【解決手段】押圧突起102が形成された可動部材78が結合方向と直交する方向に弾性部材130により移動可能に組み込まれた雌型コネクタ12に結合される雄型コネクタ134であって、雄型コネクタ134は、雄型コンタクト136と、雄型コンタクト136が収容される雄型ハウジング146と有し、雄型ハウジング146は、可動部材78の押圧突起102が形成された側と対向する面に、押圧突起102に押圧される被押圧突起160が形成されており、雌型コネクタ12に結合される際に、雌型コネクタ12の弾性部材130の弾性力により移動された可動部材78の押圧突起102によって雄型ハウジング146の被押圧突起160が押圧され、雄型ハウジング146が結合方向に押し込まれている。
前記雄型ハウジングには、前記雌型コネクタに前記弾性部材が弾性変形されて弾性力が蓄えられた状態で係止されている前記可動部材の係止を解除する係止解除部が形成されており、
前記雌型コネクタと結合される際に、前記雄型ハウジングの前記係止解除部が前記雌型コネクタの前記可動部材の係止を解除し、前記押圧突起が形成された前記可動部材が前記弾性部材の有する弾性力により移動され、前記被押圧突起が押圧されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の雄型コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された電気コネクタによれば、雄型コネクタと雌型コネクタの結合時に、雌型コネクタのスライダーに形成された突起と雄型コネクタのハウジングに形成された突起とが突き当たり、この突き当り時の感触及びスライダー移動の目視により半嵌合状態の有無を検知できるようになっている。
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された電気コネクタでは、雄型コネクタと雌型コネクタの嵌合結合は、結合が完了するまで使用者が力を加えている必要があり、また、半嵌合状態と検知された場合、再度、使用者が結合を行なう必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、雌型コネクタと雄型コネクタが結合される際に、一定の距離嵌め合わされることで、自動的に結合が行なわれる構成を備えた雄型コネクタ及び雌型コネクタ並びにこれらの雄型コネクタと雌型コネクタからなる電気コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の雄型コネクタは、押圧突起が形成された可動部材が結合方向と直交する方向に弾性部材により移動可能に組み込まれた雌型コネクタに結合される雄型コネクタであって、
前記雄型コネクタは、少なくとも1本の雄型コンタクトと、前記雄型コンタクトが収容される雄型ハウジングと有し、
前記雄型ハウジングは、前記可動部材の前記押圧突起が形成された側と対向する面に、前記押圧突起に押圧される被押圧突起が形成されており、
前記雌型コネクタに結合された場合、前記雌型コネクタの前記弾性部材の弾性力により移動された前記可動部材の前記押圧突起によって前記雄型ハウジングの前記被押圧突起が押圧され、前記雄型ハウジングが結合方向に押し込まれていることを特徴とする。
【0008】
また、第2の態様の雄型コネクタは、第1の態様の雄型コネクタにおいて、前記雄型ハウジングの前記被押圧突起は、所定高さの柱状体で形成されており、
前記被押圧突起は、前記雌型コネクタの前記可動部材に形成された前記押圧突起の結合方向側が傾斜した部分で押圧されることを特徴とする。
【0009】
また、第3の態様の雄型コネクタは、第1の態様の雄型コネクタにおいて、前記雄型ハウジングの前記被押圧突起は、所定高さの結合方向側とは反対側に傾斜した部分を有した傾斜押圧部を有しており、
前記被押圧突起は、前記雌型コネクタの前記可動部材に形成された柱状体に形成された前記押圧突起に押圧されることを特徴とする。
【0010】
また、第4の態様の雄型コネクタは、第1〜第3のいずれかの態様の雄型コネクタにおいて、前記雄型ハウジングには、前記雌型コネクタに前記弾性部材が弾性変形されて弾性力が蓄えられた状態で係止されている前記可動部材の係止を解除する係止解除部が形成されており、
前記雌型コネクタと結合される際に、前記雄型ハウジングの前記係止解除部が前記雌型コネクタの前記可動部材の係止を解除し、前記押圧突起が形成された前記可動部材が前記弾性部材の有する弾性力により移動され、前記被押圧突起が押圧されることを特徴とする。
【0011】
また、第5の態様の雄型コネクタは、第1〜第4のいずれかの態様の雄型コネクタにおいて、前記被押圧突起は、前記係止解除突起に比べ、前記雄型ハウジングの結合方向側に形成されており、
前記雌型コネクタに結合される際に、前記被押圧突起が前記押圧突起に押圧可能な位置に配置された後、前記係止解除突起により前記可動部材の係止が解除されることを特徴とする。
【0012】
第6の態様の雌型コネクタは、第1〜第5のいずれかの態様の雄型コネクタが結合される雌型コネクタであって、
前記雌型コネクタは、前記雄型コンタクトと接触される少なくとも1本の雌型コンタクトと、前記雌型コンタクトが収容されると共に前記雄型ハウジングが挿入される内部空間が形成された雌型ハウジングと、前記雌型ハウジングに組み込まれた可動部材と、前記可動部材を押圧する弾性部材と、を有し、
前記雌型ハウジングには、結合方向と直交する方向に移動可能に前記可動部材が組み込まれる組込部が形成され、
前記組込部には、前記内部空間と連通する連通部が形成され、
前記可動部材は、前記組込部の前記内部空間側に配置される側に前記押圧突起が形成され、
前記雄型コネクタと結合された状態にあっては、前記弾性部材の弾性力により移動された前記可動部材の前記押圧突起により、前記雄型ハウジングに形成された前記被押圧突起が押圧され、前記雄型ハウジングが結合方向に押し込まれていることを特徴とする。
【0013】
また、第7の態様の雌型コネクタは、第6の態様の雌型コネクタにおいて、前記押圧突起は、前記雄型コネクタの前記被押圧突起と押圧される側の結合方向側が傾斜した傾斜押圧部を有しており、
前記傾斜押圧部により、前記雄型コネクタの所定の高さの柱状体で形成された前記被押圧突起が押圧されることを特徴とする。
【0014】
また、第8の態様の雌型コネクタは、第6の態様の雌型コネクタにおいて、前前記押圧突起は、所定高さの柱状体で形成されており、
前記押圧突起により、前記雄型コネクタの結合方向とは反対側が傾斜して形成された部分が押圧されることを特徴とする。
【0015】
また、第9の態様の雌型コネクタは、第7の態様の雌型コネクタにおいて、前記押圧突起には、前記傾斜押圧部の端部側に結合方向に沿って形成された押圧面を有し、
雄型コネクタと結合された場合に、前記可動部材の前記押圧突起の前記押圧面により前記雄型コネクタの前記被押圧突起が押圧し続けられることを特徴とする。
【0016】
また、第10の態様の雌型コネクタは、第6〜9のいずれかの態様の雌型コネクタにおいて、前記可動部材には、係止突起が形成され、
前記組込部には、前記係止突起と係止される係止部が形成されており、
前記雄型コネクタと結合される際に、前記可動部材は、前記弾性部材が弾性変形されて弾性力が蓄えられた状態で前記可動部材の前記係止突起と前記組込部の前記係止部に係止されて前記組込部に組み込まれており、
前記係止突起は、前記雄型コネクタの前記係止突起と対向する面に形成された係止解除部に当接させることで、前記係止部との係止が解除され、前記可動部材が前記弾性部材の弾性力により移動され、前記可動部材の前記押圧突起により前記被押圧突起が押圧されることを特徴とする。
【0017】
また、第11の態様の雌型コネクタは、第10の態様の雌型コネクタにおいて、前記係止突起は、前記係止部と係止される反対側を基準に弾性変形可能な係止腕に形成されていることを特徴とする。
【0018】
第12の態様の電気コネクタは、第1〜第5のいずれかの態様の雄型コネクタと、第6〜第11のいずれかの態様の雌型コネクタとからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1の態様の雄型コネクタによれば、相手方の雌型コネクタと結合された場合に、雄型ハウジングに形成された被押圧突起が、雌型コネクタの可動部材に形成された押圧突起に押圧され、雄型ハウジングが結合方向に押し込められることで結合を確実に行うことができるようになり、半嵌合状態となることを抑制することができる。
【0020】
また、第2又は第3の態様の雄型コネクタによれば、雌型コネクタの可動部材に形成された押圧突起に対応した被押圧突起を容易に形成することができる。
【0021】
また、第4の態様の雄型コネクタによれば、雌型コネクタと結合される際に、雄型ハウジングに形成された係止解除部により、雌型コネクタの可動部材の係止を解除させることができるので、簡単な構造とすることができる。
【0022】
また、第5の態様の雄型コネクタによれば、雌型コネクタへの結合を円滑におこなうことができるようになる。
【0023】
第6の態様の雌型コネクタによれば、雄型コネクタと結合された場合に、雌型ハウジングに組み込まれた可動部材に形成された押圧突起が、弾性部材の弾性力により雄型コネクタに形成された被押圧突起を押圧することで、雄型ハウジングが結合方向に押し込められるようになり、結合を確実に行うことができ、半嵌合状態となることを抑制することができる。
【0024】
また、第7又は第8の態様の雌型コネクタによれば、雄型コネクタに形成された被押圧突起に対応する押圧突起を容易に形成することができる。
【0025】
また、第9の態様の雌型コネクタによれば、雄型コネクタと結合された後も、可動部材の押圧突起が弾性部材の弾性力により雄型コネクタの被押圧突起を押圧することで、確実な結合を行なうことができると共に、振動等に対しての耐久性を高くすることができる。
【0026】
また、第10の態様の雌型コネクタによれば、雄型コネクタと結合される際に、雄型ハウジングに形成された係止解除部により、雌型コネクタの可動部材の係止を解除させることができるので、簡単な構造とすることができる。
【0027】
また、第11の態様の雌型コネクタによれば、係止解除突起により係止突起と係止部との係止解除を円滑に行なうことができるようになる。
【0028】
第12の態様の電気コネクタによれば、第1〜第5のいずれかの態様の雄型コネクタと、第6〜第11のいずれかの態様の雌型コネクタのそれぞれの効果を奏する電気コネクタを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための雄型コネクタ及び雌型コネクタ並びにこれらのコネクタからなる電気コネクタを例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0031】
[実施形態]
図1〜
図16を参照して、本発明の実施形態に係る電気コネクタ10について説明する。電気コネクタ10は、
図1及び
図2に示すように、雌型コネクタ12と雄型コネクタ134とで構成されている。そして、実施形態に係る電気コネクタ10は、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12を嵌合させることで、それぞれに設けられた各コンタクト14、136が接触され、電気的な接続が行われる。このとき、雌型コネクタ12には、弾性部材としてのコイル状のバネ130と、このバネ130の弾性力により移動される可動部材としてのスライダー78が設けられており、このスライダー78には、雄型コネクタ134に形成された被押圧突起160を押圧する押圧突起102が形成されている(
図6参照)。そして、雌型コネクタ12に雄型コネクタ134が挿入された場合、雌型コネクタ12のスライダー78が弾性力により移動されると共に、雄型コネクタ134に形成された被押圧突起160が押圧突起102により押圧されることで、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12の結合が確実に行われるようになっている(
図14、
図15参照)。以下、雄型コネクタ134及び雌型コネクタ12について説明する。
【0032】
まず、
図2〜
図7、
図10〜
図13及び
図16を参照して、雌型コネクタ12について説明する。雌型コネクタ12は、
図2及び
図16に示すように、所定本数の雌型コンタクト14と、これらの雌型コンタクト14が収容される雌型ハウジング24と、雌型ハウジング24内に装着された雌型リテーナ132と、雌型ハウジング24に弾性部材としてのバネ130を介在して移動可能に組み込まれた可動部材としてのスライダー78とで構成されている。
【0033】
雌型コンタクト14は、
図2及び
図16に示すように雌型コンタクト本体16と、この雌型コンタクト本体16の一方側に雄型コンタクト136と接触される接触部18と、他方側に電線22が接続される接続部20とを有する金属等の導電性材料で形成されている。なお、実施形態の雌型コネクタ12では、2本の雌型コンタクト14が設けられている。
【0034】
雌型ハウジング24は、
図3〜
図5、
図10〜
図13及び
図16に示すように、相手方の雄型コネクタ134が嵌合結合される結合部26と、結合部26の反対側であって、雌型コンタクト14に接続された電線22が支持される電線支持部28とを有し、それぞれが連通された中空の内部空間50を有するように、樹脂材料で形成されている。
【0035】
結合部26は、雄型ハウジング146が差し込まれる側の前面30と、前面30と対向し、電線支持部28が延設された後面38と、外周を囲う上面40、底面42、一方の側面44及び他方の側面46とで構成された略直方体形状の筒状体で形成されている。また、結合部26の内部には、前面30に形成された開口部32と連通する内部空間50が設けられ、この内部空間50には雌型リテーナ132が設けられると共に、装着された雌型コンタクト14が配置されるようになる。なお、内部空間50は電線支持部28と連通されている。
【0036】
また、内部空間50の4隅には、楔状の楔状溝54が形成されており、前面30側から奥側の後面38に向かうに連れて徐々に狭くなっている。なお、底面42側の楔状溝54には、楔状溝54の端部からさらに奥側、すなわち後面38側に向かって形成されるガイド溝56が形成されている。さらに、内部空間50には、装着された雌型コンタクト14を位置決め固定させるための固定片52が形成されている(
図16参照)。また、結合部26には、内部空間50の上面40側に、スライダー78が組込まれる組込部58が形成されている。
【0037】
結合部26の前面30には、雄型コネクタ134が差し込まれる開口部32が形成され、さらに、この開口部32の4隅の角部には、それぞれ外側に向かって凹んだ凹部34が形成されている。この凹部34は、内部空間50に形成された楔状溝54の入り口となっている。
【0038】
開口部の上面40側には、所定の幅の溝が形成されている。この溝は、雄型コネクタ134が雌型コネクタ12に挿入される際に、雄型コネクタ134に形成された後述する被押圧突起160及び係止解除突起168が通過する通過溝36となっており、これらの各突起160、168が通過できる幅で形成され、組込部58に繋がっている。
【0039】
また、結合部26の前面30の上面40側には、平坦な矩形状の平開口部126が形成され、この平開口部126は、組込部58に連通されている。
【0040】
結合部26の後面38には、電線支持部28が延設されている。また、後面38の電線支持部28の上方には、前面30に形成された平開口部126と対向するように、同様の平開口部126が形成されている(図示省略)。
【0041】
結合部26の上面40には、スライダー78が組込まれる組込部58が他方の側面46側に亘って開口されて形成されている。
【0042】
結合部26の他方の側面46には、スライダー78の組込部58が上面40側に開口されて形成されている。また、他方の側面46には、内部空間50と連通した窓部48が形成されている。この窓部48は、対向する一方の側面44にも形成されている。また、結合部の底面42は、平坦な面で形成されている。
【0043】
結合部26に形成された組込部58は、スライダー78が他方の側面46側の入口側76から組み込まれて、嵌合方向に対して直角方向に移動可能なように切り欠かれて形成されている。また、組込部58は、内部空間50と繋がる連通部60と、スライダー78の移動を案内する一対の案内部62が対向して形成されている。
【0044】
連通部60は、雄型コネクタ134が雌型コネクタ12の結合部26に挿入される場合に、スライダー78に形成された押圧突起102が移動される空間となり、また、挿入された雄型コネクタ134に形成された被押圧突起160が移動され、スライダー78の押圧突起102と接触される部分となる。
【0045】
また、案内部62は、組込部58の前面30側及び後面38側に対向してそれぞれ形成されている。この案内部62は、連通部60側の下段部68と、下段部68に比べて高い上段部64を有する段状で形成されている。
【0046】
なお、案内部62の下段部68の前面30側には、スライダー78がバネ130を弾性変形させて弾性力を蓄えた状態、すなわち、バネ130を縮めた状態で係止される係止部66がそれぞれ形成されている。
【0047】
また、スライダー78が組み込まれる入口側76となる案内部62の上段部64側の他方の側面46側には、後述するスライダー78に形成された規制突起116が当接される壁部72がそれぞれ形成されている。なお、この壁部72は、スライダー78の案内腕112はそのまま通過できるが、規制突起116が形成された部分は案内腕112が狭められるように弾性変形しなければ通過できないような幅で形成されている。
【0048】
また、案内部62は、結合部26の前面30及び後面38に形成された平開口部126とそれぞれ連通されている。
【0049】
また、結合部26には、組込部58の奥側、すなわち、一方の側面44側の上面40の裏側に、後述するスライダー78に形成された案内レール92が通過する一対の案内溝74と、山部90が通過するトンネル溝75が形成されている。
【0050】
また、組込部58の奥側、すなわち、一方の側面44側の内側には、バネ130が取り付けられる取付部70がスライダー78の移動方向に沿って突出して形成されている。なお、実施形態の取付部70は、コイル状のバネ130の内側に収まるような円柱体で形成されている。
【0051】
次に、スライダー78について
図6、
図7、
図10〜
図13を参照して説明する。スライダー78は、平坦な直方体状であって、樹脂材料で形成されており、雌型ハウジング24の結合部26に形成された組込部58に移動可能な状態で組み込まれる。スライダー78は、バネ130が挿入される挿入口82が形成された前壁部80と、前壁部80の反対側であって、使用者が操作を行う操作部86を有する後壁部84と、雌型ハウジング24の結合部26の上面40側に設けられる上壁部88と、雌型ハウジング24の内部空間50側に設けられる底壁部94と、一方の側壁部96及び他方の側壁部98とで構成されている。また、スライダー78の内部には、バネ130が収容されるバネ収容部124が形成されている。
【0052】
スライダー78の底壁部94には、雄型コネクタ134に形成された被押圧突起160を押圧する押圧突起102が形成されている。さらに、スライダー78の一方の側壁部96及び他方の側壁部98側には、前壁部80側を軸として、スライダー78の移動方向とは直角方向に弾性変形可能な片持ち型の案内腕112がそれぞれ形成されている。この案内腕112は、前壁部80側が繋がるような第1スリット110がそれぞれ形成されて、弾性変形が可能なようにされている。なお、案内腕112の先端側には、スライダー78の移動を規制する規制部114がそれぞれ形成されている。この規制部114は、案内腕112の外側に突出した規制突起116を有し、この規制突起116が組込部58に形成された案内部62の入口側76の壁部72と当接することで、バネ130の弾性力により移動されたスライダー78が規制されるようになる。
【0053】
また、他方の側壁部98側であって、案内腕112の内側には、前壁部80側を軸として、上壁部88側に弾性変形可能な係止腕120が形成されている。この係止腕120は、前壁部80側が繋がるような第2スリット118が形成されており、案内腕112の第1スリット110と第2スリット118との間に設けられている。
【0054】
スライダー78の前壁部80は、略中央部に所定の大きさの挿入口82が形成されている。この挿入口82は、実施形態では、例えば、バネ130が挿入可能な大きさで形成されている。また、前壁部80の底壁部94側には、底壁部94に形成される押圧突起102が前壁部80側と繋がるように形成されている。さらに、一方の側壁部96側及び他方の側壁部98側は、段状に形成されており、雌型ハウジング24の結合部26に形成された組込部58の各案内部62に対応するような形状となっている。
【0055】
スライダー78の後壁部84は、操作部86が設けられており、操作部86は、使用者が操作を行ないやすくするように、中央部が最も凹んでおり、両端に向かうにつれて徐々に中央部に比べ前壁部80から離れるような曲面状に形成されている。なお、後壁部84の他方の側壁部98側には、係止腕120を形成するための第2スリット118が形成されている。
【0056】
また、スライダー78の上壁部88は、内部にバネ130が挿入されるバネ収容部124が形成されるため、中央部分が盛り上がった山部90が形成されている。さらに、山部90の両側には、前壁部80から後壁部84に亘って一対の案内レール92が形成されている。
【0057】
また、上壁部88の他方の側壁部98側には、後壁部84から繋がる第2スリット118が前壁部80に至る手前まで形成されている。また、上壁部88の一方の側壁部96側及び他方の側壁部98側には、案内腕112を形成するための第1スリット110がそれぞれ形成されている。なお、上壁部88の後壁部84側は、操作部86が設けられるために、肉厚に形成されている。
【0058】
底壁部94は、略中央部に押圧突起102が底壁部94の平面から所定の高さ突出して形成されている。押圧突起102は、前壁部80側から後壁部84側に向かうにつれて、一方の側壁部96側から他方の側壁部98側に向かうように傾斜して形成されている。この傾斜して立設された部分は傾斜押圧部104となり、雌型コネクタ12に雄型コネクタ134が挿入された際に、雄型コネクタ134の被押圧突起160を押圧することで雄型コネクタ134を雌型コネクタ12の奥方向に押圧できるような形状に形成されている。すなわち、傾斜押圧部104は、スライダー78が雌型ハウジング24の組込部58に組み込まれた際に、雄型コネクタ134が挿入される側とは反対側に傾斜して形成されている。
【0059】
また、押圧突起102の傾斜押圧部104の前壁部80側には、スライダー78の移動方向に沿った抜け止め面108が形成されている。さらに、押圧突起102の傾斜押圧部104の反対側には、窪み106が形成されている。また、押圧突起102のスライダー78の前壁部80側には、押圧面109がスライダー78の移動方向と直行、すなわち、前壁部80と並行となるように形成されている。
【0060】
また、底壁部94には、上壁部88と同様に、各第1スリット110及び第2スリット118が形成されており、各案内腕112及び係止腕120が形成されている。
【0061】
なお、係止腕120の底壁部94側には、スライダー78をバネ130が縮んだ状態で雌型ハウジング24の組込部58に固定させておく係止突起122が形成されている。この係止突起122は、結合部26の組込部58に形成された係止部66に係止される部分となる。また、スライダー78の係止突起122は、組込部58の係止部66と係止される側、すなわち、後壁部84側は垂直な面となっており、他方の側壁部98側及び前壁部80側は傾斜した面取りがされている。
【0062】
また、底壁部94の一方の側壁部96側と他方の側壁部98側は、第1スリット110を挟んで段差がそれぞれ形成されており、各案内腕112が他の部分に比べて薄肉となっている。
【0063】
一方の側壁部96及び他方の側壁部98は、それぞれ案内腕112の外側となる部分となっている。また、案内腕112の端部の規制部114の外側の面には、他の面より突出した規制突起116が形成されている。
【0064】
なお、スライダー78の一方の側壁部96側及び他方の側壁部98側の上壁部88及び底壁部94が、組込部58の案内部62内を移動されるようになる。
【0065】
また、雌型リテーナ132は、後述する雄型コネクタ134に設けられた雄型リテーナ186と係合されるようになり、雄型コネクタ134との結合が確実に行なわれるようになる。
【0066】
また、雌型コネクタ12の組立ては、まず、接続部20に電線22を接続した各雌型コンタクト14を雌型ハウジング24の電線支持部28側から挿入し、内部空間50に形成された固定片52に雌型コンタクト14が固定されるまで押し込み、雌型ハウジング24に雌型コンタクト14が取り付けられる。その後、雌型ハウジング24の結合部26の前面30に形成された開口部32から雌型リテーナ132を挿入し、内部空間50に装着させる。
【0067】
次に、雌型ハウジング24にスライダーを組み込む。この組み込みは、まず、スライダー78の前壁部80に形成された挿入口82からバネ130を挿入し、スライダー78内のバネ収容部124に収容させる。このとき、バネ130は、スライダー78の挿入口82から突き出した状態となってもよい。その後、雌型ハウジング24の結合部26に形成された組込部58の一方の側面44側に形成された円柱状の取付部70にスライダー78に収容したコイル状のバネ130が差し込まれて取り付けられる。そして、スライダー78の一方の側壁部96側及び他方の側壁部98側の案内部62に対応する部分を組込部58の他方の側面46側の入口側76から案内部62に挿入する。
【0068】
その後、スライダー78をさらに組込部58内に押し込むことで、組込部58の案内部62の上段部64側の側面に形成された壁部72により、スライダー78の案内腕112の端部に形成された規制突起116が弾性変形し、各案内腕112が押し込まれる。このとき、弾性変形した案内腕112が元の状態に回復することで、案内腕112の規制突起116が組込部58の壁部72に当接するようになり、スライダー78が組込部58から外れなくなる。
【0069】
さらに、スライダー78を組込部58の奥側、すなわち、一方の側面44側へ押し込むことで、スライダー78の係止腕120に形成された係止突起122が組込部58の係止部66を乗り越えた後、この係止部66と係止され、スライダー78はバネ130が縮んだ状態で組込部58に組み込まれるようになる。このとき、スライダー78の案内腕112の規制突起116及び後壁部84の一部はそれぞれ雌型ハウジング24の組込部58側の平開口部126と連通した隙間128を摺動して移動される。以上で、雌型コネクタ12の組立てが完了する。
【0070】
次に、
図2、
図8、
図9、
図16を参照して雄型コネクタ134について説明する。雄型コネクタ134は、
図2及び
図16に示すように、所定本数の雄型コンタクト136と、これらの雄型コンタクト136が収容される雄型ハウジング146と、雌型コネクタ12に設けられた雌型リテーナ132と接続させることでコネクタ同士を確実に結合させるための雄型リテーナ186と、で構成されている。
【0071】
雄型コンタクト136は、
図2及び
図16に示すように、雄型コンタクト本体138を有し、雄型コンタクト本体138の一方側に雌型コネクタ12に設けられる雌型コンタクト14と接触される接触部140と、他方側に電線144が接続される接続部142と、を有し、金属等の導電性材料で形成されている。なお、実施形態の雄型コネクタ134には、2本の雄型コンタクト136が設けられている。
【0072】
雄型ハウジング146は、相手方の雌型コネクタ12に挿入される挿入部148と、挿入部148の反対側であって、雄型コンタクト136に接続された電線144を支持する電線支持部150とを有し、それぞれが連通された中空の内部空間178を有するように樹脂材料で形成されている。
【0073】
挿入部148は、雌型ハウジング24に挿入される側の前面152と、前面152と対向し、電線支持部150が延設された後面156と、外周を囲う上面158、底面170、一方の側面172及び他方の側面174とで構成された略直方体形状の筒状体で形成されている。
【0074】
また、挿入部148の内部には、前面152に形成された開口部154と連通する内部空間178が設けられ、この内部空間178には雄型リテーナ186が設けられると共に、装着された雄型コンタクト136が配置されるようになる。さらに、内部空間178には、装着された雄型コンタクト136を位置決め固定させるための固定片180が形成されている。
【0075】
挿入部148の上面158は、矩形状の板状体で形成されており、外周側には立設された2つの突起160、168と、挿入方向に沿った一対の線状突起部176が2つの突起160、168を挟んで形成されている。なお、この線状突起部176は、2つの突起160、168に比べ低背で形成されている。
【0076】
2つの突起のうち、雌型コネクタ12に先に挿入される側、すなわち、前面152側に形成された突起は、雌型コネクタ12に設けられたスライダー78に形成された押圧突起102に押圧される被押圧突起160となっている。この被押圧突起160は、上面158の略中心軸上であって、外周から所定高さ立設して形成されている。また、被押圧突起160は、
図8A、
図9Aに示すように、平面視で一方の側面172側、すなわち雌型コネクタ12のスライダー78に形成された押圧突起102と接する側が曲面状に形成された曲面状部162となり、また、他方の側面174側の曲面状部162を除く部分が平面状に形成された平面状部164となり、平面状部164側に略直角の角を有するような柱状体となっている。
【0077】
このとき、曲面状部162の側であって、挿入方向とは反対側、すなわち後面156側は、押圧突起102と直接接触され、押圧される被押圧部166となっている。この被押圧部166は、後面156側の平面状部164の部分に比べ、後面156側に突出して形成されている。
【0078】
また、2つの突起のうち、後面156側に形成された突起は、雌型コネクタ12にバネを縮めた状態で組み込まれたスライダー78の係止を解除する係止解除部としての係止解除突起168となっている。この係止解除突起168は、雌型コネクタ12において、スライダー78の係止突起122と雌型ハウジング24の組込部58の係止部66が係止
された状態において、雄型コネクタ134を雌型コネクタ12に挿入することで、係止解除突起168によりスライダー78の係止突起122を押し上げることで係止部66から係止を解除する部分となる。そのため、係止解除突起168は、係止突起122を押し上げた際に係止部66の高さを越えることができる程度の高さで形成されている。
【0079】
なお、係止解除突起168は、円滑に係止突起122を押し上げることができるように、挿抜方向側を面取りした面取り部169が形成されている(
図9A、
図9B参照)。
【0080】
また、係止解除突起168は、雌型コネクタ12のスライダー78の係止突起122が配置された位置に対応するように、雄型ハウジング146の中心軸から一方の側面172側にずれた位置に形成されている。
【0081】
また、被押圧突起160と係止解除突起168は、係止解除突起168に比べ被押圧突起160が雌型コネクタ12に挿入される側、ずなわち、前面152側に形成されている。
【0082】
挿入部148の底面170には、上面158に形成されているように挿入方向に沿った一対の線状突起部176が形成されている。また、
【0083】
一方の側面172及び他方の側面174には、上面158に形成されているように挿入方向に沿った一対の線状突起部176がそれぞれ形成されている。
【0084】
なお、挿入部148の後面156側の外周の4隅には、楔状の楔突起182が形成されており、前面152側から後面156側に向かうに連れて徐々に大きくなっている。なお、底面170側の楔突起182には、前面152側から楔突起182の端部に向かって立設されたガイド突起184が形成されている。
【0085】
また、雄型コネクタ134の組立ては、各雄型コンタクト136の接続部142に電線144を接続した各雄型コンタクト136を雄型ハウジング146の電線支持部150側から挿入し、内部空間178に形成された固定片180に雄型コンタクト136が固定されるまで押し込むことで、雄型ハウジング146に雄型コンタクト136が取り付けられる。また、雄型ハウジング146の挿入部148の前面152に形成された開口部154から雄型リテーナ186を挿入し、内部空間178に装着させ、雄型コネクタ134の組立てが完了する。
【0086】
次に、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12の結合について
図1、
図10〜
図16を参照して説明する。まず、雄型コネクタ134の挿入部148の前面152と雌型コネクタ12の結合部26の前面30を対向させて配置させる。このとき、雌型コネクタ12のスライダー78は、組込部58にバネ130を縮ませた状態で係止されて保持されている(
図1A、
図10A、
図12A、
図14A、
図15A参照)。
【0087】
次に、雌型コネクタ12の結合部26の前面30の開口部32に、雄型コネクタ134の挿入部148を前面152側から挿入させる。このとき、挿入部148の上面158に形成された被押圧突起160と係止解除突起168は、結合部26の前面30に形成された通過溝36を通過し、また、挿入部148のガイド突起184は結合部26のガイド溝56に沿って挿入される(
図10B、
図12B、
図14B、
図15B参照)。
【0088】
その後、さらに雄型コネクタ134を挿入させると、挿入部148の上面158に形成された係止解除突起168が、雌型コネクタ12に設けられたスライダー78の係止腕120に形成された係止突起122と当接される。そして、雄型コネクタ134がさらに押し込まれることで、挿入部148の係止解除突起168により係止突起122が上方に押し上げられると共にスライダー78の係止腕120が弾性変形し、上方へ移動される。このように、スライダー78の係止突起122が押し上げられることで、結合部26の組込部58に形成された係止部66との係止が解除されるようになる。そして、スライダー78の係止が解除されることで、スライダー78はバネ130の弾性力により組込部58内を入口側76に移動されるようになる。このとき、スライダー78は、雄型コネクタ134が挿入の途中であるため、挿入部148の被押圧突起160にスライダーの押圧突起102の傾斜した部分が当接するまで移動される(
図11A、
図13A、
図14C、
図15C参照)。
【0089】
その後、スライダー78はバネ130の弾性力によりさらに移動されることで、スライダー78の押圧突起102が、挿入部148の被押圧突起160を押圧するようになる。このとき、押圧突起102の傾斜押圧部104が、この傾斜に沿って、被押圧突起160の被押圧部166を押圧するようになる。そのため、挿入部148の被押圧部166は、スライダー78の押圧突起102の傾斜押圧部104から挿入方向への応力を受けることで、雌型コネクタ12の結合部26の奥側、すなわち後面38側へ雄型コネクタ134の挿入部148が移動されるようになる。
【0090】
そして、雄型コネクタ134が雌型コネクタ12に結合されることで、雄型コネクタ134の雄型コンタクト136の接触部18と雌型コネクタ12の雌型コンタクト14の接触部140とが接触され、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12の結合が完了する(
図1B、
図11D、
図13B、
図14D、
図15D、
図16参照)。このとき、スライダー78が、案内腕112に設けられた規制突起116と、組込部58の壁部72とが当接し、スライダー78の移動が規制されるまで移動されるようになる。また、雄型ハウジング146の挿入部148に形成された楔突起182と雌型ハウジング24の結合部26に形成された楔状溝54がそれぞれ嵌合されることで、ねじれ等に対して高い耐久性を有するようになる。
【0091】
また、このとき、スライダー78の押圧突起102の傾斜押圧部104の抜け止め面108に雄型ハウジング146の挿入部148の被押圧突起160が当接するようになり、例えば、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12が引っ張られた場合に、この抜け止め面108に被押圧突起160が当接されていることで、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12が抜けてしまうことが抑制される。
【0092】
さらに、スライダー78は雌型コネクタ12と雄型コネクタ134が結合された状態であってもバネ130の弾性力により雄型コネクタ134の被押圧突起160が押圧されるため、振動等に対して高い耐久性を得ることができる。
【0093】
なお、挿入部148の被押圧突起160と係止解除突起168及びスライダー78の押圧突起102との位置関係は、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12が結合された状態において、被押圧突起160と係止解除突起168との間に押圧突起102の傾斜押圧部104が設けられるようになっている。なお、押圧突起102に窪み106が形成されることで、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12が結合された際に、係止解除突起168が押圧突起102に接触してしまうことが抑制される。
【0094】
なお、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12の結合におけるスライダー78は、使用者が雄型コネクタと雌型コネクタとを挿入させるように力を加えて行なう際の補助的な役割とすることもできる。
【0095】
また、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12の外し方は、
図10〜
図15で示した各工程を反対に行い、結合された状態の雌型コネクタ12のスライダー78をバネ130が縮む方向に押圧して移動させる。スライダー78を組込部58の奥側、すなわち、一方の側面44側まで移動させ、押圧突起102と挿入部148の被押圧突起160が接触しない状態となったら、雌型ハウジング24の結合部26から雄型コネクタ134を引き抜く。その際、スライダー78の係止突起122が挿入部148の係止解除突起168に押圧されて、スライダー78の係止腕120が変形し、係止解除突起168が通過される。係止解除突起168が係止突起122を通過することで、係止腕120が元の位置にもどり、係止突起122と係止部66が係止されて、スライダー78が組込部58の元の位置に配置されるようになる。その後、雄型コネクタ134を雌型コネクタ12から引き抜くことで、雄型コネクタ134と雌型コネクタ12を取り外すことができる。
【0096】
なお、実施形態では、雄型コネクタ134の挿入部148の被押圧突起160を柱状、雌型コネクタ12のスライダー78の押圧突起102を傾斜した形状とした場合を説明したが、これとは反対に、雄型コネクタの被押圧突起を傾斜した形状とし、雌型コネクタのスライダーの押圧突起を柱状とすることもできる。すなわち、雄型ハウジングに形成された被押圧突起の形状を、結合方向とは反対側となる後面側を傾斜して形成させ、この傾斜した部分を、スライダーに形成された柱状の押圧突起で押圧するようにする。このようにすることでも、実施形態のように、雄型コネクタの雄型ハウジングをスライダーに設けられたバネの弾性力により、結合方向に押し込むことができるようになる。