特開2017-101446(P2017-101446A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-101446太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-101446(P2017-101446A)
(43)【公開日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20170512BHJP
   E04D 13/18 20140101ALI20170512BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20170512BHJP
   E04H 9/16 20060101ALI20170512BHJP
   H02S 40/12 20140101ALI20170512BHJP
   H02S 20/23 20140101ALN20170512BHJP
【FI】
   E04D13/00 BETD
   E04D13/18
   H02S20/10 S
   E04H9/16 H
   H02S40/12
   H02S20/23 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-234732(P2015-234732)
(22)【出願日】2015年12月1日
(11)【特許番号】特許第5990721号(P5990721)
(45)【特許公報発行日】2016年9月14日
(71)【出願人】
【識別番号】591097632
【氏名又は名称】長州産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】316012083
【氏名又は名称】シナネン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】鈴尾 秀祐
【テーマコード(参考)】
2E108
2E139
5F151
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM00
2E108NN07
2E139AA03
2E139AC04
2E139DA04
2E139DA36
2E139DB04
2E139DB14
2E139DB16
5F151BA18
5F151JA15
(57)【要約】
【目的】低コストで且つ効率的に製造できる融雪モジュール、及び屋根上で低コストで且つ効率的に取付け施工できる融雪モジュールを提供する。
【構成】太陽電池モジュールの太陽電池セル部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層とそれぞれ屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する、ヒーター部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層から成り、太陽電池モジュールにおけると同じように積層されて成る融雪モジュールである。また、太陽電池モジュールのフレームと屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有するフレーム(自らを屋根材に取り付けるための部分をも含む)を備えた融雪モジュールである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セルが配置される太陽電池セル部と、前記太陽電池セル部の上下にそれぞれ配置される上側封止材及び下側封止材と、前記上側封止材の上方に配置される表面保護層と、前記下側封止材の下方に配置される裏面保護層と、前記の太陽電池セル部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層をそれらの外周縁部側から保持するフレームとから成る屋根設置用太陽電池モジュールの棟側及び/又は軒下側に配置される融雪モジュールであって、
前記太陽電池モジュールの太陽電池セル部と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有するヒーター部と、
前記ヒーター部の上側に配置され、前記太陽電池モジュールの上側封止材と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する上側封止材と、
前記ヒーター部の下側に配置され、前記太陽電池モジュールの下側封止材と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する下側封止材と、
前記上側封止材の上方に配置され、前記太陽電池モジュールの表面保護層と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する表面保護層と、
前記下側封止材の下方に配置され、前記太陽電池モジュールの裏面保護層と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する裏面保護層と、
前記のヒーター部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層をそれらの外周縁部側から保持するフレームと、から成る融雪モジュール。
【請求項2】
前記フレームは、自らを屋根材に取り付けるための部分をも含むものであり、且つ前記太陽電池モジュールのフレームと屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有するものである、請求項1記載の融雪モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池モジュールが設置された建物屋根上の積雪を融かすための融雪モジュール(融雪パネル)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、豪雪地帯などで建設される建物に関して、屋根上に設置された複数の太陽電池モジュール(太陽電池パネル)の下側に面状ヒーターを配置してこの面状ヒーターの発熱により太陽電池モジュール上の雪を融雪することが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、従来より、豪雪地帯などで建設される建物に関して、図9(a)及び(b)に示すように、屋根上に設置された複数の各太陽電池モジュール31間の隙間に棒状ヒーター32を配置しておき、この棒状ヒーター32により各太陽電池モジュール31間の隙間上の積雪を融かし、以って屋根上の積雪全体の融雪及び滑雪を促進させることも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3090961号公報
【特許文献2】特開2004−278270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の屋根上の複数の太陽電池モジュールの下側に面状ヒーターを配置する方法によるときは、面状ヒーターの熱が直接に太陽電池モジュールに及んでしまうため太陽電池モジュールが早期に劣化してしまう、面状ヒーターの熱が太陽電池モジュールを介して雪に伝えられるため融雪効果が低いなどの問題があった。
【0006】
また、上記の屋根上に設置された複数の各太陽電池モジュール31間の隙間に棒状ヒーター32を設置する方法によるときは、前記各太陽電池モジュール31間の隙間に設置するのに適した棒状ヒーター32の製造又は調達のために多大なコストが必要となる、屋根上で棒状ヒーター32を前記隙間に取り付けるための施工作業が煩雑で手間が掛かるなどの問題があった。
【0007】
本発明はこのような従来技術に着目してなされたものであって、従来のように融雪用ヒーターの熱が直接に太陽電池モジュールに及ぼされて太陽電池モジュールが早期に劣化してしまうことがなく、屋根上の積雪に対し直接に熱を及ぼして大きな融雪効果を得ることができ、低コストに且つ効率的に製造することができる融雪モジュールを提供することを目的とする。また本発明は、屋根上で作業者が効率的に取付け施工できる融雪モジュールを提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような課題を解決するための本発明による融雪モジュールは、太陽電池セルが配置される太陽電池セル部と、前記太陽電池セル部の上下にそれぞれ配置される上側封止材及び下側封止材と、前記上側封止材の上方に配置される表面保護層と、前記下側封止材の下方に配置される裏面保護層と、前記の太陽電池セル部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層をそれらの外周縁部側から保持するフレームとから成る屋根設置用太陽電池モジュールの棟側及び/又は軒下側に配置される融雪モジュールであって、前記太陽電池モジュールの太陽電池セル部と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有するヒーター部と、前記ヒーター部の上側に配置され、前記太陽電池モジュールの上側封止材と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する上側封止材と、前記ヒーター部の下側に配置され、前記太陽電池モジュールの下側封止材と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する下側封止材と、前記上側封止材の上方に配置され、前記太陽電池モジュールの表面保護層と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する表面保護層と、前記下側封止材の下方に配置され、前記太陽電池モジュールの裏面保護層と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する裏面保護層と、前記のヒーター部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層をそれらの外周縁部側から保持するフレームと、を含むものである。
【0009】
また、本発明による融雪モジュールにおいて、前記フレームは、自ら(フレーム)を屋根材に取り付けるための部分をも含むものであり、且つ前記太陽電池モジュールのフレームと屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有するものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明による融雪モジュールにおいては、融雪モジュールを構成する各部材(ヒーター部(融雪用ヒーター又はそれが配置される部分)、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層)の外形状を、太陽電池モジュールを構成する各部材(太陽電池セル部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層)と屋根流れ方向(屋根の棟側から軒下側に向かう方向)の幅寸法を除き略同一となるように構成し、且つ、融雪モジュールの内部構造(前記各部材が積層される順序などの構造)を、太陽電池モジュールの内部構造と略同一となるように構成した。よって、本発明によれば、融雪モジュールの製造を、従来の太陽電池モジュールの製造ライン及び製造方法をほぼそのまま流用して行うことができるので、融雪モジュールの製造のために特別な製造ライン又は製造方法などを準備することが不要となり、融雪モジュールの製造を低コストで且つ効率的に行えるようになる。
【0011】
また、本発明による融雪モジュールによれば、建物の屋根に設置された太陽電池モジュールの棟側及び/又は軒下側に融雪モジュールを配置するようにしたので、融雪用ヒーターからの熱が直接に太陽電池モジュールに及ぼされて太陽電池モジュールが早期に劣化してしまうことが無くなり、また、融雪モジュールからの熱が屋根上の積雪に直接に伝わるため大きな融雪効果が得られるようになる。
【0012】
また、本発明による融雪モジュールにおいて、融雪モジュールのフレーム(当該フレームを屋根材に取り付けるための構成部分をも含む)の外形状を、太陽電池モジュールのフレームと屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一となるように構成したときは、屋根上で融雪モジュールを屋根材に取付け施工しようとする作業者は、従来の太陽電池モジュールの屋根材への取付け施工のための方法や知識等をそのまま流用して施工することができるので、施工作業者に対し融雪モジュールの取付け施工のために特別な方法又は知識等を新たに教えることが不要となり、融雪モジュールの屋根材への取付け施工を低コストで且つ効率的に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る融雪モジュールが建物屋根上に配置されたときの状態を説明するための図である。
図2】(a)は本実施形態に係る融雪モジュールの平面図(有色の封止材を透過させた状態で示すもの)、(b)は正面図(背面図はこの正面図と同一である)、(c)は側面図、及び(d)は底面図(外部電源などに接続される配線ケーブルを示さないもの)である。
図3】(a)は図2のA−A’線断面図、(b)は図2のB−B’線断面図である。
図4】(a)は本実施形態に係る融雪モジュールの平面図(有色の上側封止材をも示すもの)、(b)は平面図(有色の上側封止材を透過させた状態で示すもの)、(c)は側面図、(d)は拡大して示す正面図(背面図はこの正面図と同一である)、及び(e)は底面図(外部電源などに接続される配線ケーブルなどをも示すもの)である。
図5】(a)は本実施形態に係る融雪モジュールの平面側の斜視図であって有色の上側封止材を透過した状態で示す斜視図、(b)は本実施形態に係る融雪モジュールの平面側の斜視図であって有色の上側封止材をも示す斜視図である。
図6】(a)は本実施形態に係る融雪モジュールの平面側の斜視図、(b)はその底面側の斜視図である。
図7】本実施形態に係る融雪モジュールの内部構造を説明するための模式図である。
図8】本実施形態に係る融雪モジュールの内部構造を説明するための分解斜視図である。
図9】屋根上に設置された従来の太陽電池モジュール及び融雪装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る融雪モジュールが建物屋根上に配置されたときの状態を説明するための図、図2(a)〜(d)はそれぞれ本実施形態に係る融雪モジュールの平面図(有色の上側封止材を透過させた状態で示すもの)、正面図(背面図はこの正面図と同一である)、側面図、及び底面図(外部電源などに接続される配線ケーブルを示さないもの)、図3(a)は図2のA−A’線断面図、図3(b)は図2のB−B’線断面図、図4(a)〜(e)はそれぞれ本実施形態に係る融雪モジュールの平面図(有色の上側封止材をも示すもの)、平面図(有色の上側封止材を透過させた状態で示すもの)、側面図、拡大して示す正面図(背面図はこの正面図と同一である)、及び底面図(外部電源などに接続される配線ケーブルなどをも示すもの)、図5(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態に係る融雪モジュールの平面側の斜視図で、(a)は有色の上側封止材を透過した状態で示す斜視図、(b)は有色の上側封止材をも示す斜視図、図6(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態に係る融雪モジュールの平面側の斜視図及び底面側の斜視図である。
【0015】
図1において、11は屋根上で図示左右上下方向に並ぶように屋根材に固定される複数の各太陽電池モジュール、12は前記各太陽電池モジュール11間の各隙間に配置される間カバー、13は前記複数の太陽電池モジュール11の棟側及び軒下側の位置にそれぞれ配置されるべく屋根材に固定される融雪モジュールである。
【0016】
本実施形態では、融雪モジュール13と太陽電池モジュール11とは、図1に示すように、図示横方向(屋根流れ方向に対して直交する方向)において互いに略同一の外形寸法を有するように構成されている。また、図1では示していないが、本実施形態では、融雪モジュール13と太陽電池モジュール11とは、その厚さ方向(屋根平面に対して直交する方向)において互いに略同一の外形寸法を有するように構成されている。詳しくは後述するが、前述のように、本実施形態は、融雪モジュール13が、太陽電池モジュール11(フレームを含む)に対して、屋根流れ方向(屋根の棟側から軒下側に向かう方向)の幅寸法を除き、前記横方向及び厚さ方向において略同一の外形状を有するように構成されている点に、大きな特徴を有している。
【0017】
次に図2〜6において、1は融雪モジュールの上側(屋根材から離れる側)に配置される透明ガラス板(強化ガラス製板)、2はその下方に上側封止材(後述する図7の4a参照)を介して配置されるシート状ヒーター、3は前記シート状ヒーター2を支持するタブ(支持部材)、4bは前記シート状ヒーター2の下側(屋根材側)に配置される下側封止材であって例えばアイオノマー樹脂などにより構成される下側封止材(シート状ヒーター2の保護用の封止材)、5は前記下側封止材4bの下側(屋根材側)に配置される耐候性フィルム製のバックシート、6は前記のガラス板1、ヒーター2、下側封止材4b、及びバックシート5などを、それらが積層された状態で、それらの外周縁部側から保持する例えばアルミなどの金属製のフレーム(枠体)、6aは前記フレーム6の外側下端部に形成された断面鉤状の突出部(フレーム6を屋根材に取付け固定するためのネジ穴などが形成されている部分)、7(図3参照)は前記フレーム6と前記のガラス板1、ヒーター2、下側封止材4b、及びバックシート5などとの間の隙間を封止するために塗布・充填される例えばシリコン製の充填材、8(図2(d)参照)は前記シート状ヒーター2を外部電源などに接続するためのコネクタ部、8a(図4(e)及び図6(b)参照)は前記コネクタ部8に接続された配線ケーブルである。
【0018】
次に、図7及び8を参照して本実施形態に係る融雪モジュールの内部構造の詳細を説明する。本実施形態においては、融雪モジュールの内部構造を、融雪モジュールと近接して屋根上に設置される太陽電池モジュールの内部構造とほぼ同一に構成したことに最大の特徴がある。
【0019】
すなわち、従来の太陽電池モジュールは、屋根材に近い側から屋根材から離れる方向に向かって、耐候性フィルム製のバックシート、透明の下側封止材、太陽電池セル部(互いに横方向に繋げられた複数個の太陽電池セル又はそれらが配置される部分)、透明の上側封止材、及び透明のガラス板が上記順序で積層されることにより構成されている。
【0020】
そして、本実施形態に係る融雪モジュールも、上記の太陽電池モジュールと、屋根流れ方向の幅寸法を除き、その外形状及び内部構造などにおいて略同一の構成、すなわち、屋根材に近い側から屋根材から離れる方向に向かって、図7,8に示すように、耐候性フィルム製のバックシート5、下側封止材4b、シート状ヒーター2、上側封止材4a、及び透明のガラス板1が上記順序で積層されるという構成が採用されている(図1も参照)。なお、前記上側封止材4aは、融雪モジュールの表面側から内部のシート状ヒーター2が透けて見えないように、且つ近接して配置されている太陽電池モジュール11との間で外観上の違和感が生じないように、太陽電池モジュール11内の太陽電池セルの色と同系色、例えば黒色に形成されている。
【0021】
特に、本実施形態に係る融雪モジュールの内部構造(各部材の構成とそれらが積層される順序などの構造)は、図7に示すように、複数の太陽電池セルに対応する部分がシート状ヒーター2に代替されている点を除き、基本的に太陽電池モジュールの内部構造と同一に構成されている。また、図1に関して前述したように、融雪モジュール3(フレーム6を含む)は、太陽電池モジュール1との関係では、屋根流れ方向(図示上下方向)の幅寸法を除き、図1の横方向及び厚さ方向において略同一の外形状を有するように構成されている。よって、本実施形態によれば、融雪モジュールの製造を、従来の太陽電池モジュールの製造ライン及び製造方法をほぼそのまま流用して行うことができるので、融雪モジュールの製造のために特別なライン又は方法を準備することが不要となり、融雪モジュールの製造を低コストで且つ効率的に行えるようになる。
【0022】
また、本実施形態では、融雪モジュールを屋根材へ取付け固定するための構造及び施工方法を、融雪モジュールと近接して屋根上に設置される太陽電池モジュールを屋根材へ取付け固定するための構造及び施工方法とほぼ同一としている。
【0023】
すなわち、従来の太陽電池モジュールは、前記の耐候性フィルム製のバックシート、透明の下側封止材(太陽電池セルの保護用の封止材)、太陽電池セル部、透明の上側封止材、及び透明のガラス板が、上記順序で積層された状態で、それらの外周側縁部を外側から挟み込むように配置される金属製フレームにより保持され、且つ、このフレームが屋根材にネジ止め等で固定されることにより、屋根上に取り付けられている。また、図1に関して前述したように、融雪モジュール3(フレーム6を含む)は、太陽電池モジュール1との関係で、屋根流れ方向(図1の上下方向)の幅寸法を除き、図1の横方向及び厚さ方向において略同一の外形状(前記フレーム6中の屋根材への取付け用ネジ穴などが形成されている突出部6aの外形状をも含む)を有するように構成されている。
【0024】
よって、本実施形態においては、融雪モジュールの屋根材への取付け施工に関して、前記のバックシート5、下側封止材4b、シート状ヒーター2、上側封止材4a、及び透明ガラス板1の各外周側縁部を外側から挟み込むように保持している金属製フレーム6を、その突出部6a(ネジ穴等が形成されている部分)を屋根材にネジ止め等で固定することにより、屋根上に設置するという、上記の太陽電池モジュールにおける屋根材への取付け施工方法と略同一の施工方法を採用することができる。したがって、本実施形態によれば、屋根上で融雪モジュールを施工しようとする作業者は、従来の太陽電池モジュールの屋根材への取付け施工のための方法や知識等をそのまま流用して施工することができるので、施工作業者は融雪モジュールの取付け施工のために特別な方法又は知識等を新たに覚えることが不要となり、融雪モジュールの屋根材への取付け施工を低コストで且つ効率的に行えるようになる。
【0025】
なお図8において、7aは、フレーム6同士及びフレーム6と前記各部材(バックシート5、下側封止材4b、シート状ヒーター2、上側封止材4a、及び透明ガラス板1)との間の隙間を外部に対して封止するための例えばシリコン樹脂製の充填材(塗布材)である。また、本実施形態1では、前記シート状ヒーター2の上側の封止材4aとして、黒色などの有色に着色した封止材を使用しているが、これは、シート状ヒーター2及びその配線等が透明ガラス板1を通して外部から見えないようにするという意匠上の理由によるものであるから、本発明においては、太陽電池モジュールにおけると同様に黒色などに着色していない透明な封止材を使用するようにしてもよい。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態においては、ヒーター部を1つのシート状ヒーター2が配置される部分としたが、本発明においてはこれに限られることなく、例えば複数個の発熱体が互いに接続された状態で略水平方向に並べられて配置される部分などとしてもよい。また前記実施形態では、シート状ヒーター部2及び上側封止材4aの上方に配置される表面保護層としてガラス板1を使用したが、本発明では他の素材から成る表面保護層、例えばプラスチック板などを使用するようにしてもよい。また前記実施形態では、シート状ヒーター部2及び下側封止材4bの下方に配置される裏面保護層としてバックシート5を使用したが、本発明においてはプラスチックなど様々な素材から成る保護層を使用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1 ガラス板
2 シート状ヒーター
3 タブ
4a 上側封止材
4b 下側封止材
5 バックシート
6 フレーム
6a 突出部
7,7a 充填材
8 コネクタ部
8a 配線ケーブル
11 太陽電池モジュール
12 間カバー
13 融雪モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2016年4月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物屋根上に、太陽電池モジュールを配置すると共に、これとは別体の融雪モジュールを、前記太陽電池モジュールの棟側及び/又は軒下側で且つ前記太陽電池モジュールと近接する位置に配置して成る、太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造であって、
前記太陽電池モジュールは、太陽電池セルが配置される太陽電池セル部と、前記太陽電池セル部の上下にそれぞれ配置される上側封止材及び下側封止材と、前記上側封止材の上方に配置される表面保護層と、前記下側封止材の下方に配置される裏面保護層と、前記の太陽電池セル部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層をそれらの外周縁部側から保持するフレームとから成り、
前記融雪モジュールは、前記太陽電池モジュールの太陽電池セル部と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有するヒーター部と、前記ヒーター部の上側に配置され、前記太陽電池モジュールの上側封止材と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する上側封止材と、前記ヒーター部の下側に配置され、前記太陽電池モジュールの下側封止材と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する下側封止材と、前記上側封止材の上方に配置され、前記太陽電池モジュールの表面保護層と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する表面保護層と、前記下側封止材の下方に配置され、前記太陽電池モジュールの裏面保護層と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する裏面保護層と、前記のヒーター部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層をそれらの外周縁部側から保持するフレームとから成り、
前記太陽電池モジュールと前記融雪モジュールとは、互いに別体でありながら、その「内部に配置されている太陽電池セル部又はヒーター部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層の各形状及び互いの積層順序から成る、内部構造」が、太陽電池セル部とヒーター部のいずれが配置されているか及び屋根流れ方向の幅寸法を除き互いに同一となるように構成されている、太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造
【請求項2】
前記融雪モジュールのフレームは、自ら(融雪モジュール)を屋根材に取り付けるための部分をも含むものであり、且つ前記太陽電池モジュールのフレームと屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有するものである、請求項1記載の太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は太陽電池モジュールが設置された建物屋根上の積雪を融かすための太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明はこのような従来技術に着目してなされたものであって、従来のように融雪用ヒーターの熱が直接に太陽電池モジュールに及ぼされて太陽電池モジュールが早期に劣化してしまうことがなく、屋根上の積雪に対し直接に熱を及ぼして大きな融雪効果を得ることができ、低コストに且つ効率的に製造することができる、太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造を提供することを目的とする。また本発明は、屋根上で作業者が効率的に取付け施工できる、太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造を提供することをも目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明による太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造は、建物屋根上に、太陽電池モジュールを配置すると共に、これとは別体の融雪モジュールを、前記太陽電池モジュールの棟側及び/又は軒下側で且つ前記太陽電池モジュールと近接する位置に配置して成る、太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造であって、前記太陽電池モジュールは、太陽電池セルが配置される太陽電池セル部と、前記太陽電池セル部の上下にそれぞれ配置される上側封止材及び下側封止材と、前記上側封止材の上方に配置される表面保護層と、前記下側封止材の下方に配置される裏面保護層と、前記の太陽電池セル部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層をそれらの外周縁部側から保持するフレームとから成り、前記融雪モジュールは、前記太陽電池モジュールの太陽電池セル部と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有するヒーター部と、前記ヒーター部の上側に配置され、前記太陽電池モジュールの上側封止材と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する上側封止材と、前記ヒーター部の下側に配置され、前記太陽電池モジュールの下側封止材と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する下側封止材と、前記上側封止材の上方に配置され、前記太陽電池モジュールの表面保護層と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する表面保護層と、前記下側封止材の下方に配置され、前記太陽電池モジュールの裏面保護層と屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有する裏面保護層と、前記のヒーター部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層をそれらの外周縁部側から保持するフレームとから成り、前記太陽電池モジュールと前記融雪モジュールとは、互いに別体でありながら、その「内部に配置されている太陽電池セル部又はヒーター部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層の各形状及び互いの積層順序から成る、内部構造」が、太陽電池セル部とヒーター部のいずれが配置されているか及び屋根流れ方向の幅寸法を除き互いに同一となるように構成されるものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
また、本発明による太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造においては、前記融雪モジュールのフレームは、自ら(融雪モジュール)を屋根材に取り付けるための部分をも含むものであり、且つ前記太陽電池モジュールのフレームと屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一の外形状を有するものであってもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
以上のように、本発明に係る太陽電池モジュール及び融雪モジュールの屋根取付構造においては、融雪モジュールを構成する各部材(ヒーター部(融雪用ヒーター又はそれが配置される部分)、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層)の外形状を、太陽電池モジュールを構成する各部材(太陽電池セル部、上側封止材、下側封止材、表面保護層、及び裏面保護層)と屋根流れ方向(屋根の棟側から軒下側に向かう方向)の幅寸法を除き略同一となるように構成し、且つ、融雪モジュールの内部構造(前記各部材が積層される順序などの構造)を、太陽電池モジュールの内部構造と略同一となるように構成した。よって、本発明によれば、融雪モジュールの製造を、従来の太陽電池モジュールの製造ライン及び製造方法をほぼそのまま流用して行うことができるので、融雪モジュールの製造のために特別な製造ライン又は製造方法などを準備することが不要となり、融雪モジュールの製造を低コストで且つ効率的に行えるようになる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、本発明によれば、建物の屋根に設置された太陽電池モジュールの棟側及び/又は軒下側に融雪モジュールを配置するようにしたので、融雪用ヒーターからの熱が直接に太陽電池モジュールに及ぼされて太陽電池モジュールが早期に劣化してしまうことが無くなり、また、融雪モジュールからの熱が屋根上の積雪に直接に伝わるため大きな融雪効果が得られるようになる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、本発明において、融雪モジュールのフレーム(当該フレームを屋根材に取り付けるための構成部分をも含む)の外形状を、太陽電池モジュールのフレームと屋根流れ方向の幅寸法を除き略同一となるように構成したときは、屋根上で融雪モジュールを屋根材に取付け施工しようとする作業者は、従来の太陽電池モジュールの屋根材への取付け施工のための方法や知識等をそのまま流用して施工することができるので、施工作業者に対し融雪モジュールの取付け施工のために特別な方法又は知識等を新たに教えることが不要となり、融雪モジュールの屋根材への取付け施工を低コストで且つ効率的に行えるようになる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
図1】本発明の一実施形態において融雪モジュールが建物屋根上に配置されたときの状態を説明するための図である。
図2】(a)は本実施形態における融雪モジュールの平面図(有色の封止材を透過させた状態で示すもの)、(b)は正面図(背面図はこの正面図と同一である)、(c)は側面図、及び(d)は底面図(外部電源などに接続される配線ケーブルを示さないもの)である。
図3】(a)は図2のA−A’線断面図、(b)は図2のB−B’線断面図である。
図4】(a)は本実施形態における融雪モジュールの平面図(有色の上側封止材をも示すもの)、(b)は平面図(有色の上側封止材を透過させた状態で示すもの)、(c)は側面図、(d)は拡大して示す正面図(背面図はこの正面図と同一である)、及び(e)は底面図(外部電源などに接続される配線ケーブルなどをも示すもの)である。
図5】(a)は本実施形態における融雪モジュールの平面側の斜視図であって有色の上側封止材を透過した状態で示す斜視図、(b)は本実施形態に係る融雪モジュールの平面側の斜視図であって有色の上側封止材をも示す斜視図である。
図6】(a)は本実施形態における融雪モジュールの平面側の斜視図、(b)はその底面側の斜視図である。
図7】本実施形態における融雪モジュールの内部構造を説明するための模式図である。
図8】本実施形態における融雪モジュールの内部構造を説明するための分解斜視図である。
図9】屋根上に設置された従来の太陽電池モジュール及び融雪装置の一例を示す図である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態において融雪モジュールが建物屋根上に配置されたときの状態を説明するための図、図2(a)〜(d)はそれぞれ本実施形態における融雪モジュールの平面図(有色の上側封止材を透過させた状態で示すもの)、正面図(背面図はこの正面図と同一である)、側面図、及び底面図(外部電源などに接続される配線ケーブルを示さないもの)、図3(a)は図2のA−A’線断面図、図3(b)は図2のB−B’線断面図、図4(a)〜(e)はそれぞれ本実施形態における融雪モジュールの平面図(有色の上側封止材をも示すもの)、平面図(有色の上側封止材を透過させた状態で示すもの)、側面図、拡大して示す正面図(背面図はこの正面図と同一である)、及び底面図(外部電源などに接続される配線ケーブルなどをも示すもの)、図5(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態における融雪モジュールの平面側の斜視図で、(a)は有色の上側封止材を透過した状態で示す斜視図、(b)は有色の上側封止材をも示す斜視図、図6(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態における融雪モジュールの平面側の斜視図及び底面側の斜視図である。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
次に、図7及び8を参照して本実施形態における融雪モジュールの内部構造の詳細を説明する。本実施形態においては、融雪モジュールの内部構造を、融雪モジュールと近接して屋根上に設置される太陽電池モジュールの内部構造とほぼ同一に構成したことに最大の特徴がある。