【解決手段】一面に座面が構成された座板部材13と、座板部材13の前後方向における後端部において、座板部材13に対して回動可能に支持される背当て支持フレーム31と、車輪が接続されるとともに、座板部材13を支持する側部フレーム17と、座板部材13と側部フレーム17との間に架け渡され、座板部材13を側部フレーム17に対して座面に加わる荷重方向に変位可能に支持する弾性部材とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のベビーカーは、座面を構成する側部フレームおよび背当て部を構成する背当て支持枠が、フレーム取付部材などの部材を介して、前輪が取り付けられた前脚および後輪が取り付けられた後脚と繋がっている。そして、前脚および後脚と座面および背当て部との間に振動を減衰する機構が備わっていない。このため、座面および背当て部に、前輪や後輪からの振動が伝達されてしまう。
【0005】
特許文献2には、座面に加わる振動を吸収するサスペンションが記載されている。特許文献2のサスペンションを特許文献1に適用したとしても、座面への振動を減衰させることはできるが、依然として、背当て部には、背当て部がフレーム取付部材を介して前脚や後脚と連結されているため、振動が伝わってしまう。
【0006】
本発明は、座面および背当て部に振動が伝達されることを抑制することを可能としたベビーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決するベビーカーは、一面に座面が構成された座板部材と、前記座板部材の前後方向における後端部において、前記座板部材に対して回動可能に支持される背当て部と、車輪が接続されるとともに、前記座板部材を支持するフレームと、前記座板部材と前記フレームとの間に架け渡され、前記座板部材を前記フレームに対して前記座面に加わる荷重方向に変位可能に支持する弾性部材とを備える。
【0008】
上記構成によれば、背当て部が弾性部材に弾性的に支持された座板部材に回動可能に支持されているので、背当て部にも、前脚や後脚からの振動が伝達されることが抑制される。
【0009】
上記ベビーカーにおいて、前記座板部材は、一面に前記座面が構成された座面部と、前記座面に対する裏面に配置される支持部とを備えるようにしてもよい。この場合、前記フレームは、前記座板部材の前記フレームに対する変位を案内する案内部材を備え、前記弾性部材は、前記支持部と前記案内部材との間に架け渡される。
上記構成によれば、フレームに対する座板部材の変位は、フレームに固定される案内部材によって案内することができる。
【0010】
上記ベビーカーにおいて、前記案内部材は、前記荷重方向に前記支持部が変位したとき、前記支持部の一部が当接し前記荷重方向への変位を規制するストッパを備えるようにしてもよい。
上記構成によれば、ストッパは、支持部の荷重方向における変位量を制限し、変位し過ぎることを抑制することができる。
【0011】
上記ベビーカーにおいて、前記後方の支持部が前記ストッパに当接するまでのストロークが前記前方の支持部が前記ストッパに当接するまでのストロークより長い構成としてもよい。
上記構成によれば、乳幼児などを寝かせた姿勢で乗車させ、重心が後方に位置しているときにも、乗り心地が悪くなることを抑制できる。
【0012】
上記ベビーカーにおいて、前記支持部の一部は、前記ストッパと当接する緩衝体で構成してもよい。
上記構成によれば、緩衝体がストッパに当接するので衝撃や振動を和らげることができる。
【0013】
上記ベビーカーにおいて、前記弾性部材は、引っ張りコイルバネで構成してもよい。
上記構成によれば、弾性部材に構成が簡素な引っ張りコイルバネを用いることができる。
【0014】
上記ベビーカーにおいて、前記背当て部に対して回動可能に支持されるヘッドレストと、前記ヘッドレストの両端部において、先端部が揺動可能に支持されるとともに、基端部が前記フレームに回動可能支持される一対のサイドプレートとを備え、前記ヘッドレストおよびサイドプレートは、弾性構造を有するようにしてもよい。
上記構成によれば、フレームからの振動は、ヘッドレストおよびサイドプレートの弾性構造によって減衰され、背当て部に伝達されることが抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、座面および背当て部に振動が伝達されることを抑制することを可能としたベビーカーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1〜
図6を参照して、本発明を適用したベビーカーを説明する。
図1は、乳幼児などを乗せて使用するための一人乗りのベビーカー1であり、ベビーカー1は、乳幼児などを寝かせた姿勢や座らせた姿勢で使用する。また、
図1に示すベビーカー1の状態は、後方からベビーカー1を操作する背面押しの状態を示し、以下の説明では、背面押しの状態を基準にして、進行方向を「前方」と定義し、進行方向に対して反対方向を後方(背面)と定義し、さらに進行方向に対して左右方向を左右と定義し、進行方向に対して上下方向を上下と定義する。なお、説明上図においては、クッション材等からなるシート部材を割愛している。
【0018】
このベビーカー1は、一対の前脚フレーム11と、一対の後脚フレーム12と、乳幼児などを寝かせた姿勢や座らせた姿勢で乗車させる座板部材13とを備えている。各前脚フレーム11は、直線的な形状を有しており、その一端部には、キャスター付きの前輪11aが配置されている。各後脚フレーム12は、L字形状を有しており、その一端部には、キャスター付きの後輪12aが配置されている。一対の前脚フレーム11は、左右方向に横断する前ステー14によって連結されており、一対の後脚フレーム12も、左右方向に横断する後ステー15によって連結されている。前ステー14には、足を掛けるステップ18が配置されている。
【0019】
一対の前脚フレーム11において、前輪11aが配置された一端部に対して反対側の他端部は、アームレスト16が回動可能に支持されている。一対の後脚フレーム12もまた、後輪12aが配置された一端部に対して反対側の他端部は、アームレスト16が回動可能に支持されている。座板部材13は、一対の前脚フレーム11と一対の後脚フレーム12との間であって、前輪11aおよび後輪12aとアームレスト16との間の中間位置に配置されている。具体的に、右側の前脚フレーム11と後脚フレーム12の間、および、左側の前脚フレーム11と後脚フレーム12の間には、前後方向に、側部フレーム17が配置されている。各側部フレーム17は、L字状形状を有しており、前方端部は、前脚フレーム11の長手方向の中程に回動可能に支持され、後方端部は、前方端部より上方に位置して後脚フレーム12の長手方向の中程の折曲部に回動可能に支持されている。側部フレーム17は、前脚フレーム11と後脚フレーム12などから走行時の振動が直接的に伝達される部材である。そして、座板部材13は、左右の両側縁部がこのような側部フレーム17に対して弾性変位可能に支持されている。
【0020】
図2に示すように、座板部材13は、矩形板状形状を有する座面部21を有する。座面部21は、上側の表面が座面21aとなり、座面21aと反対側の裏面には、前後方向に沿う左右両側縁部に、前方支持部22fと後方支持部22bが配置されている。なお、以下、前方支持部22fと後方支持部22bとを単に支持部22ともいう。
【0021】
座面部21の裏面に配置される2つの前方支持部22fは、左右の側部フレーム17の前方において弾性変位可能に支持され、座面部21の裏面に配置される2つの後方支持部22bは、左右の側部フレーム17の後方において弾性変位可能に支持される。このように、座板部材13は、左右の側部フレーム17に対して、前方で2カ所、後方で2カ所の合計4カ所で支持される。座面部21の左右の各側縁部において、前方支持部22fと後方支持部22bとは、先端部の間隔W1が基端部の間隔W2より広く、全体が逆V字形状を有するように配置されている。
【0022】
また、各側部フレーム17は、前方支持部22fと交わる位置に、前方支持部22fを案内する前方案内部材23fを備えている。前方案内部材23fは、ねじなどの固定部材によって前脚フレーム11および側部フレーム17に固定されている。また、各側部フレーム17は、各後方支持部22bと交わる位置に、後方支持部22bを案内する後方案内部材23bを備えている。後方案内部材23bは、前方案内部材23fと同様な手段で側部フレーム17に固定されている。左右の前方案内部材23fの間、および、左右の後方案内部材23bの間には、横ステー29が架け渡されている。
図3に示すように、前方支持部22fと前方案内部材23fの間には、弾性部材24が架け渡され、後方支持部22bと後方案内部材23bの間にも、弾性部材24が架け渡される。
【0023】
なお、前方案内部材23fの前方支持部22fに対する機能と、後方案内部材23bの後方案内部材23bに対する機能とは、同様な機能である。そこで、以下、前方案内部材23fと後方案内部材23bとを単に案内部材23ともいう。また、
図3では、前方支持部22fと前方案内部材23fとの支持構造を示す。また、案内部材23の取付構造は、特に限定されるものではない。例えば、前方案内部材23f、および、後方案内部材23bは、側部フレーム17だけに取り付けられていてもよいし、前方案内部材23fは、前脚フレーム11だけに取り付けられていてもよいし、後方案内部材23bは、後脚フレーム12だけに取り付けられていてもよい。
【0024】
図4に示すように、案内部材23は、支持部22の側面と沿う位置が支持部22の案内面25となり、支持部22の傾斜側面25aと平行な傾斜面で構成されている。案内面25は、支持部22の前後方向において外側に位置する傾斜側面25aと対向し傾斜側面25aを案内する。すなわち、前方案内部材23fの案内面25は、前方支持部22fの前方に位置する傾斜側面25aと対向し、後方案内部材23bの案内面25は、後方支持部22bの後方に位置する傾斜側面25aと対向する。そして、各案内面25は、案内面25に連続して座面部21の方向に延長された案内片26を備えている。案内片26は、案内面25と共に傾斜側面25aの変位を案内すると共に、傾斜側面25aと案内部材23との間の隙間を少なくし、異物が挟まることを抑制する。さらに、前後方向に位置する2つの案内片26の間には、2つの前方支持部22fと後方支持部22bとが位置する。そして、2つの案内片26は、座板部材13が上方に変位されたとき、前方支持部22fと後方支持部22bとを前後方向の外側から押さえ付けるようにして、前方支持部22fと後方支持部22bの抜け止めとして機能する。
【0025】
弾性部材24は、座板部材13と側部フレーム17との間のサスペンションとなる。弾性部材24は、引っ張りコイルバネであり、第1取付端24aと第2取付端24bとを備えている。第1取付端24aは、支持部22の内部にカシメなどによって固定された第1固定部材24cに固定される。第2取付端24bは、案内部材23の内部に備えられた第2固定部材24dに固定される。支持部22側の第1取付端24aは、前後方向において、案内部材23側の第2取付端24bより内側に位置し、また、案内部材23側の第2取付端24bより荷重方向側、すなわち下方に位置する。これにより、弾性部材24は、乳幼児などが乗せられると、その荷重によって伸長し、この際、引っ張り力によって、座板部材13を弾性支持する。
【0026】
案内部材23には、支持部22の荷重によって変位する方向の変位量を規制するストッパ27が配置されている。ストッパ27は、支持部22内に進入し、支持部22の一部に設けられた取付凹部28に配置された緩衝体28aに当接される。これにより、ストッパ27は、支持部22が案内部材23に対して荷重方向に変位し過ぎることを規制する。
【0027】
ここで、後方支持部22bの緩衝体28aがストッパ27に当たるまでのストロークL1は、前方支持部22fの緩衝体28aがストッパ27に当たるまでのストロークL2より長くなるように設定されている。座面部21に乳幼児などが乗車しているとき、その重心は、寝かせた姿勢のとき、座面部の21の後方に位置し、座らせた姿勢のとき、その重心は寝かせた姿勢のときよりも前方に移動する。したがって、乳幼児などを寝かせた姿勢のときには、座面部21の後方の方に、前方より大きな荷重が加わり、後方に位置する弾性部材24の方が前方に位置する弾性部材24より変位量が大きくなる。このように、後方支持部22bの方の変位量の方が前方支持部22fの変位量より大きいため、後方のストロークL1が前方のストロークL2より長くなるように設定されている。この設定は、後方のストッパ27の緩衝体28aからの位置を前方のストッパ27の緩衝体28aからの位置より座面部21から離すことで実現することができる。
なお、ストッパ27の位置を変更しないときには、後方支持部22bの緩衝体28aの位置を前方支持部22fの緩衝体28aの位置より座面部21に近づけることで実現することができる。さらに、この設定は、ストッパ27と緩衝体28aの両方の位置を調整して行うこともできる。
【0028】
図5に示すように、座板部材13の後端部には、背当て支持フレーム31が回動可能に支持されている。背当て支持フレーム31は、一対の縦フレーム部31aと、一対の縦フレーム部31aを連結する横フレーム部31bとを備え、全体がU字形状を有している。一対の縦フレーム部31aの先端部は、座面部21の後端部に突設された回動支持部30に回動軸30aによって回動可能に支持されている。背当て支持フレーム31と座面部21には、弾性を有するバックシートが取り付けられ、バックシートの背当て支持フレーム31に支持される部分が背当て部となる。
【0029】
横フレーム部31bは、乳幼児などの頭部を保護する矩形形状のヘッドレスト32がヒンジ33によって回動可能に支持されている。ヘッドレスト32は、乳幼児などの頭部を支持する頭部支持部32aと、頭部支持部32aに対して直交する方向に立設された一対の支持片32bとを備えている。ヘッドレスト32は、薄板形状を有し、その主面に多数の孔が形成されており、頭部を支持できる程度の強度を有しながらも、通気性を有し、厚さ方向に撓みやすい弾性構造を有している。そして、支持片32bは、ヘッドレスト32の回動を制御する長孔で構成されたカム孔32cを備えている。
【0030】
ヘッドレスト32には、一対の縦フレーム部31aに沿うように、乳幼児などの側部を保護する一対のサイドプレート34が連結されている。一対のサイドプレート34も、細長い薄板形状を有し、その主面に多数の孔が形成されており、乳幼児などの側部を支持でる程度の強度を有しながらも、通気性を有し、厚さ方向に撓みやすい弾性構造を有している。一対のサイドプレート34のヘッドレスト32側の先端部は、カム孔32cに係合される回動制御突起34aを備えている。ヘッドレスト32と一対のサイドプレート34とは、回動制御突起34aがカム孔32cに係合することで、搖動可能に支持される。また、一対のサイドプレート34の基端部は、各後脚フレーム12の折曲部に支持された後方フレーム35に支持される。各後方フレーム35は、支軸35aを備え、各支軸35aには、サイドプレート34の基端部が回動可能に支持される。
なお、回動制御突起34aを支持片32bに設け、カム孔32cをサイドプレート34のヘッドレスト32側の先端部に設けるようにしてもよい。
【0031】
背当て支持フレーム31が座面部21とのなす角の角度が大きくなるように、すなわち背当て部を寝かす方向に回動されたとき、ヘッドレスト32は、ヘッドレスト32のカム孔32c内をサイドプレート34の回動制御突起34aが一方向に変位する。これにより、ヘッドレスト32は、縦フレーム部31aによって構成された背当て部に対して立ち上がるように回動し、寝かせた状態となる乳幼児などの頭部を保護可能な状態となる。一方、背当て支持フレーム31が座面部21とのなす角の角度が小さくなるように、すなわち背当て部が起き上がる方向に回動されたとき、ヘッドレスト32は、カム孔32c内を回動制御突起34aが他方向に変位する。これによって、ヘッドレスト32は、背当て部とほぼ平行な状態、すなわちほぼ面一の状態となり、背当て部の上部が開放される。
【0032】
なお、ベビーカー1は、一対の後脚フレーム12の折曲部のさらに外側に、ハンドル36が前後方向に回動可能に支持されている(
図1参照)。ハンドル36は、座板部材13の後方に位置しているとき(
図1の状態)、ベビーカー1を背面押しする状態となり、座板部材13の前方に位置しているとき、乳幼児などと向かい合う対面押しの状態となる。ハンドル36が背面押しの状態では、進行方向に対して後方に位置する後輪12aのキャスターがロックされ、ハンドル36が対面押しの状態では、進行方向に対して後方に位置する前輪11aのキャスターがロックされる。
【0033】
次に、以上のように構成されたベビーカー1の作用について説明する。
図6に示すように、座面部21に乳幼児などが乗せられると、座面部21には、下方に向かって荷重が加わる。すると、支持部22と案内部材23との間に架け渡された弾性部材24は、伸長し、その分、座面部21は、下方に変位する。座板部材13は、4つの弾性部材24によって側部フレーム17に支持される。これにより、前脚フレーム11や後脚フレーム12から側部フレーム17を介して座板部材13に伝達される振動は、弾性部材24によって減衰される。そして、乳幼児などを寝かせたときには、重心が座面部21の後方に位置することで、後方の弾性部材24の方が前方の弾性部材24より大きく伸びる。乳幼児などを座らせたときには、重心が前方に移動することで、後方の弾性部材24の伸び量が小さくなり、その分、前方の弾性部材24の伸び量が大きくなる。乳幼児などが何れの姿勢で乗車されたときであっても、座板部材13は、支持部22の緩衝体28aが案内部材23のストッパ27に当接するまで、下方に変位する。また、座板部材13が下方に変位したときには、支持部22と案内部材23の案内面25および案内片26との間に隙間が生じる。したがって、乳幼児などの乗車させて走行しているとき、走行時の振動によって、座板部材13は、案内部材23に対して前後左右に変位する。
【0034】
一方で、乳幼児などがベビーカー1から降車して座面部21が上方に移動する場合には、支持部22の傾斜側面25aが案内面25および案内片26によって押さえ付けられ、案内部材23から支持部22が上方に抜けることが抑制される。
【0035】
背当て部を構成する背当て支持フレーム31は、座面部21の後端部に、回動可能に支持される。座面部21は、弾性部材24によって前脚フレーム11や後脚フレーム12からの振動が抑制されており、背当て支持フレーム31も、振動が抑制された座面部21の後端部に回動可能に支持されることで、振動が抑制されている。背当て支持フレーム31は、ヘッドレスト32およびサイドプレート34を介して、後脚フレーム12に支持された後方フレーム35に支持されている。この点、ヘッドレスト32およびサイドプレート34は、弾性構造を有しているので、後方フレーム35からの振動は、ヘッドレスト32およびサイドプレート34によって減衰され、背当て部を構成する背当て支持フレーム31に伝達されることが抑制されている。
【0036】
以上のようなベビーカー1によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)座面部21を有する座板部材13は、前脚フレーム11や後脚フレーム12と連結された側部フレーム17に対して弾性部材24で弾性的に支持されている。したがって、座面部21には、前脚フレーム11や後脚フレーム12からの振動が伝達されることが抑制される。したがって、ベビーカー1の乗り心地を向上することができる。走行時だけでなく、発進時や停止時の慣性力に伴う振動も、弾性部材24で減衰することができる。
(2)弾性部材24は、構成が簡素な引っ張りコイルバネで構成し、支持部22側の第1取付端24aが案内部材23側の第2取付端24bより荷重方向側、すなわち下方に位置する。これにより、側部フレーム17に対する座面部21の高さを圧縮コイルバネを用いる場合より低くすることができる。したがって、座面部21の安定性が高められる。
(3)背当て支持フレーム31は、弾性部材24に弾性的に支持された座面部21に回動可能に支持されている。したがって、背当て部にも、前脚フレーム11や後脚フレーム12からの振動が伝達されることが抑制される。
(4)背当て支持フレーム31は、ヘッドレスト32およびサイドプレート34を介して後脚フレーム12に支持された後方フレーム35に支持されているが、振動は、背当て支持フレーム31に伝達されるまでに、ヘッドレスト32およびサイドプレート34で減衰される。すなわち、後方フレーム35からの振動は、ヘッドレスト32およびサイドプレート34の弾性構造によって減衰される。
(5)側部フレーム17に対する座板部材13の変位は、側部フレーム17に固定される案内部材23によって案内することができる。また、案内部材23は、弾性部材24の第2取付端24bを内部に配置することで、弾性部材24を、外方から見えにくくすることができる。
(6)座板部材13は、側部フレーム17に対して案内部材23を介して弾性部材24によって4点支持される。したがって、座板部材13は、側部フレーム17に対して安定して支持される。
(7)乳幼児がベビーカー1から降車して座面部21が上方に移動する場合には、支持部22の傾斜側面25aが案内面25および案内片26によって前後方向における外側から押さえ付けられ、案内部材23から支持部22が上方に抜けることが抑制される。
(8)支持部22は、緩衝体28aが案内部材23のストッパ27に当接することで、下方への変位量を規制することができる。緩衝体28aは、直接、支持部22の一部がストッパ27に当接することを抑制する。これにより、緩衝体28aにストッパ27が当接したときの衝撃や振動の発生を和らげることができる。例えば、体重の重い乳幼児が乗車し座板部材13が大きく沈み込み、緩衝体28aにストッパ27が当接し続ける状態が発生しても、緩衝体28aで振動を減衰し吸収することができる。
(9)各案内面25には、案内面25に連続して座面部21の方向に延長した案内片26を備えている。案内片26は、案内面25と共に傾斜側面25aの変位を案内すると共に、傾斜側面25aと案内部材23との間の隙間を少なくし、異物が挟まることを抑制する。
(10)後方支持部22bのストロークL1が前方支持部22fのストロークL2より長くなるように設定されているので、乳幼児などを寝かせた姿勢で乗車させ、重心が後方に位置しているときにも、乗り心地が悪くなることを抑制できる。
【0037】
なお、上記ベビーカー1は、以下のように変更してもよい。
・緩衝体28aは、割愛し、支持部22と一体的な規制壁にストッパ27が当接するようにしてもよい。
・後方のストロークL1が前方のストロークL2より長くなるように設定するには、弾性部材24に硬さが異なるコイルバネを用いるようにしてもよい。すなわち、ストロークを大きくする前方に配置される弾性部材24の硬さを、後方に配置される弾性部材24より固く設定すればよい。
・後方のストロークL1と前方のストロークL2とは同じであってもよい。例えば、後方のストロークL1と前方のストロークL2が座面部21での乳幼児などの重心移動に関係なく、十分に確保されている場合に、後方のストロークL1と前方のストロークL2とを同じにしてもよい。
・ストッパ27は、案内部材23に配置せず、例えば、側部フレーム17に配置するようにしてもよい。また、ストッパ27を割愛してもよい。
・案内片26は、割愛してもよい。例えば、案内面25の長さが十分に長く、前後の案内部材23の間から前方支持部22fと後方支持部22bが上方に抜けるおそれがない場合や他の手段で抜け止めがされている場合に、案内片26を割愛することができる。
【0038】
・前方支持部22fの先端部と後方支持部22bの先端部との間隔W1は、前方支持部22fの基端部と後方支持部22bの基端部との間隔W2と同じであってもよい。すなわち、前方支持部22fと後方支持部22bとは平行であってもよい。
・弾性部材24において、支持部22に取り付けられる第1取付端24aの高さと案内部材23に取り付けられる第2取付端24bの高さは、同じであってもよい。すなわち、荷重方向において、第1取付端24aは、第2取付端24bの位置以下に位置していればよい。
・案内部材23は割愛してもよい。この場合、弾性部材24は、側部フレーム17と支持部22との間に架け渡される。
【0039】
・座板部材13は、側部フレーム17に3点や2点や1点で弾性部材24によって支持されていてもよい。また、5点以上で弾性部材24支持されていてもよい。
・弾性部材24としては、引っ張りコイルバネではなく、ゴムなどであってもよい。また、弾性部材24としては、圧縮コイルバネであってもよい。圧縮コイルバネの場合、側部フレーム17などに圧縮方向が鉛直となるように配置し、圧縮コイルバネの上に座板部材を配置する。配置する圧縮コイルバネの数は、座板部材を安定して支持できる4つ好ましい。この場合、圧縮コイルバネは、座面の前後方向における前方2カ所と後方2カ所に配置される。勿論、圧縮コイルバネの数は、3つでも、2つでも、1つでもよい。また、5つ以上であってもよい。