【解決手段】励磁コイル22に駆動用電流を供給して可動コア25をスライドさせることで電磁弁1を開閉させる開閉制御処理を実行する処理部(駆動回路31、コンパレータ34および処理部35)と、励磁コイル22のインダクタンス値に応じて変化する信号Svを出力する出力部(LC発振回路32およびfV変換回路33)とを備え、処理部は、励磁コイル22に駆動用電流を供給していない状態において出力される号Svの値と判定用基準値とに基づき、励磁コイル22に挿入されている可動コア25が、小孔12hの口縁部からパイロット弁14が離間している開弁位置、および小孔12hの口縁部にパイロット弁14が当接している閉弁位置のいずれに位置しているかを判定する位置判定処理を実行し、その結果に応じて予め規定された処理を実行する。
ボビンと、ボビンの筒部の周囲に導線が巻回されて形成された励磁コイルと、前記筒部の一端部側に挿入されて前記ボビンに対するスライドが規制される固定コアと、前記ボビンに対するスライドが可能に前記筒部の他端部側に挿入された可動コアと、前記筒部における前記他端部側の部位を挿通可能な挿通孔が設けられて当該挿通孔に当該筒部を挿通させた状態で前記ボビンと一体化されて磁路を形成するヨークとを有するアクチュエータを備えて前記可動コアにおける前記固定コア側とは逆側の端部に弁体が取り付けられた電磁弁を制御対象として、前記励磁コイルに駆動用電流を供給して前記ボビンに対して前記可動コアをスライドさせることで当該電磁弁を開閉させる開閉制御処理を実行する処理部を備えた電磁弁制御装置であって、
前記励磁コイルのインダクタンス値に応じて変化する予め規定された電気的パラメータを出力する出力部を備え、
前記処理部は、前記励磁コイルに前記駆動用電流を供給していない状態において前記出力部から出力される前記電気的パラメータと判定用基準値とに基づき、当該励磁コイルに挿入されている前記可動コアが、前記電磁弁の弁口から前記弁体が離間している開弁位置、および当該弁口に当該弁体が当接している閉弁位置のいずれに位置しているかを判定する位置判定処理を実行し、当該位置判定処理の結果に応じて予め規定された処理を実行する電磁弁制御装置。
前記出力部は、前記励磁コイルを含んで構成されたLC発振回路を備えると共に、前記励磁コイルに対する前記可動コアの挿入長の変化に応じて変化する発振周波数、および当該発振周波数の変化に応じて変化する電圧値のいずれかを前記電気的パラメータとして前記処理部に出力する請求項1記載の電磁弁制御装置。
前記処理部は、前記可動コアを前記閉弁位置にスライドさせる前記開閉制御処理の後に実行した前記位置判定処理において当該可動コアが前記開弁位置に位置していると判定したときに、前記予め規定された処理として、前記可動コアを前記閉弁位置にスライドさせる前記開閉制御処理を実行する請求項1または2記載の電磁弁制御装置。
前記処理部は、前記可動コアを前記閉弁位置にスライドさせる前記開閉制御処理の後に実行した前記位置判定処理において当該可動コアが前記開弁位置に位置していると判定したときに、前記予め規定された処理として、前記可動コアが前記開弁位置に位置していることを特定可能に報知する報知処理を実行する請求項1から3のいずれかに記載の電磁弁制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記の検出装置には、以下のような問題点が存在する。すなわち、上記の検出装置では、電磁弁に取り付けた振動センサからのセンサ信号に基づき、駆動用電流の供給時に可動コアがスライドしたか否かを特定して電磁弁が正常状態か異常状態かを特定する構成が採用されている。このため、この検出装置では、電磁弁が正常に動作しているか否かを特定するための流量センサが不要となる分だけ小形化することが可能となっている。しかしながら、振動センサを電磁弁に取り付けて設置する必要があることから、振動センサに防水処理を施す必要が生じ、これに起因して製造コストが高騰しているという問題点が存在する。
【0009】
また、動作状態の検出対象である電磁弁は、稼働時に振動が発生する機械設備の近傍や、自動車および列車などの走路の近傍に設置されることがある。このような環境下では、可動コアがスライドしていないにも拘わらず、振動センサによって振動が検出されて、正常状態の電磁弁が異常状態であると特定されたり、異常状態の電磁弁が正常状態であると特定されたりするおそれがある。このため、可動コアのスライド時に生じる振動の検出によって電磁弁が正常状態か異常状態かを特定する上記の検出装置では、可動コアのスライド時以外にも振動が生じている環境下において使用できないという問題点もある。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストの低減を図ると共に、各種の環境下で電磁弁の状態を正確に検出し得る電磁弁制御装置および電磁弁システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の電磁弁制御装置は、ボビンと、ボビンの筒部の周囲に導線が巻回されて形成された励磁コイルと、前記筒部の一端部側に挿入されて前記ボビンに対するスライドが規制される固定コアと、前記ボビンに対するスライドが可能に前記筒部の他端部側に挿入された可動コアと、前記筒部における前記他端部側の部位を挿通可能な挿通孔が設けられて当該挿通孔に当該筒部を挿通させた状態で前記ボビンと一体化されて磁路を形成するヨークとを有するアクチュエータを備えて前記可動コアにおける前記固定コア側とは逆側の端部に弁体が取り付けられた電磁弁を制御対象として、前記励磁コイルに駆動用電流を供給して前記ボビンに対して前記可動コアをスライドさせることで当該電磁弁を開閉させる開閉制御処理を実行する処理部を備えた電磁弁制御装置であって、前記励磁コイルのインダクタンス値に応じて変化する予め規定された電気的パラメータを出力する出力部を備え、前記処理部は、前記励磁コイルに前記駆動用電流を供給していない状態において前記出力部から出力される前記電気的パラメータと判定用基準値とに基づき、当該励磁コイルに挿入されている前記可動コアが、前記電磁弁の弁口から前記弁体が離間している開弁位置、および当該弁口に当該弁体が当接している閉弁位置のいずれに位置しているかを判定する位置判定処理を実行し、当該位置判定処理の結果に応じて予め規定された処理を実行する。
【0012】
また、請求項2記載の電磁弁制御装置は、請求項1記載の電磁弁制御装置において、前記出力部は、前記励磁コイルを含んで構成されたLC発振回路を備えると共に、前記励磁コイルに対する前記可動コアの挿入長の変化に応じて変化する発振周波数、および当該発振周波数の変化に応じて変化する電圧値のいずれかを前記電気的パラメータとして前記処理部に出力する。
【0013】
さらに、請求項3記載の電磁弁制御装置は、請求項1または2記載の電磁弁制御装置において、前記処理部は、前記可動コアを前記閉弁位置にスライドさせる前記開閉制御処理の後に実行した前記位置判定処理において当該可動コアが前記開弁位置に位置していると判定したときに、前記予め規定された処理として、前記可動コアを前記閉弁位置にスライドさせる前記開閉制御処理を実行する。
【0014】
さらに、請求項4記載の電磁弁制御装置は、請求項1から3のいずれかに記載の電磁弁制御装置において、前記処理部は、前記可動コアを前記閉弁位置にスライドさせる前記開閉制御処理の後に実行した前記位置判定処理において当該可動コアが前記開弁位置に位置していると判定したときに、前記予め規定された処理として、前記可動コアが前記開弁位置に位置していることを特定可能に報知する報知処理を実行する。
【0015】
また、請求項5記載の電磁弁システムは、請求項1から4のいずれかに記載の電磁弁制御装置と、前記電磁弁とを備えて構成されている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の電磁弁制御装置では、処理部が、励磁コイルに駆動用電流を供給していない状態において出力部から出力される電気的パラメータと判定用基準値とに基づき、励磁コイルに挿入されている可動コアが、電磁弁の弁口から弁体が離間している開弁位置、および弁口に弁体が当接している閉弁位置のいずれに位置しているかを判定する位置判定処理を実行し、位置判定処理の結果に応じて予め規定された処理を実行する。また、請求項5記載の電磁弁システムでは、上記の電磁弁制御装置と電磁弁とを備えて構成されている。
【0017】
したがって、請求項1記載の電磁弁制御装置、および請求項5記載の電磁弁システムによれば、流量センサを介して検出した流量に基づいて電磁弁が閉弁状態であるか開弁状態であるかを判定する構成の装置と比較して電磁弁システムを十分に小形化することができるだけでなく、振動センサ等の電気部品を電磁弁に取り付けることなく、励磁コイルのインダクタンス値に応じて変化する電気的パラメータに基づいて可動コアの位置を判定することができるため、振動センサ等の電気部品の防水処理が不要となる分だけ、電磁弁制御装置および電磁弁システムの製造コストを十分に低減することができる。また、可動コアのスライド時以外にも振動が生じている環境下においても可動コアの位置を正確に検出することができるため、電磁弁が閉弁状態か開弁状態かを各種の環境下で正確に判定することができる。
【0018】
また、請求項2記載の電磁弁制御装置、およびそのような電磁弁制御装置を備えた電磁弁システムによれば、出力部が、励磁コイルを含んで構成されたLC発振回路を備えると共に、励磁コイルに対する可動コアの挿入長の変化に応じて変化する発振周波数、および発振周波数の変化に応じて変化する電圧値のいずれかを電気的パラメータとして処理部に出力することにより、比較的簡易な構成であるにも拘わらず、可動コアの位置を正確に判定することができる。このため、電磁弁制御装置および電磁弁システムの製造コストを一層低減することができる。
【0019】
さらに、請求項3記載の電磁弁制御装置、およびそのような電磁弁制御装置を備えた電磁弁システムによれば、処理部が、可動コアを閉弁位置にスライドさせる開閉制御処理の後に実行した位置判定処理において可動コアが開弁位置に位置していると判定したときに、予め規定された処理として、可動コアを閉弁位置にスライドさせる開閉制御処理を実行することにより、閉弁状態とすべき電磁弁が開弁状態のままとなって供給対象に液体が供給され続ける状態が継続する事態を好適に回避することができる。
【0020】
さらに、請求項4記載の電磁弁制御装置、およびそのような電磁弁制御装置を備えた電磁弁システムによれば、処理部が、可動コアを閉弁位置にスライドさせる開閉制御処理の後に実行した位置判定処理において可動コアが開弁位置に位置していると判定したときに、予め規定された処理として、可動コアが開弁位置に位置していることを特定可能に報知する報知処理を実行することにより、閉弁状態とすべき電磁弁が開弁状態のままとなっていることを利用者や管理者に的確に認識させることができる。これにより、異常状態からの復帰作業を迅速に開始させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る電磁弁制御装置および電磁弁システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示す電磁弁システム100は、「電磁弁システム」の一例であって、電磁弁1および制御装置2を備えて構成されている。電磁弁1は、「電磁弁」の一例である「パイロット式電磁弁」であって、
図2に示すように、弁本体10a、および弁本体10aに取り付けられたアクチュエータ10bを備え、制御装置2の制御に従って水道水等の液体の通過を規制/許容可能に構成されている。また、
図3に示すように、弁本体10aは、第1ブロック11、第2ブロック12、メイン弁13およびパイロット弁14を備えている。
【0024】
第1ブロック11は、通過を規制/許容する対象の液体が流入する上流側空間Si、および通過を許容された液体が流入する下流側空間Soを形成する部材であって、一例として、液体の供給源に接続された配管(以下、「供給源側配管」ともいう:図示せず)を導入口Hi(上流側空間Siに連通している配管接続口)に接続し、かつ液体の供給先に接続された配管(以下、「供給先側配管」ともいう:図示せず)を排出口Ho(下流側空間Soに連通している配管接続口)に接続することができるように構成されている。第2ブロック12は、第1ブロック11およびメイン弁13と相俟ってメイン弁13を開閉制御するための圧力室Spを形成する部材であって、メイン弁13を挟み込むようにして第1ブロック11に取り付け可能に構成されると共に、パイロット弁14が取り付けられた状態のアクチュエータ10bを取り付け可能に構成されている。
【0025】
メイン弁13は、第1ブロック11における上流側空間Siに流入した液体の通過を規制/許容する「弁体(ダイヤフラム)」であって、本体部13a、弁膜部13bおよびスプリング13cを備えている。この場合、本例の電磁弁1では、本体部13aと一体化された弁膜部13bに、上流側空間Siから圧力室Spに液体を流入させるための小孔13h(パイロットラインの起点となるオリフィス)が形成されている。また、本例の電磁弁1では、本体部13aおよび弁膜部13bを第1ブロック11の弁口11h(下流側空間Soの入口)に向けて付勢するようにしてスプリング13cが取り付けられると共に、スプリング13cの一端部が弁膜部13bの小孔13hに挿通させられて本体部13aおよび弁膜部13bの開閉動作時に小孔13h内をクリーニングする構成が採用されている。
【0026】
パイロット弁14は、アクチュエータ10bに取り付けられると共に、第2ブロック12の小孔12hを開口/閉塞する。なお、本例の電磁弁1では、パイロット弁14が「弁体」に相当し、かつ第2ブロック12に形成された小孔12hの上側端部が「弁口」に相当する。
【0027】
アクチュエータ10bは、「アクチュエータ」の一例であって、
図3〜5に示すように、ボビン21、励磁コイル22、モールドケース23、固定コア24、可動コア25、スプリング26、ヨーク27およびマグネット28を備えて構成されている。ボビン21は、励磁コイル22を形成するための「巻枠」であって、「筒部」の一例である筒部21aと、鍔部21b,21bとが一体的に形成されている。励磁コイル22は、ボビン21における筒部21aの周囲に導線が巻回されて構成されている。この場合、励磁コイル22を構成する上記の導線の両端部は信号線22a(
図2,3参照)に接続されており、この信号線22aを介して制御装置2に接続されている。モールドケース23は、励磁コイル22(導線)が巻回された状態のボビン21を型入れしたインサート成形によってボビン21と相俟って励磁コイル22を封止する(絶縁性を確保し、かつ励磁コイル22の水濡れや破損を阻止する)。
【0028】
固定コア(固定鉄心:プラグナット)24は、略円柱状に形成されてボビン21の筒部21aにおける一端部側(
図3〜5における上端部側)に挿入され、後述するように、ボビン21に対するスライドが規制されるようにヨーク27によってボビン21と一体化されている。可動コア(可動鉄心:プランジャ)25は、固定コア24とほぼ同径の略円柱状に形成されると共に、ボビン21に対するスライドが可能に筒部21aにおける他端部側(
図3〜5における下端部側)に挿入されている。この場合、本例の電磁弁1(アクチュエータ10b)では、可動コア25における固定コア24側とは逆側の端部(
図3〜5における下端部)にパイロット弁14が取り付けられる構成が採用されている。スプリング26は、固定コア24および可動コア25の間に配設されて固定コア24に対して可動コア25を離反させる向きに付勢する。
【0029】
ヨーク27は、筒部21aに挿入された固定コア24および可動コア25を結ぶ磁路(筒部21aの一端部側から他の一端部に亘る磁路)をモールドケース23の周囲に形成する磁路形成部材であって、正面視コ字状の部材および平板状の部材を、モールドケース23によってモールドされているボビン21および励磁コイル22を挟み込むようにカシメ加工によって相互に固着させることにより、ボビン21、励磁コイル22、モールドケース23および固定コア24と一体化されている。この場合、本例のヨーク27では、ボビン21における筒部21aの他端部側(可動コア25が挿入される側)の部位を挿通可能な挿通孔27aが一端面(本例では、平板状の部材)に設けられると共に、筒部21aの一端部側に挿入された固定コア24の位置決め用凸部を挿通可能な挿通孔27bが他の一端面(本例では、正面視コ字状の部材)に設けられている。
【0030】
マグネット28は、可動コア25をラッチする(可動コア25のスライドを規制する)ための永久磁石であって、ヨーク27の挿通孔27aから突出している筒部21aを囲むようにしてヨーク27の外面(各図における下面)における挿通孔27aの周囲に取り外し可能に取り付けられている。この場合、本例の電磁弁1(アクチュエータ10b)では、ヨーク27に接する面およびその裏面のいずれか一方の面がS極で他方の面がN極となるように着磁されたリングマグネット(厚み方向に着磁されたマグネット)でマグネット28が構成されると共に、一例として、S極となっている面を接触させるようにしてマグネット28がヨーク27に取り付けられる構成が採用されている。
【0031】
また、このアクチュエータ10bは、電磁弁システム100の用途に応じて、
図3〜5に示すようにヨーク27にマグネット28を取り付けることで電磁弁1を「ラッチ式電磁弁」としたり、マグネット28に代えてマグネット28と同形のスペーサ(一例として、非磁性材料製のワッシャ:例えば、ポリアセタール樹脂等の樹脂製のワッシャ:図示せず)を取り付けることで、マグネット28以外の各構成要素については何ら変更することなく、電磁弁1を「非ラッチ式電磁弁」としたりすることができるように構成されている。なお、以下の説明では、一例として、ヨーク27にマグネット28が取り付けられた状態、すなわち、電磁弁1を「ラッチ式電磁弁」として使用する例について説明する。
【0032】
制御装置2は、「電磁弁制御装置」の一例であって、電磁弁1を開弁状態および閉弁状態のいずれかに移行させることで対象物に対する液体の供給を制御する。この制御装置2は、
図1に示すように、駆動回路31、LC発振回路32、fV変換回路33、コンパレータ34および処理部35を備えて構成されている。駆動回路31は、コンパレータ34および処理部35と相俟って「処理部」を構成し、処理部35から出力される制御信号S1に従って電磁弁1(励磁コイル22)に駆動用電流を供給することでボビン21(励磁コイル22)に対して可動コア25をスライドさせることにより、電磁弁1を開弁状態から閉弁状態、または、閉弁状態から開弁状態に移行させる開閉制御処理を実行する。
【0033】
LC発振回路32は、アクチュエータ10bの励磁コイル22を「L(インダクタ)」とすると共にコンデンサ(値「C」)を有して発振周波数が周波数(=1/(2π√L・C)として構成された「LC発振回路」の一例であって、fV変換回路33と相俟って「出力部」を構成する。このLC発振回路32は、後述するように、励磁コイル22に対する可動コア25の挿入長の変化に応じて変化する発振周波数を特定可能な信号Sfを出力する。なお、電磁弁1の状態(開弁状態/閉弁状態)、励磁コイル22に対する可動コア25の挿入長、およびLC発振回路32の発振周波数の相互の関係については、後に詳細に説明する。
【0034】
fV変換回路33は、LC発振回路32から出力された信号Sfの周波数をfV変換した電圧値を示す信号Sv(「励磁コイルのインダクタンス値に応じて変化する予め規定された電気的パラメータ」の一例である「発振周波数の変化に応じて変化する電圧値」の一例)を出力する。なお、LC発振回路32から出力される信号Sfの周波数とfV変換回路33から出力される信号Svの電圧値との関係については、後に詳細に説明する。
【0035】
コンパレータ34は、一例として、fV変換回路33から出力された信号Svの電圧値が予め規定された電圧値(「判定用基準値」の一例)以上のときに、ハイレベルの特定用信号S2を出力し、fV変換回路33から出力された信号Svの電圧値が上記の予め規定された電圧値を下回っているときに、ローレベルの特定用信号S2を出力する。
【0036】
処理部35は、電磁弁システム100を総括的に制御する。具体的には、処理部35は、駆動回路31に制御信号S1を出力して駆動回路31からアクチュエータ10b(励磁コイル22)に駆動用電流を供給させることにより、電磁弁1を開弁状態から閉弁状態に移行させたり、閉弁状態から開弁状態に移行させたりする。
【0037】
また、処理部35は、駆動回路31がアクチュエータ10b(励磁コイル22)に駆動用電流を供給していない状態においてコンパレータ34から出力される特定用信号S2に基づき、アクチュエータ10bの可動コア25が、小孔12hの口縁部(弁口)からパイロット弁14が離間している開弁位置、および小孔12hの口縁部にパイロット弁14が当接している閉弁位置のいずれに位置しているかを判定する位置判定処理を実行する。なお、コンパレータ34から出力される特定用信号S2と可動コア25の位置との関係については、後に詳細に説明する。
【0038】
さらに、処理部35は、上記の位置判定処理の結果に応じて「予め規定された処理」を実行する。具体的には、処理部35は、駆動回路31に制御信号S1を出力してアクチュエータ10bの可動コア25を閉弁位置にスライドさせる開閉制御処理を実行させた後の位置判定処理において可動コア25が開弁位置に位置していると判定したときに、「予め規定された処理」として、可動コア25を閉弁位置にスライドさせる「開閉制御処理」を再び実行させる(リトライ処理の実行)。また、処理部35は、駆動回路31に制御信号S1を出力して可動コア25を開弁位置にスライドさせる開閉制御処理を実行させた後の位置判定処理において可動コア25が閉弁位置に位置していると判定したときに、「予め規定された処理」として、可動コア25を開弁位置にスライドさせる「開閉制御処理」を再び実行させる(リトライ処理の実行)。
【0039】
さらに、処理部35は、一例として、上記の「予め規定された処理」としての「開閉制御処理(リトライ処理)」を3回実行しても、閉弁位置に位置しているべき可動コア25が開弁位置に位置していたり、開弁位置に位置しているべき可動コア25が閉弁位置に位置していたりしたときには、図示しないインジケータを点灯させることにより、電磁弁1を正常に制御することができない旨を報知する「報知処理」を実行する。なお、この「報知処理」については、上記のような「リトライ処理」を実行しても改善されないときに実行する構成に限定されず、位置判定処理の結果が正常でないときに、「リトライ処理」と並行して実行したり、「リトライ処理」を実行することなく「報知処理」のみを実行したりする構成を採用することもできる。
【0040】
この電磁弁システム100の使用に際しては、まず、供給源側配管および供給先側配管の間に電磁弁1を接続する。具体的には、電磁弁1における弁本体10aの導入口Hiに供給源側配管を接続し、かつ排出口Hoに供給先側配管を接続する。この場合、本例の電磁弁システム100における電磁弁1では、
図3に示すように、スプリング13cによって本体部13aおよび弁膜部13bが第1ブロック11における弁口11h(下流側空間Soの入口)に向けて押し付けられて弁膜部13bによって弁口11hが閉塞された状態となっている。したがって、供給源側配管を介して導入口Hiから上流側空間Siに流入した液体は、上流側空間Siから下流側空間Soへの液体の通過がメイン弁13によって規制された状態となる。
【0041】
なお、実際には、両配管の接続後に、動作テストを兼ねてパイロット弁14を複数回に亘って開閉させたときに、弁膜部13bの小孔13hを介して上流側空間Siから流入した液体によって圧力室Sp内の空気が第2ブロック12の小孔12hから第1ブロック11の下流側空間Soに排出されて圧力室Spが液体で満たされた状態となるが、電磁弁1の動作に関する理解を容易とするために、配管の接続時(電磁弁1の使用開始時)における圧力室Sp内のエア抜き動作についての詳細な説明を省略する。
【0042】
この場合、この電磁弁システム100では、制御装置2の駆動回路31が処理部35からの制御信号S1に応じてアクチュエータ10bの励磁コイル22に駆動用電流を供給することにより、電磁弁1を閉弁状態から開弁状態に移行させて供給源側配管から供給先(供給対象)に供給先側配管を介して液体を供給させたり、電磁弁1を開弁状態から閉弁状態に移行させて供給源側配管から供給先(供給対象)への供給先側配管を介しての液体の供給を停止させたりする構成が採用されている。
【0043】
具体的には、この電磁弁システム100では、駆動回路31からアクチュエータ10bの励磁コイル22に駆動用電流が供給され、
図4に示すように、励磁コイル22による励磁によって可動コア25が固定コア24から離反した位置(「閉弁位置」の一例)にスライドさせられることにより、可動コア25に取り付けられているパイロット弁14によって弁本体10a(第2ブロック12)の小孔12h(弁口)が閉塞された状態(「閉弁状態」の一例)となる。この状態では、スプリング26の付勢力、およびヨーク27に取り付けられているマグネット28の磁力によって筒部21a内における可動コア25のスライドが規制された状態(可動コア25がラッチされた状態)となるため、駆動回路31からの駆動用電流の供給を停止しても、パイロット弁14によって小孔12hが閉塞された状態が維持される。
【0044】
このため、
図3に示すように、導入口Hiから上流側空間Siに流入した液体がメイン弁13における小孔13hから矢印Lp1で示すように圧力室Sp内に流入することにより、上流側空間Si内の液圧と圧力室Sp内の液圧とがほぼ等しくなる。したがって、メイン弁13におけるスプリング13cの付勢力によって弁膜部13bが弁口11hに押し付けられて弁口11hが閉塞された状態が維持される。これにより、上記のように可動コア25がラッチされてパイロット弁14によって小孔12hが閉塞されている状態では、弁本体10a(第1ブロック11の導入口Hi)に供給されている液体の通過が規制された状態が維持される。
【0045】
一方、供給先に液体を供給する際には、上記のように固定コア24に対して可動コア25を離反させたときとは逆極性の駆動用電流を駆動回路31から励磁コイル22に供給する。この際には、
図5に示すように、励磁コイル22による励磁によって可動コア25が固定コア24に接する位置(「開弁位置」の一例)にスライドさせられることにより、可動コア25に取り付けられているパイロット弁14が弁本体10a(第2ブロック12)の小孔12h(弁口)から離反して小孔12hが開口された状態(「開弁状態」の一例)となる。この状態では、マグネット28の磁力によって筒部21a内における可動コア25のスライドが規制された状態(可動コア25がラッチされた状態)となるため、駆動回路31からの駆動用電流の供給を停止しても、小孔12hが開口された状態が維持される。
【0046】
また、小孔12hが開口された状態では、圧力室Sp内の液体が小孔12hから
図3に矢印Lp2で示すように下流側空間Soに流出するため、圧力室Sp内の液圧が上流側空間Si内の液圧よりも低くなる。このため、上流側空間Si内の液圧によってメイン弁13(本体部13aおよび弁膜部13b)がスプリング13cの付勢力に抗して圧力室Sp側に押し上げられる結果、弁膜部13bが弁口11hから離反して弁口11hが開口された状態となる。この結果、上流側空間Si内の液体が第1ブロック11(弁口11hの口縁部)とメイン弁13(弁膜部13b)との間を
図3に矢印Lm1で示すように流動し、弁口11hを通過して矢印Lm2で示すように下流側空間So内に流出する。これにより、下流側空間So内の液体が排出口Hoから供給先配管を介して供給先に供給される。
【0047】
また、弁本体10a(第2ブロック12)の小孔12hが開口されている状態では、上流側空間Siから矢印Lm1,Lm2で示すように下流側空間Soに流入する液体の流れと並行して、上流側空間Si内の液体が矢印Lp1で示すようにメイン弁13の小孔13hから圧力室Sp内に流入し、圧力室Sp内の液体が矢印Lp2で示すように小孔12hから下流側空間Soに流出する。したがって、上記のように可動コア25がラッチされて小孔12hが開口されている状態では、上流側空間Si内の液圧よりも圧力室Sp内の液圧の方が低い状態が維持される結果、弁本体10a(第1ブロック11の導入口Hi)に供給されている液体の通過が許容された状態が維持される。
【0048】
また、供給先に対する液体の供給を停止させるには、駆動回路31からアクチュエータ10bの励磁コイル22に駆動用電流を供給することで固定コア24から離反した位置(閉弁位置)に可動コア25をスライドさせ、パイロット弁14によって弁本体10a(第2ブロック12)の小孔12hを閉塞させる。この際には、前述したように、上流側空間Si内の液圧と圧力室Sp内の液圧とがほぼ等しくなり、スプリング13cの付勢力によって弁膜部13bが弁口11hに押し付けられて弁口11hが閉塞された状態となる。これにより、弁本体10a(第1ブロック11の導入口Hi)に供給されている液体の通過が規制された状態となる。
【0049】
この場合、本例の電磁弁システム100における電磁弁1では、
図4に示す閉弁状態(可動コア25が「閉弁位置」に位置した状態)と、
図5に示す開弁状態(可動コア25が「開弁位置」に位置した状態)とで、励磁コイル22に対する可動コア25の挿入長が相違する。
【0050】
具体的には、閉弁状態の電磁弁1では、
図4に示すように、ボビン21に対して下方にスライドさせられてパイロット弁14が小孔12hの口縁部(弁口)に当接させられている可動コア25と固定コア24との間に長さL1の隙間が形成され、これにより、ボビン21に巻回されている励磁コイル22に対する可動コア25の挿入長が長さL2となる。一方、開弁状態の電磁弁1では、
図5に示すように、ボビン21に対して上方にスライドさせられてパイロット弁14が小孔12hの口縁部(弁口)から離間させられている可動コア25が固定コア24に当接した状態となり(上記の長さL1の隙間が存在しない状態となり)、これにより、励磁コイル22に対する可動コア25の挿入長が、閉弁状態における長さL2よりも長さL1だけ長い長さL3となる。
【0051】
このため、閉弁状態の電磁弁1におけるアクチュエータ10bと、開弁状態の電磁弁1におけるアクチュエータ10bとでは、励磁コイル22に対する可動コア25(磁性体)の挿入長の相違に起因して励磁コイル22のインダクタンス値が相違することとなる。具体的には、閉弁位置に位置している可動コア25の励磁コイル22への挿入長が長さL2となる閉弁状態における励磁コイル22のインダクタンス値(一例として、22.5mH程度)よりも、開弁位置に位置している可動コア25の励磁コイル22への挿入長が長さL3となる開弁状態における励磁コイル22のインダクタンス値(一例として、24.0mH程度)の方が上記の長さL1の分だけ大きな値となる。
【0052】
また、この励磁コイル22を含んで構成されたLC発振回路32では、可動コア25が閉弁位置に位置している状態(励磁コイル22のインダクタンス値が小さい状態)における信号Sfの周波数(=1/(2π√L・C)。一例として、4.76kHz程度)よりも、可動コア25が開弁位置に位置している状態(励磁コイル22のインダクタンス値が大きい状態)における信号Sfの周波数(一例として、3.70kHz程度)の方が低い状態となる。このため、この電磁弁システム100では、可動コア25が閉弁位置に位置している状態においてfV変換回路33がLC発振回路32からの信号Sfの周波数をfV変換した信号Svの電圧値(一例として、3.1V程度)よりも、可動コア25が開弁位置に位置している状態においてfV変換回路33がLC発振回路32からの信号Sfの周波数をfV変換した信号Svの電圧値(一例として、2.3V程度)の方が小さな値となる。
【0053】
したがって、本例の電磁弁システム100(制御装置2)では、一例として、fV変換回路33からの信号Svの電圧値が2.7V以上のとき(励磁コイル22のインダクタンス値が23.25mH以下で、LC発振回路32の発振周波数が4.23kHz以上のとき)に、コンパレータ34が、ハイレベルの特定用信号S2を処理部35に出力し、fV変換回路33からの信号Svの電圧値が2.7Vを下回っているとき(励磁コイル22のインダクタンス値が23.25mHを超え、LC発振回路32の発振周波数が4.23kHz未満のとき)に、コンパレータ34が、ローレベルの特定用信号S2を処理部35に出力するように構成されている。
【0054】
これにより、本例の電磁弁システム100(制御装置2)では、処理部35が、コンパレータ34からハイレベルの特定用信号S2が出力されているときに可動コア25が閉弁位置に位置している(電磁弁1が閉弁状態である)と判定し、コンパレータ34からローレベルの特定用信号S2が出力されているときに可動コア25が開弁位置に位置している(電磁弁1が開弁状態である)と判定することが可能となっている。
【0055】
具体的には、本例の電磁弁システム100(制御装置2)では、処理部35が、駆動回路31に制御信号S1を出力して開弁状態から閉弁状態に移行させる開閉制御処理を実行させた後に、コンパレータ34から出力される特定用信号S2がハイレベルかローレベルかを判別する。この際に、上記の開閉制御処理によって可動コア25が閉弁位置に正常にスライドさせられて励磁コイル22のインダクタンス値が22.5mH程度となり、これにより、コンパレータ34からハイレベルの特定用信号S2が出力されたときに、処理部35は、可動コア25が閉弁位置に位置しており、電磁弁1が閉弁状態に正常に移行したと判定する(「位置判定処理」の一例)。
【0056】
これに対して、上記の開閉制御処理によって可動コア25が閉弁位置にスライドせずに開弁位置に位置したままとなって励磁コイル22のインダクタンス値が24.0mH程度となり、これにより、コンパレータ34からローレベルの特定用信号S2が出力されているときに、処理部35は、可動コア25が開弁位置に位置しており、電磁弁1が閉弁状態に移行しない異常状態であると判定する(「位置判定処理」の他の一例)。この際に、処理部35は、前述したように、駆動回路31に制御信号S1を出力して再び閉弁状態に移行させる開閉制御処理(リトライ処理)を「予め規定された処理」として実行させる。
【0057】
この結果、コンパレータ34からハイレベルの特定用信号S2が出力されたときには、処理部35は、電磁弁1が閉弁状態に正常に移行したと判定する(「位置判定処理」の一例)。また、コンパレータ34からローレベルの特定用信号S2が再び出力されたときには、駆動回路31に制御信号S1を出力して再び閉弁状態に移行させる開閉制御処理(リトライ処理)を「予め規定された処理」として実行させる。さらに、そのような開閉制御処理(リトライ処理)を3回繰り返してもコンパレータ34からハイレベルの特定用信号S2が出力されないときに、処理部35は、図示しないインジケータを点灯させて、電磁弁1を正常に制御することができない旨を報知する「報知処理」を実行する。
【0058】
一方、本例の電磁弁システム100(制御装置2)では、電磁弁1を閉弁状態から開弁状態に移行させたときにも処理部35が位置判定処理を実行する。具体的には、処理部35は、駆動回路31に制御信号S1を出力して閉弁状態から開弁状態に移行させる開閉制御処理を実行させた後に、コンパレータ34から出力される特定用信号S2がハイレベルかローレベルかを判別する。この際に、上記の開閉制御処理によって可動コア25が開弁位置に正常にスライドさせられて励磁コイル22のインダクタンス値が24.0mH程度となり、これにより、コンパレータ34からローレベルの特定用信号S2が出力されているときに、処理部35は、可動コア25が開弁位置に位置しており、電磁弁1が開弁状態に正常に移行したと判定する(「位置判定処理」のさらに他の一例)。
【0059】
これに対して、上記の開閉制御処理によって可動コア25が開弁位置にスライドせずに閉弁位置に位置したままとなって励磁コイル22のインダクタンス値が22.5mH程度となり、これにより、コンパレータ34からハイレベルの特定用信号S2が出力されているときに、処理部35は、可動コア25が閉弁位置に位置しており、電磁弁1が開弁状態に移行しない異常状態であると判定する(「位置判定処理」のさらに他の一例)。この際に、処理部35は、前述したように、駆動回路31に制御信号S1を出力して再び開弁状態に移行させる開閉制御処理(リトライ処理)を「予め規定された処理」として実行させる。
【0060】
この結果、コンパレータ34からローレベルの特定用信号S2が出力されたときには、処理部35は、電磁弁1が開弁状態に正常に移行したと判定する(「位置判定処理」のさらに他の一例)。また、コンパレータ34からハイレベルの特定用信号S2が再び出力されたときには、駆動回路31に制御信号S1を出力して再び開弁状態に移行させる開閉制御処理(リトライ処理)を「予め規定された処理」として実行させる。さらに、そのような開閉制御処理(リトライ処理)を3回繰り返してもコンパレータ34からローレベルの特定用信号S2が出力されないときに、処理部35は、図示しないインジケータを点灯させて、電磁弁1を正常に制御することができない旨を報知する「報知処理」を実行する。
【0061】
このように、この制御装置2では、「処理部(本例では、駆動回路31、コンパレータ34および処理部35)」が、励磁コイル22に駆動用電流を供給していない状態において「出力部(本例では、LC発振回路32およびfV変換回路33)」から出力される「予め規定された電気的パラメータ(本例では、fV変換回路33から出力される信号Svの電圧値)」と「判定用基準値(本例では、コンパレータ34に規定されたしきい値)」とに基づき、励磁コイル22に挿入されている可動コア25が、電磁弁1の「弁口(本例では、小孔12hの口縁部)からパイロット弁14が離間している開弁位置、および「弁口」にパイロット弁14が当接している閉弁位置のいずれに位置しているかを判定する位置判定処理を実行し、位置判定処理の結果に応じて「予め規定された処理」を実行する。また、この電磁弁システム100では、上記の制御装置2と電磁弁1とを備えて構成されている。
【0062】
したがって、この制御装置2および電磁弁システム100によれば、流量センサを介して検出した流量に基づいて電磁弁1が閉弁状態であるか開弁状態であるかを判定する構成の装置と比較して電磁弁システム100を十分に小形化することができるだけでなく、振動センサ等の電気部品を電磁弁1に取り付けることなく、励磁コイル22のインダクタンス値に応じて変化する電圧値に基づいて可動コア25の位置を判定することができるため、振動センサ等の電気部品の防水処理が不要となる分だけ、制御装置2および電磁弁システム100の製造コストを十分に低減することができる。また、可動コア25のスライド時以外にも振動が生じている環境下においても可動コア25の位置を正確に検出することができるため、電磁弁1が閉弁状態か開弁状態かを各種の環境下で正確に判定することができる。
【0063】
また、この制御装置2および電磁弁システム100によれば、「出力部」が、励磁コイル22を含んでLC発振回路32が形成されるように構成されると共に、励磁コイル22に対する可動コア25の挿入長の変化に応じて変化するLC発振回路32の「発振周波数(信号Sfの周波数)」に応じて変化する「電気的パラメータ(本例では、fV変換回路33から出力される信号Svの電圧値)」を「予め規定された電気的パラメータ」として「処理部」に出力することにより、比較的簡易な構成であるにも拘わらず、可動コア25の位置を正確に判定することができる。このため、制御装置2および電磁弁システム100の製造コストを一層低減することができる。
【0064】
さらに、この制御装置2および電磁弁システム100によれば、「処理部」が、可動コア25を閉弁位置にスライドさせる「開閉制御処理」の後に実行した位置判定処理において可動コア25が開弁位置に位置していると判定したときに、「予め規定された処理」として、可動コア25を閉弁位置にスライドさせる「開閉制御処理」を実行することにより、閉弁状態とすべき電磁弁1が開弁状態のままとなって供給対象に液体が供給され続ける状態が継続する事態を好適に回避することができる。
【0065】
さらに、この制御装置2および電磁弁システム100によれば、「処理部」が、可動コア25を閉弁位置にスライドさせる「開閉制御処理」の後に実行した位置判定処理において可動コア25が開弁位置に位置していると判定したときに、「予め規定された処理」として、可動コア25が開弁位置に位置していることを特定可能に報知する「報知処理(本例では、インジケータの点灯)」を実行することにより、閉弁状態とすべき電磁弁1が開弁状態のままとなっていることを利用者や管理者に的確に認識させることができる。これにより、異常状態からの復帰作業を迅速に開始させることができる。
【0066】
なお、「電磁弁制御装置」および「電磁弁システム」の構成は、上記の制御装置2および電磁弁システム100の構成の例に限定されない。例えば、ヨーク27にマグネット28を取り付けて電磁弁1を「ラッチ式電磁弁」として使用する形態を例に挙げて説明したが、マグネット28を取り付けずに電磁弁1を「非ラッチ式電磁弁」として使用する場合にも、可動コア25が閉弁位置に位置しているか否かを好適に検出することができる。この場合、「非ラッチ式電磁弁」を備えた「電磁弁システム」では、閉弁状態から開弁状態に移行させてから閉弁状態に復帰させるまで「励磁コイル」に対する駆動用電流の供給を継続する必要があるものの、閉弁状態に移行させるときや、閉弁状態を維持するときには、「励磁コイル」に対する駆動用電流の供給が不要となるため、上記の電磁弁システム100における制御装置2と同様の構成によって「可動コア」が「閉弁位置」に位置しているか否かを判定することができる。
【0067】
具体的には、一例として、マグネット28を取り外した非ラッチ式の電磁弁1を備えた電磁弁システム100では、処理部35が励磁コイル22に対する駆動用電流の供給を停止させることで電磁弁1を閉弁状態に移行させる「開閉制御処理」の後に、「位置判定処理」を実行することにより、コンパレータ34からの特定用信号S2がハイレベルのときには、可動コア25が閉弁位置に正常に位置して正常に閉弁状態に移行したと判定し、特定用信号S2がローレベルのときには、可動コア25が開弁位置に位置したままであり、閉弁状態に移行できない異常状態であると判定する。したがって、非ラッチ式の電磁弁1を備えた電磁弁システム100においても、ラッチ式の電磁弁1を備えた電磁弁システム100と同様の効果を奏することができる。
【0068】
また、「パイロット式電磁弁」の一例である電磁弁1を制御対象とする制御装置2の例について説明したが、電磁弁1に代えて、「直動式電磁弁」(図示せず)を制御対象として制御装置2と同様の構成の「電磁弁制御装置」によって「開閉制御処理」や「位置判定処理」などを実行することもできる。
【0069】
さらに、インジケータの点灯によって異常状態である旨を報知する「報知処理」を実行する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて(または、このような構成に加えて)ブザー音などの音声によって異常状態を報知する処理を「報知処理」として実行したり、異常が生じている旨を「電磁弁システム」の管理者に公衆回線やインターネットを介して報知する処理を「報知処理」として実行したりする構成を採用することもできる。
【0070】
加えて、fV変換回路33からの信号Svの電圧値を「予め規定された電気的パラメータ」として可動コア25の位置を特定する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、LC発振回路32からの信号Sfの周波数を「予め規定された電気的パラメータ」として用いることで可動コア25の位置を特定する構成を採用することもできる。また、コンパレータ34を用いることなく、処理部35において、fV変換回路33から出力される信号Svをデジタル処理して位置判定処理を実行する構成を採用することもできる。