特開2016-98502(P2016-98502A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-98502(P2016-98502A)
(43)【公開日】2016年5月30日
(54)【発明の名称】スプリング付き羽子板ボルト
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/38 20060101AFI20160425BHJP
   F16B 35/06 20060101ALI20160425BHJP
   F16B 31/04 20060101ALI20160425BHJP
   F16B 39/24 20060101ALI20160425BHJP
【FI】
   E04B1/38 400C
   F16B35/06 C
   F16B31/04 Z
   F16B39/24 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-234394(P2014-234394)
(22)【出願日】2014年11月19日
(71)【出願人】
【識別番号】505420910
【氏名又は名称】株式会社三栄建築設計
(71)【出願人】
【識別番号】591027499
【氏名又は名称】株式会社カネシン
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(74)【代理人】
【識別番号】100074192
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】中山 圭又
(72)【発明者】
【氏名】渡▲辺▼ 孝治
【テーマコード(参考)】
2E125
3J034
【Fターム(参考)】
2E125AA13
2E125AB12
2E125AC23
2E125AG12
2E125BA53
2E125BB13
2E125BC02
2E125BD01
2E125BE01
2E125CA05
2E125EA14
3J034AA07
3J034BA07
(57)【要約】
【課題】ナットによる緊結時の第1連結ボルトの供回りを確実に防止して施工性を向上させることができるスプリング付き羽子板ボルトを提供すること。
【解決手段】羽根部13の基部側に桁2に固定される第1連結ボルト11が挿入される第1連結ボルト支持体14を設ける一方、羽根部13の先端部側に梁3に固定される第2連結ボルト15が挿入される第2連結ボルト孔が設けられ、第1連結ボルト11の頭部と第1連結ボルト支持体14との間にはスプリング12を設ける一方、羽根部13の両側には、第1連結ボルト11の頭部の回転を防止するよう起立した一対の起立片部を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交する第1木材と第2木材との接合を補強するスプリング付き羽子板ボルトであって、
羽根部の基部側には、第1木材に反対側からナットにより固定される第1連結ボルトが挿入される第1連結ボルト支持体を設けると共に、羽根部の先端部側には、第2木材に固定される第2連結ボルトが挿入される第2連結ボルト孔を設け、
前記第1連結ボルトの頭部と前記第1連結ボルト支持体との間にはスプリングを設ける一方、
前記羽根部の両側には、前記第1連結ボルトの頭部の回転を防止するようほぼ当該第1連結ボルトの頭部の二面幅で離間して起立した一対の起立片部を設けたことを特徴とするスプリング付き羽子板ボルト。
【請求項2】
請求項1記載のスプリング付き羽子板ボルトにおいて、
前記一対の起立片部は、
さらに、前記第2連結ボルトの頭部の回転も防止するよう前記第2連結ボルト孔の両側まで延びていることを特徴とするスプリング付き羽子板ボルト。
【請求項3】
請求項2記載のスプリング付き羽子板ボルトにおいて、
前記一対の起立片部における前記第1連結ボルトの頭部の回転を防止する第1起立片部の高さは、前記第2連結ボルトの頭部の回転を防止する第2起立片部の高さよりも高くしたことを特徴とするスプリング付き羽子板ボルト。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一の請求項に記載のスプリング付き羽子板ボルトにおいて、
前記羽部部の表面における前記第2ボルト孔の位置に対し第1連結ボルト支持体側には、刻印するためのスペースである刻印スペースを設けたことを特徴とするスプリング付き羽子板ボルト。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一の請求項に記載のスプリング付き羽子板ボルトにおいて、
前記第1連結ボルト支持体は、
一枚の鋼材を折り曲げることによって正面視、半円以上、下端部が回り込む周面により前記第1連結ボルトを支持するボルト支持部と、
そのボルト支持部の両側の下端部からそれぞれ外側に広がるように延びる一対の脚部とを備え、
前記第1連結ボルト支持体は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の間に収容され、
前記第1連結ボルト支持体の一対の脚部の下端部は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の基部である隅部に位置する一方、
前記第1連結ボルト支持体のボルト支持部は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の上端部よりも突出し、当該一対の起立片部の上端部近傍で溶接されて固着されることを特徴とするスプリング付き羽子板ボルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、桁と梁や胴差と梁等など直交する第1木材と第2木材との接合を補強する羽子板ボルトであって、スプリングを設けたスプリング付き羽子板ボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
桁と梁や胴差と梁等などの直交する第1木材と第2木材との接合部分には、地震等による倒屈や破壊等から防止するため、補強用にいわゆる羽子板ボルトが使用される。
しかし、木材は乾燥すると、収縮するため、羽子板ボルトの補強金物は緩むことが多い。そのため、羽子板ボルトの第1連結ボルトの先端部とボルト支持部との間に緩み止め防止用のスプリングを設けると共に、ナットを締付けた際に第1連結ボルトの先端部が供回りしないように羽根部の表面に下端部が摺接する支承体(特許文献1の場合)、第2のナット(特許文献2の場合)を設けたスプリング付き羽子板ボルトが提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−12730号公報
【特許文献2】特許第5336550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような特許文献1,2のスプリング付き羽子板ボルトでは、第1連結ボルトの先端部(頭部)側の支承体(特許文献1の場合)または第2のナット(特許文献2の場合)の下端部を羽根部の表面に摺接させて、その頭部と反対側で締付けるナットとの供回りを防止している。
【0005】
そのため、羽根部の表面の摺接のみの一方向から支承体(特許文献1の場合)または第2のナット(特許文献2の場合)の供回りを防止しているので、反対側のナットで締付けている際に第1連結ボルトが斜めになって支承体(特許文献1の場合)または第2のナット(特許文献2の場合)が羽根部の表面から浮いた場合には、第1連結ボルトはその頭部と反対側で締付けるナットの回転に応じて供回りする場合があり、施工性が悪いという問題がある。
【0006】
また、上述のような特許文献1,2のスプリング付き羽子板ボルトでは、羽根部の先端部側を第2連結ボルトおよびナットによって第2木材に固定するが、第2連結ボルトの頭部の回転を押える構造にはなっていないため、ナットによって第2連結ボルトを緊結した際、第2連結ボルトがナットによって供回りして、施工性が悪いという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題に着目してなされたもので、第1には、ナットによる緊結時の第1連結ボルトの供回りを確実に防止して施工性を向上させることができ、第2には、ナットによる緊結時の第2連結ボルトの供回りも確実に防止してさらに施工性を向上させることができるスプリング付き羽子板ボルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係るスプリング付き羽子板ボルトは、直交する第1木材と第2木材との接合を補強するスプリング付き羽子板ボルトであって、羽根部の基部側には、第1木材に反対側からナットにより固定される第1連結ボルトが挿入される第1連結ボルト支持体を設けると共に、羽根部の先端部側には、第2木材に固定される第2連結ボルトが挿入される第2連結ボルト孔を設け、前記第1連結ボルトの頭部と前記第1連結ボルト支持体との間にはスプリングを設ける一方、前記羽根部の両側には、前記第1連結ボルトの頭部の回転を防止するようほぼ当該第1連結ボルトの頭部の二面幅で離間して起立した一対の起立片部を設けたことを特徴とする。
ここで、前記一対の起立片部は、さらに、前記第2連結ボルトの頭部の回転も防止するよう前記第2連結ボルト孔の両側まで延びていると良い。
また、前記一対の起立片部における前記第1連結ボルトの頭部の回転を防止する第1起立片部の高さは、前記第2連結ボルトの頭部の回転を防止する第2起立片部の高さよりも高くするとさらに良い。
また、前記羽部部の表面における前記第2ボルト孔の位置に対し第1連結ボルト支持体側には、刻印するためのスペースである刻印スペースを設けるとさらに良い。
また、前記第1連結ボルト支持体は、一枚の鋼材を折り曲げることによって正面視、半円以上、下端部が回り込む周面により前記第1連結ボルトを支持するボルト支持部と、そのボルト支持部の両側の下端部からそれぞれ外側に広がるように延びる一対の脚部とを備え、前記第1連結ボルト支持体は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の間に収容され、前記第1連結ボルト支持体の一対の脚部の下端部は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の基部である隅部に位置する一方、前記第1連結ボルト支持体のボルト支持部は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の上端部よりも突出し、当該一対の起立片部の上端部近傍で溶接されて固着されるとさらに良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスプリング付き羽子板ボルトによれば、羽根部の両側には、ほぼ当該第1連結ボルトの頭部の二面幅で離間して起立した一対の起立片部を設けたため、第1連結ボルトの頭部の両側を一対の起立片部が挟んで頭部の回転を防止することになり、第1連結ボルトの供回りを確実に防止でき、施工性を向上させることができる。
また、一対の起立片部は、第2連結ボルトの頭部の回転も防止するよう第2連結ボルト孔の両側まで延ばすことにより、第1連結ボルトだけでなく第2連結ボルトの頭部の供回りも防止でき、より施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施形態のスプリング付き羽子板ボルトを桁と梁の接合部分の補強に使用した例を示す斜視図である。
図2】本発明に係る実施形態のスプリング付き羽子板ボルトを桁と梁の接合部分の補強に使用した例を示す正面図である。
図3】本発明に係る実施形態のスプリング付き羽子板ボルトの分解平面図である。
図4】本発明に係る実施形態のスプリング付き羽子板ボルトの正面図である。
図5】本発明に係る実施形態のスプリング付き羽子板ボルトの平面図である。
図6】第1連結ボルトにおけるナットの緊結時に現れる刻印スペースを示す平面図である。
図7】本発明に係る実施形態のスプリング付き羽子板ボルトの右側面図である。
図8】本発明に係る実施形態のスプリング付き羽子板ボルトの左側面図である。
図9図4におけるA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るスプリング付き羽子板ボルトの実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、下記に説明する実施の形態は、あくまで、本発明の一例であり、本発明は、下記に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
実施の形態のスプリング付き羽子板ボルト1は、桁と梁や胴差と梁等などの直交する第1木材と第2木材との接合を補強して、接合部分における地震等による倒屈や破壊等から防止するために使用されるもので、図1および図2に示すように、ここでは第1木材としての桁2と、第2木材としての梁3との接合部分の補強のために使用しているが、これはあくまで一例であり、これに限定されるものではなく、柱と梁等の接合部分の補強にも使用できる。
【0013】
このスプリング付き羽子板ボルト1は、図3図5に示すように、第1連結ボルト11と、スプリング12と、羽根部13と、第1連結ボルト支持体14とから構成される。なお、第1木材である桁2との連結には、図2等に示すようにさらに座金11dとナット11eを使用する一方、第2木材である梁3との連結には、図1等に示すように第2連結ボルト15とナット15cと座金15dとを使用する。
【0014】
第1連結ボルト11は、図3等に示すように、軸部11aと頭部11bとから構成されており、その軸部11aは第2連結ボルト15の軸部15aよりも長くしている。また、軸部11aの基端部側には、座金11dを介してナット11e(図2参照。)が螺合するネジ部11cが設けられている。
【0015】
スプリング12は、図4図5等に示すように、第1連結ボルト11の頭部11bと、第1連結ボルト支持体14との間に、第1連結ボルト11の軸部11aを通して設けられている。
【0016】
そのため、桁2や梁3が乾燥により収縮しても、スプリング12の弾性力によって常に第1連結ボルト11のネジ部11cに螺合したナット11e(図2参照。)に押圧力(テンション)がかかるので、第1連結ボルト11のナット11e等が緩むことを確実に防止できる共に、スプリング12の収縮状態を目視で確認することにより締付力の過不足等を簡単に管理することができる。
【0017】
ここで、スプリング12の幅は、図5に示すように、ほぼ第1連結ボルト11の頭部11bの二面幅、または第1連結ボルト支持体14の幅とほぼ同一で、後述する羽根部13の一対の起立片部13b,13bの内側面間の間隔Wとほぼ同一にしている。
【0018】
そのため、ナット11eにより第1連結ボルト11のネジ部11cを緊結している際に、第1連結ボルト11の頭部11bおよびスプリング12の左右両側が羽根部13の一対の起立片部13b,13bに挟まれることになるので、上述の特許文献1,2に記載のスプリング付き羽子板ボルトとは異なり、第1連結ボルト11の軸部11aや頭部11bのブレや傾斜、およびスプリング12の曲がりや、歪、拡がり等を矯正ないしは防止できる。
【0019】
その結果、第1連結ボルト11のネジ部11cにナット11eを緊結する際、第1連結ボルト11の供回りを防止できるだけでなく、ナット11eを緊結し易くなり、作業性が向上する。
【0020】
また、第1連結ボルト11の軸部11aおよび頭部11bや、スプリング12が、常時、一対の起立片部13b,13bの間に収まり、左右方向へのガタツキを極力防止できるので、耐力がばらつかず、品質を安定させることができる。
【0021】
さらに、底面13aから一対の起立片部13b,13bを立ち上げた羽根部13は、起立片部13b,13bを立ち上げない場合よりも剛性が向上するので、板厚を薄くして軽量化することが可能となり、コストを削減できると共に、軽量化によって作業性を向上させることができる。
【0022】
羽根部13は、第2木材である梁3に固定されると共に、第1連結ボルト11が挿入される第1連結ボルト支持体14を支持するもので、図3図5等に示すように、底面13aと、その底面13aの両側をほぼ第1連結ボルト11の頭部11bの二面幅、または第1連結ボルト支持体14の幅と同じ間隔Wで起立させた一対の起立片部13b,13bを有している。
【0023】
底面13aの先端部側には、図3図5等に示すように、第2木材である梁3に固定される第2連結ボルト15が挿入される第2連結ボルト孔13a1が設けられている。
【0024】
一対の起立片部13b,13bは、それぞれ、第1連結ボルト11の頭部11bの回転を防止すると共に、第1連結ボルト支持体14を固定する第1起立片部13b1と、第2連結ボルト15の頭部15bの回転を防止する第2起立片部13b2とを有しており、第1起立片部13b1の高さh1は、図4に示すように、第2起立片部13b2の高さh2よりも高くしている。
【0025】
そのため、地震等によって、このスプリング付き羽子板ボルト1に対しその耐力以上の過大な応力が作用した場合、左右の各起立片部13bでは、それぞれ、図4に示すように第1起立片部13b1と第2起立片部13b1との境界部分である隅部13b3に応力が集中して、この隅部13b3の付近から亀裂が入って破断したり、変形することになる。
【0026】
その結果、このスプリング付き羽子板ボルト1に対しその耐力以上の過大な応力が作用した場合には、隅部13b3付近から亀裂が入ってスプリング付き羽子板ボルト1が破断したり、隅部13b3から変形することにより、このスプリング付き羽子板ボルト1の第1連結ボルト11や第2連結ボルト15等が桁2や梁3に食い込んで破壊するケースが減少して、桁2や梁3に大きなダメージを与えることを防止できる。
【0027】
また、第1起立片部13b1よりも第2起立片部13b2の方が低いため、作業現場で第1連結ボルト11の頭部11bを押えながら持ち易くなり、第1起立片部13b1と第2起立片部13b2の高さを同じにした場合よりも作業性を向上させることができる。
【0028】
さらに、第1起立片部13b1と第2起立片部13b2との高さが変わる境界部分等に第1連結ボルト11の頭部11bが位置するように設計することにより、このスプリング付き羽子板ボルト1を桁2と梁3に取り付けた際に、木材の加工の不良などを簡単に発見することができると共に、第1連結ボルト11をナット11eにより緊結した際に、第1起立片部13b1と第2起立片部13b2との高さが変わる境界部分からのナット11eの移動量を目視で確認することにより、およその緊結力を簡単に確認することができる。なお、本発明では、第1起立片部13b1の高さh1と、第2起立片部13b2の高さh2を変えることは任意であり、同じ高さでも良い。
【0029】
また、羽根部13の底面13aの表面における第2ボルト孔13a1の位置に対し第1連結ボルト支持体14側、すなわちスプリング12が縮んだ状態における第2連結ボルト15の頭部15bと第1連結ボルト11の頭部11bとの間には、図6に示すように丸や四角、三角、星印等のマーク、あるいは型番やメーカー名等を刻印するためのスペースである刻印スペース13a2を確保している。
【0030】
そのため、第1連結ボルト11の頭部11bやスプリング12によって刻印スペース13a2に表わした刻印が現れない場合は、スプリング12が十分に縮んだ状態になく、第1連結ボルト11のネジ部11cへのナット11eの緊結が不十分であることを示す一方、刻印スペース13a2に表わした刻印が現れた場合は、スプリング12が十分に縮んだ状態にあって、第1連結ボルト11のネジ部11cへのナット11eの緊結が十分であることを示すことになる。
【0031】
その結果、このスプリング付き羽子板ボルト1の取付け後、刻印スペース13a2に表わした刻印を確認することによって第1連結ボルト11のネジ部11cへのナット11eの緊結の状態を目視で簡単に確認することができ、作業性が向上する。なお、本発明では、刻印スペース13a2を設けることは任意であり、刻印スペース13a2を設けなくても、あるいは他の場所に設けるようにしても良い。
【0032】
また、第1連結ボルト支持体14は、一枚の鋼材を折り曲げることによって形成されており、図7図9等に示すように、正面視、半円以上、下端部が回り込む周面を有して第1連結ボルト11の軸部11aを支持するボルト支持部14aと、そのボルト支持部14aの両側の下端部からそれぞれ外側に広がるように延びる一対の脚部14b,14bとを備える。
【0033】
ここで、第1連結ボルト支持体14は、羽根部13の両側から起立した一対の起立片部13b,13bの第1起立片部13b1,13b1間に収容されるので、第1連結ボルト支持体14の一対の脚部14b,14bの下端部は、図7図9等に示すように、羽根部13の底面13aの両端部と一対の起立片部13b,13bとの各隅部に位置することになる。
【0034】
そのため、第1連結ボルト支持体14を羽根部13の両側から起立した一対の起立片部13b,13bの間に収容する際、一対の脚部14b,14bの下端部が羽根部13の底面13aの両端部と一対の起立片部13b,13bとの各隅部に当接するまで押し込めば良いので、第1連結ボルト支持体14の位置決めが容易となって、このスプリング付き羽子板ボルト1を製造が容易になると共に、組付け精度の高いスプリング付き羽子板ボルト1を提供することができる。
【0035】
また、第1連結ボルト支持体14のボルト支持部14aは、羽根部13の両側から起立した一対の起立片部13b,13bの各第1起立片部13b1の上端部よりも突出しており、各第1起立片部13b1の上端部近傍で溶接して固着するため、上方から溶接作業が可能となり、溶接作業が容易になると共に、溶接量が減る。
【0036】
また、第1連結ボルト支持体14のボルト支持部14aは、一対の起立片部13b,13bによって、図8に示すように第1連結ボルト11を通しても、第1連結ボルト11の頭部11bが羽根部13の底面13aの第2連結ボルト孔13a1に挿入される第2連結ボルト15の頭部15bと干渉しないような高さに設けているので、施工時にボルト同士の干渉を防止することが可能となり、第1連結ボルト11または第2連結ボルト15どちらのボルトからでも施工できる。
【0037】
また、第1連結ボルト11は第1連結ボルト支持体14のボルト支持部14aの湾曲内に納まるので、耐力が安定する。さらに、第1連結ボルト11として一般のボルトを使用できるため、コストダウンを図ることができると共に、ボルトの長さの変更にも容易に対応できる。
【符号の説明】
【0038】
1 スプリング付き羽子板ボルト
11 第1連結ボルト
11a 軸部
11b 頭部
11c ネジ部
11d 座金
11e ナット
12 スプリング
13 羽根部
13a 底面
13a1 第2連結ボルト孔
13a2 刻印スペース
13b 一対の起立片部
13b1 第1起立片部
13b2 第2起立片部
13b3 隅部
14 第1連結ボルト支持体
14a ボルト支持部
14b 脚部
15 第2連結ボルト
15a 軸部
15b 頭部
15c ナット
15d 座金
2 桁(第1木材)
3 梁(第2木材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2016年2月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交する第1木材と第2木材との接合を補強するスプリング付き羽子板ボルトであって、
羽根部の基部側には、第1木材に反対側からナットにより固定される第1連結ボルトが挿入される第1連結ボルト支持体設けられると共に、羽根部の先端部側には、第2木材に固定される第2連結ボルトが挿入される第2連結ボルト孔設けられ
前記第1連結ボルトの頭部と前記第1連結ボルト支持体との間には、前記第1連結ボルトの頭部の二面幅とほぼ同一の外径を有するスプリングが前記第1連結ボルトの軸部に通して設けられ、
前記羽根部の両側には、一対の起立片部が設けられており
その一対の起立片部には、
前記第1連結ボルトの頭部の二面幅で離間して前記羽根部の両側から起立して、前記第1連結ボルトの頭部の回転を防止すると共に、前記スプリングをその長手方向に対し直交する方向の両側から挟む一対の第1起立片部と、
前記第2連結ボルトの頭部の二面幅で離間して前記羽根部の両側から起立して、前記第2連結ボルトの頭部の回転を防止する一対の第2起立片部とが設けられていることを特徴とするスプリング付き羽子板ボルト。
【請求項2】
請求項1記載のスプリング付き羽子板ボルトにおいて、
前記第1起立片部と前記第2起立片部とは、前記羽根部の両側にそれぞれ連続して設けられている共に、前記第1起立片部の高さは、前記第2起立片部の高さよりも高く形成され、かつ、前記第1起立片部と前記第2起立片部との高さが変わる境界部分に隅部が形成されていると共に、その境界部分に前記第1連結ボルトの頭部が位置するように形成されていることを特徴とするスプリング付き羽子板ボルト。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスプリング付き羽子板ボルトにおいて、
前記第1連結ボルト支持体は、前記第1連結ボルトが通されても、当該第1連結ボルトの頭部が前記羽根部の前記第2連結ボルト孔に挿入される前記第2連結ボルトの頭部と干渉しないような高さで前記第1連結ボルトを支持するように設けられていることを特徴とするスプリング付き羽子板ボルト。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一の請求項に記載のスプリング付き羽子板ボルトにおいて、
前記羽部部の表面における前記第2ボルト孔の位置に対し第1連結ボルト支持体側には、刻印するためのスペースである刻印スペースけられていることを特徴とするスプリング付き羽子板ボルト。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一の請求項に記載のスプリング付き羽子板ボルトにおいて、
前記第1連結ボルト支持体は、
一枚の鋼材を折り曲げることによって正面視、半円以上、下端部が回り込む周面により前記第1連結ボルトを支持するボルト支持部と、
そのボルト支持部の両側の下端部からそれぞれ外側に広がるように延びる一対の脚部とを備え、
前記第1連結ボルト支持体は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の間に収容され、
前記第1連結ボルト支持体の一対の脚部の下端部は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の基部である隅部に位置する一方、
前記第1連結ボルト支持体のボルト支持部は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の上端部よりも突出し、当該一対の起立片部の上端部近傍で溶接されて固着されることを特徴とするスプリング付き羽子板ボルト。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係るスプリング付き羽子板ボルトは、直交する第1木材と第2木材との接合を補強するスプリング付き羽子板ボルトであって、羽根部の基部側には、第1木材に反対側からナットにより固定される第1連結ボルトが挿入される第1連結ボルト支持体設けられると共に、羽根部の先端部側には、第2木材に固定される第2連結ボルトが挿入される第2連結ボルト孔設けられ、前記第1連結ボルトの頭部と前記第1連結ボルト支持体との間には、前記第1連結ボルトの頭部の二面幅とほぼ同一の外径を有するスプリング設けられ、前記羽根部の両側には、一対の起立片部が設けられており、その一対の起立片部には、前記第1連結ボルトの頭部の二面幅で離間して前記羽根部の両側から起立して、前記第1連結ボルトの頭部の回転を防止すると共に、前記スプリングをその長手方向に対し直交する方向の両側から挟む一対の第1起立片部と、前記第2連結ボルトの頭部の二面幅で離間して前記羽根部の両側から起立して、前記第2連結ボルトの頭部の回転を防止する一対の第2起立片部とが設けられていることを特徴とする。
ここで、前記第1起立片部と前記第2起立片部とは、前記羽根部の両側にそれぞれ連続して設けられている共に、前記第1起立片部の高さは、前記第2起立片部の高さよりも高く形成され、かつ、前記第1起立片部と前記第2起立片部との高さが変わる境界部分に隅部が形成されていると共に、その境界部分に前記第1連結ボルトの頭部が位置するように形成されているように構成すると良い。
また、前記第1連結ボルト支持体は、前記第1連結ボルトが通されても、当該第1連結ボルトの頭部が前記羽根部の前記第2連結ボルト孔に挿入される前記第2連結ボルトの頭部と干渉しないような高さで前記第1連結ボルトを支持するように設けられていると良い。
また、前記羽部部の表面における前記第2ボルト孔の位置に対し第1連結ボルト支持体側には、刻印するためのスペースである刻印スペースけられているとさらに良い。
また、前記第1連結ボルト支持体は、一枚の鋼材を折り曲げることによって正面視、半円以上、下端部が回り込む周面により前記第1連結ボルトを支持するボルト支持部と、そのボルト支持部の両側の下端部からそれぞれ外側に広がるように延びる一対の脚部とを備え、前記第1連結ボルト支持体は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の間に収容され、前記第1連結ボルト支持体の一対の脚部の下端部は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の基部である隅部に位置する一方、前記第1連結ボルト支持体のボルト支持部は、前記羽根部の両側から起立した一対の起立片部の上端部よりも突出し、当該一対の起立片部の上端部近傍で溶接されて固着されるとさらに良い。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明のスプリング付き羽子板ボルトによれば、羽根部の両側には、ほぼ当該第1連結ボルトの頭部の二面幅で離間して起立した一対の起立片部を設けたため、第1連結ボルトの頭部の両側を一対の起立片部が挟んで頭部の回転を防止することになり、第1連結ボルトの供回りを確実に防止でき、施工性を向上させることができる。
また、一対の起立片部は、第2連結ボルトの頭部の回転も防止するよう第2連結ボルト孔の両側まで延ばすことにより、第1連結ボルトだけでなく第2連結ボルトの頭部の供回りも防止でき、より施工性を向上させることができる。
また、スプリングは第1連結ボルトの頭部の二面幅とほぼ同一の外径を有しており、一対の起立片部には、第1連結ボルトの頭部の二面幅で離間して羽根部の両側から起立して、第1連結ボルトの頭部の回転を防止すると共に、スプリングをその長手方向に対し直交する方向の両側から挟む一対の第1起立片部が設けられているため、一対の第1起立片部によって両側から挟まれることによりスプリングの曲がりや、歪、拡がり等を矯正ないしは防止して、スプリングの効果を最大限に発揮できる。
その結果、第1連結ボルトのネジ部にナットを緊結する際、第1連結ボルトの供回りを防止できるだけでなく、ナットを緊結し易くなり、作業性が向上する。
また、第1連結ボルトの軸部および頭部や、スプリングが、常時、一対の第1起立片部の間に収まり、左右方向へのガタツキを極力防止できるので、耐力がばらつかず、品質を安定させることができる。