特開2017-100950(P2017-100950A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大正製薬株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-100950(P2017-100950A)
(43)【公開日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】オキソ複素環誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20170512BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20170512BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20170512BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20170512BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20170512BHJP
   A61K 31/4196 20060101ALI20170512BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20170512BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20170512BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20170512BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20170512BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20170512BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170512BHJP
【FI】
   C07D401/06
   C07D417/14CSP
   A61K31/427
   A61K31/506
   C07D403/14
   A61K31/4196
   A61K31/4439
   C07D401/14
   C07D417/12
   A61K31/497
   A61K31/501
   A61K31/454
   A61P1/00
   A61P3/04
   A61P5/00
   A61P9/12
   A61P25/20
   A61P25/24
   A61P25/18
   A61P25/30
   A61P25/28
   A61P25/16
   A61P25/14
   A61P25/08
   A61P25/06
   A61P25/04
   A61P29/00
   A61P37/02
   A61P43/00 107
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2014-77458(P2014-77458)
(22)【出願日】2014年4月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮
(72)【発明者】
【氏名】阿部 正人
(72)【発明者】
【氏名】下野 梨絵
(72)【発明者】
【氏名】野沢 大
(72)【発明者】
【氏名】二村 彩
(72)【発明者】
【氏名】守谷 実
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB02
4C063BB03
4C063BB04
4C063BB06
4C063BB09
4C063CC12
4C063CC29
4C063CC41
4C063CC42
4C063CC62
4C063DD03
4C063DD10
4C063DD12
4C063DD41
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC42
4C086BC60
4C086BC82
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA42
4C086ZA66
4C086ZA70
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZC03
4C086ZC39
4C086ZC42
(57)【要約】
【課題】
オレキシン(OX)受容体拮抗作用に基づいた、睡眠障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、高血圧等の疾患の治療又は予防に有用な新規化合物又はその医薬上許容される塩を提供することである。
【解決手段】
式(I)で示される化合物又はその医薬上許容される塩。
【化1】

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
Aは、下記式群(II)のいずれかを示し、
【化2】
Bは、下記式群(III)のいずれかを示し、
【化3】
1は水素原子、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基はC3-6シクロアルキル基で置換されてもよい)、又はC3-6シクロアルキル基を示し、
2は水素原子、又はC1-6アルキル基を示し、
又はR1及びR2は、隣接する窒素原子及び炭素原子と一緒になって5〜6員の含窒素飽和環(該5〜6員の含窒素飽和環は1個のヒドロキシ基で置換されてもよい。)を形成してもよく、
3は水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基を示し、
4はアリール基、ヘテロアリール基(該アリール基、及びヘテロアリール基はハロゲン原子、及びC1-6アルキル基からなる群より選ばれる1〜2個の基で置換されてもよい。)、C3-6シクロアルキル基、又はC1-6アルコキシ基を示し、
5はアリール基、ヘテロアリール基(該アリール基、及びヘテロアリール基はハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、及びC1-6アルコキシ基からなる群より選ばれる1〜2個の基で置換されてもよい。)、ハロゲン原子、又はハロC1-6アルキル基を示し、
6は水素原子、ハロゲン原子、又はC1-6アルキル基を示し、
Xは窒素原子、又は式CHを示す)で表される化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項2】
上記式(I)が、式(IV)
【化4】
(式中、
mは、1又は2を示し、
その他の記号は請求項1と同義である)で表される請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項3】
上記式(IV)において
Aが、下記式群(IIa)のいずれかを示し、
【化5】
3がC1-6アルキル基であり、
4がフェニル基、トリアゾリル基、ピリミジニル基(該フェニル基、トリアゾリル基、及びピリミジニル基はハロゲン原子、及びC1-6アルキル基からなる群より選ばれる1〜2個の基で置換されてもよい。)で表される請求項2に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項4】
請求項1に記載される下記化合物群及びその医薬上許容される塩から選ばれるいずれか1種又は2種以上の混合物。
2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−(3−メチルフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(3−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(3−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−{[(2S)−1−{[5−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3−フルオロフェニル)−2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(4−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[6−メチル−3−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
3−(4−フルオロフェニル)−1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}ピリジン−2(1H)−オン、
5−フルオロ−3−(4−フルオロフェニル)−1−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)ピリジン−2(1H)−オン、
1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−3−フェニルイミダゾリジン−2−オン、
1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−3−フェニルピラジン−2(1H)−オン、
2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−4−フェニルピリダジン−3(2H)−オン、
4−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−4−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
3−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−5−フェニルピリミジン−4(3H)−オン、
4−(4−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−(3−メトキシフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−(4−フルオロフェニル)−4−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピペリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピペリジン−2−イル}メチル)−4−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3−フルオロフェニル)−2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピペリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(4−フルオロフェニル)−2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピペリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピペリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
3−(4−フルオロフェニル)−1−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)ピラジン−2(1H)−オン、
3−(3−フルオロフェニル)−1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}ピリジン−2(1H)−オン、
1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−3−(3−メチルフェニル)ピリジン−2(1H)−オン、
1’−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,3’−ビピリジン−2’(1’H)−オン、
1−({(2S)−1−[(2−メチル−5−フェニル−1,3−チアゾール−4−イル)カルボニル]ピロリジン−2−イル}メチル)−3−フェニルピリジン−2(1H)−オン、
1−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−3−フェニルピリジン−2(1H)−オン、
1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−3−フェニルピリジン−2(1H)−オン。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載の化合物、又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項6】
請求項1〜4いずれか1項に記載の化合物、又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する睡眠障害、うつ病、不安渉外、パニック渉外、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、又は高血圧の疾患の治療又は予防薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレキシン(OX)受容体拮抗作用を有する化合物及びその医薬上許容される塩、並びにそれらを有効成分として含有する睡眠障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、高血圧等の疾患の治療又は予防薬に関する。
【背景技術】
【0002】
オレキシンは、視床下部外側野に特異的に発現するプレプロオレキシンからスプライシングされる神経ペプチドである。これまでに、33個のアミノ酸からなるOX−Aおよび28個のアミノ酸からなるOX−Bが同定されており、これらはいずれも睡眠・覚醒パターンの調節や摂食の調節に深く関与している。
【0003】
OX−AおよびOX−Bは、いずれもOX受容体に作用する。OX受容体は、これまでにOX1およびOX2受容体の2つのサブタイプがクローニングされており、いずれも主として脳内に発現する7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体であることが知られている。OX1受容体は、Gタンパク質サブクラスのうちGqと特異的に共役しており、一方でOX2受容体はGqおよびGi/oに共役している(非特許文献1及び非特許文献2参照)。
OX受容体のサブタイプによって組織分布は異なっており、OX1受容体はノルアドレナリン作動性神経の起始核である青斑核、OX2受容体はヒスタミン神経の起始核である結節乳頭核に高密度に発現している(非特許文献3、非特許文献4及び非特許文献5参照)。セロトニン神経の起始核である縫線核や、ドパミン神経の起始核である腹側被蓋野にはOX1受容体とOX2受容体両方の発現がみられる(非特許文献3参照)。オレキシン神経は脳幹と視床下部のモノアミン神経系に投射し、それらの神経に対して興奮性の影響を与えており、さらにREM睡眠の制御に関わる脳幹のアセチルコリン神経にもOX2受容体の発現がみられ、これらの神経核の活性にも影響を及ぼしている(非特許文献3及び非特許文献4参照)。
【0004】
近年、OX1およびOX2受容体と睡眠・覚醒調節との関連が注目されており、OX受容体拮抗作用を有する化合物の有用性が研究されている。OX−Aをラットの脳室内に投与すると、自発運動量の亢進(非特許文献6及び非特許文献7参照)、常同行動の亢進(非特許文献7参照)、覚醒時間の延長(非特許文献6参照)などが認められる。OX−Aの投与によるREM睡眠時間の短縮作用は、OX受容体拮抗物質の前処置により完全に拮抗される(非特許文献8参照)。さらに、経口投与が可能なOX1およびOX2受容体を同程度に拮抗する物質の投与により、運動量の減少、入眠潜時の短縮、non−REM睡眠量およびREM睡眠の増加が報告されている(非特許文献9および非特許文献10参照)。
OX受容体拮抗作用化合物として、特許文献1、2には種々のヘテロ芳香環を有する化合物が開示されているが、本願記載のオキソ複素環を有する化合物についての開示はない。また、OX受容体拮抗作用化合物としては、例えば総説として非特許文献11に記載の種々の構造を有する化合物が知られているが、本願記載のオキソ複素環を有する化合物についての開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2003/002559号公報
【特許文献2】WO2010/044054号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Zhu Y et al., J. Pharmacol. Sci., 92, 259-266, 2003.
【非特許文献2】Zeitzer JM et al., Trends Pharmacol. Sci., 27, 368-374, 2006.
【非特許文献3】Marcus JN et al., J. Comp. Neurol, 435, 6-25, 2001.
【非特許文献4】Trivedi JP et al., FEBS Lett, 438, 71-75, 1998.
【非特許文献5】Yamanaka A et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 290, 1237-1245, 2002.
【非特許文献6】Hagan JJ et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 10911-10916, 1999.
【非特許文献7】Nakamura T et al., Brain Res., 873, 181-187, 2000.
【非特許文献8】Smith MI et al., Neurosci. Lett., 341, 256-258, 2003.
【非特許文献9】Brisbare-Roch C et al., Nat. Med., 13, 150-155, 2007.
【非特許文献10】Cox CD et al., J. Med. Chem., 53, 5320-5332, 2010.
【非特許文献11】John G et al., ChemMedChem., 5, 1197-1214, 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、OX受容体拮抗作用を有する新規化合物を見出し、睡眠障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、高血圧等の疾患の治療又は予防薬を提供することにある。さらに詳しくは、優れたOX受容体拮抗作用と共に優れた薬物動態及び安全性を示す新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはオレキシン受容体に対し拮抗作用を有する新規な骨格の化合物につき鋭意検討した結果、下記に示す式で表されるある種のオキサゾリジン及びオキサジナン誘導体に優れたOX受容体拮抗作用があることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の態様(以下、「本発明化合物」という)は以下に示すものである。
(1)式(I)
【0009】
【化1】
【0010】
(式中Aは下記式群(II)のいずれかを示し、
【0011】
【化2】
【0012】
Bは下記式群(III)のいずれかを示し、
【0013】
【化3】
【0014】
1は水素原子、C1-6アルキル基(該C1-6アルキル基はC3-6シクロアルキル基で置換されてもよい)、又はC3-6シクロアルキル基を示し、
2は水素原子、又はC1-6アルキル基を示し、
又はR1及びR2は、隣接する窒素原子及び炭素原子と一緒になって5〜6員の含窒素飽和環(該5〜6員の含窒素飽和環は1個のヒドロキシ基で置換されてもよい。)を形成してもよく、
3は水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、又はC1-6アルコキシ基を示し、
4はアリール基、ヘテロアリール基(該アリール基、及びヘテロアリール基はハロゲン原子、及びC1-6アルキル基からなる群より選ばれる1〜2個の基で置換されてもよい。)、C3-6シクロアルキル基、又はC1-6アルコキシ基を示し、
5はアリール基、ヘテロアリール基(該アリール基、及びヘテロアリール基はハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロC1-6アルキル基、及びC1-6アルコキシ基からなる群より選ばれる1〜2個の基で置換されてもよい。)、ハロゲン原子、又はハロC1-6アルキル基を示し、
6は水素原子、ハロゲン原子、又はC1-6アルキル基を示し、
Xは窒素原子、又は式CHを示す)で表される化合物又はその医薬上許容される塩。
(2)上記(1)における式(I)が式(IV)
【0015】
【化4】
【0016】
(式中、
mは1又は2を示し、
その他の記号は(1)と同義である)で表される(1)に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
(3)上記式(IV)において
Aが下記式群(IIa)のいずれかを示し、
【0017】
【化5】
【0018】
3がC1-6アルキル基であり、
4がフェニル基、トリアゾリル基、ピリミジニル基(該フェニル基、トリアゾリル基、及びピリミジニル基はハロゲン原子、及びC1-6アルキル基からなる群より選ばれる1〜2個の基で置換されてもよい。)で表される(2)に記載の化合物又はその医薬上許容される塩。
(4)上記(1)に記載される下記化合物群及びその医薬上許容される塩から選ばれるいずれか1種又は2種以上の混合物。
2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−(3−メチルフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(3−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(3−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−{[(2S)−1−{[5−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3−フルオロフェニル)−2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(4−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[6−メチル−3−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
3−(4−フルオロフェニル)−1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}ピリジン−2(1H)−オン、
5−フルオロ−3−(4−フルオロフェニル)−1−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)ピリジン−2(1H)−オン、
1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−3−フェニルイミダゾリジン−2−オン、
1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−3−フェニルピラジン−2(1H)−オン、
2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−4−フェニルピリダジン−3(2H)−オン、
4−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−4−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
3−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−5−フェニルピリミジン−4(3H)−オン、
4−(4−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−(3−メトキシフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−(4−フルオロフェニル)−4−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピペリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピペリジン−2−イル}メチル)−4−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(3−フルオロフェニル)−2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピペリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(4−フルオロフェニル)−2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピペリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−2−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピペリジン−2−イル}メチル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン、
3−(4−フルオロフェニル)−1−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)ピラジン−2(1H)−オン、
3−(3−フルオロフェニル)−1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}ピリジン−2(1H)−オン、
1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−3−(3−メチルフェニル)ピリジン−2(1H)−オン、
1’−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,3’−ビピリジン−2’(1’H)−オン、
1−({(2S)−1−[(2−メチル−5−フェニル−1,3−チアゾール−4−イル)カルボニル]ピロリジン−2−イル}メチル)−3−フェニルピリジン−2(1H)−オン、
1−({(2S)−1−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル}メチル)−3−フェニルピリジン−2(1H)−オン、
1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−3−フェニルピリジン−2(1H)−オン。
(5)上記(1)〜(4)いずれか1つに記載の化合物、又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する医薬。
(6)上記(1)〜(4)いずれか1つに記載の化合物、又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する睡眠障害、うつ病、不安渉外、パニック渉外、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、又は高血圧の疾患の治療又は予防薬。
【発明の効果】
【0019】
本発明のオキソ複素環誘導体はOX受容体に対して親和性を示すと共に生理的リガンドによる受容体への刺激に対して拮抗作用を示すことが明らかになった。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において用いる用語は、以下の意味である。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
「C1-6アルキル基」とは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルキル基を意味し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル基等を挙げることができる。
「C1-6アルコキシ基」とは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルコキシ基を意味し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、1−エチルプロポキシ、n−ヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
「C3-6シクロアルキル基」とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
「ハロC1-6アルキル基」とは、ハロゲン原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルキル基を意味し、ハロゲン原子の好ましい置換数は1〜3個であり、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基等を挙げることができる。
「アリール基」とは、単環又は2環式の芳香族炭化水素基であり、フェニル、ナフチル基等を挙げることができる。
「ヘテロアリール基」とは、1個以上の窒素原子と1〜5個の炭素原子からなる6員環のヘテロアリール及び1個以上の窒素原子と1〜4個の炭素原子からなる5員環のヘテロアリールを意味し、例えばピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル基等を挙げることができる。
「5〜6員の含窒素飽和環」とは、環中に1個以上の窒素原子を含む5〜6員の飽和環であり、ピロリジン、ピペリジン等を挙げることができる。
本明細書中における「睡眠障害」とは、入眠時、睡眠持続相又は覚醒時の障害であり、例えば、不眠症等を挙げることができる。また、不眠症の分類としては、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害等を挙げることができる。
【0021】
本明細書中における「医薬上許容される塩」とは、薬剤的に許容することのできる酸付加塩を意味し、用いられる酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸等の無機酸との塩、或いは、酢酸、安息香酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、マロン酸、マンデル酸、グルコン酸、ガラクタル酸、グルコヘプトン酸、グリコール酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸等の有機酸との塩が含まれる。遊離体から当該塩への変換は従来の方法で行うことができる。
【0022】
本発明化合物において、好ましい態様を以下にあげる。
1、R2はC1-6アルキル基である化合物、又はR1及びR2が、隣接する窒素原子及び炭素原子と一緒になって5〜6員の含窒素飽和環を形成する化合物が好ましく、R1及びR2が、隣接する窒素原子及び炭素原子と一緒になって5〜6員の含窒素飽和環を形成する化合物がより好ましい。
3はC1-6アルキル基である化合物が好ましく、メチル基である化合物がより好ましい。
4はフェニル基、トリアゾリル基、又はピリミジニル基である化合物が好ましく、フェニル基、又はトリアゾリル基である化合物がより好ましい。
5はフェニル基、又はピリジル基である化合物が好ましく、
6は水素原子である化合物が好ましい。
なお、本発明化合物が水和物又は溶媒和物を形成する場合、それらも本発明の範囲内に含まれる。同様に、本発明化合物の水和物又は溶媒和物の医薬上許容される塩も本発明の範囲内に含まれる。
【0023】
本発明の化合物は、エナンチオマー、ジアステレオマー、平衡化合物、これらの任意の割合の混合物、ラセミ体等を全て含む。
本発明に係る化合物には、一つ以上の水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子が放射性同位元素や安定同位元素と置換された化合物も含まれる。これらの標識化合物は、代謝や薬物動態研究、受容体のリガンド等として生物学的分析等に有用である。
本発明に係る化合物は、経口又は非経口的に投与することができる。その投与剤型は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、トローチ剤、軟膏剤、クリーム剤、皮膚貼付剤、乳剤、懸濁剤、坐剤、注射剤等であり、いずれも慣用の製剤技術(例えば、第15改正日本薬局方に規定する方法等)によって製造することができる。これらの投与剤型は、患者の症状、年齢、体重、及び治療の目的に応じて適宜選択することができる。
これらの製剤は、本発明の化合物を含有する組成物に薬理学的に許容されるキャリヤー、すなわち、賦形剤(例えば、結晶セルロース、デンプン、乳糖、マンニトール)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、その他薬理学的に許容される各種添加剤を配合し、製造することができる。
本発明の化合物は、成人患者に対して1回の投与量として0.001〜500mgを1日1回又は数回に分けて経口又は非経口で投与することが可能である。なお、この投与量は治療対象となる疾病の種類、患者の年齢、体重、症状等により適宜増減することができる。
【0024】
本発明の化合物(I)の代表的な製造法を以下のスキームA〜Nに示す。以下の方法は、本発明化合物の製造法の例示であり、これに限定されるものではない。なお、以下の製造法の例示において、化合物は反応に支障にならない塩を形成していてもよい。
スキームA
【0025】
【化6】
【0026】
(式中、X1は、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を示し、その他の記号は前記と同義である。)
式(I−a)で表される本発明化合物は、スキームAに示す方法で製造することができる。
工程A−1:化合物(2)は化合物(1)のt−ブトキシカルボニル基(Boc基)の脱保護により得ることができる。工程A−1における反応はメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、水またはそれらの混合系溶媒中、塩酸、トリフルオロ酢酸等で処理する条件で実施できる。本反応は0℃〜80℃で行うことができる。
工程A−2:化合物(4)は化合物(2)とカルボン酸(3)の縮合反応により得ることができる。工程A−2における反応は一般的なカルボン酸のアミド化の方法により実施できる。例えばカルボン酸(3)をカルボン酸クロリドやカルボン酸ブロミド等のカルボン酸ハライドに導いた後に化合物(2)と反応させる方法、カルボン酸(3)を脱水縮合剤存在下、化合物(2)と反応させる方法等が挙げられる。これらの反応は全て塩基の存在下又は非存在下、溶媒中で行うことができる。本反応で用いられるハロゲン化剤として、塩化チオニル、塩化オキサリル、オキシ塩化リン又はオキシ臭化リン等を挙げることができる。また、本反応で用いられる脱水縮合剤としては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩、[O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート]、プロパンホスホニックアシッドアンハイドライド、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)4−メチルモルホリニウムクロライド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルホスホニルアジド、カルボニルジイミダゾール等が挙げられ、必要に応じて1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシスクシンイミド等の活性化剤を用いることができる。本反応で用いられる溶媒としては、テトラヒドロフランや1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、又はそれらの混合溶媒が挙げられる。本反応で用いられる塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機アミン類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。本反応は通常0℃〜150℃、好ましくは0℃〜80℃で行うことができる。
工程A−3:化合物(5)は化合物(4)のヒドロキシ基を、X1に変換することにより得ることができる。工程A−3における反応としては例えばクロロ化、ブロモ化、ヨード化、メタンスルホニルオキシ化、p−トルエンスルホニルオキシ化等が挙げられる。クロロ化反応の例としては、例えば塩化メタンスルホニル等を用いて脱離基とした後、塩素原子で置換する方法が挙げられる。更に四塩化炭素とトリフェニルホスフィンを用いる方法、塩化チオニルやオキシ塩化リンを用いる方法等が挙げられる。この際、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩化物を添加しても良い。ブロモ化反応の例としては、例えば四臭化炭素とトリフェニルホスフィンを用いる方法が挙げられる。ヨード化反応の例としては、例えばヨウ素、トリフェニルホスフィン及びイミダゾールを用いる方法が挙げられる。メタンスルホニルオキシ化、p−トルエンスルホニルオキシ化は、それぞれ例えば塩化メタンスルホニル、塩化p−トルエンスルホニル等を用いて行うことができる。これらの反応の際、適当な塩基を添加しても良い。添加する塩基の例としては、例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基類、又は例えば炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられる。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフランや1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、又はそれらの混合溶媒中、反応は−80℃付近〜溶媒の沸点付近の温度条件下にて行うことができる。
工程A−4:本発明化合物(I−a)は化合物(5)と化合物(6)の反応により得ることができる。工程A−4における反応は、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフランや1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド、水、又はそれらの混合溶媒中、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の低級アルコキシド等の有機塩基存在下、−80℃付近〜溶媒の沸点付近の温度条件下にて進行する。
スキームB
【0027】
【化7】
【0028】
(式中、記号は前記と同義である。)
本発明化合物(I−a)は別法としてスキームBに示す方法でも製造することができる。
工程B−1:化合物(7)は化合物(1)のヒドロキシ基をX1に変換することにより得ることができる。工程B−1における反応は工程A−3と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程B−2:化合物(8)は化合物(7)と化合物(6)の反応により得ることができる。工程B−2における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程B−3:化合物(9)は化合物(8)のBoc基の脱保護により得ることができる。工程B−3における反応は工程A−1と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程B−4:本発明化合物(I−a)は化合物(3)と化合物(9)の縮合反応により得ることができる。工程B−4における反応は工程A−2と同様の反応条件に従って行なうことができる。
スキームC
【0029】
【化8】
【0030】
(式中、A1は下記式群(V)のいずれかを示し、
2は、ハロゲン原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を示し、X3は、ボロン酸、ボロン酸エステル又はトリアルキルスズを示す。その他の記号は前記と同義である。)
本発明化合物(I−a)は別法としてスキームCに示す方法でも製造することができる。
工程C−1:化合物(11)は化合物(9)とカルボン酸(10)の縮合反応により得ることができる。工程C−1における反応は工程A−2と同様の反応条件に従って行なうことができる。
工程C−2:本発明化合物(I−a)は化合物(11)と化合物(12)のSuzukiカップリング反応又はStilleカップリング反応により得ることができる。工程C−2におけるSuzukiカップリング反応は、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、水、又はそれらの混合溶媒中、パラジウム触媒存在下、有機ホウ素化合物である化合物(12)と反応させて得ることができる。Suzukiカップリング反応に関する包括的概観は、例えばChem. Rev. 1995, 95, 2457-2483などに見出し得る。また工程C−2におけるStilleカップリング反応はN,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、又はそれらの混合溶媒中、パラジウム触媒存在下、有機スズ化合物である化合物(12)と反応させて得ることができる。Stilleカップリング反応に関する包括的概観は、例えばAngew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 4704などに見出し得る。
スキームD
【0031】
【化9】
【0032】
(式中、記号は前記と同義である。)
工程D−1:式(I−b)で表される本発明化合物は、化合物(5)と化合物(13)の反応により得ることができる。工程D−1における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームE
【0033】
【化10】
(式中、記号は前記と同義である。)
本発明化合物(I−b)は別法としてスキームEに示す方法でも製造することができる。
工程E−1:化合物(14)は化合物(7)と化合物(13)の反応により得ることができる。工程E−1における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程E−2:化合物(15)は化合物(14)のBoc基の脱保護により得ることができる。工程E−2における反応は工程A−1と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程E−3:本発明化合物(I−b)は化合物(15)とカルボン酸(3)の縮合反応により得ることができる。工程E−3における反応は工程A−2と同様の反応条件に従って行なうことができる。
スキームF
【0034】
【化11】
【0035】
(式中、記号は前記と同義である。)
本発明化合物(I−b)は別法としてスキームFに示す方法でも製造することができる。
工程F−1:化合物(17)は化合物(7)と化合物(16)の反応により得ることができる。工程F−1における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程F−2:化合物(18)は化合物(17)のBoc基の脱保護により得ることができる。工程F−2における反応は工程A−1と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程F−3:化合物(19)は化合物(18)とカルボン酸(3)の縮合反応により得ることができる。工程F−3における反応は工程A−2と同様の反応条件に従って行なうことができる。
工程F−4:本発明化合物(I−b)は化合物(19)と化合物(20)のSuzukiカップリング反応又はStilleカップリング反応により得ることができる。工程F−4における反応は工程C−2と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームG
【0036】
【化12】
【0037】
(式中、記号は前記と同義である。)
本発明化合物(I−b)は別法としてスキームGに示す方法でも製造することができる。
工程G−1:化合物(21)は化合物(15)とカルボン酸(10)の縮合反応により得ることができる。工程G−1における反応は工程A−2と同様の反応条件に従って行なうことができる。
工程G−2:本発明化合物(I−b)は化合物(21)と化合物(12)のSuzukiカップリング反応又はStilleカップリング反応により得ることができる。工程G−2における反応は工程C−2と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームH
【0038】
【化13】
【0039】
(式中、記号は前記と同義である。)
式(I−c)で表される本発明化合物は、スキームHに示す方法で製造することができる。
工程H−1:本発明化合物(I−c)は化合物(5)と化合物(22)の反応により得ることができる。工程H−1における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームI
【0040】
【化14】
【0041】
(式中、記号は前記と同義である。)
式(I−d)で表される本発明化合物は、スキームIに示す方法で製造することができる。
工程I−1:本発明化合物(I−d)は化合物(5)と化合物(23)の反応により得ることができる。工程I−1における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームJ
【0042】
【化15】
【0043】
(式中、記号は前記と同義である。)
式(I−e)で表される本発明化合物は、スキームJに示す方法で製造することができる。
工程J−1:本発明化合物(I−e)は化合物(5)と化合物(24)の反応により得ることができる。工程J−1における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームK
【0044】
【化16】
【0045】
(式中、記号は前記と同義である。)
本発明化合物(I−e)は別法としてスキームKに示す方法でも製造することができる。
工程K−1:化合物(25)は化合物(7)と化合物(24)の反応により得ることができる。工程K−1における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程K−2:化合物(26)は化合物(25)のBoc基の脱保護により得ることができる。工程K−2における反応は工程A−1と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程K−3:本発明化合物(I−e)は化合物(26)とカルボン酸(3)の縮合反応により得ることができる。工程K−3における反応は工程A−2と同様の反応条件に従って行なうことができる。
スキームL
【0046】
【化17】
【0047】
(式中、記号は前記と同義である。)
式(I−f)で表される本発明化合物は、スキームLに示す方法で製造することができる。
工程L−1:本発明化合物(I−f)は化合物(5)と化合物(27)の反応により得ることができる。工程L−1における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームM
【0048】
【化18】
【0049】
(式中、記号は前記と同義である。)
本発明化合物(I−f)は別法としてスキームMに示す方法でも製造することができる。
工程M−1:化合物(28)は化合物(7)と化合物(27)の反応により得ることができる。工程M−1における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程M−2:化合物(29)は化合物(28)のBoc基の脱保護により得ることができる。工程M−2における反応は工程A−1と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程M−3:本発明化合物(I−f)は化合物(29)とカルボン酸(3)の縮合反応により得ることができる。工程M−3における反応は工程A−2と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームN
【0050】
【化19】
【0051】
(式中、記号は前記と同義である。)
工程N−1:化合物(31)は化合物(7)と化合物(30)の反応により得ることができる。工程N−1における反応は工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程N−2:化合物(32)は化合物(31)のBoc基の脱保護により得ることができる。工程N−2における反応は工程A−1と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程N−3:本発明化合物(I−g)は化合物(32)と化合物(3)の縮合反応により得ることができる。工程N−3における反応は工程A−2と同様の反応条件に従って行うことができる。
【実施例】
【0052】
以下、参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0053】
以下の参考例及び実施例においてカラムクロマトグラフィーを使用して精製した際の「KP−Sil」にはBiotage社SNAPCartridge KP−Sil、「HP−Sil」にはBiotage社SNAPCartridge HP−Sil、「SNAP Ultra」にはBiotage社SNAPCartridge SNAP Ultra、「KP−NH」にはBiotage社SNAPCartridge KP−NH、「Grace」にはGrace社Reveleris Silica Flash Cartridge、「Grace NH」にはGrace社Reveleris Amino Flash Cartridgeを使用した。
【0054】
以下の参考例及び実施例の後処理操作の際の「ISOLUTE Phase Separator」にはBiotage社ISOLUTE Phase Separatorを使用した。
【0055】
以下の参考例および実施例において、分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製は以下の条件により行った。ただし、塩基性官能基を有する化合物の場合、本操作でトリフルオロ酢酸を用いたときには、フリー体を得るための中和操作等を行う場合がある。
機械:Gilson社 preparative HPLC system
カラム:資生堂 Capcelpak C18 MGII 5μm 20×150mm
溶媒:A液;0.1%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=90/10)、22分(A液/B液=20/80)、25分(A液/B液=10/90)
流速:20mL/min、検出法:UV 254nm
【0056】
以下の参考例および実施例において、高速液体クロマトグラフィーマススペクトル(LCMS)は以下の3種類の条件のいずれかにより測定した。
条件1
測定機械:MicroMass社 Platform LCおよびAgilent社 Agilent1100
カラム:Waters社 SunFire C18 2.5μm4.6x50mm
溶媒:0.1%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=90/10)、0.5分(A液/B液=90/10)、5.5分(A液/B液=20/80)、6.0分(A液/B液=1/99)、6.3分(A液/B液=1/99)
流速:1mL/min、検出法:254nm
イオン化法:エレクトロンスプレー法(ESI:Electron Spray Ionization)
条件2
測定機械:SHIMADZU社 LCMS−2010EV
カラム:SHIMADZU社 Shimpack XR−ODS 2.2μm 2.0x30mm
溶媒:A液0.1%ギ酸含有水、B液;0.1%ギ酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=90/10)、3.0分(A液/B液=0/100)
流速:0.6mL/min、検出法:254nm
イオン化法:エレクトロンスプレー法(ESI:Electron Spray Ionization)及び大気圧化学イオン法(APCI:Atomospheric Pressure Chemical Ionization)
条件3
測定機械:Agilent社 Agilent2900及びAgilent6150
カラム:Waters社 Acquity CSH C18 1.7μm 2.1x50mm
溶媒:A液;0.1%ギ酸含有水、B液;0.1%ギ酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=80/20)、1.2〜1.4分(A液/B液=1/99)
流速:0.8mL/min、検出法:UV 254nm
イオン化法:電子衝撃イオン化法(ESI:Electron Spray Ionization)
【0057】
以下の参考例および実施例において、マススペクトル(MS)は以下の条件により測定した。
MS測定機器:島津社LCMS−2010EVあるいはmicromass社 Platform LC
以下の参考例および実施例において、化合物名はACD/Name (ACD/Labs 12.01, Advanced Chemistry Development Inc.)により命名した。
【0058】
参考例及び実施例中、以下の用語及び試薬は下記のように表記した。
MeOH(メタノール)、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、MeCN(アセトニトリル)、EtOAc(酢酸エチル)、CHCl3(クロロホルム)、HATU[O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート]、Pd(PPh34[テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)]、brine(飽和食塩水)、DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)、TEA(トリエチルアミン)、TBME(tert−ブチルメチルエーテル)。
【0059】
参考例1 5−(3−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸
【0060】
【化20】
【0061】
3−フルオロベンズアルデヒド(10.0g、80.6mmol)とメチルジクロロアセテート(10.8ml、104mmol)のTBME(60ml)溶液にナトリウムメトキシド(5.44g、101mmol)を少量ずつ加えた後、65℃で7時間、75℃で14.5時間攪拌した。室温で放冷後、反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣のアセトニトリル溶液(60ml)にチオアセトアミド(2.42g、32.2mmol)を加えた後、70℃で2時間攪拌した。室温で放冷後、析出物を濾取し、アセトニトリルで洗浄、減圧加熱乾燥した。得られた固体のメタノール(30ml)懸濁溶液を75℃で2時間攪拌した。そこに1mol/L水酸化ナトリウム(90ml)水溶液を加え、50℃で1.5時間攪拌した。室温で放冷後、反応液を減圧下溶媒留去した。得られた溶液に1mol/L塩酸を加えて、pH=3〜4に調整し、析出物を濾取、水で洗浄、減圧加熱乾燥することにより表題化合物(4.46g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 238 [M+H]+
【0062】
参考例2〜5を参考例1と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
参考例6 5−ブロモ−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸
【0065】
【化21】
【0066】
2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチル(3.0g、17.5mmol)のアセトニトリル(50ml)溶液にN−ブロモスクシイミド(4.7g、26.3mmol)を加え、加熱還流して2時間攪拌した。さらにN−ブロモスクシイミド(1.6g、8.8mmol)を加え、加熱還流して6時間攪拌した。室温で放冷後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 100g、hexane/EtOAc=80/20〜30/70)にて精製することにより5−ブロモ−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチル(1.50g)を得た。得られた5−ブロモ−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチル(1.0g、3.9mmol)のエタノール(10m)溶液に2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(5ml)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去後、得られた残渣に1.2mol/L塩酸を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去することにより表題化合物(0.6g)を得た(黄色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 222 [M+H]+
【0067】
参考例7 2−メチル−5−(ピリミジン−2−イル)−1,3−チアゾール−4−カルボン酸
【0068】
【化22】
【0069】
参考例6で中間体として得られた5−ブロモ−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチル(0.3g、1.20mmol)のDMF(15ml)溶液に2−(トリブチルスタンナニル)ピリミジン(0.58g、1.20mmol)、Pd(PPh34(0.14g、0.12mmol)、ヨウ化銅(0.022g、0.12mmol)とフッ化セシウム(0.37g、2.40mmol)を加え、マイクロウェーブ照射下130℃で0.5時間加熱撹拌した。反応混合物にフッ化カリウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をフッ化カリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(HP−Sil 10g、hexane/EtOAc=80/20〜0/100)にて精製することにより2−メチル−5−(ピリミジン−2−イル)−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチル(0.17g)を得た。得られた2−メチル−5−(ピリミジン−2−イル)−1,3−チアゾール−4−カルボン酸エチルのエタノール(5ml)溶液に2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を加え、80℃で1時間攪拌した。室温で放冷後、反応液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣に水、酢酸エチルを加え、しばらく攪拌後、水層のみ取り出した。水層に1.2mol/L塩酸を加え、pH=1〜2に調整後、酢酸エチルを用いて2回抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去することにより表題化合物(0.020g)を得た(橙色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 222 [M+H]+
【0070】
参考例8 5−メチル−2−(ピリジン−2−イル)安息香酸メチル
【0071】
【化23】
【0072】
5−メチル−2−ヨード安息香酸メチル(0.50g、1.81mmol)、2−(トリブチルスタンナニル)ピリジン(0.87g、2.35mmol)を出発原料として参考例7と同様の方法により表題化合物(0.47g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 228 [M+H]+
【0073】
参考例9 5−メチル−2−(ピリジン−2−イル)安息香酸
【0074】
【化24】
【0075】
参考例9で得られた5−メチル−2−(ピリジン−2−イル)安息香酸メチル(0.47g、2.07mmol)のトルエン(5ml)溶液に濃塩酸(2.5ml)を加え、100℃で2日間攪拌した。室温で放冷後、反応液を減圧下溶媒留去することにより表題化合物(0.44g)を得た(紫色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 214 [M+H]+
【0076】
参考例10 3−(2−フルオロフェニル)−6−メチルピリジン−2−カルボニトリル
【0077】
【化25】
【0078】
3−ブロモ−6−メチルピリジン−2−カルボニトリル(0.20g、1.02mmol)のトルエン(1.5ml)溶液に2−フルオロフェニルボロン酸(0.17g、1.22mmol)、Pd(PPh34(0.059g、0.051mmol)、2mol/L炭酸ナトリウム水溶液(1.5ml、3.06mmol)を加え、90℃で23時間攪拌した。室温で放冷後、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−NH 11g、hexane/EtOAc=95/5)にて精製することにより表題化合物(0.050g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 213 [M+H]+
【0079】
参考例11 3−(2−フルオロフェニル)−6−メチルピリジン−2−カルボン酸
【0080】
【化26】
【0081】
参考例9で得られた3−(2−フルオロフェニル)−6−メチルピリジン−2−カルボニトリル(0.050g、0.24mmol)のエタノール(2ml)溶液に1mol/L水酸化カリウム水溶液(2.5ml、2.50mmol)を加え、90℃で42時間攪拌した。室温で放冷後、反応液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣に水、酢酸エチルを加え、しばらく攪拌後、水層のみ取り出した。水層に1mol/L塩酸を加え、pH=3〜4に調整後、クロロホルム:メタノール=9:1を用いて5回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去することにより表題化合物(0.033g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 232 [M+H]+
【0082】
参考例12 4−(3−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン
【0083】
【化27】
【0084】
カルバジン酸エチル(5.0g、48.0mmol)にオルトギ酸エチル(50ml)を加え、90℃で3日間攪拌した。室温で放冷後、反応液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をジエチルエーテルで再結晶することにより2−(エトキシメチリデン)ヒドラジンカルボン酸エチル(3.6g)を得た。3−フルオロアニリン(0.4g、3.6mmol)のエタノール(40ml)溶液に得られた2−(エトキシメチリデン)ヒドラジンカルボン酸エチル(2.9g、18.0mmol)を加え、50℃で4時間攪拌した。そこにメタノール(20ml)、28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液(10ml)を加え、75℃で4時間攪拌した。室温で放冷後、反応液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣にジエチルエーテルを加え、室温でしばらく攪拌後、析出した固体を濾取、減圧加熱乾燥することにより表題化合物(0.29g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 180 [M+H]+
【0085】
参考例13〜19を参考例12と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
参考例20 2−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン
【0088】
【化28】
【0089】
フェニルヒドラジン(5.0g、46.0mmol)のtert−ブチルアルコール(20ml)溶液に氷冷下、36%ホルムアルデヒド水溶液(4.0g、49.0mmol)、酢酸(0.01ml、0.18mmol)を加え、15分間攪拌した。次に反応液に氷冷下、シアン酸カリウム(4.1g、51.0mmol)の水溶液(10ml)、酢酸(3.4ml、61.2mmol)を順次滴下し、室温に昇温後、2時間攪拌した。再度氷冷した後、10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(35g)を滴下して1時間攪拌、室温に昇温して5時間攪拌した。析出した固体を濾別後、濾液は酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。濾別した固体と濾液から得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製することにより表題化合物(1.0g)を得た(褐色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 162 [M+H]+
【0090】
参考例21 2−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン
【0091】
【化29】
【0092】
4−フルオロフェニルヒドラジン1塩酸塩(5.0g、30.8mmol)を原料として参考例20と同様の方法により表題化合物(1.05g)を得た(褐色固体)。
MS (ESI neg.) m/z : 178 [M-H]-
【0093】
参考例22 3−(4−フルオロフェニル)ピラジン−2(1H)−オン
【0094】
【化30】
【0095】
2−アミノ−2−(4−フルオロフェニル)アセトアミド(2.69g、16.0mmol)のメタノール(27ml)溶液に6mol/L水酸化ナトリウム水溶液(4.0ml、24.0mmol)を加えた後、氷冷下、40%グリオキサール水溶液(2.8ml、24.0mmol)を滴下した。室温に昇温後、24時間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去後、得られた残渣に水を加え、クロロホルムを用いて抽出した。有機層はISOLUTE Phase Separatorを通し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄、濾取、減圧加熱乾燥することにより表題化合物(0.38g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 191 [M+H]+
【0096】
参考例23 5−クロロ−4−フェニルピリダジン−3(2H)−オン
【0097】
【化31】
【0098】
マグネシウム(1.3g、53.5mmol)にジエチルエーテル(30ml)とジブロモエタン(5滴)を加えて室温で30分間激しく攪拌した。そこに氷冷下、ブロモベンゼン(5.7g、36.3mmol)のジエチルエーテル(20ml)溶液を加え、1.5時間攪拌してフェニルマグネシウムブロミド溶液(グリニャール試薬)を調製した。4,5−ジクロロ−3(2H)−ピリダジノン(2.0g、12.1mmol)のTHF(30ml)溶液に氷冷下、調製したフェニルマグネシウムブロミド溶液を滴下し、氷冷下で5分間、室温に昇温して30分間攪拌した。反応液に氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を1mol/L塩酸、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 25g、hexane/EtOAc=80/20〜50/50)にて精製することにより表題化合物(1.28g)を得た(淡黄色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 207[M+H]+
【0099】
参考例24 5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)ピリダジン−3(2H)−オン
【0100】
【化32】
【0101】
4−フルオロヨードベンゼン(3.89g、17.5mmol)と4,5−ジクロロ−3(2H)−ピリダジノン(1.45g、8.76mmol)を原料として参考例23と同様の方法により表題化合物(0.28g)を得た(淡黄色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 225[M+H]+
【0102】
参考例25 4−フェニルピリダジン−3(2H)−オン
【0103】
【化33】
【0104】
参考例23で得られた5−クロロ−4−フェニルピリダジン−3(2H)−オン(0.69g、3.35mmol)のDMF(2.0ml)溶液に水酸化ナトリウム(0.34g、8.38mmol)の水溶液(9.2ml)、10%パラジウム−炭素(0.070g)を加え、水素雰囲気下、室温で13時間攪拌した。反応液をセライト(登録商標)ろ過し、濾液を1mol/L塩酸でpH=5〜6に調整後、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 10g、hexane/EtOAc=70/30〜25/75)にて精製することにより表題化合物(0.45g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 173[M+H]+
【0105】
参考例26 4−(4−フルオロフェニル)ピリダジン−3(2H)−オン
【0106】
【化34】
【0107】
参考例24で得られた5−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)ピリダジン−3(2H)−オン(0.28g、1.26mmol)を原料として参考例25と同様の方法により表題化合物(0.31g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 191[M+H]+
【0108】
参考例27 [5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル][(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]メタノン
【0109】
【化35】
【0110】
(S)−ピロリジンメタノール(0.81g、8.03mmol)のDMF(15ml)溶液に5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(1.40g、5.90mmol)、DIPEA(2.1ml、11.8mmol)、HATU(2.47g、8.83mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に水を加え、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去することにより表題化合物(1.89g)を得た(無色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 321[M+H]+
【0111】
参考例28〜32を参考例27と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】
参考例33 4−(3−フルオロフェニル)−2−[(2S)−ピロリジン−2−イルメチル]−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン 塩酸塩
【0114】
【化36】
【0115】
N−tert−ブトキシカルボニル−L−プロリノール(13g、64.6mmol)のクロロホルム(200ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(13.5ml、96.9mmol)、メタンスルホニルクロライド(5.2ml、67.8mmol)を加え、室温に昇温後、4時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去することにより(2S)−2−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(19g)を得た。参考例12で得られた4−(3−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(0.29g、1.60mmol)のDMF(15ml)溶液に炭酸セシウム(1.29g、4.00mmol)、得られた(2S)−2−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.5g、1.8mmol)のDMF(5ml)溶液を加え、80℃で15時間攪拌した。室温で放冷後、反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 10g、hexane/EtOAc=90/10〜0/100)にて精製することにより(2S)−2−{[4−(3−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]メチル}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.51g)を得た。得られた(2S)−2−{[4−(3−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]メチル}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.51g、1.40mmol)のクロロホルム(5ml)溶液に4mol/L塩酸−酢酸エチル溶液(5ml)を加え、室温で1時間攪拌した。反応溶液を減圧下溶媒留去後、得られた残渣をジエチルエーテル中で攪拌洗浄、濾取、減圧加熱乾燥することにより表題化合物(0.34g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 263[M+H]+
【0116】
参考例34〜55を参考例33と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表4−1〜4−3に示す。
【0117】
【表4-1】
【0118】
【表4-2】
【0119】
【表4-3】
【0120】
参考例56 {2−[4−(4−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]エチル}カルバミン酸tert−ブチル
【0121】
【化37】
【0122】
N−(2−ブロモエチル)カルバミン酸tert−ブチル(0.24g、1.07mmol)のDMF(5ml)溶液に4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(0.19g、1.07mmol)、炭酸セシウム(0.35g、1.07mmol)を加え、80℃で3時間攪拌した。室温で放冷後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 10g、hexane/EtOAc=70/30〜30/70)にて精製することにより表題化合物(0.27g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 345[M+Na]+
【0123】
参考例57 (シクロプロピルメチル){2−[4−(4−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]エチル}カルバミン酸tert−ブチル
【0124】
【化38】
【0125】
参考例56で得られた{2−[4−(4−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]エチル}カルバミン酸tert−ブチル(0.14g、0.44mmol)のDMF(2ml)懸濁溶液に氷冷下、水素化ナトリウム(0.026g、0.66mmol)を加え、15分間攪拌した。次に氷冷下、反応液にブロモメチルシクロプロパン(0.089g、0.66mmol)のDMF(1ml)溶液を加え、氷冷下で30分間、室温で70分間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−NH 11g、hexane/EtOAc=90/10〜70/30)にて精製することにより表題化合物(0.13g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 399[M+Na]+
【0126】
参考例58 (シクロプロピルメチル){(2S)−1−[4−(4−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]プロパン−2−イル}カルバミン酸tert−ブチル
【0127】
【化39】
【0128】
N−tert−ブトキシカルボニル−L−アラニノール(0.5g、2.90mmol)のクロロホルム(10ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(0.61ml、4.40mmol)、メタンスルホニルクロライド(0.23ml、3.00mmol)を加え、15分間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去することによりメタンスルホン酸 (2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]プロピル(0.72g)を得た。4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(0.26g、1.40mmol)のDMF(10ml)溶液に炭酸セシウム(0.90g、2.80mmol)と得られたメタンスルホン酸 (2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]プロピル(0.36g、1.40mmol)のDMF(2ml)溶液を加え、80℃で4時間攪拌した。室温で放冷後、反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 10g、hexane/EtOAc=80/20〜20/80)にて精製することにより{(2S)−1−[4−(4−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]プロパン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチル(0.33g)を得た。得られた{(2S)−1−[4−(4−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]プロパン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチル(0.045g、0.13mmol)のDMF(1ml)溶液に氷冷下、水素化ナトリウム(0.010g、0.20mmol)を加え、20分間攪拌した。次に反応液にブロモメチルシクロプロパン(0.027g、0.20mmol)を加え、氷冷下で70分間、室温で2.5時間、50℃で30分間攪拌した。室温で放冷後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−NH 11g、hexane/EtOAc=90/10〜80/20)にて精製することにより表題化合物(0.028g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 413[M+Na]+
【0129】
参考例59 {(2S)−1−[4−(4−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]プロパン−2−イル}メチルカルバミン酸tert−ブチル
【0130】
【化40】
【0131】
参考例58で中間体として得られた{(2S)−1−[4−(4−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]プロパン−2−イル}カルバミン酸 tert−ブチル(0.10g、0.297mmol)を原料としてヨウ化メチルを用い、参考例58と同様の方法により表題化合物(0.11g)を得た(淡黄色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 373[M+Na]+
【0132】
参考例60 2−{2−[(シクロプロピルメチル)アミノ]エチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン 塩酸塩
【0133】
【化41】
【0134】
参考例58で得られた(シクロプロピルメチル){2−[4−(4−フルオロフェニル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]エチル}カルバミン酸tert−ブチル(0.13g、0.35mmol)のメタノール(4ml)溶液に4mol/L塩酸−1,4−ジオキサン溶液(4ml)を加え、室温で3.5時間攪拌した。反応溶液を減圧下溶媒留去することにより表題化合物(0.10g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 277[M+H]+
【0135】
参考例61、62を参考例60と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表5に示す。
【0136】
【表5】
【0137】
参考例63 1−[2−(メチルアミノ)エチル]−3−フェニルピリジン−2(1H)−オン 塩酸塩
【0138】
【化42】
【0139】
2−ヒドロキシ−3−フェニルピリジン(0.50g、2.92mmol)のDMF(10ml)溶液に炭酸セシウム(1.90g、5.80mmol)、N−(2−ブロモエチル)カルバミン酸tert−ブチル(0.72g、3.21mmol)を加え、60℃で4時間、攪拌した。室温で放冷後、反応液に水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil、hexane/EtOAc=50/50〜0/100)で精製することにより[2−(2−オキソ−3−フェニルピリジン−1(2H)−イル)エチル]カルバミン酸 tert−ブチル(0.61g)を得た。得られた[2−(2−オキソ−3−フェニルピリジン−1(2H)−イル)エチル]カルバミン酸 tert−ブチル(0.20g、0.64mmol)のDMF(2ml)溶液に水素化ナトリウム(0.031g、0.76mmol)を加え、室温で20分間攪拌した。そこにヨウ化メチル(0.079ml、1.27mmol)を加え、30分間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣に4mol/L塩酸−酢酸エチル溶液(3ml)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去することにより表題化合物(0.26g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 229[M+H]+
【0140】
参考例64 1−[2−(シクロプロピルアミノ)エチル]−3−フェニルピリジン−2(1H)−オン 塩酸塩
【0141】
【化43】
【0142】
シクロプロピル−(2−ヒドロキシエチル)−カルバミン酸tert−ブチル(1.0g、4.97mmol)のクロロホルム(15ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(1.4ml、10.0mmol)、メタンスルホニルクロライド(0.4ml、5.22mmol)を加え、3時間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去後、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去することによりメタンスルホン酸 2−[(tert−ブトキシカルボニル)(シクロプロピル)アミノ]エチル(1.39g)を得た。2−ヒドロキシ−3−フェニルピリジン(0.34g、1.97mmol)のDMF(5ml)溶液に炭酸セシウム(1.17g、3.60mmol)、得られたメタンスルホン酸 2−[(tert−ブトキシカルボニル)(シクロプロピル)アミノ]エチル(0.50g、1.79mmol)を加え、100℃で4時間攪拌した。室温で放冷後、反応液に水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 25g)で精製することによりシクロプロピル[2−(2−オキソ−3−フェニルピリジン−1(2H)−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチルを得た。得られたシクロプロピル[2−(2−オキソ−3−フェニルピリジン−1(2H)−イル)エチル]カルバミン酸tert−ブチルに4mol/L塩酸−酢酸エチル溶液(1.5ml)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去後、ジエチルエーテルで洗浄、濾取、減圧加熱乾燥することにより表題化合物(0.10g)を得た(褐色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 255[M+H]+
【0143】
参考例65 2−({(2S)−1−[(5−ブロモ−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)カルボニル]ピロリジン−2−イル}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン
【0144】
【化44】
【0145】
参考例6で得られた5−ブロモ−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(0.41g、1.84mmol)のDMF(50ml)溶液に参考例34で得られた4−(4−フルオロフェニル)−2−[(2S)−ピロリジン−2−イルメチル]−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン 塩酸塩(0.50g、1.67mmol)、DIPEA(1.70ml、10.0mmol)、HATU(0.95g、2.50mmol)を加え、室温で6時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−NH 28g、hexane/EtOAc=90/10〜0/100)にて精製することにより表題化合物(0.64g)を得た(黄色アモルファス)。
MS (ESI pos.) m/z : 466[M+H]+
【0146】
参考例66〜68を参考例65と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表6に示す。
【0147】
【表6】
【0148】
参考例69 2−{[(2S)−1−{[5−(シクロヘキサ−1−エン−1−イル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン
【0149】
【化45】
【0150】
参考例65で得られた2−({(2S)−1−[(5−ブロモ−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)カルボニル]ピロリジン−2−イル}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(0.10g、0.21mmol)のエタノール(1ml)、トルエン(3ml)混合溶液に1−シクロヘキセン−1−イル−ボロン酸(0.041g、0.32mmol)、Pd(PPh34(0.024g、0.021mmol)、2mol/L炭酸ナトリウム水溶液(1.0ml)を加え、マイクロウェーブ照射下130℃で0.5時間加熱撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 25g、EtOAc/MeOH=100/0〜95/5)にて精製することにより表題化合物(0.050g)を得た(無色非晶質)。
MS (ESI pos.) m/z : 468[M+H]+
【0151】
実施例1 2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−フェニル−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン
【0152】
【化46】
【0153】
5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(0.085g、0.36mmol)のDMF(3ml)溶液に参考例46で得られた4−フェニル−2−[(2S)−ピロリジン−2−イルメチル]−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン 塩酸塩(0.10g、0.36mmol)、DIPEA(0.37ml、2.14mmol)、HATU(0.15g、0.39mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に水を加え、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil、hexane/EtOAc=50/50〜0/100)で精製することにより表題化合物(0.13g)を得た(無色油状物)。
LCMS retention time 4.93 min.(条件1)
MS (ESI pos.) m/z : 464 [M+H]+
【0154】
実施例2〜47を実施例1と同様の手法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名及びLCMSデータを表7−1〜7−6に示す。
【0155】
【表7-1】
【0156】
【表7-2】
【0157】
【表7-3】
【0158】
【表7-4】
【0159】
【表7-5】
【0160】
【表7-6】
【0161】
実施例48 4−(2−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン
【0162】
【化47】
【0163】
参考例27で得られた[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル][(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]メタノン(1.42g、4.43mmol)のクロロホルム(15ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(1.80ml、13.3mmol)、メタンスルホニルクロライド(0.34ml、4.43mmol)を加え、3時間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去後、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残留物(0.078g、0.20mmol)のDMF(3ml)溶液に4−(2−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(0.035g、0.20mmol)、炭酸セシウム(0.13g、0.39mmol)を加え、80℃で3時間攪拌した。室温で放冷後、反応液に水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで2回(KP−NH、hexane/EtOAc=80/20〜0/100)、(KP−Sil、hexane/EtOAc=80/20〜0/100)精製する事により表題化合物(0.023g)を得た(無色アモルファス)。
LCMS retention time 4.94 min.(条件1)
MS (ESI pos.) m/z : 482 [M+H]+
【0164】
実施例49〜65を実施例48と同様の手法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名及びLCMSデータを表8−1〜8−2に示す。
【0165】
【表8-1】
【0166】
【表8-2】
【0167】
実施例66 3−(2−メチルフェニル)−1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}ピリジン−2(1H)−オン
【0168】
【化48】
【0169】
参考例66で得られた3−ブロモ−1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}ピリジン−2(1H)−オン(0.10g、0.21mmol)の1,4−ジオキサン(3ml)溶液に2−メチルフェニルボロン酸(0.034g、0.25mmol)、Pd(PPh34(0.024g、0.021mmol)、2M 炭酸ナトリウム水溶液(0.4ml、0.63mmol)を加え、マイクロウェーブ照射下、130℃で0.5時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて2回抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−NH 11g、hexane/EtOAc=80/20〜0/100)にて精製することにより表題化合物(0.096g)を得た(無色アモルファス)。
LCMS retention time 5.62 min.(条件1)
MS (ESI pos.) m/z : 488 [M+H]+
【0170】
実施例67〜79を実施例66と同様の手法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名及びLCMSデータを表9−1〜9−2に示す。
【0171】
【表9-1】
【0172】
【表9-2】
【0173】
実施例80 4−(4−フルオロフェニル)−2−{[(2S)−1−{[2−メチル−5−(ピリジン−2−イル)−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン
【0174】
【化49】
【0175】
参考例65で得られた2−({(2S)−1−[(5−ブロモ−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)カルボニル]ピロリジン−2−イル}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(0.10g、0.21mmol)のDMF(3ml)溶液に2−(トリブチルスタンナニル)ピリジン(0.10g、0.28mmol)、Pd(PPh34(0.024g、0.021mmol)、ヨウ化銅(0.004g、0.021mmol)とフッ化セシウム(0.064g、0.42mmol)を加え、マイクロウェーブ照射下130℃で0.5時間加熱撹拌した。反応混合物にフッ化カリウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層をフッ化カリウム水溶液、水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−NH 10g、EtOAc)にて精製することにより表題化合物(0.020g)を得た(無色アモルファス)。
LCMS retention time 4.00 min.(条件1)
MS (ESI pos.) m/z : 465 [M+H]+
【0176】
実施例81 1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−3−(ピリミジン−2−イル)ピリジン−2(1H)−オン
【0177】
【化50】
【0178】
参考例66で得られた3−ブロモ−1−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}ピリジン−2(1H)−オン(0.10g、0.21mmol)と2−(トリブチルスタンナニル)ピリミジン(0.10g、0.27mmol)を用いて実施例80と同様の方法により表題化合物(0.023g)を得た(無色アモルファス)。
LCMS retention time 3.37 min.(条件1)
MS (ESI pos.) m/z : 476 [M+H]+
【0179】
実施例82 2−({(2S)−1−[(5−シクロヘキシル−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)カルボニル]ピロリジン−2−イル}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン
【0180】
【化51】
【0181】
参考例69で得られた2−{[(2S)−1−{[5−(シクロヘキサ−1−エン−1−イル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(0.050g、0.11mmol)のエタノール(2ml)溶液にパラジウム−炭素(0.010g)を加え、水素雰囲気下、室温で3日間攪拌した。窒素置換後、セライト(登録商標)ろ過し、濾液を減圧下溶媒留去することにより、表題化合物(0.040g)を得た。
LCMS retention time 5.65 min.(条件1)
MS (ESI pos.) m/z : 470 [M+H]+
【0182】
実施例83 1’−{[(2S)−1−{[5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]カルボニル}ピロリジン−2−イル]メチル}−2,3’−ビピリジン−2’(1’H)−オン
【0183】
【化52】
【0184】
N−tert−ブトキシカルボニル−L−プロリノール(2.0g、9.94mmol)のクロロホルム(20ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(1.66ml、11.9mmol)、メタンスルホニルクロライド(0.81ml、10.4mmol)を加え、室温に昇温後、3時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去することにより(2S)−2−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得た。2−ヒドロキシ−3−ピリジルピリジン(0.16g、0.93mmol)のDMF(5ml)溶液に炭酸セシウム(0.67g、2.10mmol)、得られた(2S)−2−{[(メチルスルホニル)オキシ]メチル}ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.29g、1.03mmol)を加え、85℃で4時間攪拌した。室温で放冷後、反応液に水を加え、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 10g、hexane/EtOAc=50/50〜0/100)にて精製することにより(2S)−2−[(2’−オキソ−2,3’−ビピリジン−1’(2’H)−イル)メチル]ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチル(0.22g)を得た。得られた(2S)−2−[(2’−オキソ−2,3’−ビピリジン−1’(2’H)−イル)メチル]ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチル(0.21g、0.61mmol)に4mol/L塩酸−酢酸エチル溶液(2ml)を加え、室温で3時間攪拌した。反応溶液を減圧下溶媒留去後、得られた残渣をジエチルエーテル中で攪拌洗浄、濾取、減圧加熱乾燥することにより1’−[(2S)−ピロリジン−2−イルメチル]−2,3’−ビピリジン−2’(1’H)−オン 2塩酸塩(0.19g)を得た。得られた1’−[(2S)−ピロリジン−2−イルメチル]−2,3’−ビピリジン−2’(1’H)−オン 2塩酸塩(0.09g、0.27mmol)のDMF(3ml)溶液に5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(0.059g、0.25mmol)、DIPEA(0.28ml、1.65mmol)、HATU(0.12g、0.30mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に水を加え、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 10g、EtOAc/MeOH=100/0〜90/10)にて精製することにより表題化合物(0.034g)を得た(無色油状物)。
LCMS retention time 3.38 min.(条件1)
MS (ESI pos.) m/z : 475 [M+H]+
【0185】
実施例84〜91を実施例83と同様の手法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名及びLCMSデータを表10に示す。
【0186】
【表10】
【0187】
実施例92 5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−N−[2−(2−オキソ−3−フェニルピリジン−1(2H)−イル)エチル]−1,3−チアゾール−4−カルボキサミド
【0188】
【化53】
【0189】
2−ヒドロキシ−3−フェニルピリジン(0.50g、2.92mmol)のDMF(10ml)溶液に炭酸セシウム(1.90g、5.80mmol)、N−(2−ブロモエチル)カルバミン酸tert−ブチル(0.72g、3,21mmol)を加え、60℃で4時間攪拌した。N−(2−ブロモエチル)カルバミン酸tert−ブチル(0.080g)をさらに加え、80℃で4時間攪拌した。室温で放冷後、反応液に水を加え、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil 、hexane/EtOAc=50/50〜0/100)にて精製することにより[2−(2−オキソ−3−フェニルピリジン−1(2H)−イル)エチル]カルバミン酸 tert−ブチル(0.61g)を得た。得られた[2−(2−オキソ−3−フェニルピリジン−1(2H)−イル)エチル]カルバミン酸 tert−ブチル(0.12g、0.38mmol)に4mol/L塩酸酢酸エチル溶液(3ml)を加え、室温で3時間攪拌後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣のDMF(2ml)溶液に5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(0.023g、0.10mmol)、DIPEA(0.051ml、0.29mmol)、HATU(0.080g、0.21mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に水を加え、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil、hexane/EtOAc=0/100)にて精製することにより表題化合物(0.038g)を得た(無色油状物)。
LCMS retention time 5.33 min.(条件1)
MS (ESI pos.) m/z : 434 [M+H]+
【0190】
実施例93 N−エチル−5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−N−[2−(2−オキソ−3−フェニルピリジン−1(2H)−イル)エチル]−1,3−チアゾール−4−カルボキサミド
【0191】
【化54】
【0192】
実施例92で中間体として得られた[2−(2−オキソ−3−フェニルピリジン−1(2H)−イル)エチル]カルバミン酸 tert−ブチル(0.10g、0.32mmol)のDMF(2ml)溶液に水素化ナトリウム(60%)(0.019g、0.48mmol)を加えて10分間攪拌した後、ヨウ化エチル(0.051ml、0.64mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣に4mol/L塩酸−酢酸エチル溶液(1.5ml)を加え、室温で3時間攪拌した。反応液を減圧下溶媒留去することにより1−[2−(エチルアミノ)エチル]−3−フェニルピリジン−2(1H)−オン 塩酸塩を得た。得られた1−[2−(エチルアミノ)エチル]−3−フェニルピリジン−2(1H)−オン 塩酸塩(0.060g、0.22mmol)のDMF(2ml)溶液に5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(0.046g、0.19mmol)、DIPEA(0.187ml、1.08mmol)、HATU(0.090g、0.24mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液に水を加え、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層をbrineで洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−Sil、hexane/EtOAc=50/50〜0/100)にて精製することにより表題化合物(0.060g)を得た(無色油状物)。
LCMS retention time 5.47 min.(条件1)
MS (ESI pos.) m/z : 462 [M+H]+
【0193】
試験例 (オレキシン拮抗活性の測定)
試験化合物のヒトオレキシン1型受容体(hOX1R)、オレキシン2型受容体(hOX2R)に対する拮抗活性は文献(Toshikatsu Okumura et al., Biochemical and Biophysical Research Communications 280, 976−981, 2001)に記載された方法を改変して行った。hOX1R、hOX2Rを強制発現させたChinese hamster ovary(CHO)細胞を96wellのBlack clear bottomプレート(Nunc)の各ウェルに24,000個となるように播種し、0.1mM MEM非必須アミノ酸、0.5mg/ml G418、10% 牛胎児血清を含むHam’s F−12培地(以上インビトロジェン)で、37℃、5% CO2の条件下で16時間培養した。培地を除去後、0.5μM Fluo−3AM エステル(同仁)を含むアッセイ用緩衝液(25mM HEPES(同仁)、Hanks’ balanced salt solution(インビトロジェン)、0.1% 牛血清アルブミン、2.5mM プロベネシド、200μg/ml Amaranth(以上Sigma−Aldrich)、pH7.4)を100μL添加し60分間、37℃、5% CO2にインキュベートした。Fluo−3AM エステルを含むアッセイ用緩衝液を除去したのち、試験化合物は10mMとなるようにジメチルスルホキシドで溶解してアッセイ用緩衝液で希釈後、150μLを添加し、30分間インキュベートした。
リガンドであるヒトオレキシン−Aの2アミノ酸を置換したペプチド(Pyr−Pro−Leu−Pro−Asp−Ala−Cys−Arg−Gln−Lys−Thr−Ala−Ser−Cys−Arg−Leu−Tyr−Glu−Leu−Leu−His−Gly−Ala−Gly−Asn−His−Ala−Ala−Gly−Ile−Leu−Thr−Leu−NH2;ペプチド研究所)はhOX1Rに対しては終濃度500pM、hOX2Rに対しては1nMとなるようにアッセイ用緩衝液で希釈し、このリガンド溶液50μLを添加して反応を開始した。反応はFunctional Drug Screening System(FDSS;浜松ホトニクス社製)を用いて各wellの蛍光値を1秒毎に3分間測定し、最大蛍光値を細胞内Ca2+濃度の指標として拮抗活性を求めた。試験化合物の拮抗活性は希釈緩衝液のみを添加したウェルの蛍光値を100%、リガンドおよび化合物を含まない緩衝液を添加したウェルの蛍光値を0%として算出し、種々の濃度の試験化合物を添加した際の蛍光値から、50%阻害濃度(IC50値)を求めた。本発明化合物のIC50値を表11に示す。
【0194】
【表11】
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明化合物は、OX受容体拮抗作用を有することが示された。従って、本発明化合物又はその医薬上許容される塩は、OX受容体拮抗作用によって調節される病気、例えば、睡眠障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、高血圧等の治療又は予防薬として使用することが可能である。