特開2016-97965(P2016-97965A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ システム デシュヤージュの特許一覧

<>
  • 特開2016097965-車両用ワイパー装置 図000003
  • 特開2016097965-車両用ワイパー装置 図000004
  • 特開2016097965-車両用ワイパー装置 図000005
  • 特開2016097965-車両用ワイパー装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-97965(P2016-97965A)
(43)【公開日】2016年5月30日
(54)【発明の名称】車両用ワイパー装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/38 20060101AFI20160425BHJP
【FI】
   B60S1/38 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-226423(P2015-226423)
(22)【出願日】2015年11月19日
(31)【優先権主張番号】1461222
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ゴシェ
【テーマコード(参考)】
3D025
【Fターム(参考)】
3D025AA01
3D025AC01
3D025AD01
3D025AE15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワイパー装置が作動しているときであっても、効果的な電気的接続を可能とする。
【解決手段】拭き取り動作を伝達するように構成され、長手方向端部8を有する駆動アームと、ウィンドガラスワイパー3と、前記アームの前記長手方向端部8と前記ウィンドガラスワイパー3との間に配置された固定装置と、を備え、前記ワイパー3は、少なくとも一つの電気的要素を設けられ、前記アームの前記長手方向端部8は、送電コイル27を設けられ、前記ワイパー3は、前記固定装置の高さ位置にて受電コイル29を設けられ、前記送電コイル27の前記受電コイル29との協働が、磁気誘導によって前記電気的要素への電力の供給を可能とする、ことを特徴とするワイパー装置、に関する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拭き取り動作を伝達するように構成され、長手方向端部(8)を有する駆動アーム(7)と、
ウィンドガラスワイパー(3)と、
前記アーム(7)の前記長手方向端部(8)と前記ウィンドガラスワイパー(3)との間に配置された固定装置(5)と、を備え、
前記ワイパー(3)は、少なくとも一つの電気的要素(23)を設けられたワイパー装置(1)であって、
前記アーム(7)の前記長手方向端部(8)は、送電コイル(27)を設けられ、前記ワイパー(3)は、前記固定装置(5)の高さ位置にて受電コイル(29)を設けられ、前記送電コイル(27)の前記受電コイル(29)との協働が、磁気誘導によって前記電気的要素(23)への電力の供給を可能とする、
ことを特徴とするワイパー装置(1)。
【請求項2】
前記固定装置(5)は、前記アーム(7)の前記長手方向端部(8)に固定されることが意図されたアダプタ(13)と、このアダプタに関節接合され且つ前記ウィンドガラスワイパー(3)に固定されることが意図されたコネクタ(15)とを有し、前記受電コイルは、前記アダプタ(13)又は前記コネクタ(15)によって支持される、
ことを特徴とする請求項1に記載のワイパー装置。
【請求項3】
前記アーム(7)の前記長手方向端部(8)は、支持ヨークの形態をとり、前記送電コイル(27)は、前記アダプタ(13)を向く前記支持ヨーク(8)の下側面(31)に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイパー装置。
【請求項4】
前記受電コイル(29)は、前記ワイパー(3)を向く前記コネクタ(15)の下側面(33)に、配置されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記受電コイル(29)は、前記コネクタ(15)の高さ位置で、前記ワイパー(3)の骨格部(11)に、配置されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のワイパー装置。
【請求項6】
前記送電コイル(27)は、前記支持ヨーク(8)内にオーバーモールドされ、前記受電コイル(29)は、前記コネクタ(15)内にオーバーモールドされている、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記受電コイル(29)は、前記電気的要素(23)に電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記電気的要素(23)は、加熱要素(25)、特に正温度係数セラミックス又は抵抗器である、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記電気的要素(23)は、測定センサを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のワイパー装置(1)用の駆動アーム(7)であって、
拭き取り動作を伝達するように構成され、一方の端部に支持ヨーク(8)を有し、
前記支持ヨーク(8)が、磁気誘導によって電力の供給を可能とする送電コイル(27)を設けられている、
ことを特徴とする駆動アーム(7)。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載のワイパー装置用のウィンドガラスワイパーであって、
少なくとも一つの電気的要素(23)を設けられたウィンドガラスワイパー(3)に固定されるコネクタ(15)を備え、
前記コネクタ(15)の高さ位置に配置され、磁気誘導によって前記電気的要素(23)への電力の供給を可能とする受電コイルを備える、
ことを特徴とするウィンドガラスワイパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたり、車両用のウィンドガラスワイパー及びワイパーシステムにおいては、多くの改善があった。
【0003】
主要な改善の一つは、例えば低温の気候、特に窓上に氷又は霜の堆積があるときにおけるウィンドガラスのような窓の拭き取りに関する。
【0004】
ユーザが直ぐに可視性を取り戻すことができるようにするために、例えば、窓上の氷又は氷の結晶を直ぐに溶融するべく、ウィンドガラス用洗浄液を加熱することが提案されてきた。
【0005】
このウィンドガラス用洗浄液は、その貯蔵タンク内で又はこれが流体配管を移動するのに応じて、加熱されてもよい。
【0006】
しかしながら、ウィンドガラス用洗浄液又はワイパーの周辺環境を加熱するべく、ウィンドガラス用洗浄液に直接的に接触する又はしない、例えば正温度係数(PTC)セラミックス要素又は加熱抵抗器といった加熱装置をワイパー自体に設置することが賢明であると、判明され、これにより、ウィンドガラス用洗浄液が、窓上においてワイパーブレードの前方だけに噴霧されるようにワイパー自体に供給されるようになる。
【0007】
本出願人の名義でのFR2 987 016は、例えば、車両の窓上にある雪、霜又は氷を溶融するための加熱要素、例えば放射型の加熱要素を設けられたワイパーブレードを示している。
【0008】
この場合、電気導電性ワイヤが、加熱要素への電力供給を可能とするために、ワイパーまで供給されなければならない。
【0009】
ワイパーをアームに機械的にだけでなく電気的に接続することに注意を払う追加的な必要性がある場合、ユーザにとって、損傷時のワイパーの交換が複雑であることは理解されるだろう。ある場合には、ユーザは電気的な接続を実施することを忘れるかもしれないし、また他の場合には、注意しなかったときに、電気コネクタの一部に水が浸入して故障が生じるかもしれない。
【0010】
また、ワイパーアームとワイパーとの間のこの接続が全ての荒れた天候に晒された場合、ワイパーアームの側部上にあるコネクタの一部が、例えば腐食又は汚損によって劣化される虞があり、ワイパーによって支持される加熱要素への電力の供給が無効化される虞がある。
【0011】
文献WO08021991は、ウィンドガラスとワイパーとの間で誘導電気接続をなすことを提案している。
【0012】
この目的のために、磁気誘導によってワイパーを加熱するべく、送電コイルが、乗務員室の内側でウィンドガラスに取り付けられている。
【0013】
この提案は、ワイパーとワイパーアームとの間の機械的な接続の段階で、電気的な接続の問題を確実に阻止することを可能とするが、上述の文献にかかるシステムは、ウィンドガラスに取り付けられた送電コイルに向いているワイパーにて静止されたワイパー装置のみだけに機能するという点で、この提案は十分とはいえない。
【0014】
この更なる結果は、ウィンドガラスワイパーが作動しているときには、洗浄液は加熱され得ないということである。
【0015】
その上、規格の存在により、運転者の視角を遮ることなく、ウィンドガラス、特にその周縁部でさえ、要素を配置することは困難である。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、ワイパー装置が作動しているときであっても、効果的な電気的接続を可能とする提案を提供することによって、先に言及した欠点を少なくとも一部で改善することを提案し、ワイパーの交換のために、ワイパーの容易な取り外しを可能とする。
【0017】
この目的のために、本発明は、ワイパー装置であって、
− 拭き取り動作を伝達するように構成され、長手方向端部を有する駆動アームと、
− ウィンドガラスワイパーと、
− アームの長手方向端部とウィンドガラスワイパーとの間に配置された固定装置と、を備え、
ワイパーは、少なくとも一つの電気的要素を設けられ、
アームの長手方向端部は、送電コイルを設けられ、ワイパーは、固定装置の高さ位置にて受電コイルを設けられ、送電コイルの受電コイルとの協働が、磁気誘導によって前記電気的要素への電力の供給を可能とすることを特徴とする、ワイパー装置でなる。
【0018】
したがって、電気的な接続は、ワイパーアームとワイパーとの間の機械的な接続がなされた際に、ユーザにとって透明な態様でなされ得る。
【0019】
また、本発明によるワイパー装置は、独立して又は組み合わせにて、以下の特徴の1つ又は複数を有し得る。
【0020】
例えば、固定装置は、アームの長手方向端部に固定されることが意図されたアダプタと、このアダプタに関節接合され且つウィンドガラスワイパーに固定されることが意図されたコネクタとを有し、受電コイルは、アダプタ又はコネクタによって支持される。
【0021】
アームの長手方向端部は、支持ヨークの形態をとる。
【0022】
送電コイルは、アダプタを向く支持ヨークの下側面に配置されてもよい。
【0023】
受電コイルは、ワイパーを向くコネクタの下側面に又はコネクタの高さ位置でワイパーの背骨部に、配置されてもよい。
【0024】
コイルの製造及び保護を促進するために、送電コイルは、支持ヨーク内にオーバーモールドされ、受電コイルは、コネクタ内にオーバーモールドされる。
【0025】
例えば、受電コイルは、電気的要素に電気的に接続される。
【0026】
例えば、電気的要素は、加熱要素、特に正温度係数セラミックス又は抵抗器であり、或いは測定センサを有していてもよい。
【0027】
また、本発明は、上記で規定されたようなワイパー装置のための駆動アームに関し、駆動アームは、拭き取り動作を伝達するように構成され、一方の端部に支持ヨークを有し、支持ヨークが、磁気誘導によって電力の供給を可能とする送電コイルを設けられている、ことを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、上記で規定されたようなワイパー装置のためのウィンドガラスワイパーに関し、ウィンドガラスワイパーは、少なくとも一つの電気的要素を設けられたウィンドガラスワイパーに固定されるコネクタを備え、コネクタの高さ位置に配置され、磁気誘導によって電気的要素への電力の供給を可能とする受電コイルを備えることを、特徴とする。
【0029】
他の利点及び特徴は、本発明の詳細な説明に基づき及び添付の図面から明らかとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の一実施の形態によるワイパー装置の概略斜視図である。
図2図2は、アーム、アダプタ及びコネクタのみを示す図1の部分的な図である。
図3図3は、コネクタを設けられたワイパーの概略斜視図である。
図4図4は、図2と同じ要素を下から示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面において、同じ要素には、同じ参照符号が示されている。
【0032】
図1は、ワイパー装置1、又は、ワイパー3と、固定装置5と、固定装置5によってワイパー3に固定された支持ヨーク(支持結合部)8を一端部に含むワイパーアーム7と、を備えるウィンドガラスワイパーを示している。
【0033】
ワイパー3は、ワイパーブレード9と1つ又は複数の背骨部11を特に有し、ここで、金属製のブレードの形態の1つの背骨部11は、ワイパーがウィンドガラスに正確に当てられるようにする湾曲部をワイパー3に付与する。また、ワイパー3は、デフレクター、及び/又は、特にワイパーブレード9と背骨部11とを一緒に保持する端部取付部を有していてもよい。
【0034】
固定装置5は、一方側でワイパーアーム7によって支持されるアダプタ13と、他方側でワイパー3に強固に固定されるコネクタ15と、を有する。
【0035】
図2は、ワイパーアーム7によって支持されたアダプタ13に、ピン17(図3参照)を中心に回転可能に関節接合されたコネクタ15のみを示している。
【0036】
図3に示されるように、コネクタ15は、ワイパー3に強固に固定されている。この目的のために、コネクタ15は、2つの対称フランジ19(図1及び2参照)を特徴としており、対称フランジ19は、溝の形態で各フランジに設けられたハウジング21の一方において、ワイパー3の背骨部11の高さ位置でワイパー3を挟む。
【0037】
図3では、ワイパー3の背骨部11に配置された電気的要素23も示され、これは、この例において、例えば抵抗器又は抵抗線の形態で作製される加熱要素25である。
【0038】
電気的要素23は、加熱要素としての正温度係数セラミックス、又は、測定センサ、例えばワイパー周辺のウィンドガラスの湿り又は乾燥状態を測定するための容量センサと同様のものであってもよい。
【0039】
電力は、磁気誘導によって電気エネルギーを伝達することで、電気的要素23に供給される。
【0040】
この目的のために、図4に示されるように、支持ヨーク8は、送電コイル27及び固定装置5を設けられ、ここで、コネクタ15は、受電コイル29を設けられている。
【0041】
したがって、送電コイル27の受電コイル29との協働は、磁気誘導によって電気的要素23に電力を供給することを可能とする。
【0042】
送電コイル27は、支持ヨーク8の下側面31、つまりアダプタ13を向く面に、配置されている。
【0043】
受電コイル29は、コネクタ15の下側面33、つまりワイパー3を向く面に、配置されている。
【0044】
送電コイル27及び受電コイル29は、例えばのり付けによって固定されてもよい。
【0045】
図示されない変形によれば、送電コイル27は、支持ヨーク8内にオーバーモールドされ、受電コイル29は、コネクタ15内にオーバーモールドされる。
【0046】
例えば、送電コイル27は、電気配線35によって、自動車の電気的ネットワークに接続されている。
【0047】
受電コイル29は、その一部分で、電気配線37によって、電気的要素23に電気的に接続されている。
【0048】
図示されない変形によれば、送電コイル27は、加熱要素25と一体の部分であり、つまり加熱要素25は、例えば受電コイル29として機能するためにコネクタ15の高さ位置で巻かれた抵抗線の形態をとる。
【0049】
更なる改良では、骨格部11が、例えば、絶縁層の堆積によって、電気的に絶縁される、又は、電気的な絶縁に晒されるようになっており、加熱要素25が、コネクタ15の高さ位置で、骨格部11にシルクスクリーンされており、シルクスクリーンパターンが、受電コイル29として機能可能な巻回状と同一の形状とされている。
【0050】
送電コイル27と受電コイル29とのそれぞれが、支持ヨーク8及びコネクタ15の高さ位置で一体化されるので、ワイパーの交換時に、ユーザは、ワイパー3の電気的な接続を考慮する必要がもはや無く、電気的な接続は、アダプタ13とコネクタ15との間の機械的固定が生じた際に自動的になされる。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】
2016097965000001.pdf