(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-98481(P2016-98481A)
(43)【公開日】2016年5月30日
(54)【発明の名称】充填材射出装置
(51)【国際特許分類】
E04F 21/165 20060101AFI20160425BHJP
B01F 15/02 20060101ALI20160425BHJP
B01F 15/04 20060101ALI20160425BHJP
B01F 3/08 20060101ALI20160425BHJP
【FI】
E04F21/165 K
B01F15/02 A
B01F15/04 C
B01F3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-233408(P2014-233408)
(22)【出願日】2014年11月18日
(71)【出願人】
【識別番号】505124155
【氏名又は名称】株式会社TACエンジ
(71)【出願人】
【識別番号】390019998
【氏名又は名称】東亜道路工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096611
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 清
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 滋朗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 則雄
(72)【発明者】
【氏名】松井 健明
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB36
4G035AE01
4G035AE13
4G037AA02
4G037AA18
4G037BB02
4G037BB06
4G037EA10
(57)【要約】
【課題】射出量が調整されて安定した状態で多量の混合液の注入作業を効率よく行うとともに、原材料の液体を予め定められた混合比に正確に混合して射出する。
【解決手段】 それぞれ異なる種類の液体を収容する複数のシリンダー容器1,2と、シリンダー容器内で軸線方向に動作し、それぞれのシリンダー容器内の液体を送り出す複数のプランジャー3,4とを有する。プランジャーは加圧装置5によって駆動され、複数のシリンダー容器から液体を送り出し、混合射出部6で混合してノズル28から射出する。複数のプランジャーは、複数のシリンダー容器内で軸線方向の移動量が同じとなるように動作するものであり、これらの断面積の比が複数の液体の混合比と合致するものである。混合射出部は、合流する前の一つの液体が流れる導管に流量調整バルブ27が設けられ、この単一の流量調整バルブの操作によって射出時の流量が調整される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる種類の液体を収容する複数のシリンダー容器と、
前記シリンダー容器内で軸線方向に動作し、それぞれのシリンダー容器内の液体を送り出す複数のピストン又はプランジャーと、
前記ピストン又はプランジャーを駆動する加圧装置と、
複数の前記シリンダー容器から送り出された液体を合流させ、混合してノズルから射出する混合射出部と、を有し、
複数の前記ピストン又はプランジャーは、複数の前記シリンダー容器内で軸線方向の移動量が同じとなるように動作するものであり、
前記シリンダー容器は、複数の前記ピストン又はプランジャーの同じ移動量によって、あらかじめ定められた複数の液体の混合比と合致する量の液体をそれぞれ排出するものであり、
前記混合射出部は、合流する前の一つの液体が流れる導管に流量調整バルブを有するものであり、
単一の前記流量調整バルブの操作によって射出時の流量が調整されるものであること、を特徴とする充填材射出装置。
【請求項2】
供給弁を介して液体を前記シリンダー容器内に供給する供給ホッパーと、
該シリンダー容器から排出弁を介して前記混合射出部に液体を送り出す排出管と、を備え、
前記供給弁と前記排出弁とは、外部からの駆動力によって開閉動作が行われるものであることを特徴とする請求項1に記載の充填材射出装置。
【請求項3】
複数の前記ピストン又はプランジャーは一体に連結され、該連結体にほぼ一定の圧力を持続的に作用させる加圧装置によって駆動されるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の充填材射出装置。
【請求項4】
複数の前記シリンダー容器の内部の断面積比又は複数の前記プランジャーの断面積比が複数の前記液体の混合比と合致していることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の充填材射出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の種類の液体材料からなる充填材を射出する直前に混合して、目地、クラック、空隙等に注入するために用いられる充填材射出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の液体を原材料とし、これを注入の直前に混合する充填材が広く用いられている。混合された充填材は、複数の液体に含まれる物質等の反応によって硬化等の現象が生じ、所定の性質が得られるものである。例えば、エポキシ樹脂等の2液を混合する合成樹脂系の接着材や充填材、合成樹脂からなる発泡材、地盤改良のための充填材、分解剤と混合して使用するアスファルト乳剤等がある。
【0003】
上記のような複数の液体を混合して射出することができる装置として、例えば特許文献1に記載されるものがある。
この装置は、2液を分離した状態で収容する液室と、これらの液室に収容されている液を混合して射出するノズルとを備え、これらがカートリッジとなっている。操作者は、このカートリッジを装着した本体部を把持し、カートリッジから液体を押し出して注入を行う。液体の押し出しは、モータの駆動によって行われ、操作者はスイッチのON/OFF操作を行うことによってモータの駆動制御を行うものとなっている。
【0004】
一方、特許文献2に記載の装置は、2液を分離して収容し、それぞれが加圧によって液体を送り出す2つの圧送タンクを備えている。圧送タンクから送り出された液体はそれぞれホースによってハンドガンに導かれる。ハンドガンは操作者が把持して注入作業を行うことができるものであり、先端部に設けられたノズルで2液を混合して射出するものとなっている。2液が混合されるまでの導管のそれぞれには電磁弁が設けられ、ハンドガンを把持する操作者によってバルブの調整が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−80563
【特許文献2】実開昭55−122873
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されている装置では、原材料である液体を収容する容器とノズルとがカートリッジとなっており、一つのカートリッジに収容された液体を射出する毎にカートリッジの交換を行う必要がある。また、モータのON/OFFによって射出量を制御しているため、多量の混合液を継続的に安定した状態で射出するのは難しい。
一方、特許文献2に記載されている装置では、圧送タンクに収容する液体量を多くすることができ、多量の液体を注入するのに適している。しかし、タンクから送り出された2種の液体がノズルで混合されるまでのそれぞれの流路に流量を調整するバルブを設けて射出量を調整するものとなっており、2種の液体の混合比を正確に調整することが難しい。特に、混合比が大きくなるときには正確に設定することが難しくなる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、射出量が調整されて安定した状態で多量の混合液の注入作業を行うことができるともに、原材料の液体を予め定められた混合比に正確に混合して射出することができる充填材射出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 それぞれ異なる種類の液体を収容する複数のシリンダー容器と、 前記シリンダー容器内で軸線方向に動作し、それぞれのシリンダー容器内の液体を送り出す複数のピストン又はプランジャーと、 前記ピストン又はプランジャーを駆動する加圧装置と、 複数の前記シリンダー容器から送り出された液体を合流させ、混合してノズルから射出する混合射出部と、を有し、 複数の前記ピストン又はプランジャーは、複数の前記シリンダー容器内で軸線方向の移動量が同じとなるように動作するものであり、 前記シリンダー容器は、複数の前記ピストン又はプランジャーの同じ移動量によって、あらかじめ定められた複数の液体の混合比と合致する量の液体をそれぞれ排出するものであり、 前記混合射出部は、合流する前の一つの液体が流れる導管に流量調整バルブを有するものであり、 単一の前記流量調整バルブの操作によって射出時の流量が調整されるものである充填材射出装置を提供する。
【0009】
上記充填材射出装置では、複数のピストン又はプランジャーが、複数のシリンダー容器内で軸線方向の移動量が同じとなるように動作する。これにより、予め定められた液体の混合比と合致する量の液体がシリンダー容器から排出される。そして、これらの液体が混合射出部で混合されて射出される。このとき射出量は、合流前の一つの液体の導管に設けられた流量調整バルブを調整することによって当該液体の流量が調整され、当該液体を収容するシリンダー容器内でピストン又はプランジャーの移動量が規制される。これによって他の液体の導管は、直接にバルブ等による流量の調整がなされなくてもシリンダー容器から排出される液体量が調整され、混合射出部から射出される混合液の混合比は正確に一定に維持される。
また、加圧装置によってピストン又はプランジャーを駆動するとともに、流量調整バルブで射出量を調整することができるので、望む量の混合液を継続的に安定して射出することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の充填材射出装置において、 供給弁を介して液体を前記シリンダー容器内に供給する供給ホッパーと、 該シリンダー容器から排出弁を介して前記混合射出部に液体を送り出す排出管と、を備え、 前記供給弁と前記排出弁とは、外部からの駆動力によって開閉動作が行われるものとする。
【0011】
この充填材射出装置では、ピストン又はプランジャーの駆動によってシリンダー容器内の液体を排出した後、排出弁を閉じ、供給弁を開けてピストン又はプランジャーを後退するように駆動することによって供給ホッパーから原材料である液体を補給することができる。したがって、多量の混合液を効率よく射出することが可能となる。
また、排出弁と供給弁とは、外部からの駆動力によって開閉動作が行われるものであり、液体の排出を開始するときには供給弁を完全に閉じた状態とし、排出を停止して供給ホッパーから液体の導入を開始するときには排出弁を完全に閉じた状態とすることができる。したがって、液体の逆流が防止されて液体の混合比が正確に維持される。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の充填材射出装置において、 複数の前記ピストン又はプランジャーは一体に連結され、該連結体にほぼ一定の圧力を持続的に作用させる加圧装置によって駆動されるものとする。
【0013】
この充填材射出装置では、一体となった複数のピストン又はプランジャーの連結体がほぼ一定の圧力で加圧されているので、シリンダー容器内の圧力の変動が少なく、液体の排出を安定して行うことが可能となる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の充填材射出装置において、 複数の前記シリンダー容器の内部の断面積比又は複数の前記プランジャーの断面積比が複数の前記液体の混合比と合致しているものとする。
【0015】
この充填材射出装置では、シリンダー容器内部の断面積が液体の混合比となっているときに、シリンダー容器の内周面に密接したピストンを軸線方向に駆動することによって、予め定められた混合比と対応する量の液体が排出される。また、断面積の比が予め定められた液体の混合比と対応しているプランジャーをシリンダー容器内に押し入れることによっても、同様に予め定められた混合比と対応する量の液体が排出される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る充填材射出装置では、射出量が調整されて安定した状態で多量の混合液の注入作業を行うことができる。そして、射出される混合液は、原材料の液体を予め定められた混合比で正確に混合して射出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態である充填材射出装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示す充填材射出装置のシリンダー容器、プランジャー、プランジャーを駆動する加圧装置、供給ホッパーを示す概略側面図及び概略平面図である。
【
図3】シリンダー容器、プランジャー及び加圧装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である充填材射出装置を示す概略構成図である。また、
図2は、この充填材射出装置のシリンダー容器、プランジャー、プランジャーを駆動する加圧装置、供給ホッパーを示す概略側面図及び概略平面図である。
この充填材射出装置は、異なる種類の液体を収容する2つのシリンダー容器1,2と、これらのシリンダー容器内で軸線方向に動作し、それぞれのシリンダー容器内の液体を送り出す2つのプランジャー3,4と、これらのプランジャーを駆動する加圧装置5と、シリンダー容器から送り出された液体を合流させ、混合してノズルから射出する混合射出部6と、それぞれのシリンダー容器1,2から排出弁7,8を介して排出された液体を混合射出部6に導く2つの排出管9,10と、それぞれのシリンダー容器1,2について供給弁11,12を介して液体をシリンダー容器1,2内に供給する2つの供給ホッパー13,14と、を備えるものである。
【0019】
上記シリンダー容器は、第1のシリンダー容器1と第2のシリンダー容器2とが射出時に混合する2つの異なる液体を収容するものとなっており、これらの円筒状となった容器本体部は内径が異なるものとなっている。これらの容器本体部は軸線が平行となるように配置され、一方の端部からは、第1のプランジャー3及び第2のプランジャー4がそれぞれ容器本体部内に突き入れられている。これらのプランジャー3,4は、
図3に示すように容器本体部1aとの間をシールした状態で軸線方向に進退が可能となっている。また、容器本体部1aの反対側は、第1の排出弁7及び第2の排出弁8を介して第1の排出管9及び第2の排出管10が接続されている。また、排出管9,10が接続されている端部付近に、第1の供給弁11を介して第1の供給ホッパー13が第1のシリンダー容器1に、第2の供給弁12を介して第2の供給ホッパー14が第2のシリンダー容器2に接続されている。
【0020】
上記第1のプランジャー3と第2のプランジャー4とは、円柱状の部材であって径が異なり、これらの断面積の比が2つの液体の予め定められた混合比と一致するものが用いられる。つまり、例えば第1のシリンダー容器1から供給される液体と第2のシリンダー容器2から供給される液体との混合比が17:1であるときには、これらのプランジャー3,4の断面積の比が17:1となっている。
これらのプランジャー3,4は、後端部が互いに連結され、これらの連結体15に一つの加圧装置5が連結されて一体となった連結体15をシリンダー容器1,2の軸線方向に駆動をするものとなっている。したがって、2つのプランジャー3,4は、2つのシリンダー容器内1,2で常に軸線方向の移動量がほぼ等しくなる。シリンダー容器1,2内の液体は、プランジャー3,4がシリンダー容器1,2内に押し入れられることによって排出され、その排出量はシリンダー容器1,2内に押し入れられるプランジャー3,4の体積に相当する。そして、2つのシリンダー容器1,2に押し入れられるプランジャー3,4の軸線方向の移動量は常に等しくなっているので、2つのシリンダー容器1,2から排出される液体量の比は、プランジャー3,4の断面積の比に相当するものである。
【0021】
上記加圧装置5は、シリンダー部5aと、このシリンダー部5aに圧縮空気を供給する空気圧縮装置(図示しない)とを備えている。
シリンダー部5aは、
図3に示すように内部にピストン5bを備えており、シリンダー内のピストン5bより前方側17と後方側16とに空気圧縮装置から選択的に圧縮空気が供給されるものとなっている。そして、ピストン5bと連続するロッド5cは、上記第1のプランジャー3及び第2のプランジャー4との連結体15に連結されている。したがって、シリンダー部5a内の後方側16に圧縮空気が供給されることによってピストン5bが前方側に加圧され、第1のプランジャー1及び第2のプランジャー2の双方に対してシリンダー容器1,2内に押し入れる方向の力が付与される。また、シリンダー部5a内のピストン5bより前方側17に圧縮空気が供給されることによってピストン5bが後方側に押圧されて第1のプランジャー3及び第2のプランジャー4を後退させることができるものである。
上記空気圧縮装置はシリンダー部5aに圧縮空気を供給するときの空気圧を調整することができ、ほぼ一定の圧力を維持した状態でピストンを前方に押圧するように制御することができる。これにより、第1のシリンダー容器1内又は第2のシリンダー容器2内に収容されている液体にほぼ一定の圧力を作用させて、排出弁7,8を介して送り出すことができるものである。
【0022】
上記排出管は、第1の排出管9とこれより内径の小さい第2の排出管10とを含むものであり、第1の排出管9は第1の排出弁7を介して第1のシリンダー容器1に接続されている。また、第2の排出管10は第2の排出弁8を介して第2のシリンダー容器2に接続されている。第1の排出弁7及び第2の排出弁8は、管路を開閉することができる様々なタイプのものを用いることができるが、外部からの駆動力によって開閉されるものが望ましい。例えば、操作者による手動によって開閉されるもの、モータの駆動によって開閉されるもの、ソレノイドによって開閉されるものなどを用いることができる。
図2中の符号18は、排出弁7の駆動装置を示すものである。第1の排出弁及び第2の排出弁として排出する液体そのものの流動によって開閉されるものを用いることもできるが、閉鎖したときに完全に閉鎖されずに液体の逆流が生じると混合比に誤差が生じる虞がある。
【0023】
一方、第1の排出管9の先端部には第1の開閉弁20と、混合射出部の第1の導管24に着脱が可能に接続する第1のカプラー22設けられており、第2の排出管10の先端部には、同様に第2の開閉弁21と第2のカプラー23とが設けられている。上記第1の開閉弁20と第2の開閉弁21とは、第1のカプラー22及び第2のカプラー23が混合射出部6の導管24,25から取り外されたときに排出管9,10から液体が漏出しないように閉鎖することができるものであり、液体を混合して射出するときには開放されるものである。
【0024】
上記混合射出部6は、
図4に示すように、第1のカプラー22によって第1の排出管9が接続される第1の導管24と、第2のカプラー23によって第2の排出管10が接続される第2の導管25と、これら2つの導管を合流させる合流部26と、第1の導管24の合流部より上流側に設けられて該第1の導管24を流れる液体量を調整する流量調整バルブ27と、合流部で合流した液体を混合して射出するノズル28と、を有するものである。
【0025】
上記第1の導管24と第2の導管25とは内径が異なるものが用いられ、これらの内径は2つのシリンダー容器1,2から送り出される液体量の違いに対応するものである。
上記流量調整バルブ27は、第1の導管24の流路の断面積が完全に遮蔽される状態と全開とされる状態との間で、流路の断面積を制限する量を任意に設定することができるものである。これにより、加圧装置5によって加圧されて第1のシリンダー容器1から送り出される第1の流体の流量を調整することができるものとなっている。
【0026】
上記ノズル28は管状の部材であって、先端部28aは内径が縮小されて目地やクラック等の狭いところにも液体を確実に注入することができるものとなっている。また先端部までの管状となった部分28bは、管状の部材内に流路を規制する部材を設け、流路が曲折するもの又は流路面積が変動するもの等を用いることができる。このように流路が設定されていることにより合流した液体が均一に近い状態となるように混合される。
【0027】
上記供給ホッパーには、第1の液体を収容する第1の供給ホッパー13と、第2の液体を収容する第2の供給ホッパー14とがあり、これらの液体の予め定められた混合比に応じて収容量が異なるものとなっている。そして、第1の供給ホッパー13は、第1の供給弁11を介して第1のシリンダー容器1の前方側上部に接続されている。また、第2の供給ホッパー14は、第2の供給弁12を介して第2のシリンダー容器2の前方側上部に接続されている。第1の供給弁11及び第2の供給弁12は排出弁と同様のものを用いることができ、
図2中の符号19は、供給弁11の駆動装置を示すものである。
【0028】
次に上記充填材射出装置の動作について説明する。
混合する前の第1の液体及び第2の液体はそれぞれ第1の供給ホッパー13及び第2の供給ホッパー14に供給される。そして、第1の排出弁7及び第2の排出弁8は閉じた状態で第1の供給弁11及び第2の供給弁12を開放し、第1のプランジャー3及び第2のプランジャー4を後退させる。これにより、第1の供給ホッパー13内の第1の液体及び第2の供給ホッパー14内の第2の液体は吸引されて第1のシリンダー容器1及び第2のシリンダー容器2に供給される。その後、第1の供給弁11及び第2の供給弁12を閉じ、第1の排出弁7及び第2の排出弁8を開放して加圧装置5を駆動し、第1のプランジャー3及び第2のプランジャー4を前方へ押圧し、第1のシリンダー容器1内及び第2のシリンダー容器2内に押し入れる。これにより第1のシリンダー容器1内及び第2のシリンダー容器2内の液体は、第1の排出管9及び第2の排出管10に送り出され、混合射出部6の第1の導管24及び第2の導管25を経て合流部26で合流する。このとき、第1の液体は第1の導管24を通過するときに流量調整バルブ27を通過し、この流量調整バルブ27で流路が規制されることによって流量が調整される。したがって、加圧装置5からほぼ一定の圧力が負荷されて第1のシリンダー容器1に第1のプランジャー3が押し入れられるが、第1の排出管9から合流部26に流れる液体量が規制されることによって、第1のプランジャー3が第1のシリンダー容器1の前方へ移動する量は第1の液体の流量に応じて規制される。第2のプランジャー4は第1のプランジャー3と一体に連結され、シリンダー容器1,2の軸線方向の移動量が同じとなるので、第2のシリンダー容器2から第2の排出管10に排出される液体量は、第1のプランジャー3と第2のプランジャー4との断面積の比となる。つまり、規制された第1の液体の流量に対応して第1のプランジャー3と第2のプランジャー4との断面積の比、つまり所定の混合比となるように第2の液体が第2のシリンダー容器2から排出される。これらの液体が混合射出部6で合流し、十分に混合されてノズル28から射出される。したがって、第1の導管24に設けられた流量調整バルブ27のみの操作によって、第1の液体と第2の液体との混合比を所定の割合に維持するともに流量を調整して射出することができる。そして、射出量が調整された状態で継続的に混合液体を目地やクラック等に充填することが可能となる
【0029】
混合液体の射出を行って第1のプランジャー3及び第2のプランジャー4がシリンダー容器1,2内で前方側に到達したときには、第1の排出弁7及び第2の排出弁8を閉じ、第1の供給弁11及び第2の供給弁12を開放し、プランジャー3,4を後退させる。これによってシリンダー容器1,2に液体を供給することができ、これらの工程を繰り返して混合液体の充填作業を行うことができる。
【0030】
以上に説明した充填材射出装置は、主剤と硬化剤とを混合して充填する充填材に広く用いることができ、アスファルト系材料からなる充填材、樹脂系材料からなる充填材、セメント系材料からなる充填材等の充填に使用することができる。特にアスファルト系材料であって常温で充填するものでは主剤と硬化剤との混合比が大きくなるが、本発明に係る充填材射出装置を用いることによって混合比を正確に維持して射出することができる。そして、アスファルト系材料では、舗装に生じたクラックを補修するための充填や目地の充填に多量の材料を注入することが求められるが、流量を一定に維持した状態で効率よく多量の充填材を射出することができ、効率の良い充填作業が可能となる。
【0031】
なお、本発明の充填材射出装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で様々な態様で実施することができる。例えば、上記実施の形態ではシリンダー容器から液体を排出する機構は、シリンダー容器内にプランジャーが押し入れられものであったが、これに代えてシリンダー容器内のピストンが駆動されるものであってもよい。このときには、複数のシリンダー容器内の断面積比が液体の混合比と合致するものとする。そして、シリンダー容器の内周面に密接するピストンが複数のシリンダー容器内で軸線方向に同じ量だけ移動することにより、混合比に相当する液体がそれぞれのシリンダー容器から排出される。
【0032】
また、上記実施の形態において、加圧装置は空気圧を用いるものであったが、これに限定されるものではなく、これ以外の機構を有する装置を用いることもできる。混合射出部の構造も本発明の範囲内で適宜に設計することができる。一方、混合して射出する液体は、上記の実施の形態において2液を混合するものであったが、3種以上の液体を混合して射出するものであってもよい。このときには3つのシリンダー容器と3つのプランジャー又はピストンを用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1:第1のシリンダー容器, 2:第2のシリンダー容器, 3:第1のプランジャー, 4:第2のプランジャー, 5:加圧装置, 5a:加圧装置のシリンダー部, 5b:ピストン, 5c:ロッド, 6:混合射出部, 7:第1の排出弁, 8:第2の排出弁, 9:第1の排出管, 10:第2の排出管, 11:第1の供給弁, 12:第2の供給弁, 13:第1の供給ホッパー, 14:第2の供給ホッパー, 15:連結体, 16:シリンダー部内の後方側, 17:シリンダー部内の前方側, 18:排出弁の駆動装置, 19:供給弁の駆動装置, 20:第1の開閉弁, 21:第2の開閉弁, 22:第1のカプラー, 23:第2のカプラー, 24:第1の導管, 25:第2の導管, 26:合流部, 27:流量調整バルブ, 28:ノズル, 28a:ノズルの先端部, 28b:ノズルの管状の部分