケット52と、後方部203における一対の側部ポケット52とは、股下部202において実質的に不連続である。また、股下部202に対向する補助シート31の部位には、いずれの弾性部材も設けられない。
【0037】
図4および
図5に示すように、補助吸収具7は、略シート状の補助吸収具本体部72、および、補助吸収具本体部72の両側部上において補助吸収具本体部72の長手方向のおよそ全長に亘る一対の補助吸収具サイドシート73を備える。
図4に示す補助吸収具7では、使い捨ておむつ1の前方部201側に配置される部位と、後方部203側に配置される部位との間で、形状および大きさが僅かに相違する。具体的には、前方部201側に配置される部位の左右方向の幅は、後方部203側に配置される部位の左右方向の幅よりも小さい。
【0038】
図5に示すように補助吸収具本体部72は、トップシート721、バックシート723、および、トップシート721とバックシート723との間に配置された吸収コア722を備える。トップシート721は、吸収コア722の内面を覆い、バックシート723は吸収コア722の外面を覆う。補助吸収具サイドシート73は、補助吸収具本体部72に接合される補助吸収具接合部733、および、長手方向に伸びる補助吸収具側壁部734を備える。補助吸収具側壁部734の自由端には、長手方向に伸びる弾性部材が設けられる。伸張状態にて接合された当該弾性部材が収縮することにより、補助吸収具側壁部734において少なくとも長手方向の中央部が、補助吸収具接合部733近傍を固定端として補助吸収具本体部72から起立する。補助吸収具7におけるトップシート721、バックシート723、吸収コア722および補助吸収具サイドシート73の材料は、それぞれ使い捨ておむつ1におけるトップシート21、バックシート23、吸収コア22および補助シート31と同様である。
【0039】
補助吸収具7を使い捨ておむつ1に取り付ける際には、まず、補助吸収具7が本体部2の内面上に載置される。続いて、補助吸収具7の前方部201側の端部における左右方向両側の角部が、前方部201における一対の側部ポケット52にそれぞれ挿入される。また、補助吸収具7の後方部203側の端部における左右方向両側の角部が、後方部203における一対の側部ポケット52にそれぞれ挿入される。前方部201および後方部203のそれぞれでは、補助シート31において一対の傾斜エッジ312に沿って設けられる一対の保持弾性部材32により補助吸収具7が本体部2に向かってある程度付勢される。これにより、補助吸収具7が本体部2上において保持される。
【0040】
このように、使い捨ておむつ1では、本体部2の内面上に載置される補助吸収具7の前方部201側の端部を保持する前方保持部33が、前方部201に設けられる補助シート31の部位331(以下、「保持シート331」という。)、および、一対の保持弾性部材32により実現される。また、補助吸収具7の後方部203側の端部を保持する後方保持部34が、後方部203に設けられる補助シート31の部位341(以下、「保持シート341」という。)、および、一対の保持弾性部材32により実現される。
【0041】
図5に示すように、本体部2の内面上に補助吸収具7が載置された状態では、補助吸収具7の両側部が、本体部2の一対の股下弾性部材24と
図5中の上下方向(長手方向および左右方向に垂直な方向)に重なる。詳細には、股下部202において、補助吸収具7に設けられる吸収コア722の左右方向における幅は、本体部2の吸収コア22の左右方向における幅よりも大きく、補助吸収具本体部72の各側部の下方に、吸収コア22の側部エッジ221の外側に配置された股下弾性要素241が配置される。
【0042】
また、吸収コア22では、中心線C1上に薄肉部222が設けられており(
図1参照)、長手方向に垂直な断面における股下部202の曲げ剛性が、中心線C1の位置において低い。使い捨ておむつ1では、伸張状態にて接合された一対の股下弾性部材24の収縮により、
図6に示すように、吸収コア22の両側部が上方(使い捨ておむつ1の着用状態における着用者側)に押し上げられるとともに、本体部2の断面形状が下方に向かって突出する凸状となる。実際には、薄型の吸収コア22の側部エッジ221近傍には、左右方向に伸びる多数の皺が長手方向に並んで形成され、吸収コア22が外側に向かって湾曲した形状となる。
【0043】
また、補助吸収具7の吸収コア722の両側部も着用者側に押し上げられ、長手方向に垂直な補助吸収具本体部72の断面形状が、下方(着用者とは反対側)に向かって突出する凸状となる。したがって、補助吸収具7では、補助吸収具本体部72の内面、および、一対の補助吸収具側壁部734により囲まれる収容空間の上下方向における深さが深くなる。これにより、着用者からの尿等の排泄物が当該収容空間にて保持されやすくなり、排泄物の補助吸収具7の外部への漏れ(特に、左右方向からの横漏れ)を抑制しつつ、排泄物の水分が補助吸収具7の吸収コア722にて適切に吸収される。
【0044】
実際には、一対の補助吸収具側壁部734の固定端近傍が、一対の股下弾性部材24とそれぞれ重なり、補助吸収具側壁部734の固定端が着用者側に押し上げられる。これにより、補助吸収具側壁部734が着用者の肌に密着し、その結果、排泄物が補助吸収具7および使い捨ておむつ1の外部へと漏出することがより確実に防止される。
【0045】
以上に説明したように、
図4に示す使い捨ておむつ1では、前方保持部33および後方保持部34のそれぞれが、本体部2の内面上に重ねられる保持シート331,341を備え、保持シート331,341において本体部2の端部および両側部のエッジに沿う部位が本体部2の内面に接合される。また、保持シート331,341には、本体部2の当該端部から股下部202に向かうに従って中心線C1から左右方向の両側に離れる一対の傾斜エッジ312が形成され、当該一対の傾斜エッジ312に沿って一対の保持弾性部材32が接合される。本体部2の内面上に取り付けられる補助吸収具7では、前方部201側の端部および後方部203側の端部のそれぞれにおける各側部の角部が、傾斜エッジ312に沿う保持弾性部材32により本体部2に向かってある程度押し付けられる。これにより、長手方向および左右方向の双方における補助吸収具7のずれを抑制することができる。
【0046】
また、補助吸収具7の各角部を側部ポケット52に挿入することにより、補助吸収具7の使い捨ておむつ1への取付が完了するため、例えば左右方向に長い保持用のポケット(開口部を形成するエッジが左右方向に伸びるポケット)に補助吸収具7の端部の全体を挿入する場合に比べて、補助吸収具7を使い捨ておむつ1に容易に取り付けることができる。さらに、傾斜エッジ312により補助吸収具7を本体部2に対して押さえる使い捨ておむつ1では、様々なサイズや形状の補助吸収具7を保持することが可能である。前方保持部33および後方保持部34は、保持シート331,341および複数の保持弾性部材32を設けた簡単な構造であるため、左右方向に長い保持用のポケットを形成する場合に比べて、使い捨ておむつ1の部品点数が過度に増大することもない。
【0047】
前方保持部33および後方保持部34のそれぞれの保持シート331,341では、当該保持部33,34が設けられる本体部2の端部側にて一対の傾斜エッジ312を接続する接続エッジ313が設けられ、当該接続エッジ313が、当該端部における端部接合部318から長手方向に離間する。これにより、保持シート331,341において、左右方向の広範囲に亘る防漏用のポケット(中央ポケット51および側部ポケット52)を形成することができ、本体部2の当該端部側からの排泄物の漏れを抑制することができる。
【0048】
本体部2を長手方向および左右方向に伸張した状態において、一対の傾斜エッジ312の中心線C1に対する傾斜角が45°以下であることにより、本体部2の当該端部の両側部において長手方向に深い側部ポケット52を形成することができる。その結果、補助吸収具7の補助吸収具側壁部734に沿って長手方向に流れる排泄物を、側部ポケット52にて適切に保持することができる。
【0049】
使い捨ておむつ1では、股下部202において、中心線C1上における吸収コア22の厚さが、吸収コア22の他の位置における厚さよりも薄い。また、長手方向に伸びる一対の股下弾性部材24が、股下部202において吸収コア22の両側部エッジ221近傍に設けられ、本体部2の内面上に補助吸収具7が載置された状態において、補助吸収具7の両側部が一対の股下弾性部材24と重なる。これにより、一対の股下弾性部材24の収縮により、股下部202において吸収コア22および補助吸収具7を下方(着用者とは反対側)に凸状としつつ補助吸収具7の両側部が着用者側に押し上げられる。その結果、着用者からの排泄物を補助吸収具7にて適切に受けるとともに、補助吸収具7からの横漏れを抑制することができる。
【0050】
ここで、本体部2の吸収コアが厚い(例えば、補助吸収具7の吸収コア722と同程度に厚い)比較例の使い捨ておむつを想定する。当該比較例の使い捨ておむつでは、当該吸収コアの剛性が高いため、補助吸収具7を取り付けた際に、当該吸収コアにより補助吸収具7が下方から安定して支持される。一方、比較例の使い捨ておむつでは、厚い2枚の吸収コアが重ねられるため、内部が蒸れやすくなる。また、薄型の吸収コア22(例えば、補助吸収具7の吸収コア722よりも薄い吸収コア22)が用いられる
図5の使い捨ておむつ1において、股下弾性部材24を省略した他の比較例の使い捨ておむつを想定する。当該他の比較例の使い捨ておむつでは、補助吸収具7を取り付けた場合でも、薄型の吸収コア22の採用により、内部が蒸れにくくなる。一方、吸収コア22の剛性が低いため、使い捨ておむつの内部において補助吸収具7の保持が不安定となる。
【0051】
これに対し、
図5の使い捨ておむつ1では、薄型の吸収コア22が採用されるとともに、補助吸収具7の両側部と重なる一対の股下弾性部材24が本体部2に設けられる。これにより、使い捨ておむつ1の内部の蒸れを抑制しつつ、一対の股下弾性部材24により、補助吸収具7を下方から安定して支持することができる。使い捨ておむつ1では、補助吸収具7を本体部2側に押し付ける前方保持部33および後方保持部34、並びに、補助吸収具7を着用者側に押し付ける一対の股下弾性部材24により、補助吸収具7をしっかりと保持することができる。また、薄肉部222が設けられる吸収コア22では、内部の蒸れをさらに抑制することができる。
【0052】
また、補助吸収具7では、補助吸収具本体部72の両側部上において補助吸収具本体部72の長手方向に伸びるとともに長手方向の中央部が補助吸収具本体部72から起立する一対の補助吸収具側壁部734が設けられる。そして、本体部2の内面上に補助吸収具7が載置された状態において、一対の補助吸収具側壁部734の固定端近傍が、一対の股下弾性部材24と重なる。これにより、使い捨ておむつ1では、補助吸収具側壁部734の固定端を着用者側に押し上げることができ、補助吸収具7からの横漏れをさらに抑制することができる。
【0053】
使い捨ておむつ1では、本体部2の内面上に補助吸収具7が載置された状態において、一対の補助吸収具側壁部734の左右方向の外側が、股下部202において他の側壁部により覆われない。換言すると、本体部2の股下部202において、一対の股下弾性部材24よりも左右方向の外側の部位が、長手方向に伸縮性を有さない。これにより、着用者の鼠径部や脚回りが不必要に押さえられることが防止され、使い捨ておむつ1の着用感を向上することができる。
【0054】
上記使い捨ておむつ1では様々な変形が可能である。
【0055】
前方保持部33および後方保持部34の一方または双方において、左右方向に長い保持用のポケット(開口部を形成するエッジが左右方向に伸びるポケット)等が設けられてもよい。
【0056】
使い捨ておむつ1では、股下部202において側部接合部319の幅が狭くされるとともに、開口311の長手方向に伸びるエッジに沿って補助シート31に弾性部材が設けられ、着用者側に立ち上がるギャザーが形成されてもよい。
【0057】
上述の使い捨ておむつ1の構造は、テープタイプの使い捨ておむつ以外に、前方部201の両側部が、後方部203の両側部にそれぞれ接合されることにより、前方部201および後方部203の上端に胴部開口が形成され、股下部202の左右に一対の脚部開口が形成されるパンツタイプの使い捨ておむつや、その他、様々な吸収性物品に利用されてよい。
【0058】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。