【解決手段】入力装置10は、タッチ操作を受け付けるタッチパッド22と、タッチパッド22の一縁部に隣接して設けられる押しボタン24a〜24cとを備え、例えばノート型PCである電子機器12に搭載される。入力装置10において、押しボタン24a〜24cは、押下操作を受け付ける上下動可能な操作面部28と、操作面部28の一縁部からタッチパッド22の下面側へと突出し、その先端がタッチパッド22の下方で回動可能に軸支されるヒンジアーム30とを備えた片持ち構造となっている。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の入力装置と、キーボード装置と、前記入力装置及び前記キーボード装置の入力操作に基づく表示を行うディスプレイ装置とを備えることを特徴とする電子機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、押しボタンはパンタグラフ構造の支持部材によって上下動可能に構成されている。このため、押しボタンの上下動作に要する部品点数が増加して製造効率が低下するだけでなく、薄型化が難しいためノート型PC等の筐体の薄型化の障壁となる。
【0006】
また、押しボタンの一縁部下面にヒンジ構造を設けて押しボタンを片持ち構造で支持した構成もある。ところが、この構成ではヒンジ部分を押下することができないため、操作面の全面を押下操作することができず操作性が低い。さらに、押しボタンの下方にヒンジ構造が配置されるため、上記したパンタグラフ構造の場合と同様に薄型化が難しいという問題もある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、押しボタンの操作性を確保しながらも薄型化を図ることができる入力装置及び該入力装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る入力装置は、タッチ操作を受け付けるタッチパッドと、該タッチパッドの一縁部に隣接して設けられる押しボタンとを備える入力装置であって、前記押しボタンは、押下操作を受け付ける上下動可能な操作面部と、該操作面部の一縁部から前記タッチパッドの下面側へと突出し、その先端が前記タッチパッドの下方で回動可能に軸支されるヒンジアームとを備えた片持ち構造であることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、押しボタンは、タッチパッドの下面側に突出して軸支されるヒンジアームを用いた片持ち構造で構成されるため、パンタグラフ構造等を用いた従来構造に比べて大幅な薄型化が可能となる。また、操作面部の下方にヒンジが配置されないため、操作面部の全面を押下操作することができ、高い操作性が得られる。
【0010】
前記タッチパッド及び前記押しボタンの下面側に配置され、該タッチパッド及び該押しボタンを支持するベースプレートを備え、前記ベースプレートは、前記ヒンジアームの先端に設けられた突出片が回転可能に係合する第1フックを有する構成とすると、押しボタンの回動軸を簡素に構成することができる。
【0011】
前記タッチパッドは、タッチ操作面への押下操作を受けて上下動することでクリック動作を受け付け可能であってもよい。
【0012】
前記ベースプレートは、前記タッチパッドの下面側に設けられた係合片が回転可能に係合する第2フックを有し、前記第2フックが前記ヒンジアームに形成された開口部を通して前記係合片と係合されることで、前記押しボタンのヒンジアームと前記タッチパッドの係合片とが交差した配置とされる構成であってもよい。そうすると、入力装置を一層薄型化することができ、また、押しボタン及びタッチパッドの回動軸をタッチパッドの下面側に収納配置できるため、全体構成を小型化できる。
【0013】
前記タッチパッドは、その一辺に沿って前記係合片が複数並んで設けられ、該複数並んだ係合片を回動軸とした片持ち構造であってもよい。
【0014】
前記押しボタンは、前記タッチパッドの一縁部に沿って並ぶように複数設けられ、1又は複数の押しボタンのヒンジアームに前記開口部が形成された構成であってもよい。これにより、簡素な構造で押しボタンのヒンジアームとタッチパッドの係合片とを交差した配置とすることができ、装置を一層小型化することができる。
【0015】
また、本発明に係る電子機器は、上記構成の入力装置と、キーボード装置と、前記入力装置及び前記キーボード装置の入力操作に基づく表示を行うディスプレイ装置とを備えることを特徴とする。
【0016】
前記入力装置と連係するポインティングスイッチを備え、前記押しボタンは前記ポインティングスイッチと連係するクリック操作ボタンであってもよい。
【0017】
前記押しボタンは、前記タッチパッドと連係するクリック操作ボタンであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タッチパッドの下面側に突出して軸支されるヒンジアームを用いた片持ち構造で構成されるため、パンタグラフ構造等を用いた従来構造に比べて大幅な薄型化が可能となる。また、操作面部の下方にヒンジが配置されないため、操作面部の全面を押下操作することができ、高い操作性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る入力装置について、この入力装置を備える電子機器との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置10を備えた電子機器12の斜視図である。
【0022】
以下では、入力装置10について
図1に示す電子機器12での使用形態を基準とし、手前側を前側(前方)、奥側を後側(後方)と呼び、電子機器12を構成する本体筐体14の厚み方向を上下方向、幅方向を左右方向と呼んで説明する。
【0023】
図1に示すように、電子機器12は、入力装置10及びキーボード装置16を有する本体筐体14と、液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置18aを有するディスプレイ筐体18とを備えたノート型PCである。ディスプレイ筐体18は、左右一対のヒンジ19,19により本体筐体14に対して開閉可能に連結されている。
【0024】
本体筐体14の内部には、図示しない基板、演算処理装置、ハードディスク装置、メモリ等の各種電子部品が収納されている。入力装置10及びキーボード装置16は、本体筐体14の上面14aで前後に並んでいる。キーボード装置16の略中央にはポインティングスティック20が設けられている。
【0025】
ポインティングスティック20はディスプレイ装置18aに表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作するためのものであり、マウスの代わりとして操作する入力手段である。
【0026】
本実施形態では、上記のようなノート型PCである電子機器12に対して入力装置10を搭載した構成を例示するが、入力装置10はデスクトップ型PC等に接続される単体のキーボード装置等に搭載されてもよい。
【0027】
次に、入力装置10の構成例について説明する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る入力装置10の斜視図であり、
図3は、
図2に示す入力装置10の左側面図である。
【0029】
図1〜
図3に示すように、入力装置10は、指先等の接近又は接触によるタッチ操作を受け付けるタッチパッド22と、タッチパッドの後縁部に沿って並んだ3個の押しボタン24a,24b,24cとを備える。
【0030】
押しボタン24a〜24cは、ポインティングスティック20又はタッチパッド22によるカーソル操作と連係して機能するものであり、それぞれ一般的なマウスでの左ボタン、中央ボタン、右ボタンに対応するクリック操作ボタンである。押しボタン24a〜24cはタッチパッド22の前縁側に配置されてもよく、タッチパッド22との間に本体筐体14のフレームを介在して配置でもよい。
【0031】
タッチパッド22は、タッチ操作に加えて押下操作によるクリック動作が可能なクリックパッドとして構成されている。
【0032】
図2に示すように、タッチパッド22の表面であるタッチ操作面22aの前側には、疑似ボタン領域25a,25bが設定されている。擬似ボタン領域25a,25bは、タッチ操作面22a上でのそれぞれの領域が座標で定義されたものであり、視認できるものではない。疑似ボタン領域25a,25bのいずれかに指先を接触させた状態でタッチパッド22を押下操作すると、その疑似ボタン領域25a,25bに対応した処理や表示が行われる。例えば、2つの疑似ボタン領域25a,25bは、それぞれ一般的なマウスでの左ボタン、右ボタンに対応する。
【0033】
タッチパッド22及び押しボタン24a〜24cは、金属製の板状部材であるベースプレート26の上面側に支持されている(
図2及び
図3参照)。
【0034】
先ず、押しボタン24a〜24cの具体的な構成を説明する。
【0035】
図4は、押しボタン24a〜24cの構成図であり、
図4(A)は、平面図、
図4(B)は、底面図である。
図5は、ベースプレート26の構成図であり、
図5(A)は、平面図、
図5(B)は、右側面図である。また、
図6は、タッチパッド22を取り外した状態での押しボタン24a〜24c及びベースプレート26の平面図であり、
図7は、入力装置10の後端側を拡大して模式的に示した左側面断面図である。
【0036】
図2〜
図4に示すように、左側の押しボタン24aは、押下操作を受け付ける上下動可能な操作面部28と、操作面部28の前縁部から前方へと突出したヒンジアーム30とを備える。
【0037】
操作面部28は、タッチパッド22の後縁部に並ぶように設けられたボタン部分である。操作面部28は、その後端部に設けられた後下がりの傾斜面が設けられることにより、例えばポインティングスティック20を人差し指で操作しながら親指で良好に押下操作することができる。
【0038】
図3及び
図4(B)に示すように、操作面部28の下面(裏面)には、左右一対の係合フック31,31が下方に向かって突設されている。係合フック31は、ベースプレート26の上面で門形状に起立形成された係合孔32に係合され(
図5及び
図7参照)、押しボタン24aの上昇限度を規定すると同時に上方への抜け止めとしても機能する。
【0039】
左右の係合フック31,31間となる操作面部28の下面略中央には、検出スイッチ34が配設される(
図4(B)及び
図6参照)。検出スイッチ34は、押しボタン24aが押下操作された際に所定の検出信号を発信するものである。検出スイッチ34は、例えば操作面部28の下面から下に向かって膨らんだスイッチであり、押しボタン24aが押下された際にベースプレート26上に当接することでオンされる。
【0040】
ヒンジアーム30は、操作面部28の前縁部から前下がりに突出することでタッチパッド22の下面側に差し込まれる。ヒンジアーム30の先端(前端)には、下方に屈曲した後、前側へと屈曲することで略L字形に形成された突出片30aが左右一対設けられている(
図3、
図4及び
図7参照)。ベースプレート26の突出片30aに重なる位置には、断面略L字状に起立形成されたボタン用フック(第1フック)36が設けられている(
図5(A)及び
図7参照)。
【0041】
図7に示すように、突出片30aがボタン用フック36に対して回転可能(揺動可能)に係合されることで、これらがヒンジアーム30をタッチパッド22の下方で回動可能に軸支するヒンジとして機能する。押しボタン24aはこのような片持ち構造で構成され、操作面部28が上下動可能である。
【0042】
ヒンジアーム30の下面(裏面)における各突出片30aの近傍位置には、位置決めピン37が下方に向かって突設されている(
図4(B)及び
図7参照)。位置決めピン37がベースプレート26に形成された位置決め穴38(
図5(A)参照)に挿入されることで、押しボタン24aがベースプレート26に対して位置決めされる。
【0043】
ヒンジアーム30の前後略中央位置には、左右一対の開口部40,40が対設けられている。ベースプレート26の開口部40に重なる位置には、断面略L字状に起立形成されたパッド用フック(第2フック)42が設けられている(
図6及び
図7参照)。
図7に示すように、パッド用フック42は、開口部40を下から上へと挿通するように配置される。パッド用フック42が後述するタッチパッド22の係合片44に回転可能に係合されることで、これらがタッチパッド22を上下動させるヒンジとして機能する。タッチパッド22はこのような片持ち構造で構成され、タッチ操作面22aが上下動可能である。
【0044】
なお、右側の押しボタン24cは、
図4に示すように左側の押しボタン24aと左右対称構造であって実質的に同一構造である。また、中央の押しボタン24bは、その形状や大きさは押しボタン24a,24cと異なるが、その押下操作に対する上下動の構造等は実質的に同一構造である。そこで、これら押しボタン24b,24cについては、押しボタン24aの各要素と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0045】
すなわち、右側の押しボタン24cは、操作面部28及びヒンジアーム30を備え、操作面部28には、ベースプレート26の係合孔32に係合する係合フック31及び検出スイッチ34が設けられ、ヒンジアーム30には、ベースプレート26のボタン用フック36に回転可能に係合する突出片30a、ベースプレート26の位置決め穴38に挿入される位置決めピン37及びベースプレート26のパッド用フック42が挿通する開口部40が設けられる。また、中央の押しボタン24bは、操作面部28及びヒンジアーム30を備え、操作面部28には、ベースプレート26の係合孔32に係合する係合フック31及び検出スイッチ34が設けられ、ヒンジアーム30には、ベースプレート26のボタン用フック36に回転可能に係合する突出片30a及びベースプレート26の位置決め穴38に挿入される位置決めピン37が設けられる。なお、本実施形態では、中央の押しボタン24bには開口部40を設けていないが、例えばこの押しボタン24bにのみ開口部40を設けてパッド用フック42を挿通させ、他の押しボタン24a,24cに開口部40を設けない構成としてもよい。
【0046】
次に、タッチパッド22の具体的な構成を説明する。
【0047】
タッチパッド22は上記の通り、タッチ操作面22aへのタッチ操作と、タッチ操作面22aを押し下げる押下操作とが可能なクリックパッドである。
【0048】
図2、
図3及び
図7に示すように、タッチパッド22は、ベースプレート26に対面配置される底面板となるハウジングプレート50と、ハウジングプレート50の上面に積層され、タッチ操作面22aに対するタッチ操作を検出する基板プレート52と、基板プレート52の上部に積層され、その表面がタッチ操作を受け付けるタッチ操作面22aとなるカバープレート54とを有する3層構造である。
【0049】
基板プレート52は、平面視矩形状の基板であり、カバープレート54へのタッチ操作を検出するセンサである。基板プレート52は、図示しない配線によって本体筐体14内の基板に接続されている。カバープレート54は、平面視矩形状のガラス板や樹脂板である。
【0050】
図8に、ハウジングプレート50の底面図を示す。
【0051】
図2、
図3及び
図8に示すように、ハウジングプレート50は、平面視矩形状の樹脂板であり、基板プレート52及びカバープレート54を保持する筐体部材である。ハウジングプレート50の後端には後下がりの傾斜面50aが形成されている。傾斜面50aの後端面は、押しボタン24a〜24cの操作面部28の前端面に近接している(
図7参照)。このような傾斜面50aを設けたことにより、押しボタン24a〜24cの押下操作時にタッチパッド22が邪魔になることがなく、操作面部28の全面を良好に押下操作することができる。
【0052】
図7に示すように、ハウジングプレート50の下面であって傾斜面50aの下方となる位置には、係合片44が設けられている。係合片44は、例えば左右方向に4個並設されている(
図8参照)。各係合片44は、上記したように左右の押しボタン24a,24cの各開口部40から臨出した各パッド用フック42にそれぞれ回転可能に係合されることで、タッチパッド22を片持ち構造で上下動(回動)させるヒンジとなる。
【0053】
図3及び
図8に示すように、ハウジングプレート50の前端側には、左右二対で合計4個のラッチ部56が設けられている。各ラッチ部56は、ベースプレート26の上面で断面L字状に起立形成された結合用フック(フック)58に係合される。これらラッチ部56及び結合用フック58は、ベースプレート26に対してハウジングプレート50を重ねる方向に結合する結合構造60となるものであり、タッチパッド22の上昇限度を規定すると同時に上方への抜け止めとしても機能する。
【0054】
図9は、ハウジングプレート50を下面側から見た要部拡大斜視図であり、ラッチ部56の構成を示す説明図である。
図10は、ラッチ部56と結合用フック58の組付工程を示す断面説明図であり、
図11は、タッチパッド22を模式的に示した左側面断面図である。
【0055】
図8及び
図9に示すように、ラッチ部56は、ハウジングプレート50のベースプレート26に対する結合面(下面)50bと平行する方向に沿って延在し、互いの先端同士が離間した一対のアーム部材62,62を有する。ラッチ部56は、ハウジングプレート50に形成された孔部64の内側に配設され、ハウジングプレート50の結合面50bよりも下方にずれた位置に設けられている(
図3及び
図11参照)。
【0056】
一対のアーム部材62,62は、基端側(左側)から先端側(右側)に向かって互いが離間する方向に開いたV字形状とされている。全てのラッチ部56は、一対のアーム部材62,62の突出方向、つまりV字の方向が同一方向(右側)に向くように設定されている。
【0057】
各アーム部材62の先端下部には、互いに対向する方向に突出した突出片62aが設けられている。
図9及び
図10に示すように、各突出片62aの下面には、互いに対向する先端から離間する基端に向かって下方へと傾斜した傾斜面62bが形成されている。
【0058】
図9に示すように、結合用フック58は、ベースプレート26の上面から鉛直上方へと起立した鉛直部58aと、鉛直部58aの上端から水平方向へと屈曲された水平部58bとを有し、断面略L字状に構成されている。水平部58bは、各アーム部材62の突出方向であるラッチ部56のV字の方向(右側)と対向する方向(左側)に向かって突出している。
【0059】
ハウジングプレート50の結合面50bには、孔部64の右側にこれと連通する矩形の逃げ穴66が設けられている(
図8及び
図9参照)。逃げ穴66は、タッチパッド22が上下動した際の結合用フック58に対する逃げ部となる。また、ベースプレート26の結合用フック58の近傍には、ハウジングプレート50の孔部64と略同形状の逃げ孔68が設けられている。逃げ孔68は、タッチパッド22が上下動した際のラッチ部56に対する逃げ部となる。
【0060】
ラッチ部56と結合用フック58が係合された状態では、
図10(C)及び
図11に示すように、結合用フック58の水平部58bが両アーム部材62,62間に挟まれて突出片62aの上面側に配置された状態にある(
図13(A)も参照)。この際、突出片62aは、各アーム部材62の先端対向面の下部にのみ設けられているため、結合用フック58はアーム部材62に係合した状態で上下方向に相対移動可能となっている(
図16も参照)。
【0061】
図8に示すように、ハウジングプレート50には、略中央に左右一対のX位置決め孔70,70が設けられ、左右両端側に前後一対のY位置決め孔72,72がそれぞれ設けられている。各X位置決め孔70は、ベースプレート26の上面に起立形成されたX位置決め片74(
図5参照)がそれぞれ嵌合されることで、ハウジングプレート50とベースプレート26との間の左右方向の位置決め及び位置ずれ防止のための位置決め部を構成する。各Y位置決め孔72は、ベースプレート26の上面に起立形成されたY位置決め片76(
図5参照)がそれぞれ嵌合されることで、ハウジングプレート50とベースプレート26との間の前後方向や回転方向の位置決め及び位置ずれ防止のための位置決め部を構成する。
【0062】
ハウジングプレート50のX位置決め孔70の左側には、上方に一段凹んだ凹部78が設けられている(
図8参照)。また、ベースプレート26の凹部78に近接する位置には、工具挿入孔79が設けられている(
図5(A)参照)。工具挿入孔79は、後述するハウジングプレート50とベースプレート26の分解時に工具T(
図12(B)参照)を挿入するための孔部であり、凹部78は工具挿入孔79から挿入した工具Tの先端をベースプレート26の裏側に配置して当接させる部分である。
【0063】
図8及び
図11に示すように、ハウジングプレート50の下面略中央の前端付近には、検出スイッチ80が配設されている。検出スイッチ80は、タッチパッド22が押下操作された際に所定の検出信号を発信するものである。検出スイッチ80は、例えばハウジングプレート50の下面から下に向かって膨らんだスイッチであり、タッチパッド22が押下された際にベースプレート26上に当接することでオンされる(
図16参照)。
【0064】
次に、ベースプレート26に対してハウジングプレート50(タッチパッド22)を結合する結合構造60の組付方法及び分解方法の一手順を説明する。
【0065】
ベースプレート26に対してハウジングプレート50を結合する場合には、先ず、ベースプレート26上に組付された押しボタン24a,24cの開口部40から突出しているパッド用フック42に対して係合片44を係合させる(
図7参照)。
【0066】
続いて、各X位置決め孔70と各X位置決め片74との間及び各Y位置決め孔72と各Y位置決め片76との間を位置決めし、さらに各ラッチ部56と結合用フック58との間を位置決めした状態とし、ベースプレート26に対してハウジングプレート50を押し下げる。そうすると、
図10(B)に示すように、結合用フック58の水平部58bが各アーム部材62の突出片62aの下面に形成された傾斜面62bを摺接し、各アーム部材62が互いに離間する方向(V字が開く方向)に撓み変形する。ここで、各アーム部材62は結合面50bに平行するように延在しているため、十分な撓み量が確保されている。
【0067】
そして、水平部58bが突出片62aを乗り越えると
図10(C)及び
図13(A)に示すように各アーム部材62が再び元の状態に復帰することで、水平部58bが両アーム部材62,62間に配置され、ラッチ部56と結合用フック58の係合が完了する。略同時に、各X位置決め孔70が各X位置決め片74に嵌合されると共に、各Y位置決め孔72が各Y位置決め片76に嵌合される。これにより、ベースプレート26とハウジングプレート50(タッチパッド22)との間が結合され、組付作業が完了する(
図3、
図11及び
図12(A)参照)。
【0068】
次に、このように結合したベースプレート26からハウジングプレート50を取り外して分解する場合には、先ず、入力装置10を裏返し、ベースプレート26の下面から工具挿入孔79に対して工具Tを挿入する。
【0069】
そして、工具Tの先端を右側へと差し込んでベースプレート26の内面(上面)側でハウジングプレート50の凹部78に配置し、
図12(B)に示すように、てこの原理を利用して工具Tでベースプレート26を持ち上げる。これにより、ベースプレート26が下方に撓んで各X位置決め孔70と各X位置決め片74との嵌合状態が解除されるため、そのまま工具Tを介してベースプレート26を右側にスライド移動させる。つまり、ベースプレート26をハウジングプレート50に対して相対的に右側に移動させる。そうすると、
図13(B)に示すように結合用フック58の水平部58bの先端がラッチ部56のアーム部材62,62間から抜去され、結合構造60の結合状態が解除される。従って、その後はハウジングプレート50(タッチパッド22)をベースプレート26上から取り外すだけで両者の分解作業が完了する。
【0070】
次に、入力装置10の動作の一例を説明する。
【0071】
先ず、例えば押しボタン24aを押下操作した際には、
図14に示すように、ヒンジアーム30先端の突出片30aがボタン用フック36に対して回動するため、この部分が回動軸θ1(
図6参照)となって操作面部28が下動する。
【0072】
この際、押しボタン24a〜24cの上下動のヒンジ(回動軸θ1)となる突出片30aは、操作面部28の前端面からタッチパッド22の下面側へと延びたヒンジアーム30の先端に設けられているため、操作面部28の全面を押下操作することができ、高い操作性が得られる。また、押下操作時には係合フック31が係合孔32内で下動するため、操作面部28の上下動がガイドされ、がたつきの少ない良好な操作感が得られる。なお、押しボタン24b,24cについても同様に押下操作することができる。
【0073】
次に、タッチパッド22を押下操作した際には、
図15及び
図16に示すように、後端側の係合片44がパッド用フック42に対して回動するため、この部分が回動軸θ2(
図6参照)となってタッチパッド22が下動する。
【0074】
この際、タッチパッド22の上下動のヒンジ(回動軸θ2)となる係合片44は、タッチ操作面22aの後側に設けられているため、タッチ操作面22aの前端側に設定された疑似ボタン領域25a,25bをタッチしながら押下操作する際の良好な操作性が確保されている。また、押下操作時にはラッチ部56が結合用フック58との係合作用下に下動するため、タッチパッド22の上下動がガイドされ、がたつきの少ない良好な操作感が得られる。さらに、タッチパッド22後端の傾斜面50aは、上下動のヒンジとなる係合片44及びパッド用フック42の上方位置に設けられているため上下動しない。そのため、押しボタン24a〜24cの操作面部28を押下操作する際、タッチパッド22が誤って押下操作されることが防止されるという利点がある。
【0075】
以上のように、入力装置10は、タッチ操作を受け付けるタッチパッド22と、タッチパッド22の一縁部に隣接して設けられる押しボタン24a〜24cとを備え、押しボタン24a〜24cは、押下操作を受け付ける上下動可能な操作面部28と、操作面部28の一縁部からタッチパッド22の下面側へと突出し、その先端がタッチパッド22の下方で回動可能に軸支されるヒンジアーム30とを備えた片持ち構造となっている。
【0076】
このように、押しボタン24a〜24cは、タッチパッド22の下面側に突出して軸支されるヒンジアーム30を用いた片持ち構造で構成されるため、パンタグラフ構造等を用いた従来構造に比べて大幅な薄型化が可能となる。また、操作面部28の下方にヒンジが配置されないため、操作面部28の全面を押下操作することができ、高い操作性が得られる。さらに、パンタグラフ構造等を用いる場合に比べて部品点数を削減できるため、コストを低減できると共に生産性を向上できる。
【0077】
入力装置10では、押しボタン24a〜24cの回動軸θ1となる突出片30a及びボタン用フック36がタッチパッド22の下方に配置される一方、タッチパッド22の回動軸θ2となる係合片44がヒンジアーム30の開口部40を挿通したパッド用フック42と回転可能に係合されている。これにより、押しボタン24a〜24cのヒンジアーム30とタッチパッド22の係合片44とが交差した配置とされるため、一層の薄型化が可能となり、また、回動軸θ1,θ2をタッチパッド22の下面側に収納配置できるため、全体構成を小型化できる。
【0078】
結合構造60は、金属製の板状部材であるベースプレート26に対して樹脂製の筐体部材であるハウジングプレート50を重ねる方向に結合する構造であり、ハウジングプレート50は、ベースプレート26への結合面50bと平行する方向に沿って延在すると共に互いの先端同士が離間した一対のアーム部材62,62を有するラッチ部56を備え、ベースプレート26は、ハウジングプレート50側に向かって起立形成され、一対のアーム部材62,62の間に係合する結合用フック58を備える。
【0079】
このように、ハウジングプレート50側のラッチ部56を一対のアーム部材62,62で構成したことにより、ハウジングプレート50をベースプレート26に対して重ねる方向に押し込むだけで結合用フック58に当接した一対のアーム部材62,62が良好に撓み変形する。このため、ラッチ部56を容易に結合用フック58に係合させることができ、アーム部材62の破損等を抑えつつ、高い組付効率でハウジングプレート50とベースプレート26とを結合することができる。また、アーム部材62はベースプレート26への結合面50bと平行する方向に沿って延在しているため、十分な撓み量を確保しつつ、厚み方向寸法が増加することを回避することができ、入力装置10や電子機器12の薄型化にも貢献する。さらに、ラッチ部56は一対のアーム部材62,62で結合用フック58を挟み込むことができるため、衝撃を受けた場合等であっても互いの係合状態が外れにくく、高い結合強度でハウジングプレート50とベースプレート26とを結合することができる。
【0080】
結合構造60では、ハウジングプレート50をベースプレート26に連結する場合は、結合用フック58の表面側から一対のアーム部材62,62を押し付け、各アーム部材62を互いに離間する方向に撓ませることで突出片62aを結合用フック58の背面側に係合させるだけでよく、生産性が高い。一方、ハウジングプレート50をベースプレート26から取り外す場合は、ベースプレート26をハウジングプレート50に対して結合面50bと平行する方向に相対移動させることで突出片62aを結合用フック58の先端から抜去させて係合状態を解除することができ、分解も容易である。しかも、分解手順が組付手順と異なるため、耐衝撃性と分解容易性とがトレードオフとならず、両立する。
【0081】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0082】
上記実施形態では、タッチパッド22を上下動可能なクリックパッドで構成した構成を例示したが、ヒンジアーム30を備えた押しボタン24a〜24cは上下動しない構造からなる一般的なタッチパッドに対しても適用可能である。また、上記では3個の押しボタン24a〜24cを並べた構成を例示したが、その設置数や配置は適宜変更可能である。
【0083】
上記実施形態では、結合構造60をタッチパッド22とベースプレート26との結合に用いる構成を例示したが、この結合構造は金属製の板状部材に対して樹脂製の筐体部材を重ねる方向に結合する場合であれば他の部品同士の連結に用いることも可能である。また、結合構造60は、片持ち構造のタッチパッド22以外のタッチパッド、例えば
図17に示すようにタッチ操作面22aの前後略中央に回動軸θ3を有し、前後端側にそれぞれ設けた上記検出スイッチ80と同様な検出スイッチ90をオンするシーソー構造のタッチパッド92の前後端側にラッチ部56と結合用フック58を設けて適用することもできる。このタッチパッド92では、例えば疑似ボタン領域25a,25bに加えて、後端側にも疑似ボタン領域25c,25d,25eを設定することもできる。