【解決手段】アンテナ装置10Aは、磁性材料から形成されるコア20と、コア20の一端側に配置されると共に、貫通状態の開口部36が設けられている端子取付部35と、コア20の外周側に配置されると共に導線51を巻回することにより形成されるコイル50と、端子取付部35に取り付けられると共に、チップ状の電子部品70を搭載しつつ当該電子部品70と電気的に接続されるチップ支持片部63Aを備える少なくとも一対の端子部材60Aと、を具備し、チップ支持片部63Aには、電子部品70の位置決めを行う位置決め手段64Aが設けられている。
磁性材料から形成されるコアと、当該コアの一端側に配置されると共に貫通状態の開口部を有する端子取付部と、前記端子取付部に取り付けられ、電子部品を搭載するチップ支持片部を備えると共に当該チップ支持片部が前記開口部に配置されている少なくとも一対の端子部材と、前記コアの外周側に配置されると共に導線を巻回することにより形成されるコイルとを備えるアンテナ装置の製造方法であって、
前記チップ支持片部に前記電子部品の位置決めを行う位置決め手段を形成する位置決め手段形成工程と、
前記位置決め手段形成工程に前後して、インサート成形によって前記端子部材と前記端子取付部とを一体的に形成する成形工程と、
前記位置決め手段形成工程および前記成形工程の後に、前記位置決め手段によって前記電子部品を位置決めする状態で、当該電子部品を一対の前記チップ支持片部に跨る状態で半田付けする取付工程と、
を備えることを特徴とするアンテナ装置の製法方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る、アンテナ装置10Aについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を用いて説明することがある。そのうち、X方向はアンテナ装置10Aの長手方向とし、X1側は後述するコネクタ接続部45が位置する側とし、X2側はそれとは逆側とする。また、Z方向はアンテナ装置10Aの厚み方向とし、Z1側は
図3における上側とし、Z2側は
図3における下側とする。また、Y方向はXZ方向に直交する方向(幅方向)とし、Y1側は
図1における右手前側とし、Y2側はそれとは逆の奥左側とする。
【0015】
<アンテナ装置10Aの全体構成について>
図1は、アンテナ装置10Aの構成を示す平面図である。
図1に示すアンテナ装置10Aは、コア20とベース30と、コイル50と、端子部材60Aと、コンデンサ70と、を主要な構成要素としている。
【0016】
コア20は、磁性材料から形成されると共に、X方向に長い長尺状(棒状)に設けられている。なお、コア20は、その材質を磁性材としているが、磁性材としては、例えば、ニッケル系のフェライトまたはマンガン系のフェライト等の種々のフェライト、パーマロイ、センダスト等、各種の磁性材料および各種の磁性材料の混合物を用いることが可能である。
【0017】
また、
図1に示すように、コア20の外周側には、ベース30が取り付けられている。換言すると、コア20は、ベース30のコア挿入部34に挿入されている。ベース30は、その材質を絶縁性に優れた熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂とするのが好ましい。なお、ベース30を構成する材質の一例としては、PBT(ポリブチレンテレフタレート)が挙げられるが、その他の樹脂を材質としても良い。また、ベース30は、半田付けや溶接加工などにより熱ダメージを受ける場合があることに鑑みて、耐熱性樹脂を用いることが更に好ましい。
【0018】
ここで、
図1に示すように、ベース30には、ボビン部31と、端子取付部35と、鍔部40と、コネクタ接続部45とが設けられている。ボビン部31には、巻枠部32と、位置決め凸部33とが設けられている。巻枠部32は、筒形状としても良いが、適宜肉抜きした形状に設けても良い。また、位置決め凸部33は、巻枠部32の両端側に設けられていて、巻枠部32よりも突出している部分である。位置決め凸部33は、コイル50を位置決めすると共に、そのコイル50を適宜区切って巻き乱れを防止する部分となっている。
【0019】
また、ベース30の一方側(X1側)には、端子取付部35が連続する状態で設けられている。端子取付部35は、後述する端子部材60Aが配置されると共に、この端子部材60Aにコンデンサ70が実装される部分である。したがって、この端子取付部35の内部には、コア20は存在しない状態となっている。ただし、先にコンデンサ70を実装してから、コア20を挿入し、コイル50を形成する場合、この端子取付部35にコア20が挿通することも可能である。
【0020】
図2は、アンテナ装置10Aのうち端子取付部35付近を拡大して示す平面図である。
図3は、アンテナ装置10Aの端子取付部35付近を拡大して示す斜視図である。
図2および
図3に示すように、端子取付部35には、上下方向(Z方向)に貫く開口部36が設けられている。この開口部36の面積は、
図2に示すように、コンデンサ70を平面視したときの面積よりも十分に大きく設けられている。しかも、この大きさは、後述するように開口部36に存在するフープ端子から端子部材60Aを切り出す際に、治具や切断装置の刃部が入り込める大きさに設けられている。なお、開口部36は、本実施の形態では、アンテナ装置10Aの長手方向(X方向)に長い矩形状に設けられている。
【0021】
なお、開口部36における、端子部材60Aの配置については、後述する。
【0022】
また、端子取付部35の長手方向(X方向)の一方側(X1側)における境界部分には、鍔部40が設けられている。鍔部40は、
図1から
図3に示す構成では、所定の肉厚のプレート状に設けられている部分となっている。この鍔部40は、不図示の保護ケースを嵌合させるための部分であり、その嵌合のために外周側が他端側(X2側)から一端側(X1側)に向かうように一段凹んだ段部41を有している。
【0023】
また、鍔部40には、図示を省略する端子孔が設けられていて、この端子孔には、端子部材60A1,60A3のうちの一方側(X1側)が差し込まれている。端子孔は、長手方向(X方向)に沿うように設けられているので、他方側(X2側)から端子孔に挿し込まれた端子部材60A1,60A3は、コネクタ接続部45に存在するコネクタ穴(図示省略)に突出する。なお、本実施の形態では、端子部材60A1と端子部材60A3とを差し込むために、端子孔は一対設けられている。しかしながら、端子孔の個数は、必要とされる端子部材60Aの数等に応じて、適宜変更することが可能である。
【0024】
また、鍔部40よりも長手方向(X方向)の一方側(X1側)には、コネクタ接続部45が設けられている。コネクタ接続部45は、図示を省略するコネクタ穴を有していて、そのコネクタ穴の他端側(X2側)は、上述した鍔部40の存在によって有底となっている。また、コネクタ穴の内部には、端子部材60A1,60A3の先端側がそれぞれ突出する。そして、コネクタ穴に外部のコネクタを差し込むと、外部のコネクタと端子部材60A1,60A3とが電気的に接続され、後述するコイル50やコンデンサ70に電流を導通させることが可能となっている。
【0025】
また、
図1に示すように、コイル50は、導線51(
図2他参照)を巻回することによって形成されている。本実施の形態では、コイル50を形成する導線51の一方の端末および他方の端末は、それぞれ端子部材60A1および端子部材60A2の絡げ端子部66Aにそれぞれ絡げられた後に、それぞれ半田付け等により固定されている。なお、コイル50とコンデンサ70とは、端子部材60Aを含めた電気的な接続によって、LC共振回路を構成する。
【0026】
次に、端子部材60Aについて説明する。
図2および
図3に示すように、開口部36の周囲には、端子部材60Aが配置されている。端子部材60Aは、金属製のフープ端子90(
図4参照)を打ち抜いて、個別のパーツとして切り離すことにより形成される。なお、フープ端子90は、個別の端子部材60Aを切り離す前の連続的に設けられている段階のものであり、金属製の板状部材を所望の形状にプレスする等によって形成されている。
【0027】
ここで、本実施の形態では、端子部材60Aは3つ設けられている。具体的には、端子部材60A1〜60A3が設けられている。端子部材60A1は、幅方向(Y方向)の手前側(Y1側)かつ長手方向(X方向)の一方側(X1側)に位置する端子部材60Aである。この端子部材60A1は、長手方向(X方向)の一方側(X1側)がコネクタ接続部45のコネクタ穴に突出している。したがって、端子部材60A1には、外部のコネクタと電気的に接続される。
【0028】
この端子部材60A1を詳述すると、端子部材60A1には、接続端子部62Aと、チップ支持片部63Aと、突起部64Aとが設けられている。接続端子部62Aは、チップ支持片部63Aに連なる部分である。この接続端子部62Aの一方側(X1側)は、上述した鍔部40の端子孔を挿通して、コネクタ接続部45のコネクタ穴に突出している。また、チップ支持片部63Aは、接続端子部62Aよりも幅広に設けられていて(すなわちY方向の寸法が長く設けられていて)、コンデンサ70を支持可能な部分である。
【0029】
また、突起部64Aは、チップ支持片部63Aの上面(Z1側の面)から突出している部分である。この突起部64Aは、位置決め手段の一例に対応している。
図2および
図3に示す構成では、突起部64Aは、3つ設けられていて、それらによってコンデンサ70のうち端子部材60A1側での位置決めがなされる。具体的には、突起部64Aには、長手方向(X方向)の一方側(X1側)の位置に設けられているものが存在し、それによってコンデンサ70が長手方向(X方向)の一方側(X1側)に位置ずれしてしまうのを防いでいる。以下では、この突起64Aを、突起64A1と称呼する。
【0030】
また、突起部64Aには、突起64A1よりも長手方向(X方向)の他方側(X2側)に設けられているものが2つ存在している。具体的には、突起部64Aには、幅方向(Y方向)の手前側(Y1側)に設けられているものと、同じく幅方向(Y方向)の奥側(Y2側)に設けられているものとがある。そして、これら2つの突起部64Aによって、コンデンサ70が幅方向(Y方向)に位置ずれしてしまうのを防いでいる。以下では、幅方向(Y方向)の手前側(Y1側)に存在する突起64Aを突起64A2と称呼し、幅方向(Y方向)の奥側(Y2側)に存在する突起64Aを突起64A3と称呼する。
【0031】
このように、突起64Aには、コンデンサ70の長手方向(X方向)の一方側(X1側)への移動を規制する突起64A1と、コンデンサ70の幅方向(Y方向)のそれぞれ手前側(Y1側)および奥側(Y2側)への移動を規制する突起64A2,64A3とが存在している。なお、これら64A1〜64A3は、コンデンサ70の端面や側面に当接していても良いが、当接していなくても良い。
【0032】
次に、端子部材60A2について説明する。端子部材60A2には、チップ支持片部63Aと、突起部64Aと、連結部65Aと、絡げ端子部66Aとが設けられている。これらのうち、チップ支持片部63Aは、上述した端子部材60A1におけるチップ支持片部63Aに対して、幅方向(Y方向)に沿う対称線を挟んで線対称となっている。したがって、その詳細については説明を省略する。なお、端子部材60A2におけるチップ支持片部63Aは、端子部材60A1におけるチップ支持片部63Aに対して、対称形状でなくても良い。
【0033】
また、端子部材60A2における突起部64Aも、上述した端子部材60A1における突起部64Aに対して、幅方向(Y方向)に沿う対称線を挟んで線対称となっている。具体的には、端子部材60A2における突起64Aには、コンデンサ70の長手方向(X方向)の他方側(X2側)への移動を規制する突起64A4と、コンデンサ70の幅方向(Y方向)のそれぞれ手前側(Y1側)および奥側(Y2側)への移動を規制する突起64A5,64A6とが存在している。これら突起64A4〜64A6も、コンデンサ70の端面や側面に当接していても良いが、当接していなくても良い。
【0034】
以上のような、6つの突起64A1〜64A6の存在により、コンデンサ70がXY面内で位置ずれしようとするのを良好に抑制可能となっている。
【0035】
また、端子部材60A2のチップ支持片部63Aには、連結部65Aが接続されている。連結部65Aは、チップ支持片部63Aと絡げ端子部66Aとを連結する部分であり、その大部分が端子取付部35の樹脂部分で覆われている。なお、連結部65Aは、略L字形状に設けられているが、直線状等のようなその他の形状であっても良い。
【0036】
また、連結部65Aに連なるように、絡げ端子部66Aが設けられている。絡げ端子部66Aは、コイル50を形成する導線51の一方の端末が絡げられる部分である。そのため、絡げ端子部66Aは、端子取付部35の側面よりも外方側に突出するように設けられている。この絡げ端子部66Aには、コイル50を形成する導線51の一方の端末が絡げられた後に、半田付け等がなされ、それによって端子部材60A2とコイル50とが電気的に導通する状態となる。
【0037】
次に、端子部材60A3について説明する。端子部材60A3は、接続端子部62A(
図4参照)と、絡げ端子部66Aとを備えている。接続端子部62Aは、上述した端子部材60A1における接続端子部62Aと同様の部分であり、当該接続端子部62Aの一方側(X1側)は鍔部40の端子孔を挿通して、コネクタ接続部45のコネクタ穴に突出している。なお、接続端子部62Aのうちコネクタ接続部45のコネクタ穴から突出していない部分は、端子取付部35の樹脂部分に埋め込まれている。
【0038】
また、絡げ端子部66Aは、上述した端子部材60A2の絡げ端子部66Aと同様の部分であり、端子取付部35の側面よりも外方側に突出している。なお、この絡げ端子部66Aには、コイル50を形成する導線51の他方の端末が絡げられている。そして、その絡げの後に、半田付け等がなされ、それによって端子部材60A3とコイル50とが電気的に導通する状態となる。
【0039】
また、チップコンデンサ70は、本実施の形態では、SMD(Surface Mount Device)型のチップコンデンサであるが、他のタイプのコンデンサであっても良い。なお、コンデンサ70は、電子部品の一例に対応する。このコンデンサ70は、その下面側(Z2側)で一対のチップ支持片部63Aに搭載され、半田付け等によって電気的に導通する状態で固定されている。このとき、6つの突起64Aがコンデンサ70の周囲に存在することによって、コンデンサ70に位置ずれが生じるのを防止している。
【0040】
<アンテナ装置10Aの製造方法について>
以上のような構成のアンテナ装置10Aを製造する場合、ベース30を射出成型するのに先立って、たとえばプレス機を用いたプレス加工等により、金属板からフープ端子90を形成する。
図4は、フープ端子90の一例を示す平面図である。このフープ端子90は、端子部材60A1〜60A3を切り出す前のものであり、いわば端子部材60A1〜60A3が繋がった状態となっている。ただし、
図4においては、切り出される部分にはハッチングを施しており、ハッチング以外の部分が端子部材60A(端子部材60A1〜端子部材60A3)として用いられる。なお、プレス加工においては、ボス状の突起64Aも同時に形成される(位置決め手段形成工程に対応)。
【0041】
また、プレス加工によってフープ端子90を形成した後に、射出成形によってベース30を形成する(成形工程に対応)。かかるベース30の射出成形に際しては、上述したフープ端子90を金型内部に設置する、インサート成形を行う。フープ端子90を金型内部に設置した状態で、射出成型を行うことで、樹脂製のベース30がフープ端子90と一体的な状態で形成される。
図5は、射出成形によってベース30が形成されると共に、フープ端子90を切断する前の状態を示す平面図である。
【0042】
かかる射出成形の後に、フープ端子90の所定部位をプレス機等を用いて打ち抜く。このとき、切断する部位の近傍を治具等によって抑えつつ、切断装置の刃部を開口部36に押圧しつつ挿入する。すると、端子部材60A1〜60A3が、それぞれ分離した状態で形成される。
【0043】
また、フープ端子90を切断することで端子部材60A1〜60A3を形成した後に、コンデンサ70を実装する(取付工程に対応)。このとき、端子部材60A1のチップ支持片部63Aと、端子部材60A2のチップ支持片部63Aに、クリーム半田を塗布し、その後に、コンデンサ70を一対のチップ支持片部63Aに跨るようにコンデンサ70を搭載する。その後に、その塗布部位を加熱する、という手法を利用することができる。しかしながら、たとえばレーザ溶接他の手法によって、コンデンサ70を取り付けるようにしても良い。
【0044】
また、コンデンサ70の実装に前後して、ベース30のコア挿入部34にコア20を取り付け、その取り付けの後に、巻枠部32に導線51を巻回して、コイル50を形成する。そして、コイル50の形成の後に、導線51の一方の端末を、端子部材60A2の絡げ端子部66Aに絡げる。また、導線51の他方の端末は、端子部材60A3の絡げ端子部66Aに絡げる。それらの絡げの後に、たとえばディップ方式による半田付け等により上述した絡げ部分が固定される。
【0045】
また、上述したように、ケース(図示省略)を段部41に嵌合および接着させる。このようにして、アンテナ装置10Aが形成される。
【0046】
(第1の実施の形態の変形例)
なお、
図1から
図4に示すそれぞれのチップ支持片部63Aにおいては、突起64Aがそれぞれ3つずつ設けられている。しかしながら、
図6および
図7に示すように、それぞれのチップ支持片部63Aに、突起64Aを2つずつ設けるように構成しても良い。
図6は、第1の実施の形態の変形例に係り、アンテナ装置10Aのうち端子取付部35付近を拡大して示す平面図である。
図7は、第1の実施の形態の変形例に係り、アンテナ装置10Aの端子取付部35付近を拡大して示す斜視図である。
【0047】
上述の
図2および
図3に示す構成では、チップ支持片部63Aの幅方向(Y方向)の奥側(Y2側)にも突起64A3が存在している。しかしながら、
図6および
図7に示す構成では、チップ支持片部63Aの幅方向(Y方向)の奥側(Y2側)には、突起64A3が存在していない。なお、
図6および
図7に示す構成では、端子部材60A1のチップ支持片部63Aには突起64A1,64A2が存在し、端子部材60A2のチップ支持片部63Aには突起64A4,64A5が存在している。したがって、それぞれのチップ支持片部63Aには、突起64Aが2つずつ存在している。
【0048】
このように、それぞれのチップ支持片部63Aに突起64Aが2つずつ存在する場合には、3つの突起64Aが存在する場合と比較して、コンデンサ70のサイズ変更(特に幅方向;Y方向)に柔軟に対応させることができる。また、3つの突起64Aをそれぞれのチップ支持片部63Aに設ける場合には、その突起64Aの個数に応じた幅寸法がチップ支持片部63Aに必要となる。しかしながら、
図5および
図6に示す構成では、それぞれのチップ支持片部63Aに2つの突起64Aを設けるだけで良いので、チップ支持片部63Aの幅が限られていても、比較的大きなコンデンサ70を搭載させることができる。
【0049】
ここで、
図6および
図7に示すチップ支持片部63Aを有するアンテナ装置10Aを製造する場合も、
図1から
図4に示すアンテナ装置10Aと同様に製造することができる。すなわち、フープ端子90を切断し、それぞれのチップ支持片部63Aにクリーム半田を塗布する。なお、クリーム半田を塗布した後に、コンデンサ70を実装する場合、
図8に示すような押さえ冶具80を用いることが好ましい。
図8は、押さえ冶具80を用いてコンデンサ70を実装する様子を示す平面図である。このとき、開口部36においては、Y方向において突起64A2,64A5とは反対側(Y2側;奥側)、具体的にはコンデンサ70側と開口部36の内壁との間に押さえ冶具80を挿入し、突起64A2との間で押さえ冶具80を用いてコンデンサ70を突起64A2,64A5側(Y1側;手前側)に押さえつつ、クリーム半田の塗布部位を加熱する。それにより、コンデンサ70が位置ずれすることなく、チップ支持片部63Aに取り付けることが可能となる。なお、上述の第1の実施の形態と同様に、たとえばレーザ溶接他の手法によって、コンデンサ70を取り付けるようにしても良い。
【0050】
<効果について>
以上のような構成のアンテナ装置10Aによると、コア20の一端側(X1側)にはベース30の端子取付部35が配置されていて、この端子取付部35には貫通状態の開口部36が設けられている。また、端子取付部35には少なくとも一対(本実施の形態では合計3つ)の端子部材60Aが取り付けられている。そして、端子部材60Aはチップ支持片部63Aを備えている。このチップ支持片部63Aは、開口部36に位置し、かつコンデンサ70を搭載しつつ、このコンデンサ70に電気的に接続されている。そして、チップ支持片部63Aには、コンデンサ70の位置決めを行う突起64Aが設けられている。
【0051】
このため、コンデンサ70を半田付けする際に、コンデンサ70が位置ずれしてしまうのを防止可能となる。すなわち、突起64Aが存在しない場合には、
図9に示すように、半田付けの際に、クリーム半田が液状になることで、コンデンサ70が浮いてしまい、それによってコンデンサ70に位置ずれが生じてしまう虞がある。このような位置ずれは、半田付けの不良につながってしまう。なお、
図9は、比較例に係り、チップ支持片部63Aに突起64Aが存在しない構成を用いた場合において、コンデンサ70が傾いた状態を示す平面図である。
【0052】
しかしながら、本実施の形態では、チップ支持片部63Aに突起64Aが設けられていることにより、クリーム半田が液状になっても、コンデンサ70に位置ずれが生じるのを防止可能となる。したがって、半田付けの不良を低減することが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態では、位置決め手段は、チップ支持片部63Aの一部を他の部位よりもコンデンサ70の搭載側(Z1側)に突出させた突起64Aとなっている。このため、液状半田にコンデンサ70が浮き上がって、コンデンサ70が位置ずれしようとしても、突起64Aの側面にコンデンサ70が衝突することで、コンデンサ70に位置ずれが生じるのを良好に防止可能となる。
【0054】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置10Bについて、図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態におけるアンテナ装置10Aと共通の構成については、その説明を省略するものの、その符号の末尾に、第1の実施の形態に関連するアルファベット「A」に代えてアルファベット「B」を付すものとする。なお、アルファベット「B」は、第2の実施の形態に関連する構成とする。したがって、第2の実施の形態では説明等しないものの第1の実施の形態におけるアンテナ装置10Aと同様の構成についても、アルファベット「B」を付して説明する場合があるものとする。
【0055】
本実施の形態では、チップ支持片部63Bの構成が、第1の実施の形態におけるチップ支持片部63Aとは異なっている。
図10は、第2の実施の形態に係るアンテナ装置10Bのうち端子取付部35付近を拡大して示す平面図である。
図11は、第2の実施の形態に係るアンテナ装置10Bの端子取付部35付近を拡大して示す斜視図である。
【0056】
図10および
図11に示すように、本実施の形態では、チップ支持片部63Bの形態が異なっている。具体的には、チップ支持片部63Bには、第1の実施の形態のような突起64Aに代えて、位置決め手段の一例に対応する位置決め凹部67Bが設けられている。位置決め凹部67Bは、チップ支持片部63Bを段差状かつ平面状に凹ませることにより形成されている部分である。
【0057】
ここで、それぞれのチップ支持片部63Bにおいては、位置決め凹部67Bは、略矩形に設けられていて、その略矩形のうち3辺には段差が存在するが、残りの1辺には段差は存在しなく、開放した(突っ切った)状態に設けられている。かかる開放した部位は、他のチップ支持片部63Bの位置決め凹部67Bと向かい合う位置となっている。したがって、コンデンサ70は、チップ支持片部63Bの他の部位よりも一段低い位置決め凹部67Bに良好に位置させることが可能となり、コンデンサ70の位置ずれを良好に防止可能となっている。
【0058】
なお、本実施の形態の変形例としては、次のような構成がある。具体的には、位置決め凹部67Bは、略矩形状に設けられていて、その略矩形状のうち、連結部65B側と端子部材60B側には段差が存在する。それ以外、この矩形の奥側(Y2側)または手前側(Y1側)のどちらか一方側に段差があり、他方側が段差が存在しなく、開放している状態に設けられている。このような構成とすると、
図8に示す押さえ治具80を用いてコンデンサ70を位置固定することができる。なお、この略矩形状のうち、連結部65B側と端子部材60B側のみ、段差が存在する構成とすることも可能である。
【0059】
<アンテナ装置10Bの製造方法について>
本実施の形態のアンテナ装置10Bを製造する場合も、上述した第1の実施の形態におけるアンテナ装置10Aと同様に製造することができる。なお、金属板からフープ端子90をプレス加工等によって形成する場合、位置決め凹部67Bも同時に形成されることが好ましい。しかしながら、金属板の打ち抜き加工を行った後に、位置決め凹部67Bをプレス加工等によって形成するようにしても良い。
【0060】
そして、射出成形によりベース30を形成し、フープ端子90の所定部位をプレス機等を用いて打ち抜いて端子部材60B1〜60B3を形成した後に、コンデンサ70を実装する。このとき、クリーム半田を、たとえば位置決め凹部67Bに塗布する。位置決め凹部67Bは、チップ支持片部63Bの他の部分よりも凹んでいるので、たとえばクリーム半田を塗布する塗布機のノズルの位置出しが行い易くなっている。また、クリーム半田を位置決め凹部67Bに塗布することで、塗布されたクリーム半田が他の部位に移動し難くなる。
【0061】
なお、この後の製造工程は、上述した第1の実施の形態におけるアンテナ装置10Aと同様となっている。また、上述した位置決め凹部67Bは、金属板のプレス加工等によりフープ端子90を形成する際に既に形成されている。しかしながら、フープ端子90の所定部位を打ち抜いて端子部材60B1〜60B3を形成する際に、位置決め凹部67Bが形成されるものとしても良い。
【0062】
<効果について>
以上のような構成のアンテナ装置10Bにおいては、チップ支持片部63Bに位置決め凹部67Bが設けられていることにより、上述した第1の実施の形態のアンテナ装置10Aと同様に、リーム半田が液状になっても、コンデンサ70に位置ずれが生じるのを防止可能となる。したがって、半田付けの不良を低減することが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態では、位置決め手段は、チップ支持片部63Bの一部をコンデンサ70の搭載側(Z1側)とは逆側に凹ませた位置決め凹部67Bとなっている。このため、コンデンサ70を位置決め凹部67Bに位置させることが可能となり、コンデンサ70の位置ずれを良好に防止可能となる。特に、位置決め凹部67Bは凹部形状となっているので、位置決め性が高い。したがって、コンデンサ70の位置ずれを一層確実に防止可能となる。
【0064】
(第3の実施の形態)
続いて、本発明の第3の実施の形態に係るアンテナ装置10Cについて、図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態におけるアンテナ装置10Aと共通の構成については、その説明を省略するものの、その符号の末尾に、第1の実施の形態に関連するアルファベット「A」に代えてアルファベット「C」を付すものとする。なお、アルファベット「C」は、第3の実施の形態に関連する構成とする。したがって、第3の実施の形態では説明等しないものの第1の実施の形態におけるアンテナ装置10Aと同様の構成についても、アルファベット「C」を付して説明する場合があるものとする。
【0065】
本実施の形態においても、チップ支持片部63Cの構成が、第1の実施の形態におけるチップ支持片部63Aとは異なっている。この様子を、
図12および
図13に示す。
図12は、第3の実施の形態に係るアンテナ装置10Cのうち端子取付部35付近を拡大して示す平面図である。
図13は、第3の実施の形態に係るアンテナ装置10Cの端子取付部35付近を拡大して示す斜視図である。
【0066】
図12および
図13に示すように、本実施の形態では、チップ支持片部63Cには、第1の実施の形態のような突起64Aに代えて、位置決め手段の一例に対応する折曲部68Cが設けられている。折曲部68Cは、チップ支持片部63Cの幅方向(Y方向)の縁部付近を、上方側(Z1側)に向かうように折り曲げることで形成される部分である。
【0067】
この折曲部68Cには、幅方向(Y方向)の手前側(Y1側)に設けられているものと、同じく幅方向(Y方向)の奥側(Y2側)に設けられているものとがある。そして、これら2つの折曲部68Cによって、コンデンサ70が幅方向(Y方向)に位置ずれしてしまうのを防いでいる。以下では、幅方向(Y方向)の手前側(Y1側)に存在する折曲部68Cを折曲部68C1と称呼し、幅方向(Y方向)の奥側(Y2側)に存在する折曲部68Cを折曲部68C2と称呼する。
【0068】
図12および
図13に示す構成では、コンデンサ70は、合計4つの折曲部68Cによって位置決めされる状態となり、コンデンサ70が位置ずれするのを防止可能となっている。
【0069】
なお、第1の実施の形態に対する変形例のように、折曲部68Cを合計2つまたは3つ設けるようにしても良い。折曲部68Cを合計2つ設ける場合、コンデンサ70を中心に、対角線上の両端側にそれぞれ1つ折曲部68Cを設ければ、コンデンサ70を固定することも可能である。また、コンデンサ70を中心に、その奥側(Y2側)または手前側(Y1側)のどちらか一方側に2つの折曲部68Cを設け、他方側(Y方向における反対側)には折曲部68Cを設けずに開放した構成とする例も考えられる。この場合、
図8に示す押さえ治具80を用いてコンデンサ70を固定することができる。更に、本実施の形態に示された4つの折曲部68Cのうち、どれかを1つを除去しても構わない。言い換えれば、3つの折曲部68Cを設けても良い。
【0070】
<アンテナ装置10Cの製造方法について>
本実施の形態のアンテナ装置10Cを製造する場合も、上述した第1の実施の形態におけるアンテナ装置10Aと同様に製造することができる。なお、金属板からフープ端子90をプレス加工等によって形成する場合、折曲部68Cも同時に形成されることが好ましい。しかしながら、金属板の打ち抜き加工を行った後に、折曲部68Cをプレス加工等によって形成するようにしても良い。
【0071】
そして、射出成形によりベース30を形成し、フープ端子90の所定部位をプレス機等を用いて打ち抜いて端子部材60C1〜60C3を形成した後に、コンデンサ70を実装する。このとき、クリーム半田を、チップ支持片部63Cのうち折曲部68Cで囲まれた部位に塗布する。その後に、コンデンサ70を塗布部位に搭載し、その後の加熱等によってコンデンサ70をチップ支持片部63Cに取り付けることができる。
【0072】
なお、この後の製造工程は、上述した第1の実施の形態におけるアンテナ装置10Aと同様となっている。また、フープ端子90の所定部位を打ち抜いて端子部材60C1〜60C3を形成する際に、折曲部68Cが形成されるものとしても良い。
【0073】
<効果について>
以上のような構成のアンテナ装置10Cにおいても、上述した第1の実施の形態のアンテナ装置10Aや第2の実施の形態のアンテナ装置10Bと同様に、チップ支持片部63Cに折曲部68Cが設けられていることにより、リーム半田が液状になっても、コンデンサ70に位置ずれが生じるのを防止可能となる。したがって、半田付けの不良を低減することが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態では、位置決め手段は、チップ支持片部63Cの縁部側を、コンデンサ70の搭載側(Z1側)に向かうように折り曲げた折曲部68Cとなっている。このため、位置決め手段として、上側(Z1側)に突出する寸法を大きくし易くなり、位置決め性を高め易い構成を実現し易くなる。そのため、コンデンサ70の位置ずれを一層確実に防止可能となる。
【0075】
<変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0076】
上述の第1から第3の実施の形態では、位置決め手段として、突起64A、位置決め凹部67Bおよび折曲部68Cについて説明している。しかしながら、位置決め手段は、これらに限られるものではなく、その他の構成とすることも勿論可能である。その他の構成の例を、
図14に示す。
図14は、本発明の変形例に係るチップ支持片部63Dの構成を示す図であり、幅方向(Y方向)に沿ってチップ支持片部63Dを切断した状態を示す図である。
【0077】
図14に示すように、チップ支持片部63Dの幅方向(Y方向)の断面形状は、湾曲形状となっている。すなわち、チップ支持片部63Dは、湾曲面69Dを有している。このため、コンデンサ70の幅方向(Y方向)の端部は、チップ支持片部63Dの湾曲面69Dに接触することで、当該コンデンサ70の位置決めを行うことができる。すなわち、チップ支持片部63Dの湾曲面69Dは、位置決め手段として機能する。特に、本実施の形態では、湾曲面69Dに対してコンデンサ70は、端部において線状に接触するので、半田が液状に溶けても、コンデンサ70が浮き上がり難い状態とすることができる。したがって、コンデンサ70の位置決め性を一層高めることができる。
【0078】
図15は、
図14に示すチップ支持片部63Dにて半田付けを行ったときのチップ支持片部63Dの構成を示す図であり、幅方向(Y方向)に沿ってチップ支持片部63Dを切断した状態を示す図である。
図15に示すように、チップ支持片部63Dにコンデンサ70を半田付けして半田部100を形成した場合、コンデンサ70と湾曲面69Dの間には、厚みが厚くなる部位が存在している。したがって、半田部100に厚みの厚い部位が形成されることで、半田クラックが生じるのを良好に防止可能となる。なお、湾曲面69Dが存在することで、半田部100には、
図15に示す構成では、幅方向(Y方向)において、合計3か所の厚みの厚い部位を形成することができる。したがって、半田付けの信頼性を一層高めることが可能となる。
【0079】
また、上述の第1の実施の形態においては、
図16に示すような構成としても良い。
図16は、第1の実施の形態の変形例に係るチップ支持片部63Aの構成を示す斜視図である。
図16に示すように、突起64Aは、下方側(Z2側)に向かうにつれて、XY平面に平行な面で切断したときの断面積が大きくなるような裾野部640Aを有している。裾野部640Aは、湾曲面状に設けられているので、
図15に示す場合と同様に、コンデンサ70は、端部において突起64Aと接触する。このため、半田が液状に溶けても、コンデンサ70が浮き上がり難い状態とすることができる。また、コンデンサ70とチップ支持片部63Aや突起64Aの間に、半田付けした部分(
図15における半田部100に対応)に、厚みの厚い部位を形成することができ、半田クラックが生じるのを防止可能となる。したがて、半田付けの信頼性を一層高めることが可能となる。
【0080】
また、上述の各実施の形態においては、位置決め手段として、突起64A、位置決め凹部67Bおよび折曲部68Cについて説明し、さらに
図14および
図15では、湾曲面69D、
図16では裾野部640Aを有する突起64Aについて説明している。しかしながら、位置決め手段は、これらのうち少なくとも2つを組み合わせたものとしても良い。すなわち、凸形状や凹形状の位置決め手段を適宜組み合わせることで、コンデンサ70の位置ずれを防止する構成としても良い。
【0081】
また、上述の実施の形態では、電子部品として、コンデンサ70について説明している。しかしながら、電子部品は、コンデンサ70に限られるものではない。たとえば、チップ抵抗器やチップダイオード等、種々の電子部品を用いることが可能である。また、電子部品は、1つのみ用いる場合には限られず、同一または異なる電子部品を複数用いるようにしても良い。
【0082】
また、上述の実施の形態では、電子部品は、面実装タイプとしている。しかしながら、電子部品は、面実装タイプには限られず、たとえばピンタイプのような他のタイプとしても良い。
【0083】
また、上述の実施の形態では、コア20は1つのみ用いられているが、複数のコアが用いられていても良い。