(54)【発明の名称】果菜引継ぎ移送方法と、果菜引継ぎ移送装置と、果菜自動選別方法と、果菜自動選別装置と、果菜容器詰め方法と、果菜容器詰め装置と、果菜選別容器詰め方法と、果菜選別容器詰め装置
【解決手段】 本発明の果菜引継ぎ移送方法は、不均等な間隔で搬送される果菜を下り傾斜の移送路に供給し、移送路に供給された果菜をその自重で当該移送路の終端側へ向けて移動させることによって当該果菜同士の間隔を詰め、当該移送路の終端側へ到達した果菜を当該移送路の先方に配置された引継ぎ体で一個ずつ引き継いで、引継ぎ体の先方へ搬送する方法である。本発明の果菜引継ぎ移送装置は、果菜が移動可能な移送路と、当該移送路を移動した果菜を引き継ぐ引継ぎ体を備えたものである。移送路は、果菜が自重で移動できるとともに間隔を詰められるように下り傾斜としてある。移送路の終端側に到達した果菜を引継ぎ体で一個ずつ引き継いで先方へ移送できるようにした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トマトや桃のように作業者が手作業でバケットに一個ずつ載せる場合、前記果菜自動選別装置を用いることによって果菜を等間隔で搬送することができるが、ミニトマトやキンカン、かぼす、栗、ミカンのように、作業者が手作業でバケットに一個ずつ載せるのではなく、コンテナ等から不規則に供給される場合、果菜を等間隔で搬送することができないため、果菜同士の間隔が離れることによる選別効率の低下や、果菜同士が接近又は接触することによる不正確な計測といった問題が生じることがある。この問題を解決するため、果菜の間隔調整を行う作業者を増員することが考えられるが、作業員を増員したのでは、人件費をはじめとする経済的な負担が過大になる。
【0006】
このように、ベルトコンベア式のバケットを搭載した従来の果菜自動選別装置は、トマトや桃のように作業者が手作業でバケットに一個ずつ載せる果菜の選別に適するが、コンテナ等から不規則に供給される場合には適するものとはいえず、コンテナ等から不規則に供給される果菜の選別や容器詰めに用いることのできる方法や装置の提案が望まれている。
【0007】
本発明は前記実情に鑑みて開発されたものであり、その解決課題は、コンテナ等から不規則に供給される果菜を等間隔で搬送することができ、果菜同士の間隔が離れることによる選別効率の低下や、果菜同士が接近又は接触することによる不正確な計測といった問題を解消することのできる果菜引継ぎ移送方法及び果菜引継ぎ移送装置と、当該果菜引継ぎ移送方法又は果菜引継ぎ移送装置を用いた果菜自動選別方法及び果菜自動選別装置と、前記果菜引継ぎ移送方法又は果菜引継ぎ移送装置を用いた果菜容器詰め方法及び果菜容器詰め装置と、前記果菜自動選別方法又は果菜自動選別装置及び前記果菜容器詰め方法又は果菜容器詰め装置を用いた果菜選別容器詰め方法及び果菜選別容器詰め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[果菜引継ぎ移送方法]
本発明の果菜引継ぎ移送方法は、果菜を任意位置から他の任意位置へ移送する方法であって、不均等な間隔で搬送される果菜を下り傾斜の移送路に供給し、当該移送路に供給された果菜をその自重で当該移送路の終端側へ向けて移動させることによって当該果菜同士の間隔を詰め、当該移送路の終端側へ到達した果菜を当該移送路の先方に配置された引継ぎ体で一個ずつ引き継いで、引継ぎ体の先方へ搬送する方法である。
【0009】
前記果菜引継ぎ移送方法において、引継ぎ体に設けられた引継ぎ爪を移送路の終端側に形成された通過部を通過させることによって、当該移送路の終端側に到達した果菜を当該引継ぎ爪で一個ずつ引き継いで当該引継ぎ体の先方へ搬送するようにしてもよい。
【0010】
[果菜引継ぎ移送装置]
本発明の果菜引継ぎ移送装置は、果菜を任意位置から他の任意位置へ移送する装置であって、果菜が移動可能な移送路と、当該移送路を移動した果菜を引き継ぐ引継ぎ体を備え、前記移送路は当該移送路に供給される果菜がその自重で当該移送路の終端側に移動できるとともに、不均等な間隔で供給された果菜同士の間隔が詰まるように下り傾斜としてあり、前記引継ぎ体はその始端側が前記移送路の終端側と近接するように当該移送路の先方に配置され、前記引継ぎ体は、前記移送路の終端側に到達した果菜を一個ずつ引き継いで当該引継ぎ体の先方へ移送できるようにしたものである。
【0011】
前記果菜引継ぎ移送装置において、前記引継ぎ体は無端状の回転体と当該回転体に取り付けられたバケットを備え、当該バケットは移送路から果菜を引き継ぐ引継ぎ爪と当該引継ぎ爪で引き継いだ果菜が収まる広さの果菜載せ部を備え、前記バケットは前記回転体の回転方向に二以上設けられ、当該回転体の回転に伴って移動可能であり、前記移送路はその終端側に前記引継ぎ爪が通過可能な通過部を備え、引継ぎ爪は前記回転体の回転に伴って前記通過部を下方から上方へ通過して移送路上の果菜を一個ずつ掬い上げて回転体の前記果菜載せ部の上に移し替えて引継ぎ体に引き継げるようにすることもできる。
【0012】
前記果菜引継ぎ移送装置において、前記引継ぎ体は無端状の回転体と当該回転体に取り付けられた引継ぎ爪を備え、前記引継ぎ爪は前記回転体の回転方向に間隔をあけて二以上設けられ、当該回転体の回転に伴って移動可能であり、前記回転体の表面のうちそれぞれの引継ぎ爪の間には移送路から引き継ぐ果菜が収まる広さの果菜載せ部が設けられ、前記移送路はその終端側に前記引継ぎ爪が通過可能な通過部を備え、引継ぎ爪は前記回転体の回転に伴って前記通過部を下方から上方へ通過して移送路上の果菜を一個ずつ掬い上げて回転体の前記果菜載せ部の上に移し替えて引継ぎ体に引き継げるようすることもできる。
【0013】
前記果菜引継ぎ移送装置において、移送路には果菜の移動を補助するための移動補助手段を設けることもできる。
【0014】
前記果菜引継ぎ移送装置において、移送路の手前にコンテナ等から供給される果菜を受けて、当該果菜を前記移送路に送出する果菜送出体を設けることもできる。
【0015】
前記果菜引継ぎ移送装置において、引継ぎ体は並列に複数本設けることもできる。この場合、それぞれの引継ぎ体の手前に、当該引継ぎ体の本数に対応する本数の移送路を並列に設けることができる。
【0016】
前記果菜引継ぎ移送装置において、引継ぎ体が並列に複数本設けられている場合、それら複数本の引継ぎ体の少なくとも一本が個別に回転するようにすることができる。
【0017】
前記果菜引継ぎ移送装置において、果菜送出体が平ベルトを備えたベルトコンベアであり、当該ベルトコンベアの平ベルトは正回転の途中で間欠的に停止し又は逆回転するようにすることができる。
【0018】
前記果菜引継ぎ移送装置において、果菜送出体に不規則に供給された果菜を整列させるための果菜整列手段を設けることもできる。
【0019】
[果菜自動選別方法]
本発明の果菜自動選別方法は、供給される複数の果菜の等階級を判別して等階級ごとに選別する方法であって、不均等な間隔で搬送される果菜を下り傾斜の移送路に供給し、当該移送路に供給された複数の果菜をその自重で当該移送路の終端側へ向けて移動させることによって当該果菜同士の間隔を詰め、当該移送路の終端側へ到達した果菜を当該移送路の先方に配置された引継ぎ体で一個ずつ引き継いで当該引継ぎ体の先方へ搬送し、当該引継ぎ体で搬送中の果菜を一個ずつ自動的に計測して等階級を判別し、その等階級判別済みの果菜を等階級別に果菜搬送方向側方に送り出して果菜を選別する方法である。
【0020】
前記果菜自動選別方法において、引継ぎ体に設けられた引継ぎ爪を前記移送路の終端側に形成された通過部を通過させることによって、当該移送路の終端側に到達した果菜を当該引継ぎ爪で一個ずつ引き継いで当該果菜引継ぎ体の先方へ搬送するようにしてもよい。
【0021】
[果菜自動選別装置]
本発明の果菜自動選別装置は、供給される複数の果菜の等階級を判別して等階級ごとに選別する装置であって、前記いずれかの果菜引継ぎ移送装置と、当該果菜引継ぎ移送装置で搬送される果菜の等階級を判別する等階級判別手段と、等階級判別手段で等階級が判別された果菜を、当該等階級ごとに引継ぎ体の側方に排出する果菜排出手段を備えたものである。
【0022】
前記果菜自動選別装置では、果菜引継ぎ移送装置の果菜搬送方向側方に、等階級別に判別された果菜をその等階級別にプールするプールコンベアを設けることもできる。この場合、果菜引継ぎ移送装置とプールコンベアの間に中継体を配置し、等階級判別済みの果菜を当該中継体に排出するようにすることもできる。
【0023】
前記果菜自動選別装置では、果菜排出手段として、果菜引継ぎ移送装置の果菜搬送方向側方に、搬送中の果菜にエアを吹き付けて当該果菜を果菜搬送方向側方に送り出すエア噴出機を設けることができる。
【0024】
[果菜容器詰め方法]
本発明の果菜容器詰め方法は、等階級判別済みの果菜を予め設定された個数ずつ容器へ送り込んで容器詰めする方法であって、不均等な間隔で搬送される果菜を下り傾斜の移送路に供給し、当該移送路に供給された等階級選別済みの果菜を当該移送路の終端側に向けて移動させることによって当該果菜同士の間隔を詰め、当該移送路の終端側へ到達した果菜を当該移送路の先方に配置された引継ぎ体で一個ずつ引き継いで当該引継ぎ体の先方へ搬送し、予め設定された個数分の果菜を当該引継ぎ体の終端側から排出して容器内に送り込んで容器詰めする方法である。
【0025】
前記果菜容器詰め方法において、引継ぎ体に設けられた引継ぎ爪を前記移送路の終端側に形成された通過部を通過させることによって、当該移送路の終端側へ到達した果菜を当該引継ぎ爪で一個ずつ引き継いで搬送するようにしてもよい。
【0026】
[果菜容器詰め装置]
本発明の果菜容器詰め装置は、等階級判別済みの果菜を予め設定された個数ずつ容器へ送り込んで容器詰めする装置であって、前記いずれかの果菜引継ぎ移送装置と、当該果菜引継ぎ移送装置の終端側に搬送された果菜の個数を検知する個数計測手段と、当該果菜引継ぎ移送装置の引継ぎ体から排出される所定個数の果菜を容器に案内する案内体を備えたものである。
【0027】
前記果菜容器詰め装置において、案内体に代えてホッパーを設け、当該ホッパーに引継ぎ体から排出された所定個数の果菜を貯留し、当該ホッパーに貯留された果菜を容器に送り込めるようにすることもできる。
【0028】
前記果菜容器詰め装置において、案内体又はホッパーの近傍に、容器詰め用の空容器を前記案内体又はホッパーの先方側に移送する容器移送路を設けることもできる。
【0029】
[果菜選別容器詰め方法]
本発明の果菜選別容器詰め方法は、供給される複数の果菜の等階級を判別して等階級ごとに選別し、その等階級ごとに選別された果菜を予め設定された個数ずつ容器へ送り込んで容器詰めする方法であって、前記いずれかの果菜自動選別方法で等階級を判別して等階級ごとに選別された果菜を前記いずれかの果菜容器詰め方法で容器内に送り込んで容器詰めする方法である。
【0030】
本発明の果菜選別容器詰め方法は、供給される複数の果菜の等階級を判別して等階級ごとに選別し、その等階級ごとに選別された果菜を予め設定された個数ずつ容器へ送り込んで容器詰めする方法であって、前記いずれかの果菜自動選別方法で等階級を判別して等階級ごとに選別されてプールコンベアに排出された果菜を当該プールコンベアから直接容器内に送り込んで容器詰めするようにしてもよい。
【0031】
[果菜選別容器詰め装置]
本発明の果菜選別容器詰め装置は、供給される複数の果菜の等階級を判別して等階級ごとに選別した果菜を、予め設定された個数ずつ容器へ送り込んで容器詰めする装置であって、前記いずれかの果菜自動選別装置の引継ぎ体又は当該果菜自動選別装置の果菜搬送方向側方に設けられたプールコンベアの先方に、前記いずれかの果菜容器詰め装置の移送路又は果菜送出体が配置され、前記果菜自動選別装置で等階級ごとに選別された果菜を、前記果菜容器詰め装置で所定個数ずつ容器内に送り込んで容器詰めを行うものである。
【0032】
本発明の果菜選別容器詰め装置は、供給される複数の果菜の等階級を判別して等階級ごとに選別した果菜を、予め設定された個数ずつ容器へ送り込んで容器詰めする装置であって、前記いずれかの果菜自動選別装置の引継ぎ体又は当該果菜自動選別装置の果菜搬送方向側方に設けられたプールコンベアの近傍に、容器詰め用の空容器を前記引継ぎ体又はプールコンベアの先方側に移送する容器移送路が設けられ、前記引継ぎ体又はプールコンベアから排出される果菜が、前記容器移送路で移送された容器内に送り込まれて容器詰めされるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の果菜引継ぎ移送方法及び果菜引継ぎ移送装置は、次の効果を奏する。
(1)下り傾斜の移送路に果菜が供給されると、果菜が移送路の傾斜によって加速しながら終端側へ移動して果菜の間隔が詰まるため、果菜同士の間隔が離れることによる選別効率の低下や、果菜同士が接近又は接触することによる不正確な計測といった問題を解消することができる。
(2)果菜の間隔を移送路で詰めてから引継ぎ体で一個ずつ引き継げるため、果菜の計測を確実に行うことができ、等階級の判別を高精度で行うことができる。
(3)コンテナ等からバラバラと不規則に供給するだけで、果菜を整列させながら間隔を詰めて搬送できるため、果菜の間隔調整を行う作業員を増員する必要がなく、経済的な負担を抑えることができる。
【0034】
本発明の果菜自動選別方法及び果菜自動選別装置は、次の効果を奏する。
(1)下り傾斜の移送路に果菜が供給されると、果菜が移送路の傾斜によって加速しながら終端側へ移動して果菜の間隔が詰まるため、果菜同士の間隔が離れることによる選別効率の低下や、果菜同士が接近又は接触することによる不正確な計測といった問題を解消することができる。
(2)果菜の間隔を移送路で詰めてから引継ぎ体で一個ずつ引き継げるため、果菜の計測を確実に行うことができ、等階級の判別を高精度で行うことができる。
(3)コンテナ等からバラバラと不規則に供給するだけで、果菜を整列させながら間隔を詰めて搬送できるため、果菜の間隔調整を行う作業員を増員する必要がなく、経済的な負担を抑えることができる。
【0035】
本発明の果菜容器詰め方法及び果菜容器詰め装置は、次の効果を奏する。
(1)個数計測手段で果菜の排出個数をカウントするため、予め設定した所定数の果菜を確実に容器詰めすることができる。
(2)引継ぎ体が複数本並列に設けられている場合、複数個の果菜を一回転で排出できるので、容器詰めを効率よく行うことができる。
(3)引継ぎ体が複数本並列に設けられ、少なくとも一本の引継ぎ体が個別に回転するようにした場合、予め設定した個数の果菜を確実に容器詰めすることができる。
【0036】
本発明の果菜選別容器詰め方法及び果菜選別容器詰め装置は、次の効果を奏する。
(1)果菜の等階級判別ごとの選別から容器詰めまでを、全自動化できるので、大幅な省力化ができる。
(2)本発明の果菜自動選別方法及び果菜容器詰め方法を用いるものであるため、本発明の果菜自動選別方法又は果菜容器詰め方法と同じ効果を奏する。
(3)本発明の果菜自動選別装置及び果菜容器詰め装置を用いるものであるため、本発明の果菜自動選別装置及び果菜容器詰め装置と同じ効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(果菜引継ぎ移送方法及び果菜引継ぎ移送装置の実施形態)
本発明の果菜引継ぎ移送方法及び果菜引継ぎ移送装置10の一例を、
図1〜
図8を参照して説明する。一例として
図1及び
図2に示す果菜引継ぎ移送装置は、果菜Aを移送する移送路1と、当該移送路1で移送された果菜Aを引き継ぐ引継ぎ体2を備えている。この実施形態では、移送路1の手前に、当該移送路1に果菜Aを供給するための果菜送出体3が設けられている。この実施形態では、移送路1の終端側と引継ぎ体2の始端側が同じ高さとなるように配置されているが、移送路1の終端側と引継ぎ体2の始端側が異なる高さとなるように配置することもできる。いずれの場合も、後述する引継ぎ爪7が、移送路1の終端側の通過部8を下から上に向けて通過できるような位置関係とし、移送路1の終端側に到達した果菜Aを引継ぎ体2の引継ぎ爪7で引継げるようにしておく。
【0039】
この実施形態の果菜引継ぎ移送装置10により、果菜送出体3から移送路1に供給された果菜Aをその自重で転がらせて当該移送路1の終端側へ移動させ、当該移送路1の終端に達した果菜Aを引継ぎ体2一個ずつ引き継いで先方へ搬送することができる。具体的には、引継ぎ体2に設けられた引継ぎ爪7を前記移送路1の終端側に形成された通過部8を通過させることによって、当該移送路1の終端側に到達した果菜Aを当該引継ぎ爪7で一個ずつ引き継いで搬送することができる。果菜Aは、コンテナC(
図11及び
図12)等から不規則に果菜送出体3へ供給され、当該果菜送出体3、移送路1、引継ぎ体2をこの順で搬送される間に整列するようにしてある。
【0040】
[移送路]
一例として
図1〜
図4に示す移送路1は、上向きに開口部を備えた樋状の通路4であり、始端側から終端側に向けて下り傾斜となるように構成されている。移送路1の終端側には、後述する引継ぎ爪7が通過可能な通過部8が設けられている。この実施形態では、樋状の通路4の終端側に三本の細長片9を形成することによって、それら細長片9の間の二つの空間を引継ぎ爪7が通過可能な通過部8としてある。
【0041】
果菜Aがミニトマトのようにヘタを備えているような場合、移送路1の移動中に当該ヘタによってミニトマトが停止してしまうことがある。このような問題を回避するため、この実施形態では、移動補助手段として、通路4の長手方向両外側に設けられたプーリー5と両プーリー5に周回された二本の細紐状のベルト6を設けている。ベルト6は、前記通路4の長手方向に沿って配設され、通路4の上面側に配設されたベルト6が当該通路4の終端側のプーリー5に架け渡されて、下面側で始端側へ折り返され、始端側のプーリー5に架け渡されたループ状のものである。一方のプーリー5には図示しないモータが連結され、当該モータによってベルト6が回転するようにしてある。プーリー5には、タイミングプーリーを用いることもできる。ベルト6は一本でも三本以上であってもよい。また、ベルト6は細紐状のものに限らず、平ベルト等を用いることもできる。移動補助手段は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
【0042】
移送路1は複数本を並列に設けることもできる。
図1及び
図2に示す例では、移送路1が三本並列に設けられている。三本の移送路1に設けられた細紐状のベルト6は、すべてが同期回転するようにすることもできるが、少なくとも一本が個別に回転するようにすることもできる。すべてを同期回転するようにするか、少なくとも一本を個別回転するようにするかは、引継ぎ体2の動作に合わせて決定することができる。具体的には、引継ぎ体2が複数本並列に設けられており、それらすべてが同期回転するように構成されている場合には、すべてのベルト6を同期回転するようにし、少なくとも一本の引継ぎ体2が個別回転するように構成されている場合には、個別回転する引継ぎ体2に対応する移送路1のベルト6を個別回転するようにすることができる。移送路1を複数本設ける場合、間隔をあけずに設けることも、間隔をあけて設けることもできる。
【0043】
前記移送路1は一例であり、これ以外の構造とすることもできる。具体的には、複数本の細長の線材(細長材)等で移送路1を構成することもできる。一例として
図5(a)〜(c)に示す移送路1は間隔をあけて配置された四本の線材43a〜43dから構成されたものである。四本の線材43a〜43dは、
図5(c)に示すように、上側の二本の線材(説明の便宜上「上側線材」という)43a、43bが間隔L1をあけて配置され、それら上側線材43a、43bの下側に下側の二本の線材(説明の便宜上「下側線材」という)43c、43dが間隔L1よりも狭い間隔L2をあけて配置され、それら四本の線材43a〜43dの端面を仮想曲線で繋いだときに、当該仮想曲線が上向き開口の半円形となるようにしてある。上側線材43a、43bの間隔L1は少なくとも果菜Aが一個収まる広さとしてあり、下側線材43c、43dの間隔L2は果菜が通過しない(落下しない)広さとしてある。四本の線材43a〜43dは、図示しないフレーム部材に取り付けられて前記位置関係が保持されている。四本の線材43a〜43dの間の空間は、前記引継ぎ体2に設けられた引継ぎ爪7が通過する通過部8として機能する。線材の本数は三本でも五本以上であってもよい。
【0044】
[引継ぎ体]
一例として
図1及び
図2に示す引継ぎ体2は、間隔をあけて配置された三つのスプロケット12と、当該スプロケット12に周回された平ベルト13を備えた無端状の回転体と、バケット11を備えたものであり、スプロケット12に連結されたモータ(図示しない)によって平ベルト13が回転するようにしてある。この実施形態では、引継ぎ体2を側面から見たときに、始端側の傾斜部とそれに続く水平部ができるように、スプロケット12を配置してある。スプロケット12の本数や配置は適宜変更することができる。平ベルト13の回転方向に複数のバケット11が取り付けられている。それぞれのバケット11は、平ベルト13の回転に伴って、当該平ベルト13の進行方向に移動するようにしてある。引継ぎ体2には、平ベルト13に代えて周回チェーン等を用いることもできる。周回チェーンを用いる場合、例えば、周回チェーンを二本で一組とし、当該二本の周回チェーンにバケット11を跨がせて固定することができる。
【0045】
この実施形態では、三本の引継ぎ体2を並列に設けてある。それぞれの引継ぎ体2が移送路1と一対一の関係となるように配置され、三本の移送路1から三本の引継ぎ体2につながる三本の搬送路が構成されるようにしてある。それぞれの引継ぎ体2は同期回転するようにすることもできるが、少なくとも一本が個別に回転するようにするのが望ましい。少なくとも一本の引継ぎ体2を個別回転するようにする場合、当該引継ぎ体2と対になっている移送路1も個別回転するようにするのが好ましい。引継ぎ体2を複数本設ける場合、間隔をあけずに設けることも、間隔をあけて設けることもできる。いずれの場合も、移送路1と一対一の関係になるように配置し、移送路1から引継ぎ体2につながる搬送路が構成されるようにする。
【0046】
前記バケット11は、移送路1の終端側に搬送された果菜Aを移送路1から引き継いで搬送するものである。一例として
図6(a)〜(c)及び
図7に示すバケット11は、前記平ベルト13や周回チェーンの表面に取り付け可能なものであり、引継ぎ体2の手前に設けられた移送路1の通過部8を通過して当該移送路1から果菜Aを引き継ぐ引継ぎ爪7と、当該引継ぎ爪7で引継いだ果菜Aを載置する果菜載せ部14を備えたものである。この実施形態では、複数のバケット11が、引継ぎ爪7が平ベルト13の進行方向後方側、果菜載せ部14が走行方向前方画となる向きで、当該平ベルト13に取り付けられている。バケット11の引継ぎ爪7は、平ベルト13の回転に伴って通過部8を下方から上方へ通過することによって、移送路1上の果菜Aを一個ずつ掬い上げられるようにしてある。掬い上げた果菜Aは果菜載せ部14の上に移し替えて引継ぎ体2に引き継げるようにしてある。
【0047】
この実施形態の引継ぎ爪7は、バケット11の幅方向(平ベルト13の回転方向に交差する方向)に間隔をあけて設けられた二本の爪片15から構成されている。それぞれの爪片15は、平面から見たときに果菜載せ部14側の面がハ字状となるようにしてあり、果菜載せ部14上の果菜Aが外側方向に転がりにくくなるようにしてある。引継ぎ爪7は、爪片15の形状を内側が窪んだ湾曲形状、すなわち、果菜Aの搬送方向先方側に凹部ができるような湾曲形状として、果菜載せ部14上の果菜Aが転がりにくくなるようにしてもよい。爪片15は、平ベルト13の進行方向後方に転がった果菜Aを支持できる高さ(長さ)としてある。爪片15は同じ長さとすることも異なる長さとすることもできる。爪片15は同じ幅とすることも異なる幅とすることもできる。一つの引継ぎ爪7を構成する爪片15の数は、一本でも三本以上でもよい。この実施形態では、果菜載せ部14の形状を中心部に向けてすり鉢状に窪んだ凹陥状として、果菜載せ部14の上の果菜Aが転がりにくいようにしてあるが、果菜載せ部14は平坦面であってもよい。
【0048】
図5(a)(b)のように、前記引継ぎ体2は、バケット11を用いず、スプロケット12に周回可能な無端状の平ベルト13に引継ぎ爪7を直接設けたものとすることもできる。この場合、引継ぎ爪7は平ベルト13の回転方向に間隔をあけて設けることができ、当該引継ぎ爪7の間の部分が果菜載せ部14として機能する。バケット11を用いる場合と同様、引継ぎ爪7で引継がれた果菜Aは引継ぎ爪7の間の果菜載せ部14に載せられる。引継ぎ爪7を構成する爪片15の形状や本数、設置間隔などは、バケット11を設ける場合同様、適宜設計することができる。引継ぎ爪7は周回チェーンに設けるようにしてもよい。
【0049】
前記引継ぎ体2の引継ぎ爪7には、平ベルト13の外側に露出しているもののみならず、平ベルト13の内側に隠れているものも含まれる。また、前記引継ぎ体2は、果菜Aを一個ずつ引継ぐことができるものであれば、引継ぎ爪7のない構造とすることもできる。例えば、平ベルト13に凹陥状の窪みを設けるとともに、当該窪みのうち平ベルト13の搬送方向後方側の内壁を高く設計し、当該窪み部に載せた果菜Aを当該内壁で支持するような構造とすることができる。
【0050】
[果菜送出体]
一例として
図1及び
図2に示す果菜送出体3は、間隔をあけて配置されたローラ16と、当該ローラ16の外周に周回されたベルト17を備えたベルトコンベアである。一方のローラ16にはモータ(図示しない)が接続され、そのモータの駆動によってベルト17が正逆両方向に回転するようにしてある。この実施形態では、正方向に回転しているベルト17をその回転の途中で間欠的に停止させたり、逆方向に回転させたりすることができるようにしてある。このようにすると、ベルト17が停止或いは逆回転したタイミングで、ベルト17上の果菜A同士の間隔が離れるため、果菜A同士が密集して搬送が滞るという問題を防止することができる。
図1及び
図2に示す例では、ベルトコンベアの手前に下り傾斜の傾斜板18が設けられているが、傾斜板は18必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
【0051】
果菜送出体3の終端側には、ベルト17の幅方向両側方から内向きに突出する邪魔板19を設けてあり、ベルト17の上面のうち、当該邪魔板19同士が対向する部分の幅が狭くなるようにしてある。このような幅の狭い部分(説明の便宜上「幅狭部」という)20を設けることによって、先方に移動する果菜Aの数を制限して、移送路1の手前で果菜Aが詰まることがないようにしてある。
【0052】
移送路1の始端側近傍には、移送路1内の果菜Aが満杯になったことを検知する満杯検知センサー(図示しない)を設けることもできる。満杯検知センサーによって移送路1内の果菜Aが満杯になったことが検知されると、果菜送出体3からの果菜Aの供給が停止し、前記満杯感知センサーにより移送路1内に空きが出たことが検知されると、果菜送出体3が果菜Aの供給を再開するようにしてある。満杯検知センサーは、引継ぎ体2の始端側近傍に設けることもできる。この場合、満杯検知センサーによって引継ぎ体2の果菜Aが満杯になったことが検知されると、移送路1による果菜Aの移送が停止し、前記満杯検知センサーにより引継ぎ体2に空きが出たことが検知されると、移送路1による果菜Aの移送が再開するようにすることができる。満杯検知センサーは、移送路1や引継ぎ体2毎に設けることもできるが、複数本の移送路1や引継ぎ体2につき一つとすることもできる。
【0053】
図1及び
図2のように、移送路1が並列に複数本設けられている場合には、それら複数本の移送路1の手前に、果菜送出体3の幅狭部20を通過して終端側に到達した複数の果菜Aを振り分ける果菜振分け手段21を設けることもできる。一例として
図8(a)に示す果菜振分け手段21は、平板状の基体22と、当該基体22に間隔をあけて設けられた複数の振分け体23と、当該振分け体23を回転させるモータMと、当該振分け体23及びモータMに連続的に掛けまわされた伝達紐24を備えたものである。この実施形態では、果菜振分け手段21の先方に仕切り板31が設けてある。
【0054】
それぞれの振分け体23は、
図8(b)に示すように、基体22に回転可能に保持された保持棒25と、当該保持棒25に固定された本体26と、当該本体26から下向きに突設された振分け棒27を備えている。
図8(c)に示すように、保持棒25は本体26の中心位置に設けられているのに対し、振分け棒27は本体26から偏心した位置に設けられ、本体26の回転によって振分け棒27が偏心回転するようにしてある。偏心回転するようにしたことによって、振分け棒27が果菜Aに触れるだけで、果菜Aが横方向に移動して果菜Aを効率よく振り分けられるという効果がある。本体26の外周面には、伝達紐24を嵌合可能な嵌合溝28が設けられている。
【0055】
前記モータMは基体22の上面側に設けられ、そのモータMの回転軸が基体22を貫通して基体22の下側に突出するようにしてある。回転軸のうち基体22の下側に突出した部分には、回転体29が固定されている。固定体29の外周面には伝達紐24を係止可能な係止溝30が設けられている。
【0056】
前記伝達紐24は、前記果菜振分け手段21用のモータMの動力を振分け体23に伝達するものである。この実施形態では、ゴム製の丸紐を用いているが、伝達紐24はこれ以外であってもよい。この実施形態の伝達紐24は複数の振分け体23とモータMに連続的に掛けまわされ、振分け体23に設けられた嵌合溝28と回転体29に設けられた係止溝30に嵌合されている。モータMを駆動するとその駆動力が伝達紐24を介して振分け体23に伝わるようにしてある。
【0057】
果菜振分け手段21は、
図9及び
図10に示すような、一本の中心軸棒39と当該中心軸棒39に固定された多数枚の円板40と、それら多数枚の円板40に挿通された多数本の横棒41を備えたものとすることもできる。
図9及び
図10に示す果菜振分け手段21は、移送路1の始端側に設けられている。多数枚の円板40は、中心軸棒39の長手方向に間隔をあけて配置されている。
図9及び
図10に示す例では六枚の円板40を配置しているが、円板40の枚数は移送路1の数に応じて適宜増減することができる。それぞれの円板40の間隔は、果菜Aが通過可能な寸法としてある。多数本の横棒41は、円板40の外周寄りの位置に間隔をあけて配置されている。それぞれの横棒は41、中心軸棒39から等距離の位置(同心円上)に設けられている。それぞれの横棒41の間隔は、果菜Aが収まる寸法としてある。この果菜振分け手段21では、隣接する二枚の円板40と隣接する二本の横棒41で囲われた空間に果菜Aが一つだけ収まるようにしてある。この空間に収まった果菜Aの下側は中心軸棒39に当接して、下に抜け落ちないようにしてある。この実施形態では、果菜振分け手段21の手前側に仕切りピン42を設けてあるが、仕切りピン42に代えて又は仕切りピン42と共に仕切り板31を設けることもできる。
【0058】
なお、果菜振分け手段21は、移送路1が多数本設けられている場合に必要なものであり、移送路1が一列の場合や、果菜送出体3に仕切り板31が設けられ、当該仕切り板31によって果菜が移送路1に振り分けられるような場合には省略することもできる。仕切り板31は、
図10のように、移送路1と引継ぎ体2の間にも設けることができる。
【0059】
(果菜自動選別方法及び果菜自動選別装置の実施形態)
本発明の果菜自動選別方法及び果菜自動選別装置50の一例を、
図11及び
図12を参照して説明する。本発明の果菜自動選別方法及び果菜自動選別装置50は各種果菜Aの自動選別に利用可能なものであるが、特に、ミニトマトやキンカン、かぼす、栗、ミカンといった外形が球状或いは丸形の果菜(小形果菜)の自動選別に適するものである。なお、以下では、引継ぎ体2がバケット11を備えた場合を一例として説明するが、平ベルト13に引継ぎ爪7が直接設けられた引継ぎ体2や、引継ぎ爪7を備えていない引継ぎ体2を用いることもできる。
【0060】
一例として
図11及び
図12に示す果菜自動選別装置50は、
図1〜
図8に示す果菜引継ぎ移送装置10と、果菜引継ぎ移送装置10で搬送される果菜Aの等階級を判別する等階級判別手段32と、等階級判別手段で32等階級が判別された果菜Aを等階級ごとに引継ぎ体2Aの側方に排出する果菜排出手段33と、果菜排出手段33で排出された果菜Aを等階級別にプールするプールコンベア34を備えている。
【0061】
この実施形態の果菜自動選別装置50により、移送路1Aに供給された複数の果菜Aをその自重で転がらせて当該移送路1Aの終端側に向けて移動させることによって当該果菜A同士の間隔を詰め、当該移送路1Aの終端側へ到達した果菜Aを当該移送路1Aの先方に配置された引継ぎ体2Aで一個ずつ引き継いで当該引継ぎ体2Aの先方へ搬送し、当該引継ぎ体2Aで搬送中の果菜Aを一個ずつ自動的に計測して等階級を判別し、その等階級判別済みの果菜Aを等階級別に果菜搬送方向側方に送り出して果菜Aを選別することができる。具体的には、引継ぎ体2Aに設けられた引継ぎ爪7Aを前記移送路1Aの終端側に形成された通過部8を通過させることによって、当該移送路1Aの終端側に到達した果菜Aを当該引継ぎ爪7Aで一個ずつ引き継いで搬送することができる。
【0062】
[果菜引継ぎ移送装置]
この実施形態の果菜引継ぎ移送装置10は、傾斜板18を備えた果菜送出体3Aと、移送路1Aと、引継ぎ体2Aを備えている。引継ぎ体2Aは移送路1Aの長手方向先方に配置され、移送路1Aから引継ぎ体2Aにつながる一本の搬送路が構成されるようにしてある。
【0063】
前記果菜引継ぎ移送方法及び果菜引継ぎ移送装置の実施形態と異なり、この実施形態では、移送路1A及び引継ぎ体2Aが一本であるため、果菜振分け手段21は設けていない。また、邪魔板19の形状を先方に向けて広がる扇形状とし、両邪魔板19間を通過した果菜Aが一列に並んで移送路1Aに供給されるようにしてある。それ以外の基本的な構成は、前記果菜引継ぎ移送方法及び果菜引継ぎ移送装置の実施形態において説明したとおりである。なお、この実施形態の引継ぎ体2Aは、バケット11Aを備えた場合を一例としているが、バケット11を備えていない引継ぎ体2を用いることもできる。
【0064】
[等階級判別手段]
前記等階級判別手段32は、果菜Aの形状、大きさ、重さ、糖度、色、変形、表面の凹凸、傷の有無等の必要事項を計測するものであり、既存の光学式計測器、画像処理式計測器、糖度計、計量器といった各種方式の計測器を個別に又は二以上の計測器を組み合わせて使用することができる。等階級判別手段32は、果菜引継ぎ移送装置10の引継ぎ体2Aの途中に設けてある。等階級判別手段32は引継ぎ体2Aの上方や下方、側方など、個々の果菜Aの等階級を正確に計測できる位置に配置する。等階級判別手段32は二以上設けることもできる。
【0065】
[果菜排出手段]
前記果菜排出手段33は、判別済み果菜Aを引継ぎ体2Aの側方に配置されているプールコンベア34に等階級別に送り出すものである。一例として
図11に示す果菜排出手段33は、高圧エアを噴出して引継ぎ体2Aの上の果菜Aをプールコンベア34に送り出すものである。果菜排出手段33としてはエア噴出機のほか、押し出し機等を使用することができる。
【0066】
果菜排出手段33は当該等階級判別手段32から送信される判別信号に従って動作するようにしてあり、判別済み果菜Aが、所定の等階級の果菜Aを引き受けるプールコンベア34の近傍に到達したときにエアを噴出するようにしてある。果菜排出手段33がエア噴出式である場合、引継ぎ体2Aのバケット11の真横のほか、引継ぎ体2Aによる搬送方向斜め前方或いは斜め後方からエアを噴出して、噴出方向先方に送り出すこともできる。この場合は、プールコンベア34を吹き出し方向に配置しておく。
【0067】
[プールコンベア]
前記プールコンベア34は、果菜排出手段33により排出される果菜Aを等階級別にプールして、先方に搬送するものであり、例えば、平ベルトを使用したベルトコンベアなど、既存のものを用いることができる。プールコンベア34は引継ぎ体2Aの側方に、等階級別に、数本ずつ配置されている。この実施形態では、プールコンベア34を三本設けた場合を一例としているが、プールコンベア34は一つの等階級ごとに三本未満とすることも四本以上とすることもできる。プールコンベア34を多数本設ける場合は、数本おきに或いは一本おきに間隔をあけて配置して、その間隔(スペース)を、作業者が作業をするための作業スペースとして利用することもできる。プールコンベア34の上面は引継ぎ体2Aの上面と同じ高さ(面一)に設けることも、引継ぎ体2Aの上面よりも一段低い位置に設けることもできる。
【0068】
プールコンベア34は低速で連続回転するものであっても、果菜Aが送り出されるたびに所定の移動長(例えば、果菜一個のスペース分)間欠回転するものであっても、定時的に間欠回転するものであってもよい。プールコンベア34に無駄な空きスペースができないようにするため、連続回転式の場合は遅い回転速度にするのが望ましい。回転速度が速いとプールコンベア34の上の空きスペースが多くなり、効率の良いプールができなくなる。果菜一個のスペース分だけ間欠回転する場合は、プールコンベア34の上に、後から送り出される果菜Aが載る分のスペースが確保されるため、後から送り出される果菜Aが、前に送り出された果菜Aに追突するのを防止でき、衝突による果菜Aの損傷を防止することができる。
【0069】
プールコンベア34の横幅、長さは必要量の果菜Aをプールできるように設計することができる。その材質は果菜Aが傷付きにくいものが適する。プールコンベア34は多数の果菜Aをプールすることができれば、本数、横幅、長さ等は任意に設計することができる。
【0070】
図11では引継ぎ体2Aから直にプールコンベア34に送り出すようにしてあるが、必要であれば、引継ぎ体2Aとプールコンベア34の間に中継体(図示しない)を配置し、引継ぎ体2Aから一旦、その中継体に送り出し、その中継体からプールコンベア34に送り出すようにすることもできる。中継体としては例えばプールコンベア34とは回転速度の異なるベルトコンベア或いは回転方向が異なるベルトコンベア(図示せず)とか、細い回転ローラを多数本配置したもの等とすることができる。
【0071】
なお、
図11では、移送路1Aが一本の場合を一例としているが、移送路1Aは間隔をあけて複数本設けることもできる。
図15のように、移送路1Aを複数本設ける場合、それぞれの移送路1Aの側方に果菜排出手段33を設けて、列ごとに果菜Aを排出できるようにするのが望ましい。この場合、プールコンベア34をすべて又は二本以上の移送路1Aと交差するように、これら移送路1Aの下方に配置し、果菜排出手段33によって隣接する移送路1A間に排出される果菜Aを、プールコンベア34で搬送できるようにすることができる。移送路1A同士の間隔が狭い場合には、移送路1Aの果菜排出方向先方にある他の移送路1Aの手前に立て板(図示しない)を配置し、一の移送路1Aから排出された果菜Aがその排出方向先方にある他の移送路1Aに乗り移ったり、当該他の移送路1Aを移動中の果菜Aを落下させたりしないようにすることができる。
【0072】
(果菜自動選別装置の動作)
本発明の果菜自動選別装置50は、次のように動作する。
(1)コンテナC等から果菜送出体3Aに果菜Aが供給されると、当該果菜Aは邪魔板19に接触しながら搬送され、当該果菜送出体3Aの先方に設けられた移送路1Aに供給される。
(2)果菜送出体3Aから移送路1Aへ供給された果菜Aは、自重で転がりながら当該移送路1Aの先方へ移動する。
(3)移送路1Aの終端に到達した果菜Aは、引継ぎ体2Aに設けられたバケット11Aの引継ぎ爪7Aによって一個ずつ引き継がれる。
(4)引継がれたバケット11A上の果菜Aは、等階級判別手段32の下を通過し、等階級が判別される。
(5)等階級が判別された果菜Aは、引継ぎ体2Aの側方に配置された果菜排出手段33によって、引継ぎ体2Aの側方に配置されたプールコンベア34に排出され、等階級ごとに選別される。
(6)以降、前記(1)〜(5)の繰り返しにより、連続的に果菜Aの選別が行われる。
【0073】
(果菜容器詰め方法及び果菜容器詰め装置の実施形態)
本発明の果菜容器詰め方法及び果菜容器詰め装置60の一例を、
図11及び
図13を参照して説明する。なお、以下では、引継ぎ体2がバケット11を備えた場合を一例として説明するが、平ベルト13に引継ぎ爪7が直接設けられた引継ぎ体2や、引継ぎ爪7を備えていない引継ぎ体2を用いることもできる。
【0074】
一例として
図11及び
図13に示す果菜容器詰め装置60は、等階級判別済みの果菜Aを予め設定された個数ずつ容器Pへ送り込んで容器詰めする装置であって、
図1〜
図8に記載の果菜引継ぎ移送装置10と、果菜引継ぎ移送装置10の終端側に搬送された果菜Aの個数を検知する個数計測手段35と、果菜引継ぎ移送装置10の引継ぎ体2Bから排出される所定個数の果菜Aを容器Pに案内する案内体36を備えたものである。案内体36の下方側には、容器詰め用の容器Pを順次移送する容器移送路37が設けられている。
【0075】
この実施形態の果菜容器詰め装置60により、不均等な間隔で搬送される果菜Aを下り傾斜の移送路1Bに供給し、当該移送路1Bに供給された等階級選別済みの果菜Aを当該移送路1Bの終端側に向けて移動させることによって当該果菜A同士の間隔を詰め、当該移送路1Bの終端側へ到達した果菜Aを当該移送路1Bの先方に配置された引継ぎ体2Bで一個ずつ引き継いで当該引継ぎ体2Bの先方へ搬送し、予め設定された個数分の果菜Aを当該引継ぎ体2Bの終端側から排出して容器P内に送り込んで容器詰めすることができる。具体的には、引継ぎ体2Bに設けられた引継ぎ爪7Bを移送路1Bの終端側に形成された通過部8を通過させることによって、当該移送路1Bの終端側に到達した果菜Aを当該引継ぎ爪7Bで一個ずつ引き継いで搬送することができる。
【0076】
この実施形態の果菜引継ぎ移送装置10は、傾斜板18を備えた果菜送出体3Bと、移送路1Bと、引継ぎ体2Bを備えている。移送路1Bと引継ぎ体2Bはそれぞれ三本ずつ設けられ、引継ぎ体2Bが移送路1Bの長手方向先方に配置されて、移送路1Bから引継ぎ体2Bにつながる搬送路が三本構成されるようにしてある。この実施形態では、移送路1Bの手前側(果菜送出体3Bの終端側)に果菜振分け手段21が設けられている。それ以外の基本的な構成は、前記果菜引継ぎ移送方法及び果菜引継ぎ移送装置10の実施形態において説明したとおりである。
【0077】
[個数計測手段]
前記引継ぎ体2Bの終端側の上方には平板38が配置され、当該平板38の底面側に果菜Aの個数を検知する個数計測手段35が設けられている。個数計測手段35には、既存の光電センサー(例えば、投光部と受光部を備えた透過形の光電センサー等)を用いることができる。この実施形態では、個数計測手段35として光電センサーを等間隔で三つ設けている。それぞれの光電センサーは、個々の引継ぎ体2Bの上方に配置され、それぞれの引継ぎ体2Bを通過する果菜Aの個数を計測できるようにしてある。光電センサーでの検知信号は、図示しない処理部で処理されるようにしてある。具体的には、光電センサーで検知された果菜Aの個数が、予め設定された個数に達すると、引継ぎ体2Bの回転が停止し、果菜Aの排出が停止されるようにしてある。
【0078】
例えば、容器詰めする果菜Aの個数を六個と設定した場合、三本の引継ぎ体2Bが二回転して六個の果菜Aが排出される。また、容器詰めする果菜Aの個数を四個と設定した場合、
図14(a)(b)に示すように、三本の引継ぎ体2Bが一回転したのち、三本の引継ぎ体2Bのうちの一本だけ(
図14(b)の例では一番下側の引継ぎ体)が更に一回転して四個の果菜Aが排出されるようにする。いずれの場合も、光電センサーでの検知信号を処理部で処理して、設定数に到達したときに引継ぎ体2Bの回転が停止するようにしてある。なお、容器詰めする果菜Aの個数は、例えば、図示しないコントローラーで設定することができる。
【0079】
[案内体]
前記案内体36は、果菜引継ぎ体2Bから排出された果菜Aを、容器P内に送るためのものである。一例として
図11及び
図13に示す案内体Pは、容器36に向けて下り傾斜に配置された平板であり、その外周に果菜Aの飛び出しを防止する周壁が設けられたものである。図示した例は一例であり、案内体36はこれ以外の形状であってもよい。また、必要に応じて、案内体36の代わりに、排出された果菜Aを貯留可能なホッパー(図示しない)を設けることもできる。
【0080】
ホッパーは、引継ぎ体2Bから排出された果菜Aを、一容器分の数量(一つの容器Pに詰める数量)を貯留し、貯留した果菜Aを容器移送路37で移送されて定位置(ホッパーの排出口の下)に送られてくる容器Pに供給するためのものである。ホッパーは引継ぎ体2Bから送られる果菜Aを投入する上方開口の投入口と、ホッパー内に貯留された果菜Aを排出する下細りの排出口を備えたものなどとすることができる。案内体36に代えてホッパーを設ける場合、光電センサーに代えて、ホッパーに投入された果菜Aの数量を感知する定量センサー(図示しない)を設けることもできる。定量センサーは、ホッパーの投入口付近に設けることができる。
【0081】
果菜Aは、工業製品と異なり、二つとして同じ重量、形状及び大きさ(サイズ)のものがないため、一つの容器Pに一定数の果菜Aを一定重量になるように容器詰めすることは極めて難しい。例えば、12個入り容器で150gと表示した場合、ミニトマト1個あたりの重量を12.5gと仮定すると、重量が1から2g不足する場合には、1個分余分に入れて150g以上にしなければ量目不足となる。他方、12個入りで150gと表示した容器に161g入っていて量目が多い場合、1個取り除けば150gに満たなくなるため、取り除くことはできず、ほぼ1個分のロスが生じることとなる。
【0082】
このような過剰量目をなくし、計量ロスを減らすため、一つの容器に大きさの異なるものを混ぜることが多く行われているが、商品の粒が不揃いであるというクレームが来ることもあり、販売価格低減の一因となっている。また、大きさの異なるものを混ぜたのでは、せっかくg単位で細かく選別した意味もなくなる。このような事態を避けるため、重量を150gに合わせるために入れ替えを繰り返すことも珍しくない。このような容器詰めの入れ替え時間のロスにより1容器当たりの人件費が増加し、経営に悪影響を及ぼすおそれがあることが問題視されているが、案内体36に代えてホッパー及び定量センサーを設ける場合には、このような問題も解消することができる。
【0083】
[容器移送路]
前記容器移送路37はプラスチック製の空の容器Pを案内体36又はホッパーの排出口の下に送り込むとともに、果菜Aが収容された収容済み容器Pをその先方に送り出すための装置である。容器移送路37は空の容器Pを搬送する空容器用の移送路と、果菜収容済みの容器Pを搬送する収容済み容器用の移送路を別々にすることもできる。容器移送路37には既存のベルトコンベアやローラーコンベアなどを用いることができる。容器Pは容器移送路37の近傍に設置されたストッカー(図示しない)に収容しておくことができる。この実施形態では、果菜Aをプラスチック製の容器Pに収容する場合を一例としているが、容器Pはダンボール箱など、プラスチック製以外の容器であってもよい。
【0084】
容器移送路37には容器定位置センサー(図示しない)を設けてあり、先頭の容器Pが案内体36の下又はホッパーの排出口の下に到達したことを検知すると、容器移送路37の回転による移送が停止するようにしてある。空の容器Pが所定位置に停止している状態で果菜Aが案内体36に排出され、又は同状態でホッパーの排出口を開閉する蓋が開くと、果菜Aが空の容器P内に収容されるようにしてある。容器移送路37は容器P内への果菜Aの収容が終了する(所定量詰める)と容器一個分だけ間欠回転して充填済み容器Pを先方に送り出すと共に、次の容器Pが所定位置に送られるようにしてある。この実施形態では、容器移送路37が容器P一つ分間欠回転するたびにストッカーから空の容器Pが一つ容器移送路37上に供給されるようにしてある。
【0085】
(果菜容器詰め装置の動作)
本発明の果菜容器詰め装置60は、次のように動作する。
(1)プールコンベア(
図11)34から果菜送出体3Bへ送られた果菜Aは、果菜送出体3Bの終端側で果菜振分け手段21によって振り分けられ、三本の移送路1Bに送られる。
(2)移送路1Bに送られた果菜Aは、その自重で当該移送路1Bの先方側(終端側)へ移動し、終端へ到達する。
(3)移送路1Bの終端に到達した果菜Aは、当該引継ぎ体2Bの回転によって移送路1Bの終端側の通過部8を通過したバケット11Bの引継ぎ爪7Bによって一個ずつ掬い上げられて引き継がれる。
(4)引継がれた果菜Aは、引継ぎ体2Bの終端側から案内体36又はホッパーへ排出される。このとき、排出される個数は個数計測手段35で計測される。所定個数の果菜Aが排出されると、引継ぎ体2Bは回転を停止する。
(5)容器Pは、上記(1)〜(4)が完了するまでの間に、容器移送路37によって所定位置に送られる。
(6)案内体36又はホッパーへ排出された果菜Aは、容器移送路37によって所定位置に配置された空の容器P内へ送り込まれ、容器詰めされる。
(7)容器詰めされた収容済み容器Pは、容器移送路37の先方は搬出され、図示しない出荷エリアへと搬送される。
(8)以降、前記(1)〜(7)の繰り返しにより果菜Aの容器詰めが繰り返される。
【0086】
(果菜選別容器詰め方法及び果菜選別容器詰め装置の実施形態)
本発明の果菜選別容器詰め方法及び果菜選別容器詰め装置70の一例を、
図11〜
図13を参照して説明する。一例として
図11に示す果菜選別容器詰め装置70は、不規則に供給される複数の果菜Aの等階級を判別して等階級ごとに選別したのち、当該等階級選別済みの果菜Aを予め設定された個数ずつ容器Pへ送り込んで容器詰めする装置であって、
図12に示す果菜自動選別装置50の引継ぎ体2A又は果菜引継ぎ移送装置10の搬送方向側方に設けられたプールコンベア34の先方に、
図13に示す果菜容器詰め装置60の移送路1B又は果菜送出体3Bが配置されたものである。
【0087】
この実施形態の果菜選別容器詰め装置70によって、果菜自動選別装置50で等階級を判別して等階級ごとに選別された果菜Aを、果菜容器詰め装置60で容器P内に送り込んで容器詰めすることができる。なお、果菜自動選別装置50の詳細は前記果菜自動選別方法及び果菜自動選別装置の実施形態において述べたとおりであり、果菜容器詰め装置60の詳細は前記果菜容器詰め方法及び果菜容器詰め装置の実施形態において述べたとおりであるため、ここではその説明を省略する。
【0088】
前記果菜選別容器詰め方法及び果菜選別容器詰め装置の実施形態では、果菜自動選別装置50で選別された果菜Aを果菜容器詰め装置60で容器詰めする場合を一例としているが、果菜Aの種類によっては、果菜自動選別装置50で選別された果菜Aを直接容器詰めすることもできる。
【0089】
果菜自動選別装置50で選別された果菜Aを直接容器詰めする場合の一例を、
図15に示す。
図15において、43はコンテナC内にある等階級選別前の果菜を供給する原料供給部、44は原料供給部43から供給された果菜Aを洗浄する洗浄部、45は洗浄された果菜Aの中から規格外品を手作業で除外する手選部である。原料供給部43はコンテナCを持ち上げて回転させてコンテナC内の果菜Aを排出し、先方へ搬送可能なものであり、搬送部には既存のベルトコンベアやローラーコンベア等を用いることができる。洗浄部44は浸漬式のものやシャワー式のものなど、既存のものを用いることができる。手選部45にはコンベアが配置され、そのコンベアで搬送される果菜Aの選別を作業員が手作業で行う。
【0090】
手選部45の先方には、果菜送出体3A、下り傾斜の移送路1A及び引継ぎ体2Aが設けられている。移送路1Aと引継ぎ体2Aは、間隔をあけて複数本設けられている。
図15に示す果菜送出体3Aは、回転速度を手選部45のコンベアよりも早くしてあり、手選部45のコンベアから排出される果菜Aが果菜送出体3Aに供給されると、果菜A間の間隔が開いて重なりが解消される。重なりが解消された果菜Aは、下り傾斜の移送路1Aを転がる際に間隔が詰まり、引継ぎ体2Aによって連続的に引き継がれる。
【0091】
複数本の引継ぎ体2Aの下方には、当該引継ぎ体2Aから排出された果菜Aをプールするプールコンベア34が、引継ぎ体2Aの果菜搬送方向側方に交差する向きで設けられている。プールコンベア34の終端側は、引継ぎ体2Aの側方に突出させてあり、当該プールコンベア34で搬送された果菜Aがプールコンベア34から直接空容器(ここでは、空ダンボール)に収容されるようにしてある。空ダンボールは引継ぎ体2Bの側方に、引継ぎ体2Bと平行に設けられた空箱供給ライン37aで搬送され、その先方で、前記プールコンベア34の下方に、当該プールコンベア34と平行に配置された容器移送路37に乗り移って、プールコンベア34の終端側に供給される。果菜Aが収容された容器Pは、空箱供給ライン37aと平行に配置された製品箱搬送ライン37bで先方へ搬送される。
【0092】
図15に示す例では、移送路1Aと引継ぎ体2Aの下方に、落下した果菜Aを受ける受け部46と、受け部46で受けた果菜Aを果菜送出体3Aの手前(手選部45)まで送り返す帰還路47を設けてある。また、引継ぎ体2Aの終端側には、不良品を引継ぎ体2Aから排出するための不良品排出ライン48を設けてある。受け部46や帰還路47は目的を達成できるものであればどのようなものであってもよい。