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特開2017-104552安定化スパイン電気生理学カテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-104552(P2017-104552A)
(43)【公開日】2017年6月15日
(54)【発明の名称】安定化スパイン電気生理学カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0408 20060101AFI20170519BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20170519BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20170519BHJP
   A61B 5/05 20060101ALI20170519BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20170519BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20170519BHJP
   A61N 1/06 20060101ALI20170519BHJP
【FI】
   A61B5/04 300J
   A61B5/05 N
   A61B18/12
   A61B18/14
   A61N1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-239153(P2016-239153)
(22)【出願日】2016年12月9日
(31)【優先権主張番号】14/965,745
(32)【優先日】2015年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シュバユ・バス
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・エイ・ソリス
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C053DD02
4C127AA04
4C127DD03
4C127HH03
4C127HH13
4C127LL08
4C160KK03
4C160KK64
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】 安定化スパイン電極アセンブリを有する、組織の診断及びアブレーション用カテーテルを提供する。
【解決手段】 安定化スパイン電極アセンブリは、近位端でカテーテル本体に固定された少なくとも2つのスパインと、隣接するスパインの近位端の遠位の場所の間に固定された少なくとも1つのテザーと、を有する。スパインは、スパインがカテーテル本体の長手方向軸に概ね沿って配置される畳み込まれた配置と、それぞれのスパインの少なくとも一部が長手方向軸から径方向外向きにたわみ、かつ少なくとも1つのテザーが隣接するスパインに張力を掛ける拡張された配置と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端及び遠位端を有する細長いカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記遠位端に搭載され、少なくとも2つのスパインと、少なくとも1つのテザーと、を含み、それぞれのスパインが前記カテーテル本体の前記遠位端に取り付けられた近位端を有する、安定化スパイン電極アセンブリと、を含み、前記少なくとも1つのテザーが隣接するスパインの前記近位端の遠位の場所の間に固定され、それぞれのスパインは、前記スパインが前記カテーテル本体の長手方向軸に概ね沿って配置される畳み込まれた配置と、それぞれのスパインの少なくとも一部が前記長手方向軸から径方向外向きにたわみ、かつ前記少なくとも1つのテザーが前記隣接するスパインに張力を掛ける拡張された配置と、を有する、カテーテル。
【請求項2】
前記安定化スパイン電極アセンブリが、少なくとも3つのスパインと、少なくとも2つのテザーと、を更に含み、前記少なくとも2つのテザーが、少なくとも1つのスパイン及びそれぞれの隣接するスパインの前記近位端の遠位の場所に固定されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
それぞれのスパインが、少なくとも1つのテザーによって隣接するスパインに固定されている、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記テザーが、前記拡張された配置にあるとき、前記スパインの互いに対する所望の径方向分布を維持するように構成されている、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記テザーが、前記拡張された配置にあるとき、前記スパインの互いに対する均等な径方向分布を維持するように構成されている、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記安定化スパイン電極アセンブリが、少なくとも2つのテザーを更に含み、前記少なくとも2つのテザーが隣接するスパイン間に固定されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記安定化スパイン電極アセンブリが、少なくとも2つのテザーを更に含み、前記少なくとも2つのテザーが、1つのスパイン上の1つの場所に、及び隣接するスパイン上の複数の場所に固定されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記少なくとも1つのテザーが、スパインの近位3分の1に固定されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記少なくとも1つのテザーが、スパインの中間3分の1に固定されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記少なくとも1つのテザーが、スパインの遠位3分の1に固定されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記少なくとも1つのテザーが、スパインの遠位3分の1に固定されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記少なくとも3つのスパインが遠位端を有し、前記遠位端で互いに固定されてバスケット形状の電極アセンブリを形成する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項13】
それぞれのスパインが、少なくとも1つのテザーによって隣接するスパインに固定されている、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記テザーが前記スパインの赤道付近の場所の間に固定されている、請求項13に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記少なくとも1つのテザーが高分子繊維を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記少なくとも1つのテザーが柔軟である、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記少なくとも1つのテザーが相対的に非柔軟である、請求項15に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気生理学(EP)カテーテルに関し、具体的には、心臓内の電気信号のマッピング及び/又は組織のアブレーションのためのEPカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、心臓の電気的活動のマッピングのために電気生理学的センサを含む心臓カテーテルを用いて心臓内の電位をマッピングすることが、一般的に行われている。典型的には、時間的に変化する心内膜内の電位を感知し、心臓内における位置の関数として記録した後に、これを用いて局所電位図又は局所興奮到達時間のマッピングを行う。興奮到達時間は、電気的インパルスが心筋を通して伝導するのに要する時間に応じて、心内膜内における点ごとに異なる。心臓内の任意の点におけるこの電気伝導の方向は、従来、等電活動面(isoelectric activation front)に垂直な活性化ベクトルによって表現されており、これら等電活動面及び活性化ベクトルのいずれも、興奮到達時間のマップから導出され得る。心内膜の任意の点を通る活動面の伝播速度は、速度ベクトルとして表現され得る。活動面及び伝導場をマッピングすることは、心臓組織内の電気的伝播障害のエリアに起因する、心室性及び心房性頻脈症並びに心室及び心房細動などの異常を特定しかつ診断する際に、医師をサポートする。
【0003】
心臓の活性化信号伝導の局所的欠陥は、多活動面、活性化ベクトルの異常な集中、又は速度ベクトルの変化若しくはこのベクトルの正常値からの逸脱等の現象を観察することによって確認され得る。このような欠陥の例としては、コンプレックス細分化電位図として知られる信号パターンと関連付けられ得るリエントラント型のエリアが挙げられる。いったん欠陥がこのようなマッピングによって突き止められると、心臓の正常な機能を可能な限り復旧するために、その欠陥は(異常に機能しているのであれば)アブレーションされてよい、ないしは別の方法で処置されてよい。実例のとおり、心房細動を含む心不整脈は、心臓組織の諸区域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を阻害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生し得る。不整脈を治療するための手技としては、不整脈を発生させている信号の発生源を破壊することと、損傷部位を形成して異所部分を単離する等によって、そのような信号の伝導路を破壊することが挙げられる。このように、カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止する又は変更することが時に可能である。アブレーションプロセスは、非伝導性の損傷部位を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0004】
より大きい領域をマッピングすること、及び/又は同時に若しくはカテーテルの整復を必要とせずに、複数の損傷部位を発生させることができるよう、複数の電極を有するカテーテルを提供することにより、多くの利点が得られ得る。本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,961,602号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたある好適な構成では、それぞれ1つ又は2つ以上の診断又はアブレーション電極を保持する複数のスパインによって形成される、マルチレイ電極アセンブリを有するカテーテルを採用する。アセンブリは2つ以上のスパインを有し、それぞれのスパインはカテーテル本体の遠位端に取り付けられた近位端と、自由遠位端と、を有する。採用されている別の構成は、バスケット形状の電極アセンブリとして知られる。例が、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許番号第5,772,590号、同第6,748,255号、及び同第6,973,340号に記載されており、これらのそれぞれの全開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。バスケットカテーテルはまた、遠位端並びに近位端で連結される複数のスパインを採用する。いずれの構成においても、スパインは、それぞれのスパインの少なくとも一部がカテーテル本体から径方向外向きに延在する拡張された配置に、又は、それぞれのスパインがカテーテル本体の長手方向軸にほぼ沿って配設される畳み込まれた配置に配置され得る。畳み込まれた配置は、経皮的アプローチにおいて血管構造を通る等、患者の体内の所望の場所に電極アセンブリを前進させることを容易にする。電極アセンブリが拡張された配置を呈すると、スパイン上の電極のうちの1つ又は2つ以上が組織と接触し、電気信号の測定及び/又は組織のアブレーションが可能になる。
【0005】
複数のスパインを採用することにより、これらの電極アセンブリは、例えば、心房又は血管口等、患者の解剖構造によって画定される三次元空間を占めるための電極の配列をもたらすように適合される。概ね、スパインは、スパインが配置される空間に電極配列の均一の適用範囲をもたらすように拡張される場合に、均等に分布されることが望ましい。あるいは、不均等ではあるが、空間の1つ又は2つ以上の領域に電極を集中させるために画定された構成で、スパインを分布させることが望ましい場合もある。しかしながら、従来の複数スパイン電極アセンブリは、意図された構成でスパインを展開することができない。例えば、マルチレイ電極アセンブリでは、スパインは近位端で相互に関連して固定されるのみであり、バスケット形状の電極アセンブリでは、スパインはそれらの近位端及び遠位端で固定されるのみである。したがって、スパインは、特に固定された端部からより遠い場所で、意図された径方向分布を呈することができない。特に、スパインは所望するよりも、密接して束になることもあり、大きく離れて広がることもある。このような最適以下の分布を呈する複数スパイン電極アセンブリの傾向は、患者の解剖構造における不規則性によって悪化され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、拡張された配置で展開されているときのスパイン間の所望の関係を維持するのに役立つ、複数スパイン電極アセンブリの必要性が存在する。同様に、スパインが互いに対して安定している複数スパイン電極アセンブリの必要性が存在する。以下の資料に記載される本開示の技術は、これら及び他の必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、カテーテルであって、近位端及び遠位端を有する細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に搭載され、少なくとも2つのスパイン及び少なくとも1つのテザーを含み、それぞれのスパインがカテーテル本体の遠位端に取り付けられた近位端を有する、安定化スパイン電極アセンブリと、を備え、少なくとも1つのテザーが隣接するスパインの近位端の遠位の場所に固定され得、それぞれのスパインは、スパインがカテーテル本体の長手方向軸に概ね沿って配置される畳み込まれた配置と、それぞれのスパインの少なくとも一部が長手方向軸から径方向外向きにたわみ、かつ少なくとも1つのテザーが隣接するスパインに張力を掛ける拡張された配置と、を有する、カテーテルを目的とする。
【0008】
一態様では、安定化スパイン電極アセンブリは、少なくとも3つのスパイン及び少なくとも2つのテザーを有してよく、少なくとも2つのテザーは、少なくとも1つのスパイン及びそれぞれの隣接するスパインの遠位端の遠位の場所に固定されてよい。それぞれのスパインは、少なくとも1つのテザーによって隣接するスパインに固定されてよい。更に、テザーは、スパインを、拡張された配置にあるとき、スパインの互いに対する所望の径方向分布を維持するように構成されてよい。例えば、テザーは、拡張された配置にあるとき、スパインの互いに対する均等な径方向分布を維持するように構成されてよい。
【0009】
一態様では、安定化スパイン電極アセンブリは、少なくとも2つのテザーを有してよく、少なくとも2つのテザーは隣接するスパイン間に固定される。
【0010】
一態様では、安定化スパイン電極アセンブリは、少なくとも2つのテザーを有してよく、少なくとも2つのテザーは、1つのスパイン上の1つの場所と、隣接するスパイン上の複数の場所と、に固定される。
【0011】
一態様では、少なくとも1つのテザーは、スパインの近位3分の1、スパインの中間3分の1、及び/又はスパインの遠位3分の1に固定されてよい。
【0012】
一態様では、安定化スパイン電極アセンブリは、バスケット形状の電極アセンブリを形成するために、遠位端が互いに固定された少なくとも3つのスパインを有してよい。それぞれのスパインは、少なくとも1つのテザーによって隣接するスパインに固定されてよい。例えば、テザーは、スパインの赤道付近の場所の間に固定されてよい。
【0013】
一態様では、テザー(複数の場合あり)は高分子繊維であってよい。実施形態によっては、テザー(複数の場合あり)は柔軟であっても、相対的に非柔軟であってもよい。
【0014】
本開示はまた、カテーテルであって、近位端及び遠位端を有する細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に搭載され、少なくとも2つのスパイン及び少なくとも1つのテザーを含み、それぞれのスパインが少なくとも1つの電極と、カテーテル本体の遠位端に取り付けられた近位端と、を有する安定化スパイン電極アセンブリと、を備え、少なくとも1つのテザーが隣接するスパインの近位端の遠位の場所に固定されている、カテーテルを提供することを伴う治療方法を含む。それぞれのスパインが、スパインがカテーテル本体の長手方向軸に概ね沿って配置される畳み込まれた配置にある状態で、安定化スパイン電極アセンブリを備えたカテーテルの遠位端を患者内部の所望の領域へ前進することができる。安定化スパイン電極アセンブリは、それぞれのスパインの少なくとも一部が長手方向軸から径方向外向きにたわみ、少なくとも1つのテザーが隣接するスパインに張力を掛ける拡張された配置を有し、それによって少なくとも1つの電極が組織と接触するようにさせることができる。
【0015】
一態様では、電気信号は、組織と接触している少なくとも1つの電極から受信されてよい。
【0016】
一態様では、無線周波数エネルギーは、損傷部位を形成するため、組織と接触している少なくとも1つの電極に送信されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
更なる特徴及び利点は、添付図面に例示されるように、本開示の好ましい実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになり、添付図面の同様の参照記号は、概して、図全体を通じて同一の部分又は要素を指す。
図1】一実施形態による、マルチレイ安定化スパイン電極アセンブリを備えた、本発明のカテーテルの頂面図である。
図2図1に示された安定化スパイン電極アセンブリの端面図である。
図3】一実施形態による、バスケット形状の安定化スパイン電極アセンブリの概略図である。
図4】別の実施形態による、バスケット形状の安定化スパイン電極アセンブリの概略図である。
図5】一実施形態による、左心房内に位置付けられた安定化スパイン電極アセンブリの概略図である。
図6】一実施形態による、安定化スパイン電極アセンブリを使用する侵襲性医療手技の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に、本開示は、具体的に例示された材料、構成、手順、方法、又は構造に限定されず、変化し得ることを理解されたい。したがって、本明細書に記載されている選択肢と同様又は同等の多くの選択肢が本開示の実施又は実施形態において使用され得るが、好ましい材料及び方法が本明細書に記載されている。
【0019】
また、本明細書で使用される専門用語が、単に本開示の特定の実施形態を説明するためのものであり、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0020】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、本開示の例示的実施形態を説明するよう意図されており、本開示が実施され得る限定的な例示的実施形態を表すようには意図されていない。本説明全体にわたって使用される用語「例示的」とは、「実施例、事例、又は実例としての機能を果たす」ことを意味し、必ずしも他の例示的な実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明には、本明細書の例示的な実施形態の徹底した理解を提供するために、具体的な詳細が含まれる。本明細書の例示的実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることは、当業者には明らかであろう。場合によっては、本明細書に提示される例示的実施形態の新規性を明確にするために、周知の構造及び装置がブロック図形態で示される。
【0021】
単に便宜上かつ明確にするために、上、下、左、右、上方、下方、上側、下側、裏側、後側、背側、及び前側などの方向を示す用語が、添付図面に関して使用され得る。これら及び同様の方向を示す用語は、いかなる方法によっても本開示の範囲を制限するものと見なされるべきではない。
【0022】
別段の規定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されている意味と同一の意味を有する。
【0023】
最後に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が別段の明確に指示しない限り、複数の指示対象を包含する。
【0024】
本明細書に記載するとおり、本開示は、安定化スパイン電極アセンブリを有するカテーテルを目的とする。電極アセンブリは、スパインが互いに対して所望の分布となる拡張された配置を有する、複数のスパインを特徴とする。1つ又は2つ以上のテザーは、隣接するスパインの近位端及び遠位端の中間の場所に固定されてよい。それぞれのテザーは、スパインを互いから離れて移動することから拘束し、それによって電極アセンブリを安定化する。
【0025】
本開示の態様を例示しやすくするため、複数スパイン電極アセンブリを備えた電気生理学カテーテルの例示的な一実施形態が図1に模式的に示されている。カテーテル10は、近位端及び遠位端を有する細長いカテーテル本体12と、カテーテル本体12の近位端にある制御ハンドル14と、カテーテル本体12の遠位端に搭載された、マルチレイ構成において径方向外向きに広がる複数のスパイン18を含む安定化スパイン電極アセンブリ16と、を備える。それぞれのスパイン18は、スパイン16の長さに沿った任意の場所に配置され得るリング電極20、及びスパイン18の遠位端に配置され得るカップ電極22等、1つ又は2つ以上の電極を保持し得る。以下に更に詳しく説明するとおり、テザー24は、相互に関連して安定化するよう、径方向に隣接するスパイン18の近位端と遠位端との間の中間の場所に固定される。示されている実施形態では、単一のテザー24が隣接するスパイン18の間に採用されているが、所望の安定度を得るために任意の数が使用されてよい。
【0026】
テザー24は、生体適合性ポリマー等の任意の好適な材料から形成されてよい。一態様では、テザー24は、ポリアミド、ポリエステル、アラミド、ポリエチレン、ポリウレタン、及びその他等の材料からなる高分子繊維から形成されてよい。テザー24は、接着剤、機械的締結具、熱接合等を含むがこれに限定されない任意の好適な技術を使用して、スパイン18に固定されてよい。テザー24がスパイン18に固定される場所は、所望の特質の任意の組み合わせを得るように調整されてよい。例えば、相対的にスパイン18の近位端のより近くに取り付けると、周囲の組織に適合するための、スパイン18の遠位部分の自由度が増大し得る。反対に、相対的にスパイン18の遠位端のより近くに取り付けると、向上した安定性を与えることができる。このように、いくつかの実施形態では、テザー24は、向上した安定性と、スパイン18の遠位端の自由度との間のバランスをもたらすために、隣接するスパイン18におけるスパイン長の近位3分の1以内にある場所の間に固定されてよい。なお更なる実施形態では、テザー24は、スパイン18の遠位端の自由度を減らして安定性を更に拡張するために、隣接するスパイン18におけるスパイン長の遠位3分の1以内にある場所の間に固定されてよい。このように、スパイン18の異なる隣接するペア間にある対応するテザー24は、長手方向に相対的に等価である場所に固定されてよい。別の実施形態では、テザー24が隣接するスパイン18に固定される場所は、近位の場所から遠位の場所へ向かうこと又は近位の場所若しくは遠位の場所から中間の位置へ向かうこと等によって、互いに対するオフセットになり得る。
【0027】
実施形態によっては、テザー24は、相対的に柔軟な材料又は非柔軟な材料から(form)形成されてよい。安定化スパイン電極アセンブリ16の全体的なサイズ又は形状が調節可能である実施形態では、柔軟な材料が望ましい場合がある。以下に説明するとおり、安定化スパイン電極アセンブリ16のいくつかの実施形態は、展開されている領域内の組織への適合を助けるため、その構成を変更するように手動で拡張可能であってよい。したがって、柔軟なテザー24は、隣接するスパイン間の一定範囲の相対距離にあるスパイン18に安定力を付与し得る。例えば、安定化スパイン電極アセンブリ16の第1の構成では、隣接するスパインの1つのペアが、テザー24のおよそ本来の長さである第1の距離だけ離れることができる。したがって、それぞれのスパイン18は、隣接するスパインに対して安定化するように、テザー24の弾力性によって拘束され得る。安定化スパイン電極アセンブリ16は、その後に拡張されてもよいし、それ以外の場合は、その形状が第2の構成を呈するように変更されてもよく、その構成では、隣接するスパインのペアは第1の距離よりも大きい第2の距離だけ離れる。好適に柔軟なテザー24は、より大きい距離に適応するように変形しながら、隣接するスパインに対してなお安定化張力を提供することができる。あるいは、スパイン18が拡張された配置にある場合に互いの間で単一の画定された距離を維持することが望ましいとき、テザー24は、相対的に非柔軟な材料から形成されてもよい。本明細書で使用するとおり、「柔軟な」という用語は、スパインが拡張された配置を呈するときの力経験によって変形され得ることを意味し、「相対的に非柔軟な」という用語は、スパインが拡張された配置を呈する場合に、テザーが実質的に変形しないことを意味する。更に、柔軟か又は非柔軟かにかかわらず、テザー24には、スパイン18がカテーテル10の長手方向軸に概ね揃えられる、畳み込まれた構成を呈することを可能にするのに十分な可撓性があってよい。
【0028】
カテーテル本体12は、単一の軸方向ルーメン又は中央ルーメンを有するが、所望する場合、長さの全部又は一部に沿って複数のルーメンを所望により有することができる、細長い管状の構造を含む。カテーテル本体12は、可撓性がある、すなわち屈曲可能であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮可能である。カテーテル本体12は、ポリウレタン又はPEBAX(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)の外壁を使用する等、任意の好適な構造で、任意の好適な材料から作製され得る。当該技術分野において概ね周知であるとおり、制御ハンドル14が回転すると、カテーテル本体12の遠位端は対応して回転するように、壁は、カテーテル本体12のねじり剛性を増大させるために、ステンレス鋼等の埋め込み式の編組みメッシュを有してよい。
【0029】
カテーテル本体12の長さは重要ではないが、約110cm等、約90cm〜約120cmの範囲であってよい。カテーテル本体12の外径も重要ではないが、安定化スパイン電極アセンブリ16及び任意の関連するリード、洗浄ルーメン、牽引ワイヤ、位置センサ又はその他のセンサ等からなる構造を収容するのに十分な外径を呈しながら、患者の血管構造を通って前進できる挿入特性を維持するように、概ね適合される。いくつかの実施形態では、カテーテル本体12は、2.6ミリメートル又は2.3ミリメートル等の約3.3ミリメートル以下(8フレンチ又は7フレンチ等の約10フレンチ以下)であってよい。同様に、カテーテル本体12の外壁の厚さは重要ではないが、十分なサイズのルーメン(複数の場合あり)を提供できるだけの薄さであってよい。本発明に関連した使用に好適なカテーテル本体構成の例は、米国特許第6,064,905号に記載及び図示されており、その全開示内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
図示した実施形態では、安定化スパイン電極アセンブリ16は、5つのスパイン18を含む。それぞれのスパイン18は、カテーテル本体12の遠位端に取り付けられた近位端と、自由遠位端と、を有する(すなわち、遠位端は、他のスパインのいずれか、又はカテーテル本体、又は遠位端の運動を制限する任意の他の構造には取り付けられない)。それぞれのスパイン14は、スパイン18が拡張された配置及び畳み込まれた配置を呈することを可能にする弾力特質を有する、金属又はプラスチック材料を含む内部壁体又は他の構造部材を有してよい。スパイン18はまた、ポリウレタン又はポリイミド管類等の生体適合性プラスチック管類等、内部壁体を覆う非導電性材料を有してもよい。安定化スパイン電極アセンブリ16は、カテーテル本体12に結合される別個の要素であってもよいし、カテーテル本体12の伸長部を含んでもよい。安定化スパイン電極アセンブリ16は、既知の固定長であってよい。
【0031】
当業者によって理解されるように、スパイン18の数は、必要に応じて、特定の用途に応じて変えることができ、これにより、カテーテル10は、少なくとも2つのスパインを有し、また、3つ以上のスパインを最大12個以上有してもよい。スパイン18は、拡張された配置の間で移動可能であり、例えば、それぞれのスパインは、カテーテル本体12から径方向外向きに延在し、又はスパイン18は、畳み込まれた配置に配置されてもよく、例えば、それぞれのスパインは、以下に更に述べるようにスパインがガイドシースのルーメン内に適合できるように、概してカテーテル本体12の長手方向軸に沿って配設される。
【0032】
記載のとおり、それぞれのスパイン18は、好ましくは、その遠位端において又はその近くに、その長さに沿って搭載された、少なくとも1つの電極を保持する。図示した実施形態では、カップ電極22が遠位端に搭載され、リング電極20が非導電性カバー上でスパイン18の長さに沿って搭載されている。必要に応じて、リンク電極20及び/又はカップ電極22は、単極、双極、又はその両方として構成されてよく、また、診断電極、アブレーション電極、基準電力、又はその他であってよい。1つ又は2つ以上のスパイン18はまた、位置センサ26を含んでよく、これは、以下に記載するとおり、スパイン18及び/又は安定化スパイン電極アセンブリ16の方向又は場所の判定を助けるために使用され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、電極20及び/又は22は、アブレーションされる組織の温度の管理を助けるため、処置部位への洗浄液の送達を可能にするための穿孔を有してよい。それぞれの電極20へのRF電流の送達時に、その電気抵抗によって組織の加熱が発生する。組織の加熱は、標的組織内のセルラーゼの破壊を引き起こし、その結果、異所性の電気信号の影響を中断させることが意図された非導電性損傷部位の形成をもたらす。しかしながら、組織の過熱は、望ましくない炭化物及び凝塊の形成の原因となる場合があり、又は、液体がその沸点を超えて加熱されたときにスチームポップが生じ得、次いで心臓組織内にクレーター又は穿孔が出来る場合がある。同様に、アブレーション部位における洗浄は、電極及び組織を冷却して、組織の過熱を防止することを含む効果をもたらし得る。加えて、スパイン18はまた、このような有害な発生を防止する目的で、アブレーション手技中に組織の温度を評価するため、かつ、加熱を防止する又は最小限に抑えるように洗浄液の流量を調節することを助けるため、熱電対又はその他の好適な温度センサを有してよい。
【0034】
図1に示された安定化スパイン電極アセンブリの端面図は、図2に模式的に図示されている。この実施形態では、テザー24は、スパイン18の均等な径方向分布をもたらすためにほぼ等しい長さを有してよい。あるいは、テザー24の長さは、スパイン18の任意の所望の分布をもたらすように調節されてもよい。当然のことながら、隣接するスパインに固定されたテザー24は、動径ベクトル及び軸性ベクトルを有する張力を付与する。動径ベクトルは概ね中間スパインの反対を向き、それにより、その隣接するスパインに対する望ましくない径方向の運動に対してその中間スパインを安定化させる。この構成は、所定のスパインが2つの別個の隣接するスパインを有する場合に常に存在し、それゆえ、3つ以上のスパイン18を採用する実施形態に適用される。しかしながら、スパインはテザー24によって互いから離れる方向の運動に対して拘束されるため、2つのスパイン18を採用する実施形態であっても安定化する。
【0035】
別の好適な実施形態が図3に図示されており、これはカテーテル本体12の遠位端にあるバスケット形状の電極アセンブリとして構成された、安定化スパイン電極アセンブリ28を示している。示されているとおり、それぞれのスパイン18は、それらの近位端及び遠位端で互いに固定される。この実施形態では、スパイン18の遠位端が、カテーテル10の近位端に向かう牽引ワイヤ30に固定される。更に、2つのテザー24が隣接するスパイン18の間に固定されているが、テザー24の任意の望ましい数を採用してよい。例えば、スパイン18のそれぞれのペア間に単一のテザー24が使用されてもよく、単一のテザーが中点等、スパインの長さの中間3分の1以内の赤道付近に位置付けられているときに安定性が最大化する。あるいは、単一のテザーを近位的又は遠位的に移動させて、安定化スパイン電極アセンブリ28の対応のポールにより大きい又はより小さい安定特性を付与してもよい。別の例として、スパイン18のそれぞれの隣接するペアの間に、3つ以上のテザー24が提供されてもよい。牽引ワイヤ30を操作して近位に向かって長手方向に移動させることにより、スパイン18の遠位端と近位端との間の相対距離が短縮されて、それらのスパインを外側に向かって拡張された配置にたわませる。したがって、安定化スパイン電極アセンブリ18の径方向直径は、牽引ワイヤ30が移動される量に基づいて調節され得る。かかる実施形態では、テザー24は、前述のとおり、柔軟性材料から形成されてよい。あるいは、スパイン18は、ガイドシースによって拘束されていないときに、あらかじめ形状付けられた構成を有してよく、それによってそれらのスパイン18は、拡張された配置を呈するように、径方向外側に拡張される。牽引ワイヤは、構成を更に調節するように使用されてよく、必要に応じて省略されてもよい。
【0036】
更に別の構成が、カテーテル本体12の遠位端にあるバスケット形状の電極アセンブリとしても構成された安定化スパイン電極アセンブリ32とともに、図4に示された実施形態に図示されている。安定化スパイン電極アセンブリ32のスパインの配置及び構成は、図3に関して説明されている内容と類似し得る。この実施形態では、スパイン18の隣接するペア間に複数のテザー24が採用される。特に、所定の取り付けポイントについて、2つのテザー24はそれぞれの隣接するスパイン18まで延在する。2つのテザー24が、対応する相対的な長手方向位置を有する隣接するスパイン上の取り付けポイントまで延在し、2つのテザー24は、異なる相対的な長手方向位置の取り付けポイントまで延在する。この方法で、テザー24のウェブが、隣接するスパイン18間に確立されて、それらを更に安定化させ得る。所望する場合、2つのテザーは、接合部34等、隣接するスパイン18間で交差するときに一緒に固定されてもよい。示されている実施形態では、安定化スパイン電極アセンブリ32が所望の拡張された配置を呈することを助けるため、テザー24は相対的に非柔軟な材料から形成されてよい。示されているように、それぞれのスパイン18の中間部分36は、隣接するスパイン間の複数のテザー24の使用により、カテーテル10の長手方向軸と相対的に平行に保たれる。したがって、スパイン18を外向きにたわませる牽引ワイヤ30の長手方向運動は、平坦な赤道領域を有する拡張された配置を生み出す。必要に応じて他の形状を有する拡張された配置を付与するために、テザー24の他の取り付けポイント及びパターンが採用されてもよい。
【0037】
記載のとおり、スパイン18を形成するのに使用される壁体又はその他の構造用支持材は、拡張された配置及び畳み込まれた配置を呈するように構成されてよく、また、いくつかの実施形態では形状記憶材料を含んでもよい。例えば、ニチノールとして知られているニッケル−チタン合金が使用されてもよい。ニチノール製ワイヤは、体温で可撓性及び弾性であり、大抵の金属のように、ニチノール製ワイヤは、最小限の力に曝されると変形し、その力の不在下ではそれらの形状に戻る。ニチノールは、ニチノールがその温度相に依存する「記憶形状」を有するのを可能にする形状記憶及び超弾性を含む、可撓性及び弾性を超える興味深い機械特性を有する形状記憶合金(SMA)と呼ばれる材料の群に属する。オーステナイト相は、単純な立方結晶構造を持つニチノールのより強力でより高温の相である。超弾性挙動は、この相(50〜60℃の温度の広がりにわたって)で生じる。対応して、マルテンサイト相は、双晶構造を持つ比較的脆弱なより低温の相である。ニチノール材料がマルテンサイト相にある場合、それは比較的容易に変形し、変形した状態に留まる。しかしながら、そのオーステナイト移行温度を超えて加熱されると、ニチノール材料は、その変形前形状に戻り、「形状記憶」効果をもたらす。ニチノールが加熱時にオーステナイトに変換し始める温度は、「As」温度と称される。ニチノールが加熱時にオーステナイトに変換し終えた温度は、「Af」温度と称される。したがって、安定化スパイン電極アセンブリ16は、ガイドシース内に送給されるように容易に畳み込まれ、その後、ガイドシースが取り除かれた後に患者の所望の領域に送達されると、その拡張された形状記憶構成に容易に戻され得る三次元形状を有することができる。
【0038】
一態様では、電気生理学医は、当該分野において概ね知られているように、ガイドシース、ガイドワイヤ、及び拡張器を患者の体内に導入してもよい。一例として、本発明のカテーテルと関連して用いるためのガイドシースは、適切なサイズのPREFACE(商標)Braided Guiding Sheath(Biosense Webster,Inc.、Diamond Bar、CAから市販)である。ガイドワイヤが挿入され、拡張器が取り除かれ、カテーテルがガイドシースを通じて導入され、それにより拡張器内のガイドワイヤルーメンは、カテーテルがガイドワイヤの上を通過するのを可能にする。図5に図示されている例示的な一手技では、カテーテルは、下大静脈(IVC)を介して右心房(RA)を通り、患者の心臓(H)に最初に導入され、これが隔膜(S)を通過して左心房(LA)に到達する。
【0039】
当然のことながら、カテーテル10が、所望の位置まで患者の血管構造を通過することができるよう、安定化スパイン電極アセンブリ16は直線化された構成へ偏向され、ガイドシース40内に拘束されてもよい。カテーテルの遠位端が左心房等の所望の場所に到達すると、ガイドシース40が回収されて安定化スパイン電極アセンブリ16が露出し、意図された構成でスパイン18を安定化させるテザー24による、拡張された配置を呈することが可能になる。実施形態によっては、拡張された配置の条件を促進するように、牽引ワイヤ又はその他の好適な制御機構が操作されてよい。
【0040】
当然のことながら、本開示の技術を用いて安定化スパイン電極アセンブリを採用する手技は、電気信号を測定すること及び/又は患者内の組織をアブレーションすることを含む任意の所望の操作を可能にする。図6は、安定化スパイン電極アセンブリ16の使用の例示を助けるための、本発明の実施形態による、侵襲性医療手技の概略図である。安定化スパイン電極アセンブリ16(この図には示されていない)を遠位端に有するカテーテル10は、電極及びセンサのリード(この図には示されていない)を、それらが検出する信号を記録して分析する目的で、並びにアブレーションエネルギーを提供する目的でコンソール62に連結するため、コネクタ60を近位端に有することができる。電気生理学者64は、患者の心臓68からの電極電位信号を取得するために、カテーテル10を患者66の体内に挿入することができる。電気生理学医64は、挿入を行うために、カテーテルに取り付けられた制御ハンドル14を使用する。コンソール62は、受信された信号を分析し、コンソールに取り付けられたディスプレイ72上に分析の結果を提示することができる処理ユニット70を含むことができる。この結果は、典型的には、信号から得られたマップ、数値表示、及び/又はグラフの形態である。処理ユニット70はまた、受信された信号の分析によって識別される、異常な電気的活動に関連付けられた場所等、1つ又は2つ以上の損傷部位を生むための、電極24へのエネルギーの送達を制御することができる。
【0041】
更に、処理ユニット70はまた、センサ26(この図には示されていない)等の位置センサから信号を受信することができる。記載のとおり、センサ(複数の場合あり)はそれぞれ、磁界応答コイル又は複数のかかるコイルを備えてもよい。複数のコイルの使用は、6次元位置及び配向座標の判定を可能にする。したがって、センサは、外部コイルからの磁界に応答して電気位置信号を発生させ、それによりプロセッサ70が心臓腔内におけるカテーテル遠位端10の位置(例えば、場所及び配向)を判定することができる。その後、電気生理学医は、ディスプレイ72上の患者の心臓の画像に安定化スパイン電極アセンブリ16の位置を見ることができる。例として、この位置感知方法は、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)により製造されたCARTO(商標)システムを使用して実装されることができ、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、PCT特許公開WO 96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455 A1号、同第2003/0120150 A1号、及び同第2004/0068178 A1号(これらの開示はすべて参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている。当然のことながら、他の場所感知技術が用いられてもよい。所望する場合、少なくとも2つの場所センサは、安定化スパイン電極アセンブリ16に対して近位及び遠位に位置付けられてもよい。近位センサに対する遠位センサの座標が判定され、安定化スパイン電極アセンブリ16の構成に関連する他の既知の情報を用いて、電極20のそれぞれの位置を見つけるために使用されてもよい。
【0042】
上記の説明は、本発明の現在開示されている実施形態を参照して提示したものである。本発明が属する当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を有意に逸脱することなく、説明された構造に改変及び変更が実施されてもよいことを理解するであろう。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺通りではない。したがって、上記の説明は、添付図面に記載及び例示される精密な構造のみに関連するものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するとされる特許請求の範囲と一致し、かつそれらを補助するものとして読まれるべきである。
【0043】
〔実施の態様〕
(1) 近位端及び遠位端を有する細長いカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記遠位端に搭載され、少なくとも2つのスパインと、少なくとも1つのテザーと、を含み、それぞれのスパインが前記カテーテル本体の前記遠位端に取り付けられた近位端を有する、安定化スパイン電極アセンブリと、を含み、前記少なくとも1つのテザーが隣接するスパインの前記近位端の遠位の場所の間に固定され、それぞれのスパインは、前記スパインが前記カテーテル本体の長手方向軸に概ね沿って配置される畳み込まれた配置と、それぞれのスパインの少なくとも一部が前記長手方向軸から径方向外向きにたわみ、かつ前記少なくとも1つのテザーが前記隣接するスパインに張力を掛ける拡張された配置と、を有する、カテーテル。
(2) 前記安定化スパイン電極アセンブリが、少なくとも3つのスパインと、少なくとも2つのテザーと、を更に含み、前記少なくとも2つのテザーが、少なくとも1つのスパイン及びそれぞれの隣接するスパインの前記近位端の遠位の場所に固定されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) それぞれのスパインが、少なくとも1つのテザーによって隣接するスパインに固定されている、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記テザーが、前記拡張された配置にあるとき、前記スパインの互いに対する所望の径方向分布を維持するように構成されている、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記テザーが、前記拡張された配置にあるとき、前記スパインの互いに対する均等な径方向分布を維持するように構成されている、実施態様4に記載のカテーテル。
【0044】
(6) 前記安定化スパイン電極アセンブリが、少なくとも2つのテザーを更に含み、前記少なくとも2つのテザーが隣接するスパイン間に固定されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記安定化スパイン電極アセンブリが、少なくとも2つのテザーを更に含み、前記少なくとも2つのテザーが、1つのスパイン上の1つの場所に、及び隣接するスパイン上の複数の場所に固定されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記少なくとも1つのテザーが、スパインの近位3分の1に固定されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記少なくとも1つのテザーが、スパインの中間3分の1に固定されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記少なくとも1つのテザーが、スパインの遠位3分の1に固定されている、実施態様1に記載のカテーテル。
【0045】
(11) 前記少なくとも1つのテザーが、スパインの遠位3分の1に固定されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(12) 前記少なくとも3つのスパインが遠位端を有し、前記遠位端で互いに固定されてバスケット形状の電極アセンブリを形成する、実施態様2に記載のカテーテル。
(13) それぞれのスパインが、少なくとも1つのテザーによって隣接するスパインに固定されている、実施態様12に記載のカテーテル。
(14) 前記テザーが前記スパインの赤道付近の場所の間に固定されている、実施態様13に記載のカテーテル。
(15) 前記少なくとも1つのテザーが高分子繊維を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
【0046】
(16) 前記少なくとも1つのテザーが柔軟である、実施態様15に記載のカテーテル。
(17) 前記少なくとも1つのテザーが相対的に非柔軟である、実施態様15に記載のカテーテル。
(18) 近位端及び遠位端を有する細長いカテーテル本体と、前記カテーテル本体の前記遠位端に搭載され、少なくとも2つのスパインと、少なくとも1つのテザーと、を含み、それぞれのスパインが少なくとも1つの電極と、前記カテーテル本体の前記遠位端に取り付けられた近位端と、を有する、安定化スパイン電極アセンブリと、を備え、前記少なくとも1つのテザーが隣接するスパインの前記近位端の遠位の場所の間に固定されている、カテーテルを提供することと、
それぞれのスパインが、前記スパインが前記カテーテル本体の長手方向軸に概ね沿って配置される畳み込まれた配置にある状態で、前記安定化スパイン電極アセンブリを備えた前記カテーテルの前記遠位端を患者内部の所望の領域に前進させることと、
前記安定化スパイン電極アセンブリが、それぞれのスパインの少なくとも一部が前記長手方向軸から径方向外向きにたわみ、前記少なくとも1つのテザーが前記隣接するスパインに張力を掛け、それによって少なくとも1つの電極が組織と接触する、拡張された配置を呈するようにさせることと、を含む、治療方法。
(19) 組織と接触している前記少なくとも1つの電極から電気信号を受け取ることを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 組織と接触している前記少なくとも1つの電極に高周波エネルギーを送達して、損傷部位を形成することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】
2017104552000001.pdf