【解決手段】減速機構30は、回転部とともに回転する楕円カム31と、楕円カムの回転に応じて変形する可撓外歯歯車32と、楕円カムと可撓外歯歯車との間に介在する可撓軸受33と、出力部40とともに回転する可動内歯歯車とを有し、可撓外歯歯車と可動内歯歯車とが噛み合い、歯数の違いによって相対回転する。電動機は、楕円カムとともに回転するロータホルダ23と、ロータホルダに固定されるロータマグネット24と、ケーシング10に固定されロータマグネットと対向するステータ21と、を有する。ロータホルダは、ステータと対向するロータホルダ蓋部231を有し、ロータホルダ蓋部と可撓軸受の軸方向の位置が少なくとも一部において重なる。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機と減速機とを備え、電動機から得られる動力を減速させて出力する電動機付き減速機が知られている。
図5は、従来の電動機付き減速機1Xの構造を、概念的に示した図である。
図5の電動機付き減速機1Xは、電動機20Xと、減速機構30Xと、減速後の回転数で回転する出力部40Xと、を有する。ただし、
図5の例では、電動機20X、減速機構30X、および出力部40Xが、電動機20Xの中心軸9Xに沿う方向(軸方向)に配列されている。このため、電動機付き減速機1Xの軸方向の寸法が長くなる。したがって、
図5の構造を有する電動機付き減速機1Xは、作業ロボットやアシストスーツの関節部分、ターンテーブル、ホイールイン割出盤などのように、軸方向の寸法に厳しい制限がある用途には不向きである。
【0003】
電動機付き減速機の軸方向の寸法を抑えるためには、例えば、回転軸の周りに電動機を設け、当該電動機の外周側に減速機構を同心円状に配置することが、考えられる。そうすれば、電動機と減速機構とが、同一の軸方向位置に配置されるため、電動機付き減速機を、全体として軸方向に薄型化できる。電動機の外周側に減速機構を配置した従来の電動機付き減速機については、例えば、実開昭60−166259号公報に記載されている。
【特許文献1】実開昭60−166259号公報
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、電動機の回転軸と平行な方向を「軸方向」、回転軸に直交する方向を「径方向」、回転軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。ただし、上記の「平行な方向」は略平行な方向も含むものとする。また、上記の「直交する方向」は略直交する方向も含むものとする。
【0011】
<1.第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動機付き減速機1の縦断面図である。
図2は、
図1のA−A位置から見た電動機付き減速機1の横断面図である。この電動機付き減速機1は、電動機20から得られる第1回転数の回転運動を、第1回転数よりも低い第2回転数の回転運動に変換して、出力部40を回転させる装置である。電動機付き減速機1は、例えば、作業ロボットにおけるアームの関節部分に組み込まれて、アームの屈伸運動を実現させるために用いられる。ただし、本発明の電動機付き減速機は、アシストスーツ、ターンテーブル、工作機械の割出盤、車椅子、無人搬送車などの他の機器に組み込まれて、各種の回転運動を実現させるものであってもよい。
【0012】
図1および
図2に示すように、本実施形態の電動機付き減速機1は、ケーシング10、電動機20、減速機構30、および出力部40を有する。
【0013】
ケーシング10は、電動機付き減速機1を直接または間接的に支持する金属製の部材である。ケーシング10は、例えば、作業ロボットのアームを構成する2つのアーム部材91,92のうちの基端側のアーム部材91に、ねじ止めによって固定される。
図2に示すように、ケーシング10は、円板状の部材であり、ケーシング10の中央には回転軸9に平行な方向に開口する開口部101を有する。ケーシング10は、回転軸9に対して略垂直に配置される。ケーシング10には電動機20が固定される。
【0014】
電動機20は、駆動電流に応じて回転運動を発生させる駆動源である。電動機20は、ステータ21、シャフト22、ロータホルダ23、ロータマグネット24、ブラケット26、および回路基板28を有する。ステータ21は、ブラケット26を介して、ケーシング10に支持される。ステータ21は、ケーシング10に対して相対的に静止する。シャフト22、ロータホルダ23、およびロータマグネット24は、ケーシング10に対して回転可能に支持される。すなわち、本実施形態では、ステータ21、およびブラケット26が、電動機20の静止部を構成し、シャフト22、ロータホルダ23、およびロータマグネット24が、電動機20の回転部を構成する。
【0015】
ブラケット26は円筒状の部材であり、下円筒部261と、上円筒部262と、フランジ部263とを有する。下円筒部261は、回転軸9に平行な方向に伸びる円筒状の部位である。下円筒部261の内周面には、後述する第1軸受71が固定される。下円筒部261の外周面は、ケーシング10の開口部101の内周面と接触する。上円筒部262は、回転軸9に平行な方向に伸びる円筒状の部位である。上円筒部262の内周面には、後述する第1軸受71が固定される。フランジ部263は、上円筒部262と下円筒部261の間に位置しており、上円筒部262および下円筒部261よりも径方向外側に張り出した部位である。フランジ部263には軸方向に開口するネジ孔2631が設けられており、ネジ孔2631にネジが挿入されることにより、ブラケット26にケーシング10が固定される。
【0016】
ステータ21は、複数の突極部をもつ環状のステータコア211と、各突極部に巻かれたコイル212とを有する。ステータコア211の内周面は、ブラケット26の上円筒部262の外周面に、例えば圧入や接着剤で固定される。
【0017】
シャフト22は、回転軸9に沿って配置された柱状の部材である。シャフト22の少なくとも一部分は、ブラケット26の上円筒部262内に配置される。シャフト22と上円筒部262との間には、第1軸受71が介在する。第1軸受71の内輪は、シャフト22の外周面に固定される。また、第1軸受71の外輪は、上円筒部262の内周面に固定される。
【0018】
また、シャフト22と下円筒部261との間には、第1軸受71が介在する。第1軸受71の内輪は、シャフト22の外周面に固定される、また、第1軸受71の外輪は、下円筒部262の内周面に固定される。
【0019】
本実施形態では、第1軸受71に、ボールベアリングが用いられている。ただし、ボールベアリングに代えて、ローラベアリング、クロスローラベアリング、滑り軸受、流体動圧軸受等の他方式の軸受が用いられていてもよい。また、第1軸受71の内輪とシャフト22との間、または、第1軸受71の外輪とブラケット26との間に、他の部材が介在していてもよい。さらに、第1軸受71は1つでもよいし、3つ以上あってもよい。また、第1軸受71はシャフト以外の部位に固定されてもよい。
【0020】
ロータホルダ23は、シャフト22とロータマグネット24とを繋ぐカップ状の部材である。より詳しくは、ロータホルダ23は、円盤状のロータホルダ蓋部231と、ロータホルダ蓋部231の内端に位置する固定部232と、ロータホルダ蓋部231の外端に位置し軸方向下側に垂下する筒部233と、を有する。固定部232は、ロータホルダ蓋部231から軸方向下側に伸びる円筒形状であり、固定部232の内側にはシャフト22が挿入される。ロータホルダ23は固定部232において、シャフト22に固定される。ロータホルダ23の固定部232におけるロータホルダ蓋部231とを接続する部位には、軸方向上側に向かうに従い拡径する拡径部2321を有する。拡径部2321を有することにより、ロータホルダ23の強度を強くすることができるため、強い負荷にも対応可能である。ロータホルダ23の筒部233は、回転軸9と同軸の内周面を有する。ロータホルダ蓋部231は、筒部233に向かうにつれ、軸方向の厚さが拡大する連結部234を有する。連結部234の断面形状は、本実施形態ではR形状であるが、これに限られず、傾斜面や曲面であってもよい。連結部234により、ロータホルダ23の強度を強くすることができるため、強い負荷にも対応可能である。ロータマグネット24は、筒部233の内周面に、例えば接着剤で固定される。本実施形態では、ステータ21の径方向外側に、ロータマグネット24が位置する。なお、ロータマグネット24は、N極とS極とが周方向に交互に着磁された単一のリングマグネットであってもよく、磁極毎に分割された複数のセグメントマグネットであってもよい。また、筒部233の内周面は平面視における真円でなくてもよく、例えば、平面視における多角形であってもよい。また、溝が形成されていてもよい。
【0021】
回路基板28を介してコイル212に駆動電流を供給すると、ステータコア211の各突極部に磁束が生じる。そして、突極部とロータマグネット24との間の磁束の作用により、周方向のトルクが発生する。その結果、シャフト22、ロータホルダ23、およびロータマグネット24が、回転軸9を中心として、第1回転数で回転する。なお、本実施形態では、電動機20に、作業ロボットのアーム駆動に適した3相ブラシレスモータを用いている。しかしながら、本発明に用いられる電動機は、必ずしも3相ブラシレスモータでなくてもよく、例えば、ステッピングモータでもよい。
【0022】
回路基板28には、コイル212に駆動電流を供給する配線パターンのほかに、ロータマグネット24の磁束を検出する磁気センサ(不図示)を有する。磁気センサは例えば、ホールICである。磁気センサにより、電動機1の回転部の回転を検出することができる。
【0023】
減速機構30は、電動機20から得られる回転運動を、減速させながら出力部40へ伝達する機構である。この電動機付き減速機1の減速機構30には、可撓歯車を利用した、いわゆる波動歯車機構が用いられている。
図1および
図2に示すように、減速機構30は、カム31、可撓外歯歯車32、および可撓軸受33を有する。また、本実施形態では、ケーシング10および出力部40の各々の一部分が、内歯歯車として、減速機構30の構成要素となっている。
【0024】
カム31は、ロータホルダ23の外周面に固定された、環状の部材である。
図2に示すように、カム31は、軸方向に見て楕円形の外周面を有する。換言すれば、カム31は楕円カムである。可撓外歯歯車32は、可撓性を有するリング状の歯車である。本実施形態の可撓外歯歯車32は、筒状部322とフランジ部323とを有する。筒状部322は、カム31の回転に応じて変形する。また、筒状部322の外周面には、複数の外歯321が一定のピッチで設けられている。フランジ部323は、筒状部322の一方の端部から径方向外側へ向けて広がり、ケーシング10の軸方向の端面に、例えばねじ止めで固定される。また、フランジ部323は、後述する第2軸受72の外輪にも固定される。本実施形態においては、フランジ部323は、第2軸受72の外輪に対して、ねじ50により固定される。カム31と可撓外歯歯車32との間には、可撓軸受33が介在する。可撓軸受33の内輪は、可撓性を有し、カム31の楕円状の外周面に沿って固定される。カム31の外周面には、径方向内側に向かって窪む環状の接着溝311が位置しており、可撓軸受33の内輪とカム31の外周面とは接着剤で固定される。接着溝311を有することにより、可撓軸受33とカム31とが確実に固定される。可撓軸受33の外輪は、可撓外歯歯車32の内周面に固定されて、可撓外歯歯車32とともに変形する。可撓軸受33の内輪と外輪との間には、複数の球体が介在する。
【0025】
出力部40は、可撓外歯歯車32と後述する第2軸受72の外輪との間に配置された、円環状の部材である。出力部40は、例えば、作業ロボットのアームを構成する2つのアーム部材91,92のうちの先端側のアーム部材92に、ねじ止めによって固定される。
図1に示すように、出力部40の内周面には、複数の内歯41が、周方向に一定のピッチで設けられている。また、出力部40とケーシング10との間には、第2軸受72が介在する。具体的には、出力部40は第2軸受72の内輪と固定される。なお、出力部40は第2軸受の内輪と別部材を介して接続されていてもよい。また、出力部40自体が第2軸受の内輪であってもよい。
【0026】
本実施形態では、第2軸受72に、クロスローラベアリングが用いられている。第2軸受72は、出力部40の外周面と、外側円筒部14の内周面との間に、複数の円筒ころを有する。複数の円筒ころは、出力部40の外周面に設けられた環状のV溝と、外側円筒部14の内周面に設けられた環状のV溝との間に、向きを交互に変えながら配置される。これにより、出力部40と外側円筒部14とが、互いの回転を許容しながら、高剛性に接続される。なお、出力部40と第2軸受72との間にはオイルシール51が配置される。オイルシール51は、外部から第2軸受72内に塵埃が侵入することを防止する。
【0027】
このようなクロスローラベアリングは、ボールベアリングのように一対で用いずとも、軸方向および径方向に、必要な剛性を得ることができる。すなわち、クロスローラベアリングを用いることで、出力部40と外側円筒部14との間に介在するベアリングの数を減らすことができる。これにより、第2軸受72の重量を低減できるとともに、第2軸受72の軸方向の寸法を抑えることができる。
【0028】
ロータホルダ23とともにカム31が回転すると、カム31の回転に応じて、可撓外歯歯車32の形状が変化する。すなわち、軸方向に見たときに、可撓外歯歯車32はカム31の外周面の形状に沿った楕円形状となるが、その楕円の長軸が、カム31の回転に追従して回転する。
【0029】
可撓外歯歯車32の複数の外歯321は、出力部40の複数の内歯41と、互いに噛み合う。本実施形態では、出力部40に設けられた内歯41の数と、可撓外歯歯車32に設けられた外歯321の数とが、互いに異なる。このため、カム31の1回転ごとに、内歯41の同じ位置の内歯に噛み合う可撓外歯歯車32の外歯321の位置がずれる。これにより、出力部40が、回転軸9を中心として、ゆっくりと回転する。
【0030】
また、この電動機付き減速機1では、電動機20、減速機構30、および出力部40を含む装置内の全ての要素が、ケーシング10に直接または間接的に支持されている。このため、電動機付き減速機1内の一部の要素を、外部の部材によって支持する必要はない。したがって、電動機付き減速機1を、独立したアセンブリとして扱うことができる。
【0031】
また、この電動機付き減速機1では、第1軸受71と第2軸受72との間に、電動機20の回転部、減速機構30、および出力部40が支持される。これにより、電動機20の回転部、減速機構30、および出力部40の回転姿勢が安定する。その結果、電動機付き減速機1の駆動時における振動および騒音を低減できる。また、可撓外歯歯車32、固定内歯歯車部13、および出力部40が、噛み合いによって互いに損傷することを抑制できる。
【0032】
特に、電動機付き減速機1を軸方向に薄型化すると、軸方向の寸法に対する径方向の寸法比率が大きくなる。このため、一般的には、薄型化すればするほど、電動機20の回転部、減速機構30、および出力部40の回転姿勢を安定させることが技術的に難しくなる。しかしながら、本実施形態の構造を採用すれば、上述の通り、電動機付き減速機1を軸方向に薄型化することと、電動機20の回転部、減速機構30、および出力部40の回転姿勢を安定させることとを、両立させることができる。
【0033】
<2.第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図3は、第2実施形態に係る電動機付き減速機1Aの縦断面図である。
図4は、第2実施形態に係る電動機付き減速機1Aの横断面図である。なお、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同等の部分については、重複説明を省略する。
【0034】
図3に示すように、本実施形態の電動機付き減速機1Aは、ケーシング10、電動機20A、減速機構30A、および出力部40を有する。
【0035】
上述した第1実施形態では、ロータホルダ23とカム31とが別部材で構成されていた。これに対し、本実施形態では、ロータホルダ23Aとカム31Aとがひとつながりである。換言すれば、本実施形態では、ロータホルダ23Aとカム31Aとは、単一の部材である。ロータホルダ23Aとカム31Aとがひとつながりであることにより、部品点数を削減することができる。以下、本実施形態の電動機20Aの構造について、説明する。
【0036】
電動機20Aのロータホルダ23Aは、シャフト22とロータマグネット24とを繋ぐカップ状の部材である。より詳しくは、ロータホルダ23Aは、円盤状のロータホルダ蓋部231Aと、ロータホルダ蓋部231Aの内端に位置する固定部232Aと、ロータホルダ蓋部231Aの外端に位置し軸方向下側に垂下する筒部233Aと、を有する。固定部232Aは、ロータホルダ蓋部231Aから軸方向下側に伸びる円筒形状であり、固定部232Aの内側にはシャフト22が挿入される。ロータホルダ23Aは固定部232Aにおいて、シャフト22に固定される。ロータホルダ23Aの固定部232Aにおけるロータホルダ蓋部231Aとを接続する部位には、軸方向上側に向かうに従い拡径する拡径部2321Aを有する。ロータホルダ23Aの筒部233Aは、回転軸9と同軸の内周面を有する。ロータホルダ蓋部231Aは、筒部233Aに向かうにつれ、軸方向の厚さが拡大する連結部234Aを有する。そして、連結部234Aを含むロータホルダ蓋部231Aと、可撓軸受33の軸方向位置が少なくとも一部において重なっている。連結部234Aの断面形状は、本実施形態ではR形状であるが、これに限られず、傾斜面や曲面であってもよい。上述した第1実施形態と同様に、拡径部2321Aおよび連結部234Aにより、ロータホルダ23Aの強度を強くすることができるため、強い負荷にも対応可能である。
【0037】
ロータホルダ23Aの筒部233Aは、軸方向に楕円形の外周面を有するカム31Aを有する。換言すれば、カム31Aは楕円カムである。また、カム31A(楕円カム)とロータホルダ23Aとはひとつながりである。換言すれば、楕円カムとロータホルダ23Aとは単一の部材である。カム31Aの外周面には、径方向内側に向かって窪む環状の接着溝311が位置している。
【0038】
また、ロータホルダ23Aは、筒部233Aにおいて、カム31Aの下側に、環状の溝2331Aと、溝2331Aよりも下側に位置する円環部2332Aを有する。溝2331Aは、カム31Aと円環部2332Aとを隔てている。換言すれば、溝2331Aの底面は、カム31Aの最も径の小さい部位および、円環部2332Aよりも径が小さい。
【0039】
円環部2332Aは、回転軸9と同軸の円筒状の外周面を有しており、外周面はカム31Aの最も径の大きい部位よりも径が大きいか、同じである。カム31Aと円環部2332Aとが溝2331Aで隔てられていることにより、カム31A、円環部2332Aそれぞれを高精度で加工することができる。特に、ロータホルダ23Aを切削加工により得る場合において、高精度で加工することができる。
【0040】
ロータホルダ23Aの筒部233Aは、カム31A、溝2331A、円環部2332Aを有するが、ロータホルダ蓋部231Aとカム31Aとの軸方向の位置が重なっている。これにより、出力部40に大きな負荷がかかった場合であっても、可撓軸受33に加わる負荷をロータホルダ蓋部231Aで受けることができる。したがって、高負荷な外力が加わったとしても対応可能である。
【0041】
また、ロータマグネット24の軸方向の領域の半分以上は、円環部2332Aと軸方向の位置が重なっている。円環部2332Aの精度を高く構成することができるため、ロータマグネット24の取り付け精度も向上させることができる。また、歯車からのトルク反力を受ける構造であるカム31Aと、筒部23Aにおけるロータマグネット24が保持される部位の真円性とを両立することができる。さらに、筒部23Aの外周面全てを楕円形状にしないことにより、電動機の容量を変更した他の機種に適用する際に、筒部23Aの円環部2332Aの長さのみを適宜調整することで対応可能である。加えて、筒部23Aの開口側に剛性の高い円環部2332Aが位置しているので、高精度を維持しながらカム31Aを高剛性に保つことができる。
【0042】
<3.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0043】
例えば、第1実施形態の
図1の構造では、アウターロータ型の電動機としたが、これに限られるものではない。電動機は、インナーロータ型電動機でもよいし、アキシャルギャップ型の電動機でもよい。また、ステッピングモータでもよい。
【0044】
また、上述の各実施形態では、ロータホルダはシャフトに固定されていたが、これに限られるものではない。ロータホルダとシャフトとがひとつながりの部材であってもよい。換言すれば、ロータホルダとシャフトとは単一の部材であってもよい。ロータホルダとシャフトとをひとつながりの部材とすることにより、部品点数を減らすことができる。
【0045】
また、
図1から4の構造において、シャフト自体を省略し、ケーシングとロータホルダとの間に第1軸受を介在させるようにしてもよい。そうすれば、ロータホルダの径方向内側に、軸方向に貫通する孔を確保することができる。したがって、当該孔に電気配線の一部を通すことができる。
【0046】
また、上記の各実施形態では、ケーシングが単一の部材により構成されていた。しかしながら、ケーシングは、複数の部材で構成されていてもよい。また、上記の実施形態で出力部40を回転させると記載しているが、これに限られるものではなく、出力部40を固定して、ケーシング10から出力してもよい。
【0047】
可撓歯車はいわゆるハット型としたが、これに限られるものではなく、例えば、円筒状のカップ型の可撓歯車を用いてもよい。
【0048】
電動機付き減速機を構成する各部材の材料には、例えば、高強度の金属を用いればよい。ただし、各部材の材料は、使用時の負荷に耐え得るものであればよく、必ずしも金属には限定されない。
【0049】
また、電動機付き減速機の細部の形状については、本願の各図に示された形状と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。