特開2017-100332(P2017-100332A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シンフォニアテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2017100332-サーマルプリンタ 図000003
  • 特開2017100332-サーマルプリンタ 図000004
  • 特開2017100332-サーマルプリンタ 図000005
  • 特開2017100332-サーマルプリンタ 図000006
  • 特開2017100332-サーマルプリンタ 図000007
  • 特開2017100332-サーマルプリンタ 図000008
  • 特開2017100332-サーマルプリンタ 図000009
  • 特開2017100332-サーマルプリンタ 図000010
  • 特開2017100332-サーマルプリンタ 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-100332(P2017-100332A)
(43)【公開日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】サーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20170512BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20170512BHJP
   B41J 11/04 20060101ALI20170512BHJP
【FI】
   B41J15/04
   B41J2/325 A
   B41J11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-234417(P2015-234417)
(22)【出願日】2015年12月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】福谷 惇史
(72)【発明者】
【氏名】川村 茂之
【テーマコード(参考)】
2C058
2C060
2C065
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC06
2C058AC12
2C058AE04
2C058AE08
2C058AF06
2C058AF15
2C058AF31
2C058DA10
2C058DA28
2C060BA01
2C060BC12
2C060BC32
2C060BC93
2C065AA01
2C065DA29
2C065DA37
(57)【要約】
【課題】サーマルヘッドを退避させることなく、ロール紙の交換ができるサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】
ロール紙9aとインクリボン11cとを厚み方向に重ね合わせ、ロール紙9aの背後にプラテンローラ10fを配置し、プラテンローラ10fをサーマルヘッド7側に押圧させるようにしたサーマルプリンタ1であって、ロール紙搬送部10およびプラテンローラ10f、サーマルヘッド7の何れか一方を他方に対して所定角度回転するように配置するとともに、これらの一方を他方の回動軌跡から退避する位置に配置することを特徴としている。この構成によれば、ロール紙搬送部10およびプラテンローラ10fはサーマルヘッド7と衝突することなく回転して、外部に露出することができる。そのため、ロール紙9aの交換が容易となるばかりか、サーマルヘッド7の退避スペースや退避機構が不要となり、サーマルプリンタ1の小型化を図ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙格納部に格納されたロール紙からロール紙搬送部により印刷用紙部を引き出してインクリボンに重ね合わせ、ロール紙の印刷用紙部の背後に配置したロール紙搬送部の一部をなすプラテンローラにインクリボンおよび印刷用紙部を介してサーマルヘッドを相対的に押圧させるようにしたサーマルプリンタであって、
前記ロール紙搬送部および前記用紙格納部を前記サーマルヘッドに対して干渉回避動作を伴うことなく支点回りに所定角度相対回転可能としたことを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記インクリボンを保持する一対のリボン保持部が前記ロール紙搬送部とともに相対回転する側又は前記サーマルヘッドとともに相対回転する側にあって、当該相対回転動作を妨げない位置に配置されている請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記プラテンローラの前記サーマルヘッドへの接面位置に対して前記プラテンローラの初動が、当該接面から離反する方向となるように前記支点が設定されている請求項1又は2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記インクリボンが保持される一対のリボンホィールを備えるリボン保持部が回転に伴って接面位置にある前記インクリボンを当該接面から離反する方向へ回転させる位置関係に配置されている請求項1又は2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記支点から前記用紙格納部のロール紙中心までの距離に比して、当該支点から前記プラテンローラと前記サーマルヘッドの接面位置までの距離が短く、前記ロール紙の回転に後追いするように前記インクリボンを保持する一対のリボンホィールを備えるリボン保持部および前記プラテンローラが回転し、当該プラテンローラは前記サーマルヘッドから離反する方向へ、前記リボン保持部はサーマルヘッドの側方を通過した後にサーマルヘッドから離反する方向へ回転する位置関係にこれらを配している請求項1又は2に記載のサーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドの熱を利用して、インクリボンに塗布されたインクをロール紙から繰り出した印刷用紙部に転写するサーマルプリンタ、特にロール紙の交換の際にロール紙搬送部、サーマルヘッドの何れか一方が回転する時に他方を退避させることなく、ロール紙の交換ができるサーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルプリンタにあっては、特許文献1により知られているように、サーマルヘッドの熱を利用して、インクリボンに塗布された昇華インクをロール紙に転写するプリンタが知られている。この種のサーマルプリンタ101にあっては、図9に模式的に示すようにリボン保持部111により搬送されるインクリボン111fとロール紙109aとを厚み方向に重ね合わせ、ロール紙109aの背後にプラテンローラ110fを配置し、このプラテンローラ110f側にインク転写用の熱を発するサーマルヘッド107を押圧させるようにした構成が一般的となっている。このようなサーマルプリンタ101では、ロール紙軸109に巻回されたロール紙109aが利用されているが、このロール紙109aの交換を容易に行うため、サーマルプリンタ101の筐体102に回動軸104cを中心に所定角度回転できるように取付けられたロール紙ケース104が利用されている。このロール紙ケース104は筐体102の内方に開口を持つ水平断面コ字状をなしており、その両側の側板104bにはそれぞれロール紙軸109を簡単に着脱できる保持具(図示せず)が取付けられている。また、前記ロール紙ケース104にはその両側で延びてコ字状の一部を形成する側板104b,104bを跨ぐようにプラテンローラ110fを含むロール紙搬送部110およびロール紙109aから引き出された印刷用紙部109a1を切り離すカッタ部112が取付けられており、これらはロール紙ケース104とともに一体に回転するように構成されている。前記保持具およびロール紙搬送部110並びにカッタ部112は、ロール紙ケース104の回転により筐体102から露出することになるので、ロール紙109aの交換が容易となっている。
【0003】
前記インクリボン111fを搬送するリボン保持部111およびサーマルヘッド107は、前述のロール紙ケース104に取付けられたロール紙搬送部110およびカッタ部112とは別体で、しかもサーマルヘッド107は前記印刷用紙部109a1をその斜め上方から押圧するように配置されている。また、前記リボン保持部111およびサーマルヘッド107はロール紙109aの交換時にロール紙ケース104とともに所定角度回転するロール紙搬送部110との衝突を避けるため、ロール紙ケース104の回転時には、サーマルヘッド107が巻取側リボンホィール軸108を中心に回転して前述の押圧位置から退避位置(一点鎖線位置参照)まで後退可能に取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−47026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のサーマルプリンタ101にあっては、ロール紙109aの交換に際しては、作業者がリボン保持部111およびサーマルヘッド107を退避位置まで後退させ、その後にロール紙ケース104を所定角度回転させる。このロール紙ケース104の回転により、これに取付けられたロール紙搬送部110およびカッタ部112が一体に回転するので、ロール紙ケース104とともにロール紙搬送部110およびカッタ部112は支障なく筐体102から露出することができる。そのため、ロール紙ケース104内のロール紙109aを交換する際には、ロール紙搬送部110およびカッタ部112の位置を目視により確認できるので、ロール紙109aの交換は容易となっている。しかしながら、ロール紙109aの交換の際には、前述したようにリボン保持部111およびサーマルヘッド107を前述の退避位置まで後退させねばならず、そのための退避スペースを筐体102内に確保しなければならない。その上、リボン保持部111およびサーマルヘッド107を退避させるための退避機構も必要となり、サーマルプリンタ101の小型化を図ることができないばかりか、構造も複雑で部品点数も多くなって、そのコスト高を招くというような問題が生じている。
【0006】
前述のサーマルプリンタ101の他に、リボン保持部111が前述の保持具およびロール紙搬送部110並びにカッタ部112側、すなわちロール紙ケース104に取付けられたサーマルプリンタ(図示せず)も考えられるが、この場合にはサーマルヘッド107の退避位置を図9に示すと、リボン保持部111の通過経路を考慮して、二点鎖線位置としなければならない。そのため、サーマルヘッド107が退避するためのスペースおよび退避機構が前述のサーマルプリンタ101よりも大きなスペースおよび退避機構が必要となり、プリンタの小型化がより困難となるという問題が生じている。
【0007】
本発明の目的は、上記問題を解消することであり、ロール紙交換に際してロール紙搬送部、サーマルヘッドの何れか一方が回転する時に他方を退避させることなく、ロール紙の交換ができるサーマルプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のサーマルプリンタは、上記目的を達成するために、用紙格納部に格納されたロール紙からロール紙搬送部により印刷用紙部を引き出してインクリボンに重ね合わせ、ロール紙の印刷用紙部の背後に配置したロール紙搬送部の一部をなすプラテンローラにインクリボンおよび印刷用紙部を介してサーマルヘッドを相対的に押圧させるようにしたサーマルプリンタであって、前記ロール紙搬送部および前記用紙格納部を前記サーマルヘッドに対して干渉回避動作を伴うことなく支点回りに所定角度相対回転可能としたことを特徴としている。
【0009】
ここで、干渉回避動作とは、支点回りの相対回転動作以外にロール紙搬送部や用紙格納部等がサーマルヘッドと干渉することを回避するための特段の動作をいう。例えば、背景技術に記載のサーマルヘッドとリボン保持部とが固定側となるプリンタにあってはサーマルヘッドとリボン保持部とを巻取側リボンホィール軸を中心に回転させて、ロール紙搬送部や用紙格納部が設けられた回転側機構部品の回転軌跡外となる退避位置まで後退させる動作をいい、リボン保持部が回転側にあってサーマルヘッドのみが固定側となるプリンタにあってはリボン保持部を含む回転側機構部品の回転軌跡外となる退避位置までサーマルヘッドを後退させる動作をいう。総じれば、相対回転する一方の機構部品の回転軌跡内に存在する他方の機構部品をその回転軌跡外に移動させる動作をいう。
【0010】
この構成によれば、ロール紙を交換する際に、ロール紙搬送部およびサーマルヘッドを所定角度相対回転させても、お互い干渉することなく回転するので、ロール紙搬送部、サーマルヘッドの何れかが外部に露出することができ、ロール紙の交換を容易に行うことができる。また、ロール紙を交換する際に、ロール紙搬送部、サーマルヘッドのどちらが回転側になっても固定側の干渉回避動作を伴うことがないので、筐体内に干渉回避動作のためのスペースや機構を設ける必要がなく、その分サーマルプリンタの小型化を図ることができるばかりか、構造も簡単で部品点数も少なくなって、安価なプリンタを提供できる。
【0011】
また、本発明はインクリボンの交換を容易に行えるようにしたり、ロール紙搬送部へのロール紙の挿入を容易に行えるようしたりするために、前記インクリボンを保持する一対のリボン保持部が前記ロール紙搬送部とともに相対回転する側又は前記サーマルヘッドとともに相対回転する側にあって、当該相対回転動作を妨げない位置に配置されていることが望ましい。
【0012】
本発明は、上記のような動作を具体的に実現するために、前記プラテンローラの前記サーマルヘッドへの接面位置に対して前記プラテンローラの初動が、当該接面から離反する方向となるように前記支点が設定されていることが望ましい。
【0013】
また、本発明は前述の場合、ロール紙搬送部並びにリボン保持部が所定角度回転する時にインクリボンを干渉させずに、インクリボンの交換を容易に行うために、前記インクリボンが保持される一対のリボンホィールを備えるリボン保持部が回転に伴って接面位置にある前記インクリボンを当該接面から離反する方向へ回転させる位置関係に配置されていることが望ましい。
【0014】
さらに、本発明は印刷面を下方にして印刷用紙部を取出すようにして、印刷時に印刷内容が露出しない、機密情報の印刷に最適なプリンタを提供するために、前記支点から前記用紙格納部のロール紙中心までの距離に比して、当該支点から前記プラテンローラと前記サーマルヘッドの接面位置までの距離が短く、前記ロール紙の回転に後追いするように前記インクリボンを保持する一対のリボン保持部および前記プラテンローラが回転し、当該プラテンローラは前記サーマルヘッドから離反する方向へ、前記リボン保持部はサーマルヘッドの側方を通過した後にサーマルヘッドから離反する方向へ回転する位置関係にこれらを配していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した本発明によれば、ロール紙の交換の際にロール紙搬送部、サーマルヘッドの何れか一方が回転する時に他方を退避させるためのスペースや退避機構を設ける必要がなく、要素部品の衝突等による故障の原因を排除しながら小型化を図ることができるサーマルプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係るサーマルプリンタのロール紙ケースが開放された状態を模式的に説明する説明図。
図2】本発明の第1の実施形態に係るサーマルプリンタの内部構造を模式的に説明する説明図。
図3】本発明の第1の実施形態に係るサーマルプリンタのロール紙とインクリボンとの接面状態を模式的に示す要部拡大図。
図4】本発明の第1の実施形態に係る偏心カムの動作パターンを示す説明図。
図5】本発明の第1の実施形態に係るサーマルプリンタに格納されるロール紙の印刷位置調整状態を模式的に説明する説明図。
図6】本発明の第1の実施形態に係るサーマルプリンタの印刷状態を模式的に説明する説明図。
図7】本発明の第1の実施形態に係るサーマルプリンタのピンチローラが開放された状態を模式的に説明する説明図。
図8】本発明の第2の実施形態に係るサーマルプリンタの内部構造を模式的に説明する説明図。
図9】従来のサーマルプリンタの内部構造を模式的に説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
【0018】
以下、本発明の第1の実施形態に係るサーマルプリンタを図面に基づき説明する。図2に示すように、このサーマルプリンタ(以下、プリンタという)1は箱様の一面を開放する筐体2と、この筐体2の底部に配置される印字機構3と、筐体2の開放面に沿う前扉4aおよびその両側で直立する側板4b、4bでなっていて筐体の内方に開口を持つ水平断面コ字状のロール紙ケース4とを備えている。前記印字機構3は、筐体2の底部に配置される電源部5と、この電源部5に載置されるサーマルヘッド部6と、サーマルヘッド取付台7aおよびこれに取付けられる発熱部7bからなるサーマルヘッド7とからなっている。前記サーマルヘッド7の発熱部7bは、筐体2の中央部近くでロール紙ケース4の両側板4b,4b間で水平に延び、かつ後記インクリボン11cに斜め下方から当接するように配置されている。この発熱部7bは、後記ロール紙9aの紙幅方向に沿ってプリント基板(図示せず)上でライン上に並んだ複数の発熱体(図示せず)を有しており、しかもこれら発熱体は後記ロール紙搬送部10の一部をなすプラテンローラ10fに対向する位置に配置されている。
【0019】
前記ロール紙ケース4は、前扉4a、すなわち装置操作面の下辺近くの位置に回動軸4cを有し、この回動軸4cを支点として筐体2に対して所定角度回転するように構成されている。また、このロール紙ケース4の上部空間は用紙格納部を構成しており、この用紙格納部に位置して、すなわち側板4b、4bそれぞれの内側上方には、保持具(図示せず)が取付けられている。この保持具により、ロール紙9aを巻回するロール紙軸9が着脱自在かつ回転可能に取付けられている。
【0020】
前記ロール紙ケース4には、その両側板4b,4b間にモータ部(図示せず)が、また前記両側板4b,4bを跨ぐようにロール紙搬送部10およびリボン保持部11並びにカッタ部12が取付けられている。前記モータ部には、ステッピングモータおよびその制御部(ともに図示せず)、供給側リボンホィール用モータおよびその制御部(ともに図示せず)、巻取側リボンホィール用モータおよびその制御部(ともに図示せず)並びにカム駆動用モータおよびその制御部(ともに図示せず)が配置されている。前記ステッピングモータの回転は後記給紙ローラ10b(フィードローラ)に、前記供給側リボンホィール用モータの回転は後記供給側リボンホィール軸13に、前記巻取側リボンホィール用モータの回転は後記巻取側リボンホィール軸8に、また前記カム駆動用モータの回転は後記偏心カム10mに伝達される。前述のステッピングモータ、供給側リボンホィール用モータ、巻取側リボンホィール用モータ、カム駆動用モータ並びに各制御部のうち、一部が筐体2側に配置されてもよい。この場合、当該モータの回転伝達および切離しはギヤ機構(図示せず)を介することにより可能となる。
【0021】
前記ロール紙搬送部10およびリボン保持部11並びにカッタ部12は筐体2の底部のサーマルヘッド7とは別体に配置されており、ロール紙ケース4の回転にともなって一体に回転するように構成されている。この場合、リボン保持部11の取付けはロール紙ケース4に限定されるものではなく、サーマルヘッド7側であってもよく、ロール紙ケース4の回転時には、ロール紙搬送部10がリボン保持部11と離れ、しかも筐体2から露出するので、ロール紙搬送部10へのロール紙9aの挿入が容易となる。
【0022】
前記ロール紙搬送部10は、図2および図3に示すようにロール紙ケース4の両側板4b,4bに回転可能に保持されるガイドローラ10aと、前記側板4b,4bの一方には回転可能に保持されて他方の側板4bを貫通して回転自在に保持される給紙ローラ10bと、前記側板4b,4bそれぞれに回転自在な第1レバー10c,10c間に取付けられるピンチローラ10dと、前記側板4b,4bそれぞれに回転自在な第2レバー10e,10e間に取付けられるプラテンローラ10fとを有している。前記第1レバー10cは、ピンチローラ10dが給紙ローラ10bを押圧するように第1ばね10gにより付勢されており、給紙ローラ10bの回転がロール紙9aに伝達されるのを補助するように構成されている。前記第2レバー10eは、第1レバー10cと同軸上で回転自在で、プラテンローラ10fがサーマルヘッド7の発熱部7b側に押圧するように第2ばね10hにより付勢されている。前記第1レバー10cおよび第2レバー10eは、前記カム駆動用モータの回転を受けて回転する偏心カム10mにより交互に所定角度回転するように構成されている。すなわち、前記偏心カム10mはカム駆動用モータの作動により図4に示す次の3種類の動作パターンが得られる。
a)ロール紙ケース4の開放時すなわちロール紙9aの取付け時(ピンチローラ10dおよびプラテンローラ10fをそれぞれ給紙ローラ10b、インクリボン11cからわずかに分離させる位置)
b)ロール紙9aの印刷位置調整時(ピンチローラ10dを給紙ローラ10b側に押圧させ、プラテンローラ10fをサーマルヘッド7から分離させる状態)
c)印刷時(ピンチローラ10dおよびプラテンローラ10fをそれぞれ給紙ローラ10b側、サーマルヘッド7側に押圧させる状態)
【0023】
前記第2レバー10eに取付けられるプラテンローラ10fと前記サーマルヘッド7との接面位置から前記回動軸4c、すなわち支点までの距離は、当該支点から前記用紙格納部のロール紙9aの中心までの距離に比して、短く設定されている。これにより、ロール紙9aの回転に後追いするように後記リボン保持部11および前記プラテンローラ10fが回転する構成は得られる。
【0024】
また、前記ロール紙搬送部10は前記給紙ローラ10bにより引き出されるロール紙9aの印刷用紙部9a1を搬送する搬出ローラ10jと、この搬出ローラ10jとともに前記印刷用紙部9a1を挟持する従動ローラ10kとを有している。前記搬出ローラ10jは前記側板4b,4bに回転自在に保持され、従動ローラ10kは前記両側板4b,4bに回転可能に保持されている。前述のロール紙搬送部10によれば、ロール紙軸9に巻回されるロール紙9aの印刷用紙部9a1の背後にはプラテンローラ10fが配置されることとなり、このプラテンローラ10fによって印刷用紙部9a1および後記インクリボン11cが前記サーマルヘッド7の発熱部7b側に押圧される構成が得られる。この場合、プラテンローラ10f側を固定しておいて、サーマルヘッド7の発熱部7bをプラテンローラ10f側に押圧させるように弾力的にサーマルヘッド取付台7aに取付けてもよい。
【0025】
前記リボン保持部11は、図2に示すようにロール紙ケース4の両側板4b,4bの延設部4b1,4b1の一方に回転可能に保持されて他方を貫通して回転自在に保持される供給側リボンホィール軸13を持つ供給側リボンホィール11aを備えている。また、このリボン保持部11は当該供給側リボンホィール11aと対をなしかつこれと同様に両側板4b,4bの延設部4b2,4b2に保持される巻取側リボンホィール軸8を持つ巻取側リボンホィール11bを備えている。前記供給側リボンホィール11aには、昇華インクが塗布されたインクリボン11cが巻回されており、これが後記第1リボンローラ11d、第2リボンローラ11eおよび第3リボンローラ11fに案内されて巻取側リボンホィール11bに巻き取られるように構成されている。
【0026】
また、前記リボン保持部11は供給側リボンホィール11aおよび巻取側リボンホィール11b間にあって、両側板4b,4bに回転可能に支持される第1リボンローラ11d、筐体2側に回転可能に支持されてロール紙ケース4の開放時にリボン保持部11から分離可能な第2リボンローラ11eおよび第3リボンローラ11fを有している。前記第2リボンローラ11eおよび第3リボンローラ11fは、インクリボン11cを張設しながらプラテンローラ10fとサーマルヘッド7との間に位置させるように配置されている。この構成により、インクリボン11cは給紙ローラ10bおよびピンチローラ10dにより搬送されるロール紙9aの印刷用紙部9a1と厚み方向に重ね合いながら、その斜め下方に位置するサーマルヘッド7の発熱部7b側にプラテンローラ10fによって押圧される。
【0027】
前記リボン保持部11のインクリボン11cとサーマルヘッド7の発熱部7bとの接面位置は、前述のロール紙ケース4の支点よりも上方の位置、言い換えればロール紙ケース4の支点がインクリボン11cとサーマルヘッド7の発熱部7bとの接面位置よりも下方に位置している。これにより、サーマルヘッド7の発熱部7bはロール紙搬送部10、11およびプラテンローラ10fの回動軌跡から退避する位置に固定側として配置されることとなる。また、前記第1リボンローラ11dを含むリボン保持部11と前記プラテンローラ10fとは回転に伴って前記ロール紙9aの回転に後追いするように回転し、当該プラテンローラ10fが前記接面位置にある前記インクリボン11cを当該接面から離反する方向(当該接面の略法線方向に向かって、前記サーマルヘッド7から引き離す方向)へ、またリボン保持部11がサーマルヘッド7の側方を通過した後にサーマルヘッド7から離反する方向へ回転する位置関係に配置されている構成が得られる。すなわち、ロール紙ケース4の回転時にはロール紙搬送部10およびインクリボン11cを保持するリボン保持部は第2リボンローラ11eおよび第3リボンローラ11fを残してサーマルヘッド7の発熱部7bから離れる方向に回転し、固定側に配置されたサーマルヘッド7の干渉回避動作を伴うことがなくても、サーマルヘッド7と干渉せずに筐体2から露出してインクリボン11cの交換が容易となる構成が得られる。なお、ロール紙ケース4の支点はインクリボン11cがサーマルヘッド7の発熱部7bから離れる方向に移動できる位置にあればよく、ロール紙ケース4を点対称の形状としてその支点がインクリボン11cとサーマルヘッド7の発熱部7bとの接面位置の上方に位置するようにしてもよい。また、前記ロール紙ケース4を固定側、サーマルヘッド7を回転側とする前述の配置を考慮すると、ロール紙搬送部10およびプラテンローラ10f、サーマルヘッド7の何れか一方を他方の回動軌跡から退避する位置に配置してこれらが相対回転時に相互に干渉しない構成であればよい。すなわち、前記プラテンローラ10fのサーマルヘッド7への接面位置に対してプラテンローラ10fの初動が、当該接面から離反する方向(当該接面の略法線方向に向かってサーマルヘッド7から離れる動作)となるように前記支点が設定されていればよい。
【0028】
前記カッタ部12は、前記搬出ローラ10jおよび従動ローラ10k間を通って送られるロール紙9aの印刷用紙部9a1が通過する用紙案内路12aを有し、この用紙案内路12aを挟む位置には2枚のカッタ(図示せず)が相対的に摺動して印刷用紙部9a1を切断し、ロール紙9aから切り離せるように構成されている。また、ロール紙ケース4の前扉4aには前記用紙案内路12aよりも下方に位置してプリント排出口4a1が形成されており、ロール紙9aから切り離される印刷用紙部9a1がプリント排出口4a1から自重により取出されるように構成されている。なお、前記カッタ部12と前記プリント排出口4a1との間には、印刷用紙部9a1を強制的に筐体2の外に排出する排出ローラ(図示せず)が設けられてもよい。
【0029】
上記サーマルプリンタにおいて、ロール紙9aを交換する際には、図1に示すようにロール紙ケース4をその回動軸4cを中心に所定角度回転させると、ロール紙ケース4に取付けられたロール紙軸9、ロール紙搬送部10、リボン保持部11およびカッタ部12が筐体2から露出する。この時、前記インクリボン11cとサーマルヘッド7の発熱部7bとの接面位置は、ロール紙ケース4の支点よりも上方、すなわちロール紙ケース4の支点はインクリボン11cとサーマルヘッド7の発熱部7bとの接面位置より下方に位置している。そのため、インクリボン11cはサーマルヘッド7の発熱部7bから離れる方向に回転することができ、サーマルヘッド7が支障になることはない。また、前記ロール紙ケース4の回転時には、カム駆動用モータが駆動されており、偏心カム10mは前述のパターンa(図4参照)の位置となる。すなわち、前記ピンチローラ10dを持つ第1レバー10cが第1ばね10gに抗してわずかに回転してピンチローラ10dが給紙ローラ10bからわずかに離れた状態となる。これに加えて、プラテンローラ10fを持つ第2レバー10eが第2ばね10hに抗してわずかに回転してプラテンローラ10fがインクリボン11cからわずかに離れた状態となる。これにより、ロール紙9aの端部の挿入を容易にする状態が保持される。
【0030】
この状態で、空のロール紙軸9が保持具から取り外され、図1に示すように新たにロール紙9aを巻回したロール紙軸9が保持具に装着される。この時、前述したように給紙ローラ10bおよびピンチローラ10d間、並びにプラテンローラ10fおよびインクリボン11c間は、わずかに分離された状態となっているので、ロール紙9aの端部はこれら給紙ローラ10bおよびピンチローラ10d間、並びにプラテンローラ10fおよびインクリボン11c間を通過して搬出ローラ10jおよび従動ローラ10k間に挿入される。
【0031】
前記カム駆動用モータが駆動されて、図5に示すように偏心カム10mが前述の位置から反時計方向に約90度回転すると、前述の動作パターンb(図4参照)の位置となる。すなわち、前記第1レバー10cが元の位置に戻った後に、プラテンローラ10fを持つ第2レバー10eが第2ばね10hに抗して所定角度回転し、ロール紙9aがピンチローラ10dと給紙ローラ10bとにより挟持された状態で、プラテンローラ10fとインクリボン11cとの間が離れた状態となる。この状態で、ステッピングモータが駆動されると、その回転が給紙ローラ10bに伝達され、前記ロール紙9aの印刷位置が調整される。
【0032】
その後、前記カム駆動用モータが駆動されて、図6に示すように偏心カム10mが前述の位置から約90度回転して、前述の動作パターンc(図4参照)の位置となる。これにより、第1レバー10cおよび第2レバー10eが元の位置に戻って、プラテンローラ10fとロール紙9aの印刷用紙部9a1とがインクリボン11cを押圧する状態、すなわちインクリボン11cがサーマルヘッド7の発熱部7bに弾力的に当接する状態となって、印刷開始に備えることができる。
【0033】
なお、前述のロール紙9aの交換および印刷の一連の工程とは異なるが、図7に示すように前記ロール紙ケース4をその回動軸4cを中心に所定角度回転させた後、前記カム駆動用モータを駆動して偏心カム10mが前述の位置から約90度回転する位置となってもよい。すなわち、前記第2レバー10eが元の位置に戻って、プラテンローラ10fがサーマルヘッド7側、すなわちインクリボン11c側に押圧される状態となった後に、ピンチローラ10dを持つ第1レバー10cが第1ばね10gに抗して所定角度回転し、ピンチローラ10dおよび給紙ローラ10b間が分離した状態となるようにしてもよい。この場合、ピンチローラ10dおよび給紙ローラ10b間にロール紙9aが詰まるようなトラブルが生じてもこれを簡単に解決することができる。
【0034】
以上説明したように、本発明は用紙格納部に格納されたロール紙9aからロール紙搬送部10により印刷用紙部9a1を引き出してインクリボン11cに重ね合わせ、ロール紙9aの印刷用紙部の背後に配置したロール紙搬送部10の一部をなすプラテンローラ10fにインクリボン9aおよび印刷用紙部9a1を介してサーマルヘッド7を相対的に押圧させるようにしたサーマルプリンタであって、前記ロール紙搬送部10および前記用紙格納部を前記サーマルヘッド7に対して干渉回避動作を伴うことなく支点回りに所定角度相対回転可能とした構成を備えるものである。この構成により、ロール紙9aを交換する際に、ロール紙搬送部10、サーマルヘッド7の何れを所定角度回転させても、お互い干渉することなく回転するので、ロール紙搬送部10、サーマルヘッド7のどちらかが外部に露出することができ、ロール紙9aの交換を容易に行うことができる。また、ロール紙9aを交換する際に、ロール紙搬送部10、サーマルヘッド7のどちらが回転側になっても固定側の干渉回避動作を伴うことがないので、筐体2内に干渉回避動作のためのスペースや機構を設ける必要がなく、部品同士の衝突により故障の原因となることを回避しながらサーマルプリンタ1の小型化を図ることができるばかりか、構造も簡単で部品点数も少なくなって、安価なプリンタを提供できる。
【0035】
また、本発明は前記インクリボン11cを保持する一対のリボン保持部11が前記ロール紙搬送部10とともに相対回転する側又は前記サーマルヘッド7とともに相対回転する側にあって、当該相対回転動作を妨げない位置に配置される構成であってもよい。この構成によれば、リボン保持部11が前記ロール紙搬送部10とともに相対回転する側に配置されている時には、前記リボン保持部11が回転すると、サーマルヘッド7から離れて外部に露出するので、インクリボン11cの交換を容易に行うことができる。前記リボン保持部11がサーマルヘッド7とともに相対回転する側に配置されている時には、ロール紙搬送部10が回転すると、リボン保持部11から離れるので、ロール紙搬送部10へのロール紙9aの挿入経路の調整等を容易に行うことができる。
【0036】
本発明は、リボン保持部11が前記ロール紙搬送部10とともに相対回転する側に配置されている時には、前記プラテンローラ10fの前記サーマルヘッド7への接面位置に対して前記プラテンローラ10fの初動が、当該接面から離反する方向(当該接面の略法線方向に向かって前記サーマルヘッド7から離れる動作)となるように前記支点が設定されている点が好適である。この構成により、ロール紙搬送部10およびプラテンローラ10f並びにリボン保持部11がサーマルヘッド7と干渉しないように回転する構成を、筐体2に回動軸4cを介して保持されるロール紙ケース4というような簡単な構成で行うことができる。
【0037】
また、本発明は前記インクリボン11cが保持される一対のリボンホィールを備えるリボン保持部11が、回転に伴って接面位置にある前記インクリボン11cを当該接面から離反する方向(当該接面の略法線方向に向かって前記サーマルヘッド7から引き離す方向)へ回転させる位置関係に配置されている点が好適である。この構成により、ロール紙搬送部10およびプラテンローラ10f並びにリボン保持部11が所定角度回転する時にこれら回転部材の位置を安定させ、インクリボン11cの交換を容易に行うことができる。
【0038】
さらに、本発明は前記支点から前記用紙格納部のロール紙9aの中心までの距離に比して、当該支点から前記プラテンローラ10fと前記サーマルヘッド7との接面位置までの距離が短く、前記ロール紙9aの回転に後追いするように前記インクリボン11cを保持する一対のリボン保持部11および前記プラテンローラ10fが回転し、当該プラテンローラ10fは前記サーマルヘッド7から離反する方向へ、前記リボン保持部11はサーマルヘッド7の側方を通過した後にサーマルヘッド7から離反する方向へ回転する位置関係にこれらを配している構成が好適である。この場合、印刷面を下方にして印刷用紙部9a1を取出すことができ、印刷時に印刷内容が露出しないので、機密情報の印刷に最適なプリンタを提供することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
【0040】
本発明の第2の実施形態に係るサーマルプリンタを図面に基づき説明する。このサーマルプリンタ(以下、プリンタという)51は、図8に示すように第1の実施形態のプリンタ1のロール紙ケース4およびカッタ部12を筐体2の上面側に配置したものある(なお、第1の実施形態の部品と同一の部品については、第1の実施形態の部品に付される部品番号を使用する)。そのため、プリンタ51の構造はロール紙ケース54に対するカッタ部12の取付位置および当該カッタ部12の取付けにともなうロール紙ケース54の構造を除いて、第1の実施形態のプリンタ1と同一であるので、同一部分の説明を省略し、カッタ部12の取付け位置およびロール紙ケース54の構造についてのみ説明する。前記プリンタ51では、第1の実施形態のプリンタ1に取付けられたロール紙ケース4のプリント排出口4a1に代えて、切欠窓54dが設けられている。この切欠窓54dには、カッタ部12がその用紙案内路12aを露出させて配置されており、ロール紙9aから切り離される印刷用紙部9a1が筐体2の上方に向かう構成が得られている。前記カッタ部12は、第1の実施形態と同様に一対のカッタ(図示せず)を相対的に摺動させてロール紙9aから印刷用紙部9a1を切り離す構成となっている。この構成により、ロール紙9aから切り離される印刷用紙部9a1の取出しに際して、特別な取出し機構が不要となる。また、このカッタ部12は印刷用紙部9a1を挟持して手動により印刷用紙部9a1をロール紙9aから切り離す一対のカッタ(図示せず)でなる構成であってもよい。さらに、前記カッタ部12はその用紙案内路12aが露出するように配置される必要はなく、第1の実施形態に係るロール紙ケース4のプリント排出口4a1近くに配置されてもよい、この場合、第1の実施形態と同様にプリント排出口4a1とカッタ部12との間に排出ローラ(図示せず)を取付ければよく、ロール紙9aから切り離される印刷用紙部9a1は強制的に筐体2の上方から取出されることとなる。
【0041】
前記プリンタ51では、前述のロール紙ケース54の支点がインクリボン11cとサーマルヘッド7の発熱部7bとの接面位置よりも上方の位置となるようにリボン保持部11が配置されることになるが、ロール紙ケース54の回転時にインクリボン11cがサーマルヘッド7の発熱部7bから離れる方向に移動する構成は変わらない。なお、第1の実施形態の場合と同様に、ロール紙ケース54の支点はインクリボン11cがサーマルヘッド7の発熱部7bから離れる方向に移動できればよく、ロール紙ケース54を点対称の形状としてその支点がインクリボン11cとサーマルヘッド7の発熱部7bとの接面位置よりも下方に位置してもよい。また、第1の実施形態と同様に、前記ロール紙ケース54を固定側、サーマルヘッド7を回転側とする配置を考慮すると、ロール紙搬送部10およびプラテンローラ10f、サーマルヘッド7の何れか一方を他方の回動軌跡から退避する位置に配置してこれらが相対的に干渉しない構成であればよい。
【0042】
上記プリンタにおいては、カッタ部12の作動によりロール紙9aから切り離された印刷用紙部9a1を筐体2の上方から取出すことが可能で、据え置きタイプのプリンタのみならず、各種現場作業に適した携帯用プリンタとしても使用できる。また、ロール紙9aを交換する際には、ロール紙搬送部10、プラテンローラ10fおよびリボン保持部11は所定角度サーマルヘッド7から離れる方向に回転する。そのため、ロール紙搬送部10、リボン保持部11およびプラテンローラ10fとサーマルヘッド7とは干渉しない方向に回転することとなり、ロール紙搬送部10、プラテンローラ10fおよびインクリボン11cを含むリボン保持部11がサーマルヘッド7と衝突することなく回転する。これにともなって、ロール紙搬送部10、プラテンローラ10fおよびリボン保持部11が筐体2から露出するので、ロール紙9aの交換を容易に行うことができる。さらに、前述した第1の実施形態のプリンタ1と同様に、筐体2内にサーマルヘッド7を退避させるためのスペースや退避機構を設ける必要がなく、その分プリンタ51の小型化を図ることができるばかりか、構造も簡単で部品点数も少なくなって、安価なプリンタを提供できる。
【0043】
また、本発明は、前記ロール紙搬送部10、プラテンローラ10fおよびリボン保持部11の支点がサーマルヘッド7とインクリボン11cとの接面位置よりも上方に位置する構成を備えているため、ロール紙ケース54が所定角度回転する時には、ロール紙搬送部10のロール紙挿入路経路が露出し、ロール紙9aの印刷用紙部9a1がロール紙搬送部10に挿入し易くなるという利点がある。
【0044】
その他に、本発明は前述のロール紙9aから切り離される印刷用紙部9a1が筐体2の上方に向かうようにカッタ部12を配置するとともに、このカッタ部12を筐体2の上面に面して配置しているので、本発明のプリンタが一般的な高さに設置されると、カッタ部12から排出される印刷用紙部9a1は人が立った状態の時の手の内側に入るように排出されることとなり、その取出しが容易となる。また、前述のプリンタ51のリボン保持部11は、第1の実施形態の場合と同様に、サーマルヘッド7側に取付けられてもよい。
【0045】
なお、前述の第1の実施形態のプリンタ1、第2の実施形態のプリンタ51のいずれにあっても、前記ロール紙搬送部10およびリボン保持部11の取付けはロール紙ケース4,54に限定されるものではなく、ロール紙9aを保持するロール紙ケース4,54と別体であってもよく、このロール紙ケース4,54と一体に回転するように配置される取付具類であればよい。その他、本発明の各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…サーマルプリンタ、
7…サーマルヘッド、
9a…ロール紙、
9a1…印刷用紙部、
10 ロール紙搬送部、
10f…プラテンローラ、
11…リボン保持部、
11c…インクリボン、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9