(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-104511(P2017-104511A)
(43)【公開日】2017年6月15日
(54)【発明の名称】多層ゴルフボール
(51)【国際特許分類】
A63B 37/00 20060101AFI20170519BHJP
C08F 20/18 20060101ALI20170519BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20170519BHJP
C08L 33/08 20060101ALI20170519BHJP
C08L 33/10 20060101ALI20170519BHJP
【FI】
A63B37/00 526
A63B37/00 412
A63B37/00 414
A63B37/00 528
C08F20/18
C08L101/00
C08L33/08
C08L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-216642(P2016-216642)
(22)【出願日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】14/936,743
(32)【優先日】2015年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】390023593
【氏名又は名称】アクシュネット カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ. サリバン
(72)【発明者】
【氏名】マーク エル. ビネット
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ブリンク
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エイ. ブルペット
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン コモ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4J002AA031
4J002BB231
4J002BG042
4J002BG052
4J002FD022
4J002GC01
4J100AL04P
4J100AL05P
4J100DA01
4J100JA15
4J100JA57
(57)【要約】 (修正有)
【課題】非移行性を有しつつ、弾力性の向上、耐久性の改善、長期にわたる特性の安定性の少なくともひとつを実現する可塑剤を用いたポリマーを使用したゴルフボールの提供。
【解決手段】ゴルフボールは、ポリマー(メタ)アクリレート可塑剤を有する熱可塑性組成物から形成された少なくとも1つの層を有する。コア層、中間層などに好適に使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性組成物から形成される少なくとも1つの層を有するゴルフボールにおいて、上記熱可塑性組成物は、C5−C50アルキルアクリレートおよびC5−C50アルキルメタクリレートからなるグループから選択されたポリマー性可塑剤を、上記熱可塑性組成物の綜合ポリマー重量をベースにして5wt%以上の量だけ有することを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
上記熱可塑性組成物はアイノマー組成物である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記ポリマー性可塑剤は、ラウレルアクリレート、ラウレルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−メチルヘキシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、およびステアリルメタクリレートからなるグループから選択される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記ポリマー性可塑剤は、上記熱可塑性組成物の綜合ポリマー重量をベースにして5wt%から70wt%の量だけ上記熱可塑性組成物中に存在する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記ポリマー性可塑剤は、上記熱可塑性組成物の綜合ポリマー重量をベースにして5wt%から60wt%の量だけ上記熱可塑性組成物中に存在する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記ポリマー性可塑剤のMWは、10000未満である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記ポリマー性可塑剤のMWは、5000未満である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記ポリマー性可塑剤のMWは、2000未満である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記ポリマー性可塑剤のMWは、100から2000である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記ポリマー性可塑剤のMWは、300から2000である請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】
上記ゴルフボールは内側コア層および外側カバー層を有し、上記内側コア層が上記熱可塑性組成物から形成される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項12】
上記ゴルフボールは内側コア層、外側カバー層、および上記内側コア層および上記外側カバー層の間に配される中間層を有し、上記中間層が上記熱可塑性組成物から形成される請求項1記載のゴルフボール。
【請求項13】
熱可塑性組成物から形成される少なくとも1つの層を有するゴルフボールにおいて、上記熱可塑性組成物は、ポリマー性可塑剤を、上記熱可塑性組成物の綜合ポリマー重量をベースにして5wt%以上の量だけ有し、上記ポリマー性可塑剤のMWは10000未満であり、上記ポリマー性可塑剤は、C5−C50アルキルアクリレートおよびC5−C50アルキルメタクリレートからなるグループから選択されることを特徴とするゴルフボール。
【請求項14】
上記熱可塑性組成物はアイノマー組成物である請求項13記載のゴルフボール。
【請求項15】
上記ポリマー性可塑剤は、ラウレルアクリレート、ラウレルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−メチルヘキシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、およびステアリルメタクリレートからなるグループから選択される請求項13記載のゴルフボール。
【請求項16】
上記ポリマー性可塑剤は、上記熱可塑性組成物の綜合ポリマー重量をベースにして5wt%から70wt%の量だけ上記熱可塑性組成物中に存在する請求項13記載のゴルフボール。
【請求項17】
上記ポリマー性可塑剤は、上記熱可塑性組成物の綜合ポリマー重量をベースにして5wt%から60wt%の量だけ上記熱可塑性組成物中に存在する請求項13記載のゴルフボール。
【請求項18】
上記ゴルフボールは内側コア層および外側カバー層を有し、上記内側コア層が上記熱可塑性組成物から形成される請求項13記載のゴルフボール。
【請求項19】
上記ゴルフボールは内側コア層、外側カバー層、および上記内側コア層および上記外側カバー層の間に配される中間層を有し、上記中間層が上記熱可塑性組成物から形成される請求項13記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的には、内側コア層、オプションの中間層、および外側カバー層を有するマルチピースゴルフボールに関する。これらの層の少なくとも1つは、ポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤を有する熱可塑性組成物から形成される。
【背景技術】
【0002】
可塑剤は、ゴルフボール層を形成するのに使用される熱可塑性組成物の柔軟性および弾力性を改善するものとして知られている。しかしながら、慣用的な可塑剤は、内部マイグレーション、表面のブルーム現象、層の外へのブリードアウトが生じることがあり、これにより、可塑化組成物から形成された層および隣接層の特性を潜在的に変更する。可塑か組成物から形成された層と隣接層との間の接着問題も招来される。
【0003】
このため、熱可塑性ゴルフボール組成物と適合性がある非移行性(non−migrating)可塑剤に対する要望がある。熱可塑性ゴルフボール組成物中に非移行性の可塑剤を使用するとゴルフボール組成物に以下の利点の少なくとも1つを実現し、これは弾力性の増加、耐久性の改善、長期にわたる特性の安定性の改善である。
【発明の開示】
【0004】
この発明は、内側コア層、オプションの中間層、および外側カバー層を有するマルチピースゴルフボールを提供する。これらの層の少なくとも1つは、ポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤を有する熱可塑性組成物から形成される。
【0005】
1実施例において、内側コア層が、ポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤を有する熱可塑性組成物から形成される。
【0006】
他の実施例において、ゴルフボールは内側コア層および外側カバー層の間に配される中間層を含み、この中間層がポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤を有する熱可塑性組成物から形成される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
この発明のゴルフボールは、ワンピース、ツーピース(すなわちコアおよびカバー)、多層(すなわち、1または複数層のコア、および1または複数層のカバー)、および糸巻きゴルフボールを含み、これは種々のコア構造、中間層、カバー、およびコーティングを具備する。ゴルフボールコアは、コアの中心から外側周囲まで全体的なコアを有する、単独で、単一のコアからなって良く、また、センタすなわち内側コア層が少なくとも1つの外側コア層に包囲されて成って良い。センタ、すなわちコアの最も内側の部分は、ソリッド、空洞、または液体−、ゲル−、または気体−重点であって良い。外側コア層は、ソリッドで良く、または、引っ張られた弾性材料からなる糸巻き層であって良い。ゴルフボールカバーは、また1または複数の層を含んで良く、例えば内側および外側カバー層を具備する二重カバーである。付加的な層がコアおよびカバーの間のオプションで配置されて良い。
【0008】
この発明のゴルフボールにおいて、少なくとも1つの層が、非移行性ポリマー(メタ)アクリレート可塑剤を有する熱可塑性組成物から形成される。この発明の開示において、用語「非移行性」(non−migrating)は、コンパティビリティ問題の結果として、または、熱あるいは溶媒流出のような外部ソースに応じて、熱可塑性組成物からのポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤の損失が最小量であることを意味する。ポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤は、当該可塑剤が熱可塑性組成物に混入でき、混合、成型、および組成物から準備される部分を使用する間に、組成物中でその位置を維持できるのであれば、当該熱可塑性組成物とコンパチブルであると考えられる。この発明において、混合、成型、および組成物から準備される部分を使用する間の、熱可塑性組成物からのポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤の損失が、10%以下であるならば、ポリマー性(メタ)アクリレートは「実質的に非移行性」である。具体的な実施例において、混合、成型、および組成物から準備される部分を使用する間の、熱可塑性組成物からのポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤の損失は、10%未満、または5%以下、または3%以下、または1%以下、または1%未満である。
【0009】
1実施例において、ポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤は、C
5−C
50アルキル(メタ)アクリレート、または、2つまたはそれ以上のC
5−C
50アルキル(メタ)アクリレートのその場での混合物を、例えば、熱、開始剤(例えば過酸化物)を伴う熱、紫外線光、電子ビーム、またはX−線に露出して多重化してポリマー性(メタ)アクリレートを生成することにより準備される。この発明において、「C
5−C
50アルキル」は、当該基あたり5から50個の炭素原子を具備する、直鎖、または分岐鎖のアルキル基を意味する。この発明において、「アルキル(メタ)アクリレート」は、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートを指す。具体的な実施例において、アルキル(メタ)アクリレートは、2−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウレル(メタ)アクリレートとしても知られている)、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート(ミリスチル(メタ)アクリレートとしても知られている)、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ドデシル−ペンタデシル(メタ)アクリレート、ラウリル−ミリスチル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、コシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチル−エイコシルエイコシル(メタ)アクリレート、セチル−ステアリル(メタ)アクリレート、およびこれらの2またはそれ以上の組み合わせからなるグループから選択される。
【0010】
ポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤は典型的には10000未満、または5000以下、または2000以下の重量平均分子量M
Wを有し、または、100または300または500の下限および2000または3000または5000または10000の上限を有する範囲内の重量平均分子量M
Wを有する。
【0011】
ポリマー性(メタ)アクリレート可塑剤は、熱可塑性組成物中に、典型的には、熱可塑性組成物の綜合ポリマー重量をベースにして、5wt%または10wt%または20wt%または30wt%または40wt%または60wt%または70wt%の量だけ存在し、または、これらの値から選択された下限および上限を具備する範囲の量だけ存在する。
【0012】
任意の適切な熱可塑性材料がこの発明の組成物中に使用されて良い。1実施例において、非移行性ポリマー(メタ)アクリレート可塑剤を有する熱可塑性組成物は、非アイオノマー性組成物である。適切な非アイオノマー性組成物は、以下を含み、またそのホモポリマーおよびコポリマー、加えて、少なくとも1つのグラフト化または共重合性官能基、例えば、無水マレイン酸、アミン、エポキシ、イソシアネート、ヒドロキシル、スルホネート、ホスホネート、その他とコンパティビリティがあるそれらの誘導体を含む。
(a)非アイオノマー性酸コポリマー、とくにα−オレフィン(O)のO/X−およびO/X/Y−型の酸コポリマー。Oは、α−オレフィン(O)、好ましくはエチレンおよびプロピレンから選択され;Xは、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸から選択されたC
3−C
8α,β−エチレン系不飽和カルボン酸(X);Yは、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸のビニルエステル、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基のアルキルエステル、例えば1〜10個の炭素原子を有するアルキル基のアルキルメタクリレートから選択されるオプションの軟化剤モノマー(Y);
(b)ポリエステル、とくにスルホネートまたはホスホネートのような双溶化基(compatibilizing group)により修正されたポリエステル。これはポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(プロピレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフテネート)、およびこれらの誘導体を含み、これに限定されないが、米国特許第6,353,050号、同第6,274,298号、および同第6,001,930号に開示されるものを含み、これらの内容は参照してここに組み入れる;
(c)ポリアミド、ポリアミド−エーテル、およびポリアミド−エステル。これは、その内容に限定されないが、米国特許第6,187,864号、同第6,001,930号、および同第5,981,654号に開示されるものを含み、これらの内容は参照してここに組み入れる;
(d)ポリイミド、ポリエーテルケトン、およびポリアミドイミド;
(e)ポリウレタン、ポリ尿素、およびこれらのコポリマーおよびブレンド。これはその内容に限定されないが、その内容に限定されないが、米国特許第5,334,673号、同第5,484,870号、第6,506,851号、第6,756,436号、第6,835,794号、第6,867,279号、第6,960,630号、および同第7,105,623号、米国特許出願公開第2014/0073458号、および同第2007/0117923号、および2002年8月6日に出願された米国特許出願第60/401,047号に開示されるものを含み、これらの内容は参照してここに組み入れる;
(f)ポリ(スチレン−コ−無水マレイン酸)、アクリルニトリル−ブタンジエン−スチレン、ポリ(スチルンスホホネート)、ポリエチレンスチレンのようなポリスチレン;
(g)ポリプロピレン、ポリエチレン、および、プロピレンおよびエチレンのコポリマー;
(h)エチレンエラストマー;
(i)プロピレンエラストマー;
(j)スチレンコポリマーおよびスチレンブロックコポリマー;
(k)ダイナミックに加入されたエラストマー;
(l)ポリビニルアセテート、とくに重量で約9%未満のビニルアセテートを有するもの;
(m)ポリカーボネート、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブレンド、パリカーボネート/ポリウレタンブレンド、およびポリカーボネート/ポリエステルブレンド;
(n)ポリビニルアルコール;
(o)ポリエーテルおよびポリエーテル−エステル;
(p)例えば米国特許出願公開第2008/0132359号に開示されるようなエンジニアリング熱可塑性加硫物。その内容は参照してここに組み入れる;
(q)米国特許第6,274,669号、同第5,919,862号、同第5,981,654号、および同第5,703,166号に開示されているような、メタローセン触媒ポリマー。その内容は参照してここに組み入れる;
(r)米国特許第5,691,066号、同第6,747,110号、および同第7,009,002号に開示されているような、フルオロポリマー。その内容は参照してここに組み入れる。
(s)以上の2つまたはそれ以上の組み合わせ。
【0013】
他の実施例において、非移行性ポリマー(メタ)アクリレート可塑剤を有する熱可塑性組成物はアイオノマー性組成物である。適切なアイオノマー組成物は、部分的にまたは高度に中和されたアイオノマーを含み、これは、2またはそれ以上の部分的に中和されたアイオノマーのブレンド、2またはそれ以上の高度に中和されたアイオノマーのブレンド、および1以上の部分的に中和されたアイオノマーと1以上の高度に中和されたアイオノマーのブレンドを含む。好ましいアイオノマーは、O/X−およびO/X/Y−タイプの酸コポリマーの塩であり、ここで、Oはα−オレフィン、XはC
3−C
8α,β−エチレン系不飽和カルボン酸、Yは軟化モノマーである。Oは好ましくはエチレンおよびプロピレンから選択され、Xは、好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、およびイタコン酸から選択される。メタクリル酸およびアクリル酸がとりわけ好ましい。ここで、「(メタ)アクリル酸」はメタクリル酸および/またはアクリル酸を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。Yは、好ましくは、アルキル基が1〜8個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートおよびアクリル(メタ)アクリレートから選択され、これは、、その内容に限定されないけれども、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、およびエチル(メタ)アクリレートを含む。とくに好ましいO/X/Y−タイプのコポリマーは、エチレン/(メタ)アクリル酸/n−ブチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/イソ−ブチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート、およびエチレン/(メタ)アクリル酸/エチル(メタ)アクリレートである。酸は、典型的には、酸コポリマーの挿入量をベースにして、酸コポリマー中に、6wt%以上、または9wt%以上、または10wt%以上、または11wt%以上、または15wt%以上、または16wt%以上、または19wt%以上、または20wt%以上の量だけ存在し、または下限が1または4または6または8または10または11または12または15wt%で、上限が15または16または17または19または20または20.5または21または25または30または35または40wt%の範囲内の量だけ存在する。酸コポリマーはカチオン源によって少なくとも部分的に中和され、オプションとして大きな分子量の有機酸、例えば、米国特許第6,756,436号に開示されたものの存在下で中和され、その内容は参照してここに組み入れる。具体的な実施例において、組成物中に存在する40%未満の酸基が中和される。他の具体的な実施例において、組成物中に存在する40%から60%の酸基が中和される。他の具体的な実施例において、組成物中に存在する60%から70%の酸基が中和される。他の具体的な実施例において、組成物中に存在する60%から80%の酸基が中和される。他の具体的な実施例において、組成物中に存在する70%から80%の酸基が中和される。他の具体的な実施例において、組成物中に存在する80%から100%の酸基が中和される。適切なカチオン源は、これに限定されないが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、および希土類元素の化合物のような金属イオン源;アンモニウム塩およびモノアミン塩;およびこれらの組み合わせを含む。好ましいカチオン源は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、セシウム、カルシウム、バリウム、鉛、鈴、亜鉛、アルミニウム、マンガン、ニッケル、クロム、銅またはこれらの組み合わせである。
【0014】
また、バイモーダルアイオノマー、例えば、DuPont(商標)AD1043、並びに、米国特許出願公開第2004/0220343号、および米国特許第6,562,906号、同第6,762,246号、および同第7,273,903号に開示されたアイオノマーも好適であり、その開示内容は参照してここに組み入れる。
【0015】
またポリエステルアイオノマーも好適であり、これは、その内容に限定されないけれども、例えば、米国特許第6,476,157号および同第7,974,465号に開示されたものであり、その開示内容は参照してここに組み入れる。
【0016】
また、シリコーンアイオノマーも好適である。好適な熱可塑性シリコーンアイオノマーは、エチレン(E)、α,β−不飽和カルボン酸(X)、オプションの軟化剤(Y)からなるE/X/Y−タイプのアイオノマー;熱可塑性ポリウレタン;ポリエステル;およびポリアミドから選択された1または複数の付加的なポリマー成分を、オプションでブレンドする、シリコーンアイオノマーを含む。好適な熱硬化性シリコーンアイオノマーは、熱硬化性ポリウレタンおよびジエンゴム、とくにポリブタジエンから選択される1または複数の付加的なポリマー成分をオプションでブレンドする、シリコーンアイオノマーを含む。シリコーンアイオノマーは、さらに、例えば、米国特許第8,329,156号(Horstman等);米国特許第8,835,583号(Saxena等);Batra、Ashish、Claude Cohen、およびT.M.Duncanの「Macromolecules(205):426−38、American Chemical Society、Web.1 Oct. 2014に開示されており、これらの内容は参照してここに組み入れる。
【0017】
部分的にまたは高度に中和されたアイオノマーの付加的な熱可塑性または熱硬化性材料とのブレンドも好適であり、これは、その内容に限定されないが、非アイオノマー性酸コポリマー、エンジニアリング熱可塑性材料、スチレンブロックコポリマー、ポリアルケナマー、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル、ポリカーボネート/ポリエステルブレンド、ポリアミド、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー、メタローセン触媒ポリマー、およびこれらの官能化誘導体を含む。
【0018】
具体的な実施例において、熱可塑性組成物は、米国特許第7,468,006号に開示された、比較的柔らかなHNP組成物、および、米国特許第7,207,903号に開示された、低モジュラスHNP組成物から選択され、これらの内容は参照してここに組み入れる。
【0019】
他の具体的な実施例において、熱可塑性組成物は、米国特許第7,468,006号に開示された、比較的硬いHNP組成物、および、米国特許第7,207,903号に開示された、高モジュラスHNP組成物から選択され、これらの内容は参照してここに組み入れる。
【0020】
他の具体的な実施例において、熱可塑性組成物は、酸ポリマー、非酸ポリマー、カチオン源、および、脂肪酸またはその金属塩をブレンドして形成される。この実施例の具体的な側面において、酸ポリマーは、n−ブチルアクリレートおよびイソブチルアクリレートから選択された軟化剤をオプションで含む、エチレンアクリル酸およびエチレンメタクリル酸コポリマーから選択される。この実施例の他の具体的な側面において、非酸ポリマーは、エチレンアルキルアクリレートポリマー、とくに、ポリエチレン−ブチルアクリレート、ポリエチレン−メチルアクリレート、およびポリエチレン−エチルアクリレート;メタローセン触媒ポリマー;エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素ポリマーおよびエチレン−ビニルアセテート−一酸化炭素ポリマー;ポリエチレン−ビニルアセテート;硬化点(cure site)モノマーを含むエチレンアルキルアクリレートポリマー;エチレン−プロピレンゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム;オレフィン系エチレンエラストマー、とくに、エチレンオクテンポリマー、エチレン−ブテンポリマー、エチレン−プロピレンポリマー、およびエチレン−ヘキセンポリマー;スチレンブロックコポリマー;ポリエステルエラストマー;ポリアミドエラストマー;ポリオレフィンゴム、とくに、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびスチレン−ブタジエンゴム;および熱可塑性ポリウレタンである。酸ポリマーおよび非酸ポリマーは組み合わされ、カチオン源と反応させられ、存在するすべての酸基の少なくとも80%が中和させられるようにする。酸ポリマー、非酸ポリマー、カチオン源、および脂肪酸およびその金属塩をブレンドして形成されるアイオノマー組成物は、さらに、例えば、米国特許出願公開第2014/0113748号に開示され、その内容は参照してここに組み入れられる。
【0021】
好適なアイオノマー組成物はさらに例えば米国特許出願公開第2005/0049367号、同第2005/0148725号、同第2005/0020741号、同第2004/0220343号、および同第2003/0130434号、並びに、特許第5,587,430号、同第5,691,418号、同第5,866,658号、同第6,100,321号、同第6,562,906号、同第6,653,382号、同第6,756,436号、同第6,777,472号、同第6,762,246号、同第6,815,480号、同第6,894,098号、同第6,919,393号、同第6,953,820号、同第6,994,638号、同第7,375,151号、および同第7,652,086号に開示されており、それらの内容は参照してここに組み入れる。
【0022】
熱可塑性組成物は、オプションで、熱可塑性組成物の総重量をベースにして50wt%以下、または30wt%以下、または20wt%以下、または15wt%以下の量だけ、添加物および/またはフィラーを含む。適切な添加物およびフィラーは、これに限定されないが、化学発泡剤およびフォーミング剤、光学的光沢剤、着色剤、蛍光剤、白色化剤、UV吸収剤、光安定化剤、消泡剤、プロセス助剤、酸化防止剤、安定化剤、軟化剤、香料成分、非重合性可塑剤、衝撃修正剤、TiO
2、酸コポリマーワックス、表面活性剤、性能性添加物(例えばA−C性能性添加物、とくにA−C(商標)低分子量アイオノマーおよびコポリマー、A−C(商標)参加ポリエチレン、A−C(商標エチレンビニルアセテートワックス、およびAClyn(商標)低分子量アイオノマー、これらはHoneywell International Incから商業的に入手できる)、脂肪酸アミド(例えばエチレンbis−ステラミドおよびエチレンbis−オレアミド)、脂肪酸およびその塩(例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛塩、ステアリン酸マグネシウム塩、オレイン酸亜鉛塩、およびオレイン酸マグネシウム塩)、オキシド(例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化テル、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、および参加ジルコニウム)、カーボネート(例えば炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、および炭酸マグネシウム)、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、タングステン、炭化タングステン、シリカ、ケイ酸鉛、リグリンド、クレイ、マイカ、タルク、ナノフィラー、カーボンブラック、ガラスフレーク、粉砕ガラス、フロック、ファイバ、およびこれらの混合物を含む。適切な添加物およびフィラーは、例えば、米国特許出願公開第2003/0225197号により十分に記載されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0023】
熱可塑性組成物は、オプションで、1または複数のメルトフロー修正剤を含む。適切なメルトフロー修正剤は、ASTMD−1238、条件Eを用いて、190°Cで、2160グラム重量を用いて測定したときに組成物のメルトフローを増大させる材料を含む。適切なメルトフロー修正剤の例は、これに限定されないが、脂肪酸または脂肪酸塩(これに限定されないが、米国特許第5,306,760号に開示されたものを含み、その内容は参照してここに組み入れる);脂肪アミド;多価アルコール(これに限定されないが、米国特許第7,356,128号明細書および米国特許出願時公開第2010/0099514号に開示されたものを含み、その内容は参照してここに組み入れる);ポリ乳酸(これに限定されないが、米国特許第7,642,319号に開示されたものを含み、その内容は参照してここに組み入れる);および、米国特許出願時公開第2010/0099514号および米国特許出願公開第2009/0203469号に開示された修正剤を含み、その内容は参照してここに組み入れる。フロー増強添加剤は、また、これに限定されないが、モンタン酸およびその塩、ビス−ステオロイルエチレンジアミン、モノ−およびポリアルコールエステル、例えば、ペンタエリトリトールテトラステアレート、両性イオン化合物、および、メタローセン触媒ポリエチレンおよびポリプロピレンワックス(そのマレイン酸無水物修正バージョンを含む)、アミドワックス、およびアルキレンジアミド、例えばビステアルアミド(bistearamide)も含む。とくに適切な脂肪アミドは、これに限定されないが、飽和脂肪酸モノアミド(例えば、ラウリンサン酸アミド、バルトミン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、および、12−ヒドロキシステアリン酸アミド);不飽和脂肪酸モノアミド(例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、およびリシノール酸アミド);N−置換脂肪酸アミド(例えば、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ベヘニルベヘン酸アミド、N−ステアリルベヘン酸アミド、N−ベヘニルステアリン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エルシルエルカ酸アミド、およびエルシルステアリン酸アミド、N−オレイルパルミトアミド、メチロールアミド(より好ましくは、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド));飽和脂肪酸ビス−アミド(例えば、メチレンビス−ステアリン酸アミド、エチレンビス−ステアリン酸アミド、エチレンビス−イソステアリン酸アミド、エチレンビス−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス−ベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビス−ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−ベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビス−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'−ジステアリルアジピン酸アミド、およびN,N'−ジステアリルセバカミド);不飽和脂肪酸ビス−アミド(例えば、エチレンビス−オレイン酸アミド、ヘキサメチレンビス−オレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセバカミド);および、飽和および不飽和脂肪酸テトラアミド、ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、およびエチレンビス−オレイン酸アミドを含む。商業的に入手可能な脂肪酸アミドの適切な例は、これに限定されないが、Chemtura社から商業的に入手可能なKemamide(商標)脂肪酸、例えば、Kemamide(商標)B(ベヘン酸アミド/アラキドアミド)、Kemamide(商標)W40(N,N'−エチレンビスステアリン酸アミド)、Kemamide(商標)P181(オレイルパルミトアミド)、Kemamide(商標)S(ステアリン酸アミド)、Kemamide(商標)U(オレイン酸アミド)、Kemamide(商標)E(エルカ酸アミド)、Kemamide(商標)O(オレイン酸アミド)、Kemamide(商標)W45(N,N'−エチレンビスステアリン酸アミド)、Kemamide(商標)W20(N,N'−エチレンビスオレイン酸アミド)、Kemamide(商標)E180(ステアリルエルカ酸アミド)、Kemamide(商標)E221(エルシルエルカ酸アミド)、Kemamide(商標)S180(ステアリルステアリン酸アミド)、Kemamide(商標)S221(エルシルステアリン酸アミド);および、Croda Universal社から商業的に入手可能な、Crodamide(商標)脂肪アミド、例えば、Crodamide(商標)OR(オレイン酸アミド)、Crodamide(商標)ER(エルカ酸アミド)、Crodamide(商標)SR(ステアリン酸アミド)、Crodamide(商標)BR(ベヘン酸アミド)、Crodamide(商標)203(オレイルパルミトアミド)、および、Crodamide(商標)212(ステアリルエルカ酸アミド)を含む。
【0024】
この発明の熱可塑性組成物を製造するのに使用するために適切な商業的に入手可能なアイオノマーおよび他の熱可塑性材料の非制限的な例は、E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なSyrlyn(商標)アイオノマー、DuPont(商標)HPF1000およびHPF2000高中和アイオノマー;A.Schulman,Incから商業的に入手可能なClarix(商標)アイオノマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なIotek(商標)アイオノマー;The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能なAmplify(商標)IOアイオノマー;The Dow Chemical Companyから商業的に入手可能なAmplify(商標)GR官能性ポリマーおよびAmplify(商標)TY官能性ポリマー;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能なFusabond(商標)官能化ポリマー(;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なExxelor(商標)無水マレイン酸ドラフト化ポリマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なExxonMobile(商標)PPシリーズポリプロピレンインパクトコポリマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能な、Vistamaxx(商標)プロピレンベースのエラストマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能な、Exact(商標)プラストマー;ExxonMobile Chemical Companyから商業的に入手可能なSantoprene(商標)熱可塑性加硫エラストマー;Kraton Performance Polymer Incから商業的に入手可能な、Kraton(商標)スチレンブロックコポリマー;Kuraray Co., Ltdから商業的に入手可能な、Septon(商標)スチレンブロックコポリマー;Arkema Corporationから商業的に入手可能な、Lotader(商標)エチレンアクリレートベースのポリマー;Chemtura Corporationから商業的に入手可能な、Polybond(商標)グラフト化ポリエチレンおよびポリプロピレン;Arkema Inc.から商業的に入手可能なPebax(商標)ポリエーテルおよびポリエステルアミド;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Hytrel(商標)のようなポリエステルベースの熱可塑性エラストマー、およびTiconaから商業的に入手可能なRiteflex(商標)ポリエステルエラストマー;The Lubrizol Corporationから商業的に入手可能な、Estane(商標)熱可塑性ポリウレタン;EMS Grivoryから商業的に入手可能な、Grovory(商標)ポリアミドおよびGrilamid(商標)ポリアミド;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Zytel(商標)ポリアミド樹脂およびElvamide(商標)ナイロンマルチポリマー樹脂;E.I.duPont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、Elvaloy(商標)アクリレートコポリマー樹脂;BASFから商業的に入手可能なElastollan(商標)ポリウレタンベースの熱可塑性エラストマー;SABIC innovative Plasticから商業的に入手可能なXylex(商標)ポリカーボネート/ポリエステルブレンド;およびこれらの2以上の組み合わせである。
【0025】
[ゴルフボール用途]
この発明の組成物は種々のゴルフボール用途に使用することができ、その用途は、少なくとも1つの層が、非移行性ポリマー(メタ)アクリレート可塑剤を有する組成物から形成される限り、糸巻き層、ワンピース、ツーピース、および多層ボールを含む。非移行性ポリマー(メタ)アクリレート可塑剤を有する組成物から形成される2またはそれ以上の層を有するゴルフボールにおいては、そのような層は、同一または異なる組成物から形成されて良い。非移行性ポリマー(メタ)アクリレート可塑剤を有する組成物から形成される層は、内側コア層、中間層、または外側カバー層のいずれの1つまたは複数であって良い。
【0026】
具体的な実施例において、ゴルフボールは、非移行性ポリマー(メタ)アクリレート可塑剤を有する組成物から形成されるワンピースゴルフボールである。
【0027】
他の具体的な実施例において、ゴルフボールは、少なくとも1つの層が非移行性ポリマー(メタ)アクリレート可塑剤を有する組成物から形成される、ツーピースまたは多層ボールである。熱可塑性組成物は、内側コア層、外側カバー層、オプションの中間層、またはそれらの組み合わせの中に存在して良い。
【0028】
さらに他の具体的な実施例において、この発明は、ゴム製コア、非移行性ポリマー(メタ)アクリレート可塑剤を有する組成物から形成される中間層、およびポリウレタンまたはポリ尿素の外側カバー層を具備する多層ボールを提供する。好ましくは、ゴム製コアの組成物は、ベースゴム、架橋剤、フィラー、共架橋または開始剤、およびシス・ツー・トランス変換材料(例えば有機硫黄または無機硫黄化合物)を有する。典型的なベースゴム材料は、天然ゴムおよび合成ゴムを含み、これはその内容に限定されないが、ポリブタジエン、およびスチレン−ブタジエンを含む。架橋剤は、典型的には、(メタ)アクリル酸のような3個から8個の炭素原子を具備する酸の、亜鉛塩またはマグネシウム塩のような金属塩を含む。開始剤は、硬化サイクルにおいて分解する任意の既知の重合開始剤であって良く、これに限定されないが、ジクミルペルオキシド、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、a−aビス−(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、またはジ−t−ブチルペルオキシド、およびこれらの混合物を含む。ベースゴム、架橋剤、フィラー、共架橋剤、および開始剤の適切なタイプおよび量については例えば米国特許出願公開第2003/0144087号に十分に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。ゴルフボールに使用できる種々のボール構造および材料についても、米国特許出願公開第2003/0144087号を参照されたい。
【0029】
この発明は、ゴルフボール層を製造するいずれの具体的な方法に制約されない。層は任意の適切な手法により形成でき、これは射出成型、圧縮成形、キャスティング、および反応性射出成型を含むことに留意されたい。
【0030】
この発明のゴルフボールは典型的には0.700以上、好ましくは0.750以上、より好ましくは0.780以上、さらに好ましくは0.790以上のCORを有する。
【0031】
ここで使用されるように、CORは、球を空気砲から2つの所定の速度で打ち出し、125ft/sの速度でのCORを計算することにより決定される。複数の弾道光スクリーンがボール速度を測定するために固定距離で空気砲およびスチール板の間に配置される。ボールがスチール板へ移動するときに、各光スクリーンが活性化され、各光スクリーンにおける時間を測定する。これにより、ボールの入射速度に反比例した入射移行時間が得られる。ボールはスチール板と衝突して複数の光スクリーンを通り抜けてリバウンドし、これが光スクリーン間を移行するのに要する時間間隔を測定する。これにより、ボールの飛び出し速度に反比例した飛び出し移行時間が得られる。CORは飛び出し移行時間間隔の入射移行時間間隔に対する比、COR=V
out/V
in=T
in/T
outとして計算される。
【0032】
この発明のゴルフボールは典型的には40以上の圧縮を有し、または、下限が40または50または60または65または75または80または90で上限が95または100または105または110または115または120の範囲内の圧縮を有する。
【0033】
圧縮は、ゴルフボール設計において重要な要素である。例えば、コアの圧縮はドライバーから離れるボールのスピンおよびフィーリングに影響を与えることができる。Jeff Dalton、Compression by Any Other Name、Science and Golf IV、Proceedings of the World Scientific Congress of Golf(Eric Thain ed. Routedge、2002)(「J. Dalton」という)に開示されるように、種々の異なる手法が圧縮を測測地するのに使用でき、これは、Atti圧縮、Riehle圧縮、種々の固定荷重およびオフセットでの荷重/偏位測定、および有効モジュラスを含む。この発明の目的に関しては、「圧縮」はAtti圧縮を指し、Atti圧縮試験装置を用いて既知の手順で測定され、ここでは、ピストンがバネに抗してボールを圧縮するのに使用される。ピストンの移動を固定して、スプリングの偏位を測定する。スプリングの偏位の測定はボールと接触しても始まらない。そうでなくて、スプリングの変位の最初のほぼ1.25mm(0.05インチ)がオフセットである。非常に剛性が小さなコアはスプリングを1.25mmより多く撓まさず、ゼロのAtti圧縮が測定される。Atti圧縮テスタは42.7mm(1.68インチ)の径の物体を測定するように設計されているので、コアの圧縮をこれらテスタで測定するためには、コアは隙間を埋めて42.7mm(1.68インチ)の高さとなるようにしなければならない。Atti圧縮からRiehle圧縮(コア)、Riehle(ボール)、100kg偏位、130−10kg偏位または有効モヂュラスへの変換は、「J. Dalton」内に与えられた式に従って実行できる。
【0034】
合衆国ゴルフ協会仕様は競技用ゴルフボールの最小サイズを1.680インチに制限している。最大径に関する仕様はなく、また、任意のサイズのゴルフボールをリクリエーションプレイに使用できる。この発明のゴルフボールの全体的な直径は任意のサイズであって良い。この発明のゴルフボールの好ましい径は1.68インチから1.800インチである。より好ましくは、この発明のゴルフボールの全体の径は1.680インチから1.760インチ、より好ましくは1.680インチから1.740インチである。
【0035】
ここに数値の下限および数値の上限が示されるときには、これらの値の任意の組み合わせが採用されて良いと理解されたい。
【0036】
ここに引用された、優先権種類を含む、すべての特許、公報、テスト手順、および他の参照文献は、そのような開示内容がこの発明と矛盾しない範囲で、かつ、法令がそのような組み入れを許容する範囲で、参照してここにすべて組み入れられる。
【0037】
この発明の説明的な実施例が具体的に説明されたけれども、この発明の趣旨および範囲から逸脱することのない、種々の他の変更や実施が、当業者に明らかであることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲がここに示される例および記述に限定されることを意図するのではなく、当該特許請求の範囲が、この発明に内在する特徴および特許されるべき新規な点のすべてをカバーすることを意図されており、これは当業者によって均等と扱われるすべての特徴を含むことに留意されたい。
【外国語明細書】
1.Abstract
2.Representative Drawing
None