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特開2017-103095コネクタ及びコネクタの接続解除方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-103095(P2017-103095A)
(43)【公開日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタの接続解除方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/79 20110101AFI20170512BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20170512BHJP
【FI】
   H01R12/79
   H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-235142(P2015-235142)
(22)【出願日】2015年12月1日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】松浦 淳
【テーマコード(参考)】
5E021
5E123
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FB05
5E021FB08
5E021FC31
5E021FC32
5E021HB01
5E021HC07
5E021HC35
5E123AB28
5E123AC19
5E123AC23
5E123BA04
5E123BA07
5E123BA08
5E123BB01
5E123BB12
5E123CB21
5E123CB31
5E123CC15
5E123CD01
5E123CD02
5E123CD22
5E123CD24
5E123DA05
5E123DB09
5E123DB11
5E123DB23
5E123DB25
5E123DB33
5E123DB36
5E123EA02
5E123EC22
5E123EC29
5E123EC32
5E123EC63
(57)【要約】
【課題】被接続部材と接続されるコネクタ及びコネクタと被接続部材の接続解除方法を提供する。
【解決手段】嵌合部86を有する被接続部材82と接続されるコンタクト62と、コンタクト収容部50と、被接続部材82が配置される配置部52とが形成されたハウジング12と、を有するコネクタ10であって、コンタクト収容部50は、配置部52を挟んだいずれか一方側に形成されており、コンタクト62は、被接続部材82がコンタクト収容部50とは反対側に押圧される腕部70を有し、配置部52には、コンタクト収容部50とは反対側の面からコンタクト収容部50側に向かって突出した突起部56が配置部52の被接続部材82の挿入方向に対して両側に形成されており、被接続部材82が挿入された場合、被接続部材82がコンタクト62の腕部70により押圧されると共に、嵌合部86が突起部56に嵌り込むように構成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導体部と、挿入方向側の両側面部側に形成された嵌合部とを有する被接続部材と接続される複数のコンタクトと、前記コンタクトが収容されるコンタクト収容部と、挿入された前記被接続部材が配置される配置部とが内部に形成されたハウジングと、を有するコネクタであって、
前記コンタクト収容部は、前記配置部を挟んだいずれか一方側に形成されており、
前記コンタクトは、前記被接続部材が前記コンタクト収容部とは反対側に押圧される腕部を有し、
前記配置部には、前記コンタクト収容部とは反対側の面から前記コンタクト収容部側に向かって突出した突起部が前記配置部の前記被接続部材の挿入方向に対して両側にそれぞれ形成されており、
前記被接続部材が挿入された場合、前記被接続部材が前記コンタクトの前記腕部により前記コンタクト収容部とは反対側に押圧されると共に、前記被接続部材の前記嵌合部が前記ハウジングの前記突起部に嵌り込むように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記配置部は、前記被接続部材の厚さに比べて広く形成されており、
前記突起部の前記コンタクト収容部側には前記配置部の幅より狭く形成された隙間を有し、
挿入された前記被接続部材は、前記隙間に前記被接続部材の両側面側が通過する場合、前記被接続部材は、前記配置部の前記コンタクト収容部に隣接する側に配置され、
前記被接続部材の前記嵌合部が前記突起部を通過し、前記突起部と対応する位置に配置された場合、前記被接続部材が前記コンタクトの前記腕部により、前記配置部の前記コンタクト収容部とは反対側に押圧されて、前記突起部に前記嵌合部が嵌り込む構成とされていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コンタクトの前記腕部は、前記コンタクト収容部に収容された状態で前記配置部に形成された前記隙間を越えるようにして前記コンタクト収容部側とは反対側に突出されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングには、前記開口部とは反対側であって前記コンタクト収容部とは反対側に、前記配置部の一部が露出される切り欠き部が前記被接続部材の挿入方向に対して両側にそれぞれ形成され、
前記切り欠き部からは、挿入された前記被接続部材の一部が突出されるように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記被接続部材が接続された状態において、前記切り欠き部から突出した部分の前記被接続部材が前記コンタクト収容部側に押圧されることで、前記被接続部材が前記コンタクトの前記腕部と共に前記コンタクト収容部側に移動され、前記突起部と前記嵌合部の嵌め合わせが解除される構成となっていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングには、前記切り欠き部から突出した前記被接続部材がまとめて押圧される押圧部を有する構成を備えたことを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングには、前記開口部とは反対側に前記コンタクトが挿入されるコンタクト挿入口が形成され、
前記コンタクトの前記腕部の端部が前記コンタクト挿入口から突出して配置されており、
前記切り欠き部から突出した前記被接続部材が押圧されると共に、前記コンタクト挿入口から突出された前記コンタクトの前記腕部の前記端部が前記コンタクト収容部側に押圧されることで、前記被接続部材が前記コンタクト収容部側に移動され、前記突起部と前記嵌合部の嵌め合わせが解除される構成となっていることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングには、前記切り欠き部から突出した前記被接続部材を押圧する押圧部及び前記コンタクトの前記腕部の前記端部をまとめて押圧する押圧片を有する構成を備えたことを特徴とする請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
請求項4に記載のコネクタに接続した前記被接続部材の接続解除方法であって、
前記切り欠き部から突出した部分の前記被接続部材を前記コンタクト収容部側に押圧することで、前記被接続部材により前記コンタクトの前記腕部を押圧すると共に、前記被接続部材が前記コンタクト収容部側に移動し、前記突起部と前記嵌合部の嵌め合わせを解除することを特徴とするコネクタの接続解除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性を有するプリント基板としての被接続部材、例えば、FPC(Flexible Print Circuit)等と接続されるコネクタ及びコネクタの接続解除方法に関し、詳しくは、部品点数を減らし、容易に被接続部材と接続及びこの接続を解除することができるコネクタ及びコネクタの接続解除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FPCと接続及びこの接続を解除する構成を有するコネクタとして、例えば、下記特許文献1にフレキシブル回路とロック部材との係止を解除することのできるコネクタの発明が開示されている。下記特許文献1のコネクタの発明によれば、接続対象物が前方から挿入されるコネクタ本体と、コネクタ本体に互いに幅方向に間隔をおいて保持された複数の端子と、コネクタ本体内に挿入された接続対象物の係止部に係止することにより接続対象物の反挿入方向への移動を規制するロック部材とを備えたコネクタにおいて、前記ロック部材にコネクタ本体の前後方向に延びるように設けられ、前端側を基点に後端側が上下方向に変位するように弾性変形可能な弾性片部と、弾性片部の前端側と後端側との間に上方に突出するように設けられ、接続対象物の係止部に接続対象物の反挿入方向への移動を規制するように係止する係止部と、弾性片部の後端側からコネクタ本体の上面よりも上方に延出するように設けられ、上端側を上方から下方及び前方から後方への何れの方向にも押圧可能に形成された操作部とを備え、コネクタ本体内に接続対象物が挿入されると、ロック部材の係止部が接続対象物の下面に接触しながら弾性片部が下方に弾性変形し、接続対象物の係止部がロック部材の係止部に達すると、弾性片部が上方に復元して係止部が接続対象物の係止部に係止し、操作部の上端側を上方から下方及び前方から後方への何れかの方向に押圧すると、弾性片部が下方に弾性変形してロック部材の係止部と接続対象物の係止部との係止が解除されるように構成したとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−022214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に開示されたコネクタでは、ロック部材が必要となり、部品点数が増え、製造工程が増加したり、製造費用が増加したりする課題がある。
【0005】
本発明は上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、FPCとハウジングの接続及びこの接続の解除を容易に行うことができ、また、接続するための部品を省略することで部品点数を減らすと共に、組立て工数を減らすことで製造費用を減らすことができるコネクタ及びコネクタの接続解除方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様にかかるコネクタは、複数の導体部と、挿入方向側の両側面部側に形成された嵌合部とを有する被接続部材と接続される複数のコンタクトと、前記コンタクトが収容されるコンタクト収容部と、挿入された前記被接続部材が配置される配置部とが内部に形成されたハウジングと、を有するコネクタであって、
前記コンタクト収容部は、前記配置部を挟んだいずれか一方側に形成されており、
前記コンタクトは、前記被接続部材が前記コンタクト収容部とは反対側に押圧される腕部を有し、
前記配置部には、前記コンタクト収容部とは反対側の面から前記コンタクト収容部側に向かって突出した突起部が前記配置部の前記被接続部材の挿入方向に対して両側にそれぞれ形成されており、
前記被接続部材が挿入された場合、前記被接続部材が前記コンタクトの前記腕部により前記コンタクト収容部とは反対側に押圧されると共に、前記被接続部材の前記嵌合部が前記ハウジングの前記突起部に嵌り込むように構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、第2の態様のコネクタは、第1の態様のコネクタにおいて、前記配置部は、前記被接続部材の厚さに比べて広く形成されており、
前記突起部の前記コンタクト収容部側には前記配置部の幅より狭く形成された隙間を有し、
挿入された前記被接続部材は、前記隙間に前記被接続部材の両側面側が通過する場合、前記被接続部材は、前記配置部の前記コンタクト収容部に隣接する側に配置され、
前記被接続部材の前記嵌合部が前記突起部を通過し、前記突起部と対応する位置に配置された場合、前記被接続部材が前記コンタクトの前記腕部により、前記配置部の前記コンタクト収容部とは反対側に押圧されて、前記突起部に前記嵌合部が嵌り込む構成とされていることを特徴とする。
【0008】
また、第3の態様のコネクタは、第1又は第2の態様のコネクタにおいて、前記コンタクトの前記腕部は、前記コンタクト収容部に収容された状態で前記配置部に形成された前記隙間を越えるようにして前記コンタクト収容部側とは反対側に突出されていることを特徴とする。
【0009】
また、第4の態様のコネクタは、第1〜第3のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記ハウジングには、前記開口部とは反対側であって前記コンタクト収容部とは反対側に、前記配置部の一部が露出される切り欠き部が前記被接続部材の挿入方向に対して両側にそれぞれ形成され、
前記切り欠き部からは、挿入された前記被接続部材の一部が突出されるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、第5の態様のコネクタは、第4の態様のコネクタにおいて、前記被接続部材が接続された状態において、前記切り欠き部から突出した部分の前記被接続部材が前記コンタクト収容部側に押圧されることで、前記被接続部材が前記コンタクトの前記腕部と共に前記コンタクト収容部側に移動され、前記突起部と前記嵌合部の嵌め合わせが解除される構成となっていることを特徴とする。
【0011】
また、第6の態様のコネクタは、第5の態様のコネクタにおいて、前記ハウジングには、前記切り欠き部から突出した前記被接続部材がまとめて押圧される押圧部を有する構成を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、第7の態様のコネクタは、第5の態様のコネクタにおいて、前記ハウジングには、前記開口部とは反対側に前記コンタクトが挿入されるコンタクト挿入口が形成され、
前記コンタクトの前記腕部の端部が前記コンタクト挿入口から突出して配置されており、
前記切り欠き部から突出した前記被接続部材が押圧されると共に、前記コンタクト挿入口から突出された前記コンタクトの前記腕部の前記端部が前記コンタクト収容部側に押圧されることで、前記被接続部材が前記コンタクト収容部側に移動され、前記突起部と前記嵌合部の嵌め合わせが解除される構成となっていることを特徴とする。
【0013】
また、第8の態様のコネクタは、第7の態様のコネクタにおいて、前記ハウジングには、前記切り欠き部から突出した前記被接続部材を押圧する押圧部及び前記コンタクトの前記腕部の前記端部をまとめて押圧する押圧片を有する構成を備えたことを特徴とする。
【0014】
第9の態様のコネクタの接続解除方法は、第4の態様のコネクタに接続した前記被接続部材の接続解除方法であって、
前記切り欠き部から突出した部分の前記被接続部材を前記コンタクト収容部側に押圧することで、前記被接続部材により前記コンタクトの前記腕部を押圧すると共に、前記被接続部材が前記コンタクト収容部側に移動し、前記突起部と前記嵌合部の嵌め合わせを解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様のコネクタによれば、被接続部材を挿入するだけで、コンタクトとの接続と、ハウジングとの固定を容易に行うことができる。
【0016】
また、第2の態様のコネクタによれば、被接続部材は配置部内を移動することで、嵌合部と突起部の嵌め合わせを簡単な構成とすることができる。
【0017】
また、第3の態様のコネクタによれば、腕部により被接続部材が隙間を越える位置まで押圧されるので、嵌合部に突起部を固定することができる。
【0018】
また、第4の態様のコネクタによれば、接続された被接続部材を視覚的に確認することができる。
【0019】
また、第5の態様のコネクタによれば、簡単な構成で突起部と嵌合部の嵌め合わせを解除することができる。
【0020】
また、第6の態様のコネクタによれば、ワンタッチで突起部と嵌合部の嵌め合わせを解除することができる。
【0021】
また、第7の態様のコネクタによれば、被接続部材の押圧に加え、被接続部材をコンタクト収容部側とは反対側に押圧しているコンタクトの腕部もコンタクト収容部側に押圧されることで、より確実に突起部と嵌合部の嵌め合わせを解除することができる。
【0022】
また、第8の態様のコネクタによれば、ワンタッチでより効率よく突起部と嵌合部の嵌め合わせを解除することができる。
【0023】
また、第9の態様のコネクタと被接続部材の接続解除方法によれば、容易に被接続部材との接続を解除することができる。簡単な構成で突起部と嵌合部の嵌め合わせを解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1Aは実施形態のコネクタと被接続部材の接続前の斜視図であり、図1Bは接続後の斜視図である。
図2図2Aはコネクタの斜視図であり、図2Bは他の方向から見た斜視図である。
図3図3Aはコネクタの正面図であり、図3Bは背面図であり、図3Cは一方から見た側面図である。カード部材の斜視図であり、図3Bは平面図であり、図3C図1BのIIIC−IIIC線での断面図である。
図4図4Aはコネクタの平面図であり、図4Bは底面図である。
図5図5A図4AのVA−VA線での断面図であり、図5B図4AのVB−VB線での断面図である。
図6図6Aはコンタクトの斜視図であり、図Bは一方から見た側面図である。
図7図7Aはコネクタと被接続部材の接続の工程を示す図1AのVIIA−VIIA線に対応する断面図であり、図7B図7Aに続く工程を示す底面図であり、図7C図7Bに続く工程であって、接続した状態を示す断面図である。
図8図8Aはコネクタと被接続部材の接続の工程を示す図1AのVIIIA−VIIIA線に対応する断面図であり、図8B図8Aに続く工程を示す底面図であり、図8C図8Bに続く工程であって、接続した状態を示す断面図である。
図9図9Aはコネクタから被接続部材を取り外す際の接続解除方法を示した図8Aに対応する断面図であり、図9B図7Aに対応する断面図である。
図10図10Aはコネクタから被接続部材を取り外す際の他の接続解除方法を示した図9Aに対応する断面図であり、図10B図9Bに対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのコネクタ及びコネクタの接続解除方法を例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0026】
[実施形態]
まず、図1図6を参照して、実施形態に係るコネクタ10について説明する。実施形態に係るコネクタ10は、図1図5に示すように、複数のコンタクト62と、一方に被接続部材としてのFPC82が挿入される開口部16が形成され、内部にコンタクト62が収容される複数のコンタクト収容部50が形成されたハウジング12と、被取付部材としての例えば、回路基板等に固定される固定部80を有する固定部材78と、を有している。
【0027】
ここで、実施形態のコネクタ10に接続される被接続部材としてのFPC82は、例えば、図1に示すように、柔軟性を有する基材上に回路配線(図示省略)が形成され、基板部分にコネクタ10内の複数のコンタクト62と接触される複数の導体部90(図7参照)が形成されたものが用いられる。このとき、FPC82の挿入方向に対して両側面部84側には、一部が切りかかれた嵌合部としての窪み部86が形成されている。そして、FPC82に窪み部86が形成されることで、FPC82の窪み部86から先端側には窪み部86より突出した突出部88がそれぞれ形成されている。
【0028】
また、実施形態のコネクタ10は、ハウジング12のFPC82が挿入される開口部16とは反対側であって、ハウジング12の両側面側に、挿入されたFPC82が固定される一対の突起部56が形成されており、この突起部56にFPC82に形成された窪み部86が嵌り込むことで、FPC82の接続の固定が行われるようになる。
【0029】
さらに、ハウジング12には、装着されたFPC82が露出される切り欠き部34が形成されており、この切り欠き部34からFPC82の露出した部分を押圧することで、ハウジング12との固定を解除することができるようになる。
【0030】
なお、実施形態のコネクタ10に接続されるものは、FPCのほか、平型ケーブルとしての、FFC(Flexible Flat Cable)等を用いてもよい。
【0031】
以下、実施形態のコネクタ10を構成する各部材について説明する。ハウジング12は、図1図5に示すように、一方にFPC82が挿入される開口部16が形成された前面14と、前面14と対向し、複数のコンタクト62が挿入されるコンタクト挿入口22が形成された後面20と、所定面積を有する平坦な面であって、一部が切り欠かれた上面24と、上面24と対向し、回路基板等に載置される側の底面26と、一方の側面30及び他方の側面32を有する平坦な直方体状であって、電気絶縁性の樹脂材料等で形成されている。
【0032】
また、ハウジング12の内部には、図5に示すように、前面14に形成された開口部16と後面20に形成された複数のコンタクト挿入口22とが連通される内部空間48を有している、この内部空間48は、開口部16側に形成される挿入されたFPC82が配置される配置部52と、コンタクト挿入口22側に形成される複数のコンタクト62が収容されるコンタクト収容部50とを有している。そして、コンタクト収容部50に収容されたコンタクト62と配置部52に配置されたFPC82とがハウジング12の内部で接続されるようになる。
【0033】
また、ハウジング12の後面20側であって一方の側面30側及び他方の側面32側には、上面24から底面26に向かって切りかかれた切り欠き部34がそれぞれ形成されている。この切り欠き部34は、ハウジング12の内部空間48の配置部52の一部が露出して形成されており、この切り欠き部34からFPC82の一部が突出される部分となる。また、このFPC82の突出された部分を操作することでコネクタ10との接続の解除を行なうことができるようになる。
【0034】
ハウジング12の前面14は、開口部16が形成されており、平らなFPC82が挿入されるよう平型に形成されている。また、前面14の一方の側面30側及び他方の側面32側であって底面26側には、固定部材78が装着される固定部材装着部18がそれぞれ形成されている。
【0035】
ハウジング12の後面20は、複数のコンタクト挿入口22が所定の間隔で形成されている。また、後面20の一方の側面30側及び他方の側面32側であって上面24側には、切り欠き部34を形成するために一部が切りかかれている。
【0036】
なお、コンタクト挿入口22は、縦方向、すなわち、上面24側から底面26側に亘って縦長に形成されている。このコンタクト挿入口22は、縦長に形成されることで、後述するコンタクト62の腕部70の端部76(図6参照)が反復移動することができるようにされている。
【0037】
ハウジング12の上面24は、所定面積を有する平面状に形成されており、この上面24の後面20側であって一方の側面30側及び他方の側面32側には、切り欠き部34を形成するために一部が切りかかれている。
【0038】
ハウジング12の底面26は、回路基板等に載置される側であって、回路基板に直接載置される部分として一部が盛り上がって形成さている。
【0039】
また、後面20の前面14側であって、一方の側面30側及び他方の側面32側には、固定部材78が装着される固定部材装着部18がそれぞれ形成されており、後述する固定部材78の固定部80(図5参照)が突出されるようになっている。
【0040】
一方の側面30及び他方の側面32は、それぞれ所定面積の平面で形成されており、後面20側に切り欠き部34を形成するために一部が切りかかれている。
【0041】
ハウジング12に形成された切り欠き部34は、図1図5に示すように、ハウジング12の後面20側の一方の側面30側及び他方の側面32側を、上面24側から略直方体状に切り欠いた状態で形成されている。この切り欠き部34は、上面24と平行な切り欠き上面40と、後面20と平行な切り欠き後面36と、一方の側面30及び他方の側面32と平行な一方の切り欠き側面42と他方の切り欠き側面44とを有している。
【0042】
また、切り欠き部34が形成されることで、ハウジング12の内部に形成された配置部52の一部が露出されるようになっており、切り欠き部34の切り欠き後面36には、挿入されたFPC82の突出部88が挿通される後面側挿通孔38がそれぞれ形成されている。この後面側挿通孔38は、ハウジング12内に突起部56が形成された部分に設けられるため、前面14に形成された他の配置部52の幅よりも狭い幅となっている。なお、この切り欠き後面36は突起部56を構成する面ともなる。
【0043】
また、一方の切り欠き側面42及び他方の切り欠き側面44には、ハウジング12の内部の配置部52と連通され、挿入されたFPC82の突出部88が挿通される側面側挿通孔46がそれぞれ形成されている。この側面側挿通孔46は、一方の切り欠き側面42及び他方の切り欠き側面44の略中央部分から切り欠き上面40に亘って、所定の幅で形成されており、挿通されたFPC82の先端側の突出部88のそれぞれが側面側挿通孔46内を移動できるようになっている。
【0044】
また、ハウジング12の内部に形成された内部空間48は、図5に示すように、コンタクト62が収容されるコンタクト収容部50とFPC82が配置される配置部52が形成されている。コンタクト収容部50は、収容されるコンタクト62に応じて複数形成されており、それぞれが仕切り壁54により仕切られている。また、コンタクト収容部50には、ハウジング12の底面26側にコンタクト62が置かれる載置部28を有しており、また、コンタクト62は仕切り壁54により挟持されることで装着され、収容されるようになる。なお、コンタクト収容部50の仕切り壁54は、FPC82が挿入される配置部52と対応する部分が切りかかれて形成されている。
【0045】
突起部56は、図3及び図5に示すように、ハウジング12の内部の配置部52の一方の側面30側及び他方の側面32側であって、コンタクト収容部50が形成された側とは反対側の面、すなわち上面24側からコンタクト収容部50が形成された側、すなわち底面26側に向かって突出した直方体状の突起物でそれぞれ形成されている。なお、実施形態の突起部56は、配置部52のコンタクト収容部50とは重ならない端部に形成されており、挿入されたFPC82の導体部90と接触しないようになっている。
【0046】
さらに、突起部56は、前面14からハウジング12の切り欠き部34の切り欠き後面36に至るまで形成されており、開口部16側の突起部56には、FPC82が円滑に挿入できるように、傾斜した傾斜面58が形成されている。なお、突起部56の下側、すなわち、配置部52の底面26側と突起部56との間には、FPC82が挿通可能な幅の隙間60が形成されている。この隙間60はFPC82が挿入される前面14の開口部16より狭くなっている。実施形態では、この突起部56の隙間60に、FPC82の突出部88が通過するようになる。
【0047】
次に、コンタクト62について説明する。なお、実施形態のコネクタ10に装着される複数のコンタクト62は、それぞれ共通する構成となっているので、代表して1つのコンタクト62について説明する。
【0048】
コンタクト62は、図5及び図6に示すように、一本の金属製の棒状体の一部を折り曲げて形成されており、この折り曲げられた屈曲部64を挟んで、直線状に形成された本体部66と、屈曲部64を軸に反復移動可能な腕部70とを有している。また、本体部66の屈曲部64とは反対側の端部には、回路基板等と半田付け等で接続される接続部68が形成されている。この接続部68は、本体部66の端部側の一部が直角に複数回屈曲された、いわゆるクランク状に形成されている。
【0049】
また、腕部70には、本体部66と離れるように傾斜した傾斜部72を有し、この傾斜部72の頂部には、山状に形成され、FPC82の導体部90と接触される接触部74が突出して形成されている。さらに、この接触部74の先の腕部70は、その端部76まで本体部66と略平行となっている。
【0050】
そして、コンタクト62は、ハウジング12のコンタクト収容部50に収容された場合、ハウジング12の底面26側の載置部28に本体部66が載置され、また、開口部16側に屈曲部64、コンタクト挿入口22側に接続部68がそれぞれ配置されるようになる。また、コンタクト62の腕部70は、コンタクト収容部50内及びコンタクト挿入口22を反復移動可能となるようにされている。
【0051】
また、固定部材78は、所定の厚さを有する金属製の板体を、打ち抜き加工することで形成されており、固定部材78の下方側、すなわち、ハウジング12の底面26側に配置される部分には、回路基板と半田付け等で固定される固定部80を有している。なお、固定部材は、任意の形状とすることができる。
【0052】
次に、図1図5を参照して、実施形態のコネクタ10の組立てについて説明する。コネクタ10の組み立ては、まず、ハウジング12の後面20の形成されたコンタクト挿入口22からコンタクト62の屈曲部64を先にして挿入する。なお、コンタクト62は複数をまとめて挿入するようにしてもよい。その後、コンタクト収容部50の各仕切り壁54の間を摺動するようにして挿入を続け、コンタクト62の本体部66を載置部28上に載置する。
【0053】
ハウジング12のコンタクト収容部50にすべてのコンタクト62を収容すると、コンタクト62の腕部70及び接触部74がハウジング12の配置部52に対応する位置に配置され、また、接触部74はコンタクト収容部50の上面24側に隣接する位置、具体的には、挿入されたFPC82と接触することができる位置に配置されるようになる。このとき、腕部70は、突起部56の下側に形成された隙間60の高さを越えるようにしてコンタクト収容部50側とは反対側に突出され、腕部70に形成された接触部74が最も高い位置になる。
【0054】
また、ハウジング12のコンタクト収容部50に収容されたコンタクト62は、ハウジング12のコンタクト挿入口22から、本体部66の接続部68と、腕部70の端部76が突出した状態で配置されるようになる。その後、ハウジング12の前面14側から固定部材78を挿入して、固定部材装着部18に装着させる。以上で、実施形態のコネクタ10の組み立てが完了する。
【0055】
なお、コネクタ10を回路基板に取り付ける場合は、回路基板上の所定の位置にコネクタ10の固定部材78の固定部80及び各コンタクト62の接続部68をはんだ付け等により行う。
【0056】
次に、主に図7及び図8を参照してコネクタ10へのFPC82の接続方法について説明する。コネクタ10へのFPC82の接続の仕方は、まず、図7A及び図8Aに示すように、ハウジング12の開口部16へFPC82の先端側、すなわち、FPC82の両側面部84に窪み部86が形成された側を先にして挿入する。この挿入のとき、ハウジング12内の配置部52の一方の側面30側及び他方の側面32側に形成された各突起部56の下側にFPC82の両側面部84の突出部88が当接する。そして、FPC82の挿入を進めると、突起部56の傾斜面58に沿ってFPC82の突出部88が突起部56の下側の隙間60を進むと共に、FPC82全体が配置部52の底面26側、すなわちコンタクト62に隣接する側を進むようになる。
【0057】
さらにFPC82の挿入を進めると、FPC82の先端側がコンタクト62の腕部70の傾斜部72と接触する。この状態で、さらに挿入を進めると、FPC82が突起部56の下方を通過することでFPC82全体がコンタクト62側に沿って移動するため、FPC82がコンタクト62の傾斜部72を押圧しながら進み、腕部70全体が屈曲部64を軸に弾性変形して、腕部70が本体部66に近づくように移動するようになる(図7B及び図8B参照)。このとき、腕部70の接触部74がFPC82の導体部90と接触するようになる。
【0058】
そして、さらにFPC82の挿入を進め、FPC82の突出部88が突起部56を通過すると、ハウジング12の切り欠き後面36の後面側挿通孔38及び一方の切り欠き側面42並びに他方の切り欠き側面44の側面側挿通孔46から切り欠き部34に突出部88が突出して露出し、所定の位置に達すると共に、突起部56とFPC82の窪み部86が対応する位置に配置するようになる。すると、突起部56により配置部52の下方を移動していたFPC82は、弾性変形したコンタクト62の腕部70の弾性力により、上方、すなわち、ハウジング12の上面24側に押圧されるようになり、窪み部86に突起部56が嵌まり込むようになる(図1B図7C及び図8C参照)。
【0059】
このとき、FPC82は、コンタクト62の腕部70により、常に上方に押圧する力を受けているため、FPC82が下方に移動することがなく、突起部56と窪み部86は嵌め合わされた状態を保つことで、突起部56と突出部88とを固定することができ、コネクタ10とFPC82の接続が完了する。なお、コネクタ10にFPC82の接続が完了した状態では、ハウジング12の切り欠き部34から、FPC82の突出部88が露出された状態となっている(図1B参照)。また、FPC82が上方に移動するとき、FPC82の突出部88は、一方の切り欠き側面42及び他方の切り欠き側面44の側面側挿通孔46に沿って移動するようになる。
【0060】
次に、主に図9を参照して、コネクタ10とFPC82の接続を解除する方法について説明する。コネクタ10とFPC82の接続の解除の仕方は、まず、コネクタ10に接続したFPC82の固定の解除を行う。この固定の解除は、ハウジング12の切り欠き部34から露出したFPC82の突出部88を下方、すなわち、コンタクト収容部50側に押圧(図9Aの矢印F1参照)することで行う。このとき、押圧したFPC82の突出部88と共にFPC82全体が下方に移動する。そして、このFPC82全体の移動により、各コンタクト62の接触部74と共に腕部70が押圧されて、屈曲部64を軸に腕部70が本体部66に近づくように移動する。このとき、FPC82の突出部88は、一方の切り欠き側面42及び他方の切り欠き側面44の側面側挿通孔46に沿って移動する。
【0061】
このように、コンタクト62の腕部70が移動することで、FPC82を押圧していた弾性力が抑えられ、また、FPC82が下方に移動することで、ハウジング12の突起部56からFPC82の窪み部86が外れ、ハウジング12の突起部56によるFPC82の窪み部86の固定が解除される。その後、固定の解除されたFPC82を引き抜くことで、コネクタ10からFPC82を取り外し、接続の解除が完了する。
【0062】
なお、上記では、FPC82の固定の解除のため、FPC82の突出部88のみを押圧した場合を説明したが、図10に示すように、ハウジング12のコンタクト挿入口22から突出したコンタクト62の腕部70の端部76をFPC82の突出部88を押圧すると共に押圧するようにしてもよい。すなわち、FPC82の突出部88を押圧することによりコンタクト62の腕部70を押圧(図10Aの矢印F1参照)すると共に、コンタクト62の腕部70の端部76を押圧(図10A図10Bの矢印F2参照)することで、コンタクト62の腕部70の上方への押圧力をより抑えることができるため、ハウジング12の突起部56とFPC82の窪み部86との固定をより容易に解除することができるようになる。
【0063】
さらに、ハウジングに挿入されたFPCの先端部をハウジングの後面から突出するようにし、この突出したFPCの先端部をFPCの突出部と共に押圧するようにしてもよい。このようにすることで、FPCによるコンタクトの腕部の押圧が、より行いやすくなり、固定の解除を容易に行うことができるようになる。
【0064】
また、コンタクト62の腕部70の端部76を押圧する場合、複数の腕部の端部をまとめて押圧するために、板体や棒状体等で形成された押圧片を備えた治具を用いるようにしてもよい。なお、治具には、コンタクトの腕部の端部と共に、FPCの突出部を押圧できるような押圧部を備えた構造としてもよい。
【0065】
また、FPCの固定を解除するための治具は別体としてではなく、治具と同様の構成を備えたレバー等の押圧機構をハウジングに備えるようにしてもよい。
【0066】
なお、実施形態では、ハウジング12内の突起部56と嵌め合わせられるFPC82の嵌合部として窪み部86を説明したが、これに限らず、FPCの厚さ方向に貫通した孔を形成し、この孔に突起部を嵌め合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10:コネクタ 12:ハウジング 14:前面 16:開口部 18:固定部材装着部 20:後面 22:コンタクト挿入口 24:上面 26:底面 28:載置部 30:一方の側面 32:他方の側面 34:切り欠き部 36:切り欠き後面 38:後面側挿通孔 40:切り欠き上面 42:一方の切り欠き側面 44:他方の切り欠き側面 46:側面側挿通孔 48:内部空間 50:コンタクト収容部 52:配置部 54:仕切り壁 56:突起部 58:傾斜面 60:隙間 62:コンタクト 64:屈曲部 66:本体部 68:接続部 70:腕部 72:傾斜部 74:接触部 76:端部 78:固定部材 80:固定部 82:FPC(被接続部材) 84:側面部 86:窪み部(嵌合部) 88:突出部 90:導体部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10