【解決手段】ジッパーテープ20を備えた袋本体10の内面に、ジッパーテープ20より収納空間10C側に位置して、ジッパーテープ20より剛性の高いシート状の一対のスリーブ部30を積層形成する。ジッパーテープ20の係合部23の中央に、罫書き線状の係合薄肉部24を設ける。一対のスリーブ部30の中央に、係合薄肉部24と同一直線上に位置して、ジッパーテープ20の幅方向に罫書き線状のスリーブ薄肉部31を設ける。袋本体10の幅方向に押圧力を作用させると、一対のスリーブ部30がスリーブ薄肉部31で屈曲し、袋本体10を内側から四角筒状に膨れる状態とする。一対のスリーブ部30の屈曲により、係合部23の係合が係合薄肉部24から解除され、容易に開封できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような包装体では、スリーブが平行四辺形の筒状に折れ曲がることでジッパーテープの係合を解除するので、スリーブの折れ曲がりの際に、シッパーテープの雄雌が互いにスライドする状態から係合が解除する状態となり、係合が解除しにくい場合がある。この場合、繰り返しの係合解除操作で、厚紙に新たな折れ目が生じ、スリーブが筒状に折れ曲がることがより困難となって、良好に開封できなくなるおそれがある。
本発明は、容易に開封できるジッパーテープ体、係合部材付袋体、係合部材付袋体の製造方法、およびその製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のジッパーテープ体は、一対の帯状基部と、前記帯状基部にそれぞれ一連に設けられ互いに係脱可能な係合部と、前記帯状基部の幅方向の一縁に連続して設けられたシート状のスリーブ部と、を備え、前記係合部および前記スリーブ部のうちの少なくともいずれか一方には、前記帯状基部の長手方向に対応した方向における中間の位置に、前記帯状基部の幅方向に沿って弱め部が設けられていることを特徴とする。
【0006】
この発明では、帯状基部の長手方向の両端から長手方向を狭める方向に押圧力を作用すると、弱め部により、弱め部が設けられたスリーブ部や係合部で屈曲が開始し、スリーブ部や係合部および帯状基部の屈曲に応じて、係合部の係合が解除することとなり、係合部の係合解除が容易にできる。
【0007】
そして、本発明では、前記弱め部は、係合部に設けられている構成とすることもできる。
この発明では、係合部に弱め部を設けることで、押圧力を作用した際、弱め部の位置から屈曲するとともに係合の解除が開始するので、容易に係合部の解除ができる。
【0008】
本発明のジッパーテープ体は、一対の帯状基部と、前記帯状基部にそれぞれ一連に設けられ互いに係脱可能な係合部と、前記帯状基部の幅方向の一縁に連続して設けられたシート状のスリーブ部と、を備え、前記係合部および前記スリーブ部には、前記帯状基部の長手方向に対応した方向における中間の位置に、前記帯状基部の幅方向に沿って弱め部がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0009】
この発明では、帯状基部の長手方向の両端から長手方向を狭める方向に押圧力を作用すると、スリーブ部が弱め部で屈曲する状態となり、スリーブ部の屈曲に応じて、係合部は弱め部で屈曲が開始されて係合が解除することとなり、係合部の係合解除が容易にできる。
【0010】
ここで、弱め部としては、例えば他の部分に比べて薄肉、欠落、破線状に孔を連ねたいわゆるミシン目である目打ち、破線状に凹部を連ねたものなどの他、他の部分より柔らかい部材にて形成するなど、その部分で係合部やスリーブ部が屈曲しやすいように、他の部位より剛性が弱い、例えば曲げ弾性率が小さい構成である。
さらに、弱め部は、帯状基部の幅方向に沿った直線状に設ける他、波形状やジグザグ状などの曲線状に設けてもよく、1箇所のみならず、複数箇所設けてもよい。
また、弱め部が設けられる中間の位置とは、帯状基部の長手方向の両端部分には位置せず、長手方向の両端部分間のいずれの位置が含まれる。
また、スリーブ部は、帯状基部より剛性が高い構成とすることもできる。すなわち、スリーブ部の剛性が帯状基部より高い、例えば曲げ弾性率を帯状基部より大きくすることで、押圧力が作用されてスリーブ部が弱め部で屈曲する際、帯状基部も対応して屈曲することとなり、係合部の係合解除が容易にできる。
【0011】
そして、本発明では、前記弱め部は、同一直線上に位置して設けられている構成とすることもできる。
この発明では、押圧力を作用した際、スリーブ部と係合部とが、同一直線上に位置する弱め部で屈曲する状態となり、係合部の係合解除に押圧力を効率良く利用できる。
【0012】
また、本発明では、前記弱め部は、前記帯状基部の長手方向に対応した方向における中央の位置に設けられている構成とすることもできる。
この発明では、押圧力を作用した際、スリーブ部と係合部とが、中央で屈曲する状態となり、係合部の係合解除に押圧力を効率良く作用できる。
【0013】
さらに、本発明では、前記弱め部は、凹溝状の薄肉部である構成とすることもできる。
この発明では、簡単な構成で係合部の係合解除が容易にできる。
ここで、凹溝状とは、断面C字状、U字状、断面V字状など、その位置で他の部位より肉薄となる構成である。
【0014】
そして、本発明では、前記薄肉部は、前記帯状基部における前記係合部が設けられた側と同じ側に向けて次第に幅広となる罫書き線状に形成されている構成とすることもできる。
この発明では、押圧力を作用した際、一対の帯状基部が離間する方向にスリーブ部および係合部が屈曲する状態となり、係合部の係合解除に押圧力を効率良く作用できる。
【0015】
また、本発明では、前記弱め部は、破線状に連なる複数の孔または凹部である構成とすることもできる。
この発明では、簡単な構成で係合部の係合解除が容易にできる。
【0016】
そして、本発明では、前記係合部は、雄部および雌部を備え、前記雄部は、前記帯状基部に対して前記スリーブ部が設けられた側に突出する第一雄側爪と、前記第一雄側爪とは反対側に突出する第二雄側爪とを有し、前記雌部は、前記第一雄側爪が係合可能な第一雌側爪と、前記第二雄側爪が係合可能な第二雌側爪とを有し、前記第一雄側爪は、前記雄部が設けられた帯状基部に対向する斜面を有し、前記斜面の接線と、前記雄部が設けられた帯状基部の垂線とのなす角αが90°より大きい角度に形成され、前記第二雄側爪は、前記雄部が設けられた帯状基部に対向する斜面を有し、前記斜面の接線と、前記雄部が設けられた帯状基部の垂線とのなす角βが90°より小さい角度に形成されている構成とすることもできる。
この発明では、雄部のスリーブ部が設けられた側の第一雄側爪を断面山形形状で、雄部の反対側の第二雄側爪を断面鉤形状に突出する形状とすることができる。このため、押圧力を作用した際、第一雄側爪と第一雌側爪とは強く係合することなく係合が外れ、係合部の係合解除がより容易となる。
【0017】
また、本発明では、前記弱め部は、前記帯状基部の幅方向に沿った直線状に設けられている構成とすることもできる。
この発明では、弱め部を帯状基部の幅方向に沿った直線状に設けることで、押圧力による弱め部の位置での屈曲が、簡単な構成で容易に得られる。
【0018】
本発明の係合部材付袋体は、被包装物を収納可能な収納空間を有する袋本体と、前記袋本体の内面に接合され互いに係合可能な対をなす帯状の係合部材と、前記袋本体に前記係合部材より前記収納空間側に位置して設けられたスリーブ部と、を備え、前記係合部材および前記スリーブ部には、前記係合部材の長手方向に対応した方向における中間の位置に、前記係合部材の幅方向に沿って弱め部がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0019】
この発明では、帯状基部の長手方向の両端から長手方向を狭める方向に袋本体に押圧力を作用すると、スリーブ部が弱め部で屈曲して袋本体が膨らむように広がる状態となり、スリーブ部の屈曲に応じて、係合部は弱め部で屈曲が開始されて係合が解除することとなり、係合部の係合解除が容易にでき、袋体を容易に開封できる。
【0020】
本発明の係合部材付袋体は、被包装物を収納可能な収納空間を有する袋本体と、前記袋本体の内面に接合され互いに係合可能な対をなす帯状の係合部材と、前記袋本体に前記係合部材より前記収納空間側に位置して設けられたスリーブ部と、を備え、前記係合部材および前記スリーブ部のうちの少なくともいずれか一方には、前記係合部材の長手方向に対応した方向における中間の位置に、前記係合部材の幅方向に沿って弱め部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
この発明では、帯状基部の長手方向の両端から長手方向を狭める方向に袋本体に押圧力を作用すると、弱め部により、弱め部が設けられたスリーブ部や係合部材で屈曲が開始し、スリーブ部や係合部材の屈曲に応じて、係合部材の係合が解除することとなり、係合部材の係合解除が容易にできる。
【0022】
そして、本発明では、前記弱め部は、少なくとも係合部に設けられている構成とすることもできる。
この発明では、少なくとも係合部に弱め部を設けることで、押圧力を作用した際、弱め部の位置から屈曲するとともに係合の解除が開始し、係合部材の係合解除が容易にできる。
【0023】
ここで、接合としては、ヒートシールに限らず、超音波による溶着、接着剤などを用いた接着など、各種方法を利用できる。
また、スリーブ部は、係合部材より剛性が高い構成とすることもできる。すなわち、スリーブ部の剛性が係合部材より高い、例えば曲げ弾性率を係合部材より大きくすることで、押圧力が作用されてスリーブ部が弱め部で屈曲する際、係合部材も対応して屈曲することとなり、係合部材の係合解除が容易にできる。
【0024】
そして、本発明では、前記係合部材は、前記袋本体の内面にそれぞれ接合される一対の帯状基部と、前記帯状基部にそれぞれ一連に設けられ互いに係脱可能な係合部とを備えたジッパーテープである構成とすることもできる。
この発明では、袋本体の開封および再封止が容易で汎用性が高いジッパーテープを用いるので、製袋が容易で各種被包装物の収納に適用できる。
【0025】
また、本発明では、前記係合部は、雄部および雌部を備え、前記雄部は、前記収納空間側に突出する第一雄側爪と、前記第一雄側爪とは反対側に突出する第二雄側爪とを有し、前記雌部は、前記第一雄側爪が係合可能な第一雌側爪と、前記第二雄側爪が係合可能な第二雌側爪とを有し、前記第一雄側爪は、前記雄部が設けられた帯状基部に対向する斜面を有し、前記斜面の接線と、前記雄部が設けられた帯状基部の垂線とのなす角αが90°より大きい角度に形成され、前記第二雄側爪は、前記雄部が設けられた帯状基部に対向する斜面を有し、前記斜面の接線と、前記雄部が設けられた帯状基部の垂線とのなす角βが90°より小さい角度に形成されている構成とすることもできる。
この発明では、雄部における袋本体の収納空間側の第一雄側爪を断面山形形状で、雄部の反対側の第二雄側爪を断面鉤形状に突出する形状とすることができる。このため、袋本体に押圧力を作用した際、第一雄側爪と第一雌側爪とは強く係合することなく係合が外れ、係合部の係合解除が容易となる。
【0026】
そして、本発明では、前記スリーブ部は、前記係合部材より剛性が高いシート状に形成され、前記袋本体の内面に対向して一対積層形成された構成とすることもできる。
この発明では、袋本体に押圧力を作用した際、袋本体を膨らませるようにスリーブ部が袋本体の内面側で屈曲する状態となり、係合部の係合解除に押圧力を効率良く作用できる。
【0027】
また、本発明では、前記弱め部は、同一直線上に位置して設けられている構成とすることもできる。
この発明では、袋本体に押圧力を作用した際、スリーブ部と係合部とが、同一直線上に位置する弱め部で屈曲する状態となり、係合部の係合解除に押圧力を効率良く作用できる。
【0028】
さらに、本発明では、前記弱め部は、前記係合部材の長手方向に対応した方向における中央の位置に設けられている構成とすることもできる。
この発明では、袋本体に押圧力を作用した際、スリーブ部と係合部とが、中央で屈曲する状態となり、係合部の係合解除に押圧力を効率良く作用できる。
【0029】
また、本発明では、前記弱め部は、凹溝状の薄肉部である構成とすることもできる。
この発明では、簡単な構成で容易な開封が得られる。
【0030】
そして、本発明では、前記薄肉部は、前記係合部材における互いに係合する面側に向けて次第に幅広となる罫書き線状に形成されている構成とすることもできる。
この発明では、袋本体に押圧力を作用した際、互いの係合が離間する方向にスリーブ部および係合部が屈曲する状態となり、係合部の係合解除に押圧力を効率良く作用できる。
【0031】
また、本発明では、前記弱め部は、破線状に連なる複数の孔または凹部である構成とすることもできる。
この発明では、簡単な構成で容易な開封が得られる。
【0032】
さらに、本発明では、前記弱め部は、前記係合部材の幅方向に沿った直線状に設けられている構成とすることもできる。
この発明では、弱め部を係合部材の幅方向に沿った直線状に設けることで、押圧力による弱め部の位置での屈曲が、簡単な構成で容易に得られる。
【0033】
本発明の係合部材付袋体は、被包装物を収納可能な収納空間を有する袋本体と、前記袋本体の内面に接合された本発明のジッパーテープ体と、を具備し、前記ジッパーテープ体は、前記スリーブ部が前記係合部より前記収納空間側に位置して接合されたことを特徴とする。
【0034】
この発明では、袋本体に押圧力を作用すると、係合部の係合解除が容易にできる本発明のジッパーテープ体を備えるので、袋体を容易に開封できる。
【0035】
本発明の係合部材付袋体の製造方法は、少なくとも一枚のフィルムから構成され、被包装物を収納可能な収納空間を有する袋本体と、前記袋本体の内面に接合され互いに係合可能な対をなす帯状の係合部材と、前記袋本体に前記係合部材より前記収納空間側に位置して設けられたスリーブ部と、を備えた係合部材付袋体を製造する製造方法であって、前記フィルムを重なり合わせて送出する工程と、前記係合部材を送出する工程と、帯状のスリーブ部材を送出する工程と、前記スリーブ部材を幅方向の中間位置で一対の帯状スリーブに分離する工程と、前記係合部材と前記スリーブ部材または前記帯状スリーブとのうちの少なくともいずれか一方に、弱め部を形成する工程と、前記スリーブ部材または前記帯状スリーブの送出方向で所定間隔に打抜または薄肉加工する工程と、前記打抜または薄肉加工が設けられた一対の帯状スリーブを、前記重なり合うフィルムに接合する工程と、前記係合部材を前記重なり合うフィルムに接合する工程と、前記帯状スリーブおよび前記係合部材が接合されて重なり合うフィルムを、前記打抜または薄肉加工した位置で接合する工程と、前記フィルムを接合した位置で切断する工程と、を実施することを特徴とする。
【0036】
この発明では、所定間隔で打抜または薄肉加工が設けられ、帯状のスリーブ部材から分離された一対の帯状スリーブを、係合部材とともにフィルムに接合する。打抜または薄肉加工の位置で、重なり合うフィルムを接合する。フィルムの接合の位置では、打抜または薄肉加工により、介在する帯状スリーブの存在量が少なくなり、フィルムが良好に接合される。フィルムの接合位置で切断して、スリーブ部および係合部材を備えた係合部材付袋体を製袋する。このことにより、フィルムの接合不良を生じることなく、開封が容易な係合部材付袋体を製袋でき、歩留まりを向上できる。
【0037】
ここで、打抜または薄肉加工を実施するタイミングとしては、スリーブ部材に打抜または薄肉加工を施してから分離しても、スリーブ部材から一対の帯状スリーブに分離した後に打抜または薄肉加工を施してもよい。さらに、スリーブ部材に打抜または薄肉加工を施す際、スリーブ部材をあらかじめ幅方向で折り返した後に実施してもよい。すなわち、重なり合うフィルムに接合される前に、打抜または薄肉加工が設けられた一対の帯状スリーブの構成としておけばよい。
そして、打抜または薄肉加工する形状としては、円形、楕円形、台形、ひし形、正方形、長方形、スリット状、破線状など、各種形状とすることができる。
また、弱め部の形成は、打抜または薄肉加工の前もしくは後のいずれに実施してもよい。さらに、一対の帯状スリーブに分離した後に弱め部を形成してもよい。そして、弱め部は、スリーブ部材または帯状スリーブに設ける場合に限らず、係合部材にのみ設けたり、係合部材と、スリーブ部材または帯状スリーブとの双方に設けたりしてもよい。
さらに、一対の帯状スリーブへの分離としては、刃物による切断の他、引き裂くなどにより分離してもよい。そして、刃物としては、カッターナイフの刃や回転刃など、いずれのものを用いることができる。
そして、係合部材を送出する工程と、スリーブ部材を送出する工程とは、例えば本発明のジッパーテープ体を送り出し、係合部材とスリーブ部材とに分離し、それぞれを送り出す構成であってもよい。
【0038】
そして、本発明では、前記スリーブ部材または前記帯状スリーブに弱め部を形成する工程では、前記打抜または薄肉加工される位置の間に位置して、前記弱め部を形成させる構成とすることもできる。
この発明では、打抜または薄肉加工される位置の間に弱め部を形成することで、スリーブ部の幅方向の中間に弱め部が形成され、開封が容易な係合部材付袋体を提供できる。
【0039】
また、本発明では、前記スリーブ部材を一対の帯状スリーブに分離する工程の前に、前記スリーブ部材を幅方向に折り返す工程を実施する構成とすることもできる。
この発明では、スリーブ部材を幅方向に折り返した後、スリーブ部材を一対の帯状スリーブに分離することで、直線状に容易に分離できる。
【0040】
さらに、本発明では、前記スリーブ部材として、幅方向の中央に折り返し用凹溝が設けられたものを用いる構成とすることもできる。
この発明では、幅方向の中央に折り返し用凹溝を有したスリーブ部材を用いることで、スリーブ部材の折り返しが容易にできる。
【0041】
また、本発明では、前記スリーブ部材に弱め部を形成する場合、前記スリーブ部材を幅方向で折り返す工程を実施する前に実施する構成とすることもできる。
この発明では、スリーブ部材を幅方向に折り返す前に弱め部を形成することで、弱め部を容易に形成できる。
【0042】
さらに、本発明では、前記スリーブ部材を折り返す工程の後に、打抜または薄肉加工する工程を実施する構成とすることもできる。
この発明では、スリーブ部材を幅方向で折り返した後に打抜または薄肉加工することで、一対の帯状スリーブに一動作で打抜または薄肉加工を施すことができる。
ここで、打抜加工とすることで、フィルムの接合時に介在する帯状スリーブの存在量を少なくでき、フィルムを良好に接合できる。
【0043】
本発明の係合部材付袋体の製造装置は、少なくとも一枚のフィルムから構成され、被包装物を収納可能な収納空間を有する袋本体と、前記袋本体の内面に接合され互いに係合可能な対をなす帯状の係合部材と、前記袋本体に前記係合部材より前記収納空間側に位置して設けられたスリーブ部と、を備えた係合部材付袋体を製造する製造装置であって、前記フィルムを重ね合わせて送出するフィルム送出部と、前記係合部材を送出する係合部材送出部と、帯状のスリーブ部材を送出するスリーブ部材送出部と、前記スリーブ部材を幅方向の中間位置で一対の帯状スリーブに分離する分離部と、前記係合部材と前記スリーブ部材または前記帯状スリーブとのうちの少なくともいずれか一方に、弱め部を形成する弱め形成部と、前記スリーブ部材または前記帯状スリーブの送出方向で所定間隔に打抜または薄肉加工する加工部と、前記打抜または薄肉加工が設けられた一対の帯状スリーブを、前記重なり合うフィルムに接合するスリーブ接合部と、前記係合部材を前記重なり合うフィルムに接合する係合部材接合部と、前記帯状スリーブおよび前記係合部材が接合されて重なり合うフィルムを、前記打抜または薄肉加工した位置で接合するフィルム接合部と、前記フィルムを接合した位置で切断する切断部と、を具備することを特徴とする。
【0044】
この発明では、所定間隔で打抜または薄肉加工が設けられ、帯状のスリーブ部材から分離された一対の帯状スリーブを、係合部材とともにフィルムに接合する。打抜または薄肉加工の位置で、重なり合うフィルムを接合する。フィルムの接合の位置では、打抜または薄肉加工により、介在する帯状スリーブの存在量が少なくなり、フィルムが良好に接合される。フィルムの接合位置で切断して、スリーブ部および係合部材を備えた係合部材付袋体を製袋する。このことにより、フィルムの接合不良を生じることなく、開封が容易な係合部材付袋体を製袋でき、歩留まりを向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の係合部材付袋体に係る一実施形態のジッパーテープ付袋体について、図面に基づいて説明する。
本実施形態では、ジッパーテープ付袋体としては、食品、薬品、医療品、文具、雑貨などの各種物品を包装する包装体を例示できるが、この限りではない。
【0047】
[ジッパーテープ付袋体の構成]
図1には、ジッパーテープ付袋体の平面が示されている。
図2には、ジッパーテープ付袋体の
図1におけるII-IIの位置での断面が示されている。
図3には、ジッパーテープ付袋体のジッパーテープ近傍の断面が示されている。
図4には、ジッパーテープの薄肉部近傍の斜視図が示されている。
図5には、ジッパーテープ付袋体1の
図1におけるIII-IIIの位置での断面が示されている。
図1および
図2において、ジッパーテープ付袋体1は、例えば三方製袋方法により形成され、平面視で矩形状とされ被包装物Pを収納可能な袋本体10と、袋本体10の内面に、接合である取り付け例えばヒートシールされた係合部材としてのジッパーテープ20と、袋本体10の内面に接合された一対のスリーブ部30と、を備えている。
【0048】
(袋本体の構成)
袋本体10は、フィルムである基材フィルム11A,11B(
図1では、11Aのみ示す)が重ね合わされ、その周縁に一対のサイドシール部12、トップシール部13およびボトムシール部14が形成されている。
そして、袋本体10は、サイドシール部12、トップシール部13およびボトムシール部14により、内部に被包装物P(
図1参照)が収納される収納空間10Cが区画形成される。
【0049】
この袋本体10の対向する基材フィルム11A,11Bに、ジッパーテープ20が取り付けられている。
なお、袋本体10のサイドシール部12のうち、ジッパーテープ20の長手方向の両端は、平坦化された図示しないポイントシール部とされている。
また、袋本体10には、ジッパーテープ20の長手方向の両端と、袋本体10のサイドシール部12の周縁とが交差する位置と、トップシール部13とサイドシール部12の周縁とが交差する位置との間に、ノッチ17が切り込み形成されている。
さらに、袋本体10には、サイドシール部12が設けられ両側で、ジッパーテープ20が設けられた位置より収納空間10C側に位置して、開封時に押圧する旨を報知する表示18が設けられている。
なお、袋本体10は、片手での開封を考慮して、幅寸法を手のひらより幅寸法が狭い、例えば20cm以下、好ましくは15cm以下、特に10cm以下とするとよい。幅寸法の下限は、特に規定されるものではないが、被包装物Pの出し入れが可能な寸法以上とする。
【0050】
基材フィルム11A,11Bとしては、例えば、(直鎖状)低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene:LLDPE)、ポリプロピレン(Polypropylene:PP)などの熱可塑性樹脂にて形成された単層または多層のフィルムを利用できる。多層のフィルムとしては、表基材に、二軸延伸したポリプロピレン(Oriented Polypropylene:OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、二軸延伸ナイロン(ONy)などを用いることができる。なお、多層フィルムとして、いわゆるガスバリアーや遮光などの目的で、アルミニウム蒸着やアルミニウム箔の積層など、無機系の層を備えた構成としてもよい。
また、基材フィルム11A,11Bは、包装体用材料であれば特に限定されないが、例えば厚み寸法が10μm以上200μm以下であることが好ましい。厚み寸法が10μm未満であると、シール強度、袋強度が弱くなる場合がある。一方、厚み寸法が200μmを超えると、袋強度が強くなって屈曲しにくくなり、開封しにくくなる場合がある。
【0051】
(ジッパーテープの構成)
ジッパーテープ20の要部断面が
図2〜4に示されている。
図2および
図3に示される通り、ジッパーテープ20は、互いに係脱可能とされた雄部材21と、雌部材22とを備えている。
雄部材21と雌部材22とは、基材フィルム11A、11Bの対向する内面に、それぞれヒートシールや接着などの適宜な方法で接合されている。
【0052】
雄部材21は、袋本体10の内面に接合、例えばヒートシールされる雄側帯状基部21Aと、雄側帯状基部21Aに連続する雄側鉤部としての雄部21Bと、を有する。雄部21Bは、雄側帯状基部21Aの長手方向(
図2の紙面貫通方向)に沿って形成されている。
雄部21Bは、収納空間10C側に突出する第一雄側爪21B1と、この第一雄側爪21B1とは反対側に突出する第二雄側爪21B2と、を有している。
第一雄側爪21B1は、雄側帯状基部21Aに対向する収納側斜面21B3を有し、この収納側斜面21B3の接線21B4と、雄側帯状基部21Aの垂線21B5とのなす角αが、90°より大きい角度の断面山形形状に形成されている。
一方、第二雄側爪21B2は、雄側帯状基部21Aに対向する開口側斜面21B6を有し、開口側斜面21B6の接線21B7と、雄側帯状基部21Aの垂線21B5とのなす角βが、90°より小さい角度の断面鉤形状に形成されている。
ここで、接線21B4は、収納側斜面21B3が平面であればその平面の接線であり、湾曲する面であれば、変曲点Sを通る接線である。接線21B7についても同様である。
【0053】
雌部材22は、袋本体10の内面に接合、例えばヒートシールされる雌側帯状基部22Aと、雌側帯状基部22Aから突出して設けられ、雄部21Bと係脱可能な雌側鉤部としての雌部22Bと、を有する。雌部22Bは、雌側帯状基部22Aの長手方向(
図2の紙面貫通方向)に沿って形成されている。
雌部22Bは、第一雄側爪21B1が係合可能な第一雌側爪22B1と、第二雄側爪21B2が係合可能な第二雌側爪22B2と、が対向するように形成されている。
そして、ジッパーテープ20は、雄部21Bと雌部22Bとにより、係脱可能な係合部23が構成される。
【0054】
そして、ジッパーテープ20は、長手方向の中間、例えば中央に位置して、雄部21Bおよび雌部22Bに、罫書き線状に形成された弱め部としての薄肉部である係合薄肉部24が設けられている。ここで、係合部23の係合解除が、袋本体10の開封時に最も広がる位置となる中央から始まることとなり、係合解除が容易にできることから、係合薄肉部24を中央に設けることが好ましい。
係合薄肉部24は、
図4に示すように、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの係合部23が設けられた側と同じ側に向けて、次第に幅広に拡径する罫書き線状、すなわち側面視で略V字状に切り欠かれたように形成されている。
なお、ジッパーテープ20のサイドシール部12の位置において、少なくともサイドシール部12の収納空間10C側の縁の位置で、熱潰しなどにより厚さ寸法を薄く形成しておくとよい。この構成とすることで、係合部23の係合を解除した際、サイドシール部12の収納空間10C側から、雄部材21および雌部材22が離間して大きく開口できるので好ましい。なお、
図4は、説明の都合上、側面視での略V字状形状を誇張しているが、極端に大型に形成しなければ切込を入れた程度では封止性は損なわれない。
【0055】
このようなジッパーテープ20は、例えばポリオレフィン系樹脂を用いて形成されている。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(H−PP)、ブロックポリプロピレン(B−PP)、ランダムポリプロピレン(R−PP)、プロピレン−エチレン−ブテン1ランダム三元共重合体などが利用できる。
なお、ジッパーテープ20としては、雄部21Bおよび雌部22Bとして、例えばポリオレフィン系樹脂、具体的には高密度ポリエチレン樹脂100質量部に対して、無機充填物0.1質量部以上40質量部以下を添加した樹脂組成物で形成することもできる。このような組成物とすることで、係合部23に係合薄肉部24をプレス形成などした際に、その形状を保持する形状保持性を付与できる。
無機充填物としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、造核剤(結晶促進剤)、沈降性硫酸バリウム、ワラストナイト、モンモリロナイトからなる群の中から、一又は二以上を任意に選択することができる。特にタルクが好ましい。さらに、タルクに加えて、無機系の造核剤を添加すると、形状保持性の性能が向上する。ここで、無機系の造核剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン用の造核剤を用いることが好ましい。
【0056】
スリーブ部30は、
図1,2,5に示すように、ジッパーテープ20の雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの剛性より高い、具体的には曲げ弾性率が大きいシート状に形成されている。そして、スリーブ部30は、袋本体10の内面に、ジッパーテープ20より収納空間10C側に位置して積層して接合、例えばヒートシールされている。
ここで、曲げ弾性率は、JIS K 7171に準拠して測定すればよい。
スリーブ部30は、一縁がサイドシール部12に位置しないように設けられていることが好ましい。この構成とすることで、袋本体10に
図7に示す矢印の方向で押圧力を作用させた際、一対のスリーブ部30が屈曲して、一対のスリーブ部30におけるサイドシール部12側の縁が大きく離間する状態にできる。このため、押圧力を袋本体10を四角筒状に膨らませることに効力よく作用できる。
【0057】
スリーブ部30には、ジッパーテープ20の長手方向となる袋本体10の幅方向の中間、例えば中央の位置に、ジッパーテープ20の幅方向に沿って直線状に、弱め部としての薄肉部であるスリーブ薄肉部31が設けられている。
スリーブ薄肉部31は、
図5に示すように、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの係合部23が設けられた側と同じ側に向けて、次第に幅広に拡径する罫書き線状、すなわち側面視で略V字状に切り欠かれたように形成されている。
【0058】
ここで、スリーブ薄肉部31は、袋本体10に押圧力が作用された際に、スリーブ部30の屈曲性が容易となることから、直線状に設けることが好ましい。
さらに、スリーブ薄肉部31は、袋本体10の開封時に最も広がる位置となる中央が屈曲しやすいことから、スリーブ薄肉部31を中央に設けることが好ましい。
また、スリーブ薄肉部31は、スリーブ部30の剛性がスリーブ薄肉部31の位置では弱められ、
図1中に示す矢印方向に押圧力が作用された際に、スリーブ部30がスリーブ薄肉部31の位置で屈曲可能な深さに形成されている。具体的には、スリーブ薄肉部31の深さは、スリーブ部30の厚さ寸法に対して、50%以上の深さである。
【0059】
このようなスリーブ部30は、例えばポリオレフィン系樹脂を用いて形成されている。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(H−PP)、ブロックポリプロピレン(B−PP)、ランダムポリプロピレン(R−PP)、プロピレン−エチレン−ブテン1ランダム三元共重合体などが利用できる。
なお、スリーブ部30としては、例えばポリオレフィン系樹脂、具体的には高密度ポリエチレン樹脂100質量部に対して、無機充填物0.1質量部以上40質量部以下を添加した樹脂組成物で形成することもできる。このような組成物とすることで、スリーブ部30にスリーブ薄肉部31をプレス形成などした際に、その形状を保持する形状保持性を付与できる。なお、添加する無機充填物に関しては、上記係合部23の場合と同様である。
【0060】
そして、ジッパーテープ付袋体1は、サイドシール部12およびトップシール部13が設けられたジッパーテープ付袋1A(
図6参照)が製造され、このジッパーテープ付袋1Aの開口する図示しない投入口から被包装物Pが投入される。この後、ボトムシール部14が設けられて投入口が封止されることで、被包装物Pを収納したジッパーテープ付袋体1が得られる。
【0061】
[ジッパーテープ付袋体の製造]
次に、上記のジッパーテープ付袋体1を製造する動作として、被包装物Pを収納する前のジッパーテープ付袋1Aを製造する動作について、図面を参照して説明する。なお、ジッパーテープ付袋1Aを製造するには、種々の方法を採用することができる。
図6には、ジッパーテープ付袋を製造する製造装置の概略構成図が示されている。
【0062】
(製造装置)
図6に示す製造装置5は、いわゆる三方製袋機を基本構成とするもので、雄部材21および雌部材22と、一対のスリーブ部30とを、基材フィルム11A、11Bにそれぞれ接合し、ジッパーテープ付袋1Aを製袋するものである。
製造装置5は、基材フィルム11A、11Bを送り出すフィルム送出部であるフィルム供給部51と、雄部21Bおよび雌部22Bが係合されたジッパーテープ20を送り出す係合部材送出部である一対のテープ供給部52と、一対のスリーブ部30を送り出すスリーブ部材送出部であるスリーブ部材供給機構53と、雄部材21および雌部材22と、一対のスリーブ部30とを、基材フィルム11A,11Bにそれぞれヒートシールし、袋本体10を製袋してジッパーテープ付袋1Aを形成させる製袋部54と、などを備えている。
【0063】
フィルム供給部51は、フィルム11を巻回したフィルム巻取ロール111が着脱可能に装着され、フィルム11を図示しない切断刃などにて基材フィルム11A,11Bに切断し、得られた基材フィルム11A,11Bを重ね合わせて送り出す。
なお、基材フィルム11A,11Bの送り出しは、例えば連続的に一定速度で送り出す構成に限らず、間欠的に送り出す構成とするなど、いずれの送出方法を適用できる。
【0064】
テープ供給部52は、ジッパーテープ20を巻回したテープ巻取ロール521を着脱可能に装着し、ジッパーテープ20を送り出す。送り出されたジッパーテープ20は、基材フィルム11A,11Bが送り出される方向に対して側方からそれぞれ供給され、配置されたローラなどにより、所定位置で基材フィルム11A,11Bが送り出される方向に曲げられ、基材フィルム11A,11Bの間に送り出される。
ジッパーテープ20の送り出しは、例えば連続的に一定速度で送り出す構成に限らず、間欠的に送り出す構成とするなど、いずれの送出方法を適用できる。
【0065】
スリーブ部材供給機構53は、切り出しにより一対のスリーブ部30となるスリーブ部材であるスリーブ原反301を巻回した原反ロール531を着脱可能に装着し、スリーブ原反301を送り出す。スリーブ部材供給機構53には、図示しない刃押圧部を備えている。刃押圧部は、送り出されたスリーブ原反301に、スリーブ薄肉部31を設ける。スリーブ薄肉部31が設けられたスリーブ原反301は、折り返された後に帯状スリーブである二対のスリーブ部30に切断される。そして、二対のスリーブ部30は、基材フィルム11A,11Bが送り出される方向に対して側方から供給される。この後、配置されたローラなどにより、一対ずつ重ね合わされた状態で、所定位置で基材フィルム11A,11Bが送り出される方向に曲げられ、基材フィルム11A,11Bの間にそれぞれ送り出され、仮接合される。ここで、仮接合としては、例えばヒートシールの他、超音波による溶着、接着剤などを用いた接着など、各種方法が利用できるが、装置の構成などの点で超音波による溶着が好ましい。
スリーブ部30の送り出しは、例えば連続的に一定速度で送り出す構成に限らず、間欠的に送り出す構成とするなど、いずれの送出方法を適用できる。
【0066】
製袋部54は、テープ供給部52から送り出されたジッパーテープ20の雄部材21および雌部材22を、基材フィルム11A,11Bにそれぞれヒートシールする係合部材接合部である一対のシールバー541と、スリーブ部材供給機構53から送り出された一対のスリーブ部30を、基材フィルム11A,11Bにそれぞれヒートシールするスリーブ接合部である図示しない一対のシールバーと、ジッパーテープ20の雄部21Bおよび雌部22Bに、係合薄肉部24を設ける図示しない刃押圧部と、重なり合う基材フィルム11A,11Bにトップシール部13を形成するトップシールバー543と、重なり合う基材フィルム11A,11Bにサイドシール部12を形成するとともに、スリーブ部30を基材フィルム11A,11Bに接合、例えばヒートシールするフィルム接合部であるサイドシールバー544と、ジッパーテープ付袋1Aを切り出す第一切断部545および第二切断部546と、などを備えている。
【0067】
なお、ジッパーテープ20に係合薄肉部24を設ける刃押圧部は、製袋部54に設ける場合に限らず、例えばテープ供給部52に設け、基材フィルム11A,11B間にジッパーテープ20を送り出す前に係合薄肉部24を形成するようにしてもよい。
また、一対のスリーブ部30を基材フィルム11A,11Bにヒートシールするサイドシールバー544は、サイドシール部12とともに一動作でスリーブ部30をヒートシールする構成に限らず、サイドシールバー544とは別体のシールバーを用いてシールしてもよい。また、スリーブ部30の全面をヒートシールする場合に限らず、例えば周縁のみをヒートシールする構成、周縁と中心部分とをヒートシールする構成などとしてもよい。
【0068】
なお、基材フィルム11A,11Bと、雄部材21および雌部材22との接合は、ヒートシールに限らず、超音波による溶着、接着剤などを用いた接着など、各種方法を利用できる。基材フィルム11A,11Bと、一対のスリーブ部30との接合についても同様である。
そして、製造装置5の次工程として、形成されたジッパーテープ付袋1Aに被包装物Pを充填する充填装置(図示せず)が備えられている。
【0069】
(ジッパーテープ付袋体の製造方法)
次に、ジッパーテープ付袋体1の被包装物Pを収納する前のジッパーテープ付袋1Aを、上記製造装置5を用いて製造する製造方法について、図面を参照して説明する。
【0070】
ジッパーテープ付袋1Aの製造方法は、例えば
図6に示す三方製袋する製造装置5を用いて製造され、フィルム11を供給するフィルム供給工程と、ジッパーテープ20を供給するテープ供給工程と、一対のスリーブ部30を供給するスリーブ供給工程と、雄部材21および雌部材22を、基材フィルム11A,11Bにそれぞれヒートシールするテープ取付工程と、ジッパーテープ20の雄部21Bおよび雌部22Bに、係合薄肉部24を設ける罫書き形成工程と、基材フィルム11A,11Bからジッパーテープ付袋1Aを形成させる製袋工程と、などを実施する。
【0071】
まず、フィルム11を巻回したフィルム巻取ロール111をフィルム供給部51に装着しておく。
また、雌部材22と、雄部材21とを、それぞれ押出成形などによって成形しておく。そして、雌部材22の雌部22Bと、雄部材21の雄部21Bとが係合され、一体のジッパーテープ20としてテープ巻取ロール521に巻回し、テープ巻取ロール521をテープ供給部52に装着しておく。
さらに、スリーブ原反301を巻回した原反ロール531を、スリーブ部材供給機構53に装着しておく。
【0072】
そして、フィルム供給工程では、フィルム巻取ロール111から供給されるフィルム11を、切断刃などにより、フィルム11の送り出し方向に対して、交差する方向で二等分するようにフィルム11を切断する。この切断により、基材フィルム11A,11Bが切り出され、重ね合わされて下流側に送り出される。
【0073】
また、テープ供給工程では、フィルム供給工程で二枚に重ね合わされて送り出された基材フィルム11A,11B間に、テープ巻取ロール521から引き出されたジッパーテープ20を送り出す。
さらに、スリーブ供給工程では、送り出された基材フィルム11A,11B間に、原反ロール531から引き出されたスリーブ原反301を送り出しつつ、スリーブ薄肉部31を設け、折り返して二対のスリーブ部30に切断する。切断された二対のスリーブ部30は、送り出された基材フィルム11A,11B間の所定位置に一対ずつ送り出され、基材フィルム11A,11Bに仮接合される。
【0074】
テープ取付工程では、雄部材21および雌部材22を、シールバー541により、一方の基材フィルム11A,11Bにそれぞれヒートシールする。
罫書き形成工程では、ジッパーテープ20の雄部21Bおよび雌部22Bの所定位置に、図示しない弱め形成部である刃押圧部を押圧し、罫書き線状となる係合薄肉部24をそれぞれ設ける。
【0075】
製袋工程では、取付工程で雄部材21および雌部材22と一対のスリーブ部30とが取り付けられた基材フィルム11A,11Bに、トップシールバー543によりトップシール部13を形成する。さらに、サイドシールバー544により、サイドシール部12を一対形成するとともに、スリーブ部30を基材フィルム11A,11Bにヒートシールする。この後、ジッパーテープ20および一対のスリーブ部30が取り付けられた袋本体10を製袋し、ジッパーテープ付袋1Aが製造される。
そして、得られたジッパーテープ付袋1Aは、次工程の充填工程により、開口する図示しない投入口から被包装物Pが投入された後、投入口の縁に、ボトムシール部14が設けられて投入口が封止される。この充填工程により、被包装物Pを収納したジッパーテープ付袋体1が得られる。
なお、ジッパーテープ付袋1Aは、投入口側の縁には、スリーブ部30が位置しないことから、この位置での袋本体10の剛性は低いので、例えば吸引により投入口側を開いて被包装物Pを投入することが容易にできる。
【0076】
{ジッパーテープ付袋体の使用}
次に、上記ジッパーテープ付袋体1の使用状況を図面を参照して説明する。
図7には、ジッパーテープ付袋体のスリーブ部の位置での開封状態の断面が示されている。
【0077】
まず、使用者がジッパーテープ付袋体1から被包装物Pを最初に取り出すにあっては、ノッチ17から基材フィルム11A,11Bを引き裂いて、トップシール部13側を切除することで図示しない開口部が形成されて開封される。
この後、利用者は、袋本体10に設けられた一対の表示18の位置に、例えば親指と中指とを位置させる。そして、表示18に従って、ジッパーテープ20の長手方向の両端から長手方向を狭める方向に押圧力を作用、すなわち親指と中指との間を狭めるように袋本体10の幅方向に押圧力を作用させる。
この押圧力により、一対のスリーブ部30は、互いに対向する面で競り合って、
図7に示すように、剛性が低いスリーブ薄肉部31の位置で折れ曲がるように屈曲する状態となる。
【0078】
そして、袋本体10は、屈曲する一対のスリーブ部30により、内側から四角筒状に膨らむように、基材フィルム11A,11B間がスリーブ薄肉部31に対応する位置から広げられる状態となる。
このことにより、ジッパーテープ20の雄部材21および雌部材22についても、基材フィルム11A,11B間の広がり始めに対応する位置、すなわち係合薄肉部24の位置で袋本体10の収納空間10C側から広げられるように押圧力が作用する。このため、雄部21Bの断面山形形状の第一雄側爪21B1が、雌部材22の第一雌側爪22B1を乗り越えるようにして、係合薄肉部24の位置から比較的に小さい力で係合が外れ始め、係合部23の係合が解除されて、収納空間10Cが開放される。
そして、被包装物Pを取り出しあるいは収納した後は、再び雄部21Bおよび雌部22Bを係合させることで、袋本体10は再封止される。
なお、袋本体10の開口部側から開口縁を摘んで開封する通常の開封方法により、係合部23の係合を解除することもできる。
【0079】
[実施形態の効果]
上述したように、上記実施形態では、ジッパーテープ20の係合部23に剛性を低くさせる係合薄肉部24を設けるとともに、雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aより剛性が高いスリーブ部30に、剛性を低くさせるスリーブ薄肉部31を設けている。
このため、袋本体10に押圧力を作用すると、スリーブ部30がスリーブ薄肉部31で屈曲する状態となり、スリーブ部30の屈曲に応じて、係合部23も係合薄肉部24で屈曲が開始されて係合が解除する。したがって、係合部23の係合解除が容易にでき、ジッパーテープ付袋体1を片手で容易に開封できる。
【0080】
そして、上記実施形態では、雄部21Bが断面山形形状の第一雄側爪21B1および断面鉤形状の第二雄側爪21B2を有するジッパーテープ20を用い、第一雄側爪21B1がジッパーテープ20に対してスリーブ部30が位置する側となる収納空間10C側に突出するように袋本体10に設けている。
このため、袋本体10に押圧力を作用した際、第一雄側爪21B1が第一雌側爪22B1を乗り越えるようにして係合が外れるので、片手による係合部23の係合解除が小さい押圧力でもでき、より容易に開封できる。
【0081】
また、上記実施形態では、ジッパーテープ20よりも剛性が高いシート状のスリーブ部30を、袋本体10の内面に対向して一対積層形成している。
このため、袋本体10に押圧力を作用した際、袋本体10を膨らませるようにスリーブ部30が袋本体10の内面側で屈曲する状態となり、係合部23の係合解除に押圧力を効率良く作用でき、ジッパーテープ付袋体1を片手で容易に開封できる。
【0082】
そして、上記実施形態では、特にスリーブ薄肉部31をジッパーテープ20の幅方向に沿った直線状に形成している。
このため、袋本体10に押圧力を作用した際、スリーブ薄肉部31の位置で容易に屈曲でき、直線状に設ける簡単な構成のため、容易に形成できる。
【0083】
さらに、上記実施形態では、ジッパーテープ20の係合薄肉部24と、一対のスリーブ部30のスリーブ薄肉部31とを、同一直線上に位置して設けている。
このため、袋本体10に押圧力を作用した際、スリーブ部30とジッパーテープ20の係合部23とが、同一直線上の位置で屈曲する状態となり、係合部23の係合解除に押圧力を効率良く作用でき、容易に開封できる。
【0084】
そして、上記実施形態では、ジッパーテープ20の係合薄肉部24と、一対のスリーブ部30のスリーブ薄肉部31とを、ジッパーテープ20の長手方向に対応した方向における中央の位置に設けている。
このため、袋本体10に押圧力を作用した際、一対のスリーブ部30と係合部23とが、屈曲しやすい中央で屈曲する状態となり、係合部23の係合解除に押圧力を効率良く作用でき、容易に開封できる。
【0085】
また、係合薄肉部24およびスリーブ薄肉部31を、凹溝状、特に側面視で略V字状の罫書き線状に形成している。
このため、片手で容易に開封するための構成を容易に形成でき、簡単な構成で容易に開封できる。特に罫書き線状としているので、一対のスリーブ部30が互いに離間する方向に屈曲して、袋本体10を四角筒状に膨らませる状態が容易に得られ、簡単な構成で係合部23の係合解除が容易にできる。
【0086】
そして、袋本体10に設けた表示18により、押圧力を作用させる位置を表示している。
このため、片手操作により一対のスリーブ部30を屈曲させて係合部23の係合を解除させることがより容易となり、操作性を向上できる。
【0087】
[変形例]
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
なお、上記実施形態や以下の変形例の説明において、同一構成要素は同一符号を付して説明を省略もしくは簡略にする。
【0088】
そして、上記実施形態では、一対のスリーブ部30の中央にスリーブ薄肉部31を設けたが、屈曲により袋本体10を筒状に広げることが可能であれば中央に限らない。
また、1本のみ設けたが、1本に限られるものではない。
さらに、スリーブ部30を一対設ける場合に限られない。
そして、ジッパーテープ20およびスリーブ部30にそれぞれ弱め部を設けたが、ジッパーテープ20のみ、あるいはスリーブ部30のみに弱め部を設けてもよい。いずれか一方に設ける場合では、ジッパーテープ20に設けることが好ましい。すなわち、袋本体10に押圧力を作用した際、スリーブ部30が互いに離間するように屈曲しつつ、ジッパーテープ20の弱め部である係合薄肉部24から係合が解除するので、スリーブ部30に弱め部を設けた場合に比して、円滑な開封が得られるためである。
【0089】
また、本発明の弱め部としては、罫書き線状や凹溝状に限らず、破線状に孔を連ねたいわゆるミシン目である目打ち、破線状に凹部を連ねたものとしたり、例えば
図8に示すように、他の部分より柔らかい部材32にて形成したりしてもよい。
そして、一対のスリーブ部30にスリーブ薄肉部31を設ける場合に限らない。例えば、
図9、あるいは
図10に示すように、
図5に示す実施形態の一対のスリーブ部30をスリーブ薄肉部31の位置で切断した4つのスリーブ部材30Aを用いる構成としても、同様の効果が得られる。
具体的には、
図9に示す実施形態では、スリーブ部材30Aの側縁を互いに当接させてスリーブ薄肉部31を構成する状態に袋本体10に接合してもよい。
一方、
図10に示す実施形態では、スリーブ部材30Aの側縁間に間隙33を設けて袋本体10に接合させ、間隙33と袋本体10の基材フィルム11A,11Bとにより、スリーブ薄肉部31を構成するようにしてもよい。
【0090】
さらに、スリーブ部30としては、一対設ける構成に限らず、偏平筒状や、
図11および
図12に示すような偏平C字状とした1つの部材としてもよい。
この
図11および
図12に示す実施形態のスリーブ部30は、第一スリーブ部35、連結部36および第二スリーブ部37を備え、偏平C字状に形成されている。具体的には、スリーブ部30は、幅寸法がサイドシール部12間の距離と略同寸法の第一スリーブ部35を備えている。第一スリーブ部35には、サイドシール部12に位置する両側から、第一スリーブ部35の厚さ寸法の略2倍の長さで、同方向にそれぞれ折り返された連結部36が設けられている。連結部36の折り返された先端縁には、第一スリーブ部35と平行に設けられた第二スリーブ部37がそれぞれ連続して設けられている。
なお、連結部36は、屈曲しやすくするために、第一スリーブ部35および第二スリーブ部37の厚さ寸法より薄くなるように形成される。
そして、第一スリーブ部35には、
図1〜
図7に示す実施形態と同様に、スリーブ薄肉部31が設けられている。また、一対の第二スリーブ部37は、それぞれ対向する縁間に間隙33が設けられる寸法に形成され、
図10に示す実施形態と同様に、間隙33と袋本体10の基材フィルム11B(11A)とにより、スリーブ薄肉部31を構成するようになっている。
【0091】
そして、袋本体10に押圧力が作用することで、
図12に示すように、スリーブ薄肉部31で第一スリーブ部35が屈曲するとともに、第二スリーブ部37間の基材フィルム11B(11A)が屈曲する。さらに、連結部36が第一スリーブ部35および第二スリーブ部37を広がるように屈曲する。これらの屈曲に対応して、ジッパーテープ20の雄部材21および雌部材22も係合薄肉部24の位置で屈曲し、係合部23の係合が解除されて、収納空間10Cが開放される。
この
図11および
図12に示す実施形態でも、上記実施形態と同様の効果を奏する。
なお、上記
図11および
図12に示す実施形態において、連結部36で屈曲しやすくするために薄肉とする連結部36としては、
図13および
図14に示す実施形態のように、外面側を薄肉に切欠形成したりしてもよい。さらには、連結部36で屈曲しやすくする構成としては、いわゆるミシン目である目打ちを設けたり、連結部36の部分を軟質の部材32にて形成したりしてもよい。
【0092】
また、スリーブ部30を1つの部材とした構成としては、例えば
図15および
図16に示すような偏平C字状としたものでもよい。
この
図15および
図16に示す実施形態のスリーブ部30は、一対の第一スリーブ部35と、連結部36とを備え、偏平C字状に形成されている。具体的には、スリーブ部30は、幅寸法がサイドシール部12間の距離と略同寸法の一対の第一スリーブ部35を備えている。一対の第一スリーブ部35には、サイドシール部12に位置する対向する一縁側が折り返されるように連結された連結部36が設けられている。
なお、連結部36は、屈曲しやすい構成とされていればよい。
さらに、第一スリーブ部35には、
図1〜
図7に示す実施形態と同様に、スリーブ薄肉部31がそれぞれ設けられている。
【0093】
そして、袋本体10に押圧力が作用することで、
図16に示すように、スリーブ薄肉部31で第一スリーブ部35がそれぞれ屈曲するとともに、連結部36が一対の第一スリーブ部35間を広がるように屈曲する。これらの屈曲に対応して、ジッパーテープ20の雄部材21および雌部材22も係合薄肉部24の位置で屈曲し、係合部23の係合が解除されて、収納空間10Cが開放される。
この
図15および
図16に示す実施形態でも、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0094】
さらに、スリーブ部30は、
図17に示すように、袋本体10の外面側に接合してもよい。
また、シート状のスリーブ部30を袋本体10に積層形成する場合に限らず、
図18に示すように、袋本体10の内面に一体に膨出する状態に設けてもよい。
さらに、
図19に示すように、ジッパーテープ20の雄側帯状基部21Aおよび雌側帯状基部22Aの一縁側、すなわち、袋本体10の収納空間10C側に対応する縁に、スリーブ部30を一体に設け、ジッパーテープ体20Aを構成してもよい。この
図19に示す構成では、ジッパーテープ体20Aを基材フィルム11A,11Bに接合すればよく、接合工程を削減でき、製造性の効率化を図ることができる。
さらに、製袋時にスリーブ部30を基材フィルム11A,11Bに接合する場合に限らない。例えば、ジッパーテープ付袋の内面に、被包装物Pを充填する前にスリーブ部30を投入口から挿入して接合することで、ジッパーテープ付袋1Aを形成したりするなど、製袋後にスリーブ部30を接合してもよい。
【0095】
また、上記実施形態において、袋本体10に表示18を設けたが、例えば
図20に示すように、押圧の作業性を向上させる目的で、押圧する位置に指を引っ掛ける操作凹部19を設けてもよい。なお、この
図20に示す実施形態においても、押圧を促す表示18を設けてもよい。
そして、上記実施形態において、袋本体10にジッパーテープ20あるいはジッパーテープ体20Aを取り付けたジッパーテープ付袋体1を例示したが、例えばジッパーテープ20に代えて、粘着テープ、面ファスナーなどの係合部材を用いてもよい。
【0096】
さらに、上記実施形態において、ジッパーテープ付袋体の製造に際して、例えば
図21に示すように、折り返しを容易とするための折り返し用凹溝301Aが設けられたスリーブ原反301を用いるとよい。このスリーブ原反301を用いた製造方法としては、例えば
図22に示すような三方製袋機である製造装置5が用いられる。なお、上記
図1〜
図7に示す実施形態と同一または同等の構成については、説明を省略もしくは簡略化する。
具体的には、製造装置5は、フィルム供給部51と、一対のテープ供給部52と、一対のスリーブ原反301を送り出すスリーブ部材供給機構53と、雄部材21および雌部材22と一対のスリーブ部30とを、基材フィルム11A,11Bにそれぞれヒートシールし、袋本体10を製袋してジッパーテープ付袋1Aを形成させる製袋部54と、などを備えている。
また、スリーブ部材供給機構53は、スリーブ原反301にスリーブ薄肉部31を設ける弱め形成部532と、スリーブ原反301を幅方向で折り返す折り返し機構部533と、スリーブ原反に打抜孔301Bを打抜加工する加工部534と、スリーブ原反301を一対の帯状スリーブに分離、例えば切断する分離部である切断刃535と、を備えている。
【0097】
そして、製袋に際しては、フィルム供給工程と、テープ供給工程と、スリーブ原反301を供給するスリーブ供給工程と、ジッパーテープ20および帯状スリーブ302を、基材フィルム11A,11Bにそれぞれヒートシールするテープ取付工程と、ジッパーテープ20の雄部21Bおよび雌部22Bに、係合薄肉部24を設ける罫書き形成工程と、基材フィルム11A,11Bからジッパーテープ付袋1Aを形成させる製袋工程と、などを実施する。
詳細には、フィルム11を巻回したフィルム巻取ロール111をフィルム供給部51に装着しておく。
また、雌部材22と雄部材21とを、それぞれ押出成形などによって成形しておく。そして、雌部材22の雌部22Bと雄部材21の雄部21Bとが係合され、一体のジッパーテープ20として、テープ巻取ロール521に巻回し、テープ巻取ロール521をテープ供給部52に装着しておく。
さらに、スリーブ原反301を巻回した原反ロール531を、スリーブ部材供給機構53に装着しておく。
【0098】
そして、フィルム供給工程では、フィルム巻取ロール111から供給されるフィルム11を、切断刃などにより、フィルム11の送り出し方向に対して、交差する方向で二等分するようにフィルム11を切断する。この切断により、基材フィルム11A,11Bが切り出され、重ね合わされて下流側に送り出される。
【0099】
また、テープ供給工程では、フィルム供給工程で二枚に重ね合わされて送り出された基材フィルム11A,11B間に、テープ巻取ロール521から引き出されたジッパーテープ20を送り出す。
ここで、テープ供給工程において、係合薄肉部24を設ける工程は、基材フィルム11A,11B間に送り出す前までに実施することで、係合薄肉部24を設けるための装置が他と干渉しにくく、装置構築が容易にできるので好ましい。なお、係合薄肉部24を設ける工程は、例えば基材フィルム11A,11B間に送り出した後、さらには基材フィルム11A,11Bにヒートシールした後に実施することもできる。
【0100】
さらに、スリーブ供給工程では、折り返し用凹溝301Aを有したスリーブ原反301に、所定間隔すなわち袋本体10の幅寸法の間隔で、弱め形成部532によりスリーブ薄肉部31を設ける罫書き形成工程(
図21(B))と、折り返し機構部533により折り返し用凹溝301Aでスリーブ原反301を幅方向で折り返す折り返し工程(
図21(C))と、スリーブ原反301に所定間隔すなわちサイドシール部12の位置となる袋本体10の幅寸法間隔で、加工部534により長孔状の打抜孔301Bを打抜加工する加工工程(
図21(D))と、スリーブ原反301を折り返し用凹溝301Aの位置で切断刃535により切断し、一対の帯状スリーブ302に分離する分離工程(
図21(E))と、を実施する。
【0101】
なお、ジッパーテープ20の罫書き形成工程(
図21(B))は、後述するテープ取付工程の前あるいは後に実施することもできる。特に、スリーブ薄肉部31の形成時に一括して形成することで、装置の小型化が図れる。
また、折り返し工程(
図21(C))では、固定片などにより折り曲げたり、回転ローラなどを用いて折り曲げたりするなど、折り返し機構部として各種の治具や装置構成を利用して、各種方法で実施できる。
そして、加工工程(
図21(D))では、打抜加工として、プレス加工の他、レーザー加工など、スリーブ原反301の一部を除去可能ないずれの加工方法を適用できる。打抜孔301Bは、後工程での帯状スリーブ302の幅方向に長手状に形成され、送り出される帯状スリーブ302が伸びたり、切断しない程度に、帯状スリーブ302の幅方向の両縁が残るように形成される。さらに、打抜孔301Bの幅寸法は、後工程のフィルム接合工程で、サイドシールバー544により基材フィルム11A,11Bをシールする幅寸法と、同等もしくは、フィルム11などの送りの誤差を考慮して若干幅広に形成することが好ましい。
さらに、分離工程(
図21(E))における切断刃535としては、カッターナイフの刃や回転刃など、各種の刃物が利用できる。特に、基材フィルム11A,11Bに切断する直前で切断することで、位置ずれや帯状スリーブ302の伸びなどの不都合を防止できるので、この位置に配置できる構成が好ましい。
そして、スリーブ供給工程では、切断された一対の帯状スリーブ302を、重ね合わされて送り出された基材フィルム11A,11B間の所定位置に、一対ずつ送り出す。
【0102】
この後、テープ取付工程では、ジッパーテープ20と帯状スリーブ302とを、シールバー541により、基材フィルム11A,11Bにそれぞれヒートシールする。
なお、ジッパーテープ20をヒートシールする工程と、帯状スリーブ302とをヒートシールする工程とを、異なるシールバーにより別々に実施してもよい。
【0103】
そして、製袋工程では、トップシールバー543によりトップシール部13を形成する。さらに、製袋工程では、サイドシールバー544により、打抜孔301Bが設けられた位置毎にサイドシール部12を形成するフィルム接合工程を実施する。この後、製袋工程では、サイドシール部12の中間位置で切断し、ジッパーテープ付袋1Aを切り出す切断工程を実施する。
得られたジッパーテープ付袋1Aは、次工程の充填工程により、開口する図示しない投入口から被包装物Pが投入された後、投入口の縁に、ボトムシール部14が設けられて投入口が封止される。この充填工程により、
図23、24に示すような被包装物Pを収納したジッパーテープ付袋体1が得られる。
【0104】
この製袋方法では、連続する帯状スリーブ302を基材フィルム11A,11Bに順次接合するので、製造効率を向上できる。
特に、サイドシールされる位置に対応して、スリーブ原反301に打抜孔301Bを打抜形成している。このため、サイドシール部12の位置でスリーブ部30が介在する量を低減でき、サイドシール部12で基材フィルム11A,11B同士を良好にヒートシールできる。
【0105】
そして、所定の寸法形状の打抜孔301Bを、スリーブ原反301の幅方向に長手状に形成している。
このため、サイドシール部12の位置で介在するスリーブ部30の量を大きく低減できるとともに、切断することなく連続して帯状スリーブ302を送り出しでき、ジッパーテープ付袋体1の連続製袋が容易にできる。
【0106】
また、罫書き形成工程で形成するスリーブ薄肉部31は、所定間隔で形成される打抜孔301B間、特に打抜孔301B間の中央に設ける。
このため、スリーブ薄肉部31をスリーブ部30の幅方向の中央に位置でき、ジッパーテープ付袋体1の開封時に、スリーブ部30の屈曲が中央の位置から開始でき、容易に開封できる。
【0107】
さらに、スリーブ原反301を幅方向で折り返した後、打抜孔301Bを形成している。
このため、一対の帯状スリーブ302にそれぞれ打抜孔301Bを設ける場合に比して、対応する位置で一括に打抜孔301Bを形成でき、製造効率を向上できる。
【0108】
なお、加工工程では、打抜孔301Bに代えて、凹溝状に薄肉加工としてもよい。
この薄肉加工としては、プレス、切削など、各種方法を適用できる。
さらに、打抜孔301Bや薄肉加工の形状としては、例えば
図25(A)に示す長方形状や、
図25(B)に示す複数の孔形状とするなど、適宜設計できる。
【0109】
また、スリーブ原反301を一対の帯状スリーブ302に分離する前に、スリーブ原反301を幅方向で折り返している。
このため、スリーブ原反301を容易に直線状に分離できる。
特に、スリーブ原反301として、折り返す位置に折り返し用凹溝301Aを設けたものを用いているので、折り返しが容易にできる。
【0110】
そして、スリーブ原反301を幅方向で折り返す折り返し工程の前に、スリーブ薄肉部31を設ける罫書き形成工程を実施している。
一対のスリーブ部30に、スリーブ薄肉部31を互いに対向方向で凹溝状となるように設けることで、ジッパーテープ付袋体1を開封する際の押圧力により、一対のスリーブ部30は、対向するスリーブ薄肉部31が互いに離間するように屈曲できる。この構成とするために、スリーブ薄肉部31を対向するように設けるには、対向状態を展開したスリーブ原反301の状態で一面側に設ければよい。このことから、スリーブ薄肉部31をスリーブ原反301の同一面側で一動作で容易に形成でき、製造効率を向上できる。
【0111】
さらに、スリーブ原反301を折り返さず、回転刃などによりスリーブ原反301を一対の帯状スリーブ302に切断するなどして分離してもよい。
また、分離としては、刃物を用いる場合に限らず、例えば折り返し用凹溝301Aや、スリーブ原反301にいわゆるミシン目のように設けられた破線状の孔である目打ちで、引き裂くように分離するなどしてもよい。
【0112】
そして、スリーブ薄肉部31の長さ寸法L(
図23参照)を、ジッパーテープ20側にスリーブ部30の幅寸法Mに対して半分程度の長さで設けている。
このため、上記
図1〜
図7に示す実施形態のスリーブ部30と同様に、ジッパーテープ付袋体1を開封する際の押圧力により、スリーブ部30がジッパーテープ20側で屈曲が開始される状態となる。このことにより、スリーブ部30の屈曲とともにジッパーテープ20の係合薄肉部24から係合が外れ、容易に開封できる。
ここで、L/Mは、1/4以上1以下が、開封性の点で好ましい。
なお、本発明の弱め部は、係合薄肉部24およびスリーブ薄肉部31の双方を設ける場合に限らず、少なくともいずれか一方のみを設けた構成としてもよい。特に、係合薄肉部24を設けておけば、ジッパーテープ付袋体1を開封する際の押圧力により、ジッパーテープ20の係合が解除しやすいので好ましい。