(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-98438(P2016-98438A)
(43)【公開日】2016年5月30日
(54)【発明の名称】親子用寝袋として使用できる親子防災頭巾及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A42B 1/04 20060101AFI20160425BHJP
A41D 15/04 20060101ALI20160425BHJP
A62B 17/04 20060101ALI20160425BHJP
【FI】
A42B1/04 B
A41D15/04 E
A62B17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-233297(P2014-233297)
(22)【出願日】2014年11月18日
(71)【出願人】
【識別番号】510097183
【氏名又は名称】山口 路子
(71)【出願人】
【識別番号】510165242
【氏名又は名称】畑中 幸子
(74)【代理人】
【識別番号】100072202
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 政雄
(72)【発明者】
【氏名】山口 路子
(72)【発明者】
【氏名】畑中 幸子
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185CC58
(57)【要約】 (修正有)
【課題】災害発生時、親子が同時に被ってその頭部背中の保護を図るとともに避難所においては、親子が一緒になって寝袋として活用できる親子防災頭巾に関する。
【解決手段】頭巾体1の上縁辺前部の内側にズレ止め部2を形成し、当該頭巾体の内側に頭巾体と略相似形の小頭巾体1′を重ね合わせ面ファスナーの留め具で仮止めし、頭巾体の長さ方向の下縁辺部を所定位置から内側に折り返す折返し部4を形成して幼児を背負って被れる頭巾とし、頭巾体の折返し部を元に戻し、頭巾体と当該頭巾体から外した小頭巾体の開放前側の縦縁辺に沿ってスライドファスナーをそれぞれ設け、頭巾体と小頭巾体を、その開放側縦縁辺のスライドファスナー同士を隣接させてスライダーを介して閉止して頭巾体と小頭巾体を結合して親子が添い寝できるようにした。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦長矩形の頭巾体(1)の上縁辺前部にその内側に突出するズレ止め部(2)を形成し、かつ当該頭巾体の内側に頭巾体(1)と略相似形の小頭巾体(1′)を重ね合わせて面ファスナーを可とする留め具(5)で仮止めし、頭巾体の長さ(L)方向の下半部を所定位置の折返し線(4′)から内側に折り返す折返し部(4)を形成して幼児を背負って被れる頭巾とし、頭巾体(1)の折返し線(4′)から内側に折り返してある折返し部(4)を元に戻し、頭巾体(1)と当該頭巾体から外した小頭巾体(1′)の開放前側の縦縁辺(1e′)・(1f′)に沿ってスライドファスナー(6)・(7)をそれぞれ設け、頭巾体(1)と小頭巾体(1′)を、その開放前側縦縁辺のスライドファスナー(6)・(6′)、(7)・(7′)同士を隣接させてスライダー(8)を介して閉止して頭巾体(1)と小頭巾体(1′)を結合して親子が添い寝できるように構成した親子用寝袋として使用できる親子防災頭巾。
【請求項2】
方形の布からなる頭巾用本体(A)を、その中心から二つ折りして縦長矩形とし、その上縁辺部(1a)・(1b)を縫合して頭巾体(1)を形成し、その開放側前端部を斜めに折り込んで縫合して内側に突出するズレ止め部(2)を形成し、縦長矩形の下縁辺部(1c)・(1d)の一方に頭部用枕片(5)を縫着して頭巾体(1)を形成し、頭巾体(1)の開放前側縦辺(1e)・(1f)に沿ってスライドファスナー(6)・(6′)の左右で一対のエレメンツの片方を設けておき、当該頭巾体の横幅(W)より狭い布からなる小頭巾用本体(B)を、その中心から二つ折りして小頭巾体(1′)縦長矩形とし、その上縁辺部(1a′)・(1b′)を縫合して小頭巾体(1′)を形成し、頭巾体(1)の内側に小頭巾体(1′)を重ねて面ファスナーを可とする留め具(5)で仮止めし、頭巾体(1)の長さ(L)方向における下半部の所定位置の折返し線(4′)から内側に折り返す折返し部(4)を形成して幼児を背負ったまま被れる頭巾とし、当該小頭巾体の下縁辺(1c′)・(1d′)の一方に頭部用枕片(3′)を縫着し、小頭巾体(1′)の開放前側縦辺(1e′)・(1f′)に沿ってスライドファスナー(7)・(7′)の左右一対のエレメンツを片方ずつ設け、頭巾体(1)と小頭巾体(1′)を、その開放前側縦縁辺のスライドファスナー(6)・(6′)、(7)・(7′)同士を隣接させてスライダー(8)を介して閉止して頭巾体(1)と小頭巾体(1′)を頭部側枕片の位置を合わせた状態で結合して親子が添い寝できるように構成した親子用寝袋として使用できる親子防災頭巾の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親子用寝袋として使用できる親子防災頭巾及びその製造方法に関するものであり、災害発生時において、親子が同時に被って、その親子の頭部、背中の保護を図るとともに避難所においては、親子が一緒になって寝袋として活用できる防災頭巾に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、防災用頭巾は一人一人が被るものであった。そして、その頭巾で身体を覆う範囲は頭部から肩にかかる部位までであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−248950
【特許文献2】特開2014−113436
【特許文献3】特開2013−223704
【0004】
特許文献1は、防災用具として、頭巾はもとより、避難時に身体の略全体を覆えると共に雨合羽としても使用でき、また、傷病者を担架で搬送する際の保温シートとしても使用できる等の多目的に活用できる防災用具の発明が開示されている。
また、特許文献2は、災害時に幼児を背負いながら避難するときに、クッション性のある素材で頭、肩と背部の幼児を覆える構造の親子防災頭巾が開示されている。
そして、特許文献3は、災害時の避難所において防寒用の寝袋にもなる防災頭巾が
開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1の発明は、もっぱら1人用の防護シート及び収納カバーで構成される防災用具である。一方、特許文献2及び特許文献3は、本出願人の出願に係るものであり、特許文献2は、寝袋兼用の防災頭巾であるが、1人用である。また、特許文献3は、親子用使用できる防災用頭巾であるが、寝袋として使用することはできない。要するに、災害避難時において、親子用の遺書になって寄り添って寝ることができる寝袋として使用ができる親子防災頭巾の発明は存在していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は従来の課題を解決し、発明の目的を達成するために提供するものである。
【0007】
本発明の第1は、親子用寝袋として使用できる親子防災頭巾において、
縦長矩形の頭巾体の上縁辺前部にその内側に突出するズレ止め部を形成し、
かつ当該頭巾体の内側に頭巾体と略相似形の小頭巾体を重ね合わせて面ファスナーを可とする留め具で仮止めし、
頭巾体の長さ方向の下半部を所定位置の折返し線から内側に折り返す折返し部を形成して幼児を背負って被れる頭巾とし、
頭巾体の折返し線から内側に折り返してある折返し部を元に戻し、頭巾体と当該頭巾体から外した小頭巾体の開放前側の縦縁辺に沿ってスライドファスナーをそれぞれ設け、頭巾体と小頭巾体を、その開放前側縦縁辺のスライドファスナー同士を隣接させてスライダーを介して閉止して頭巾体と小頭巾体を結合して親子が添い寝できるようにしたものである。
【0008】
本発明の第2は、親子用寝袋として使用できる親子防災頭巾の製造方法において、
方形の布からなる頭巾用本体を、その中心から二つ折りして縦長矩形とし、その上縁辺部を縫合して頭巾体を形成し、
その開放側前端部を斜めに折り込んで縫合して内側に突出するズレ止め部を形成し、
縦長矩形の下縁辺部の一方に頭部用枕片を縫着して頭巾体を形成し、
頭巾体の開放前側縦辺に沿ってスライドファスナーの左右で一対のエレメンツの片方を設けておき、
当該頭巾体の横幅より狭い布からなる小頭巾用本体を、その中心から二つ折りして小頭巾体縦長矩形とし、
その上縁辺部を縫合して小頭巾体を形成し、
頭巾体の内側に小頭巾体を重ねて面ファスナーを可とする留め具で仮止めし、
頭巾体の長さ方向における下半部の所定位置の折返し線から内側に折り返す折返し部を形成して幼児を背負ったまま被れる頭巾とし、
当該小頭巾体の下縁辺の一方に頭部用枕片を縫着し、
小頭巾体の開放前側縦辺に沿ってスライドファスナーの左右一対のエレメンツを片方ずつ設け、
頭巾体と小頭巾体を、その開放前側縦縁辺のスライドファスナー同士を隣接させてスライダーを介して閉止して頭巾体と小頭巾体を頭部側枕片の位置を合わせた状態で結合して親子が添い寝できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上記の構成であるから、幼児を背中に背負って一つの頭巾を被るので、一体化をもって安全に避難行動する行動ができる
【0010】
また、親と子がそれぞれに被る手間が省ける。そして、頭巾の上辺前部に斜めに中に折り込んだズレ止め部によって、幼児を背負って頭巾を被ったときに当該頭巾が前頭部から後方にずれ落ちることが防止される。
【0011】
頭巾体の内側後部に小頭巾体を重ね合せたので、特に背負われた幼児の頭部から背中にかけて二重に保護されて安全であり、かつ防寒効果も向上する。
【0012】
さらに、災害避難所において、大人用と幼児用の長方体を開放側縦辺のファスナー同士はスライダーを介して結合することによって両者が一体化し、親子用の寝袋が出来上がり、防寒用の寝具として用いることができる。
【0013】
小頭巾体は、その長さが、頭巾体より2分の1弱の長さであるから、頭巾体を下端縁辺部を所定の位置から折り返しても、小頭巾体の下端辺部を二重に折り返す必要がなくなるため、折返し部の嵩張りをなくし、かつ当該折返し部の留め方を簡素化できる。
【0014】
スライドファスナーは、頭巾用本体の縦長辺の中程から2分して、スライダーを上下にスライドできるので寝袋において、大人用の長い寸法を上半部と下半部に分けて開閉できるので当該寝袋の組立て、分解が用意迅速にできて便利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の係る親子用寝袋として使用できる親子防災頭巾うち、大人の頭巾用本体の展開内面図である。
【
図4】頭巾体の下端縁辺部を所定位置から内側に折り返した側面図である。
【
図8】頭巾体と小頭巾体をスライドファスナーで隣接して結合した親子用寝袋の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
図1において、Aは、例えば横幅Wが70cm、長さLが140cmを可とする頭巾体用本体であり、クッション性、防水性又は通気性を備えた一辺が140cmをなす正方形の防水性素材を用い、その横全幅W+W方向の中心Cから二つ折りして上縁辺部1a・1a′を縫合してなる。
図3〜
図5において、2は頭巾体1の上縁辺部の開放側前端部に設けたズレ止め部であり、図示例は長さlが8cm、深さdが4cm程度で斜め内側に折り込んで縫着したものを示す。3は頭巾体1を構成する二つ折り体の一方の下端縁辺部1c・1dの一方1cに設けた半円形状の枕片部、4は頭巾体1の長さL方向の下端縁辺1c・1dを所定の位置4′から内側に折り返して面ファスナー等の留め具5で仮止めする折返し部である。
【0017】
6・6
1、6′・6
2は、頭巾体1の開放側縦縁辺の全長Lに渡って設けた、左右で一対のエレメンツ(=咬合子)の一方のエレメンツである。その頭巾体1の開放側における両縦縁辺1e・1fの長さL方向において、上半部の長さL
1を小頭巾体1′の長さL′に合わせ、下半部を残りの長さL
2に設定する。8はスライドファスナー用のスライダー、9は頭巾体1に前開き部に適宜個所に留め具5または縫着した開け防止片であり、図示例は、細帯形の開け防止片の一方を縫着5nし、他方を面ファスナー5で頭巾体1の前側縦縁辺の内側に仮止めするようにしてある。10は枕片部の半円形玉縁の中空に挿通したフード形成用の絞り紐である。
【0018】
図2において、小頭巾体用本体Bであり、その形状は
図1の頭巾体用本体1と略相似形を成している。すなわち、横幅W′が頭巾体の約2分の1、長さLが頭巾体1の約1.7分の1ほどの形状である。
図3〜5において、7・7′は小頭巾体1′の開放前側における両縦縁辺の長さL′方向の全長に渡って設けた、左右で一対のエレメンツ(=咬合子)のうちの一方のエレメンツ、
図8において、8はスライドファスナー用のスライダーである。3′は小頭巾体1′を構成する二つ折り体の下端辺部1c・1dの一方1cに設けた枕片部である。
【0019】
[親子防災頭巾としての使用]
本発明に係る親子用寝袋として使用できる親子防災頭巾を、親子防災頭巾として使用する場合は、次のとおりである。すなわち、小頭巾体1′を頭巾体1の内側奥に当てがい、面ファスナー等の留め具5で仮止めする(
図3)。この状態で頭巾体1の下半部の折返し部4を折返し線4′から内側に折り返して面ファスナー等の留め具5′で仮止めして防災頭巾を形成する(
図4)。
【0020】
そして、通常は親がおぶい紐等で幼児を背負ってから、頭巾体1を頭から被ると、同時に幼児の頭部は、頭巾体1と共に小頭巾体1′を被ることにより、その頭部および背中を二重に保護する状態になっている。
【0021】
頭巾体1を被ったときにその上縁辺1a・1bの前端部はズレ止め部2によって被った顔の前頭部に係止することになり、背負った幼児の動き等に伴って頭巾体1が後ろ側にずれたり、すべり落ちる作用を有効に防止する作用が発揮される。
【0022】
[親子用寝袋としての使用]
本発明に係る親子用寝袋として使用できる親子防災頭巾を、親子用寝袋として使用する場合は、次のとおりである。
図4における頭巾体1の状態において、頭巾体1の下端縁辺の折返し部4を折返し線4′から元に状態に戻し(
図3)、頭巾体1の内部に留め具5′で仮止めしてある小頭巾体9を外す。
【0023】
次に、頭巾体1の開放側縦縁辺1e・1fに沿って隣に小頭巾体1′を、その開放側の縦縁辺1e′・1f′を配置し、閉止する順番は、スライドファスナーを底面側の上半部6′・7′と下半部6
1・7
1、平面側の長さL
1の上半部6・7と、長さL
2の頭巾体1同士の下半部6
1・6
2とする。
【0024】
そして、頭巾体1の底面側において、上半部のファスナー6′と小頭巾体1′のファスナー7′をスライダー8で下端側から引き上げて当該上半部のファスナー6′・7′を閉止する。
【0025】
次に、頭巾体1の平面側において、上半部のファスナー6と小頭巾体1′のファスナー7を合わせてスライダー8で最下端側から引き上げて当該平面側上半部のファスナー6・7を閉止する。
【0026】
最後に頭巾体1の下半部のファスナー6
1・6
2同士を合わせてスライダー8で最下端側から引き上げて当該平面側下半部のファスナーを閉止する。
これによって、二つの寝袋が一体化した親子用が出来上がる。(
図9)
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、親子用寝袋として使用できる親子防災頭巾のほか、防寒用ないし夏期の野外キャンプにおける寝袋として利用することができる。
【0028】
また、幼児を背負わない場合にあっては、リュックサックや避難用具入り背負袋等を背負うことができ、且つ避難所においては、幼児用寝袋にリュックや避難用具入り背負袋等を収容しておくことができる。
【符号の説明】
【0029】
1……頭巾体
1′…小頭巾体
2……ズレ止め
3……頭巾体の枕片部
3′…小頭巾体の枕片部
4……折返し部
5……留め具
6……頭巾体側のスライドファスナー
7……小頭巾体側のスライドファスナー
8……スライドファスナーのスライダー
9……開け防止片
W……頭巾体の横幅
W′…小頭巾体の横幅
L……頭巾体の長さ
L′…小頭巾体の長さ
L
1… 上半部のスライドファスナー
L
2… 下半部のスライドファスナー