特開2016-98623(P2016-98623A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-98623(P2016-98623A)
(43)【公開日】2016年5月30日
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20160425BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20160425BHJP
【FI】
   E02F9/00 C
   B60K1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-238596(P2014-238596)
(22)【出願日】2014年11月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】武藤 啓志
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA19
3D235BB24
3D235DD21
3D235EE63
3D235FF42
3D235FF44
3D235HH08
3D235HH61
(57)【要約】      (修正有)
【課題】上部旋回体に設けたバッテリ収納部にバッテリを固定できると共に、必要に応じて、バッテリをバッテリ収納部から外部に簡単に引き出すことができる建設機械を提供する。
【解決手段】杭打機の上部旋回体の側面に開口部21を形成し、開口部21に開閉扉23を取り付け、開閉扉23の内側にバッテリ収納部19を設ける。バッテリ収納部19は、バッテリ18を支持する支持台24と、バッテリ18を支持台24に固定する固定部材25と、開閉扉23を開いた状態でバッテリ18を外方に案内するガイド部材26とを備える。ガイド部材26は、固定部材25の開閉扉側の一端側下部に上下方向に回動可能に連結され、バッテリ固定時には、固定部材25に対して垂直状態に固定され、バッテリ案内時には、固定状態から回動させて先端側を開口枠20の下枠20bに載置させて水平状態とし、その表面に沿ってバッテリ18を外方に案内する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体の側面に、開口枠で画定される開口部を形成し、該開口部に開閉扉を回動可能に取り付けると共に、該開閉扉の内側にバッテリを収納するバッテリ収納部を備えた建設機械において、
前記バッテリ収納部は、前記バッテリを支持する支持台と、前記バッテリを前記支持台に着脱可能に固定する固定部材と、前記開閉扉を開いた状態で、前記固定部材から前記バッテリを外方に案内するガイド部材とを備え、該ガイド部材は、前記固定部材の開閉扉側の一端側下部に、上下方向に回動可能に連結され、バッテリ固定時には、前記固定部材に対して垂直状態に固定され、バッテリ案内時には、前記固定状態から回動させて、先端側を前記開口枠の下枠に載置させて水平状態とし、前記ガイド部材の表面に沿って前記バッテリを外方に案内することを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記固定部材は、前記バッテリを載置するバッテリ載置トレイと、前記バッテリの上面に載置される押え板と、該押え板と前記バッテリ載置トレイとを繋ぐクランプ部材とで形成され、前記バッテリ載置トレイの開閉扉側の一端側下部に前記ガイド部材が回動可能に連結されることを特徴とする請求項1記載の建設機械。
【請求項3】
前記ガイド部材は、金属板の表面に樹脂板が固着されて形成され、前記樹脂板の表面には、前記バッテリの移動を案内するガイド溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関し、詳しくは、下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体に、バッテリを収納するバッテリ収納部を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、杭打機やクレーンなどの建設機械では上部旋回体にバッテリを収納するためのバッテリ収納部を設けたものがあり、このバッテリ収納部として、バッテリを載置する支持台に凸部を一体に形成し、該凸部に位置決めされた状態でバッテリを支持台に固定させるものがあった(例えば、特許文献1参照。)。さらに、バッテリ収納部に、バッテリを支持する支持台と、該支持台にバッテリを固定させる固定部とを設け、前記支持台に対して固定部をスライド可能に形成し、バッテリを支持台に固定させると共に、必要に応じてバッテリを収容した状態の固定部をスライドさせて、バッテリを上部旋回体から外部に移動させるものがあった(例えば,特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−329567号公報
【特許文献2】特開2012−1933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建設機械の上部旋回体に設けたバッテリ収納部に搭載されるバッテリは、建設機械の作業時や走行時には、バッテリ収納部内を移動したり振動することを防止するために固定しておく必要があるが、バッテリの点検や交換、バッテリ液の補充などの作業を行う際には、バッテリをバッテリ収納部から外部に取り出さなくてはならなかった。上述の特許文献1のものでは、バッテリを確実に固定することはできるが、バッテリを上部旋回体から外部に持ち出す際には、支持台に設けた凸部が支障となり、バッテリの取り出し作業が困難であった。また、特許文献2のものでは、バッテリが固定部により固定されると共に、固定部を支持台に沿ってスライドさせることにより、バッテリを上部旋回体から外部に持ち出すことができるが、固定部を支持台に沿ってスライドさせる際に、作業者はバッテリを載置した固定部を支えながらスライドさせることから、作業者に負担が掛かっていた。
【0005】
そこで本発明は、上部旋回体に設けたバッテリ収納部にバッテリを固定できると共に、必要に応じて、バッテリをバッテリ収納部から外部に簡単に引き出すことができる建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の建設機械は、下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体の側面に、開口枠で画定される開口部を形成し、該開口部に開閉扉を回動可能に取り付けると共に、該開閉扉の内側にバッテリを収納するバッテリ収納部を備えた建設機械において、前記バッテリ収納部は、前記バッテリを支持する支持台と、前記バッテリを前記支持台に着脱可能に固定する固定部材と、前記開閉扉を開いた状態で、前記固定部材から前記バッテリを外方に案内するガイド部材とを備え、該ガイド部材は、前記固定部材の開閉扉側の一端側下部に、上下方向に回動可能に連結され、バッテリ固定時には、前記固定部材に対して垂直状態に固定され、バッテリ案内時には、前記固定状態から回動させて、先端側を前記開口枠の下枠に載置させて水平状態とし、前記ガイド部材の表面に沿って前記バッテリを外方に案内することを特徴としている。
【0007】
また、前記固定部材は、前記バッテリを載置するバッテリ載置トレイと、前記バッテリの上面に載置される押え板と、該押え板と前記バッテリ載置トレイとを繋ぐクランプ部材とで形成され、前記バッテリ載置トレイの開閉扉側の一端側下部に前記ガイド部材が回動可能に連結されると好ましい。さらに、前記ガイド部材は、金属板の表面に樹脂板が固着されて形成され、前記樹脂板の表面には、前記バッテリの移動を案内するガイド溝が形成されていると好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の建設機械によれば、建設機械の作業時や走行時には、バッテリは、バッテリ収納部に収納されると共に固定部材によって固定され、バッテリ収納部内で移動したり振動することを防止できる。また、バッテリの点検や交換、バッテリ液の補充などの作業の際には、バッテリの固定状態を外し、開閉扉を開いて、固定部材に垂直状態に固定されているガイド部材を回動させ、先端側を開口枠の下枠に載置させて水平状態とすることにより、バッテリをガイド部材の表面に沿って簡単に外方へ引き出すことができ、バッテリの重量を開口枠の下枠で支持するので安定した状態で作業を行うことができる。
【0009】
また、固定部材は、バッテリを載置するバッテリ載置トレイと、バッテリの上面に載置される押え板と、押え板とバッテリ載置トレイとを繋ぐクランプ部材とで形成されていることにより、バッテリをバッテリ載置トレイに載置し、バッテリ載置トレイと押え板との間に取り付けたクランプ部材でバッテリをバッテリ載置トレイ側に押し付けることにより、バッテリ載置トレイと押え板との間でバッテリを確実に固定することができる。さらに、クランプ部材と押え板とをバッテリ載置トレイから外すことにより、バッテリを移動可能な状態とすることができる。
【0010】
また、ガイド部材は、金属板の表面に樹脂板を固着して形成され、樹脂板の表面にバッテリの移動を案内するガイド溝を形成したことにより、バッテリを容易にスライドさせて外方へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図3のI−I断面図である。
図2図3のII−II断面図である。
図3】本発明の一形態例を示す建設機械の要部側面図である。
図4図6のIV−IV断面図である。
図5図6のV−V断面図である。
図6】開閉扉を開いた状態の建設機械の要部側面図である。
図7】建設機械の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図7は、本発明を建設機械の一種である杭打機に適用した一形態例を示している。本形態例に示す杭打機11は、クローラ12を備えた下部走行体13と該下部走行体13上に旋回可能に設けられた上部旋回体14とで構成されたベースマシン15と、上部旋回体14の前部に設けられたリーダ16と、作業状態のリーダ16をベースマシン15の後部側から支持する左右一対のバックステー17とを備えおり、上部旋回体14の後部一側には、バッテリ18,18を収納するバッテリ収納部19が設けられている。
【0013】
上部旋回体14は、一方の側壁14aに開口枠20で画定される開口部21が形成され、開口枠20の一方の縦枠20aに、垂直方向のヒンジ22を介して開閉扉23が開閉可能に取り付けられている。バッテリ収納部19は、開閉扉23の内側に設けられ、2台のバッテリ18,18を載置可能な支持台24と、該支持台24の上部に設けられ、2台のバッテリ18,18を固定する固定部材25と、開閉扉23を開いた状態で、バッテリ収納部19からバッテリ18,18を外方に案内するガイド部材26とを備えている。
【0014】
バッテリ18は、直方体状に形成された周知のもので、前面及び後面の上部には把手18aがそれぞれ設けられている。固定部材25は、2台のバッテリ18,18を上部旋回体14の前後方向に並べて載置するバッテリ載置トレイ27と、該バッテリ載置トレイ27に載せたバッテリ18,18の上面に配置される押え板28,28と、各押え板28,28とバッテリ載置トレイ27とをそれぞれ繋ぐ4つのクランプ部材29とで形成されている。
【0015】
バッテリ載置トレイ27は、上部旋回体14の前後方向に並べたバッテリ18,18の外側の側面をそれぞれ囲む第1枠体27a,27aと、両方のバッテリ18,18の後面を囲む第2枠体27bと、バッテリ18,18間を仕切る仕切り板27cとを備え、上面と開閉扉側面とが開口している。各第1枠体27aは、外面にクランプ部材29を係合させる係合部27d,27dがそれぞれ対応した位置に形成されている。押え板28は、第1枠体27a,27aに対して直交方向に所定の間隔を空けて、両端部を第1枠体27a,27aから外方に突出させて配置され、第1枠体27a,27aから突出した両端部には、挿通孔がそれぞれ形成されている。クランプ部材29は、下端部にJ字状のフック29aを備えたボルト部材29bと、押え板28の挿通孔に挿通されて上方に突出した雄ネジ部に螺合するクランプ用蝶ナット29cとを備えている。
【0016】
ガイド部材26は、第1枠体27a,27aの開閉扉側の一端側下部に、ヒンジ30によって上下方向に回動可能に取り付けられ、バッテリ固定時には、バッテリ載置トレイ27に対して垂直状態に配置されると共に、蝶ナット31,31でバッテリ載置トレイ27の第1枠体27a,27aの一端部に固定されている。ガイド部材26は、金属板26aの表面に樹脂板26bを固着して形成され、樹脂板26bの表面には、バッテリ18,18の移動を案内するガイド溝26c,26cが形成されている。
【0017】
上述の杭打機11は、作業時や走行時には、バッテリ収納部19にバッテリ18,18が収容され、開閉扉23が閉じた状態となっている。このとき、バッテリ18,18は、バッテリ載置トレイ27に載置され、上面には押え板28,28が配置され、第1枠体27a,27aの各係合部27dにボルト部材29bのフック29aをそれぞれ係合させると共に、押え板28のボルト挿通孔からボルト部材29bの先端部を突出させ、突出したボルト部材29bの先端部にクランプ用蝶ナット29cがそれぞれ螺着される。これにより、押え板28,28によってバッテリ18,18がバッテリ載置トレイ27側へ押し付けられると共に、第1枠体27a,27aと仕切り板27cとによって、バッテリ18,18の車体前後方向の移動が規制される。さらに、ガイド部材26は、バッテリ載置トレイ27の開閉扉側の一端に、垂直状態に配置され、蝶ナット31,31で第1枠体27a,27aに固定され、バッテリ18,18の前面とガイド部材26のガイド溝26cとが当接した状態となり、ガイド部材26と第2枠体27bとでバッテリ18,18の車体幅方向の移動が規制される。これにより、杭打機11の作業時や走行時に、バッテリ18,18がバッテリ収納部19内で移動したり振動したりすることが防止される。
【0018】
また、バッテリ18,18の点検や交換、バッテリ液の補充などの作業を行うため、バッテリ18,18をバッテリ収納部19から外部に移動させたい時には、開閉扉23を開いて蝶ナット31,31を外し、バッテリ載置トレイ27に対して垂直状態に配置されていたガイド部材26を回動させて、先端側を開口枠20の下枠20bに載置させて水平状態とする。さらに、各クランプ用蝶ナット29cをボルト部材29bの先端部から取り外し、押え板28,28を取り外すことにより、バッテリ18,18を移動可能にする。次いで、各バッテリ18に設けられた把手18aをそれぞれ開閉扉側へ引いて各バッテリ18をガイド部材26の樹脂板26bに形成されたガイド溝26c,26cに沿ってスライドさせ、開閉扉23から外方に移動させることにより、バッテリ18,18の点検や交換、バッテリ液の補充などの作業を容易に行うことができる。
【0019】
本形態例は上述のように、杭打機11の作業時や移動時には、バッテリ18,18を固定部材25と、垂直状態に配置したガイド部材26とによって簡単かつ確実に固定することができ、バッテリ18,18がバッテリ収納部19内を移動したり振動したりすることを防止し、バッテリ18,18が損傷する虞がない。さらに、バッテリ18,18の点検や交換、バッテリ液の補充などの作業を行う際には、ガイド部材26によって、バッテリ18,18の把手18a,18aを引くだけで、開口枠20の下枠20bで支持されたガイド部材26上をスライドさせてバッテリ18,18を簡単に開閉扉23から外方に移動させることができることから、大型作業機械に設けられている大型のバッテリの場合でも、作業者の負担を軽減させることができると共に作業性の向上を図ることができる。また、開口枠20の下枠20bでガイド部材26を支持するようにしているので、別に支持部材を設ける場合に比べて部品点数の削減や安定性の向上を図ることができる。
【0020】
なお、本発明は上述の形態例に限るものではなく、バッテリ収納部に収納されるバッテリの台数は任意であり、バッテリの台数によって、支持台の大きさや、バッテリ載置トレイの形状は適宜変更すればよい。また、押え板やクランプ部材は、バッテリを着脱可能に固定することができれば、どのような構造でも差し支えない。さらに、ガイド部材の樹脂板の表面にガイド溝を備えていないものでもよく、ガイド部材が金属板で形成されているものでもよい。また、杭打機以外のクレーンなどの各種建設機械に適用が可能である。
【符号の説明】
【0021】
11…杭打機、12…クローラ、13…下部走行体、14…上部旋回体、15…ベースマシン、16…リーダ、17…バックステー、18…バッテリ、18a…把手、19…バッテリ収納部、20…開口枠、20a…縦枠、20b…下枠、21…開口部、22…ヒンジ、23…開閉扉、24…支持台、25…固定部材、26…ガイド部材、26a…金属板、26b…樹脂板、26c…ガイド溝、27…バッテリ載置トレイ、27a…第1枠体、27b…第2枠体、27c…仕切り板、27d…係合部、28…押え板、29…クランプ部材、29a…フック、29b…ボルト部材、29c…クランプ用蝶ナット、30…ヒンジ、31…蝶ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7