【解決手段】 傾斜計1は、パチンコ台などの遊技機用の傾斜計である。傾斜計本体2の前面には、センサ部5が配置される。センサ部5の内部には、傾斜センサが収容されており、センサ部5を測定面に当接することで測定面の傾斜を検出することができる。傾斜計本体2の前面には、センサ部5に挟み込まれるように、固定部3が設けられる。すなわち、センサ部5は、固定部3の両側に併設される。固定部3は、測定面に対して、傾斜計1を固定するための部位である。したがって、傾斜計1は、固定部3の固定方向と、センサ部3の測定方向が同一方向に向けて配置される。
前記センサ部は、前記固定部に併設され、前記固定部の固定方向と、前記センサ部の測定方向が同一方向に向けて配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の傾斜計。
前記制御部は、予め設定された基準傾斜値と、前記センサ部で測定された測定傾斜値とを比較し、前記報知部において、前記基準傾斜値に対する前記測定傾斜値の正負を表示可能であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の傾斜計。
前記報知部は、複数のランプであり、前記制御部は、前記基準傾斜値に対する前記測定傾斜値の傾き方向および/または、前記基準傾斜値に対する前記測定傾斜値の差の程度を、前記ランプの点灯方法の違いによって報知することを特徴とする請求項7記載の傾斜計。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のように、水準器を目視で確認する方法では、使用者による読み取り角度が異なったり、適切な傾斜角度に精度よく調整することが困難である。
【0008】
また、特許文献2のように吊り下げ金具を用いれば、ハンズフリーで傾斜角度を測定することが可能であるが、特許文献2も特許文献1と同様に、水準器を用いたものであり、精度が悪い。
【0009】
一方、特許文献3のように傾斜角度をデジタル表示することで、精度は高くなるが、遊技機ごとに計測器を設置したのでは、コスト増を招く。したがって、一台の傾斜計で、複数の遊技機を正確に計測可能な方法が求められる。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、精度よく遊技機の傾斜を計測することが可能であるとともに、作業性にも優れた遊技機用の傾斜計等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達するために第1の発明は、遊技機の傾斜角度を検出する傾斜計であって、前記遊技機に固定するための固定部と、前記遊技機の測定面の傾斜を検出するセンサ部と、前記センサ部で測定された結果を使用者に報知する報知部と、前記センサ部での測定結果に応じて、前記報知部を制御する制御部と、を具備することを特徴とする傾斜計である。
【0012】
前記センサ部が複数個所に配置されることが望ましい。
【0013】
前記センサ部は、傾斜計本体に弾性部材によって揺動可能に支持されることが望ましい。
【0014】
前記センサ部は、前記固定部に併設され、前記固定部の固定方向と、前記センサ部の測定方向が同一方向に向けて配置されてもよい。
【0015】
傾斜計本体からの前記センサ部の突出量が、傾斜計本体からの前記固定部の突出量よりも大きくてもよい。
【0016】
前記遊技機の測定面に接する前記センサ部の前面には、少なくとも3か所の突起が設けられてもよい。
【0017】
前記制御部は、予め設定された基準傾斜値と、前記センサ部で測定された測定傾斜値とを比較し、前記報知部において、前記基準傾斜値に対する前記測定傾斜値の正負を表示可能であることが望ましい。
【0018】
前記報知部は、複数のランプであり、前記制御部は、前記基準傾斜値に対する前記測定傾斜値の傾き方向および/または、前記基準傾斜値に対する前記測定傾斜値の差の程度を、前記ランプの点灯方法の違いによって報知してもよい。
【0019】
前記固定部は吸盤であり、前記吸盤を操作する固定用レバーと、解除部と、をさらに具備し、前記固定用レバーによって、前記固定部を前記測定面に吸着させることが可能であるとともに、前記解除部によって、前記測定面に対する前記固定部の吸着を解除可能であることが望ましい。
【0020】
第1の発明によれば、固定部によって遊技機に傾斜計を固定することができるため、傾斜測定をハンズフリーで行うことができる。また、センサ部によって傾斜を計測し、報知部によって測定結果を報知するため、作業者が、傾斜を容易に把握することができる。
【0021】
また、センサ部が複数個所に配置されることで、遊技機の捻じれや歪みなどの影響を受けにくく、精度よく遊技機の傾斜を測定することができる。
【0022】
また、センサ部が、揺動可能に傾斜計本体に支持されることで、確実にセンサ部を測定対象に対して当接し、精度よく傾斜を測定することができる。
【0023】
また、センサ部と固定部とが併設され、固定部の固定方向とセンサ部の測定方向が同一方向であれば、遊技機への傾斜計の固定と測定を同一測定面に対して行うことができる。このため、作業性が優れる。
【0024】
この際、傾斜計本体からのセンサ部の突出量を、固定部の突出量よりも大きくすることで、確実にセンサ部を測定面に当接させることができる。
【0025】
また、センサ部の当接面に少なくとも3か所の突起を設けることで、センサ部と測定面との間に異物等が挟まることにより誤差が生じることを抑制することができる。
【0026】
また、制御部によって、予め設定された基準傾斜値とセンサ部で測定された測定傾斜値とを比較し、報知部において、基準傾斜値に対する傾斜方向の正負を表示させることで、作業者が、遊技機の傾斜を容易に調整することができる。
【0027】
この際、報知部を複数のランプとし、基準傾斜値に対する測定傾斜値の傾き方向や、基準傾斜値に対する測定傾斜値の差の程度を、ランプの点灯方法の違い(例えば異なるランプの点灯や連続点灯と点滅)によって報知すれば、作業者が遊技機の傾斜を視覚的に把握することができ、遊技機の傾斜調整を容易に行うことができる。
【0028】
また、固定部を吸盤とし、吸盤を操作する固定用レバーによって、固定部を測定面に吸着させることが可能であるとともに、解除部によって、測定面に対する固定部の吸着を解除可能であれば、傾斜計の取り付けおよび取り外し作業が容易である。
【0029】
第2の発明は、第1の発明にかかる傾斜計を用いた遊技機傾斜測定方法であって、前記遊技機の盤面を覆う透明板に前記センサ部を当接することで、前記透明板の傾斜を測定し、前記透明板の傾斜によって前記遊技機の傾斜を測定することを特徴とする遊技機傾斜測定方法である。
【0030】
前記センサ部は、前記固定部の両側に複数個所に配置され、複数の前記センサ部を略水平方向に併設して、前記透明板の傾斜を測定することが望ましい。
【0031】
第2の発明によれば、盤面を覆う透明板(例えばガラス扉)にセンサ部を当接し、ガラス板で遊技機の傾斜を測定するため、計測時に、透明板を開けて、中の盤面に傾斜計を当接させる必要がない。このため、作業性が良好である。また、盤面の釘などの凹凸の影響を受けないため、任意の場所(例えば遊技機の略中央)などで、測定を行うことができる。また、計測時に、誤って釘等に触れてしまうこともない。
【0032】
また、センサ部が固定部の両側に複数個所に配置される場合に、複数のセンサ部を略水平方向に併設して、透明板の傾斜を測定すれば、遊技機の捻じれなどによる左右の傾斜のばらつきの影響を受けにくく、精度よく、遊技機の傾斜を計測することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、精度よく傾斜を計測することが可能であるとともに、作業性にも優れた遊技機用の傾斜計等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1〜
図5は、傾斜計1を示す図であり、
図1は後方斜視図、
図2は前方斜視図、
図3は側面図、
図4は平面図、
図5は正面図である。なお、以下の説明において、互いに直交する3方向を、X方向、Y方向およびZ方向とする。本実施の形態では、X方向を前後方向とするとともに、測定対象に当接して計測を行うX1方向側を傾斜計1の前方(前側)とし、その反対側であって作業者が手にするX2方向側を傾斜計1の後方(後ろ側)とする。また、Y方向を左右方向(傾斜計1の幅方向)とし、Z方向を上下方向(傾斜計1の高さ方向)とする。
【0036】
傾斜計1は、パチンコ台などの遊技機用の傾斜計である。傾斜計1は、主に、傾斜計本体2、固定部3、センサ部5、取手部7、固定用レバー9、解除部11、報知部17、操作部19等から構成される。なお、本発明の傾斜計は、図示した例には限られず、各部の形状や配置は、適宜変更が可能である。
【0037】
傾斜計本体2の内部には、図示を省略する制御部や、センサおよび制御部を駆動するバッテリー等が収容される。傾斜計本体2の後方には、取手部7が設けられる。取手部7は、作業者が手にする部位である。
【0038】
図3に示すように、取手部7の前方には、固定用レバー9が設けられる。固定用レバー9は、固定部3を動作させる部位である。すなわち、作業者が固定用レバー9を引くと、固定部3が動作して、固定部3が測定対象面に固定され、傾斜計1を遊技機に固定することができる。
【0039】
取手部7の上部には、解除部11が設けられる。解除部11は、固定用レバー9が操作されて、固定部3が固定状態にある状態を解除する。すなわち、固定部3が測定面に固定されている状態で、作業者が解除部11を操作すると、固定部3の固定が解除され、傾斜計1を遊技機から取り外すことができる。なお、固定部3の動作については詳細を後述する。
【0040】
取手部7の上方には、操作部19(
図1参照)が配置される。操作部19は、傾斜計1の電源操作および動作モード等を設定する部位である。例えば、操作部19によって、後述する基準傾斜値等を設定することができる。
【0041】
傾斜計本体2の上面には、ディスプレイ13(
図1参照)が配置される。ディスプレイ13は、操作部19によって操作された内容や、設定値、測定値等を表示可能である。
【0042】
図4に示すように、ディスプレイ13の両側には、報知部17が一対配置される。それぞれの報知部17は、複数のランプで構成される。本実施形態では、適切値ランプ15a、マイナス側ランプ15b、プラス側ランプ15cからなる。なお、ランプの個数や配置は図示した例には限られない。
【0043】
適切値ランプ15aは、傾斜計本体2の前後方向に対して、マイナス側ランプ15bとプラス側ランプ15cとで挟まれた位置に配置される。適切値ランプ15aは、例えば緑色のランプであり、傾斜計1の傾斜角度が、設定された基準傾斜値に対して所定の範囲内の際に連続点灯する。
【0044】
マイナス側ランプ15bは、適切値ランプ15aの前方側(センサ部5側)に配置され、例えば赤色のランプである。マイナス側ランプ15bは、傾斜計1の傾斜角度が、設定された基準傾斜値に対して所定の範囲を超えてマイナス側に傾いている際に連続点灯または点滅する。ここで、傾斜計1のマイナス側の傾斜とは、傾斜計1の上方が、基準角度よりも前方に傾いた状態(
図3のG)とする。
【0045】
プラス側ランプ15cは、適切値ランプ15aの後方側(取手部7側)に配置され、例えば赤色のランプである。プラス側ランプ15cは、傾斜計1の傾斜角度が、設定された基準傾斜値に対して所定の範囲を超えてプラス側に傾いている際に連続点灯または点滅する。ここで、傾斜計1のプラス側の傾斜とは、傾斜計1の上方が、基準角度よりも後方に傾いた状態(
図3のH)とする。
【0046】
図5に示すように、傾斜計本体2の前面には、センサ部5が配置される。図示した例では、センサ部5は、傾斜計本体2の幅方向に一対配置される。なお、センサ部5の配置数や位置は図示した例には限られない。例えば、センサ部5は、傾斜計本体2の前面に少なくとも一つ配置されればよく、3つ以上の複数個所に配置してもよい。
【0047】
センサ部5の内部には、例えば一軸傾斜センサが収容されており、センサ部5を測定面に当接することで測定面の傾斜を検出することができる。前述した報知部17は、それぞれのセンサ部5毎に配置される。すなわち、それぞれの報知部17は、対応するそれぞれのセンサ部5で測定された傾斜結果に応じて、使用者に測定結果を報知することができる。なお、センサ部5と報知部17は一対で構成することに限らず、例えば、複数のセンサ部5で測定された傾斜結果を制御部23で判断し、その判断結果を1つの報知部17で報知するようにしてもよい。
【0048】
図6は、センサ部5の拡大図である。センサ部5は、傾斜計本体2の内部において、弾性部材21によって支持される。図示した例では、センサ部5の側面の3か所が、傾斜計本体2に対して弾性部材21によって支持される。このようにすることで、センサ部5は、傾斜計本体2に対して自由に揺動(傾斜および出没)することができる。このため、傾斜計本体2の姿勢の影響を受けずに、正確に測定対象面にセンサ部5が当接し、測定対象面の傾斜を測定することができる。
【0049】
また、遊技機の測定面に当接するセンサ部5の前面には、複数(少なくとも3か所)の突起5aが設けられる。したがって、センサ部5は、突起5aの先端のみが測定面と接触し、突起5a以外の部位では、センサ部5と測定面との間に隙間が形成される。このようにすることで、センサ部5と測定面との間に微小な異物等が挟まりこみ、傾斜誤差が生じることを抑制することができる。
【0050】
傾斜計本体2の前面には、センサ部5に挟み込まれるように、固定部3が設けられる。すなわち、センサ部5は、固定部3の両側に併設される。前述した様に、固定部3は、測定面に対して、傾斜計1を固定するための部位である。したがって、傾斜計1は、固定部3の固定方向と、センサ部5の測定方向が同一方向に向けて配置される。
【0051】
図7(a)、
図7(b)は、固定部3の断面図であり、固定部3の動作を示す図である。本実施形態では、固定部3は、吸盤27と可動部29等から構成される。吸盤27の後方であって、吸盤27の略中央に、可動部29が固定される。可動部29は、前後方向に可動である。また、吸盤27の外周部は、少なくとも一部が傾斜計本体2に固定される。
【0052】
次に、固定部3の動作について説明する。まず、
図7(a)に示すように、吸盤27の前面を測定面(図中B)に接触させる。この状態では、可動部29は、図示を省略した弾性部材によって前方に押し付けられている(図中矢印C)。
【0053】
吸盤27を測定面に押し付けた状態で、前述した固定用レバー9を操作することで、可動部29が後方に引き戻される(図中矢印D)。この際、吸盤27の外周部は、少なくとも一部が傾斜計本体2に固定されているため、吸盤27の中央部のみが後方に変形する。この結果、吸盤27を測定面に対して吸着状態とすることができる。すなわち、固定部3が、測定面に固定される。なお、可動部29は、後方に引き戻された状態で、図示を省略した係止部によって係止される。このため、前述した弾性部材が作用した状態でも、吸着状態を維持することができる。
【0054】
次に、吸盤27が測定面に吸着した状態で解除部11を操作することで、可動部29が再び前方に押し出される。すなわち、前述した係止部における係止状態が解除される。このため、可動部29は、前述した弾性部材によって前方に押し出される。このため、吸盤27による吸着状態が解除される。すなわち、固定部3による測定面への固定が解除される。
【0055】
ここで、吸盤27の前面は、通常時(
図7(a)の状態)において、フラットではなく、中心近傍がやや突出した湾曲形状である。このため、吸盤27が吸着した状態から可動部29が前方に押し出されると、吸盤27の中央部近傍が最も前方に突出し、測定面を押し付ける。このため、吸盤27と測定面との間に密閉空間が形成されず、確実に吸盤27の吸着を解除することができる。
【0056】
ここで、
図4に示すように、傾斜計本体2の前面からのセンサ部5の突出量(突起5a先端における突出量)は、傾斜計本体2の前面からの固定部3の突出量よりも大きい。すなわち、センサ部5の接触面(図中A)に対して、固定部3が前方にはみ出すことがない。このため、傾斜計1を測定対象に接触させる際に、センサ部5を測定面に優先的に接触させることができる。また、センサ部5は、前述した様に、傾斜計本体2に対して自由に揺動するため、固定部3による固定時にも、センサ部5と測定面との接触が維持される。
【0057】
次に、傾斜計1を用いた遊技機の傾斜計測方法について説明する。
図8は、傾斜計1を遊技機26の測定面に固定した状態を示す図である。傾斜を測定する測定面は、実際玉が流下する面(盤面)と略平行な面とする。傾斜計1は、遊技機26の盤面を覆う透明板25に固定される。すなわち、透明板25は、盤面と略平行な面を有する。透明板25は、例えばガラス扉である。なお、透明板25は、着色された半透明である物を含み、透明板25を透過して盤面を視認可能なものを含む。また、透明や半透明に限らず、遊技台の筐体部分(ガラス扉以外)を使用してもよい。
【0058】
前述した様に、傾斜計1を透明板25に当接させた状態で、固定用レバー9を操作すると、固定部3(吸盤27)が、透明板25に吸着し、傾斜計1が遊技機26に固定される。この際、前述した様に、センサ部5が透明板25に当接し、透明板25の傾斜を測定することができる。このように、本発明では、透明板25を開けて盤面において傾斜を測定するのではなく、透明板25の傾斜を測定することで、遊技機26の傾斜を測定可能である。
【0059】
この際、複数のセンサ部5は、遊技機26に対して略水平方向に併設される。すなわち、透明板25(遊技機26)の幅方向の複数点で透明板25の傾斜が測定される。このため、透明板25の捻じれや歪み等による、遊技機26の左右の傾斜バラつきを含めて、精度よく遊技機26の傾斜を測定することができる。
【0060】
また、傾斜計1は、透明板25に固定されているため、作業者は、遊技機26の傾斜調整作業において、傾斜計1を押さえておく必要がない。このため、傾斜計1による測定結果を見ながら、両手で、遊技機26の傾斜調整を行うことができる。なお、傾斜計1によって測定された遊技機26の傾斜によって、遊技機26の傾斜を調整する方法については後述する。
【0061】
遊技機26の傾斜測定(遊技機26の傾斜調整)が終了すると、作業者は、傾斜計1の解除部11を操作して、傾斜計1を遊技機26から取り外す。以上により、傾斜計1による遊技機26の傾斜測定作業(遊技機26の傾斜調整作業)が終了する。
【0062】
次に、傾斜計1の制御方法について説明する。
図9は、傾斜計1の構造を示すブロック図である。傾斜計1は、センサ部5、報知部17、操作部19の各構成を制御するための制御部23を具備する。制御部23は、例えばコンピュータであり、CPUおよび各種情報が記憶されるROMやRAM(記憶部)などからなる。
【0063】
操作部19では、傾斜計1の運転モードや後述する基準傾斜値などを設定可能である。傾斜計1の運転モードとは、例えば、測定対象の傾斜角度の絶対値を測定するモードと、後述する遊技機の傾斜調整を行うために基準傾斜値との比較を行う調整モードなどを選択可能である。また、遊技機の調整モードにおいては、通常調整モードと、高精度調整モードなどを選択可能である。なお、各モードの選択時や、基準傾斜値の設定時には、制御部23は、ディスプレイ13にその内容を表示する。
【0064】
センサ部5で測定された傾斜値は、制御部23が取得する。例えば、測定モードである場合には、制御部23は、取得された測定傾斜値をディスプレイ13に表示する。また、調整モードである場合には、制御部23は、センサ部5で測定された測定傾斜値に基づいて、報知部17を制御する。
【0065】
次に、調整モードにおける、制御部23の制御フローについて説明する。
図10は、制御部23の制御フローを示すフローチャートである。まず、制御部23に対して、運転モードおよび基準傾斜値等が設定される(ステップ100)。設定された情報は制御部23に記憶される。ここで、基準傾斜値とは、遊技機26の目標とすべき傾斜値(傾斜角度)であり、鉛直方向を基準として、遊技機26の高さ(例えば810mm)に対する水平方向変位量である。
【0066】
制御部23において各種の設定が終了すると、測定が開始される(ステップ101)。すなわち、作業者は、前述した方法で、傾斜計1を遊技機26の透明板25に固定する。なお、後述する遊技機26の傾斜調整を行わない場合など、傾斜計1を固定せずに手で保持したまま以下の手順を行ってもよい。
【0067】
次に、制御部23は、それぞれのセンサ部5で測定された測定傾斜値を取得し、測定傾斜値とあらかじめ設定された基準傾斜値とを比較する(ステップ102)。この際、制御部23は、必要に応じて、センサ部5内の傾斜センサの出力を、前述した遊技機26の傾斜値に変換し、測定傾斜値と基準傾斜値とを比較する。
【0068】
次に、制御部23は、測定傾斜値が、基準傾斜値±αの範囲内であるかどうかを判定する(ステップ103)。ここで、αは、許容誤差範囲であり、予め設定されている。なお、許容誤差範囲は、常に一定であっても良く、ステップ100において設定可能であってもよい。また、通常調整モードと高精度調整モードとでαの値を変えてもよい。例えば、通常調整モードではα=0.03とし、高精度調整モードでは、α=0.01とする。
【0069】
なお、測定傾斜値が基準傾斜値に対して所定の範囲内(±α)である場合には、制御部23は、
図11(a)に示すように、報知部17の適切値ランプ15aを連続点灯する(ステップ106)。また、報知部17は、センサ部5ごとに設けられるため、それぞれのセンサ部5に対する結果が、それぞれの報知部17で表示される。
【0070】
一方、測定傾斜値が基準傾斜値に対して所定の範囲内(±α)ではない場合、制御部23は、得られた測定傾斜値が、基準傾斜値+αを超えているかを判定する(ステップ104)。
【0071】
ここで、測定傾斜値>基準傾斜値+αである場合とは、測定傾斜値が基準傾斜値に対して許容誤差以上プラス側に傾斜していることを意味する。逆に、測定傾斜値>基準傾斜値+αではない場合とは、測定傾斜値<基準傾斜値−αの場合であり、測定傾斜値が基準傾斜値に対して許容誤差以上マイナス側に傾斜していることを意味する。すなわち、ステップ104においては、基準傾斜値に対して測定傾斜値の正負が判定される。
【0072】
ステップ104で判定した結果、測定傾斜値>基準傾斜値+αである場合には、制御部23は、測定傾斜値>基準傾斜値+α+βであるかどうかを判定する(ステップ105)。ここで、βは、測定傾斜値が基準傾斜値に近づいたことを示す範囲であり、予め設定されている。なお、βは、常に一定であっても良く、ステップ100において設定可能であってもよい。また、通常調整モードと高精度調整モードとでβの値を変えてもよい。また、βに代えてαを用いてもよい。
【0073】
ここで、測定傾斜値>基準傾斜値+α+βである場合とは、測定傾斜値が基準傾斜値に対する許容誤差以上プラス側に傾斜しおり、かつ、測定傾斜値が、許容誤差範囲からβ以上離れていることを意味する。逆に、測定傾斜値>基準傾斜値+α+βではない場合とは、基準傾斜値+α+β≧測定傾斜値>基準傾斜値+αの場合である。すなわち、測定傾斜値が基準傾斜値に対して許容誤差以上プラス側に傾斜しているが、基準傾斜値の許容誤差範囲に対してβ以下のずれであることを意味する。
【0074】
なお、測定傾斜値>基準傾斜値+α+βである場合、制御部23は、
図11(b)に示すように、プラス側ランプ15cを連続点灯する(ステップ107)。すなわち、測定傾斜値が基準傾斜値に対して所定(α+β)以上離れている際には、プラス側ランプ15cが連続点灯し、作業者に、測定傾斜値が基準傾斜値に対してプラス側に差が大きいことを報知する。
【0075】
また、測定傾斜値>基準傾斜値+α+βではない場合には、制御部23は、
図11(c)に示すように、プラス側ランプ15cを点滅する(ステップ106)。すなわち、測定傾斜値が基準傾斜値に対して許容誤差以上プラス側に傾斜しているが、基準傾斜値(適切範囲)からのずれ量が所定(β)以下である際には、プラス側ランプ15cが点滅し、作業者に、測定傾斜値が基準傾斜値に対してプラス側に傾斜しているが、それらの差が小さく、適切値に近いことを報知する。
【0076】
一方、ステップ104において、測定傾斜値>基準傾斜値+αではない場合には、制御部23は、基準傾斜値−α−β>測定傾斜値であるかどうかを判定する(ステップ109)。
【0077】
ここで、基準傾斜値−α−β>測定傾斜値である場合とは、測定傾斜値が基準傾斜値に対する許容誤差以上マイナス側に傾斜しおり、かつ、測定傾斜値が、許容誤差範囲からβ以上離れていることを意味する。逆に、基準傾斜値−α−β>測定傾斜値ではない場合とは、基準傾斜値−α>測定傾斜値≧基準傾斜値−α−βの場合である。すなわち、測定傾斜値が基準傾斜値に対して許容誤差以上マイナス側に傾斜しているが、基準傾斜値の許容誤差範囲に対してβ以下のずれであることを意味する。
【0078】
ステップ109で判定した結果、基準傾斜値−α−β>測定傾斜値である場合、制御部23は、マイナス側ランプ15bを連続点灯する(ステップ111)。すなわち、測定傾斜値が基準傾斜値に対して所定(α+β)以上離れている際には、マイナス側ランプ15bが連続点灯し、作業者に、測定傾斜値が基準傾斜値に対してマイナス側に差が大きいことを報知する。
【0079】
また、基準傾斜値−α−β>測定傾斜値ではない場合、制御部23は、マイナス側ランプ15bを点滅する(ステップ110)。すなわち、測定傾斜値が基準傾斜値に対して許容誤差以上マイナス側に傾斜しているが、基準傾斜値(適切範囲)からのずれ量が所定(β)以下である際には、マイナス側ランプ15bが点滅し、作業者に、測定傾斜値が基準傾斜値に対してマイナス側に傾斜しているが、それらの差が小さく、適切値に近いことを報知する。
【0080】
ここで、作業者は、報知部17に応じて、遊技機26の傾斜を調整する。例えば、遊技機26の下部は枠体に固定され、遊技機26の上部は、角度調整部材を介して枠体に固定される。角度調整部材には調整ネジが設けられ、ネジによって、枠体に対する遊技機26の位置(傾き)を調整可能である。なお、角度調整部材は、遊技機26の幅方向の両側に一対配置される。このため、遊技機26の傾きを幅方向のそれぞれにおいて独立して調整することができる。
【0081】
作業者は、報知部17を見ながら、角度調整部材を操作し、遊技機26の傾斜を調整する。なお、遊技機26の幅方向の2カ所で傾斜を測定している。このため、作業者は、それぞれの側の測定傾斜値に対応する角度調整部材を操作して、遊技機26の傾きを幅方向のそれぞれにおいて個別に調整することができる。
【0082】
この際、傾斜計1は、遊技機26に固定されているため、角度調整部材の操作を両手で行うことができる。また、報知部17の表示によって、角度調整部材を、いずれの方向に調整すればよいか、また、どの程度調整すればよいか即座に判断することができる。
【0083】
作業者は、全てのセンサ部5の測定傾斜値が適切範囲に入るまで、左右の角度調整部材の調整を行う。全てのセンサ部5において、測定傾斜値が適切値となった段階で、遊技機26の傾斜調整作業が終了する。
【0084】
なお、作業者による調整作業が終了し、測定が終了するまで、以上の制御が繰り返される(ステップ112)。作業者は、全ての調整が終了後、解除部11を操作して、傾斜計1を遊技機26より取り外す。また、必要に応じて、他の遊技機26へ傾斜計1を取り付け、傾斜調整を繰り返す。この際、傾斜計1は、遊技機26の盤面ではなく、透明板25に固定されるため、傾斜測定の度に、透明板25を開け閉めする必要がない。
【0085】
なお、マイナス側ランプ15bおよびプラス側ランプ15cは、連続点灯と点滅の2段階の点灯方法の違いによって、基準傾斜値に対する測定傾斜値の差の程度を表示したが、本発明はこれに限られない。例えば、ランプの数を増やして、多段階で基準傾斜値に対する測定傾斜値の差の程度の表示を行ってもよい。また、マイナス側ランプ15bおよびプラス側ランプ15cの点滅速度を変化させて、例えば、基準傾斜値に対する測定傾斜値の差が小さくなるにつれて、点滅速度を連続的にまたは段階的に変化させてもよい。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態によれば、傾斜計1を遊技機26の透明板25に固定することができるため、遊技機26の角度調整作業を両手で行うことができる。この際、固定部3の操作が、固定用レバー9と解除部11によって行うことができるため、操作が容易である。また、吸盤27の前面の略中央部を前方に膨らませておくことで、解除部11の操作によって、確実に吸盤27の吸着を解除することができる。
【0087】
また、傾斜計1は透明板25の傾斜を測定することができるため、透明板25を開け閉めする必要がない。また、盤面上に傾斜計1を接触させる必要がないため、誤って釘に触れてしまうことがない。また、盤面と比較して透明板25の表面には液晶画面等の障害物がないため、傾斜計1を透明板25の略中央に取り付けることができる。また、固定部3の固定方向とセンサ部5の測定方向とが同一方向であるため、取り付けが容易である。
【0088】
また、センサ部5が傾斜計本体2に対して揺動可能に弾性部材21によって支持されるため、確実にセンサ部5を測定対象面に当接することができる。また、センサ部5は、固定部3よりも前方に突出しているため、センサ部5が測定面から浮き上がることを防止することができる。この際、センサ部5の表面に3か所の突起5aを設けることで、突起5aによって精度よく、測定面の傾斜をセンサ部5で測定することができる。
【0089】
また、センサ部5が幅方向に複数形成され、センサ部5が略水平方向となるように傾斜計1を遊技機26に固定することで、遊技機26の幅方向の複数個所で傾斜を一度に測定することができる。このため、遊技機26の捻じれや歪みなどによる左右の傾斜バラつきにも対応可能であり、精度のよい遊技機26の傾斜測定を行うことができる。
【0090】
また、基準傾斜値に対する測定傾斜値の傾き方向が、マイナス側ランプ15bおよびプラス側ランプ15cの点灯によって報知されるため、遊技機26をいずれの方向に調整すればよいかを容易に知ることができる。
【0091】
また、マイナス側ランプ15bおよびプラス側ランプ15cは、連続点灯と点滅の点灯方法の違いによって、基準傾斜値に対する測定傾斜値の差の程度が報知されるため、どの程度、遊技機26を調整すればよいか即座に判断することができる。
【0092】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図12(a)、
図12(b)は、傾斜計1aを示す正面図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同一の機能を奏する構成については、
図1〜
図11と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0093】
傾斜計1aは、センサ部5が、傾斜計本体2に対してアーム31を介して連結される。アーム31は、傾斜計本体2の両側にそれぞれ設けられ、それぞれのアーム31に、センサ部5が設けられる。
【0094】
アーム31は、傾斜計本体2およびセンサ部5に対して回動可能に取り付けられる。このため、
図12(a)に示すように、アーム31を開くことで(図中矢印E)、センサ部5同士の間隔を広げることができる。また、
図12(b)に示すように、アーム31を閉じることで(図中矢印F)、センサ部5同士の間隔を狭くすることができる。なお、
図12(a)、
図12(b)のそれぞれの位置でセンサ部5が固定される。
【0095】
傾斜計1の傾斜計本体2には、固定部3が複数個所配置される。固定部3は、センサ部5の併設方向に対して、略直交する方向に併設される。なお、固定部3は1カ所であってもよい。固定部3が複数配置された場合でも、同一の固定用レバー9および解除部11によって操作可能である。
【0096】
傾斜計1aは、傾斜計1と同様に使用することができる。この際、センサ部5の間隔を変化させることができるため、遊技機26によって、使用状態を選択することができる。
【0097】
例えば、透明板25に障害物などがない場合には、センサ部5同士を離して傾斜計1aを遊技機26に固定する。このようにすることで、遊技機26の幅方向の端部近傍でそれぞれの傾斜を計測することができる。このため、より精度よく遊技機26の傾斜を計測することができる。
【0098】
一方、遊技機26によっては、透明板25の外周に、意匠性向上のための装飾が施される場合がある。このような場合には、当該装飾の凹凸が、測定の障害物となり、センサ部5を広げた状態では、透明板25に設置することができない場合がある。このような場合には、
図12(b)に示すように、センサ部5を狭くすることで、当該遊技機26に対しても、傾斜計1aを設置することができる。
【0099】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、センサ部5の間隔を変化させることができるため、遊技機26ごとに適切な状態で傾斜測定を行うことができる。
【0100】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
例えば、センサ部5は、3か所以上であってもよく、3か所のセンサ部5を遊技機26に対して略水平方向に併設するように固定した際、真ん中のセンサ部5で測定された傾斜値をその遊技機26の傾斜値として管理するようにしてもよい。
【0102】
また、報知部17は、複数のランプで構成したが、本発明はこれには限られない。例えば、音によって、測定傾斜値と基準傾斜値との差や方向を報知してもよく、または、ディスプレイ13を用いてもよい。
【0103】
また、固定部3として、吸盤27である例について示したが、傾斜計を遊技機26に対して固定可能であれば、他の機構であってもよい。例えば、固定部3を遊技機26に対して機械的に固定する突起やガイドなどの構造であってもよい。この場合には、固定部3の固定方向とセンサ部5の測定方向とが異なる方向であってもよい。
【0104】
また、遊技機26としては、パチンコ台には限られず、例えばスロット台などにも適用可能である。