【課題】ホーン31とアンビル32に挟圧される箇所に隣接する領域A(ホーン31の直下位置)において、超音波振動エネルギーによりホーン31側のフィルム18に傷が付いたり、穴が開くのを防止する。
【解決手段】超音波シール装置のホーン31とアンビル32の先端に圧力気体の吹き出し口47,52を設け、気体吹き込み用のノズルとして用いる。ホーン31とアンビル32の先端を切り込み19にあてがい、エアバッグ部16内に気体を吹き込んで膨張させ、吹き込み継続中にホーン31とアンビル32で切り込み19の周囲のフィルムを挟圧し、次いで超音波シールして気体をエアバッグ部16内に封入する。ホーン31の直下位置に接触部材71が設置され、この接触部材71を膨張したフィルム18に押し付け、その状態でホーン31に超音波振動エネルギーを供給する。
超音波シール装置のホーンとアンビルで袋を両面から挟んで加圧し、ホーンから伝達される超音波振動エネルギーにより、袋の両面のフィルム同士、又は袋の両面のフィルムと前記フィルム間に挟まれた部品をシールする超音波シール方法において、ホーンとアンビルが挟んだ箇所に隣接する領域において両面のフィルム間に隙間が形成される場合に、ホーン側から前記領域に向けて接触部材を前進させてホーン側のフィルムに押し付け、その状態でホーンに超音波振動エネルギーを供給することを特徴とする超音波シール方法。
前記袋がエアバッグ付き袋であり、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成され、前記隙間はエアバッグ部が膨張することによってエアバッグ部にできる隙間であり、前記ホーンとアンビルの一方又は双方に一端が圧力気体供給源に接続され他端が先端に開口する気体の流路が形成され、前記流路の他端が加圧気体の吹き出し口となっており、前記ホーンとアンビルの一方又は双方により前記気体導入部を通してエアバッグ部内に気体を吹き込みエアバッグ部を膨張させた後、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールすることを特徴とする請求項1に記載された超音波シール方法。
エアバッグ部を膨張させる前に、接触部材を所定位置に前進させておき、エアバッグ部が膨張するときホーン側のフィルムが接触部材に押し付けられることを特徴とする請求項2に記載された超音波シール方法。
前記部品がスパウトであり、前記隙間は前記袋の袋口にスパウトの被シール部が挿入されたことによって袋口の下方にできる隙間であり、前記袋の袋口にスパウトの被シール部を挿入した後、ホーンとアンビルで前記袋の袋口を両面から挟んで加圧し、袋の両面のフィルム同士及び両面のフィルムと前記フィルム間に挟まれた前記被シール部を超音波シールすることを特徴とする請求項1に記載された超音波シール方法。
対向配置されて進退するホーンとアンビルを有し、ホーンとアンビルで袋を両面から挟んで加圧し、ホーンから伝達される超音波振動エネルギーにより、袋の両面のフィルム同士、又は袋の両面のフィルムと前記フィルム間に挟まれた部品をシールする超音波シール装置において、ホーンの近傍に配置されて押し付け位置とそこから後退した後退位置の間で進退する接触部材を備え、前記接触部材はホーンに超音波振動エネルギーが供給されるとき前記押し付け位置に位置し、前記押し付け位置においてホーン側のフィルムのホーンとアンビルが挟んだ箇所に隣接する領域に押し付けられることを特徴とする超音波シール装置。
前記袋がエアバッグ付き袋で、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されており、ホーンとアンビルの一方又は双方に一端が圧力気体供給源に接続され他端が先端に開口する気体の流路が形成され、前記流路の他端が加圧気体の吹き出し口となっており、前記ホーンとアンビルの一方又は双方により前記気体導入部を通してエアバッグ部内に気体を吹き込みエアバッグ部を膨張させた後、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールし、前記接触部材は前記押し付け位置においてエアバッグ部のホーン側のフィルムに押し付けられることを特徴とする請求項5又は6に記載された超音波シール装置。
前記部品がスパウトであり、ホーンとアンビルで前記袋の袋口を両面から挟んで加圧し、袋の両面のフィルム同士及び袋の両面のフィルムと前記フィルム間に挟まれた前記スパウトの被シール部を超音波シールし、前記接触部材は前記押し付け位置において袋口の下部のホーン側のフィルムに押し付けられることを特徴とする請求項5又は6に記載された超音波シール装置。
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、その移送の過程で圧力気体供給源に接続されたノズルの吹き出し口を前記気体導入部にあてがい、前記切り込み又は穴から前記エアバッグ部内に気体を吹き込んで前記エアバッグ部を膨張させ、次いで前記切り込み又は穴の近傍をシールして前記エアバッグ部内に気体を封入するエアバッグ付き袋への気体封入装置において、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する袋移送装置と、前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置された超音波シール装置を備え、前記超音波シール装置のホーンとアンビルが前記移送経路を挟んで対向して配置され、前記停止位置に停止した前記エアバッグ付き袋に向けて共に前進又は後退し、前記ホーンとアンビルの一方又は双方に一端が前記圧力気体供給源に接続され他端が先端に開口する気体の流路が形成され、前記流路が形成された前記ホーンとアンビルの一方又は双方が前記ノズルを兼ね、前記流路の他端が前記吹き出し口とされ、前記超音波シール装置は接触部材を備え、前記接触部材は前記ホーンの直下位置に配置され、前記エアバッグ付き袋に向けて前進又は後退し、前記ホーンとアンビルの一方又は双方により前記エアバッグ部内に気体を吹き込むとともに、前記ホーンとアンビルで前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールし、前記接触部材は前進したときホーンとアンビルが挟んだ箇所に隣接する領域において膨張したエアバッグ部のホーン側のフィルムに押し付けられることを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入装置。
スパウトを垂直姿勢に保持して所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、その移送の過程で袋が供給されてスパウトの下部の被シール部が袋口に挿入され、次いで袋の両面のフィルム同士及び両面のフィルムと前記被シール部のシールが行われるスパウト付き袋の製造装置において、前記スパウトを前記移送経路に沿って間欠的に移送するスパウト移送装置と、前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置された超音波シール装置を備え、前記超音波シール装置のホーンとアンビルが前記移送経路を挟んで対向して配置され、前記停止位置に停止した前記袋に向けて共に前進又は後退し、前記超音波シール装置は前記ホーンの直下位置に接触部材を備え、前記接触部材は前記ホーンの直下位置に配置され、前記袋に向けて前進又は後退し、前記ホーンとアンビルで前記袋の袋口を両面から挟んで加圧し、袋の両面のフィルム同士及び袋の両面のフィルムと前記フィルム間に挟まれた前記スパウトの被シール部を超音波シールし、前記接触部材は前進したときホーンとアンビルが挟んだ箇所に隣接する領域においてホーン側のフィルムに押し付けられることを特徴とするスパウト付き袋の製造装置。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3には、ロータリー式袋詰め包装機が記載されている。このロータリー式袋詰め包装機は、環状の移動経路に沿って移動する複数対のグリッパーを備え、前記グリッパーが前記移動経路に沿って一回転する過程で、前記グリッパーに順次袋が供給されるとともにその両側縁が前記グリッパーで把持され、袋口を上に向けて吊り下げられ、続いてその袋は所定の移送経路に沿って移送される。このロータリー式袋詰め包装機では、その移送の過程で、袋口の開口工程、袋への被充填物の充填工程、及び袋口のシール工程を含む各種包装工程が順次行われる。このロータリー式袋詰め包装機において、袋口のシール工程は超音波シール装置により行われている。
【0003】
特許文献4には、ロータリー式スパウト挿入シール装置(スパウト付き袋の製造装置)が記載されている。このロータリー式スパウト挿入シール装置は、環状の移動経路に沿って間欠移動する複数のスパウト保持部材を備え、前記スパウト保持部材が前記移動経路に沿って一回転する過程で、スパウト保持部材に順次スパウトが供給されると共にそのスパウトが前記スパウト保持部材で垂直状態に保持され、続いてそのスパウトは所定の移送経路に沿って移送される。このロータリー式スパウト挿入シール装置では、その移送の過程で、挿入・仮シール工程(スパウト保持部材に保持されたスパウトに対して袋が供給されてスパウトの下部の被シール部が袋口に挿入され、次いでフィルムと被シール部が仮シールされる)、1回以上の本シール工程(袋の両面のフィルム同士及び両面のフィルムと被シール部のシールを同時に行う)、及びシール部の冷却工程が順次行われる。また、特許文献4には、このロータリー式スパウト挿入シール装置において、得られたスパウト付き袋に対し、上記移送経路上で続いて被包装物を充填することも記載されている。なお、本シール工程は、一対の熱板で袋口を両面から挟み加圧(両面のフィルム間にスパウトの被シール部が挟まれている)することにより行われる。
【0004】
特許文献5〜7には、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を用い、前記エアバッグ部に加圧気体を吹き込み、封入する気体封入方法及び装置が記載されている。この気体封入装置は、環状の移動経路に沿って間欠的に移動する複数対のグリッパーを備え、前記グリッパーが前記移動経路に沿って一回転する過程で、前記グリッパーに順次エアバッグ付き袋が供給されるとともにその両側縁が前記グリッパーで把持され、袋口を上に向けて吊り下げられ、続いて前記袋は所定の移送経路に沿って移送される。その移送の過程で、気体吹き込み工程(気体導入部にノズルが宛がわれて加圧気体がエアバッグ部内に吹き込まれる)、遮断工程(気体導入部とエアバッグ部内の気体の流通が遮断される)、及び気体封入工程(気体導入部又はその近傍がシールされ、気体がエアバッグ部内に封入される)が順次行われる。気体封入工程は、一対の熱板で気体導入部又はその近傍を両面から挟み加圧することにより行われる。
【0005】
また、特願2014−99452(本願出願時未公開)の明細書及び図面には、特許文献5〜7に記載されたエアバッグ付き袋と同様の袋のエアバッグ部に、超音波シール装置のホーンとアンビルを用いて加圧気体を吹き込み、続いて気体導入部の切り込み又は穴の近傍を超音波シールして、加圧気体を前記エアバッグ部に封入する発明が開示されている。
以下、この先行出願に係る発明の主要な実施形態について、
図8〜18を参照して説明する。
【0006】
(1)第1の実施形態
まず、
図11にエアバッグ付き袋11(以下、単に袋11という)を示す。袋11は底ガセット方式の自立袋であり、表裏両面のフィルムと折りたたまれた底部のフィルムからなる。袋11の上部領域Xでは、両側縁において袋11の表裏両面のフィルム同士が接着し、シール部12,13が形成されている。上縁は表裏両面のフィルムが接着されておらず、開口した袋口14となっている。袋11の下部領域Yでは、両側縁において表裏両面のフィルムが底部のフィルムを挟んで接着し、かつ底部のフィルム自体も折り込まれた内側で接着し、中央部において表裏両面のフィルムがそれぞれ底部のフィルムと接着し(底部のフィルム同士は接着していない)、シール部15が形成されている。シール部12,13,15を
図11に斜線で示す。
【0007】
シール部12の一部に表裏両面のフィルム同士が接着していない非接着部(エアバッグ部)16が形成されている。
エアバッグ部16は、袋の表裏両面のフィルム(
図13の17,18参照)を熱シールする際に加圧せずシールし残した箇所であり、袋口14(シール部12の上端)近傍から下方に細長く延びて閉じた輪郭を有し、その上端近傍の表裏両面のフィルムにエアバッグ部16内と袋外を連通させる十字の切り込み19が形成されている。エアバッグ部16には、中心に切り込み19が形成された円形の気体導入部16aに続いて所定長さにわたり、くびれた挟幅部16bが形成され、その下方が幅広の本体部16cとなっている。
【0008】
図8に、上記先行出願の発明に係る気体封入装置を含むロータリー式包装機を示す。
図8に示すロータリー式包装機は、間欠回転するテーブルの周囲に左右一対の袋移送用グリッパー21,22が複数対、等間隔で設置された袋移送装置を備える。この袋移送装置において、袋移送用グリッパー21,22は、供給された袋11の両側縁(シール部12,13)を把持して吊り下げ、円形の移送経路に沿って間欠的に移送する。グリッパー21,22が停止する各停止位置(停止位置I〜VIII)では、グリッパー21,22に対する袋11の供給に続き、グリッパー21,22に把持された袋11に対し、袋口の開口、被包装物の充填及び袋口のシールを含む各包装工程が順次行われ、併せて、エアバッグ部16への気体の吹き込み工程及びエアバッグ部16のシール工程からなる気体封入方法が実施される。
【0009】
グリッパー21,22はいずれも一対のグリップ片からなり、グリッパー21はエアバッグ部16の挟幅部16bを水平に横断する形で把持する。グリッパー21の一方のグリップ片23の内側(把持面)には、
図11に示すように、上下方向に抜ける浅い溝24が形成され、グリッパー21がシール部12を把持したとき、前記溝24が挟幅部16bの上に重なるようになっている。
【0010】
上記ロータリー式包装機において、前記移送経路の停止位置Iにコンベアマガジン式給袋装置25が配置され、停止位置IIに印字装置(ヘッド部26のみ示す)が配置され、停止位置IIIに開口装置(一対の吸盤27,27及び開口ヘッド28のみ示す)が配置され、停止位置IVに充填装置(ノズル部29のみ示す)が配置され、停止位置Vに超音波シール装置(ホーン31とアンビル32のみ示す)が配置され、停止位置VIに袋口をシールする第1シール装置(一対の熱板33,33のみ示す)が配置され、停止位置VIIに袋口をシールする第2シール装置(一対の熱板34,34のみ示す)が配置され、停止位置VIIIに冷却装置(一対の冷却板35,35のみ示す)が配置されている。
【0011】
図9に、上記先行出願の発明に係る超音波シール装置を示す。この超音波シール装置は、前記ホーン31とアンビル32、ホーン31を振動させる超音波振動発生装置36、及びホーン31とアンビル32を進退させるエアシリンダー37を含む。エアシリンダー37のピストンロッド38,39の先端に取付部材41,42が固定され、取付部材41に前記超音波振動発生装置36が固定され、取付部材42に前記アンビル32が固定されている。なお、超音波シール装置は図示しない冷却手段を有し、この冷却手段により超音波振動発生装置36及びホーン31とアンビル32が冷却される。
【0012】
ホーン31は内部に穴(気体の流路)43が形成され、穴43の一端はホーン31の側面に開口し、継ぎ手44、配管45及び図示しない切換弁等を介して圧力気体供給源46に接続され、他端はホーン31の先端に開口し、そこが加圧気体の吹き出し口47となっている。アンビル32も内部に穴(気体の流路)48が形成され、穴48の一端はアンビル32の後端に開口し、継ぎ手49及び配管51を介して圧力気体供給源46に接続され、他端はアンビル32の先端に開口し、そこが加圧気体の吹き出し口52となっている。ホーン31とアンビル32は、気体吹き込み用のノズルを兼ねている。
【0013】
ホーン31とアンビル32は、袋11の移送経路を挟んで対向して配置され、エアシリンダー37により互いに対称的に、かつ前記袋11に対し垂直に、前進位置と退避位置の間で前進(前記移送経路に近づく)又は後退(前記移送経路から遠ざかる)する。ホーン31とアンビル32が前記退避位置にあるとき(
図10(a)参照)、ホーン31とアンビル32は前記移送経路から最も離れ、前記移送経路に沿って移送される袋11との干渉を避けることができる。ホーン31とアンビル32が前記前進位置にきたとき(
図10(c)参照)、ホーン31とアンビル32は前記移送経路に最も近づき、ホーン31とアンビル32の先端が袋11を挟圧する。このときのホーン31とアンビル32の先端同士の間隔は、エアバッグ部16の気体導入部16aの両面のフィルムの厚さに等しい。なお、エアシリンダー37は3ポジションタイプであり、前記ホーン31とアンビル32は、前記後退位置と前記前進位置の中間の位置で停止可能である。この中間の位置(以後、吹込位置という)は前記前進位置にごく近接した位置であり(
図10(b)及び
図13参照)、この位置に停止したホーン31とアンビル32により、エアバッグ部16に対し気体の吹き込みが行われる。
【0014】
次に、
図8に示すロータリー式包装機を用いた包装方法(気体封入方法を含む)の一例を、
図8〜15を参照して説明する。
(a)停止位置I(給袋工程位置)において、コンベアマガジン式給袋装置25から袋11がグリッパー21,22に供給され、グリッパー21,22がシール部12,13の所定位置を表裏両面から把持する。このときエアバッグ部16は、その挟幅部16bがグリッパー21により把持される。その状態が
図11(a)に示されている。
(b)停止位置II(印字工程位置)において、印字装置により袋面への印字が行われる。
【0015】
(c)停止位置III(開口工程位置)において、開口装置により袋の開口が行われる。開口装置の一対の吸盤27,27は袋11に向けて進退し、前進して袋11の両面のフィルムを吸着し、そのまま後退して袋口14を開口する。開口ヘッド28は袋11の上方で昇降し、下降したとき下端が開口した袋口14から袋内に入り、エアを袋内に吹き出す。
(d)停止位置IV(被包装物充填工程位置)において、充填装置により液状物の充填が行われる(
図11(b)の充填物53参照)。充填装置のノズル部29は袋11の上方で昇降し、下降したとき袋口14から袋内に挿入され、液状物を袋内に充填する。
【0016】
(e)停止位置V(気体吹き込み及びシール工程位置)には、袋11の移送経路の近傍に、
図9に示す超音波シール装置が配置され、袋11のエアバッグ部6に気体を吹き込む気体吹き込み工程、及び切り込み19の周囲のフィルムをシールするシール工程が行われる。
袋11がこの停止位置Vに停止したとき、
図10(a)に示すように、ホーン31とアンビル32は後退して退避位置にある。続いてエアシリンダ37が作動して、
図10(b)及び
図13(a)に示すように、ホーン31とアンビル32が前進し、前記前進位置の直前の位置(前記吹込位置)で停止する。このとき、ホーン31とアンビル32の先端同士が気体導入部16aの両面のフィルムの厚さよりわずかに大きい間隔Dを置いて互いに対向している。また、
図11(b)に示すように、ホーン31とアンビル32の吹き出し口47,52の内径(直径)は、エアバッグ部16の気体導入部16aの直径より小さく設定されている。これにより、吹き出し口47,52から吹き出される気体が気体導入部16aに集中し、エアバッグ部16に効率的に気体を吹き込むことができる。なお、気体導入部16aが円形でない場合、吹き出し口47,52の内径を気体導入部の幅(袋幅方向の幅)より小さく設定すればよい。
【0017】
ホーン31とアンビル32が前記吹込位置に停止すると同時に又はその前後の適当なタイミングで、前記吹き出し口47,52から加圧気体の吹き出しが開始される。吹き出し口47,52から、切り込み19を通してエアバッグ部16の気体導入部16a内に気体が吹き込まれると、気体導入部16aの両面のフィルム17,18が膨張し、
図13(b)に示すように、ホーン31とアンビル32の平坦な先端面54,55(
図9参照)に密着する。このため、気体導入部16aはそれ以上膨張できず、その膨張形態は薄い扁平形状に規制される。前記間隔Dは、気体導入部16aの膨張形態が扁平形状になるように設定されている。
気体導入部16aに入った加圧気体は、グリッパー21に把持された挟幅部16bの表裏両面のフィルムを溝24の深さ分だけ押し広げ、両フィルム間にできた隙間から本体部16cに流入し、本体部16cを膨張させる。本体部16cが膨張した状態が、
図13(c)に示されている。
【0018】
ホーン31とアンビル32が前記吹込位置に停止後、所定のタイミングで再度エアシリンダ37が作動し、ホーン31とアンビル32が前進して直ちに前記前進位置に達し、
図10(c)に示すように、ホーン31とアンビル32の先端が、エアバッグ部16の気体導入部16a(切り込み19の周囲のフィルム)を挟圧し、薄い扁平形状に膨張していた気体導入部16aを平らに潰し切る。
次いで超音波振動発生器36から超音波振動が発信されて振動エネルギーがホーン31に供給され、
図12(a)に示すように、ホーン31とアンビル32により挟圧された箇所(被挟圧箇所)の形状(ホーン31の先端面54の形状)に一致するリング状の超音波シール部56(ハッチングされたリング状の箇所)が形成される。気体導入部16aは、切り込み19自体は全部又は大部分がシールされないが、切り込み19の周囲のフィルムがシールされるため、エアバッグ部16内の気体が切り込み19から漏れることはなく、気体はエアバッグ部16内に封入される。
【0019】
超音波シールが終了(超音波の発信が終了)すると、超音波振動による摩擦熱の発生がなくなり、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧された超音波シール部56は、該ホーン31とアンビル32により直ちに冷却される。超音波シールが終了後、適宜のタイミングでエアシリンダ37が逆に作動し、ホーン31とアンビル32が後退し、
図10(d)に示すように、前記後退位置で停止する。
なお、吹き出し口47,52からの加圧気体の吹き出しは、少なくともホーン31とアンビル32が前記前進位置に達して気体導入部16aを挟圧する直前まで継続することが望ましい。
【0020】
(f)停止位置VI(第1シール工程位置)において、一対の熱板33,33が袋口14を挟圧して熱シールし、シール部57が形成される(
図12(b)参照)。エアバッグ部16のシールはすでに完了しているから、この時点で熱板33,33で切り込み19の箇所を挟圧する必要はない。
(g)停止位置VII(第2シール工程位置)において、一対の熱板34,34がシール部57を再度挟圧して2回目の熱シールを行う。
(h)停止位置VIII(シール部冷却及び排出工程位置)において、一対の冷却板35,35がシール部57を挟圧して冷却する。続いて、冷却中にグリッパー21,22が開き、さらに冷却板35,35が開き、袋11(袋製品)が落下し、シュート50により装置外に排出される。
【0021】
(2)第2の実施形態
上記第1の実施形態では、エアバッグ付き袋11の気体導入部16aの両面のフィルム17,18に切り込み19が形成されていたが、どちらか一方のフィルムにのみ切り込みが形成されていてもよい。この場合、ホーン31とアンビル32のうち一方が、切り込みが形成されていない側のフィルムを支持する受け部材(例えば特開2007−118961号公報の受け部材12参照)となる。受け部材となる側には、内部に気体の流路を形成する必要がない。
【0022】
(3)第3の実施形態
上記第1の実施形態では、ホーン31とアンビル32が退避位置と前進位置及び吹込位置の3位置で停止するようになっていたが、退避位置と前進位置のみで停止するようになっていてもよい。すなわち、前進位置においてエアバッグ部への加圧気体の吹き込みと超音波シールの両方の工程が行われる。この場合、エアシリンダー37は2ポジションタイプのものでよい。また、ホーン31には縦振動(溶着面に対し垂直方向の振動)の振動エネルギーが供給される。
以下、この実施形態について、
図14,15(及び
図8,9)を参照して具体的に説明する。
【0023】
袋11が停止位置V(
図8参照)に停止したとき、
図14(a)に示すように、ホーン31とアンビル32は後退して退避位置にある。
エアシリンダ37(
図9参照)が作動して、ホーン31とアンビル32が前記退避位置から前進し、その途上でホーン31とアンビル32の先端の吹き出し口47,52から気体の吹き出しが開始される。
図14(b)に示すように、ホーン31とアンビル32が前記前進位置に接近するのに伴い、切り込み19を通してエアバッグ部16内に気体が流入し、エアバッグ部16が膨張する。続いて、
図14(c)及び
図15(a)に示すように、ホーン31とアンビル32が前記前進位置に達し、それらの先端面54,55(
図9参照)が切り込み19の周囲のフィルムを挟圧する。吹き出し口47,52からの気体の吹き出しは継続しているが、この時点でエアバッグ部16内への気体の流入がストップする。ホーン31とアンビル32は前記退避位置から前記前進位置にごく短時間で達し、その間にエアバッグ部16内へ吹き込まれる気体の量は不十分であり、ホーン31とアンビル32が前記前進位置に達した時点で、エアバッグ部16の膨張が不足している。
【0024】
次いでホーン31に縦振動の超音波振動エネルギーが供給され、ホーン31が微細な振幅(数10μm〜百数10μm程度)及び高い周波数で振動(アンビル32に対し前進又は後退)し、超音波シールが開始される。ホーン31の振動方向を
図15(b)に両矢印で示す。ホーン31が上記振幅の大きさだけ後退してホーン31とアンビル32の間隔が広がったとき、吹き出し口47,52から吹き出す気体の圧力で被挟圧箇所(ホーン31とアンビル32の先端面54,55により挟圧された箇所)の両面のフィルムが押し広げられて微細な隙間ができ、その瞬間に前記隙間を通して気体がエアバッグ部16内に流入する。
【0025】
時間経過とともにエアバッグ部16内に流入する気体の量が増加し、それに応じてエアバッグ部16が膨張し(
図14(d),15(b)参照)、次いでフィルム内層のシーラントが摩擦熱で溶融して前記隙間が塞がれ(この時点でエアバッグ部16内への気体の流入は再びストップする)、前記被挟圧箇所の両面のフィルムがシールされる。ホーン31に超音波振動エネルギーが供給される時間は一般にごく短時間(1.0秒以内、通常は0.2〜0.4秒程度)であるが、その間にエアバッグ部16への気体の吹き込みと、続くエアバッグ部16の超音波シールが行われ、気体はエアバッグ部16内に封入される。超音波シール後、吹き出し口47,52からの気体の吹き出しを停止する。超音波シール部は、
図12(a)に示す超音波シール部56と同様に、ホーン31の先端面54の形状と同じリング状となる。
【0026】
ホーン31への振動エネルギーの供給が停止して超音波シールが終了すると、フィルムの超音波シール部に摩擦熱の発生がなくなり、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧された超音波シール部は、該ホーン31とアンビル32により直ちに冷却される。超音波シールが終了後、適宜のタイミングでエアシリンダ37が逆に作動し、ホーン31とアンビル32が後退し、
図14(e)に示すように、前記後退位置で停止する。
超音波シールの時間は一般的にごく短時間であるため、その間にエアバッグ部16内に流入する気体の量は多くない。しかし、前記のとおり、ホーン31とアンビル32が切り込み19の周囲のフィルムを挟圧する前に、不十分ながらある程度の量の気体がエアバッグ部16内に吹き込まれているため、トータルとしてエアバッグ部16内に十分な量の気体を吹き込み、エアバッグ部16を十分膨張させることができる。
【0027】
(4)第4の実施形態
この実施形態でも、上記第3の実施形態と同様に、ホーン31とアンビル32は退避位置と前進位置のみで停止する。しかし、上記第3の実施形態ではホーン31とアンビル32の先端面54,55が平坦であったのに対し、この実施形態では、前記先端面54,55の一方又は双方に微細な凹溝が形成されている点で異なる。
以下、この実施形態について、
図16〜18を参照して具体的に説明する。
図17,18に示すように、ホーン31とアンビル32の先端面54,55の全面に、両端が内周(吹き出し口47,52)又は/及び外周に抜ける細かい格子状の凹溝58,59が形成されている。このホーン31とアンビル32を用いたエアバッグ部16内への気体の吹き込み及びエアバッグ部16の超音波シールは、例えば次のように行われる。
【0028】
袋11が停止位置V(
図8参照)に停止したとき、
図16(a)に示すように、ホーン31とアンビル32は後退して退避位置にある。
エアシリンダ37(
図9参照)が作動して、ホーン31とアンビル32が前記退避位置から前進し、前記前進位置に達して、
図16(b)に示すように、先端でエアバッグ部16の気体導入部16aに形成された切り込み19の周囲のフィルムを挟圧し、次いで先端の吹き出し口47,52から気体を吹き出す。
切り込み19から気体導入部16a内に入った気体は、凹溝58,59の内側において気体導入部16aのフィルムを凹溝58,59内に押し広げ、両面のフィルムの間に多数の小さい隙間を生じさせる。気体は前記隙間を通ってその先の挟幅部16bに流入し、さらにその先の本体部16cへ流入し、エアバッグ部16を膨張させる。ただし、切り込み19の周囲のフィルムは、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧されたままで膨張せず、わずかに凹溝58,59内に押し広げられるだけである。
【0029】
次いで、所定のタイミングで超音波振動発生器36から超音波振動が発信され、ホーン31に超音波振動エネルギーが供給され、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧された箇所(切り込み19の周囲)の両面のフィルムが超音波シールされる。この超音波シールにおいて、凹溝58,59の内側では、両面のフィルムの間に小さい隙間が生じているため摩擦熱が発生せず、内層のシーラントが溶融しないが、その近傍の溶融したシーラントにより前記隙間が塞がれ(この時点でエアバッグ部16内への気体の流入はストップする)、凹溝58,59の内側のフィルムを含めてシールが行われ、気体はエアバッグ部16内に封入される。なお、ホーン31に供給される振動エネルギーが縦振動の振動エネルギーの場合、上記第3の実施形態に述べた作用(ホーン31が振動することにより、被挟圧箇所の両面のフィルム間に微細な隙間ができ、前記隙間を通して気体がエアバッグ部16内に流入する作用)も同時に得られる。
【0030】
ホーン31又はアンビル32の先端面54,55に形成される凹溝58,59の幅wと深さdは、エアバッグ部16内への気体を吹き込むとき前記隙間が生じ、超音波シールのとき前記隙間が周囲の溶融したシーラントで埋まる程度の大きさに設定される。
超音波シール部は、
図12(a)に示す超音波シール部56と同様に、ホーン31の先端面53の形状と同じリング状となる。
超音波シールが終了(超音波の発信が終了)すると、超音波振動による摩擦熱の発生がなくなり、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧された超音波シール部は、該ホーン31とアンビル32により直ちに冷却される。超音波シールが終了後、適宜のタイミングでエアシリンダ37が逆に作動し、ホーン31とアンビル32が後退し、
図16(c)に示すように、前記後退位置で停止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
特許文献1〜3に示す例では、被充填物充填後の袋の袋口のシールに超音波シールが利用されている。超音波シールが行われる(超音波シール装置のホーンとアンビルで袋のシール予定部が挟圧され、ホーンに超音波振動エネルギーが供給される)とき、一対のグリッパーの間隔が広げられ、シール予定部及びその近傍は緊張し平らに閉じられている(例えば特許文献1の
図1参照)。このような袋口のシールの場合、超音波シールによって袋に損傷が発生する等の問題は特に生じない。
【0033】
一方、特願2014−99452の発明のように、加圧気体により膨張したエアバッグ部16を超音波シールする場合、次のような問題が生じる。
図6(a)に示すように、袋11のエアバッグ部16に加圧気体が吹き込まれ、ホーン31とアンビル32が前進位置に達したとき、ホーン31とアンビル32に挟まれた箇所のフィルム17,18は押圧されて平らになり、当該箇所より下の部分(エアバッグ部16の挟幅部16b)は加圧気体により膨張し、両フィルム17,18の間に隙間ができている。
この状態で超音波シールを行うと、ホーン31とアンビル32に挟まれた箇所(被挟圧箇所)に隣接する領域において、膨らんだエアバッグ部16の挟幅部16bのフィルム18(ホーン31側のフィルム)に傷が付いたり、穴が開いたりすることがある。前記領域(
図6(a)にAで示す)は、概ね、前記被挟圧箇所の下端(膨らんだ部分の上端)から下方へ数mm程度までの範囲である。
なお、
図6(b)に示すように、袋11のエアバッグ部16に加圧気体を吹き込むことなく、同一箇所で超音波シールのみを行った場合、上記問題は生じない。
【0034】
また、特許文献4に記載された発明のように、袋とスパウトの本シール工程を、熱板によるシールに代えて超音波シールで行う場合にも、同様の問題が生じる。
図7に示すように、スパウト保持部材61に保持されたスパウト62に対し袋63が供給され、袋口にスパウト62の下部の被シール部62a(平面視舟形/特開2009−132001号公報の被シール部4参照)が挿入され、ホーン64とアンビル65が、被シール部62aの位置で、袋63の両面のフィルム66,67を挟圧している。シール部62aの下方では、両フィルム66,67間に隙間ができている。
この状態で超音波シールを行うと、袋63の両面のフィルム66,67同士、及びフィルム66,67と被シール部62aがシールされるが、ホーン64とアンビル65に挟まれた箇所(被挟圧箇所)に隣接する領域において、フィルム67(ホーン64側のフィルム)に傷が付いたり、穴が開いたりすることがある。前記領域(
図7(a),(b)にBで示す)は、概ね、前記被挟圧箇所の下端から下方へ数mm程度までの範囲である。
【0035】
本発明者らの知見によれば、上記問題は、前記被挟圧箇所に隣接する領域において両面のフィルム間に隙間が形成されている場合に限って生じる。エアバッグ部の超音波シールでは、膨張したエアバッグ部の両面のフィルム間に隙間ができ、スパウトの超音波シールでは、スパウトのシール部の下方において両フィルム間に隙間ができている。前記被挟圧箇所に隣接する領域において両面のフィルム間に隙間が形成されている場合に限って上記問題点が生じる理由は明らかではないが、本発明者らは、前記領域のフィルムがホーンの先端の下端部に接触して振動し、あるいはホーンの振動がホーン側のフィルムの前記領域に集中して伝達され、前記領域のフィルムが共振を起こして加熱され、同フィルムが内層のシーラントのみならず軟化し、さらには溶融することが原因ではないかと推測している。この現象は、特にアルミ箔を積層したフィルムの場合に起きやすい。
【0036】
本発明は、袋の両面のフィルム同士又は袋の両面のフィルムとフィルム間に挟まれた部品を超音波シールする場合に生じる上記問題点に鑑みてなされたもので、ホーンとアンビルに挟まれた箇所に隣接する領域においてホーン側のフィルムに傷が付いたり、穴が開くという問題が生じるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明は、超音波シール装置のホーンとアンビルで袋を両面から挟んで加圧し、ホーンから伝達される超音波振動エネルギーにより、袋の両面のフィルム同士、又は袋の両面のフィルムと前記フィルム間に挟まれた部品をシールする超音波シール方法において、ホーンとアンビルが挟んだ箇所(被挟圧箇所)に隣接する領域において両面のフィルム間に隙間が形成される場合に、ホーン側から前記領域に向けて接触部材を前進させてホーン側のフィルムに押し付け、その状態でホーンに超音波振動エネルギーを供給することを特徴とする。
【0038】
この超音波シール方法は、例えば次のような実施の形態をとり得る。
(1)前記袋が、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋であり、前記ホーンとアンビルの一方又は双方に一端が圧力気体供給源に接続され他端が先端に開口する気体の流路が形成され、前記流路の他端が加圧気体の吹き出し口となっていて、前記ホーンとアンビルの一方又は双方により前記気体導入部を通してエアバッグ部内に気体を吹き込みエアバッグ部を膨張させた後、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールする。この場合、前記隙間は、エアバッグ部が膨張することによって該エアバッグ部の両フィルム間にできる隙間である。
【0039】
(2)上記(1)の場合において、エアバッグ部を膨張させる前に、接触部材を所定位置に前進させておき、エアバッグ部が膨張するときホーン側のフィルムが接触部材に押し付けられるようにする。本発明は、このように、両フィルムが膨張したときホーン側のフィルムが前記接触部材に押し付けられ、自然膨張時の形状とは異なる形状に膨張する場合を含む。
(3)前記部品がスパウトであり、前記袋の袋口にスパウトの被シール部を挿入した後、ホーンとアンビルで前記袋の袋口を両面から挟んで加圧し、袋の両面のフィルム同士及び両面のフィルムと前記フィルム間に挟まれた前記被シール部を超音波シールする。この場合、前記隙間は、袋の袋口にスパウトの被シール部が挿入されたことによって袋口の下部にできる両フィルム間の隙間である。
【0040】
また、本発明に係る超音波シール装置は、上記超音波シール方法を実施するためのものであり、ホーンとアンビルのほか、ホーンの近傍に配置されて押し付け位置とそこから後退した後退位置の間で進退する接触部材を備える。前記接触部材はホーンに超音波振動エネルギーが供給されるとき前記押し付け位置に位置し、前記押し付け位置においてホーン側のフィルムのホーンとアンビルが挟んだ箇所(被挟圧箇所)に隣接する領域に押し付けられる。
【0041】
この超音波シール装置は、例えば次のような実施の形態をとり得る。
(1)前記接触部材がホーンと共に進退する。
(2)前記袋が、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、エアバッグ部の気体導入部のフィルムにエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋であり、前記ホーンとアンビルの一方又は双方に一端が圧力気体供給源に接続され他端が先端に開口する気体の流路が形成され、前記流路の他端が加圧気体の吹き出し口となっていて、前記ホーンとアンビルの一方又は双方により前記気体導入部を通してエアバッグ部内に気体を吹き込みエアバッグ部を膨張させた後、前記切り込み又は穴の周囲のフィルムを超音波シールし、前記接触部材は前記押し付け位置においてエアバッグ部のホーン側のフィルムに押し付けられる。
(3)前記部品がスパウトであり、ホーンとアンビルで前記袋の袋口を両面から挟んで加圧し、袋の両面のフィルム同士及び袋の両面のフィルムと前記フィルム間に挟まれた前記スパウトの被シール部を超音波シールする。前記接触部材は袋口の下部のホーン側のフィルムに押し付けられる。
【0042】
上記超音波シール装置は、エアバッグ付き袋への気体封入装置(
図8参照)や、スパウト付き袋の製造装置(特許文献4参照)に好適に適用し得る。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、袋の両面のフィルム同士又は袋の両面のフィルムとフィルム間に挟まれた部品を超音波シールする場合に、ホーンとアンビルに挟まれた箇所(被挟圧箇所)に隣接する領域において袋の両面のフィルム間に隙間が生じているときでも、当該領域においてホーン側のフィルムに傷が付いたり、穴が開くという問題が生じるのを防止できる。ホーン側から前記領域に向けて接触部材を前進させ、接触部材の先端をホーン側のフィルムに押し付ける(前記領域においてホーン側のフィルムが接触部材に押し込まれて変形する、又は膨張するホーン側のフィルムが接触部材に押し付けられ、自然膨張時の形状とは異なる形状に膨張する)ことにより、上記問題が生じるのを防止できる理由は不明であるが、接触部材がホーン側のフィルムに上記のように接触することで、ホーンの先端下部コーナーとホーン側のフィルムとの直接的な接触が緩和され、あるいはホーン側のフィルムにおいて超音波振動の共振が抑制されるためではないかと推測される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、主として
図1〜5を参照し、本発明に係る超音波シール方法及び装置について具体的に説明する。
図1に、本発明に係る超音波シール装置を示す。この超音波シール装置は、
図9に示す超音波シール装置を改良したもので、接触部材71を備える点でのみ、
図9に示す超音波シール装置と異なる。
図1において、
図9に示す超音波シール装置と実質的に同じ部位には、同じ番号を付与している。
接触部材71は、取付プレート72を介してホーン31側の取付部材41に固定され、ホーン31の直下位置においてホーン31と共にホーン31と同方向に進退する。取付部材41の位置は超音波振動の振幅がゼロ(ノーダルポイント)であり、接触部材71自体は振動しない。なお、接触部材71は板状の金属又はプラスチックからなり、袋11と接触する先端部には、袋11の損傷を防止するため、必要に応じてゴム材が取り付けられる。
【0046】
図1に示す超音波シール装置を、
図8に示すロータリー式包装機の停止位置Vの近傍に、
図9に示す超音波シール装置に代えて設置した場合の、気体封入方法(超音波シール方法を含む)について、
図2及び
図3を参照して説明する。なお、
図1〜3に示す袋11は、
図11に示す袋11と同じ構造を有し、前記ロータリー式包装機の袋移送用グリッパー21,22に両側縁を把持されて吊り下げられ、円形の移送経路に沿って間欠的に移送される。前記ロータリー式包装機では、各停止位置において
図8に関連して説明したとおりの各包装工程が順次行われ、併せて、停止位置Vにおいてエアバッグ部16への気体の吹き込み工程及びエアバッグ部16のシール工程からなる気体封入方法が実施される。
【0047】
袋11が停止位置Vに停止したとき、
図2(a)に示すように、ホーン31とアンビル32は後退して退避位置にある。続いてエアシリンダ37が作動して、
図2(b)及び
図3(a)に示すように、ホーン31とアンビル32が前進し、前記前進位置の直前の位置(前記吹込位置)で停止する。このとき、ホーン31とアンビル32の先端同士が気体導入部16aの両面のフィルムの厚さよりわずかに大きい間隔Dを置いて互いに対向している。また、接触部材71がホーン31と共に前進している。なお、
図2,3に示す気体封入方法において、ホーン31とアンビル32の動き及び加圧気体の吹き出しや超音波シール等のタイミングは、先に
図10を参照して説明したとおりのものである。
【0048】
ホーン31とアンビル32が前記吹込位置に停止すると同時に又はその前後の適当なタイミングで、前記吹き出し口47,52から加圧気体の吹き出しが開始される。吹き出し口47,52から、切り込み19を通してエアバッグ部16の気体導入部16a内に気体が吹き込まれると、気体導入部16aの両面のフィルム17,18が膨張し、
図3(b)に示すように、ホーン31とアンビル32の平坦な先端面54,55に密着する。
気体導入部16aに入った加圧気体は、グリッパー21に把持された挟幅部16bの表裏両面のフィルムを溝24の深さ分だけ押し広げ、両フィルム間にできた隙間から本体部16cに流入し、本体部16cを膨張させる。この例では、接触部材71の先端が、膨張した挟幅部16bのフィルム18(ホーン31側のフィルム)にわずかに接触している。接触部材71が接触する位置は、ホーン31とアンビル23が挟んだ箇所(被挟圧箇所)に隣接する領域(直下位置)であり、
図6に示す領域Aである。ただし、この時点で接触部材71の先端がフィルム18に接触していなくてもよい。
【0049】
ホーン31とアンビル32が前記吹込位置に停止後、所定のタイミングで再度エアシリンダ37が作動し、ホーン31とアンビル32が前進して直ちに前記前進位置に達し、
図2(c)及び
図3(c)に示すように、ホーン31とアンビル32の先端が、エアバッグ部16の気体導入部16a(切り込み19の周囲のフィルム)を挟圧し、薄い扁平形状に膨張していた気体導入部16aを平らに押し潰す。このとき、ホーン31と共に接触部材71が前進し、その先端が膨張した挟幅部16bのフィルム18に押し付けられる。これにより膨張していたフィルム18は、前記領域Aにおいて、内側に変形する。なお、接触部材71は平面視で挟幅部16bの幅以上の幅を有し、挟幅部16bの全幅にわたりフィルム18に押し付けられることが好ましい。
次いで超音波振動発生器36から超音波振動が発信されて振動エネルギーがホーン31に供給され、切り込み19の周囲のフィルムが超音波シールされ、気体はエアバッグ部16内に封入される。この超音波シールの間、接触部材71が膨張した挟幅部16bのフィルム18に押し付けられていることにより、挟幅部16bのフィルム18に傷が付いたり、穴が開いたりすることが防止される。
【0050】
超音波シールが終了(超音波振動エネルギーの供給が終了)すると、超音波振動による摩擦熱の発生がなくなり、ホーン31とアンビル32の先端で挟圧された超音波シール部56(
図12参照)は、該ホーン31とアンビル32により直ちに冷却される。超音波シールが終了後、適宜のタイミングでエアシリンダ37が逆に作動し、ホーン31とアンビル32が後退し、
図3(d)に示すように、前記後退位置で停止する。接触部材71のホーン31と共に後退する。
【0051】
図2,3に示す例では、接触部材71が、エアバッグ部16が膨張してから押し付け位置(最も前進した位置)に達したが、
図4に示すように、エアバッグ部16が膨張する前に予め押し付け位置に達しておくようにしてもよい。この場合、接触部材71はホーン31と共に進退させるのではなく(取付部材41に設置するのではなく)、ホーン31とは独立した駆動手段により進退させる必要がある。
図4において、ホーン31とアンビル32の動き及び加圧気体の吹き出しや超音波シール等のタイミングは、
図2,3と同じである。一方、接触部材71は、ホーン31とアンビル32が前記吹込位置に達した時点で、
図4(a)に示すように、前進して押し付け位置に達している。このため、加圧気体がエアバッグ16内に吹き込まれ、エアバッグ部16(挟幅部16b)が膨張すると、前記領域Aにおいてフィルム18が接触部材71に接触し押し付けられ、自由膨張できないで内側に変形する。
続いてホーン31とアンビル32が前進して前記前進位置に達したときも、
図4(c)に示すように、接触部材71は前記押し付け位置にあり、この状態でホーン31に超音波振動エネルギーが供給され、超音波シールが行われる。
【0052】
なお、
図2〜4に示した例では、本発明に係る気体封入方法(接触部材71を用いる方法)を、本願明細書に開示した特願2014−99452に係る発明の第1の実施の形態(
図8〜15)に適用したものだが、第2の実施の形態、第3の実施形態(
図14,15)、第4の実施形態(
図16〜18)に適用することもできる。さらに、特願2014−99452の明細書及び図面に開示された他の全ての実施形態に適用することもできる。
【0053】
次に、本発明に係る超音波シール装置を、特許文献4に記載されたロータリー式スパウト挿入シール装置(スパウト付き袋の製造装置)の本シール工程に適用した場合の超音波シール方法について、
図5を参照して説明する。
図5において、
図7に示すスパウト、袋及び超音波シール装置(ホーンとアンビル)と実質的に同じ部位には、同じ番号を付与している。
上記スパウト付き袋の製造装置は、スパウト62の上端を把持し環状の移動経路に沿って間欠的に移動するスパウト保持部材61を複数組備えるスパウト移送装置を有し、先に説明したとおり、このスパウト保持部材61が前記移動経路に沿って一回転する過程で、スパウト保持部材61に順次スパウト62が供給されると共にそのスパウト62が前記スパウト保持部材61で垂直状態に保持され、所定の移送経路に沿って移送される。スパウト62が移送される過程で、袋63の挿入・仮シール工程、1回以上の本シール工程、及びシール部の冷却工程が順次行われる。
【0054】
上記スパウト付き袋の製造装置は、本シール工程が行われる停止位置の近傍に超音波シール装置を備える。この超音波シール装置は、ホーン64とアンビル65のほか、ホーン64の直下位置に接触部材73を備える。接触部材73は、ホーン64の取付部材(
図1の取付部材41参照)に固定され、ホーン64の直下位置においてホーン64と共にホーン64と同方向に進退する。接触部材72の先端には、袋11の損傷を防止するため、必要に応じてゴム材が取り付けられる。
【0055】
前記停止位置にスパウト保持部材61が停止すると、ホーン64とアンビル65が前進して、被シール部62aの位置で、袋63の両面のフィルム66,67を挟圧し、同時に接触部材73が前進して、その先端がホーン64とアンビル65が挟んだ箇所(被挟圧箇所)の直下位置において、ホーン64側のフィルム67に接触し押し付けられる。接触部材73が接触する位置は、上記被挟圧箇所に隣接する領域(
図7に示す領域B)である。これによりホーン64側のフィルム67は、前記被挟圧箇所の直下において、自然に開いた形状(
図7参照)から内側に変形した形状となる。なお、接触部材73は平面視で袋63の未シール部の幅S以上の幅を有し、前記未シール部のほぼ全幅にわたりフィルム67に押し付けられることが好ましい。
【0056】
次いで超音波振動発生器(
図1の超音波振動発生器36参照)から超音波振動が発信されて超音波振動エネルギーがホーン64に供給され、袋63の両面のフィルム66,67同士、及びフィルム66,67とスパウト62の被シール部62aがシールされる。この超音波シールの間、接触部材73が前記領域Bにおいてホーン64側のフィルム67に押し付けられていることにより、フィルム67に傷が付いたり、穴が開いたりすることが防止される。