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特開2017-103739複数の無線ネットワークのオフロード判断システム、サーバー、およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-103739(P2017-103739A)
(43)【公開日】2017年6月8日
(54)【発明の名称】複数の無線ネットワークのオフロード判断システム、サーバー、およびその方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/10 20090101AFI20170512BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20170512BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20170512BHJP
【FI】
   H04W28/10
   H04W48/16 132
   H04W48/16 136
   H04W48/18 113
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-256441(P2015-256441)
(22)【出願日】2015年12月28日
(31)【優先権主張番号】104140255
(32)【優先日】2015年12月2日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】李 家朋
(72)【発明者】
【氏名】林 風
(72)【発明者】
【氏名】楊 舜能
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067BB02
5K067CC01
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【目的】複数の無線ネットワークのオフロード判断システム、そのサーバー、およびその方法を提供する。
【解決手段】システムは、サーバーと、第1無線基地局と、第2無線基地局と、ユーザー機器とを含む。第1および第2無線基地局は、それぞれ第1および第2無線ネットワークを提供する。サーバーは、ユーザー機器に対応するトラフィック料金情報を有する。サーバーは、第1および第2無線基地局のQoS情報をそれぞれ監視および取得し、トラフィック料金情報およびQoS情報に基づいて、第1および第2無線基地局のデータ伝送効率情報を評価し、データ伝送効率情報をユーザー機器に伝送する。ユーザー機器は、データ伝送効率情報に基づいて、第1または第2無線基地局を選択的に使用する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーと、
第1無線ネットワークを提供する第1無線基地局と、
第2無線ネットワークを提供する第2無線基地局と、
前記第1無線ネットワークおよび前記第2無線ネットワークの通信範囲内に位置するユーザー機器と、
を含み、前記サーバーが、前記ユーザー機器に対応するトラフィック料金情報を有し、
前記サーバーが、前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のQoS情報をそれぞれ監視および取得し、前記トラフィック料金情報および前記QoS情報に基づいて、前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のデータ伝送効率情報を評価し、前記データ伝送効率情報を前記ユーザー機器に伝送し、
前記ユーザー機器が、前記データ伝送効率情報に基づいて、前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のうちの1つを選択的に使用する複数の無線ネットワークのオフロード判断システム。
【請求項2】
前記第1無線ネットワークが、ワイヤレス広域ネットワーク(WWAN)に属し、前記第2無線ネットワークが、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)またはワイヤレス大都市圏(WMAN)に属する請求項1に記載のオフロード判断システム。
【請求項3】
前記第1無線ネットワークが、LTEセルラーネットワーク、3Gセルラーネットワーク、またはGPRSセルラーネットワークであり、前記第2無線ネットワークが、Wi−Fiネットワーク、WiMAXネットワーク、LTEセルラーネットワーク、3Gセルラーネットワーク、またはGPRSセルラーネットワークである請求項2に記載のオフロード判断システム。
【請求項4】
前記QoS情報が、複数の特定の時間点におけるデータ伝送率を少なくとも含む請求項1に記載のオフロード判断システム。
【請求項5】
前記QoS情報が、さらに、前記特定の時間点に関し、アップリンクおよびダウンリンクのデータ伝送率、および前記第1無線基地局および前記第2無線基地局の負荷状態を含む請求項4に記載のオフロード判断システム。
【請求項6】
前記データ伝送効率情報が、動的参考表で表され、
前記動的参考表の欄が、複数の未来の時間点および使用を提案するネットワークの種類を含み、前記提案するネットワークの種類が、前記第1無線ネットワークおよび前記第2無線ネットワークのうちの1つである請求項4に記載のオフロード判断システム。
【請求項7】
前記動的参考表の前記欄が、さらに、前記未来の時間点に関する使用優先および前記提案するネットワークの種類を含む請求項6に記載のオフロード判断システム。
【請求項8】
前記サーバーが、マルコフ決定過程(MDP)モデルを使用し、前記特定の時間点における前記データ伝送率および前記トラフィック料金情報に基づいて、前記動的参考表を計算し、
前記QoS情報の変化が生じた時、前記サーバーが、更新された前記動的参考表を動的に生成し、前記更新された動的参考表を前記ユーザー機器にプッシュ放送する請求項6に記載のオフロード判断システム。
【請求項9】
前記サーバーが、セルブロードキャストの方法またはセルユニキャストの方法で、前記第1無線基地局を介して前記データ伝送効率情報を前記ユーザー機器にプッシュ放送する請求項1に記載のオフロード判断システム。
【請求項10】
前記セルブロードキャストが、ショートメッセージシステム(SMS)である請求項9に記載のオフロード判断システム。
【請求項11】
第1無線基地局のQoS情報を取得し、前記第1無線基地局が、第1無線ネットワークを提供するために使用される第1無線ネットワーク受信器と、
第2無線基地局のQoS情報を取得し、前記第2無線基地局が、第2無線ネットワークを提供するために使用される第2無線ネットワーク受信器と、
前記第1無線ネットワーク受信器および前記第2無線ネットワーク受信器に結合されたプロセッサと、
を含み、前記プロセッサが、ユーザー機器のトラフィック料金情報を取得し、前記トラフィック料金情報および前記QoS情報に基づいて、前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のデータ伝送効率情報を評価し、前記データ伝送効率情報を前記ユーザー機器に伝送し、
前記ユーザー機器が、前記データ伝送効率情報に基づいて、前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のうちの1つを選択的に使用するサーバー。
【請求項12】
前記第1無線ネットワークが、ワイヤレス広域ネットワーク(WWAN)に属し、前記第2無線ネットワークが、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)またはワイヤレス大都市圏(WMAN)に属する請求項11に記載のサーバー。
【請求項13】
前記第1無線ネットワークが、LTEセルラーネットワーク、3Gセルラーネットワーク、またはGPRSセルラーネットワークであり、前記第2無線ネットワークが、Wi−Fiネットワーク、WiMAXネットワーク、LTEセルラーネットワーク、3Gセルラーネットワーク、またはGPRSセルラーネットワークである請求項11に記載のサーバー。
【請求項14】
前記QoS情報が、複数の特定の時間点におけるデータ伝送率を少なくとも含む請求項11に記載のサーバー。
【請求項15】
前記QoS情報が、さらに、前記特定の時間点に関し、アップリンクおよびダウンリンクのデータ伝送率、および前記第1無線基地局および前記第2無線基地局の負荷状態を含む請求項14に記載のサーバー。
【請求項16】
前記データ伝送効率情報が、動的参考表で表され、
前記動的参考表の欄が、複数の未来の時間点および使用を提案するネットワークの種類を含み、前記提案するネットワークの種類が、前記第1無線ネットワークおよび前記第2無線ネットワークのうちの1つである請求項14に記載のサーバー。
【請求項17】
前記動的参考表の前記欄が、さらに、前記未来の時間点に関する使用優先および前記提案するネットワークの種類を含む請求項16に記載のサーバー。
【請求項18】
前記プロセッサが、マルコフ決定過程(MDP)モデルを使用し、前記特定の時間点における前記データ伝送率および前記トラフィック料金情報に基づいて、前記動的参考表を計算し、
前記QoS情報の変化が生じた時、前記プロセッサが、更新された前記動的参考表を動的に生成し、前記更新された動的参考表を前記ユーザー機器にプッシュ放送する請求項16に記載のサーバー。
【請求項19】
前記プロセッサが、セルブロードキャストの方法またはセルユニキャストの方法で、前記第1無線基地局を介して前記データ伝送効率情報を前記ユーザー機器にプッシュ放送する請求項11に記載のサーバー。
【請求項20】
前記セルブロードキャストが、ショートメッセージシステム(SMS)である請求項19に記載のサーバー。
【請求項21】
サーバーで使用するのに適した複数の無線ネットワークのオフロード判断方法であって、
ユーザー機器のトラフィック料金情報を取得するステップと、
第1無線基地局および第2無線基地局のQoS情報をそれぞれ監視および取得するステップと、
前記トラフィック料金情報および前記QoS情報に基づいて、前記第1無線基地局および前記第2無線基地局のデータ伝送効率情報を評価するステップと、
前記データ伝送効率情報を前記ユーザー機器に伝送するステップと、
を含み、前記ユーザー機器が、前記データ伝送効率情報に基づいて、前記第1無線基地局によって提供された第1無線ネットワークおよび前記第2無線基地局によって提供された第2無線ネットワークのうちの1つを選択的に使用するオフロード判断方法。
【請求項22】
前記第1無線ネットワークが、ワイヤレス広域ネットワーク(WWAN)に属し、前記第2無線ネットワークが、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)またはワイヤレス大都市圏(WMAN)に属する請求項21に記載のオフロード判断方法。
【請求項23】
前記第1無線ネットワークが、LTEセルラーネットワーク、3Gセルラーネットワーク、またはGPRSセルラーネットワークであり、前記第2無線ネットワークが、Wi−Fiネットワーク、WiMAXネットワーク、LTEセルラーネットワーク、3Gセルラーネットワーク、またはGPRSセルラーネットワークである請求項22に記載のオフロード判断方法。
【請求項24】
前記QoS情報が、複数の特定の時間点におけるデータ伝送率を少なくとも含む請求項22に記載のオフロード判断方法。
【請求項25】
前記QoS情報が、さらに、前記特定の時間点に関し、アップリンクおよびダウンリンクのデータ伝送率、および前記第1無線基地局および前記第2無線基地局の負荷状態を含む請求項24に記載のオフロード判断方法。
【請求項26】
前記データ伝送効率情報が、動的参考表で表され、
前記動的参考表の欄が、複数の未来の時間点および使用を提案するネットワークの種類を含み、前記提案するネットワークの種類が、前記第1無線ネットワークおよび前記第2無線ネットワークのうちの1つである請求項22に記載のオフロード判断方法。
【請求項27】
前記動的参考表の前記欄が、さらに、前記未来の時間点に関する使用優先および前記提案するネットワークの種類を含む請求項26に記載のオフロード判断方法。
【請求項28】
前記第1無線基地局および前記第2無線基地局の前記データ伝送効率情報を評価する前記ステップが、
マルコフ決定過程(MDP)モデルを使用し、前記特定の時間点における前記データ伝送率および前記トラフィック料金情報に基づいて、前記動的参考表を計算するステップと、
前記QoS情報の変化が生じた時、更新された前記動的参考表を動的に生成し、前記更新された動的参考表を前記ユーザー機器にプッシュ放送するステップと、
を含む請求項26に記載のオフロード判断方法。
【請求項29】
前記データ伝送効率情報を前記ユーザー機器に伝送する前記ステップが、
セルブロードキャストの方法またはセルユニキャストの方法で、前記データ伝送効率情報を前記ユーザー機器にプッシュ放送するステップ
を含む請求項21に記載のオフロード判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線ネットワークのオフロード判断システムに関するものであり、特に、複数の無線ネットワークのオフロード判断システム、そのサーバー、およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セルラーネットワークのトラフィックは、スマートフォン、タブレットPC、ノートパソコン等のスマートモバイル機器が普及するにつれ、ユーザー数および情報通信量に関して大幅に増大した。ユーザーが高品質のセルラーネットワークサービスを楽しむことができるよう、セルラー通信のいくつかのプロバイダは、モバイルデータトラフィックオフロード(mobile data traffic offloading)、つまり、Wi−Fiオフロードの技術を徐々に採用するようになった。そして、スマートモバイル機器は、ホットスポット2.0やANDSF(access network discovery and selection function)等のWi−Fi認証およびローミングメカニズムを用いて、セルラーネットワーク(例えば、GPRSネットワーク、3Gネットワーク、またはLTEネットワーク)からWi−Fiネットワークへ干渉を起こすことなく自動的に切り替えることができる。本来セルラーネットワークを介して送信する必要のあったデータ通信は、隣接するWi−Fi基地局を介して送信することができるため、セルラーネットワークにおけるネットワークトラフィック渋滞を回避することができる。
【0003】
しかしながら、モバイルデータトラフィックオフロードの技術は、セルラーネットワークまたはWi−Fi基地局における現状態のQoS(quality of service)を考慮しないため、依然として、スマートモバイル機器にネットワークトラフィック渋滞が起こる可能性がある。例えば、スマートモバイル機器がWi−Fi基地局の通信範囲内にある時、モバイルデータトラフィックオフロードの技術は、セルラーネットワークまたはWi−Fi基地局がネットワークトラフィック渋滞の状態であるかどうかを考慮せずに、常にWi−Fi基地局を使用してスマートモバイル機器にデータを伝送させる。その結果、モバイルデータトラフィックオフロードの技術は、Wi−Fi基地局にトラフィック渋滞が起きた時に、ネットワークトラフィック渋滞の問題を解決することができない。
【0004】
一方、セルラー通信のいくつかのプロバイダは、各期間および各種ネットワークにおいて使用されたデータの量に基づいて価格を調整することのできるスマートデータ価格決定(smart data pricing)メカニズムを採用している。ユーザーは、ネットワークにおいて使用されたデータ量と予算に基づいてネットワークの1つを選択する(例えば、セルラーネットワークまたはWi−Fiネットワークを選択的に利用する)ことができるため、ネットワークの使用コストを削減し、セルラーネットワークを使用する確率を減らすことができる。しかしながら、ユーザーは、セルラーネットワークおよびWi−Fiネットワークの現QoSを知ることができず、実際の使用状態からセルラーネットワークかWi−Fiネットワークに手動で切り替えることしかできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、ユーザー機器が位置する無線ネットワークのうちのどれを未来の時間において使用するのが良いかを自動的、且つ動的に評価することができ、最小のデータ伝送コストまたは最良のQoSを達成することのできる複数の無線ネットワークのオフロード判断システム、そのサーバー、およびその方法を提供する。各無線基地局は、基地局の負荷を容易に平衡させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態において、複数の無線ネットワークのオフロード判断システムは、サーバーと、第1無線基地局と、第2無線基地局と、ユーザー機器とを含む。第1無線基地局は、第1無線ネットワークを提供する。第2無線基地局は、第2無線ネットワークを提供する。ユーザー機器は、第1無線ネットワークおよび第2無線ネットワークの通信範囲内に位置する。サーバーは、ユーザー機器に対応するトラフィック料金情報を有する。サーバーは、第1無線基地局および第2無線基地局のQoS情報をそれぞれ監視および取得し、トラフィック料金情報およびQoS情報に基づいて、第1無線基地局および第2無線基地局のデータ伝送効率情報を評価し、データ伝送効率情報をユーザー機器に伝送する。ユーザー機器は、データ伝送効率情報に基づいて、第1無線基地局および第2無線基地局のうちの1つを選択的に使用する。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、サーバーは、第1無線ネットワーク受信器と、第2無線ネットワーク受信器と、プロセッサとを含む。第1無線ネットワーク受信器は、第1無線基地局のQoS情報を取得するために使用され、第1無線基地局は、第1無線ネットワークを提供するために使用される。第2無線ネットワーク受信器は、第2無線基地局のQoS情報を取得するために使用され、第2無線基地局は、第2無線ネットワークを提供するために使用される。プロセッサは、第1無線ネットワーク受信器および第2無線ネットワーク受信器に結合される。プロセッサは、ユーザー機器のトラフィック料金情報を取得し、トラフィック料金情報およびQoS情報に基づいて、第1無線基地局および第2無線基地局のデータ伝送効率情報を評価し、データ伝送効率情報をユーザー機器に伝送する。ユーザー機器は、データ伝送効率情報に基づいて、第1無線基地局および第2無線基地局のうちの1つを選択的に使用する。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、複数の無線ネットワークのオフロード判断方法は、サーバーで使用するのに適している。オフロード判断方法は、ユーザー機器のトラフィック料金情報を取得するステップと;第1無線基地局および第2無線基地局のQoS情報をそれぞれ監視および取得するステップと;トラフィック料金情報およびQoS情報に基づいて、第1無線基地局および第2無線基地局のデータ伝送効率情報を評価するステップと;データ伝送効率情報をユーザー機器に伝送するステップとを含む。ユーザー機器は、データ伝送効率情報に基づいて、第1無線基地局によって提供された第1無線ネットワークおよび第2無線基地局によって提供された第2無線ネットワークのうちの1つを選択的に使用する。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、複数の無線ネットワークのオフロード判断システム、そのサーバー、およびその方法は、各無線ネットワークのQoS情報を使用して、各無線ネットワーク基地局の負荷状況を自動的、且つ動的に計算することができる。また、使用優先(例えば、最低料金を優先するか、それとも無線ネットワークの最大帯域幅を優先するか)およびユーザー機器が使用したトラフィック料金情報に基づいて、各ユーザー機器が無線ネットワークのうちのどれを未来の時間において使用するのが良いかを自動的に評価することができ、最小のデータ伝送コストまたは最良のQoSを達成することができる。各無線基地局は、基地局の負荷を容易に平衡させることができる。
【0010】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の1つの実施形態に係る複数の無線ネットワークのオフロード判断システムを概略的に示した図である。
図2】本発明の1つの実施形態に係るサーバーの機能ブロックを概略的に示した図である。
図3】本発明の1つの実施形態に係る複数の無線ネットワークのオフロード判断方法のフロー図を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の技術および利点を説明するため、図面と併せていくつかの実施形態を提供する。
【0013】
本発明の1つの実施形態におけるサーバーは、複数の無線ネットワークを使用できる状況にあるユーザー機器を提供し、ユーザー機器のトラフィック料金情報および各無線ネットワーク基地局の負荷状況の自動計算に基づいて、各ユーザー機器が無線ネットワークのうちのどれを未来の時間において使用するのが良いかを自動的に評価することができる。ユーザーの使用優先に基づいて、最小のデータ伝送コストまたは最良のQoSを達成することができる。つまり、本発明の本実施形態は、外部サーバーを使用して、ユーザー機器が位置する少なくとも2つの無線ネットワークに関連する参考情報を収集する。参考情報は、データトラフィック料金情報、各無線ネットワークのQoS、各無線ネットワーク基地局の負荷等の情報を含む。外部サーバーは、それにより、セルラーネットワークやWi−Fiネットワーク等の異なる無線ネットワークのパケットフローを監視した後、無線基地局の未来の時間における使用状態およびデータ伝送効率を予測し、無線ネットワーク基地局を介して予測した情報をユーザー機器に放送(broadcast)またはプッシュ(push)することができる。それにより、ユーザー機器は、予測した情報に基づいて、第1無線ネットワークまたは第2無線ネットワークを選択的に使用することができる。本発明の様態として、いくつかの実施形態を提供する。
【0014】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る複数の無線ネットワークのオフロード判断システム100を概略的に示した図である。オフロード判断システム100は、サーバー110と、第1無線基地局120と、第2無線基地局130と、ユーザー機器140とを含む。第1無線基地局120は、第1無線ネットワークを提供する。第1無線ネットワークの通信範囲は、図1のR1で示した部分である。第2無線基地局130は、第2無線ネットワークを提供する。第2無線ネットワークの通信範囲は、図1のR2で示した部分である。ユーザー機器140は、第1無線ネットワークの通信範囲R1および第2無線ネットワークの通信範囲R2内に位置する。
【0015】
第1無線ネットワークは、LTE(long term evolution)セルラーネットワーク、3G(third generation)セルラーネットワーク、または汎用パケット無線サービス(general packet radio service, GPRS)セルラーネットワーク等のワイヤレス広域ネットワーク(wireless wide area network, WWAN)に属することができる。第2無線ネットワークは、Wi−Fiネットワーク等のワイヤレスローカルエリアネットワーク(wireless local srea network, WLAN)に属することができる。第2無線ネットワークは、また、WiMAX(worldwide interoperability for microwave access)ネットワーク、LTEセルラーネットワーク、3Gセルラーネットワーク、またはGPRSセルラーネットワーク等のワイヤレス大都市圏(wireless metropolitan area, WMAN)に属することができる。以下の実施形態を簡単に説明するため、本実施形態では、第1無線ネットワークをLTEセルラーネットワークとして実現する。第1無線基地局120は、スモールセル(small cell)またはマクロセル(macro cell)であってもよく、第1無線基地局120は、コアネットワーク150を介してインターネット160に接続することができる。本実施形態では、第2無線ネットワークをWi−Fiネットワークとして実現する。第2無線基地局130は、Wi−Fi基地局であってもよく、第2無線基地局130は、ネットワークゲートウェイ170およびコアネットワーク150を介してインターネット160に接続することができる。
【0016】
ユーザー機器140は、第1ネットワークまたは第2ネットワークを検出して、選択的に使用するとともに、インターネット160に接続されている選択された無線ネットワークを介してネットワーク資源を使用し、データのアップロードおよびダウンロードを行うことができる。例えば、ユーザー機器140は、スマートモバイル機器、タブレットPC、ノートパソコン、携帯型ゲーム、またはその他の類似機器であってもよい。
【0017】
ユーザー機器140が位置する第1無線基地局120の個々の負荷状況、第2無線基地局130の個々の負荷状況、およびユーザー機器140のデータトラフィック料金情報をユーザー機器140が取得できるよう、本発明の本実施形態におけるサーバー110は、各領域内の第1無線基地局120および第2無線基地局130をそれぞれ監視して、第1無線ネットワークおよび第2無線ネットワークのパケットから第1無線基地局120および第2無線基地局130に関するQoS情報をそれぞれ取得する。一方、サーバー110は、セルラーネットワークの各プロバイダから提供されたデータトラフィック料金情報を通常時に自動的に収集してもよい。サーバー110とユーザー機器140は、互いに通信して、ユーザー機器140が利用したデータトラフィック料金情報を取得する。
【0018】
第1無線基地局120がLTEセルラーネットワークのスモールセルである時、スモールセルは、各ユーザー機器140に通信範囲R1内でシステム情報を定期的に放送する。サーバー110が通信範囲R1内にある時、第1無線ネットワーク(LTEセルラーネットワーク)のシステム情報を取得することができ、システム情報は、QoS情報を含む。LTEセルラーネットワークのQoS情報は、負荷情報、伝送資源の分配情報、およびWLANの関連情報(例えば、受信信号強度インジケーション(received signal strength indication, RSSI)閾値、料金請求支援システム(billing supporting system, BSS)閾値、および信号測定閾値)に関するスモールセルの個々の情報を含むことができる。本発明の本実施形態における個々の基地局の負荷情報/負荷状態は、個々の基地局の中央処理装置(central processing unit, CPU)等のプロセッサの使用率であってもよい。個々の基地局の負荷情報/負荷状態は、基地局におけるダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random access memory, DRAM)の使用率であってもよい。負荷情報は、百分率(%)で表すことができる。一方、第2無線基地局130がWi−FiネットワークのWi−Fi基地局である時、Wi−Fi基地局は、Wi−Fiネットワークのシステム情報/QoS情報を能動的に放送しない。サーバー110は、IEEE 802.11uで定義されたANQP(access network query protocol)を介して、Wi−Fi基地局からWi−FiネットワークのQoS情報を取得することができる。本実施形態において、Wi−Fi基地局は、ANQP機能を実施するためのANQPモジュールを有する。Wi−FiネットワークのQoS情報は、Wi−Fi基地局の接続状態、接続の種類(対称型伝送または非対称型伝送)、アップリンクおよびダウンリンクにおけるデータ伝送率、およびWi−Fi基地局自身の負荷状態を含むことができる。それにより、サーバー110は、複数の特定の時間点において、無線ネットワークのQoS情報をそれぞれ監視、取得、および記憶することができる。それにより、特定の時間点において、各無線ネットワークのアップリンクおよびダウンリンクのデータ伝送率および無線基地局120、130の個々の負荷状態を知ることができる。
【0019】
また、本発明のいくつかの実施形態において、無線ネットワーク自体が既に自己組織ネットワーク(self organizing network, SON)を設置している場合、サーバー110は、SON構造を介して、第1無線基地局120および第2無線基地局130のQos情報およびその他の情報を取得することもできる。
【0020】
以下、実施形態を提供して、サーバー110がトラフィック料金情報および無線ネットワークのQoSに基づいてデータ伝送効率情報をどのように評価するかについて説明する。現時間点を10:00と仮定して、表1は、未来の時間点(例えば、10:00〜10:30の期間)におけるユーザー機器140のトラフィック料金のリストを示す。つまり、未来の時間点におけるトラフィック料金を示し、サーバーが取得したトラフィック料金を時間点に対応して列記する。表1の料金は、説明の例として、1バイト(byte)当たりの新台湾ドル(NTD)の単位で示してある。
【0021】
【表1】
【0022】
表2および表3は、サーバーがある期間内(例えば、9:30〜10:00)の特定の時間点にある時の情報のリストであり、表2は、QoS情報(アップリンクおよびダウンリンクにおけるデータ伝送率、無線基地局120、130の個々の負荷状態)から整理した各異なる時間点における各無線ネットワークのデータ伝送率の過去の情報を列記したものであり、表3は、各基地局の負荷状態の過去の情報を列記したものである。表2は、伝送の1秒当たりのビット(bit)の単位を用いて伝送流量を判断したものである。
【0023】
【表2】
【0024】
表3は、百分率(%)で第1無線基地局と第2無線基地局の負荷状態を判断したものである。
【0025】
【表3】
【0026】
表1〜表3に基づき、サーバー110は、マルコフ決定過程(Markov decision process, MDP)モデルを使用し、特定の時間点におけるデータ伝送率およびトラフィック料金情報に基づいて、データ伝送効率情報(動的参考表(dynamic reference table))を計算することができる。MDPモデルは、既知の帯域幅データに基づいて、未来におけるデータ流量の傾向を評価し、評価したデータを用いて図4の動的参考表を生成することができる。動的参考表(図4)の欄は、10:00、10:10、10:20、10:30等の複数の未来の時間点、未来の時間点に対応する使用優先、および使用を提案するネットワークの種類を含む。提案するネットワークの種類は、第1無線ネットワークおよび第2無線ネットワークのうちの1つであってもよい。表4の使用優先は、「最高品質のデジタル伝送」、「一定のデータ伝送品質を有する(伝送率が少なくとも与えられた値よりも大きい)」および「最低料金」で区分される。表4の「L」は、第1無線ネットワーク(LTE無線ネットワーク)を示し、「W」は、第2無線ネットワーク(Wi−Fi無線ネットワーク)を示す。
【0027】
【表4】
【0028】
例えば、ユーザーの使用優先が「最高品質のデジタル伝送」である場合、サーバー110は、未来の時間点10:00、10:20および10:30において第2無線ネットワーク(Wi−Fiネットワーク)を使用した方が良いことをユーザー機器140に提案し、未来の時間点10:10において第1無線ネットワーク(LTEネットワーク)を使用した方が良いことをユーザー機器140に提案する。ユーザーの使用優先が「一定のデータ伝送品質を有する」である場合、サーバー110は、未来の時間点10:00、10:10および10:20において第2無線ネットワーク(Wi−Fiネットワーク)を使用した方が良いことをユーザー機器140に提案し、未来の時間点10:30において第1無線ネットワーク(LTEネットワーク)を使用した方が良いことをユーザー機器140に提案する。ユーザーの使用優先が「最低料金」である場合、サーバー110は、未来の時間点10:00および10:10において第2無線ネットワーク(Wi−Fiネットワーク)を使用した方が良いことをユーザー機器140に提案し、未来の時間点10:20および10:30において第1無線ネットワーク(LTEネットワーク)を使用した方が良いことをユーザー機器140に提案する。
【0029】
それにより、サーバー110は、データ伝送効率情報(表4)をユーザー機器140に伝送する。ユーザー機器140は、データ伝送効率情報(表4)に基づいて、第1無線ネットワーク(LTEネットワーク)および第2無線ネットワーク(Wi−Fiネットワーク)のうちの1つを選択的に使用することができる。また、サーバー110は、第1無線基地局120および第2無線基地局130のQoS情報を継続的に監視する。QoS情報の変化が生じた時、サーバー110は、データ伝送効率情報(表4)を動的に更新し、データ伝送効率情報(表4)をユーザー機器140に放送して、動的に調整する。
【0030】
データ伝送効率情報(表4)をユーザー機器140に直接伝送するだけでなく、サーバー110は、第1無線基地局120により搬送されたデフォルトの情報放送を使用して、セルブロードキャスト(cell broadcast)の方法またはセルユニキャスト(cell unicast)の方法でデータ伝送効率情報をユーザー機器140にプッシュ放送することもできる。全てのユーザー機器140が同じ料金を利用している場合、ユーザー110は、セルブロードキャストの方法を使用して、データ伝送効率情報をその領域に伝送することができる。本実施形態において、セルブロードキャストは、第1無線基地局120を介してショートメッセージシステム(short message system, SMS)で実行することができる。一方、各ユーザー機器140が異なる料金を使用している場合、サーバー110は、ユーザー機器140のデータ伝送効率情報をカスタマイズし、第1無線基地局120を介してセルユニキャストの方法を使用して、データ伝送効率情報をユーザー機器140に伝送する。
【0031】
ユーザー機器140は、図4の評価結果に基づいて、使用中の無線ネットワークを自動的に調整することができる。あるいは、図4の評価結果をユーザーに提供して、動的な調整が必要であるか、それともユーザーにより無線ネットワークを手動で調整するかを判断する。
【0032】
図2は、本発明の1つの実施形態に係るサーバーの機能ブロックを概略的に示した図である。サーバー110は、第1無線ネットワーク受信器210と、第2無線ネットワーク受信器220と、プロセッサ230とを含む。第1無線ネットワーク受信器210は、LTEセルラーネットワークのネットワークアクセスチップまたはネットワークモジュールであってもよい。第2無線ネットワーク受信器220は、Wi−Fiネットワークまたはネットワークモジュールであってもよい。プロセッサ230は、中央処理装置、システムチップ、または集積回路であってもよい。
【0033】
図3は、本発明の1つの実施形態に係る複数の無線ネットワークのオフロード判断方法のフロー図を概略的に示した図である。図1図3を参照すると、ステップS310において、サーバー110のプロセッサ230は、ネットワークを介してユーザー機器140のトラフィック料金情報を取得することができる。ステップS320において、サーバー110のプロセッサ230は、第1無線ネットワーク受信器210および第2無線ネットワーク受信器220を介して、第1無線基地局120および第2無線基地局130のQoS情報をそれぞれ監視および取得する。ステップS330において、プロセッサ230は、トラフィック料金情報およびQoS情報に基づいて、第1無線基地局120および第2無線基地局130のデータ伝送効率情報を評価する。ステップS340において、プロセッサ230は、(例えば、第1無線基地局120または第2無線基地局130を介して)データ伝送効率情報をユーザー機器140に直接または間接的に送信する。それにより、ステップS350において、ユーザー機器140は、データ伝送効率情報に基づいて、第1無線ネットワークおよび第2無線ネットワークのうちの1つを選択的に使用することができる。オフロード判断方法の実施の詳細については、前の実施形態を参照することができる。
【0034】
以上のように、複数の無線ネットワークのオフロード判断システム、そのサーバー、およびその方法は、各無線ネットワークのQoS情報を使用して、各無線ネットワーク基地局の負荷状況を自動的、且つ動的に計算することができる。また、使用優先(例えば、最低料金を優先するか、それとも無線ネットワークの最大帯域幅を優先するか)およびユーザー機器が使用したトラフィック料金情報に基づいて、各ユーザー機器が無線ネットワークのうちのどれを未来の時間において使用するのが良いかを自動的に評価することができ、最小のデータ伝送コストまたは最良のQoSを達成することができる。各無線基地局は、基地局の負荷を容易に平衡させることができる。
【0035】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、複数の無線ネットワークのオフロード判断システム、そのサーバー、およびその方法である。
【符号の説明】
【0037】
100 オフロード判断システム
110 サーバー
120 第1無線基地局
130 第2無線基地局
140 ユーザー機器
150 コアネットワーク
160 インターネット
170 ネットワークゲートウェイ
210 第1無線ネットワーク受信器
220 第2無線ネットワーク受信器
230 プロセッサ
S310〜S350 ステップ
R1 第1無線ネットワークの通信範囲
R2 第2無線ネットワークの通信範囲
図1
図2
図3
【外国語明細書】
2017103739000001.pdf