【解決手段】携帯用コンロ100は、台座部120とその上の逆四角錐台形の燃焼室部150とからなる。台座部は、台箱と、燃焼室部を支える台蓋と、X字状に組まれて台蓋上に搭載される一対の支脚からなる。燃焼室部は、X字状の支脚に搭載される矩形状のロストル盤と、ロストル盤の対向する一対の端縁に固定されるヒンジアセンブリを介して支持される一対の受外板と、受外板のスリット内に一部を差し込んで相互拘束される一対の差外板からなる。ロストル盤の対向する他の一対の端縁に溶接される補強材及び前記一対のヒンジアセンブリの存在により、ロストル盤の熱変形は阻止され、台座部への位置決めが容易となる。
前記台座部は、地上もしくは台上に載置される最下段の台箱(121)と、該台箱の上に載置されてコンロ全体を位置決めして下支えする台蓋(122)と、該台蓋の上に相互にX字状にクロスした状態に組立てられて搭載される一対の支脚(123)とから構成され、前記台座部から上方に延びて前記ロストル盤に形成された井桁形状の4つの交点をそれぞれ拘束して位置決めする4本の支持柱(123a)が、当該一対の支脚の両側端に設けられている、請求項1に記載の携帯用コンロ。
前記燃焼室部が、いずれも略台形形状からなるそれぞれ一対の前記受外板及び差外板により形成される逆四角錐台形状であること、もしくはいずれも略矩形形状からなるそれぞれ一対の受外板及び差外板により形成される四角柱形状であること、もしくは一対の受外板と一対の差外板の内のいずれか一方を略台形形状、他方を略矩形形状とすることによって形成される台形柱形状であること、のいずれかである、請求項1又は請求項2に記載の携帯用コンロ。
前記コンロが、それぞれ一対の前記受外板と差外板が交差する頂部の4つの角に差し込まれ、その差込み方向を変更することによって2段階のコンロの高さ調整が可能な4つの調整板(160)をさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか一に記載の携帯用コンロ。
少なくとも前記支脚と、前記ロストル盤と、前記受外板と、前記差外板とがステンレス板材から形成され、前記コンロの分解時に全ての構成要素が前記台箱内に納められ、その上から前記台蓋が被せられることによって収納、保管が可能である、請求項1から請求項4のいずれか一に記載の携帯用コンロ。
前記コンロが、前記燃焼室部内に差し込んで使用される上方に蓋(230)を被せた中空四角柱状の燻製器(200)をさらに含み、該燻製器が、四角柱状の4側面を構成する矩形4面と、加えて1側面に対応するさらなる1面の計5面の矩形が、展開した際に一方向に連続してつながる一体形状に形成され、これが順に折り畳まれて四角柱形状となる際に最後の5面目が最初の1面目に重ねられ、この二重となった面の内側の1面にのぞき窓(220)が、外側の1面に前記のぞき窓の開閉可能な窓カバー(221)が形成されている、請求項1から請求項5のいずれか一に記載の携帯用コンロ。
前記二重となった面の内側の一面に、燻製する食材類を吊るす支柱(240)を保持するための支柱固定部(216)が前記燻製器の内側に開閉可能に形成され、当該二重となった面に対向する側の一面に同じく前記支柱を支持する支柱支持穴が設けられている、請求項6に記載の携帯用コンロ。
【背景技術】
【0002】
キャンプ地等で使用される携帯用コンロは、煮炊きのためのコンロとして本来の機能が十分に果たせるものであることに加えて、分解・組立が容易であり、分解した後の洗浄や収納も容易で収納姿がコンパクトであり、軽量で携帯に適したものであることが要求される。さらに加えて、1つのコンロで多種の料理方法に応用でき、昨今では環境に優しいものである点も重要であり、具体的には使用するキャンプ地における環境保護のほか、耐久性があって長期間の繰り返し使用に耐え、資源の有効利用が図れるものであることが望まれている。
【0003】
従来技術においても各種の携帯用コンロが知られているが、中でも、枯れ木などを集めて燃料にする携帯用コンロが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。当該文献に開示された携帯用コンロによれば、最下段に板材を十字状に組んだ風受板が設けられ、その上に燃料を載置する載置具が置かれ、さらにその上に角錐台型の風防筒が乗せられている。載置具の開口部にメッシュ体が張られており、風受板からメッシュ体を通過する空気が枯れ木などの燃料を燃やし、その火気が風防筒を通って上昇して上部に載せられる鍋、やかんなどの調理容器を加熱する。調理容器を支えるため、風防体の上には薄板をクロスさせた載板がさらに載せられている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたコンロによれば、載置板の下には薄板を十字状に組んで地面に垂直に立ち上がる風受板しかなく、メッシュ体から落下した灰は地表面に直接落下することになる。これは環境保護上、好ましいことではない。また、当該コンロの構成によれば、前記風防筒の対向する二辺をV字状に畳んで平たく収納するよう構成されているため、これでは可燃物が燃焼した後の汚れる内部を洗浄することが極めて困難となる。筒状のものを保持しつつその内面を洗浄することそのものに問題があり、油分も含まれる燃焼に伴う強固な汚れを十分に落とすことは困難であった。加えて、火力の関係で角錐台型が上方に向かって集束するよう構成されていることから、加熱範囲が制限され、例えば網を使用する焼肉など、調理容器以外の加熱は極端に制約されていた。
【0005】
より重要な問題点として、特許文献1に代表される従来技術による携帯用コンロでは、耐久性が不十分なことであった。携帯用として構成するには各要素の板厚などを薄くして重量を軽減する必要に迫られるが、逆に板厚が薄くなると高熱によって構成部品は変形することが避けられない。数回の使用によってこの変形が一定限度を越えると、使用後にコンロを分解してもうまく畳むことができなくなり、所定の収納ができないものとなる。従来技術による携帯コンロは、このために僅かの使用回数で廃棄せざるを得ないものとなり、これがキャンプ地などで大量に廃却されるなどの環境問題が生じている。またこのような事態は、資源の無駄をも生じさせてもいた。
【0006】
本願発明者らは、このような従来技術にある課題を解消するため、先に改善技術を開示していた(例えば、特許文献2参照。)。
図13はその概要を示すもので、同図において開示されたコンロ1は、台座板20にX状に差し込まれて固定された支持板部30の切欠き部に台箱40が水平方向に差し込まれ、その上に四方を取り囲むように4枚の炉枠板部50を組立てるものであった。炉枠板部50は一枚一枚差し込んで組み立てられるため、使用後は分解されて洗浄が容易である。また台箱40から落下する燃焼後の灰は台座板20の上に落ちるため、環境への影響は回避され得る。各構成要素はステンレス板材を加工したもので耐久性に優れ、また組立て時に交互が拘束し合うよう構成されていることにより、熱変形を最小限に抑えるよう設計されている。分解時には各構成要素がバラバラにされ、台箱40に収納された後に台座板20内に差し込むことができ、携帯も容易である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示されたコンロにも未だ改善の余地が見られた。まず、各構成要素の組立ては差し込み式で容易ではあるものの、それぞれの位置合わせが必要であり、特にはそれぞれが斜めに開くように配置された炉枠板部50の組立ては不安定になりがちであった。また、変形を抑えるよう相互に拘束し合う設計とはなっているが、長期間繰り返し使用した場合には、各要素に僅かでも熱変形が生ずることはどうしても避けられない。これが許容範囲内であればよいが、一定の範囲を越えると差し込み等の動作に支障が生じて組立て、分解に不要な労力や時間が必要とされた。変形が大きくなると、例えば支持板部30への台箱40の差し込みや、回収後の台座板20への台箱40の差し込みが困難になる事態もあり得た。
【0009】
以上より、本願発明の目的は、
図13に示す特許文献2に開示された携帯用コンロの更なる改善を企図したもので、具体的には先の技術の優れた点はそのまま残しつつ、分解・組立てをより容易にし、熱変形を回避するためにより剛性を高めるものとし、かつ環境に対する更なる配慮を折り込んだ改善を行うものとしている。本発明では加えて、当該コンロへの使用に特に適した燻製器をも併せて提供することを目的している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、コンロを台座部の上に燃焼室部を搭載するよう構成し、燃料を受ける燃焼室部内のロストル盤に補強材を追加して熱変形に対する抵抗力を増し、かつその補強材を利用して台座部の位置決めを容易、確実なものにすると共に、補強材の一部をヒンジに利用して燃焼室部の外板の組立てを容易にし、上述した課題を解消するもので、具体的には以下の内容を含む。
【0011】
すなわち、本発明に係る1つの態様は、分解組立が可能な携帯用コンロであって、
該コンロは、燃料を燃焼させて加熱物を加熱する燃焼室部と、下方から空気を導入して前記燃焼室部を下支えする台座部とから構成されている。前記燃焼室部は、矩形状のロストル盤であって、中央に網部を有する開口部分を備え、前記矩形状の対向する一対の縁部がヒンジパイプ及びヒンジバーからなるヒンジアセンブリにより、他方の対向する一対の縁部が補強材によりそれぞれ補強されたロストル盤と、前記ヒンジアセンブリを介して前記ロストル盤に回動可能に支持される一対の受外板と、前記一対の受外板の両側端側にそれぞれ設けられたスリット内に一部を差し込んで前記受外板との間で相互に熱変形を拘束するよう組み立てられる一対の差外板とから構成されている。前記一対の受外板と差外板とによって前記燃焼室部を囲む4面が形成される。前記一対のヒンジアセンブリと前記一対の補強材とは、各々の各両端を前記ロストル盤の端縁よりも突出させることによってロストル盤を中央に配した井桁形状を構成している。前記燃焼室部が前記台座部の上に取付けられる際、前記台座部から上方に向けて延びる4本の支持柱によって前記ロストル盤に形成された井桁形状の4つの交点がそれぞれ外側から拘束されることにより、前記燃焼室部が前記台座部に対して位置決め保持されることを特徴としている。
【0012】
前記台座部は、地上もしくは台上に載置される最下段の台箱と、該台箱の上に載置されてコンロ全体を位置決めして下支えする台蓋と、該台蓋の上に相互にX字状にクロスした状態に組立てられて搭載される一対の支脚とから構成することができる。前記台座部から上方に延びて前記ロストル盤に形成された井桁形状の4つの交点をそれぞれ位置決め拘束する4本の支持柱は、当該該一対の支脚の両側端に設けることができる。
【0013】
前記燃焼室部は、いずれも略台形形状からなるそれぞれ一対の前記受外板及び差外板により形成される逆四角錐台形状であること、もしくはいずれも略矩形形状からなるそれぞれ一対の受外板及び差外板により形成される四角柱形状であること、もしくは一対の受外板と一対の差外板の内のいずれか一方を略台形形状、他方を略矩形形状とすることによって形成される台形柱形状であること、のいずれかとすることができる。
【0014】
前記コンロは、それぞれ一対の前記受外板と差外板が交差する頂部の4つの角に差し込まれ、その差込み方向を変更することによって2段階のコンロの高さ調整が可能な4つの調整板をさらに含むことができる。
【0015】
少なくとも前記一対の支脚と、前記ロストル盤と、前記受外板と、前記差外板とはステンレス板材から形成され、前記コンロの分解時に全ての構成要素は前記台箱内に納められ、その上から前記台蓋が被せられることによって収納、保管を可能とすることができる。
【0016】
前記コンロは、前記燃焼室部内に差し込んで使用される上方に蓋を被せた中空四角柱状の燻製器をさらに含むことができる。該燻製器は、四角柱状の4側面を構成する矩形4面と、加えて1側面に対応するさらなる1面の計5面の矩形が展開した際に一方向に連続してつながる一体形状に形成することができる。これが順に折り畳まれて四角柱形状となる際に最後の5面目が最初の1面目に重ねられ、この二重となった面の内側の1面にのぞき窓を、外側の1面に前記のぞき窓の開閉可能な窓カバーを形成することができる。
【0017】
前記燻製器は、前記5面のいずれかに連続して前記空洞四角柱の上方を開閉可能な蓋を一体に形成することができる。
【0018】
前記二重となった面の内側の一面に、燻製する食材類を吊るす支柱を保持するための支柱固定部を燻製器の内側に開閉可能に形成することができ、当該二重となった面に対向する側の一面に同じく前記支柱を支持する支柱支持穴を設けてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施により、野外レジャーや家庭用に手軽に利用することができ、料理方法も多種に応用でき、かつコンパクトに収納が可能で携帯に便利な携帯用コンロ並びに燻製器を提供することができる。また、キャンピング場などの屋外に対しては、環境保全に一層配慮した携帯用コンロを提供するものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第1の実施の形態にかかる携帯用コンロ(以下、単に「コンロ」とも言う。)について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るコンロ100の全体概要を示している。コンロ100は、台座部120と、燃焼室部150と、オプションとなる調整板160とから主に構成されている。コンロ100は、図示の状態で地面もしくは机や台等の卓上に台座部120を設置して使用される。燃焼室部150は、図示のように上方に向かって拡開する逆四角錐台状に構成され、これによって使用時には広い加熱面積が確保でき、非使用時には構成要素は分解されてコンパクトに収納されるように設計されている。鍋、やかん、網などの被加熱具は、燃焼室部150の上に直接載置することも可能であり、必要であれば調整板160を使用して破線で示すようにさらなる高さ調整をすることも可能である。調整板160は、その差し込み方向の向きを変えることで高・低の選択が可能である。
【0022】
以下、
図2〜
図7を参照してコンロ100の各構成要素とその組立て手順について説明する。まず
図2は、台座部120の構成を示している。図の下方に示すのは台箱121であり、板材の周囲を立ち上げて矩形状の箱状に形成され、好ましくは各角部で相互に溶接されて強度確保されている。矩形状の対向する一対の長辺の立ち上がり部には切欠き121aと、その各中央部に突出する突起121bが形成されている。この台箱121は、追って搭載する燃焼室部150を下支えする最下段の基礎としての役割を果たすほか、後述するようにコンロ非使用時には全構成要素を収納する収納箱としての役割を果たす。
【0023】
図2の中央部分に示すのは台蓋122であり、同じく板材の周囲を立ち上げて箱状に形成し、好ましくは各角部で溶接されて強度確保されている。矩形の対向する長辺の立ち上がり部にはそれぞれ一対の固定溝122aが設けられ、さらに矩形状の底面には一対の固定穴122bが穿けられている。台蓋122は、使用時に台箱121の上に図示のように長手方向の位相を相互に90度ずらせて搭載されるが、その際、台蓋122全体が台箱121の切欠き121aにはまり、かつ一対の突起121bが台蓋122の一対の固定穴122bにはまって両者が相対的に位置決めされる。台蓋122は、以下に示す一対の支脚123を固定する役割を果たすほか、後述するように非使用時には全構成要素を収納した台箱121の蓋としての役割を果たす。
【0024】
次に
図2の上方に示すのは一対の支脚123であり、板材を加工して両側端に支持柱123aを上方に突出させ、かつ両端を折り曲げて強度補強をするよう構成されている。それぞれの両側端近傍の図の下辺には固定溝123bが設けられており、当該固定溝123bは、組立て時に上述した台蓋122に設けられた固定溝122aにはまって位置決めされる。また、幅方向の中心部には一方の支脚123には上方から、他方の支脚123には下方から、各々上下幅の半分までの切り込み123c、123dが設けられ、組立て時にはこの双方が互いに差し込まれてX字状を形成する。この切り込み123c、123dの方向の違いを除けば、一対の支脚123は共通であってもよい。
【0025】
図3は、
図2に示す各構成要素を用いて組立てられた台座部120を示している。最初に、台箱121の切欠き121a(
図2参照)と突起121bを利用して台蓋122を台箱121の上に載せ、位置決め固定する。次に、一対の支脚123が、それぞれの中央にある切り込み123c、123dに互いに差し込み、X状の支脚部を構成した後にこれを台蓋122の上に固定する。この際の位置決めは、台蓋122にある4カ所の固定溝122aに各支脚123に設けられた一対の固定溝123b(いずれも、
図2参照)計4つを差し込むことにより行われる。これにより、図示のように支脚123の端部に位置する4つの支持柱123aが、それぞれ台箱121と台蓋122とが重なりあった角部に位置するものとなり、これによって台箱121、台蓋122、支脚123間の相互の動きが拘束される。以上のような一連の差し込み作用による各要素の位置決め固定により、強固な台座部120が形成されるものとなり、これは位置決め効果のほか相互を拘束し合って熱変形を抑制するものとなる。
【0026】
以上のように構成された本実施の形態に係る台座部120によれば、X字状に組まれて立ち上がる一対の支脚123によって、僅かな風がどの方向から吹こうともX字状のいずれかの区域でその風を受け止め、それを後述する燃焼室部150へ導く空気導入ガイドの役割を果たすものとなる。また、燃焼室部150から落下する灰は台蓋122が受けることになるが、その下にさらに台箱121が存在しているため、より安全であり、環境への影響回避をより確実にすることができる。各支脚123の両端からは計4本の支持柱123aが中央部分を囲むように立ち上がっており、後述するようにこれが追って搭載される燃焼室部150を位置決め規制するものとなる。
【0027】
次に、
図4は、台座部120の上方に組立てられる燃焼室部150の構成を示している。
図4の中央部分に示すのはロストル盤151で、矩形状平板の中央部分が開口し、ここに網部(ロストルメッシュ)154が取付けられている。本実施の形態ではロストル盤151の平面形状を正方形としているが、これは長方形であってもよい。使用時にはこの上で炭等の燃料が燃やされ、網部154を通して下方から空気が導入され、また燃焼後の灰は網部154を通して下方に落下する。ロストル盤151の図に示すY方向の両縁にある両端は折り曲げられて溶接された後、その上にいずれも図のY方向に延びるヒンジパイプ152計4個が四隅に溶接されている。加えて、ロストル盤151の図のY方向の両縁の裏面には、X方向に延びる一対の補強材153が溶接固定されている。図示の例では補強材153はステンレス角棒が使用されているが、これはパイプ材やアングル材であってもよい。この補強材153は、熱の影響を最も受けるロストル盤151の熱変形を防ぐための補強メンバーとしての役割を果たすほか、後述するように、ヒンジパイプ152と共に台座部120の上にロストル盤151を位置決め固定する重要な役割を果たす。なお、ロストル盤151のX方向の両縁は、図の裏面に向けて折り曲げられており、これも熱変形の抑制に寄与している。
【0028】
同じく
図4において、上方に燃焼室部150の外枠を構成する受外板155と差外板156とを示している。受外板155と差外板156とはそれぞれ一対ずつの計4枚が燃焼室部150の周囲に設けられるが、
図4ではその内の各1枚のみを示し、図の手前側に位置する各1枚は表示を省略している。まず受外板155は、基本的に上方に向けて広がる台形形状で、その左右両端近傍に差込スリット155aと固定溝155bとが設けられている。また、図の上方端には一対の突起155cが設けられ、これは図示しない対向する側にもある一対の突起とともに鍋、やかん等を載せる際の支えとなる。受外板155の上辺の一部は折り曲げられ、熱変形を防ぐための強度を増すよう構成されている。また、受外板155の下辺は図の背後に向けて折り曲げられ、その位置には破線で示すようにヒンジバー157が溶接される。このヒンジバー157は、ロストル盤151に溶接された一対のヒンジパイプ152に差し込まれてヒンジを構成すると共に、受外板155の熱変形を防ぐ補強材としても機能し、加えて後述するロストル盤151を台座部120に載せる際の位置決めの役割を果たす。本実施の形態では、ヒンジバー157の両端は上述したようにヒンジパイプ152内に回動可能に差し込まれる。本明細書では、このヒンジパイプ152とこれに差し込まれたヒンジバー157の両者を合わせて「ヒンジアセンブリ」と呼ぶものとする。
【0029】
差外板156も同様に基本的に上方に広がる台形形状を具え、その両側端には下方に差込フック156a、上方に固定フック156bを備えている。組立て時には、差込フック156aが受外板155の差込スリット155aに内に、固定フック156bが同じく受外板155の固定溝155b内にそれぞれはまり、相互に拘束される。差外板156の上下両辺では板材が折り曲げられて熱変形に対する強度補強としている。なお、本実施の形態の例では受外板155、差外板156とも耐熱ステンレス板材が使用されている。
【0030】
次に
図5は、以上のように構成された燃焼室部150を、
図3に示すように組み立てられた台座部120の上に取付けた状態を示している。図示のように、受外板155に溶接されたヒンジバー157とヒンジパイプ152とから成るヒンジアセンブリによってヒンジが構成され、受外板155を回動可能に支持している。図の実線で示す状態で、図では背後に隠れているロストル盤151の上に一対の差外板155が折り畳まれ、このロストル盤151ごと台座部120の上に載せられている。この際、図からも明らかなように、燃焼室部150は台座部120から上方に延びる4本の支持柱123aの中央に位置している。この状態で、燃焼室部150の図のY方向の動きに対しては、周囲4本の支持柱123aがX方向に延びる一対の補強材153に接してこれを拘束し、図のX方向の動きに対しては、同じく4本の支持柱123aがY方向に延びる一対のヒンジアセンブリ(ヒンジパイプ152+ヒンジバー157)に接してこれを拘束する。換言すれば、燃焼室部150はX方向に延びる一対の補強材153とY方向に延びる一対のヒンジアセンブリに囲まれて「井桁」形状が形成されており、この井桁の各4つの交点に存在する4本の支持柱123aがそれぞれの動きを周囲から拘束するものとなる。
【0031】
これにより、組立て時には井桁が4本の支持柱123aの間に納まるように上方から降ろして取り付ければよく、組立てが極めて簡単であると同時に確実な位置決め規制が可能となる。しかる後、図の破線で示すように両受外板155はヒンジアセンブリを支点として回動し、上方に向けて開かれる。各受外板155は、開いた状態で支持柱123aに設けられた傾斜部123e(
図2参照)に当接するため、これがストッパとなって受外板155は適度に開いた角度で位置決め保持されるものとなる。このように、一対の受外板155をヒンジ支持としたことにより、例えば特許文献2に示す各外板を1枚ずつ位置決めして差し込む方法に比べて組立てがはるかに容易となることは明らかである。なお、ロストル盤151の平面形状が長方形となる場合には、支持柱123aもこれに見合う配置となるように一対の支脚123が台蓋122に固定される。
【0032】
次に
図6は、
図5に示す破線のように開かれた受外板155に対し、上方から1枚の差外板156を差し込んだ状態を示している。手前側のもう1枚の差外板156は省略しているが、同様に差し込みが可能である。図からは、差外板156の両側端に設けられた差込フック156aが受外板155の差込スリット155aにはまり、同じく差外板156の固定フック156bが受外板155の固定溝155bにはまり、それぞれが受外板155を外側から強固に保持することで互いに動きを拘束して熱変形を防いでいることが分かる。さらに
図1を参照すれば、受外板155に差外板156が差込まれた状態で両者の両側端がV字状を形成し、これが4本の支持柱123aを挟んで相互に拘束し合う状態となっていることが分かる。
【0033】
以上が本願に係るコンロ100の構成ならびに組立て手順であるが、分解する場合の手順は今のものと逆になる。すなわち、まず一対の差外板156を上方に引き抜き、受外板155をロストル盤151の上に折り畳み、燃焼室部150を台座部120から外す。次に、X状に組まれた一対の支脚123を台蓋122から取り出し、分離する。
図7は、分解された各要素の収納状態を示している。収納の手順は、
図1に示す使用時の状態からまず最下段にある台箱121のみを残して台蓋122より上の部分全体を外して脇に置く。次に、上記手順で分解される一対の差外板156、受外板155及びロストル盤151のアセンブリ、一対の支脚123をこの順番で順次台箱121の中に納め、最後に残った台蓋122を上から被せて収納が完了する。本願発明者らの繰り返しテストでは、分割に要する時間(洗浄のための時間を除く)は平均で約30秒、組立てに要する時間は平均で約40秒と、極めて短時間の作業で済ますことができる。また、本実施の形態に係るコンロ100の例では、分解・収納した状態でほぼA4サイズに匹敵するほどの大きさ(300mm×200mm)に過ぎず、重量は2.9kgほどと僅かである。
【0034】
本実施の形態に係るコンロ100の使用時には、
図7に示す収納状態から台蓋122を開いて脇に裏返しに置き、その上に台箱121内に収納された各構成要素を上から順に取り出して上述のような手順で組み立てる。その状態で全体を台箱121の上に載せて
図1に示す状態のコンロが完成する。しかる後、炭、着火剤、丸めた新聞紙などを燃焼室部150内のロストル盤151の上に置き、着火する。燃焼室部150の上には直接鍋、やかんなどを置いて加熱できるほか、必要に応じて調節板160を用いて高さ調整をすることができる。
【0035】
以上述べた本実施の形態にかかるコンロ100には、各種の変形、改造が可能である。
例えば、
図3の中央に破線で示すのは、支脚123による支持をより強固にするために追加される補強具125である。補強具125は箱状に形成され、箱の各周囲の辺に設けられた切欠きを支脚123に設けられた図示しない切欠きにはめて固定することにより、支脚123をより強固に安定したものとすることができる。補強具125はロストル盤151の網の直下に位置しているため、熱の残った灰を受け取る機能も果たすことができる。
【0036】
また、図示の例では台蓋122に対する支脚123の固定は縦方向に延びる支脚123の固定溝123bを同じく縦方向に延びる台蓋122の固定溝122aに差し込むよう構成されている。この方法では、分解組立ては容易となるものの上下方向の拘束がないために不安定ともなり得る。その代替として、支脚123の両側端に固定溝を横方向に設け、あるいは両側端から一定幅の差し込み部を突出させ、その部分を台蓋122側に開けられた窓状スリットに嵌め込むようにしてもよい。このように構成することで、上方への万一の抜けを防止することができる。これとは別に、支脚123は、例えば丸棒を「コの字」状に曲げて形成し、この中辺をヒンジにして台蓋122の内側で対向する立ち上がり部から回転して立てるようにしても良い。
【0037】
さらなる変形として、上記の実施の形態では、
図4に示すようにロストル盤151の補強材153とヒンジアセンブリ(ヒンジパイプ152+ヒンジバー157)とはそれぞれロストル盤151の表裏に分かれて取り付けられているが、これをロストル盤151の同じ面に配置することができる。
図8はそのような配置の一例を示しており、
図8においてヒンジバー157が補強材153を貫通する形で補強材153に直接取り付けられている。図では、ヒンジアセンブリ(152+157)を図の手前側と後側とで異なる形態の2つの例を示している。すなわち、図の手前側のヒンジアセンブリでは、
図4と異なってヒンジバー157は両側の補強材153を貫通して延び、ヒンジパイプ152は一対の補強材153の中間にのみ回動可能に被さっている。図示しない受外板155は、このヒンジパイプ152の外周に溶接され、回動可能に固定されるものとなる。
【0038】
これに対して同図の後側に示されるヒンジアセンブリの例では、ヒンジバー157がクランク状に折り曲げられて両端が両補強材153を貫通し、補強材153の外側で一対のヒンジパイプ152がこれを回動可能に支持している。ヒンジバー157をクランク状にする理由は、このヒンジバー157に取付けられる破線で示す受外板157を折り畳んだ際に、受外板157が補強材153の上にフラットに重なるようにし、折り畳んだ際の厚さを薄くしてコンパクトに収納できるようにするものである。なお、図の手前側にある方式のヒンジアセンブリにおいても、ヒンジパイプ152への受外板155の溶接位置を調整し、受外板155を図のロストル盤151の背面まで回転させて折り畳むようにすれば受外板155をロストル盤151にフラットに折り畳むことができ、同様の効果を得ることができる。
【0039】
なお、
図8に示す形式では、両側にある補強材153の貫通部分を軸受として使用することでヒンジパイプ152を省略することもできるが、ヒンジバー157の寸法によっては熱変形への抵抗力が不足する事態も考えられ、図示のようにヒンジパイプを利用することが好ましい。
【0040】
他の変形として、図面には示していないが、ロストル盤151の背面に一対のレールを設け、この中に空気調整板をスライド移動可能にセットすることで燃焼室内への空気導入量を調節可能な開閉弁とすることができる。ロストル盤151の網部154(
図4参照)の存在によって空気は自在に導入可能であるが、例えば風が強く吹く場合などでは火力の調整が望ましいこともあり、このような調整可能な開閉弁があれば便利である。スライド式の代わりに、空気調整板をピボット回転式に取付けることも可能である。
【0041】
図9は、さらに他の態様のコンロ100aを示している。
図1ほかに示す先の実施の形態では、受外板155、差外板157をいずれも略台形形状とし、燃焼室部150を上に向けて拡開する逆四角錐台形状としていた。これに対し、
図11に示す態様では、受外板175、差外板176ともに略矩形状とし、燃焼室部170を上方に真っ直ぐ延びる四角柱形状としている。受外板175、差外板176の上縁には、各々ひさし部175a、176aを設け、鍋などの加熱用具の載置を容易にするとともに熱変形に対する強度増大を図っている。図面からも明らかなように、井桁形状のロストル盤並びに両外板175、176の縁部が何れも台座部120から延びる4本の支持柱123aにV字状にはまって位置決めされ、熱変形を相互に拘束していることのほか、その他の
図1に示す先の実施の形態の特性をいずれも備えたものである。なお、各ひさし部175a、176aの各両端側に穴を設けることで調整板160(
図1参照)の使用も可能である。
【0042】
図9に示すコンロ100aでは、その組立て手順は先に説明したコンロ100と若干異なる。当該コンロ100aでは、台座部120を組立てた後、燃焼室部170を台座部120と離れて別途組立てる。その手順は、ロストル盤を台等の上に置き、これにヒンジ固定された両受外板175を水平に開く。次に一対の差外板176の一端にある差込みフックをいずれか一方の受外板175の各差込みスリット内に途中まで差し込み、つぎに他方の受外板175を立ち上げつつ、その過程で両差外板176にあるもう一方の差込みフックをこの他方の受外板175の差込みスリット内に差し込み、最後に両差外板176を上方から受外板175に押し込んで固定する。これにより完成された燃焼室部170を台座部120に上方からはめ込んで位置決め固定し、コンロ100aが完成する。この最後のステップでは、台座部120から延びる周囲4本の支持柱123aに設けられた傾斜部123eが、燃焼室部170をはめ込む際のガイドの役割を果たす。
【0043】
さらに、図面には示していないが、
図1に示す逆四角円錐台形状と
図9に示す四角柱形状とを合わせた形状とすることもできる。すなわち、受外板と差外板の内のいずれか一方を略台形形状に、他方を略矩形形状に形成し、受外板に差外板を差し込むことで一方の外板の対が上方に向けて拡開し、他方の外板の対が真っ直ぐ上方にのびる燃焼室部を形成することも可能である。このように一定幅で上方に向かって拡開する燃焼室部の形状は、一般的に「台形柱形状」と呼ぶことができる。
【0044】
以上に示す本実施の形態に係る携帯用コンロ100、100aを従来技術、特には特許文献2に示すコンロと比較した場合の利点をまとめれば、以下のようになる。
(1)受外板155がロストル盤151にヒンジ結合されていることから、受外板155の位置決めセットが不要となり、組立作業が簡略化されて短時間の組立てが可能となる。
(2)受外板155とロストル盤151のアセンブリが、補強材153とヒンジバー157の存在で井桁状に構成されているため、井桁の各交点を利用することで台座部120への取付けが容易でより短時間の組立てが可能となる。
(3)熱源に曝されるロストル盤151の周囲には、補強材153とヒンジバー157各一対が存在することにより剛性が増し、ロストル盤151の熱変形を最小限に納めることができる。
(4)組立て時の台箱のスライド式固定、分解時の台箱のスライド式収納を排除したことにより、各要素の熱変形に伴う差し込み不具合、引き抜き不具合が解消される。
(5)燃焼後の灰を台蓋122が受け、さらにその下にもう1つ余分に台箱121が存在しているため環境への影響が極小とし、また卓上などでの安全な使用が可能となった。
【0045】
次に、本発明の第2の実施の形態として、携帯用コンロ100のオプションとして使用可能な燻製器について説明する。
図10は、本実施の形態に係る燻製器200の全体概要を示している。燻製器200は、図示のように上下が抜けた筒状の中空四角柱形状の本体部210と、蓋230と、複数の支柱240とから構成されている。燻製器200の材料としては、周囲を囲むだけの強度があれば十分であることから、例えば厚紙や段ボールから形成することが重量を軽減できて好ましい。図示の例では、右手手前に位置する面(以下、この面を「正面」と呼ぶ。)で材料が二重に重なるよう計5面の長方形を折り曲げて筒状に形成されている。正面にはのぞき窓220が設けられ、窓カバー221が開閉可能である。窓カバー221には耳222が図示の例では3個設けられ、その内の1つの耳222aは窓カバー221の開閉ノブとして使用可能である。蓋230は、閉じた場合に本体部210の内部に差し込まれる支持片231が三方周囲に設けられ、その内の一箇所に開閉ノブ232が設けられている。開閉ノブ232は蓋230が閉じた際のストッパの役割も果たしている。手前左側の面と奥右側の面に示す破線は、非使用時に内側もしくは外側に折り畳んで搬送可能となるように設けられた折り目を示している。
【0046】
図11は、
図10に示す燻製器200の展開図である。まず本体部210は、上述のように筒状直方体を形成する矩形状の5面からなり、便宜的に図の左から順にA面〜E面と名付ける。本実施の形態の例では、各5面の矩形形状の概略寸法は200mm×265mmである。図の一点鎖線は組立て時の折り目を示し、B面とD面にある破線は上述した非使用時の折り畳み線を示している。この組立て時には、A面から順に一点鎖線を折り曲げ、A面〜D面までで直方体を形成した後、最後にA面の外側にE面を重ねて覆うことにより本体部210が完成する。このA面とE面が燻製器200の正面となる。A面からD面まで折り曲げるときに、A面の側端に設けられたノブ211をD面に設けられたスリット212に差し込み、最後にE面をA面に重ねたときにE面の側面に設けられたノブ213を折り曲げてA面に設けられたスリット214に差し込むことで本体部210の形状が確定する。ただし、これらのノブによらずにガムテープやホチキス、糊付けなど、他の方法を用いて形状を定めてもよく、また図示のノブ211、213を設ける場合においてもその数は任意である。
【0047】
A面にはのぞき窓220が打抜かれて開放している。さらにその上方には、折り曲げて使用される支柱固定部216が設けられ、そこには支柱240の数に応じた長穴217が穿孔されているが、これに関しては後述する。A面、C面、E面の下部に設けられて複数の穴218は空気取り入口である。C面の上方には支柱240の数に応じて設けられた支柱固定穴219が穿けられている。
【0048】
E面には上述したのぞき穴220用の窓カバー221が折り曲げて開閉可能となるように設けられている。窓カバー221には耳222、222aが付いているが、これは窓カバー221を一旦開いた後に閉じた際に閉鎖状態を維持する役割を果たす。閉じる際には背後にA面が存在しているため、耳に対応する部分の切欠きのないA面が窓カバー221閉鎖時のストッパの役割を果たしている。
【0049】
図12は、以上のように構成された本実施の形態に係る燻製器200を、先の実施の形態に示す携帯用コンロ100の上にセットした状態を断面で示している。燻製器200の中空四角柱状の断面は、四辺が上方に向けて拡開するコンロ100の燃焼室部150内にスッポリと納まる。この際の固定が不安定な場合は、例えば両端にクリップを付けたゴムバンドを上から被せるようにしてクリップを燃焼室部150の受外板155もしくは差外板156(いずれも
図4参照)に固定すればよい。
【0050】
燻製する食材類を吊るすための支柱240の取付けは、本実施の形態に係る燻製器200では容易である。先の
図11に示すように、A面には長穴217が穿孔された支柱固定部216が設けられている。
図12において、まずこの支柱固定部216の下面を燻製器200の内側方向に折り曲げて引き出す。次に支柱240の一端を対向する側の面(
図11のC面)にある支柱固定穴219に貫通させ、その後、支柱240の他端を支柱固定部216の長穴217に差し込む。この際、支柱240の他端はフック状に折り曲げられていることが好ましい。この一連の動作は蓋230を開けた状態で上方から内部を覗きながら行うことができ、特には支柱240の上記他端が長穴217に上方から差し込むだけとなるため、位置決めが極めて容易であり、作業が簡単となる。
【0051】
ロストル盤151の上には網部154を覆って空気の遮断が可能な受皿241が載せられ、その上に燃料となるスモークウッド242が置かれている。スモークウッド242は、燻煙材の原料となる木材を粉末にして結合剤で固めたもので、一旦着火すると燻煙を発して自家燃焼する材料である。なお、燻製には温燻と冷燻が知られており、スモークウッド242は主に冷燻として使用される。図面には示していないが、ロストル盤151の上に炭を置き、その上に更に櫓を組んで燻製用チップを入れた受皿241を載せて加熱することでコンロ100と燻製器200を温燻用として使用することもできる。
【0052】
なお、食材類は、支柱240を使用することなく、例えば燃焼炉150内に図示しない網台を別途設けてその上に食材類を置くなど、他の方法で配置してもよい。網台としては、4枚のステンレス板材からなる内燃板をさらに準備し、これを受外板155と差外板156と同様に差し込み式に組立てた空洞の四角柱状に形成して利用することができる。この4枚の内燃板からなる部材は、ダッジオーブンを用いて加熱する際の受け台としても使用可能である。以上のようにして燻製材と食材類を内部にセットし、蓋230を閉じることで燻製の準備が完了する。
【0053】
上記の燻製器200には、各種の変形、改造が可能である。まず、
図12ではコンロ100の燃焼室部150の内部に燻製器200をはめてセットするようにしているが、他の態様ではコンロ100全体をスッポリ覆うように燻製器200を配置してもよい。この場合には、燻製用セット200の外形サイズは相対的に大型となる。また、
図10〜
図12に示す例では蓋230は本体部210と一体に形成されているが、蓋230を別部材としてこれを本体部210の上方から被せるようにしてもよい。加えて、本実施の形態では厚紙、段ボールを材料として使用しているが、これでも複数回の使用には耐えるものの、さらなる繰り返しが望まれる場合には、ヒンジ効果を備えた耐熱性のプラスチック材等、従来技術で知られた他の適切な材料が用いられてもよい。
【0054】
また、上記実施の形態では、本体部210の二重となる正面ではA面を内側に、E面を外側に配置してるが、これを逆にしてE面を内側に、A面を外側に配置した二重の正面としてもよい。この場合、支柱固定部216と窓220はA面の方に、窓カバー221はE面の方に設けるものとなる。さらに、
図11、
図12では、支柱固定部216を下から上へ開くような切欠きを入れているが、逆に上から下に開くような切欠きとすることもできる。
【0055】
さらに、
図12では、燻製器200を
図1に示す上方に向けて拡開する逆四角錐台形の燃焼室部150を備えたコンロ100の上に搭載して使用する例を示しているが、
図9に示す四角柱形の燃焼室部170を備えたコンロ100aに対しても同様にして使用可能である。この場合には、燻製器200をコンロ100aの頂辺に形成されたひさし部175a、176aの上に搭載すればよく、この際に固定が不安定な場合は、先の例と同様にして例えば両端にクリップを付けたゴムバンドを上から被せるようにしてクリップをひさし部175a、176aのいずれかに固定すればよい。あるいはコンロ100a全体をスッポリ覆うように燻製器200を配置してもよいことも同様である。