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特開2017-101676排気ガス後処理配置を最適化するための内燃機関及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-101676(P2017-101676A)
(43)【公開日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】排気ガス後処理配置を最適化するための内燃機関及び方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20170512BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20170512BHJP
   F01N 3/22 20060101ALI20170512BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20170512BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20170512BHJP
   F01N 3/32 20060101ALI20170512BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20170512BHJP
   F02D 23/00 20060101ALI20170512BHJP
   F02B 29/04 20060101ALI20170512BHJP
   F02B 37/02 20060101ALI20170512BHJP
   F02B 25/04 20060101ALI20170512BHJP
【FI】
   F01N3/20 D
   F01N3/08 B
   F01N3/22
   F01N3/24 T
   F01N3/24 Z
   F02M35/10 301P
   F01N3/32 B
   F02M35/10 301W
   F02D45/00 312R
   F02D45/00 320Z
   F02D45/00 312H
   F01N3/32 301D
   F02D23/00 N
   F02B29/04 K
   F02B37/02 D
   F02B25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-235455(P2016-235455)
(22)【出願日】2016年12月2日
(31)【優先権主張番号】15198055.4
(32)【優先日】2015年12月4日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515191442
【氏名又は名称】ヴィンタートゥール ガス アンド ディーゼル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ブルッチェ
【テーマコード(参考)】
3G005
3G091
3G092
3G384
【Fターム(参考)】
3G005DA04
3G005DA09
3G005EA04
3G005EA14
3G005EA16
3G005EA20
3G005EA26
3G005FA35
3G005GB24
3G005JA16
3G091AA04
3G091AA15
3G091AB05
3G091BA02
3G091BA14
3G091CA01
3G091CA17
3G091CA22
3G091FA11
3G091FB02
3G091HA37
3G091HB01
3G091HB06
3G092AA03
3G092AA18
3G092AC10
3G092BA02
3G092DB03
3G092DB04
3G092DC15
3G092EA01
3G092EA02
3G092GA05
3G092HA01Z
3G092HA11Z
3G092HD02Z
3G384AA04
3G384BA31
3G384CA06
3G384DA14
3G384EA01
3G384EB01
3G384EB02
3G384ED03
3G384ED07
3G384FA26Z
3G384FA45Z
(57)【要約】
【課題】排気ガス後処理配置を最適化するための内燃機関及び方法を提供する。
【解決手段】内燃機関1、特に2ストローク船用機関、好ましくはクロスヘッド型内燃機関が、排気ガス・レシーバ2に接続された少なくとも1つの好ましくは複数のシリンダと、入口3aが排気ガス・レシーバ2の出口2bに接続されたSCR反応器3と、を備える。内燃機関1が、タービン5及びコンプレッサ6を有するターボチャージャ4を備え、タービン入口5aがタービン通路7を介してSCR反応器3の出口3bに接続され、ターボチャージャ4のタービン5がコンプレッサ6を駆動し、コンプレッサ6のコンプレッサ出口6bが給気通路8を介して給気レシーバ9に接続されている。給気レシーバ9が内燃機関1のシリンダの空気入口10に接続され、給気通路8が給気冷却器11を備える。給気レシーバ9が吐出弁22を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(1)、特に2ストローク船用機関、好ましくはクロスヘッド型内燃機関が、排気ガス・レシーバ(2)に接続された、少なくとも1つの、好ましくは複数のシリンダと、入口(3a)が前記排気ガス・レシーバ(2)の出口(2b)に接続されたSCR反応器(3)と、タービン(5)及びコンプレッサ(6)を有するターボチャージャ(4)とを備え、
前記タービンのタービン入口(5a)がタービン通路(7)を介して前記SCR反応器(3)の出口(3b)に接続され、前記ターボチャージャ(4)の前記タービン(5)が前記コンプレッサ(6)を駆動し、前記コンプレッサのコンプレッサ出口(6b)が給気通路(8)を介して給気レシーバ(9)に接続され、前記給気レシーバ(9)が前記内燃機関(1)の前記シリンダの空気入口(10)に接続され、前記給気通路(8)が好ましくは給気冷却器(11)を備える、前記内燃機関(1)において、
前記給気レシーバ(9)が吐出弁(22)を備えることを特徴とする、内燃機関。
【請求項2】
前記タービン通路(7)の中に外気が導入され得るように、外気通路(28)が前記タービン通路(7)に接続され、増圧装置(17)が好ましくは前記外気通路(28)に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記外気通路(28)が温度制御装置(13)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の内燃機関(1)。
【請求項4】
前記増圧装置(17)が、補助タービン(30)によって運転可能であり、前記補助タービン(30)が、前記給気レシーバ(9)からの空気によって運転可能及び/又は電気的に運転可能であることを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記外気通路(28)が、外気通路分離装置、特に外気通路弁(29)によって、前記タービン通路(7)から分離可能であることを特徴とする、請求項2から4までのいずれか一項に記載の内燃機関(1)。
【請求項6】
排気ガス温度を測定するための温度センサ(20)が、前記内燃機関(1)の排気ガス出口(1b)と前記ターボチャージャ(4)のタービン(5)との間の領域に、特に前記SCR反応器(3)に又は前記SCR反応器(3)の前記入口(3a)に形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の内燃機関(1)。
【請求項7】
尿素インジェクタ(26)が、前記内燃機関(1)の排気ガス出口(1b)と前記SCR反応器(3)との間に形成され、温度センサ(31)が、好ましくは前記排気ガス出口(1b)と前記尿素インジェクタ(26)との間の領域に配置されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の内燃機関(1)。
【請求項8】
前記外気通路(28)が、好ましくは前記温度制御装置(13)の下流に配置された水分離器(16)を備えることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の内燃機関(1)。
【請求項9】
前記給気通路(8)が、好ましくは前記給気冷却器(11)の下流に配置された水分離器(14)を備えることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の内燃機関(1)。
【請求項10】
前記内燃機関(1)が開ループ制御ユニット(19)を備え、前記給気レシーバからの空気の排出及び/又は前記外気通路(28)を介しての外気の供給が、前記開ループ制御ユニット(19)によって開ループで、好ましくは前記温度センサ(20)の測定温度値に依存するように制御可能であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の内燃機関(1)。
【請求項11】
前記温度制御装置(13)が、前記開ループ制御ユニット(19)によって開ループで制御可能であることを特徴とする、請求項10に記載の内燃機関(1)。
【請求項12】
前記増圧装置(17)が、前記開ループ制御ユニット(19)によって開ループで制御可能であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の内燃機関(1)。
【請求項13】
内燃機関(1)、特に請求項1から12までのいずれか一項に記載の内燃機関(1)の排気ガス後処理配置を最適化するための方法であって、
好ましくはSCR反応器(3)内又はその近傍の排気ガス温度を温度センサ(20)によって測定する、又は、前記内燃機関(1)の負荷域を決定するステップと、
好ましくは開ループ制御ユニット(19)において、前記測定された排気ガス温度を設定点範囲若しくは設定点値と比較する、又は、前記負荷域を低負荷域若しくは低負荷値と比較するステップと、
前記設定点範囲若しくは設定点値からの前記測定された温度の偏差がある場合、特に前記設定点範囲若しくは設定点値に前記測定された温度が達しない場合、又は、前記低負荷値若しくは前記低負荷域に達した場合、空気が前記給気レシーバから周囲に排出されるように吐出弁を開放するステップと
を含む方法。
【請求項14】
外気通路(28)が開放されることによって、外気が前記SCR反応器(3)と前記ターボチャージャ(4)のタービン(5)との間のタービン通路(7)へ誘導されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記外気通路(28)における空気が、増圧装置(17)によって比較的高い圧力レベルに設定され、前記増圧装置(17)が、好ましくは補助タービンによって駆動され、前記補助タービンが、特に前記給気レシーバ(9)からの空気によって駆動されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の独立請求項のプリアンブルに記載の通り、内燃機関の排気ガス後処理配置を最適化するための内燃機関及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の場合において、選択的触媒還元(SCR:Selective Catalytic Reduction)を実行するための選択的触媒還元反応器(以降、SCR反応器と呼ぶ)の使用が知られている。この選択的触媒還元が適当に機能しない極度に低い排気ガス温度の問題も知られている。
【0003】
そのような極度に低い排気ガス温度が、特にエンジン出力の低いレベルたとえば最大連続出力の40パーセント未満で生じる。
【0004】
特に、大型船の船用機関の場合、排出の要件が、特にNO排出に関し、一層切迫してきている。したがって、選択的触媒還元が信頼性よく機能することが低エンジン負荷で否応なく一層必要である。
【0005】
特許文献1がこの問題への解決を開示しており、補助送風機又は給気レシーバの下流位置からSCR触媒コンバータとタービン入口との間のラインの中の位置に、バイパスが直接に繋がる。この配置により、SCR配置に入る排気ガス用の排気ガス温度が上昇する。この変形の不利な点は、給気レシーバ及びタービンが直接に接続されることによって、給気の圧力と温度が、エンジンに対し及びSCR触媒コンバータの動作に対し、同時に最適化されなければならないことである。さらに、特にエンジン出力の低いレベルにおいて、ターボチャージャ出力が極端に低いので、エンジンの動作のために、給気レシーバの上流の補助送風機の使用が必要である。よって、補助送風機の下流の空気が抜き取られて、特に低負荷時に、高い圧力レベルの、いわゆる高エネルギーの空気が抜き取られることになり、このエネルギー豊富な空気をタービンに戻すよう誘導する。このように、ターボチャージャ効率が向上し、このことで今度はターボチャージャの下流でより高い圧力が生じ、したがって、向上された燃焼効率が達成される。この向上された燃焼効率が排気ガス温度の低下を生じ、特にこれが望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】デンマーク国特許第177631号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、先行技術の不利な点を回避し、選択的触媒還元に対し排気ガスの所望温度に最適に設定され得て、同時にエンジンの燃焼プロセスに対し最適に設定され得る内燃機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的が、特許請求の範囲の独立請求項の特徴部に記載の通り、排気ガス後処理配置を最適化する内燃機関及び方法によって達成される。
【0009】
特に、この目的が内燃機関、特に2ストローク船用機関、好ましくはクロスヘッド型内燃機関によって達成され、内燃機関が排気ガス・レシーバに接続された、少なくとも1つの好ましくは複数のシリンダを備える。内燃機関がさらにSCR反応器を備え、入口が排気ガス・レシーバの出口に接続される。さらに、内燃機関が、タービン及びコンプレッサを有するターボチャージャを備え、タービン入口がタービン通路を介してSCR反応器の出口に接続される。ターボチャージャのタービンがコンプレッサを駆動し、ターボチャージャのコンプレッサ出口が給気通路を介して給気レシーバに接続される。給気レシーバが内燃機関のシリンダの空気入口に接続され、給気通路が好ましくは給気冷却器を備える。給気レシーバが吐出弁を備える。
【0010】
この種の内燃機関の場合、給気レシーバからの空気を排出することで、燃焼プロセスからの排気ガスの温度を上昇させることが可能である。吐出弁からの空気が、プロセスに再循環されないように吐出弁が設計され、周囲に直接に又は間接に放出される。
【0011】
外気がタービン通路の中に導入され得るように外気通路がタービン通路に接続され、温度制御装置が好ましくは外気通路に形成される。
【0012】
この発明の内容において、外気通路は、給気レシーバ、又は給気レシーバの上流のターボチャージャのコンプレッサへの空気の流れに対し直接に接続されない。よって、この外気通路はバイパス・ラインでない。
【0013】
温度制御装置が冷却器、加熱装置、若しくは冷却及び加熱装置の組合せの形態であってもよい。
【0014】
この種の装置が、給気レシーバの中の給気圧力、及び温度制御された外気のタービン通路への供給を別々に適用させて、ターボチャージャ出力が開ループで制御可能でもある。さらに、ターボチャージャの回転速度の安定性が最適化され得る。
【0015】
外気通路が増圧装置を備えてもよい。
【0016】
このように、外気の圧力レベルがSCR反応器の排気ガス下流の圧力レベルまで又はそれを超えて増加されて、外気通路からタービン通路の中への信頼性のある流入を可能とする。
【0017】
増圧装置が補助タービンによって運転可能でよく、補助タービンが給気レシーバからの空気によって運転可能及び/又は電気的に運転可能である。
【0018】
このように、給気レシーバから排出される空気のエネルギーが外気通路における外気の圧力の増加に向け利用される。
【0019】
外気通路が外気通路分離装置によってタービンから分離されてもよい。この種の分離装置が弁、フラップ、逆止弁、又はこの要素の組合せでよい。
【0020】
外気通路分離装置が好ましくは増圧装置とタービン通路との間に、特に好ましくは温度制御装置とタービン通路との間に、さらに特に好ましくは、水分離器とタービン通路との間に配置される。
【0021】
このように、外気のタービン通路への供給が活性化されるか非活性化され、好ましくは開ループで制御され、排気ガスの外気通路への進入が防止されることが可能である。
【0022】
このように、内燃機関は、外気のタービン通路への供給がなくても、特に排気ガス温度がSCR反応器の信頼できる動作に対し十分な動作状態で動作されることも可能である。さらに、排気ガスの外気通路への進入が防止される。
【0023】
尿素インジェクタが内燃機関の排気ガス出口とSCR反応器との間に形成されてもよく、温度センサが好ましくは排気ガス出口と尿素インジェクタとの間の領域において特に好ましくは尿素インジェクタの上流、近距離に配置される。
【0024】
尿素を使用することでNOが最適に還元される。
【0025】
排気ガス温度を測定するための温度センサが内燃機関の排気ガス出口とターボチャージャのタービンとの間の領域に配置されてもよい。排気ガス温度を測定するためのセンサが好ましくはSCR反応器に又はSCR反応器の入口に形成されてもよい。特に、温度センサが最終触媒層の下流に直接配置されてよい。温度センサが別に又は追加されて内燃機関の排気ガス出口とSCR反応器との間の排気ラインに、特にエンジンの排気ガス出口とSCR反応器の上流の尿素注入点との間の領域に、好ましくは排気管、特に好ましくは尿素注入点の上流、近距離に配置されてもよい。
【0026】
この種の温度センサによって、排気ガスの温度の正確な決定、したがって測定値に基づく排気ガス温度の直接の閉ループ制御が可能となる。さらに、排気ガス温度が尿素注入点の領域において決定されてよく、排気ガスが尿素注入に対し最適な範囲に維持され得る。
【0027】
排気ガス・レシーバとタービン通路との間にSCR逃し弁を備えるSCRバイパス・ラインが形成されてもよく、SCR反応器がバイパスされ得る。
【0028】
SCRバイパス・ラインが、SCR反応器の故障の際でさえもエンジンの継続動作を可能とし、よってエンジンの動作信頼性に対して機能する。
【0029】
外気通路が、水分離器を、好ましくは温度制御装置の下流に配置して備えてもよい。
【0030】
このように、最も乾燥し得る状態にある空気のみがタービンの中に戻って通る場合もあり、その結果、タービンに腐食の発生する可能性がほとんどない場合もある。特に温度制御装置において空気の冷却の間、比較的冷たい空気は比較的水分の吸収能力が低いので、水分離器の使用が有利である。
【0031】
給気通路が、水分離器を、好ましくは給気冷却器の下流に配置して備えてもよい。
【0032】
これによって、給気から湿気が除去されることが可能となり、空気が最も乾燥し得る状態で燃焼室の中に入る。よって、この場合、ほとんど腐食が発生しない。
【0033】
内燃機関が開ループ制御ユニットを備え、外気通路を介しての外気の供給及び/又は給気レシーバから空気の排出が、開ループ制御ユニットによって、開ループで、好ましくは温度センサの測定温度値に依存するように制御可能である。別法では、開ループ制御がエンジンの負荷状態に基づくように構成されてもよい。
【0034】
特に、外気通路分離装置及び/又は吐出弁が開ループ制御ユニットによって開ループで制御可能である。
【0035】
さらに、開ループ制御ユニットが温度制御装置を開ループで制御してもよく、空気が要求通りに冷却又は加熱され得る。さらに、開ループ制御ユニットが、開ループで外気通路における増圧装置及び/又は水分離器を制御してもよい。
【0036】
温度制御装置の開ループ制御を通して、プロセスの安定に向けて、供給された外気が最適である温度で供給され得る。増圧装置の開ループ制御を通して、供給された空気の圧力が、外気のタービン通路への流入を可能とする圧力レベルまで上昇することが可能となる。
【0037】
本発明に係る開ループ制御ユニットが、この場合、純粋な開ループ制御ユニットの形態か、若しくは閉ループ制御ユニットの形態のいずれかであってもよい。個々の装置たとえば各弁が、開ループで制御され、他の装置、たとえば温度制御装置又は増圧装置が閉制御ループを有することもさらに可能である。
【0038】
目的が、排気ガス、特に上述したように内燃機関の排気ガスの後処理を最適化するための方法によってさらに達成され、方法は次のステップを含む。
− 好ましくはSCR反応器内又はその近傍の排気ガス温度を、温度センサによって測定する、又は、内燃機関の負荷域を決定するステップと、
− 好ましくは開ループ制御ユニットにおいて、測定された排気ガス温度を、設定点範囲若しくは設定点値と比較する、又は、内燃機関の負荷域を低負荷域若しくは低負荷値と比較するステップと、
− 設定点範囲若しくは設定点値からの偏差がある場合、特にそれに達しない場合、又は、低負荷域若しくは低負荷値に達した場合、空気が給気レシーバから周囲に排出されるように吐出弁を開放するステップ。
【0039】
このように、給気レシーバにおける圧力が下降し、空気が比較的低い圧力でエンジンに供給される。これが低エンジン効率となり、よって高い排気ガス温度に至る。この種の方法の場合、SCR反応器が信頼性よく確実に機能する。
【0040】
低負荷域がたとえばエンジン負荷のISO基準条件下の0〜50%であり、特に0〜40%であり、低負荷値がエンジン負荷の40%である。排気ガスの設定点温度範囲がたとえば250℃から500℃の範囲にあり、尿素注入点からの排気ガスの設定点温度がたとえば少なくとも310℃の領域にある。
【0041】
外気が、外気通路が開放されることでタービン通路の中に導入され得、その結果空気がSCR反応器とターボチャージャのタービンとの間のタービン通路の中に誘導される。外気通路の空気が、好ましくは測定されて、好ましくは温度制御されて、ターボチャージャ出力が最適化される。このように、内燃機関の動作が系全体の動作に対し最適な範囲に維持される。
【0042】
外気通路の空気が増圧装置によって比較的高い圧力レベルに設定され得る。増圧装置が好ましくは補助タービンによって駆動され、補助タービンが特に給気レシーバからの空気及び/又は電気的に駆動される。
【0043】
効率損失がこのように低減されるが、というのは、給気レシーバから排出される空気がタービン通路へ適用される外気の圧力レベルを増加するのに利用されるからである。
【0044】
発明が、例示の実施例において図に基づき下記にさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の第1の実施例を概略的に示す図である。
図2】本発明の第2の実施例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は内燃機関1を概略的に示す図であり、排気ガス・レシーバ2を備える。排気ガス・レシーバ2が内燃機関1のシリンダから排気ガスを集める。排気ガスが、排気ガス・レシーバ2からSCR反応器3を介し次いでターボチャージャ4のタービン5まで誘導される。選択的触媒反応器3が入口3a及び出口3bを有する。SCR反応器の入口3aが排気ガス・レシーバの出口2bに接続される。排気ガスが、SCR反応器3の出口3bからタービン通路7を介して及びタービン入口5aを介してタービン5に誘導される。排気ガス・レシーバ出口弁25及び尿素インジェクタ26が排気ガス・レシーバ2とSCR反応器3の入口3aとの間に追加して配置される。SCR反応器3が、故障の場合又はSCR反応器3なく動作の場合に排気ガス・レシーバ出口弁25によって非活性化され得る。
【0047】
全ての例示の実施例において、温度センサ31が後部インジェクタ26の上流、近距離に追加して配置されることは、任意に可能であり、その温度センサによって尿素注入の直接の上流の排気ガス温度が測定され得る。温度センサ31が制御ユニット19に接続されて、排気ガスの温度偏差が検出でき、温度を上昇させるための測定が実施され得る。
【0048】
さらに、タービン通路弁27がSCR反応器3の出口3bの下流に配置され、タービン通路弁によって、SCR反応器3の出口3bが未使用の場合又は故障状態の場合に同様に遮断されることが可能となる。ターボチャージャ4のタービン5がコンプレッサ6を駆動し、それによって外気が圧縮される。この外気がコンプレッサ出口6bから給気通路8を介して給気レシーバ9の中に誘導される。給気通路8がさらに給気冷却器11及び水分離器14を備える。給気通路8からの圧縮された外気が、次の燃焼プロセスのために、給気レシーバ9の中に誘導され空気入口10を介してシリンダに供給される。
【0049】
給気レシーバ9が、吐出弁22を備え、それを介して圧力が給気レシーバ9から排出され得る。給気レシーバ9における圧力のこの減少により、エネルギーが空気入口10を介して燃焼プロセスにほとんど供給されず、よって内燃機関の効率が低下し、排気ガスの温度が上昇する。これによって、排気ガスの温度が、SCR反応器3の機能するレベルまで上昇することが可能となる。
【0050】
さらに、外気がタービン通路に外気通路28を介して導入され得る。外気通路28が外気通路弁29によってタービン通路7から分離可能であって、この外気通路が必要なときのみに活性化される。タービン通路7へ供給された外気が、排気ガス及びターボチャージャ4のタービン5を駆動する外気の混合の温度を下げる。このように、外気が、ターボチャージャ4のコンプレッサ6において、より小さな範囲で圧縮され、比較的低い圧力レベルが給気レシーバ9に生成される。このように、この場合においても、燃焼プロセスの効率が下がり、したがって排気ガス温度が上昇する。外気通路28がさらに増圧装置17、増圧装置17の下流の温度制御装置13、及び温度制御装置13の下流の水分離器16を備える。これにより、供給された外気の圧力、温度、及び湿度が制御され要求値に設定されることが可能である。この種の外気通路28によって、新しい圧縮された空気が、目的に対し最適に温度制御され、特にSCR反応器の温度がSCR反応器3の最適動作に対して低すぎる場合に、タービン通路7へ導入されることが可能となる。SCR反応器3の排気ガスの温度が、SCR反応器3の中、又はSCR反応器3の端部3aに配置される温度センサ20よって決定されてもよい。別法では、機械負荷が温度範囲に対して近似として使用されてもよい。特に内燃機関1の機械負荷がISO標準条件下で最大負荷の40%未満の場合、発明によれば排気ガス温度が低すぎ、SCR反応器3の正しい動作に向け上昇されなければならない。
【0051】
外気通路弁29が好ましくは開ループ制御ユニット19によって開ループで制御され、外気通路28が、実質必要とされるときのみに活性化され得る。開ループ制御ユニット19が好ましくはSCR反応器3に配置され排気ガス温度を決定する温度センサ20から温度信号を受ける。開ループ制御ユニット19が、好ましくはさらに給気レシーバ9の吐出弁22、増圧装置17、温度制御装置13、及び水分離器16を開ループで制御する。このように、開ループ制御装置が、排気ガスの温度及び圧力を適合させるために装置全体を開ループで制御することが可能である。
【0052】
給気通路8が給気冷却器11及び水分離器14を備える。給気冷却器11は、内燃機関1の燃焼プロセスが所望の目的に対し最適に起こり得るように、圧縮された外気の温度を制御する。給気レシーバ9が、給気レシーバ9から内燃機関1の空気入口10に誘導される給気を集める。吐出弁22によって、給気レシーバ9における圧力が非常に速やかに下げられることが可能であり、その結果排気ガス温度が速やかに設定され得る。
【0053】
排気ガス・レシーバ2とタービン通路7との間に、さらにSCR逃し弁24を備えるSCRバイパス・ライン23が配置される。排気ガス・レシーバ2からの排気ガスが、SCR反応器3が最早必要としない若しくは最早操作されない場合に、このSCRバイパス・ライン23を介してターボチャージャ4のタービン5に誘導され得る。
【0054】
図2の実施例が図1に示される実施例に実質的に対応し、給気レシーバ9から吐出弁22を介して導かれる空気が補助タービン30を駆動する。補助タービン30が増圧装置17に動作可能に接続されて全体効率が上昇されるが、というのは、吐出弁22からの空気が更なる目的に使用され単純に排出されないからである。補助タービン30が任意に又は追加して電気的に駆動されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 内燃機関
1b 排気ガス出口
2 排気ガス・レシーバ
2b 出口
3 SCR反応器
3a 入口
3b 出口
4 ターボチャージャ
5 タービン
5a タービン入口
6 コンプレッサ
6b コンプレッサ出口
7 タービン通路
8 給気通路
9 給気レシーバ
10 空気入口
11 給気冷却器
13 温度制御装置
14 水分離器
16 水分離器
17 増圧装置
19 開ループ制御ユニット
20 温度センサ
22 吐出弁
23 SCRバイパス・ライン
24 SCR逃し弁
25 排気ガス・レシーバ出口弁
26 尿素インジェクタ
27 タービン通路弁
28 外気通路
29 外気通路弁
30 補助タービン
31 温度センサ
図1
図2