【解決手段】センサ部と、前記センサ部に対して接続される第1端部と、前記センサ部の裏側に配される制御基板に形成されたコネクタに接続される第2端部とを有するコネクタテールとを備え、前記コネクタテールの第2端部は、前記センサ部と前記制御基板とが成す傾斜角に応じて傾斜させた補正部を備えるタッチセンサである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、タッチセンサには外部に信号を取り出すための平板状の導体(以下、適宜コネクタテールと称する)が接続される。なお、コネクタテールは、フレキシブルテール、引出配線、テール導体、テールなどとも称される。コネクタテールは、例えば180度程度折り返され、その先端がタッチセンサ裏側に位置するプリント基板(PWB(Printed Wired Board))上のコネクタに接続される。コネクタテールは、折り返した状態で、タッチセンサ側に実装される側の箇所とコネクタ側に接続される箇所とが略平行となるように構成されていることが一般的である。
【0005】
ところで、特許文献1に記載されているように、タッチセンサを湾曲形状とした場合には当該タッチセンサに接続されているコネクタテールも湾曲した形状に変形する。この状態でコネクタテールを折り返すとコネクタ側に接続される箇所に傾斜等が生じるため、コネクタテールの先端をコネクタに自然に挿入しづらくなる、というおそれがある。また、コネクタテールをこのような状態でコネクタに挿入したままでタッチパネル装置を組み立てた場合、コネクタテールの捩れや撓みに起因してタッチセンサとコネクタテールとの接続部分に応力が加わるため、接続部分が剥がれるなど致命的な不具合に至るおそれがある。
【0006】
したがって、本発明の目的の一つは、上記問題を解決するための新規かつ有用なタッチセンサ、タッチパネルおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、例えば、
センサ部と、
センサ部に対して接続される第1端部と、センサ部の裏側に配される制御基板に形成されたコネクタに接続される第2端部とを有するコネクタテールと
を備え、
コネクタテールの第2端部は、センサ部と制御基板とが成す傾斜角に応じて傾斜させた補正部を備える
タッチセンサである。
【0008】
位置関係は、制御基板に対してセンサ部が湾曲する位置関係、または、制御基板に対してセンサ部が傾斜する位置関係でもよい。
センサ部は湾曲形状を成し、センサ部に第1端部が接続されたコネクタテールを折り返した状態で、第2端部の先端とコネクタの挿入口とが対向且つ略平行となるように、補正部が形成されていてもよい。
センサ部がフレキシブル性を有し、当該センサ部の全体が湾曲形状を成していてもよい。
【0009】
本発明は、本発明のタッチセンサと、タッチセンサを保持する外装部材とを備えるタッチパネルでもよい。
本発明は、本発明のタッチパネルを備える電子機器でもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、センサ部と制御基板との相対的な位置関係に対応する補正部をコネクタテールに形成したので、当該コネクタテールをコネクタに自然に、余計な負荷をかけることなく接続することが可能となる。なお、本明細書において例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態等について図面を参照しながら説明する。説明は以下の順序で行う。
<1.一実施形態>
<2.変形例>
但し、以下に示す実施形態等は、本発明の技術思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明は例示された構成に限定されるものではない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものではない。特に、実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置、上下左右等の方向の記載等は特に限定する旨の記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがあり、また、図示が煩雑となることを防止するために、参照符号の一部のみを図示する場合もある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複する説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0013】
<1.一実施形態>
「タッチパネルの概略的な構成例」
以下では、本発明の一実施形態に係るタッチセンサが適用されたタッチパネル(タッチパネル1)を例にして説明する。タッチパネル1は、携帯情報端末装置、携帯電話機、カーナビゲーション装置等種々の電子機器の入力装置として用いられる。また、一実施形態では、絶縁基板上の入力操作領域に沿って多数の電極を配設し、指等の入力操作体が接近して検出電極間の静電容量が変化した電極を検出し、当該電極の位置から入力操作位置を検出する、所謂、静電容量方式のタッチパネルを例にして説明するがこれに限定されるものではない。
【0014】
図1は、タッチパネル1の部分分解斜視図である。タッチパネル1は、タッチパネル1の入力操作方向AAに沿う仮想的な配列軸(図示は省略している)に沿って表側(
図1における上側)から、外装部材2と、タッチセンサ3と、制御基板の一例である配線基板4とが配された構成を有している。なお、タッチパネル1は、例えばタッチセンサ3と配線基板4との間に配される液晶、有機EL(Electro Luminescence)等のディスプレイ部を有するが、
図1等ではその図示を省略している。
【0015】
外装部材2は、樹脂、プラスチック等から成る枠状の絶縁ケース21を有している。絶縁ケース21の開口内(枠内)がタッチパネル1に対する操作入力が可能な領域として設定されている。この絶縁ケース21の開口内には、アクリル、ABSなどの透明プラスチック材料やフィルムからなる保護カバー22が設けられている。このように、外装部材2は、絶縁ケース21および保護カバー22が一体化された構成を有している。さらに、外装部材2は、デザイン性等を考慮して、矩形板をその長手方向に弓状に湾曲させ、全体として表側にやや凸となる湾曲形状を成している。なお、外装部材2は、絶縁ケース21と保護カバー22に相当する部分の全体を、透明プラスチック材料を用いて一体で形成した後、絶縁ケース21に相当する部分に印刷等を施して形成してもよい。
【0016】
タッチセンサ3は、センサ部31と、センサ部31の周縁部の所定箇所に一端が取り付けられるコネクタテール32とを有している。タッチセンサ3は、外装部材2と同様に湾曲するようにして当該外装部材2に保持されている。例えば、外装部材2が2枚の湾曲板を有し、タッチセンサ3が2枚の湾曲板により挟持される構成でもよいし、タッチセンサ3が外装部材2の裏面に粘着テープや粘着層等の貼合層を介して貼り合わされる構成でもよい。
【0017】
センサ部31は、任意の形状に変形するフレキシブル性(可撓性)を有している。詳細な図示は省略しているが、センサ部31は、2枚の基材のそれぞれにX方向側、Y方向側の透明電極パターンを形成し、それら2枚の基材を貼り合わせた、貼り合わせ構造を有している。透明電極パターンとしては、ITO(Indium Tin Oxide)膜を例示することができ、各電極には透明な銀パターンからなる引き出しパターンが印刷形成されている。基材としては、ガラスやフィルムを例示することができる。
【0018】
コネクタテール32は、ポリイミドやポリエチレンテレフタレート(PET)等の絶縁性のテール基材に銅箔状の配線パターンを形成し、その上をテール保護シート材で覆った構成を有している。コネクタテール32は、全体として概略薄い平板状を成し、折り返すことが可能な程度のフレキシブル性(可撓性)を有している。
【0019】
コネクタテール32は、第1、第2端部321、322を有している。第1端部321には配線パターンを露出させた接続用パターン(図示しない)が形成されており、この第1端部321とセンサ部31の各電極から導出される引き出しパターンとを異方導電性膜を介して熱圧着等することにより、センサ部31とコネクタテール32とが電気的に接続される。
図1では、第1端部321がセンサ部31に接続されている状態が示されている。また、第2端部322が配線基板4に形成されたFPC用コネクタに接続される。なお、コネクタテール32の詳細な形状については後述する。
【0020】
配線基板4は、薄い板状の形状を成し、ガラスエポキシ材等の基材に導体銅箔がパターニングされた構成を有するものである。配線基板4の上面(表面)41であり側面(周縁)42近傍の箇所にFPC用コネクタ43が形成(実装)されている。FPC用コネクタ43には挿入口431が形成されており、この挿入口431を介してコネクタテール32の第2端部322がFPC用コネクタ43に挿入される。
【0021】
なお、図示は省略しているが、配線基板4には、タッチセンサ3により得られ、コネクタテール32を介して供給される信号を処理し操作入力位置を検出する演算部や、ディスプレイ部の表示を制御するディスプレイコントローラ(これらの機能を有する1チップのIC(Integrated Circuit)コントローラでもよい)、操作入力位置に応じた制御を実行する処理装置との間のインターフェース等、所定の電子部品が実装されている。
【0022】
「タッチセンサの取付例」
次に、外装部材2に対するタッチセンサ3の取付例について、
図2を参照して説明する。なお、この例では、タッチセンサ3のセンサ部31には、予めコネクタテール32の第1端部321が接続されているものとする。また、第1端部321は、例えば弓状に湾曲するセンサ部31の頂部以外の位置に接続される。
【0023】
センサ部31が、外装部材2の湾曲形状に沿って、光学接着剤等の適宜な方法を用いて当該外装部材2の裏面に取り付けられる。外装部材2に取り付けられることで、外装部材2の形状に沿うようにセンサ部31が湾曲する。なお、
図2では理解を容易とするために、外装部材2とセンサ部31とを離間させて示している。
【0024】
センサ部31が湾曲すると、これに対応してセンサ部31の周縁部に接続されているコネクタテール32が湾曲する。湾曲したコネクタテール32を第1折曲部325aで折り曲げ、コネクタテール32が下方(裏側)に向かって延びるようにする。そして、コネクタテール32を第2折曲部325bで折り曲げ、コネクタテール32の第2端部322が配線基板4に向かうようにした後、コネクタテール32の第2端部322がFPC用コネクタ43に挿入される。
【0025】
上述したように、センサ部31と配線基板4との相対的な位置関係によっては、第2端部322をFPC用コネクタ43に自然に挿入することが困難となり得る。例えば本実施形態のように、仮想的な配列軸に沿ってセンサ部31と配線基板4とが表裏(上下)に配置される場合に、両者が略平行に配置されていない、より具体的には配線基板4に対してセンサ部31が湾曲した形状であると、第2端部322の先端に傾斜が生じる。この傾斜に起因して、第2端部322の先端とFPC用コネクタ43の挿入口431とを対向且つ略平行となるように配置することが困難となる。このため、第2端部322を挿入口43に自然に挿入することが困難となる。このような状況のままでコネクタテール32をFPC用コネクタ43に挿入すると、コネクタテール32に生じる不自然な捩れや撓みに起因してセンサ部31とコネクタテール32との接続部分に応力が加わるため、接続部分が剥がれるなどの不具合に至るおそれがある。さらには、第2端部322を強引に挿入すると、コネクタテール32そのものが損傷してしまうおそれもある。
【0026】
想定技術として、FPC用コネクタ43の挿入口431の向きを適宜調節することでこの問題を解決し得る。しかしながら、この方法では、挿入口431の向きを予め調整する必要があり、さらには、FPC用コネクタ43の向きが限定されてしまうため、配線基板4に実装される他の電子部品の配置(レイアウト)に制約が生じてしまう。このような点に鑑み、本発明の一実施形態では、コネクタテール32の第2端部322に補正部を形成している。以下、コネクタテール32の第2端部322に形成された補正部等について詳細に説明する。
【0027】
「コネクタテールの形状例」
図3は、コネクタテール32の形状例を示す図である。一実施形態における第1端部321には中央付近に切り込み323が形成されており、この切り込み323により第1端部321が端部321a、321bと二股に分岐された形状とされている。例えば、一方の端部321aがX軸方向の透明電極パターンの引き出しパターンに接続され、他方の端部321bがY軸方向の透明電極パターンの引き出しパターンに接続される。
【0028】
第2端部322は、センサ部31と配線基板4との相対的な位置関係に対応する補正部324を備えている。この補正部324について
図4A乃至
図4Cを参照して具体的に説明する。
【0029】
図4Aは、タッチセンサ3および配線基板4のコネクタテール32による接続箇所を拡大して示した図であり、具体的には
図2におけるAB方向(側方)から見た図である。なお、全体として湾曲するセンサ部31は、第1端部321が接続された箇所を局所的に見れば傾斜面として捉えることができる。
【0030】
図4Aにおいて点線で示すラインL1は配線基板4に略平行な仮想的なラインであり、本実施形態では、第1端部321におけるセンサ部31の頂点側の接続箇所を通るラインである。ラインL1と、第1端部321における他方の接続箇所との間には、センサ部31の傾斜面に応じた傾斜角θが生じる。センサ部31の厚みは無視できるほど非常に薄いことから、第1折曲部325aとラインL1との間に生じる角度が傾斜角θとして捉えることができる。
【0031】
上述したように本実施形態では、コネクタテール32の第2端部322に補正部324が形成されている。そこで理解を容易とするために第1折曲部325aを水平にして説明する。
図4Bは、コネクタテール32を傾斜角θの分だけ半時計周りに回転させた場合のコネクタテール32を示す図(正面図、右側面図、左側面図)である。
図4Bにおいて点線で示すラインL2は、配線基板4に対応する仮想的なラインである。回転の結果、ラインL2と第2折曲部325bとの間には傾斜角θと同様の角度が生じる。
【0032】
図4Cは、コネクタテール32を第1、第2端部321、322が表れるように展開した図である。図示するように、本実施形態における補正部324は、第2折曲部325bと略平行と成るように傾斜させた構成を有しており、換言すれば、センサ部31と配線基板4とが成す傾斜角θに応じた傾斜である。この補正部324を第2端部322の先端に形成することにより、湾曲形状(局所的にみれば傾斜している)センサ部31に第1端部321を接続した場合でも、第2端部322の先端とFPC用コネクタ43の挿入口431とが対向且つ略平行となる状態を得ることができる。このため、第2端部322を配線基板4のFPC用コネクタ43に自然に、且つ、不自然な曲げや過大な負荷をかけることなく挿入することができる。また、FPC用コネクタ43の挿入口411の向き等を予め調整した上でFPC用コネクタ41を実装する必要もなく、配線基板4上の電子部品のレイアウトが制約されてしまうことを防止することができる。
【0033】
<2.変形例>
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく各種の変形が可能である。
【0034】
コネクタテール32の形状は、上述した一実施形態に限定されるものではない。例えば、
図5に示すように、平面視において、コネクタテール32の一部が屈曲していてもよい。このような形状により、第1端部321の取付箇所の直下からずれた位置にFPC用コネクタ43が形成されている場合にも対応することが可能となる。さらに、
図5に示す形状のコネクタテール32が局所的に湾曲する箇所(例えば、第1端部321から下方に向かって延在する箇所)で折り返した場合でも本発明を適用することができる。
【0035】
上述した一実施形態では、配線基板4に対してセンサ部31が湾曲する位置関係を相対的な位置関係の一例として説明したが、これに限定されるものではなく、配線基板4に対してセンサ部31が傾いている(傾斜する)位置関係等でもよい。
【0036】
上述した一実施形態では、センサ部31全体が湾曲する例を説明したが、一部(少なくとも周縁部)が湾曲すればよい。また、センサ部31は、必ずしもフレキシブル性を有していなくてもよく、全体または少なくとも周縁部が自立的に湾曲している形状のものでもよい。この場合、センサ部31が自立的に湾曲した形状の2枚の基材を備えるようにすればよい。また、センサ部31は、貼り合わせ構造に限らず、1枚の基材の片面にX方向側およびY方向側の透明電極パターンを形成した片面積層構造であってもよい。また、コネクタテール32上に、コントローラIC等の所定の電子部品が実装されていてもよい(Chip on Filmなどとも称される)。
【0037】
予めコネクタテール32がFPC用コネクタ43に接続され、タッチセンサ3と配線基板4とが一体化されたものを外装部材2に取り付けるようにしてもよく、取付工程は適宜、変更可能である。
【0038】
配線基板4の下面(裏面)にFPC用コネクタ43が形成されていてもよく、FPC用コネクタ43は適宜な位置に形成することができる。
【0039】
上述した一実施形態では、外装部材2が全体として湾曲する形状として説明したが、一部が湾曲する形状でもよく、その場合にも同様にして本発明を適用することができる。また、外装部材2にタッチパネル1の用途に応じた適宜な加飾がなされていてもよい。保護カバー22は、ディスプレイ部の内容が目視できる程度の光透過率であればよく、保護カバー22はなくてもよい。
【0040】
外装部材2やタッチセンサ3、ディスプレイ部等が円筒状のものでもよく、円筒部材の中心付近に配線基板4を配置してもよく、本発明は、円筒状のディスプレイその他の任意の形状のディスプレイに用いられるタッチセンサ等に対しても適用することができる
【0041】
上述した一実施形態では、コネクタテール32を第1、第2折曲部325a、325bで折り曲げた状態を、コネクタテール32を折り返した状態の一例として説明したが、折り返しの態様はコネクタテールの形状に応じて適宜、設定することができる。また、本明細書における「略平行」との用語は、平行はもとより本願発明の作用効果を奏する(害しない)程度で、平行な状態から僅かにずれていてもよい。
【0042】
上述の実施形態および変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよく、公知のもので置き換えることも可能である。また、実施形態および変形例における構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、技術的な矛盾が生じない範囲において、互いに組み合わせることが可能である。
【0043】
さらに、本発明は、タッチパネルに限らず、タッチセンサ、タッチパネルを備える電子機器等、任意の形態により実現することができる。