特開2017-100951(P2017-100951A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大正製薬株式会社の特許一覧

特開2017-100951オキサゾリジノン及びオキサジナノン誘導体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-100951(P2017-100951A)
(43)【公開日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】オキサゾリジノン及びオキサジナノン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/10 20060101AFI20170512BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20170512BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20170512BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20170512BHJP
   A61K 31/537 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20170512BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20170512BHJP
【FI】
   C07D498/10 JCSP
   C07D498/10 S
   A61K31/498
   A61K31/506
   A61K31/4709
   A61K31/537
   A61P43/00 111
   A61P25/08
   A61P25/16
   A61P25/14
   A61P25/20
   A61P25/24
   A61P25/22
   A61P25/28
   A61P25/36
   A61P25/00
   A61P25/04
   A61P1/00
   A61P29/00
   A61P37/02
   A61P9/12
   A61P5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2014-77459(P2014-77459)
(22)【出願日】2014年4月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮
(72)【発明者】
【氏名】松田 洋平
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072AA04
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC11
4C072EE03
4C072EE06
4C072FF07
4C072GG07
4C072HH02
4C072HH07
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA16
4C086ZA42
4C086ZA66
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZC02
4C086ZC39
(57)【要約】
【課題】
オレキシン(OX)受容体拮抗作用に基づいた、睡眠障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、高血圧等の疾患の治療又は予防に有用な新規化合物又はその医薬上許容される塩を提供することである。
【解決手段】
式(I)で示される化合物又はその医薬上許容される塩。
【化1】

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
環Aは、ヘテロアリール基(該へテロアリール基はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ピリジル基(該ピリジル基は、1個のハロゲン原子で置換されても良い)及びピラゾリル基からなる群より選ばれる1〜2個の基で置換されても良い)を示し、
環Bは、アリール基、又はヘテロアリール基を示し、
1は、水素原子、又はC1-6アルキル基を示し、
2及びR3は、同一に又は異なって水素原子、又はC1-6アルキル基を示し、
又は、R2とR3は隣接する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルカン−1,1−ジイル基を形成することもでき、
4は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、又はC3-6シクロアルキル基を示し、
5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、ヒドロキシC1-6アルキル基、アセチル基、フェニル基(該フェニル基は、1個のハロゲン原子で置換されても良い)、5員へテロアリール基(該5員ヘテロアリールは、1個のC1-6アルキル基で置換されても良い)、又は6員へテロアリール基を示し、
mは、0又は1を示し、
nは、0又は1を示す)
で表される化合物、又はその医薬上許容される塩。
【請求項2】
上記式(I)が下記式(II)
【化2】
(式中、
環Aは、ヘテロアリール基(該へテロアリール基はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ピリジル基(該ピリジル基は、1個のハロゲン原子で置換されても良い)及びピラゾリル基からなる群より選ばれる1〜2個の基で置換されても良い)を示し、
Yは、式CH、又は窒素原子を示し、
1は、水素原子、又はメチル基を示し、
2及びR3は、同一に又は異なって水素原子、C1-6アルキル基を示し、
又は、R2とR3は隣接する炭素原子と一緒になってシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成することもでき、
4は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、又はC3-6シクロアルキル基を示し、
5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、ヒドロキシC1-6アルキル基、アセチル基、フェニル基、5員へテロアリール基(該5員ヘテロアリールは、1個のC1-6アルキル基で置換されても良い)、又は6員へテロアリール基を示し、
mは、0を示し、
nは、0又は1を示す)
で表される請求項1に記載の化合物、又はその医薬上許容される塩。
【請求項3】
請求項1に記載される下記化合物群及びその医薬上許容される塩から選ばれるいずれか1種又は2種以上の混合物。
4−(2,5−ジメチルベンジル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−(2−フルオロベンジル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(シクロプロピルオキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−(2,5−ジメチルベンジル)−8−(キナゾリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
5−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−9−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−5,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−4−オン、
4−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンジル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[6−メチル−3−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
11−{[3−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−4−オキサ−8,11−ジアザジスピロ[2.1.5.2]ドデカン−12−オン、
9−(1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−5−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−5,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−4−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−(2−メトキシ−5−メチルベンジル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−(2−エトキシ−5−メチルベンジル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[6−メチル−3−(プロパン−2−イルオキシ)ピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2,2−ジメチル−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−[(6−シクロプロピル−3−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{1−[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]エチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
8−(1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(キナゾリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(6,7−ジフルオロキノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
8−(6−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
8−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(4−エチル−5−フルオロピリミジン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(4,6−ジメチルピリミジン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
(2S)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2−メチル−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
(2R)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2−メチル−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(6−フェニルピリジン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−(1H−インドール−4−イルメチル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−[(3−シクロプロピル−6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載の化合物、又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか1項に記載の化合物、又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する睡眠障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、又は高血圧の疾患の治療又は予防薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレキシン(OX)受容体拮抗作用を有する化合物及びその医薬上許容される塩、並びにそれらを有効成分として含有する睡眠障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、高血圧等の疾患の治療又は予防薬に関する。
【背景技術】
【0002】
オレキシンは、視床下部外側野に特異的に発現するプレプロオレキシンからスプライシングされる神経ペプチドである。これまでに、33個のアミノ酸からなるOX−Aおよび28個のアミノ酸からなるOX−Bが同定されており、これらはいずれも睡眠・覚醒パターンの調節や摂食の調節に深く関与している。
【0003】
OX−AおよびOX−Bは、いずれもOX受容体に作用する。OX受容体は、これまでにOX1およびOX2受容体の2つのサブタイプがクローニングされており、いずれも主として脳内に発現する7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体であることが知られている。OX1受容体は、Gタンパク質サブクラスのうちGqと特異的に共役しており、一方でOX2受容体はGqおよびGi/oに共役している(非特許文献1及び非特許文献2参照)。
OX受容体のサブタイプによって組織分布は異なっており、OX1受容体はノルアドレナリン作動性神経の起始核である青斑核、OX2受容体はヒスタミン神経の起始核である結節乳頭核に高密度に発現している(非特許文献3、非特許文献4及び非特許文献5参照)。セロトニン神経の起始核である縫線核や、ドパミン神経の起始核である腹側被蓋野にはOX1受容体とOX2受容体両方の発現がみられる(非特許文献3参照)。オレキシン神経は脳幹と視床下部のモノアミン神経系に投射し、それらの神経に対して興奮性の影響を与えており、さらにREM睡眠の制御に関わる脳幹のアセチルコリン神経にもOX2受容体の発現がみられ、これらの神経核の活性にも影響を及ぼしている(非特許文献3及び非特許文献4参照)。
【0004】
近年、OX1およびOX2受容体と睡眠・覚醒調節との関連が注目されており、OX受容体拮抗作用を有する化合物の有用性が研究されている。OX−Aをラットの脳室内に投与すると、自発運動量の亢進(非特許文献6及び非特許文献7参照)、常同行動の亢進(非特許文献7参照)、覚醒時間の延長(非特許文献6参照)などが認められる。OX−Aの投与によるREM睡眠時間の短縮作用は、OX受容体拮抗物質の前処置により完全に拮抗される(非特許文献8参照)。さらに、経口投与が可能なOX1およびOX2受容体を同程度に拮抗する物質の投与により、運動量の減少、入眠潜時の短縮、non−REM睡眠量およびREM睡眠の増加が報告されている(非特許文献9および非特許文献10参照)。
OX受容体拮抗作用化合物として、特許文献1、2、及び3には種々のスピロピペリジン骨格を有する化合物が開示されているが、本願記載のオキサゾリジノン及びオキサジナノン誘導体についての開示はない。また、OX受容体拮抗作用化合物としては、例えば総説として非特許文献11に記載の種々の構造を有する化合物が知られているが、本願記載のオキサゾリジノン及びオキサジナノン誘導体を有する化合物についての開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2011/076747号公報
【特許文献2】WO2012/055888号公報
【特許文献3】WO2012/101487号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Zhu Y et al., J. Pharmacol. Sci., 92, 259-266, 2003.
【非特許文献2】Zeitzer JM et al., Trends Pharmacol. Sci., 27, 368-374, 2006.
【非特許文献3】Marcus JN et al., J. Comp. Neurol, 435, 6-25, 2001.
【非特許文献4】Trivedi JP et al., FEBS Lett, 438, 71-75, 1998.
【非特許文献5】Yamanaka A et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 290, 1237-1245, 2002.
【非特許文献6】Hagan JJ et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 10911-10916, 1999.
【非特許文献7】Nakamura T et al., Brain Res., 873, 181-187, 2000.
【非特許文献8】Smith MI et al., Neurosci. Lett., 341, 256-258, 2003.
【非特許文献9】Brisbare-Roch C et al., Nat. Med., 13, 150-155, 2007.
【非特許文献10】Cox CD et al., J. Med. Chem., 53, 5320-5332, 2010.
【非特許文献11】John G et al., ChemMedChem., 5, 1197-1214, 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、OX受容体拮抗作用を有する新規化合物を見出し、睡眠障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、高血圧等の疾患の治療又は予防薬を提供することにある。さらに詳しくは、優れたOX受容体拮抗作用と共に優れた薬物動態及び安全性を示す新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはオレキシン受容体に対し拮抗作用を有する新規な骨格の化合物につき鋭意検討した結果、下記に示す式で表されるある種のオキサゾリジノン及びオキサジナノン誘導体に優れたOX受容体拮抗作用があることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の態様(以下、「本発明化合物」という)は以下に示すものである。
(1)式(I)
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、
環Aは、ヘテロアリール基(該へテロアリール基はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ピリジル基(該ピリジル基は、1個のハロゲン原子で置換されても良い)及びピラゾリル基からなる群より選ばれる1〜2個の基で置換されても良い)を示し、
環Bは、アリール基、又はヘテロアリール基を示し、
1は、水素原子、又はC1-6アルキル基を示し、
2及びR3は、同一に又は異なって水素原子、又はC1-6アルキル基を示し、
又は、R2とR3は隣接する炭素原子と一緒になってC3-6シクロアルカン−1,1−ジイル基を形成することもでき、
4は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、又はC3-6シクロアルキル基を示し、
5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、ヒドロキシC1-6アルキル基、アセチル基、フェニル基(該フェニル基は、1個のハロゲン原子で置換されても良い)、5員へテロアリール基(該5員ヘテロアリールは、1個のC1-6アルキル基で置換されても良い)、又は6員へテロアリール基を示し、
mは、0又は1を示し、
nは、0又は1を示す)
で表される化合物、又はその医薬上許容される塩、
(2)上記式(I)が下記式(II)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、
環Aは、ヘテロアリール基(該へテロアリール基はC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ピリジル基(該ピリジル基は、1個のハロゲン原子で置換されても良い)及びピラゾリル基からなる群より選ばれる1〜2個の基で置換されても良い)を示し、
Yは、式CH、又は窒素原子を示し、
1は、水素原子、又はメチル基を示し、
2及びR3は、同一に又は異なって水素原子、C1-6アルキル基を示し、
又は、R2とR3は隣接する炭素原子と一緒になってシクロプロパン−1,1−ジイル基を形成することもでき、
4は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、又はC3-6シクロアルキル基を示し、
5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルキル基、ハロC1-6アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、C3-6シクロアルキルオキシ基、ヒドロキシC1-6アルキル基、アセチル基、フェニル基、5員へテロアリール基(該5員ヘテロアリールは、1個のC1-6アルキル基で置換されても良い)、又は6員へテロアリール基を示し、
mは、0を示し、
nは、0又は1を示す)
で表される(1)に記載の化合物、又はその医薬上許容される塩、
(3)上記(1)に記載される下記化合物群及びその医薬上許容される塩から選ばれるいずれか1種又は2種以上の混合物、
4−(2,5−ジメチルベンジル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−(2−フルオロベンジル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(シクロプロピルオキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−(2,5−ジメチルベンジル)−8−(キナゾリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
5−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−9−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−5,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−4−オン、
4−[5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンジル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[6−メチル−3−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
11−{[3−(ジフルオロメトキシ)ピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−4−オキサ−8,11−ジアザジスピロ[2.1.5.2]ドデカン−12−オン、
9−(1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−5−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−5,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−4−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−(2−メトキシ−5−メチルベンジル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−(2−エトキシ−5−メチルベンジル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[6−メチル−3−(プロパン−2−イルオキシ)ピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2,2−ジメチル−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−[(6−シクロプロピル−3−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{1−[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]エチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
8−(1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(キナゾリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(6,7−ジフルオロキノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
8−(6−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
8−(5−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(4−エチル−5−フルオロピリミジン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(4,6−ジメチルピリミジン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
(2S)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2−メチル−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
(2R)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2−メチル−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(6−フェニルピリジン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−(1H−インドール−4−イルメチル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
4−[(3−シクロプロピル−6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン、
(4)上記(1)〜(3)いずれか1つに記載の化合物、又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する医薬、
(5)上記(1)〜(3)いずれか1つに記載の化合物、又はその医薬上許容される塩を有効成分として含有する睡眠障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、又は高血圧の疾患の治療又は予防薬。
【発明の効果】
【0013】
本発明のオキサゾリジノン及びオキサジナノン誘導体はOX受容体に対して親和性を示すと共に生理的リガンドによる受容体への刺激に対して拮抗作用を示すことが明らかになった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において用いる用語は、以下の意味である。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
「C1-6アルキル基」とは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルキル基を意味し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基等を挙げることができる。
「C1-6アルコキシ基」とは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルコキシ基を意味し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、1−エチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
「C3-6シクロアルキル基」とは、炭素原子数3〜6個の環状のアルキル基を意味し、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
「C3-6シクロアルキルオキシ基」とは、炭素数3〜6個の環状のアルキルオキシ基であり、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基等が挙げられる。
「C3-6シクロアルカン−1,1−ジイル」とは、炭素原子数3〜6個のシクロアルカン−1,1−ジイルを意味し、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイルが挙げられる。
「ハロC1-6アルキル基」とは、1〜13個のハロゲン原子で置換された炭素原子数1から6個のアルキル基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。具体的には、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トルフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基等を挙げることができる。
「ハロC1-6アルコキシ基」とは、1〜13個のハロゲン原子で置換された、直鎖状又は分枝鎖状の炭素原子数1〜6個のアルコキシ基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。具体的には、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、ジクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基等を挙げることができる。
「ヒドロキシC1-6アルキル基」とは、少なくとも1つのヒドロキシ置換基を有する炭素原子数1〜6個のアルキル基であり、例えば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、3−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
「アリール基」とは、炭素原子数6〜18個で構成される単環から4環式の芳香族炭素環式基であり、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
「ヘテロアリール基」とは、単環式又は縮合環式芳香族複素環基を意味し、例えば、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、チエニル基、ピロリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、ピリドニル基、イミダゾリル基、フリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、テトラヒドロシンノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、1H−インダゾリル基、2H−インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、インドリジニル基、ピラゾロピリジル基、イミダゾピリジル基、イミダゾピラジニル基、ピラゾロピリミジニル基、トリアゾロピリミジニル基、イミダゾチアゾリル基等が挙げられる。
「6員ヘテロアリール基」とは、6員環式芳香族複素環基を意味し、例えば、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等が挙げられる。
「5員ヘテロアリール基」とは、5員環式芳香族複素環基を意味し、例えば、チエニル基、ピロリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基等が挙げられる。
本明細書中における「睡眠障害」とは、入眠時、睡眠持続相又は覚醒時の障害であり、例えば、不眠症等を挙げることができる。また、不眠症の分類としては、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害等を挙げることができる。
【0015】
本明細書中における「医薬上許容される塩」とは、薬剤的に許容することのできる酸付加塩を意味し、用いられる酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸等の無機酸との塩、或いは、酢酸、安息香酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、マロン酸、マンデル酸、グルコン酸、ガラクタル酸、グルコヘプトン酸、グリコール酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸等の有機酸との塩が含まれる。遊離体から当該塩への変換は従来の方法で行うことができる。
【0016】
本発明化合物において、好ましい態様を以下にあげる。
環Aは、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、キノキサリニル基、またはベンゾオキサゾリル基である化合物が好ましく、ピラジニル基、又はキノキサリニル基である化合物がより好ましい。
環Bは、フェニル基、又はピリジル基である化合物が好ましい。
1は、水素原子、又はメチル基である化合物が好ましい。
2及びR3は、同一に又は異なって水素原子、メチル基、又はR2、R3が隣接する炭素原子と一緒になってシクロプロパン−1,1−ジイルを形成する化合物が好ましい。
4は、C1-6アルキル基、C3-6シクロアルキル基、又はハロゲン原子である化合物が好ましく、メチル基、又はシクロプロピル基である化合物がより好ましい。
5は、C1-6アルコキシ基、ハロC1-6アルコキシ基、C3-6シクロアルキル基、又は1,2,3−トリアゾリル基である化合物が好ましく、ジフルオロメトキシ基、又は1,2,3−トリアゾリル基である化合物がより好ましい。
mは0である化合物が好ましい。
【0017】
なお、本発明化合物が水和物又は溶媒和物を形成する場合、それらも本発明の範囲内に含まれる。同様に、本発明化合物の水和物又は溶媒和物の医薬上許容される塩も本発明の範囲内に含まれる。
本発明の化合物は、エナンチオマー、ジアステレオマー、平衡化合物、これらの任意の割合の混合物、ラセミ体等を全て含む。
本発明に係る化合物には、一つ以上の水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子が放射性同位元素や安定同位元素と置換された化合物も含まれる。これらの標識化合物は、代謝や薬物動態研究、受容体のリガンド等として生物学的分析等に有用である。
本発明に係る化合物は、経口又は非経口的に投与することができる。その投与剤型は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、トローチ剤、軟膏剤、クリーム剤、皮膚貼付剤、乳剤、懸濁剤、坐剤、注射剤等であり、いずれも慣用の製剤技術(例えば、第15改正日本薬局方に規定する方法等)によって製造することができる。これらの投与剤型は、患者の症状、年齢、体重、及び治療の目的に応じて適宜選択することができる。
これらの製剤は、本発明の化合物を含有する組成物に薬理学的に許容されるキャリヤー、すなわち、賦形剤(例えば、結晶セルロース、デンプン、乳糖、マンニトール)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、その他薬理学的に許容される各種添加剤を配合し、製造することができる。
本発明の化合物は、成人患者に対して1回の投与量として0.001〜500mgを1日1回又は数回に分けて経口又は非経口で投与することが可能である。なお、この投与量は治療対象となる疾病の種類、患者の年齢、体重、症状等により適宜増減することができる。
【0018】
本発明の化合物(I)の代表的な製造法を以下のスキームA〜H示す。以下の方法は、本発明化合物の製造法の例示であり、これに限定されるものではない。なお、以下の製造法の例示において、化合物は反応に支障にならない塩を形成していてもよい。
スキームA
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、Pgは、アミノ基の一般的な保護基、例えばJ. F. W. McOmie 著、Protective Groups in Organic Chemistry.、およびT. W. Greene 及びP.G.M.Wuts著、Protective Groups in Organic Synthesis.等に記載されている基を示し、具体的にはベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等を示す。X1は、ハロゲン原子を示し、X2は水酸基、ハロゲン原子、メタンスホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を示す。その他の記号は前記と同義である。)
【0021】
工程A−1:化合物(3)は化合物(1)と化合物(2)の縮合、環化反応により得ることができる。工程A−1における反応は、塩基または酸とモレキュラーシーブなどの脱水剤の存在下又は非存在下、溶媒中、アミド化合物とケトンを反応させる条件で実施できる。本反応で用いられる塩基としてはピロリジン、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機アミン類が挙げられる。本反応で用いられる酸としては塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸及びビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、蟻酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としてはテトラヒドロフランや1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル又はそれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は0℃〜溶媒の沸点付近の温度条件下にて行うことができる。
工程A−2:化合物(3)のPgがベンジル基またはベンジルオキシカルボニル基等の加水素分解により脱保護される基である場合、化合物(4)は、化合物(3)をパラジウム等の金属触媒を用いた加水素分解反応に付すことにより脱保護することができる。化合物(3)のPgがtert−ブトキシカルボニル基等の酸で脱保護される基である場合、化合物(4)は、化合物(3)を、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の酸と反応させることにより得ることができる。工程A−2における反応に関する包括的概観は、J. F. W. McOmie 著、Protective Groups in Organic Chemistry.、及びT. W. Greene 及びP.G.M.Wuts著、Protective Groups in Organic Synthesis.に見出され得る。
【0022】
工程A−3:化合物(6)は化合物(4)と化合物(5)の芳香族求核置換反応又はパラジウムを用いたクロスカップリング反応により得ることができる。工程A−3における芳香族求核置換反応は、塩基存在下又は非存在下、溶媒中で実施できる。本反応で用いられる塩基としては水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、ナトリウムエトキシド、tert−ブトキシカリウム等の金属低級アルコキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としてはメタノール、エタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフランや1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、水又はそれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は通常0℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃で行うことができる。
また、工程A−3におけるパラジウムを用いたクロスカップリング反応は、パラジウム触媒および塩基存在下、必要に応じて金属触媒の配位子を使用することでアリールハライドとアミンを溶媒中で反応させて得ることができる。本反応で用いられるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられ、パラジウム触媒の配位子としては、トリフェニルホスフィン、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル等が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としてはメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、水、又はそれらの混合溶媒が挙げられる。本反応で用いられる塩基としては炭酸カリウム、炭酸セシウム、tert−ブトキシナトリウム、リチウムヘキサメチルジシラジド等が挙げられる。本反応は通常0℃〜150℃で行うことができる。工程A−3におけるパラジウムを用いたクロスカップリング反応に関する包括的概観は、Chemical Science,2011,2,27に見出され得る。
【0023】
工程A−4:化合物(7)のX2がハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基の場合、本発明化合物(I−a)は化合物(6)と化合物(7)の求核置換反応により得ることができる。工程A−4における求核置換反応は、塩基存在下、溶媒中で実施することができる。本反応で用いられる塩基としては、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の低級アルコキシドが挙げられ、本反応で用いられる溶媒としてはメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフランや1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド、水、又はそれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は通常−80℃付近〜溶媒の沸点付近、好ましくは0℃〜60℃で行うことができる。
化合物(7)のX2が水酸基の場合、本発明化合物(I−a)は化合物(6)と化合物(7)の光延反応により得ることができる。工程A−4における光延反応は、有機リン化合物とアゾ化合物存在下、またはリンイリド試薬存在下、溶媒中で実施することができる。本反応で用いられる有機リン化合物としてはトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられ、アゾ化合物としてはアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジtertブチル等が挙げられる。リンイリド試薬としてはシアノメチルトリブチルホスホラン等が挙げられる。本反応で用いられる溶媒としてはテトラヒドロフランや1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられ、0℃〜溶媒の沸点付近の温度条件下にて進行する。工程A−4における光延反応に関する包括的概観は、Chemical Reviews,2009,109,2551−2651に見出され得る。
スキームB
【0024】
【化4】
【0025】
(式中、記号は前記と同義である。)
本発明化合物(I−a)は別法としてスキームBに示す方法でも製造することができる。
工程B−1:化合物(9)は化合物(5)と化合物(8)の芳香族求核置換反応により得ることができる。工程B−1における反応は、工程A−3と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程B−2:化合物(6)は化合物(2)と化合物(9)の縮合、環化反応により得ることができる。工程B−2における反応は、工程A−1と同様の反応条件に従って実施することができる。
【0026】
工程B−3:化合物(7)のX2がハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基の場合、本発明化合物(I−a)は化合物(6)と化合物(7)の求核置換反応により得ることができる。化合物(7)のX2が水酸基の場合、本発明化合物(I−a)は化合物(6)と化合物(7)の光延反応により得ることができる。工程B−3における求核置換反応および光延反応は、工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームC
【0027】
【化5】
【0028】
(式中、記号は前記と同義である。)
本発明化合物(I−a)は別法としてスキームCに示す方法でも製造することができる。
工程C−1:化合物(7)のX2がハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基の場合、化合物(10)は化合物(3)と化合物(7)の求核置換反応により得ることができる。化合物(7)のX2が水酸基の場合、化合物(10)は化合物(3)と化合物(7)の光延反応により得ることができる。工程C−1における求核置換反応および光延反応は、工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程C−2:化合物(11)は化合物(10)におけるPgの脱保護反応により得ることができる。工程C−2における反応は、工程A−2と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程C−3:本発明化合物(I−a)は、化合物(5)と化合物(11)の芳香族求核置換反応又はパラジウムを用いたクロスカップリング反応により得ることができる。工程C−3における反応は、工程A−3と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームD
【0029】
【化6】
【0030】
(式中、R6は、水素原子又はC1-6アルキル基を示し、R7はシクロアルキル基又は6員環へテロアリール基を示す。X3はハロゲン原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を示し、Yは式CH、又は窒素原子を示し、M1はボロン酸、ボロン酸エステル、トリフルオロホウ酸塩、又はトリアルキルスズを示す。その他の記号は前記と同義である。)
工程D−1:化合物(12)のX2がハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基の場合、化合物(13)は化合物(6)と化合物(12)の求核置換反応により得ることができる。化合物(12)のX2が水酸基の場合、化合物(13)は化合物(6)と化合物(12)の光延反応により得ることができる。工程D−1における求核置換反応および光延反応は、工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程D−2:本発明反応(I−b)は化合物(13)と化合物(14)のSuzukiカップリング反応又はStilleカップリング反応により得ることができる。工程D−2におけるSuzukiカップリング反応は、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、水、又はそれらの混合溶媒中、パラジウム触媒および必要に応じて配位子の存在下、有機ホウ素化合物と反応させて得ることができる。本反応で用いられるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられ、本反応で用いられる配位子としては、トリフェニルホスフィン、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ-2’-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジシクロへキシルホスフィノ−2’,6’―ジイソプロポキシビフェニル(SPhos)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’―トリイソプロピルビフェニル(XPhos)等が挙げられる。Suzukiカップリング反応に関する包括的概観は、例えばChem. Rev. 1995, 95, 2457-2483などに見出し得る。また、工程D−2おけるStilleカップリング反応は、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、又はそれらの混合溶媒中、パラジウム触媒および必要に応じて配位子の存在下、有機スズ化合物と反応させて得ることができる。本反応に用いられるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられ、本反応に用いられる配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン等が挙げられる。Stilleカップリング反応に関する包括的概観は、例えばAngew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 4704などに見出し得る。
スキームE
【0031】
【化7】
【0032】
(式中、R8及びR9は、水素原子、C1-6アルキル基を示し、M2はリチウム、マグネシウム等の有機金属試薬に含まれる金属原子を示す。その他の記号は前記と同義である。)
工程E−1:化合物(15)のX2がハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基の場合、化合物(16)は化合物(6)と化合物(15)の求核置換反応により得ることができる。化合物(15)のX2が水酸基の場合、化合物(16)は化合物(6)と化合物(15)の光延反応により得ることができる。工程E−1における求核置換反応および光延反応は、工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程E−2:本発明化合物(I−c)は、化合物(16)に対して化合物(17)のような有機金属試薬を反応させることにより得ることができる。工程E−2における反応は、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、又はそれらの混合溶媒中、有機金属試薬と反応させて得ることができる。ここで化合物(17)は有機金属試薬を示し、例えばR9MgClなどのGrignard反応剤、R9Liなどの有機リチウム反応剤などを挙げることができる。本反応は通常−80℃付近〜溶媒の沸点付近で行うことができる。
スキームF
【0033】
【化8】
【0034】
(式中、記号は前記と同義である。)
工程F−1:化合物(18)のX2がハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基の場合、化合物(19)は化合物(6)と化合物(18)の求核置換反応により得ることができる。化合物(18)のX2が水酸基の場合、化合物(19)は化合物(6)と化合物(18)の光延反応により得ることができる。工程F−1における求核置換反応および光延反応は、工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程F−2:本発明化合物(I−d)は、化合物(19)の脱保護反応により得ることができる。工程F−2における脱保護反応は、塩基存在下、溶媒中で実施できる。本反応で用いられる塩基としては水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の低級アルコキシドが挙げられ、本反応で用いられる溶媒としてはメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフランや1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ジメチルスルホキシド、水、又はそれらの混合溶媒が挙げられる。本反応は通常0℃〜溶媒の沸点付近の温度条件下、好ましくは20℃〜80℃で行うことができる。
スキームG
【0035】
【化9】
【0036】
(式中、記号は前記と同義である。)
工程G−1:化合物(20)のX2がハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基の場合、化合物(21)は化合物(6)と化合物(20)の求核置換反応により得ることができる。化合物(20)のX2が水酸基の場合、化合物(21)は化合物(6)と化合物(20)の光延反応により得ることができる。工程G−1における求核置換反応および光延反応は、工程A−4と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程G−2:本発明化合物(I−e)は、化合物(21)の脱保護反応により得ることができる。工程G−2における反応は、工程F−2と同様の反応条件に従って行うことができる。
スキームH
【0037】
【化10】
【0038】
(式中、R10は、フェニル基を示す。その他の記号は前記と同義である。)
工程H−1:化合物(23)は、化合物(11)と化合物(22)の芳香族求核置換反応又はパラジウムを用いたクロスカップリング反応により得ることができる。工程H−1における反応は、工程A−3と同様の反応条件に従って行うことができる。
工程H−2:本発明化合物(I−f)は、化合物(23)と化合物(24)のSuzukiカップリング反応又はStilleカップリング反応により得ることができる。工程H−2における反応は、工程D−2と同様の反応条件に従って行うことができる。
【実施例】
【0039】
以下、参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0040】
以下の参考例及び実施例においてカラムクロマトグラフィーを使用して精製した際の「KP−Sil」にはBiotage社SNAPCartridge KP−Sil、「HP−Sil」にはBiotage社SNAPCartridge HP−Sil、「SNAP Ultra」にはBiotage社SNAPCartridge SNAP Ultra、「KP−NH」にはBiotage社SNAPCartridge KP−NH、「Grace」にはGrace社Reveleris Silica Flash Cartridge、「Grace NH」にはGrace社Reveleris Amino Flash Cartridge、「YMC NH」にはYMC社YMC−DispoPackAT NH2を使用した。
【0041】
以下の参考例及び実施例の後処理操作の際の「ISOLUTE Phase Separator」にはBiotage社ISOLUTE Phase Separatorを使用した。
【0042】
以下の参考例および実施例において、分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による精製は以下の条件により行った。ただし、塩基性官能基を有する化合物の場合、本操作でトリフルオロ酢酸を用いたときには、フリー体を得るための中和操作等を行う場合がある。
機械:Gilson社 preparative HPLC system
カラム:YMC Actus triart C18,5um,30×50mm
溶媒:A液;0.1%トリフルオロ酢酸含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=90/10)、11分(A液/B液=20/80)、12〜13.5分(A液/B液=5/95)
流速:40mL/min、検出法:UV 254nm
【0043】
以下の参考例および実施例において、高速液体クロマトグラフィーマススペクトル(LCMS)は以下の条件のいずれかにより測定した。
測定機械:Agilent社 Agilent1290 Infinity及びAgilent6150
カラム:Waters社 Acquity CSH C18 1.7μm 2.1x50mm
溶媒:A液;0.1%ギ酸含有水、B液;0.1%ギ酸含有アセトニトリル
グラジエント:0分(A液/B液=80/20)、1.2〜1.4分(A液/B液=1/99)
流速:0.8mL/min、検出法:UV 254nm
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化法(ESI:Electron Spray Ionization)
【0044】
以下の参考例および実施例において、マススペクトル(MS)は以下の条件により測定した。
MS測定機器:島津社LCMS−2010EVあるいはmicromass社 Platform LC
【0045】
以下の参考例および実施例において、化合物名はACD/Name (ACD/Labs 12.01, Advanced Chemistry Development Inc.)により命名した。
【0046】
参考例及び実施例中、以下の用語及び試薬は下記のように表記した。
MeOH(メタノール)、EtOH(エタノール)、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、MeCN(アセトニトリル)、EtOAc(酢酸エチル)、hexane(ヘキサン)、CHCl3(クロロホルム)、HATU[O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート]、Pd(PPh34[テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)]、brine(飽和食塩水)、DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)、TEA(トリエチルアミン)、TBME(tert−ブチルメチルエーテル)。
【0047】
参考例1 [5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノール
【0048】
【化11】
【0049】
5−メチル−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸(2.0g、9.84mmol)のTHF(10ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(1.5ml、10.8mmol)、クロロギ酸エチル(1.0ml、10.8mmol)を加え、そのまま1時間攪拌した。その後、水素化ホウ素ナトリウム(0.75g、19.7mmol)の水溶液(10ml)をゆっくり滴下し、室温で13時間攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.37g、9.85mmol)を追加して更に5時間撹拌した。反応液に氷冷下、1.2N塩酸を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace NH 12g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.36g)を得た(無色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 190 [M+H]+
【0050】
参考例2 [5−フルオロ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノール
【0051】
【化12】
【0052】
5−フルオロ−2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)安息香酸(0.50g、2.41mmol)のTHF(5.0ml)溶液に氷冷下、ボラン−THFコンプレックス(2.4ml、2.53mmol、1.08M THF溶液)を加えた後、室温に昇温して1時間攪拌した。更にボラン−THFコンプレックス(4.5ml、4.82mmol、1.08M THF溶液)を追加した後、3時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去する事で表題化合物(0.39g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 194 [M+H]+
【0053】
参考例3 メチル 3−({[(E)−(1−アミノエチリデン)アミノ]オキシ}カルボニル)−6−メチルピリジン−2−カルボキシラート
【0054】
【化13】
【0055】
2−(メトキシカルボニル)−6−メチルピリジン−3−カルボン酸(0.92g、4.70mmol)のTHF(18ml)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(1.0ml、7.06mmol)、クロロギ酸エチル(0.49ml、5.17mmol)を加えて10分撹拌した。この溶液に室温にてN−ヒドロキシアセトアミド(0.38g、5.17mmol)を加えて終夜撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace NH 40g、CHCl3/EtOAc=70/30)にて精製することにより、表題化合物(1.04g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 252 [M+H]+
【0056】
参考例4 メチル 6−メチル−3−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)ピリジン−2−カルボキシラート
【0057】
【化14】
【0058】
参考例3で得られたメチル 3−({[(E)−(1−アミノエチリデン)アミノ]オキシ}カルボニル)−6−メチルピリジン−2−カルボキシラート(1.0g、4.14mmol)のtert−ブタノール(21ml)溶液に酢酸ナトリウム(0.51g、6.22mmol)を加えた後、終夜加熱還流させた。反応液を室温まで室温で放冷後、ろ過により不溶物をろ別、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣を分取HPLCにて精製することにより、表題化合物(0.38g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 234 [M+H]+
【0059】
参考例5 [6−メチル−3−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)ピリジン−2−イル]メタノール
【0060】
【化15】
【0061】
参考例4で得られたメチル 6−メチル−3−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)ピリジン−2−カルボキシラート(0.35g、1.49mmol)のTHF−MeOH(3.0ml、THF/MeOH=1/1)溶液に、室温にて塩化カルシウム(0.17g、1.49mmol)を加えて完全に溶解させた。この溶液に水素化ホウ素ナトリウム(0.11g、2.98mmol)を加えて、終夜撹拌した。反応液に水、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムを用いて抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace 12g、MeOH/CHCl3=0/100〜8/92)にて精製することにより、表題化合物(0.16g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 206 [M+H]+
【0062】
参考例6 [6−メチル−3−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ピリジン−2−イル]メタノール
【0063】
【化16】
【0064】
メチル 6−メチル−3−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ピリジン−2−カルボキシラート(0.20g、0.92mmol)を原料として参考例5と同様の方法により、表題化合物(0.16g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 191 [M+H]+
【0065】
参考例7 エチル 3−エトキシピリジン−4−カルボキシラート
【0066】
【化17】
【0067】
エチル 3−ヒドロキシピリジン−4−カルボキシラート(0.50g、2.99mmol)のDMF(10ml)溶液に、炭酸カリウム(0.62g、4.49mmol)、ヨウ化エチル(0.90ml、3.59mmol)を加え、120℃で7時間撹拌した。反応液を室温まで放冷後、反応液に水を加えて酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別、濾液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 10g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.37g)を得た(褐色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 196 [M+H]+
【0068】
参考例8〜12を参考例7と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
参考例13 (3−エトキシピリジン−4−イル)メタノール
【0071】
【化18】
【0072】
参考例7で得られたエチル 3−エトキシピリジン−4−カルボキシラート(0.37g、1.90mmol)のTHF(10ml)溶液に、氷冷下で水素化リチウムアルミニウム(0.22g、5.69mmol)を加えた後、室温にて17時間撹拌した。反応液をTHF(10ml)で希釈後、氷冷下にて硫酸ナトリウム10水和物(1.0g)、2N水酸化ナトリウム水溶液(1.0ml)、水(1.0ml)を加え、室温に昇温して1時間撹拌した。得られた懸濁液に無水硫酸ナトリウム(10g)、酸酸エチル(30ml)を加え、セライトろ過、ろ液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace 12g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.23g)を得た(褐色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 154 [M+H]+
【0073】
参考例14 [5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル]メタノール
【0074】
【化19】
【0075】
5−(2−フルオロフェニル)−2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボン酸(0.50g、2.11mmol)のDMF(5.0ml)溶液に、炭酸カリウム(0.44g、3.16mmol)、ヨウ化メチル(0.63ml、2.53mmol)を加えた後、室温にて終夜撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣のTHF(10ml)溶液に、氷冷下で水素化リチウムアルミニウム(0.24g、6.33mmol)を加えた後、室温にて1時間撹拌した。反応液をTHF(10ml)で希釈後、氷冷下にて硫酸ナトリウム10水和物(1.0g)、2N水酸化ナトリウム水溶液(1.0ml)、水(1.0ml)を加え、室温に昇温して1時間撹拌した。得られた懸濁液に無水硫酸ナトリウム(10g)、酸酸エチル(30ml)を加え、セライトろ過、ろ液を減圧下溶媒留去することにより、表題化合物(0.42g)を得た(黄色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 224 [M+H]+
【0076】
参考例15 [6−メチル−3−(ピリミジン−2−イル)ピリジン−2−イル]メタノール
【0077】
【化20】
【0078】
メチル 6−メチル−3−(ピリミジン−2−イル)ピリジン−2−カルボキシラート(0.20g、0.87mmol)のTHF(2.2ml)溶液に、室温にて水素化ホウ素リチウム(0.44ml、1.31mmol、3M THF溶液)を加え、終夜撹拌した。反応液に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルムを用いて抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別、濾液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace 4g、MeOH/CHCl3=0/100〜10/90)にて精製することにより、表題化合物(0.020g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 202 [M+H]+
【0079】
参考例16 3−(ベンジルオキシ)−6−メチル−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン
【0080】
【化21】
【0081】
参考例8で得られた[3−(ベンジルオキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール(8.4g、36.6mmol)のクロロホルム(105ml)溶液に3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(8.3ml、91.6mmol)、10−カンファースルホン酸(8.5g、36.6mmol)を加え、6時間加熱還流した。更に3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(1.7ml、18.3mmol)、10−カンファースルホン酸(1.7g、7.33mmol)を加え、4時間加熱還流した。氷冷下、反応液に5% 炭酸ナトリウム水溶液を加えて塩基性とした後、クロロホルムで抽出した。抽出した有機層をbrine洗浄後、ISOLUTE Phase Separatorを通し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(YMC NH 120g、AcOEt/hexane=30/70〜80/20)、カラムクロマトグラフィー(YMC NH 120g、AcOEt/hexane=10/90〜50/50)にて順次精製することにより、表題化合物(8.2g)を得た(黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 314 [M+H]+
【0082】
参考例17 6−メチル−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−3−オール
【0083】
【化22】
【0084】
参考例16で得られた3−(ベンジルオキシ)−6−メチル−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン(8.0g、25.5mmol)のEtOH(128ml)溶液に、5% パラジウム−炭素(1.2g)を加え、水素置換下、室温で4時間攪拌した。窒素置換後、反応液を酢酸エチル(260mL)で希釈、セライトろ過、濾液を減圧下溶媒留去することにより、表題化合物(5.5g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 224 [M+H]+
【0085】
参考例18 3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチル−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン
【0086】
【化23】
【0087】
参考例17で得られた6−メチル−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−3−オール(4.0g、17.9mmol)のMeCN(90ml)懸濁液に、炭酸カリウム(5.0g、35.8mmol)を加えて5分加熱還流した。得られた懸濁液を室温まで放冷後、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム(3.3g、21.5mmol)を加え、更に4時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、残渣に酢酸エチル(180ml)を加え、得られた懸濁液をセライトろ過、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace 80g、AcOEt/hexane=25/75〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(2.1g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 274 [M+H]+
【0088】
参考例19 [3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール
【0089】
【化24】
【0090】
参考例18で得られた3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチル−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン(2.5g、9.08mmol)のEtOH(91ml)溶液に、ピリジニウムパラトルエンスルホナート(2.5g、9.98mmol)を加え、1時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮後、残渣をクロロホルム(80ml)に溶かし、2% 炭酸水素ナトリウム水溶液(80ml)を加えて塩基性にした後、クロロホルムを用いて抽出した。抽出した有機層をISOLUTE Phase Separatorに通した後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace 40g、AcOEt/hexane=25/75〜70/30)にて精製することにより、表題化合物(1.5g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 190 [M+H]+
【0091】
参考例20 [3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール
【0092】
【化25】
【0093】
参考例19で得られた[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール(0.10g、0.529mmol)のクロロホルム(2.0ml)溶液に、室温にて塩化チオニル(0.046ml、0.634mmol)を加えた後、室温にて1時間撹拌した。反応液を減圧下溶媒留去することにより、表題化合物(0.11g)得た(淡黄色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 208 [M+H]+
【0094】
参考例21 6−クロロ−3−エトキシ−2−メチルピリジン 1−オキシド
【0095】
【化26】
【0096】
参考例9で得られた6−クロロ−3−エトキシ−2−メチルピリジン(0.50g、2.91mmol)のクロロホルム(7.3ml)溶液に、氷冷下でメタクロロ過安息香酸(0.85g、3.20mmol、純度65%)を加えた後、室温にて終夜撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(7ml)、1M チオ硫酸ナトリウム水溶液(7ml)を加えて反応を停止させた。得られた溶液をクロロホルムを用いて抽出した。抽出した有機層をISOLUTE Phase Separatorに通した後、減圧下溶媒留去することにより、表題化合物(0.53g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 188 [M+H]+
【0097】
参考例22 (6−クロロ−3−エトキシピリジン−2−イル)メタノール
【0098】
【化27】
【0099】
参考例20で得られた6−クロロ−3−エトキシ−2−メチルピリジン 1−オキシド(0.50g、2.67mmol)の酢酸エチル(2.7ml)懸濁液に、氷冷下で無水トリフルオロ酢酸(0.48ml、3.46mmol)を加えて10分撹拌した。得られた溶液を70℃で45分加熱した。反応液にMeOH(0.5ml)を加え、更に50℃で1時間加熱後、室温まで放冷し、炭酸カリウム(0.96g、6.93mmol)を加えて終夜撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace 12g、AcOEt/hexane=25/75〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.35g)を得た(淡黄色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 188 [M+H]+
【0100】
参考例23 6−クロロ−3−エトキシ−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン
【0101】
【化28】
【0102】
参考例22で得られた(6−クロロ−3−エトキシピリジン−2−イル)メタノール(0.35g、1.84mmol)を原料として、参考例16と同様の方法により、表題化合物(0.46g)を得た(無色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 272 [M+H]+
【0103】
参考例24 6−シクロプロピル−3−エトキシ−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン
【0104】
【化29】
【0105】
参考例23で得られた6−クロロ−3−エトキシ−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン(0.10g、0.368mmol)のtert−ブタノール(3.0ml)、水(3.0ml)の混合溶液に、シクロプロピルトリフルオロほう酸カリウム(0.071g、0.478mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.0041g、0.018mmol)、2−ジシクロへキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシビフェニル(0.017g、0.037mmol)、リン酸三カリウム(0.56g、2.65mmol)を加え、窒素雰囲気下、110℃で4時間加熱した。反応液を室温まで放冷後、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(YMC NH 12g、AcOEt/hexane=5/95〜30/70)にて精製することにより、表題化合物(0.025g)を得た(無色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 278 [M+H]+
【0106】
参考例25 (6−シクロプロピル−3−エトキシピリジン−2−イル)メタノール
【0107】
【化30】
【0108】
参考例24で得られた6−シクロプロピル−3−エトキシ−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン(0.14g、0.505mmol)を原料として、参考例19と同様の方法により、表題化合物(0.097g)を得た(無色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 194 [M+H]+
【0109】
参考例26 4−(ジフルオロメトキシ)−2,6−ジメチルピリジン 1−オキシド
【0110】
【化31】
【0111】
4−(ジフルオロメトキシ)−2,6−ジメチルピリジン(0.50g、2.89mmol)を原料として、参考例21と同様の方法により、表題化合物(0.44g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 190 [M+H]+
【0112】
参考例27 [4−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール
【0113】
【化32】
【0114】
参考例26で得られた4−(ジフルオロメトキシ)−2,6−ジメチルピリジン 1−オキシド(0.44g、2.30mmol)を原料として、参考例22と同様の方法により、表題化合物(0.26g)を得た(淡褐色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 190 [M+H]+
【0115】
参考例28 エチル 5−エトキシ−2−メチルピリジン−4−カルボキシラート
【0116】
【化33】
【0117】
参考例10で得られたエチル 2−ブロモ−5−エトキシピリジン−4−カルボキシラート(0.30g、1.09mmol)のTHF(5.0ml)溶液に、トリメチルアルミニウムのヘキサン溶液(1.3ml、1.31mmol、1M ヘキサン溶液)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.13g、0.11mmol)を加えた後、4時間加熱還流した。反応液を室温まで放冷後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、セライトろ過した。ろ液にbrineを加えた後、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 10g、AcOEt/hexane=10/90〜60/40)にて精製することにより、表題化合物(0.23g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 210 [M+H]+
【0118】
参考例29 (5−エトキシ−2−メチルピリジン−4−イル)メタノール
【0119】
【化34】
【0120】
参考例28で得られたエチル 5−エトキシ−2−メチルピリジン−4−カルボキシラート(0.23g、1.10mmol)のMeOH(3.0ml)溶液に、室温にて水素化ホウ素ナトリウム(0.13g、3.30mmol)を加えた後、1.5時間加熱還流した。反応液を室温まで放冷後、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(KP−NH 10g、AcOEt/hexane=20/80〜60/40)にて精製することにより、表題化合物(0.050g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 168 [M+H]+
【0121】
参考例30 [6−メチル−3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メタノール
【0122】
【化35】
【0123】
メチル 6−メチル−3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキシラート(0.27g、1.22mmol)を原料として、参考例29と同様の方法により、表題化合物(0.23g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 192 [M+H]+
【0124】
参考例31 2−(クロロメチル)−6−メチル−3−(トリフルオロメチル)ピリジン
【0125】
【化36】
【0126】
参考例30で得られた[6−メチル−3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メタノール(0.23g、1.20mmol)を原料として、参考例20と同様の方法により、表題化合物(0.25g)得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 210 [M+H]+
【0127】
参考例32 2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−3−(2−クロロエトキシ)−6−メチルピリジン
【0128】
【化37】
【0129】
参考例11で得られた[3−(2−クロロエトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール(4.4g、21.5mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(100ml)溶液に、tert−ブチルジメチルクロロシラン(3.9g、25.9mmol)、イミダゾール(4.4g、64.7mmol)を加えた後、60℃で5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 25g、AcOEt/hexane=10/90〜60/40)にて精製することにより、表題化合物(5.3g)を得た(無色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 316 [M+H]+
【0130】
参考例33 2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−3−(シクロプロピルオキシ)−6−メチルピリジン
【0131】
【化38】
【0132】
参考例32で得られた2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−3−(2−クロロエトキシ)−6−メチルピリジン(5.3g、16.8mmol)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液に、室温にてカリウム tert−ブトキシド(3.8g、33.6mmol)を加えた後、19時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 10g、AcOEt/hexane=0/100〜20/80)にて精製することにより、2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−3−(エテニルオキシ)−6−メチルピリジンを得た。ジエチル亜鉛(13ml、14.3mmol、1.1M トルエン溶液)のジクロロエタン(50ml)溶液に、氷冷下にてクロロヨードメタン(2.1ml、28.6mmol)を加えて5分撹拌した。この溶液に、上記操作で得られた2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−3−(エテニルオキシ)−6−メチルピリジン(2.0g、7.16mmol)のジクロロエタン溶液を加え、室温に昇温して18時間撹拌した。ジエチル亜鉛(13ml、14.3mmol、1.1M トルエン溶液)、クロロヨードメタン(2.1ml、28.6mmol)を追加したのち、室温にて更に3時間撹拌した。反応液に氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 10g、AcOEt/hexane=0/100〜20/80)にて精製することにより、表題化合物(0.60g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 294 [M+H]+
【0133】
参考例34 [3−(シクロプロピルオキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール
【0134】
【化39】
【0135】
参考例33で得られた2−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−3−(シクロプロピルオキシ)−6−メチルピリジン(0.60g)のテトラヒドロフラン(10ml)溶液に、室温にてテトラブチルアンモニウムフルオリド(10ml、10.2mmol、1.0M テトラヒドロフラン溶液)を加えた後、16時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 25g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.37g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 180 [M+H]+
【0136】
参考例35 [2−(クロロメチル)−3−(シクロプロピルオキシ)−6−メチルピリジン
【0137】
【化40】
【0138】
参考例34で得られた[3−(シクロプロピルオキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール(0.25g、1.39mmol)を原料として、参考例20と同様の方法により、表題化合物(0.28g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 198 [M+H]+
【0139】
参考例36 2−(ブロモメチル)−3−エトキシ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン
【0140】
【化41】
【0141】
参考例12で得られた3−エトキシ−2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ピリジン(0.15g、0.716mmol)の四塩化炭素(2.0ml)溶液に、N−ブロモスクシンイミド(0.14g、0.788mmol)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(0.012g、0.072mmol)を加えた後、90℃で2時間加熱した。反応液を四塩化炭素(3.0ml)、ヘキサン(1.0ml)で希釈後、セライトろ過、ろ液を減圧濃縮することにより、表題化合物(0.25g)を得た(黄色油状)。
MS (ESI pos.) m/z : 284 [M+H]+
【0142】
参考例37 6−メチル−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−3−イル トリフルオロメタンスルホナート
【0143】
【化42】
【0144】
参考例17で得られた6−メチル−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−3−オール(1.0g、4.48mmol)のクロロホルム(10ml)溶液に、トリエチルアミン(0.68ml、6.72mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.90ml、5.37mmol)を加えた後、室温にて3日間撹拌した。反応液に水、クロロホルムを加え、有機層を分離した。分離した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、フェーズセパレーターを通し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 25g、AcOEt/hexane=10/90〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(1.0g)を得た(無色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 356 [M+H]+
【0145】
参考例38 1−[2−(ヒドロキシメチル)−6−メチルピリジン−3−イル]エタノン
【0146】
【化43】
【0147】
参考例37で得られた6−メチル−2−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル]ピリジン−3−イル トリフルオロメタンスルホナート(0.20g、0.563mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(2.0ml)溶液に、ブチルビニルエーテル(0.36ml、2.81mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.013g、0.0563mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(0.046g、0.113mmol)、トリエチルアミン(0.24ml、1.69mmol)、水(2.0ml)を加えた後、70℃で2時間撹拌した。反応液を室温まで放冷後、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をアセトンに溶解後、1.2N塩酸を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に2N 水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 10g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.060g)を得た(無色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 166 [M+H]+
【0148】
参考例39 1−[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]エタノール
【0149】
【化44】
【0150】
3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−カルバルデヒド(0.21g、1.12mmol)のテトラヒドロフラン(4.5ml)溶液に、氷冷下にてヨウ化メチルマグネシウム(1.6ml、1.68mmol、1M ジエチルエーテル溶液)を加えて2時間撹拌後、室温に昇温して更に1時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(NH YMC 12g、AcOEt/hexane=10/90〜70/30)にて精製することにより、表題化合物(0.17g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 204 [M+H]+
【0151】
参考例40 8−ベンジル−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0152】
【化45】
【0153】
1−ベンジルピペリジン−4−オン(26.5g、139.9mmol)のトルエン(80ml)溶液に2−ヒドロキシアセトアミド(3.5g、46.6mmol)、ピロリジン(0.38ml、4.66mmol)を加え、90℃で6時間撹拌した。更にディーンスターク装置をつけた後、8時間加熱還流した。反応液を室温まで放冷後、水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 50g、MeOH/CHCl3=0/100〜10/90)にて精製することにより、表題化合物(10.0g)を得た(褐色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 247 [M+H]+
【0154】
参考例41 1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0155】
【化46】
【0156】
参考例40で得られた8−ベンジル−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(10.0g、40.6mmol)を原料として、参考例17と同様の方法により、表題化合物(6.0g)を得た(褐色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 157 [M+H]+
【0157】
参考例42 tert−ブチル 3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート
【0158】
【化47】
【0159】
二炭酸ジ−tert−ブチル(2.3g、10.6mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、氷冷下、参考例41で得られた1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(2.0g、12.8mmol)を加え、室温に昇温して18時間撹拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去する事で、表題化合物(2.6g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 279 [M+Na]+
【0160】
参考例43 8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0161】
【化48】
【0162】
参考例41で得られた1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(1.0g、6.40mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)溶液に、炭酸カリウム(1.8g、12.8mmol)、2−クロロキノキサリン(1.6g、9.60mmol)を加えた後、120℃で3時間撹拌した。反応液を室温まで放冷後、反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 25g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.95g)を得た(淡黄色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 285 [M+H]+
【0163】
参考例44〜53を参考例43と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表2に示す。
【0164】
【表2】
【0165】
参考例54 2,2−ジメチル−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0166】
【化49】
【0167】
参考例51で得られた1−(キノキサリン−2−イル)ピペリジン−4−オン(0.20g、0.880mmol)のトルエン(10ml)溶液に2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンアミド(0.27g、2.64mmol)、パラトルエンスルホン酸一水和物(0.084g、0.440mmol)を加え、ディーンスターク装置をつけた後、2時間加熱還流した。反応液にbrineを加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 10g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.050g)を得た(黄色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 313 [M+H]+
【0168】
参考例55 9−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−5,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−4−オン
【0169】
【化50】
【0170】
参考例51で得られた1−(キノキサリン−2−イル)ピペリジン−4−オン(0.20g、0.880mmol)と3−ヒドロキシプロパンアミド(0.24g、2.64mmol)を原料として、参考例54と同様の方法により、表題化合物(0.050g)を得た(褐色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 299 [M+H]+
【0171】
参考例56 ベンジル 3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート
【0172】
【化51】
【0173】
ベンジル 4−オキソピペリジン−1−カルボキシラート(10.0g、42.9mmol)のテトラヒドロフラン(5.0ml)懸濁液に2−ヒドロキシアセトアミド(6.4g、85.7mmol)、ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(1.2g、4.29mmol)を加えた後、10時間加熱還流した。反応液を室温まで放冷後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別した。得られた濾液にアミノシリカゲルを加え、室温で終夜撹拌した。アミノシリカゲルを濾別、酢酸エチルで洗い込んだ後、減圧化溶媒留去した。得られた残渣をジエチルエーテルで撹拌洗浄、ろ取、減圧下乾燥する事で表題化合物(8.8g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 291 [M+H]+
【0174】
参考例57〜61を参考例56と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表3に示す。
【0175】
【表3】
【0176】
参考例62 4−[(3−ブロモ−6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0177】
【化52】
【0178】
参考例43で得られた8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.30g、1.06mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(5.0ml)溶液に水素化ナトリウム(0.064g、1.59mmol、純度60%)を加えて30分撹拌後、3−ブロモ−2−(クロロメチル)−6−メチルピリジン(0.26g、1.17mmol)を加えて18時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace NH 12g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.22g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 468 [M+H]+
【0179】
参考例63〜65を参考例62と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表4に示す。
【0180】
【表4】
【0181】
参考例66 tert−ブチル 4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート
【0182】
【化53】
【0183】
参考例19で得られた[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール(0.27g、1.40mmol)の酢酸エチル(4.7ml)溶液に、氷冷下にてトリエチルアミン(0.25ml、1.82mmol)、メタンスルホニルクロリド(0.13ml、1.68mmol)を加えて1時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、brineで順次洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去することにより粗生成物を得た。参考例42で得られたtert−ブチル 3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(0.30g、1.17mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3.9ml)溶液に、氷冷下で水素化ナトリウム(0.070g、1.76mmol)を加えて20分撹拌後、上記操作にて得られた粗生成物のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1.3ml)を加え、室温にて終夜撹拌した。反応液に塩化アンモニウム水溶液を加え、クロロホルムを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace NH 12g、AcOEt/hexane=10/90〜50/50)にて精製することにより、表題化合物(0.37g)を得た(無色固体)。
MS (ESI pos.) m/z : 428 [M+H]+
【0184】
参考例67〜68を参考例66と同様の方法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名、MSデータを表5に示す。
【0185】
【表5】
【0186】
参考例69 ベンジル (2S)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2−メチル−3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート
【0187】
【化54】
【0188】
参考例57で得られたベンジル (2S)−2−メチル−3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(0.40g、1.31mmol)のトルエン(2.0ml)溶液に、参考例19で得られた[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール(0.27g、1.45mmol)、シアノメチレントリブチルホスホラン(0.52ml、1.97mmol)を加えた後、110℃で5時間加熱した。反応液を室温まで放冷後、反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP Ultra 25g、AcOEt/hexane=20/80〜60/40)にて精製することにより、表題化合物(0.30g)を得た(黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 476 [M+H]+
【0189】
参考例70 ベンジル (2R)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2−メチル−3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート
【0190】
【化55】
【0191】
参考例58で得られたベンジル (2R)−2−メチル−3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(0.40g、1.31mmol)と参考例19で得られた[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール(0.27g、1.45mmol)を原料として、参考例69と同様の方法により、表題化合物(0.12g)を得た(黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 476 [M+H]+
【0192】
参考例71 4−(2,5−ジメチルベンジル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0193】
【化56】
【0194】
参考例63で得られたtert−ブチル 4−(2,5−ジメチルベンジル)−3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(4.4g、11.7mmol)のクロロホルム(50ml)溶液に、4N 塩酸−酢酸エチル(10ml)を加えた後、室温にて17時間撹拌した。反応液を減圧下溶媒留去した。得られた残渣に水、酢酸エチルを加えて暫く撹拌した。水層を分取した後、8N 水酸化ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムを用いて抽出した。更に水層をクロロホルム−メタノールを用いて抽出した。抽出した有機層をフェーズセパレーターに通した後、減圧下溶媒留去する事により、表題化合物(1.2g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 275 [M+H]+
【0195】
参考例72 4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0196】
【化57】
【0197】
参考例66で得られたtert−ブチル 4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(1.5g、3.49mmol)を原料として、参考例71と同様の方法により、表題化合物(1.1g)を得た(淡黄色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 328 [M+H]+
【0198】
参考例73 (2S)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2−メチル−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0199】
【化58】
【0200】
参考例69で得られたベンジル (2S)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2−メチル−3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(0.30g、0.631mmol)のエタノール(5.0ml)溶液に、10% パラジウム−炭素(0.030g)を加え、水素置換下、室温で16時間攪拌した。窒素置換後、セライトろ過、濾液を減圧下溶媒留去することにより、表題化合物(0.10g)を得た(褐色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 342 [M+H]+
【0201】
参考例74 (2R)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2−メチル−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0202】
【化59】
【0203】
参考例70で得られたベンジル (2R)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−2−メチル−3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(0.12g、0.25mmol)を原料として、参考例73と同様の方法により、表題化合物(0.10g)を得た(褐色油状物)。
MS (ESI pos.) m/z : 342 [M+H]+
【0204】
実施例1 4−(2,5−ジメチルベンジル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0205】
【化60】
【0206】
参考例44で得られた8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.20g、0.703mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)溶液に、室温にて水素化ナトリウム(0.042g、1.06mmol、純度60%)を加えて30分撹拌した後、2−(クロロメチル)−1,4−ジメチルベンゼン(0.12ml、0.844mmol)を加えて3時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace 12g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.19g)を得た(淡黄色非晶質)。
LCMS retention time 1.07 min.
MS (ESI pos.) m/z : 403 [M+H]+
【0207】
実施例2〜23を実施例1と同様の手法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名及びLCMSデータを表6−1〜6−3に示す。
【0208】
【表6-1】
【0209】
【表6-2】
【0210】
【表6-3】
【0211】
実施例24 8−(キノキサリン−2−イル)−4−[2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)ベンジル]−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0212】
【化61】
【0213】
[2−(2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル)フェニル]メタノール(0.057g、0.325mmol)のクロロホルム(5.0ml)溶液に、氷冷下にてトリエチルアミン(0.068ml、0.488mmol)、メタンスルホニルクロリド(0.030ml、0.390mmol)を加えて1時間撹拌した。反応液に水を加えて暫く撹拌後、有機層を分取した。分取した有機層をフェーズセパレーターに通した後、ろ液を減圧下溶媒留去することにより粗生成物を得た。参考例44で得られた8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.093g、0.325mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(5.0ml)溶液に、室温にて水素化ナトリウム(0.020g、0.488mmol、純度60%)を加えて30分撹拌後、上記操作にて得られた粗生成物のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を加え、その後室温にて3時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrine水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace 12g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.059g)を得た(淡黄色非晶質)。
LCMS retention time 0.95 min.
MS (ESI pos.) m/z : 442 [M+H]+
【0214】
実施例25〜34を実施例24と同様の手法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名及びLCMSデータを表7−1〜7−2に示す。
【0215】
【表7-1】
【0216】
【表7-2】
【0217】
実施例35 4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0218】
【化62】
【0219】
参考例44で得られた8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.080g、0.281mmol)のトルエン(1.4ml)溶液に、参考例19で得られた[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メタノール(0.059g、0.310mmol)、シアノメチレントリブチルホスホラン(0.102g、0.422mmol)を加えた後、100℃にて2時間撹拌した。反応液に酢酸エチルを加えて希釈後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、brineで順次洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣を分取HPLC、カラムクロマトグラフィー(YMC NH 12g、AcOEt/hexane=25/75〜80/20)、(SNAP Ultra 10g、AcOEt/hexane=40/60〜100/0)で順次精製することにより、表題化合物(0.041g)を得た(淡黄色油状)。
LCMS retention time 0.95 min.
MS (ESI pos.) m/z : 456 [M+H]+
【0220】
実施例36〜59を実施例35と同様の手法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名及びLCMSデータを表8−1〜8−3に示す。
【0221】
【表8-1】
【0222】
【表8-2】
【0223】
【表8-3】
【0224】
実施例60 4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(6,7−ジフルオロキノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0225】
【化63】
【0226】
参考例73で得られた4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.040g、0.122mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.60ml)溶液に、2−クロロキナゾリン(0.022g、0.134mmol)、炭酸カリウム(0.026g、0.184mmol)を加えた後、マイクロウェーブ照射下150℃で0.5時間加熱撹拌した。反応液をクロロホルムで希釈後、不溶物をろ過、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣を分取HPLCおよびカラムクロマトグラフィー(YMC NH 12g、AcOEt/hexane=20/80〜60/40)にて順次精製することにより、表題化合物(0.027g)を得た(無色非晶質)。
LCMS retention time 0.92 min.
MS (ESI pos.) m/z : 456 [M+H]+
【0227】
実施例61〜84を実施例60と同様の手法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名及びLCMSデータを表9−1〜9−3に示す。
【0228】
【表9-1】
【0229】
【表9-2】
【0230】
【表9-3】
【0231】
実施例85 2−(4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−3−オキソ−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)ピリミジン−4−カルボニトリル
【0232】
【化64】
【0233】
参考例73で得られた4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.050g、0.153mmol)の1−ブタノール(0.30ml)溶液に2−クロロピリミジン−4−カルボニトリル(0.028g、0.199mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.040ml、0.229mmol)を加えた後、110℃にて1時間加熱した。反応液を室温まで放冷後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace 4g、AcOEt/hexane=35/65〜75/25)にて精製することにより、表題化合物(0.060g)を得た(淡黄色非晶質)。
LCMS retention time 0.97 min.
MS (ESI pos.) m/z : 431 [M+H]+
【0234】
実施例86〜89を実施例85と同様の手法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名及びLCMSデータを表10に示す。
【0235】
【表10】
【0236】
実施例90 4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−[2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−イル]−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0237】
【化65】
【0238】
参考例73で得られた4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.050g、0.153mmol)の1,4−ジオキサン(0.8ml)溶液に、5−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ピリミジン(0.052g、0.229mmol)、ナトリウム tert−ブトキシド(0.044g、0.459mmol)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−(ジメチルアミノ)ビフェニル(0.0030g、0.0076mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.014g、0.0153mmol)を加えた後、マイクロウェーブ照射下110℃で0.5時間加熱撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈後、水、brineで順次洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(YMC NH 12g、AcOEt/hexane=25/75〜70/30)、(Grace 4g、MeOH/CHCl3=0/100〜10/90)で順次精製することにより、表題化合物(0.016g)を得た(無色固体)。
LCMS retention time 0.98 min.
MS (ESI pos.) m/z : 473 [M+H]+
【0239】
実施例91〜98を実施例90と同様の手法により得た。得られた化合物の構造式、化合物名及びLCMSデータを表11に示す。
【0240】
【表11】
【0241】
実施例99 4−(1H−インドール−4−イルメチル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0242】
【化66】
【0243】
参考例65で得られた4−({1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−インドール−4−イル}メチル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.050g、0.0881mmol)のメタノール(0.50ml)溶液に炭酸セシウム(0.129g、0.396mmol)を加えた後、80℃にて7時間加熱した。反応液を室温まで放冷後、水を加え、クロロホルムを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄後、フェーズセパレーターを通し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(Grace NH 12g、AcOEt/hexane=20/80〜80/20)にて精製することにより、表題化合物(0.040g)を得た(淡黄色非晶質)。
LCMS retention time 0.90 min.
MS (ESI pos.) m/z : 414 [M+H]+
【0244】
実施例100 4−(1H−インドール−3−イルメチル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0245】
【化67】
【0246】
参考例66で得られた4−({1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−インドール−3−イル}メチル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.11g、0.194mmol)を原料として、参考例99と同様の方法により、表題化合物(0.028g)を得た(淡黄色固体)。
LCMS retention time 0.92 min.
MS (ESI pos.) m/z : 414 [M+H]+
【0247】
実施例101 4−[5−メチル−2−(ピリミジン−2−イル)ベンジル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0248】
【化68】
【0249】
参考例69で得られた4−(2−ヨード−5−メチルベンジル)−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.10g、0.194mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(3.0ml)溶液に、トリブチル(ピリミジン−2−イル)スタンナン(0.086g、0.233mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.022g、0.0194mmol)、ヨウ化銅(I)(0.0037g、0.0194mmol)、フッ化セシウム(0.059g、0.389mmol)を加えた後、マイクロウェーブ照射下120℃で0.5時間加熱撹拌した。反応液にフッ化カリウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣を分取HPLCにて精製することにより、表題化合物(0.025g)を得た(淡黄色非晶質)。
LCMS retention time 0.97min.
MS (ESI pos.) m/z : 467 [M+H]+
【0250】
実施例102 4−[(3−シクロプロピル−6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0251】
【化69】
【0252】
参考例63で得られた4−[(3−ブロモ−6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.10g、0.214mmol)のtert−ブタノール(5.0ml)、水(5.0ml)溶液に、シクロプロピルトリフルオロほう酸カリウム(0.041g、0.278mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.0024g、0.011mmol)、2−ジシクロへキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシビフェニル(0.010g、0.021mmol)、リン酸三カリウム(0.33g、1.54mmol)を加えた後、100℃で5時間加熱した。反応液を室温まで放冷後、水および酢酸エチルを加えて暫く撹拌後、セライトろ過した。ろ液より有機層を分取後、brineで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣を分取HPLCにて精製することにより、表題化合物(0.010g)を得た(淡黄色固体)。
LCMS retention time 0.82 min.
MS (ESI pos.) m/z : 430 [M+H]+
【0253】
実施例103 4−{[3−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0254】
【化70】
【0255】
実施例30で得られた4−[(3−アセチル−6−メチルピリジン−2−イル)メチル]−8−(キノキサリン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.050g、0.116mmol)のテトラヒドロフラン(2.0ml)溶液に、氷冷下で臭化メチルマグネシウム(0.058ml、0.174mmol、3M ジエチルエーテル溶液)を加えた後、室温に昇温して1時間撹拌した。臭化メチルマグネシウム(0.058ml、0.174mmol、3M ジエチルエーテル溶液)を追加して1時間撹拌後、更に2時間加熱還流した。室温まで放冷した後、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルを用いて抽出した。抽出した有機層をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣を分取HPLCにて精製することにより、表題化合物(0.002g)を得た(無色固体)。
LCMS retention time 0.71 min.
MS (ESI pos.) m/z : 448 [M+H]+
【0256】
実施例104 4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−8−(5−フェニルピリミジン−2−イル)−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
【0257】
【化71】
【0258】
実施例71で得られた8−(5−クロロピリミジン−2−イル)−4−{[3−(ジフルオロメトキシ)−6−メチルピリジン−2−イル]メチル}−1−オキサ−4,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.044g、0.100mmol)のアセトニトリル(0.29ml)、水(0.20ml)溶液に、フェニルボロン酸(0.018g、0.150mmol)、炭酸カリウム(0.042g、0.300mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.0011g、0.005mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(0.0041g、0.010mmol)を加えた後、マイクロウェーブ照射下110℃で1時間加熱撹拌した。反応液に酢酸エチルを加えて希釈した後、セライトろ過した。得られたろ液をbrineで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、乾燥剤を濾別し、減圧下溶媒留去した。得られた残渣を分取HPLCにて精製することにより、表題化合物(0.012g)を得た(無色非晶質)。
LCMS retention time 1.12 min.
MS (ESI pos.) m/z : 482 [M+H]+
【0259】
試験例 (オレキシン拮抗活性の測定)
試験化合物のヒトオレキシン1型受容体(hOX1R)、オレキシン2型受容体(hOX2R)に対する拮抗活性は文献(Toshikatsu Okumura et al., Biochemical and Biophysical Research Communications 280, 976−981, 2001)に記載された方法を改変して行った。hOX1R、hOX2Rを強制発現させたChinese hamster ovary(CHO)細胞を96wellのBlack clear bottomプレート(Nunc)の各ウェルに24,000個となるように播種し、0.1mM MEM非必須アミノ酸、0.5mg/ml G418、10% 牛胎児血清を含むHam’s F−12培地(以上インビトロジェン)で、37℃、5% CO2の条件下で16時間培養した。培地を除去後、0.5μM Fluo−3AM エステル(同仁)を含むアッセイ用緩衝液(25mM HEPES(同仁)、Hanks’ balanced salt solution(インビトロジェン)、0.1% 牛血清アルブミン、2.5mM プロベネシド、200μg/ml Amaranth(以上Sigma−Aldrich)、pH7.4)を100μL添加し60分間、37℃、5% CO2にインキュベートした。Fluo−3AM エステルを含むアッセイ用緩衝液を除去したのち、試験化合物は10mMとなるようにジメチルスルホキシドで溶解してアッセイ用緩衝液で希釈後、150μLを添加し、30分間インキュベートした。
リガンドであるヒトオレキシン−Aの2アミノ酸を置換したペプチド(Pyr−Pro−Leu−Pro−Asp−Ala−Cys−Arg−Gln−Lys−Thr−Ala−Ser−Cys−Arg−Leu−Tyr−Glu−Leu−Leu−His−Gly−Ala−Gly−Asn−His−Ala−Ala−Gly−Ile−Leu−Thr−Leu−NH2;ペプチド研究所)はhOX1Rに対しては終濃度500pM、hOX2Rに対しては1nMとなるようにアッセイ用緩衝液で希釈し、このリガンド溶液50μLを添加して反応を開始した。反応はFunctional Drug Screening System(FDSS;浜松ホトニクス社製)を用いて各wellの蛍光値を1秒毎に3分間測定し、最大蛍光値を細胞内Ca2+濃度の指標として拮抗活性を求めた。試験化合物の拮抗活性は希釈緩衝液のみを添加したウェルの蛍光値を100%、リガンドおよび化合物を含まない緩衝液を添加したウェルの蛍光値を0%として算出し、種々の濃度の試験化合物を添加した際の蛍光値から、50%阻害濃度(IC50値)を求めた。本発明化合物のIC50値を表12に示す。
【0260】
【表12】
【産業上の利用可能性】
【0261】
本発明化合物は、OX受容体拮抗作用を有することが示された。従って、本発明化合物又はその医薬上許容される塩は、OX受容体拮抗作用によって調節される病気、例えば、睡眠障害、うつ病、不安障害、パニック障害、統合失調症、薬物依存症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、摂食障害、頭痛、片頭痛、疼痛、消化器疾患、てんかん、炎症、免疫関連疾患、内分泌関連疾患、高血圧等の治療又は予防薬として使用することが可能である。