特開2016-97047(P2016-97047A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016097047-背もたれ及び椅子 図000003
  • 特開2016097047-背もたれ及び椅子 図000004
  • 特開2016097047-背もたれ及び椅子 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-97047(P2016-97047A)
(43)【公開日】2016年5月30日
(54)【発明の名称】背もたれ及び椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 5/00 20060101AFI20160425BHJP
   A47C 7/42 20060101ALI20160425BHJP
   A47C 7/44 20060101ALI20160425BHJP
【FI】
   A47C5/00 C
   A47C7/42
   A47C7/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-236201(P2014-236201)
(22)【出願日】2014年11月21日
(71)【出願人】
【識別番号】506407615
【氏名又は名称】株式会社山▲崎▼木工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 勝郎
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 年庸
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084FA05
3B084GA05
(57)【要約】
【課題】 適度なしなりによって使用者に快適性及び安心感を与えることができる背もたれを提供する。
【解決手段】 支持部40に座部30が支持された椅子本体20に取り付けられる背もたれ10であって、複数が互いに間隔をあけて並列配置され基端側に椅子本体20への取付部111を有する長尺の板状部材11と、複数の板状部材11の先端側を連結する連結部材12とを備え、各板状部材11は、竹を長手方向に切断して形成された可撓性の部材であり、表裏面同士が並列方向に隣り合うように配置されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部に座部が支持された椅子本体に取り付けられる背もたれであって、
複数が互いに間隔をあけて並列配置され、基端側に椅子本体への取付部を有する長尺の板状部材と、
複数の前記板状部材の先端側を連結する連結部材とを備え、
前記各板状部材は、竹を長手方向に切断して形成された可撓性の部材であり、表裏面同士が並列方向に隣り合うように配置されている背もたれ。
【請求項2】
前記板状部材の基端側の裏面に補強部材が設けられている請求項1に記載の背もたれ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の背もたれが、支持部に座部が支持された椅子本体に取り付けられた椅子。
【請求項4】
前記座部は、互いに間隔をあけて配置された複数の細長部材を備えており、
前記各細長部材の間に前記各板状部材がそれぞれ挿入されて、前記背もたれが前記椅子本体に取り付けられる請求項3に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背もたれ及びこれを備える椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の椅子として、特許文献1には、細長の竹材を複数並列して上端をゴムベルトで連結した背もたれを有する構成が開示されている。この椅子は、背もたれに体重をかけると、竹材のしなりによって背もたれが大きく弾性変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−95545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の椅子のように、複数の竹材を単に並列させるだけでは、背もたれの変形が大きくなり過ぎるおそれがあり、快適性や安定性が損なわれるという問題があった。また、このように竹材を大きくしならせると、背もたれに塑性変形が生じるおそれもあった。
【0005】
そこで、本発明は、適度なしなりによって使用者に快適性及び安心感を与えることができる背もたれの提供を目的とし、更に、この背もたれを備える椅子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、支持部に座部が支持された椅子本体に取り付けられる背もたれであって、複数が互いに間隔をあけて並列配置され、基端側に椅子本体への取付部を有する長尺の板状部材と、複数の前記板状部材の先端側を連結する連結部材とを備え、前記各板状部材は、竹を長手方向に切断して形成された可撓性の部材であり、表裏面同士が並列方向に隣り合うように配置されている背もたれにより達成される。
【0007】
この背もたれは、前記板状部材の基端側の裏面に補強部材が設けられていることが好ましい。
【0008】
また、本発明の前記目的は、上記の背もたれが、支持部に座部が支持された椅子本体に取り付けられた椅子により達成される。
【0009】
この椅子において、前記座部は、互いに間隔をあけて配置された複数の細長部材を備えることが好ましく、前記各細長部材の間に前記各板状部材がそれぞれ挿入されて、前記背もたれが前記椅子本体に取り付けられるように構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、適度なしなりによって使用者に快適性及び安心感を与えることができる背もたれを提供することができ、更に、この背もたれを備える椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る椅子の斜視図である。
図2図1に示す椅子の正面図である。
図3図2のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1及び図2は、それぞれ本発明の一実施形態に係る椅子の斜視図及び正面図である。また、図3は、図2のA−A断面図である。図1から図3に示すように、本実施形態の椅子1は、背もたれ10が椅子本体20に取り付けられて構成されている。
【0013】
背もたれ10は、互いに間隔をあけて複数並列配置された長尺の板状部材11と、これら複数の板状部材11の先端側を連結する連結部材12とを備えている。板状部材11は、竹を長手方向に沿って切断して薄板状に形成された可撓性の部材であり、連結部材12とは反対側の基端側に、椅子本体20への取付部111を有している。
【0014】
板状部材11は、上記のように竹を長手方向に切断して形成されており、厚み方向に繊維密度の分布を有する。すなわち、板状部材11の表面側は竹の皮側であり、繊維密度が高い一方、板状部材11の裏面側は竹の身側であり、繊維密度が低くなっている。このため、板状部材11に所定の荷重が作用したときに生じるしなりは、裏面側が凸となる場合に比べて表面側が凸となる場合の方が大きくなる。
【0015】
本実施形態の背もたれ10は、このような竹材の表裏における繊維密度の違いを利用するものであり、図2に示すように、板状部材11の表面11a及び裏面11bが交互に並ぶように配置することで、各板状部材11の表裏面同士が並列方向に隣り合うように構成されている。板状部材11は、本実施形態においては単層としているが、複数の竹材を積層したものであってもよく、この場合は、一の竹材の表面に他の竹材の裏面が接着するように、順次積み重ねることが好ましい。
【0016】
連結部材12は、板状部材11の先端部の表裏面を挟持する一対の板状体から構成されている。連結部材12の材料は特に限定されないが、例えば、板状部材11と同じ竹材を使用することができる。
【0017】
椅子本体20は、使用者が座る座部30と、座部30を支持する支持部40とを備えている。座部30は、背もたれ10と同様に構成されており、互いに間隔をあけて複数並列配置された細長部材31と、これら複数の細長部材31の先端側を連結する連結部材32とを備えている。細長部材31は、板状部材11と同様に竹材から形成することができ、表裏面同士が並列方向に隣り合うように配置されている。
【0018】
支持部40は、座部30の左右両側に配置される一対の脚体41,41と、一対の脚体41,41の前側及び後側の上部同士をそれぞれ連結する前側横架材42及び後側横架材43とを備えている。また、支持部40は、背もたれ10及び座部30の基端側がそれぞれ着脱可能に装着される背もたれ装着部44及び座部装着部45を備えている。
【0019】
背もたれ装着部44は、一対の脚体41,41間の前部に水平に延びるように固定されており、各板状部材11の取付部111を個別に収容する複数の装着孔441を有している。また、座部装着部45は、一対の脚体41,41間の背もたれ装着部44よりも後方において水平に延びるように固定されており、各細長部材31の基端部311を個別に収容する複数の装着孔311を有している。座部30は、使用者が足を延ばして座ることが可能な長さを有しており、座部装着部45に装着した状態で、下面側が前側横架材42に当接して支持される。背もたれ10の各板状部材11は、座部30において互いに連接する各細長部材31の間に挿入されており、背もたれ10及び座部30は、側面視において互いに交差する。板状部材11及び細長部材31は、互いに交差する部分から先端側が、基端側よりも幅が若干小さくなるように形成されている。
【0020】
以上の構成を備える椅子1は、使用者が座部30に座った状態で背もたれ10に寄りかかると、図3に示すように、背もたれ10に矢示方向のしなりが生じる。背もたれ10は、竹材からなる板状部材11の表裏面同士が並列方向に隣り合うように配置されているので、図2に示すように、繊維密度が相対的に高い表面11a側が正面を向く板状部材11は、荷重によって大きく変形しようとする一方、繊維密度が相対的に低い裏面11b側が正面を向く板状部材11は、自身の変形が小さいために、隣接する板状部材11の変形を抑制する。この結果、背もたれ10の全体として過度のしなりを防止することができ、使用者は、快適な使用感と共に安心感を得ることができる。また、背もたれ10の変形が抑制されることで、板状部材11の塑性変形を防止することができ、耐久性を高めることができる。
【0021】
また、座部30についても背もたれ10と同様に構成し、背もたれ10及び座部30を側面視において交差させているので、背もたれ10及び座部30に生じる適度なしなりによって、使用者の全身にリラックス効果を与えることができる。椅子1を使用しないときは、背もたれ10及び座部30を支持部40から取り外すことにより、コンパクトに収納することができる。
【0022】
板状部材11は、図3に示すように、基端側の裏面側に補強部材13が設けられている。補強部材13は、背もたれ10と座部30との交差位置よりも上方位置から基端まで延びており、この部分における板状部材11の湾曲を規制することにより、背もたれ10のしなりを所望の高さ位置から生じさせて、使用者の快適性を向上させることができる。補強部材13として竹材を使用する場合には、繊維密度が高い表面側が露出するように配置することが好ましい。
【符号の説明】
【0023】
1 椅子
10 背もたれ
11 板状部材
11a 表面
11b 裏面
111 取付部
12 連結部材
20 椅子本体
30 座部
31 細長部材
40 支持部
図1
図2
図3