(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-102898(P2017-102898A)
(43)【公開日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】細胞解析を向上させるための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06T 5/50 20060101AFI20170512BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20170512BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20170512BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20170512BHJP
【FI】
G06T5/50
G06T1/00 295
G06T7/00 T
A61B10/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-185138(P2016-185138)
(22)【出願日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】62/235,157
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】507031918
【氏名又は名称】コニカ ミノルタ ラボラトリー ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツ, ジンウェン
(72)【発明者】
【氏名】ツァン, ヨンミャン
(72)【発明者】
【氏名】パラドカ, フォラム マニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】グ, ハイソン
【テーマコード(参考)】
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B057AA10
5B057BA30
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE05
5B057CE08
5B057CE10
5B057CF05
5B057DA08
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC04
5B057DC09
5B057DC16
5B057DC36
5L096BA06
5L096BA13
5L096EA02
5L096EA06
5L096EA43
5L096FA06
5L096FA59
5L096GA30
5L096GA51
5L096JA11
5L096MA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】病理学画像から細胞体領域を正確に抽出し、細胞解析を向上させるための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】細胞画像に多重閾値処理を行って細胞画像の複数の画像を生成する。前記複数の画像の各画像内における各成分を平滑化する。平滑化した成分をマージレイヤーにマージする。マージレイヤーの前記成分を凸細胞領域と凹細胞領域に分類する。対応する凹細胞領域の各々に対する細胞境界線を当該凹細胞領域と結合して、凹細胞領域の各々について滑らかな形状の輪郭を生成する。凸細胞領域と滑らかな形状の輪郭を有する凹細胞領域を結合することによって出力画像を生成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析用の細胞画像を向上させる方法であって、
細胞画像に多重閾値処理を行って前記細胞画像の複数の画像を生成する工程と、
前記複数の画像の各画像内における各成分を平滑化する工程と、
前記平滑化した成分をマージレイヤーにマージする工程と、
前記マージレイヤーの前記成分を凸細胞領域と凹細胞領域に分類する工程と、
対応する前記凹細胞領域の各々に対する細胞境界線を当該凹細胞領域と結合して、前記凹細胞領域の各々について滑らかな形状の輪郭を生成する工程と、
前記凸細胞領域と滑らかな形状の輪郭を有する前記凹細胞領域を結合することによって出力画像を生成する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記多重閾値処理は、以下のステップを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数1】
[上記ステップにおいて、βは細胞を異なるレイヤーに分ける初期サイズであり、α1及びα2はイテレーションごとの増分を表す。]
【請求項3】
β=1000,α1=20及びα2=500であり、最大イテレーションは6に設定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の細胞画像の各画像内における各成分を平滑化する工程は、各成分にガウシアン平滑化のアルゴリズムを適用する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記凸細胞領域及び前記凹細胞領域を以下の式に基づいて決定する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【数2】
[上記式中、rは、凹みの程度を示す閾値である。]
【請求項6】
穴を有する凹細胞領域にエッジを加えて、前記穴を前記細胞画像上にマッピングする工程と、
内部に単一成分がある穴のみを埋める工程と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
解析用の細胞画像を向上させるためのコンピューター読み取り可能コードを有し、コンピューターによって実行されることで当該コンピューターに処理を行わせるコンピュータープログラムであって、
前記処理は、
細胞画像に多重閾値処理を行って前記細胞画像の複数の画像を生成する工程と、
前記複数の画像の各画像内における各成分を平滑化する工程と、
前記平滑化した成分をマージレイヤーにマージする工程と、
前記マージレイヤーの前記成分を凸細胞領域と凹細胞領域に分類する工程と、
対応する前記凹細胞領域の各々に対する細胞境界線を当該凹細胞領域と結合して、前記凹細胞領域の各々について滑らかな形状の輪郭を生成する工程と、
前記凸細胞領域と滑らかな形状の輪郭を有する前記凹細胞領域を結合することによって出力画像を生成する工程と、
を備えることを特徴とするコンピュータープログラム。
【請求項8】
前記多重閾値処理は、以下のステップを備えることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータープログラム。
【数3】
[上記ステップにおいて、βは細胞を異なるレイヤーに分ける初期サイズであり、α1及びα2はイテレーションごとの増分を表す。]
【請求項9】
β=1000,α1=20及びα2=500であり、最大イテレーションは6に設定されることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータープログラム。
【請求項10】
前記複数の細胞画像の各画像内における各成分を平滑化する工程は、各成分にガウシアン平滑化のアルゴリズムを適用する工程を備えることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータープログラム。
【請求項11】
前記処理は、前記凸細胞領域及び前記凹細胞領域を以下の式に基づいて決定する工程を備えることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータープログラム。
【数4】
[上記式中、rは、凹みの程度を示す閾値である。]
【請求項12】
前記処理は、
穴を有する凹細胞領域にエッジを加えて、前記穴を前記細胞画像上にマッピングする工程と、
内部に単一成分がある穴のみを埋める工程と、
を備えることを特徴とする請求項7に記載のコンピュータープログラム。
【請求項13】
細胞画像を向上させるためのシステムであって、
細胞画像を生成するように構成される入力モジュールと、
前記細胞画像を向上させるように構成される少なくとも一つのモジュールと、を備え、
前記少なくとも一つのモジュールは、
前記細胞画像に多重閾値処理を行って前記細胞画像の複数の画像を生成し、
前記複数の画像の各画像内における各成分を平滑化し、
前記平滑化した成分をマージレイヤーにマージし、
前記マージレイヤーの前記成分を凸細胞領域と凹細胞領域に分類し、
対応する前記凹細胞領域の各々に対する細胞境界線を当該凹細胞領域と結合して、前記凹細胞領域の各々について滑らかな形状の輪郭を生成し、
前記凸細胞領域と滑らかな形状の輪郭を有する前記凹細胞領域を結合することによって出力画像を生成するように構成されるプロセッサーを備えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記多重閾値処理は、以下のステップを備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【数5】
[上記ステップにおいて、βは細胞を異なるレイヤーに分ける初期サイズであり、α1及びα2はイテレーションごとの増分を表す。]
【請求項15】
β=1000,α1=20及びα2=500であり、最大イテレーションは6に設定されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の細胞画像の各画像内における各成分を平滑化する工程は、各成分にガウシアン平滑化のアルゴリズムを適用する工程を備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサーは、前記凸細胞領域及び前記凹細胞領域を以下の式に基づいて決定するように構成されることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【数6】
[上記式中、rは、凹みの程度を示す閾値である。]
【請求項18】
前記プロセッサーは、
穴を有する凹細胞領域にエッジを加えて、前記穴を前記細胞画像上にマッピングし、
内部に単一成分がある穴のみを埋めるように構成されることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記出力画像を表示するためのディスプレイを備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、細胞解析を向上させるための方法及びシステムに関し、特に、例えば病理学画像から細胞体領域を抽出するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病理学画像の定量解析では、分類アルゴリズムによる単一細胞の分類を行う前に、当該単一細胞について特徴の定量化を行う。しかしながら、例えば、
図1A及び
図1Bに示すように、蛍光像上の細胞がギザギザの形状の輪郭を有することがあり、また、細胞体の内部が均一に埋まっていないことがある。
【0003】
細胞体の正確な抽出は、例えばがん細胞の解析といった更なる病理学的解析のために細胞の特徴を定量化することに役立つ。しかしながら、従来のモルフォロジー演算は、細胞の分割時に別々の細胞をマージしたり重要な細胞領域を消去したりするため、一般的にこのような細胞画像に適用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の点を考慮すると、細胞体領域の正確な抽出に役立つシステム及び方法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の例として、解析用の細胞画像を向上させる方法であって、細胞画像に多重閾値処理を行って前記細胞画像の複数の画像を生成する工程と、前記複数の画像の各画像内における各成分を平滑化する工程と、非オーバーラップ法に従って前記平滑化した成分をマージレイヤーにマージする工程と、前記マージレイヤーの前記成分を凸細胞領域と凹細胞領域に分類する工程と、対応する前記凹細胞領域の各々に対する細胞境界線を当該凹細胞領域と結合して、前記凹細胞領域の各々について滑らかな形状の輪郭を生成する工程と、前記凸細胞領域と滑らかな形状の輪郭を有する前記凹細胞領域を結合することによって出力画像を生成する工程と、を備えることを特徴とする方法が開示される。
【0006】
実施形態の例として、解析用の細胞画像を向上させるためのコンピューター読み取り可能コードを有し、コンピューターによって実行されることで当該コンピューターに処理を行わせるコンピュータープログラムであって、前記処理は、細胞画像に多重閾値処理を行って前記細胞画像の複数の画像を生成する工程と、前記複数の画像の各画像内における各成分を平滑化する工程と、非オーバーラップ法に従って前記平滑化した成分をマージレイヤーにマージする工程と、前記マージレイヤーの前記成分を凸細胞領域と凹細胞領域に分類する工程と、対応する前記凹細胞領域の各々に対する細胞境界線を当該凹細胞領域と結合して、前記凹細胞領域の各々について滑らかな形状の輪郭を生成する工程と、前記凸細胞領域と滑らかな形状の輪郭を有する前記凹細胞領域を結合することによって出力画像を生成する工程と、を備えることを特徴とするコンピュータープログラムが開示される。
【0007】
実施形態の例として、細胞画像を向上させるためのシステムであって、細胞画像を生成するように構成される入力モジュールと、前記細胞画像を向上させるように構成される少なくとも一つのモジュールと、を備え、前記少なくとも一つのモジュールは、前記細胞画像に多重閾値処理を行って前記細胞画像の複数の画像を生成し、前記複数の画像の各画像内における各成分を平滑化し、非オーバーラップ法に従って前記平滑化した成分をマージレイヤーにマージし、前記マージレイヤーの前記成分を凸細胞領域と凹細胞領域に分類し、対応する前記凹細胞領域の各々に対する細胞境界線を当該凹細胞領域と結合して、前記凹細胞領域の各々について滑らかな形状の輪郭を生成し、前記凸細胞領域と滑らかな形状の輪郭を有する前記凹細胞領域を結合することによって出力画像を生成するように構成されるプロセッサーを備えることを特徴とするシステムが開示される。
【0008】
上述した概要及び以下の詳細な説明は共に、例示的かつ説明的なものであって、特許請求の範囲に記載された本発明について更なる説明を提供することを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】均一に埋まっていない細胞領域における画素を示す図である。
【
図1B】例えば、ギザギザを有する細胞境界線を示す図である。
【
図2A】機械学習プログラム又はアルゴリズムから出力されたマップを示す細胞領域画像の図である。
【
図2B】実施形態の例による、境界イメージング処理から得られた細胞境界線を示す図である。
【
図3】実施形態の例によるプロセス図を示している。
【
図4】実施形態の例によるマルチレベル閾値処理の図を示している。
【
図5】実施形態の例による二つの成分図のマージを示す図である。
【
図6】実施形態の例による細胞の平滑化処理を示す図である。
【
図7】実施形態の例による細胞のグループ分けを示す図である。
【
図9】実施形態の例による、欠落領域を回復する処理を示す図である。
【
図10】実施形態の例による、細胞境界線を追加して細胞の形状を修正する処理を示している。
【
図11】実施形態の例による、別々の細胞に囲まれていて埋めてはならない穴(丸で記した部分)を示す図である。
【
図12】穴(ライトグレーの領域)を有する細胞をオリジナル画像上に示して、穴領域に単一成分がある場合に穴を埋めたマップを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好適な実施形態についてここに詳細に言及される。実施形態の例が、添付された図面により示されている。同じ又は類似の部分を指すために、図面及び明細書において可能な限り同じ参照番号が使用されている。
【0011】
実施形態の例によれば、入力画像として、例えば、背景を除去した蛍光像や機械学習処理又はアルゴリズムから出力された画像がある。実施形態の例によれば、
図2Aに示すように、領域や外縁の強度関数によって領域が排他的に画定される。一般的に、上記画像は不完全な境界線や不規則な穴を有する細胞を含むことがあり、これらの境界線や穴には互いに接触して一つになっているものも含まれる。例えば、細胞を背景から分離して抽出した細胞の形状がオリジナル画像における実際の形状と同じであるような細胞画像が出力画像であることが期待される。実施形態の例により、望ましい細胞画像を取得するために、細胞境界線の平滑化、穴埋め、欠落領域の回復及び互いに接触している細胞の分離を備える方法及びシステムが開示される。
【0012】
実施形態の例により、
図3に示すような以下のモジュール310、320、330及び340を含む方法が開示される。上記モジュールは、閾値処理モジュール310、平滑化モジュール320、細胞グループ分けモジュール330及び欠落領域回復モジュール340を含む。入力画像302は、例えば、
図1A及び
図1Bに示すような背景を除去した蛍光画像又は細胞画像から機械学習により出力したものである。
【0013】
実施形態の例によれば、閾値処理モジュール310は、入力画像302に対してマルチレベル閾値法400(
図4)を行う。マルチレベル閾値法400より出力されたものは平滑化モジュール320に供給され、平滑化モジュール320は閾値処理モジュール310から出力された細胞に対して細胞の平滑化処理600(
図6)を行う。
【0014】
そして、細胞グループ分けモジュール330は、上記細胞を凹細胞342と凸細胞344に分類する。実施形態の例によれば、欠落領域回復モジュール340は、凹細胞342と機械学習モジュール352により生成された関連する細胞境界線を結合する。そして、欠落領域回復モジュール340により得られた滑らかな形状の輪郭を有する凹細胞と凸細胞344を結合して350、出力画像360を結合する。
【0015】
実施形態の例によれば、閾値処理モジュール310、平滑化モジュール320、細胞グループ分けモジュール330及び欠落領域回復モジュール340は、メモリー、プロセッサー、オペレーティングシステム及び/又はソフトウェア及び/又はオプションのグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)及び/又はディスプレイを有する1以上のコンピューター又は処理デバイスを含む。実施形態の例によれば、例えば、モジュール310、320、330及び340は、一つのコンピューター、例えばスタンドアロンのコンピューター内で組み合わせたり、1以上のコンピューターデバイス内に備えたりすることができる。当該1以上のコンピューターデバイスの各々は、メモリー、プロセッサー、オペレーティングシステム及び/又はソフトウェア及びグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)又はディスプレイを有する。
[閾値処理]
【0016】
領域が強度関数によって排他的に画定された
図2Aで示す尤度画像のような画像において、誤検出された領域のなかには、通常、確率の低いものがあるので、そのような誤検出を除去するために閾値処理を行う。画像内の全ての細胞に対するグローバル閾値を決めることは困難なため、
図4に示すように、例えば、ある範囲の閾値を用いて、複数回、画像302に閾値処理を行うマルチレベル閾値法400を用いる。実施形態の例によれば、例えば、接触している大きな細胞成分に対する閾値を最大にする一方で、小さな細胞成分を保持する。
【0017】
実施形態の例によれば、閾値処理において、細胞は異なるレイヤーにグループ分けされ、各レイヤーにおいて、細胞成分が各々検出される。このため、各細胞成分は別々に処理される。実施形態の例によれば、閾値処理アルゴリズムは以下のように記載される。
【数1】
上記ステップにおいて、βは細胞を異なるレイヤーに分ける初期サイズであり、α1及びα2はイテレーションごとの増分を表す。例えば、実施形態の例によれば、β=1000,α1=20及びα2=500であり、最大イテレーションは、例えば、6に設定される。
[平滑化]
【0018】
図6は、実施形態の例による細胞の平滑化処理600の図である。上記モジュールから複数のレイヤーを取得後、
図6のステップ610において、各レイヤーで連結成分の解析を行い、ステップ620において、イメージング処理アルゴリズム、例えばガウシアン平滑化を適用して各成分を別々に平滑化する。全ての成分を平滑化後、ステップ630において、個々の連結成分は同じレイヤーで個別に(つまり一つずつ)同じ画像上にマージされる。マージする際に成分が別の成分と重なり合う場合は、重なった境界線を
図5に示すように分離線で印づけし、隣接する細胞との接触を効果的に避ける。最後に、ステップ640において、各レイヤーの平滑化された連結成分は、
図5に示すように一つの画像上で結合される。
[細胞のグループ分け]
【0019】
実施形態の例によれば、単一細胞への過剰処理を避けるため、平滑化処理後の画像における全ての細胞を、凸細胞領域344及び凹細胞領域342の二つのカテゴリーに分類する。
図8A及び
図8Bは、それぞれ凸細胞及び凹細胞の例を示す。凹みのある領域は、欠落した部分又は領域を有することがある。このため、実施形態の例によれば、次のセクションで記載するように、欠落部分を回復するために更なる処理が必要となることがある。
【0020】
図7は、実施形態の例による細胞のグループ分け700を示す図である。
図6で示す処理で得られた結果から、結合画像640が受領され、ステップ710において連結成分が検出される。ステップ720において、各連結成分の凸包を抽出する。例えば、実施形態の例によれば、ステップ730において、以下の基準を用いて凸細胞領域740及び凹細胞領域750を決定する。
【数2】
上記式中、rは凹みの程度を示す閾値である。Rが大きい場合、例えば、当該成分はより多くの凹みを有する。このことはまた、細胞領域が欠落している可能性がより高いことを意味し、例えば、r=2を用いることができる。最終的に、凸細胞領域に分類された細胞を一つのバッファー(画像)に移し、凹細胞領域に分類された細胞を別のバッファー(画像)に移す。
[欠落領域の回復]
【0021】
凹細胞領域750の抽出後、細胞境界線が凹細胞領域上のオーバーレイに付加され、領域内の全ての穴が検出される。
図9は、欠落領域回復モジュール340のプロセス
図900である。
図9に示すように、ステップ910において、凹細胞領域を有する接触している細胞と細胞境界線オーバーレイが結合され、接触細胞(又は接触している細胞)を形成する。ステップ920において接触細胞の連結成分が取得され、ステップ930において各連結成分内の穴が検出される。ステップ940において、各穴について、穴の大きさが所定の大きさ(又は最大サイズ)より大きいか否かが判定される。穴の大きさが所定の大きさより小さい場合、ステップ942において当該穴は埋められる。穴の大きさが所定の大きさより大きい場合、ステップ944において当該穴内部に成分があるか否かが判定され、成分があると判定された場合、ステップ944において当該穴が埋められる。穴内部に成分がないと判定された場合、処理はステップ940に戻る。いったん穴が埋められると、ステップ950において、最終的な凹細胞画像が得られる。
【0022】
実施形態の例によれば、完全な境界線を有する穴のみを埋めるので、例えば
図10に示すように、エッジを追加することで境界線が閉じる可能性は上がる。しかしながら、
図11に示すように、別々の細胞に囲まれた空間が埋められる場合もある。このような空間が埋められるのを避けるため、実施形態の例によれば、穴がオリジナル画像にマッピングされ、調べられて、穴内部に単一成分があるか否かが判定される。実施形態の例によれば、例えば、
図12に示すように穴の内部に成分がある場合のみ、穴は埋められる。
【0023】
実施形態の例によれば、解析用の細胞画像を向上させるためのコンピューター読み取り可能コードを有し、コンピューターによって実行されることで当該コンピューターに処理を行わせるコンピュータープログラムであって、前記処理は、細胞画像に多重閾値処理を行って前記細胞画像の複数の画像を生成する工程と、前記複数の画像の各画像内における各成分を平滑化する工程と、前記平滑化した成分をマージレイヤーにマージする工程と、前記マージレイヤーの前記成分を凸細胞領域と凹細胞領域に分類する工程と、対応する前記凹細胞領域の各々に対する細胞境界線を当該凹細胞領域と結合して、前記凹細胞領域の各々について滑らかな形状の輪郭を生成する工程と、前記凸細胞領域と滑らかな形状の輪郭を有する前記凹細胞領域を結合することによって出力画像を生成する工程と、を備えることを特徴とするコンピュータープログラムが開示される。
【0024】
コンピューター読み取り可能な記憶媒体は、磁気記録媒体、光磁気記録媒体又は将来開発されるだろう他の記録媒体であることができ、これらのすべては、本発明をすべて同様な方法で適用できると考えられる。そのような媒体の、最初の及び二次的な複製製品その他を含む複製物は上記媒体と同等と考えられることは疑いもない。さらに、本発明の実施形態がソフトウェアとハードウェアとの組合せである場合でも、本発明の概念から全く逸脱しない。本発明は、そのソフトウェア部分が事前に記録媒体に記載されることにより実行されることができ、作業において要求されるときに読み出される。
【0025】
当業者にとっては、本発明の範囲や趣旨から逸脱しない範囲で、本発明の構成に様々な改良や変更を行うことが可能であることは明らかであろう。上記に鑑みて、本発明は、以下の特許請求の範囲やその均等物の範囲内となる改良や変更を包含するものである。
【0026】
添付の図面は、本発明の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて当該明細書の一部を構成する。図面は本発明の実施形態を図示し、本明細書と共に、本発明の原理を説明することに寄与する。
【0027】
本願は、2015年9月30日に出願された米国仮特許出願第62/235,157号を基礎出願とする優先権を主張するものであり、当該基礎出願の内容は全て本願に取り込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2017年1月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
凹細胞領域750の抽出後、細胞境界線が凹細胞領域上のオーバーレイに付加され、領域内の全ての穴が検出される。
図9は、欠落領域回復モジュール340のプロセス
図900である。
図9に示すように、ステップ910において、凹細胞領域を有する接触している細胞と細胞境界線オーバーレイが結合され、接触細胞(又は接触している細胞)を形成する。ステップ920において接触細胞の連結成分が取得され、ステップ930において各連結成分内の穴が検出される。ステップ940において、各穴について、穴の大きさが所定の大きさ(又は最大サイズ)より大きいか否かが判定される。穴の大きさが所定の大きさより小さい場合、ステップ942において当該穴は埋められる。穴の大きさが所定の大きさより大きい場合、ステップ944において当該穴内部に成分があるか否かが判定され、成分があると判定された場合、ステップ94
2において当該穴が埋められる。穴内部に成分がないと判定された場合、処理はステップ940に戻る。いったん穴が埋められると、ステップ950において、最終的な凹細胞画像が得られる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
β=1000,α1=20及びα2=500であり、最大イテレーションは6に設定されることを特徴とする請求項8に記載のコンピュータープログラム。
【外国語明細書】