(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-107746(P2017-107746A)
(43)【公開日】2017年6月15日
(54)【発明の名称】カードコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/72 20110101AFI20170519BHJP
【FI】
H01R12/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-240728(P2015-240728)
(22)【出願日】2015年12月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】鎌谷 裕康
【テーマコード(参考)】
5E123
【Fターム(参考)】
5E123AA01
5E123AB17
5E123AB45
5E123BA09
5E123BB12
5E123CA17
5E123CB22
5E123CB31
5E123CB38
5E123CD01
5E123DA05
5E123DB09
5E123GB42
5E123GB52
5E123GC02
5E123GC13
(57)【要約】
【課題】厚みの異なるカードに対応でき、且つ、弾性接触片の過剰な撓みを抑制し、安定した接触状態を維持可能なカードコネクタの提供。
【解決手段】弾性接触片43は、一端がハウジング3に支持された弾性基部431と、弾性基部431に揺動可能に支持された本弾性片部432と、本弾性片部432に一体に形成された接点部433とを備え、弾性基部431は、ハウジング3に支持された支持端431aより距離を置いた位置にカード挿入部31の底面311より内側に配置される対象外カード検知当接部6を備えるとともに、本弾性片部432に比べバネ定数が大きく撓み難い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿入されるカード挿入部を有するハウジングと、該ハウジングに配設され、適合するカードと接触するコンタクトとを備え、
前記コンタクトは、一端が前記ハウジングに支持された弾性接触片を備え、前記カード挿入部に挿入された対象カードのパッド部が前記弾性接触片に形成された接点部と接触するようにしたカードコネクタにおいて、
前記弾性接触片は、一端が前記ハウジングに支持された弾性基部と、該弾性基部に揺動可能に支持された本弾性片部と、該本弾性片部に一体に形成された接点部とを備え、
前記弾性基部は、前記ハウジングに支持された支持端より距離を置いた位置に前記カード挿入部の底面より内側に配置される対象外カード検知当接部を備え、前記本弾性片部に比べてそのバネ定数が大きいことを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
前記弾性基部は、前記本弾性片部よりも幅又は厚みが広く形成されている請求項1に記載のカードコネクタ。
【請求項3】
前記対象外カード検知当接部は、前記弾性基部表面よりカード側に突出している請求項1又は2に記載のカードコネクタ。
【請求項4】
前記弾性接触片は、互いに交差する配置に前記弾性基部と前記本弾性片部とを備えている請求項1〜3の何れか1に記載のカードコネクタ。
【請求項5】
複数種のカードを適宜選択して収容可能なカードトレイを備え、前記カードトレイを介して前記カード挿入部にカードが挿入され、
前記ハウジングには、各コンタクトに対応する複数種のコンタクトが配設されており、
前記複数種のコンタクトの何れか又は全部に前記対象外カード検知当接部を備えたコンタクトが用いられている請求項1〜4の何れか1に記載のカードコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やスマートフォン等の電子機器にICカードやフラッシュメモリーカード等のカードを接続するためのカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機やスマートフォン等の携帯端末の外部記憶媒体として、ICカードやフラッシュメモリーカードが使用されており、これらのカードの接続には、カードコネクタが使用されている。
【0003】
この種のカードコネクタは、カードが挿入されるカード挿入部を有するハウジングと、ハウジングに配設されてカード挿入部に突出した複数のコンタクトとを備え、カードをカード挿入部に挿入すると、カード(以下、対象カードという)の片面に形成されたパッド部が適合する各コンタクトの接点部と接触し、対象カードが各コンタクトを介して実装基板に電気的に接続されるようになっている。
【0004】
コンタクトは、例えば、基端側がハウジングの底版部に支持され、先端側が斜め上向きに延出した弾性接触片と、弾性接触片の先端に一体に支持された円弧凸状の接点部とを備え、挿入された対象カードの表面が接点部に当接し、それに伴い弾性接触片が押し下げられて撓み、所定の接触圧で接触するようになっている。
【0005】
また、この種のカードコネクタには、規格の異なる複数種のカードを適宜選択して収容可能なカードトレイと、各カードに適合するコンタクトとを備え、複数種のカードに対応したものも知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−108695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ICカードやフラッシュメモリーカード等のカードは、原則として、規格により外形及び厚みが定められているが、カードによってはラベル用シール等の貼着を想定して厚みに一定範囲の公差を許容するものがある。
【0008】
また、この種のカードコネクタでは、携帯端末間での互換使用等に伴い使用者によって適合外のカードが使用される場合も想定されている。
【0009】
また、特許文献2の如き規格の異なる複数種のカードに対応したカードコネクタにおいては、カード毎に厚みの異なる場合があり、その場合、選択されたカードと対応しないコンタクトには、その適合しない厚みのカードが接触することになる。
【0010】
従来では、このように対象カードAよりも厚いカード(以下、対象外カードBという)が挿入され、対象外カードBの表面がコンタクト100と接触すると、
図6(a)(b)に示すように、適合する対象カードAと対象外カードBとの厚さ差分Dだけ弾性接触片101が本来の撓み量よりも過剰に撓むという問題があった。
【0011】
そして、このような過剰な撓みは、過剰な応力を生じさせ、それによって弾性接触片に塑性変形が生じ、接触不良等の原因になるおそれがあった。
【0012】
特に、携帯端末及びカードの小型化に伴い、この種のカードコネクタにおいても小型化が要求されており、かかる過剰な撓みによる塑性変形の影響が顕著に表れる傾向にある。
【0013】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、厚みの異なるカードに対応でき、且つ、弾性接触片の過剰な撓みを抑制し、安定した接触状態を維持可能なカードコネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、カードが挿入されるカード挿入部を有するハウジングと、該ハウジングに配設され、適合するカードと接触するコンタクトとを備え、前記コンタクトは、一端が前記ハウジングに支持された弾性接触片を備え、前記カード挿入部に挿入された対象カードのパッド部が前記弾性接触片に形成された接点部と接触するようにしたカードコネクタにおいて、前記弾性接触片は、一端が前記ハウジングに支持された弾性基部と、該弾性基部に揺動可能に支持された本弾性片部と、該本弾性片部に一体に形成された接点部とを備え、前記弾性基部は、前記ハウジングに支持された支持端より距離を置いた位置に前記カード挿入部の底面より内側に配置される対象外カード検知当接部を備え、前記本弾性片部に比べてそのバネ定数が大きいカードコネクタにある。
【0015】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記弾性基部は、前記本弾性片部よりも幅又は厚みが広く形成されていることにある。
【0016】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記対象外カード検知当接部は、前記弾性基部表面よりカード側に突出していることにある。
【0017】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1〜3の何れか1の構成に加え、前記弾性接触片は、互いに交差する配置に前記弾性基部と前記本弾性片部とを備えていることにある。
【0018】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1〜4の何れか1に構成に加え、複数種のカードを適宜選択して収容可能なカードトレイを備え、前記カードトレイを介して前記カード挿入部にカードが挿入され、前記ハウジングには、各コンタクトに対応する複数種のコンタクトが配設されており、前記複数種のコンタクトの何れか又は全部に前記対象外カード検知当接部を備えたコンタクトが用いられていることにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るカードコネクタは、上述したように、カードが挿入されるカード挿入部を有するハウジングと、該ハウジングに配設され、適合するカードと接触するコンタクトとを備え、前記コンタクトは、一端が前記ハウジングに支持された弾性接触片を備え、前記カード挿入部に挿入された対象カードのパッド部が前記弾性接触片に形成された接点部と接触するようにしたカードコネクタにおいて、前記弾性接触片は、一端が前記ハウジングに支持された弾性基部と、該弾性基部に揺動可能に支持された本弾性片部と、該本弾性片部に一体に形成された接点部とを備え、前記弾性基部は、前記ハウジングに支持された支持端より距離を置いた位置に前記カード挿入部の底面より内側に配置される対象外カード検知当接部を備え、前記本弾性片部に比べてそのバネ定数が大きいことにより、厚さの異なるカードが挿入された場合であっても、挿入されたカードの厚みに関わらず、対象外カード検知当接部の頂面と接点部とのカード厚み方向距離が常に一定に保たれ、本弾性片部の撓み量が常に一定であるので、本弾性片部の過剰な撓みによる塑性変形を抑止することができる。
【0020】
また、本発明において、前記弾性基部は、前記本弾性片部よりも幅又は厚みが広く形成されていることにより、本弾性片部に対し弾性基部をバネ定数が大きく、撓み難い構造にすることができる。
【0021】
更に、本発明において、前記対象外カード検知当接部は、前記弾性基部表面よりカード側に突出していることにより、当該突出分で対象カードと対象外カードとの厚み差分を吸収することができる。
【0022】
更にまた、本発明において、前記対象外カード検知当接部は、前記コンタクトの弾性基部に固定された樹脂製の当接部材で構成され、前記当接部材で前記コンタクトの弾性基部間が連結されていることにより、各コンタクトの弾性基部を連動させることができるとともに、当接部材に作用する押し下げ力を各弾性基部に分散でき、各弾性基部の塑性変形を好適に抑止することができる。
【0023】
更にまた、本発明において、複数種のカードを適宜選択して収容可能なカードトレイを備え、前記カードトレイを介して前記カード挿入部にカードが挿入され、前記ハウジングには、各コンタクトに対応する複数種のコンタクトが配設されており、前記複数種のコンタクトの何れか又は全部に前記対象外カード検知当接部を備えたコンタクトが用いられていることにより、厚みの異なるカードを適宜選択して使用する場合であっても、各コンタクトの塑性変形を好適に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係るカードコネクタの一例を示す分解斜視図である。
【
図2】(a)は
図1中のカードトレイを示す平面図、(b)は同縦断面図である。
【
図3】
図1中のハウジングのシールドカバーを除いた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3中のコンタクトを示す拡大斜視図である。
【
図5】コンタクトとカードとの接触状態を説明するための部分拡大縦断面図であって、(a)は規定されたカードを挿入した状態、(b)は対象外カードを挿入した状態を示している。
【
図6】従来のカードコネクタにおけるコンタクトとカードとの接触状態を説明するための部分拡大縦断面図であって、(a)はカードAを挿入した状態、(b)はカードBを挿入した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明に係るカードコネクタの実施態様を
図1〜
図5に示した実施例に基づいて説明する。
【0026】
本実施例では、カードトレイ式のカードコネクタを例に説明し、カードコネクタ1は、規格の異なる複数種(本実施例では2種類)のカードA,Bを適宜選択して収容可能なカードトレイ2と、カードトレイ2を用いてカードが挿入されるハウジング3と、ハウジング3に配設され、各カードA,Bに対応する複数種のコンタクト4,5とを備えている。
【0027】
一方のカードAは、マイクロSIMカード等のICカード、他方のカードBは、マイクロSDカード等のメモリーカードであって、一方のカードAに比べ他方のカードBの一部又は全部が厚くなっている。
【0028】
尚、本実施例では、本願発明に係るコンタクト4を基準にカードAを対象カード、他方のカードBを対象外カードというものとする。
【0029】
カードトレイ2は、
図2に示すように、片面側に対象外カードBがその長手方向を収容体挿入方向に向けて収容される縦向きカード収容部21と、対象カードAがその長手方向をコネクタ幅方向に向けて収容される横向きカード収容部22とを備え、縦向きカード収容部21と横向きカード収容部22とが重複する一部を互いに共用する配置となっている。
【0030】
各カード収容部21,22は、それぞれ各カードA,Bの形状に合わせて厚み方向に貫通した段付き穴状に形成され、カードトレイ2をハウジング3のカード挿入部31に挿入した際、上面側より嵌め込まれたカードA,Bの外縁が段部に支持され、収容されたカードの接続パッド(図示せず)がカード挿入部31の底側に開口部23を通して露出するようになっている。
【0031】
また、各カードA,Bの厚みが異なることで、カードトレイ2を介してカード挿入部31に挿入された各カードA,Bとカード挿入部31の内底面311との距離が異なり、対象カードAと内底面311との距離に比べ、対象外カードBと内底面311との距離が狭くなっている。
【0032】
ハウジング3は、上面側に凹部を有する合成樹脂製のハウジング本体32と、導電金属材からなるシールドカバー33とを備え、ハウジング本体32の上面側にシールドカバー33が被せられ、シールドカバー33に凹部上面が閉鎖されることによって、前面側に開口したカード挿入部31を有する箱状に形成されている。
【0033】
ハウジング本体32は、
図3に示すように、底板部321に各カードA,Bに対応する2種類のコンタクト4,5が埋め込まれ、カード挿入方向手前側に配置されたコンタクト(以下、第1のコンタクトという)4,4...が対象カードAに、奥側に配置されたコンタクト(以下、第2のコンタクトという)5,5...が対象外カードBにそれぞれ対応するように配設され、各コンタクト4,5に対し各カードA,Bの接触パッドが接触するようになっている。
【0034】
ハウジング本体32の底板部321には、各コンタクト4,5の位置及び弾性接触片43の形状に合わせてそれぞれ底板部321の板厚方向に貫通したコンタクト用窓部34,35が形成されており、コンタクト4,5が弾性変形する際、コンタクト4,5と底板部321とが抵触しないようになっている。
【0035】
第1のコンタクト4は、
図4に示すように、弾性材且つ導電性金属材である板材をもって一体形成され、ハウジング本体32の底板部321に埋設される固定片41と、固定片41の一端側より延出し、ハウジング本体32の底面側に露出する基板接続端子片42と、固定片41に支持された弾性接触片43とを備えている。
【0036】
弾性接触片43は、一端が固定片41を介してハウジング3の底板部321に支持された弾性基部431と、弾性基部431に揺動可能に支持された本弾性片部432と、本弾性片部432に一体に形成された接点部433とを備え、弾性基部431、本弾性片部432及び接点部433がカード挿入方向に連続した片持ち板バネ状を成している。
【0037】
弾性基部431は、固定片41と一体に形成された支持端431aと、本弾性片部432の基端と一体に形成された可動端431bとを両端に備え、カード挿入方向、且つ、コンタクト用窓部34の内側面341より斜め上向きに延出した形状に形成され、支持端431aが固定片41を介してハウジング3の底板部321に支持された片持ちバネ構造を成している。
【0038】
また、弾性基部431は、本弾性片部432の幅に対して幅広に形成され、その分、本弾性片部432よりも断面二次モーメントが大きく、バネ定数が大きくなっており、本弾性片部432に比べ硬く撓み難いバネ構造となっている。
【0039】
尚、この弾性基部431の態様は、本実施例に限定されず、例えば、本弾性片部432よりも長さを短くする、本弾性片部432よりも板厚を厚くする等によってバネ定数を大きくしてもよい。
【0040】
更に、弾性基部431には、支持端431aより距離を置いた位置にある可動端431bに対象外カード検知当接部6を一体に備えている。
【0041】
対象外カード検知当接部6は、プレス加工によって、弾性基部431の可動端431b表面を円弧状に膨出させた凸型状に形成され、カード側に突出し、その頂部がカード挿入部31の内底面311より所望の距離だけ内側に配置されている。
【0042】
この所望の距離は、想定される対象外カードBの厚みに基づいて設定され、より具体的には、対象カードAと対象外カードBとの厚み差分Dに基づいて設定されている。
【0043】
本弾性片部432は、基端が弾性基部431の可動端431bと一体を成し、基端431bよりカード挿入方向に向けて斜め上向きに延出して形成され、弾性基部431に支持されたバネ構造を成している。
【0044】
そして、この本弾性片部432は、弾性基部431よりも幅が狭く、弾性基部431よりも断面二次モーメントが小さく、撓みやすくなっており、弾性基部431に対し揺動可能になっている。
【0045】
また、この本弾性片部432の先端部には、円弧状の接点部433が一体に形成されている。
【0046】
第2のコンタクト5の態様は、特に限定されないが、対象外カードBに対し所望の接触圧で好適に接触するように構成されている。
【0047】
このように構成されたカードコネクタ1では、カードトレイ2を介して対象カードAがカード挿入部31に挿入されると、
図5(a)に示すように、対象カードAの表面が対象外カード検知当接部6の上面と接触しない状態或いは接触しても略対象外カード検知当接部6の位置が変動しない状態で挿入初期動作がされる。
【0048】
よって、所定の位置までカードトレイ2によりカードAがカード挿入部31に挿入され、カードAの下面(パッド部)が接点部433と接触すると、弾性接触片43全体に押し下げ方向の力が作用するが、弾性基部431は、本弾性部432に比べてバネ定数が大きく撓み難くなっているので、当該対象カードAからの押し下げ力に対しては、主に本弾性片部432が弾性基部432に支持されて撓むようになっている。
【0049】
一方、このカードコネクタ1では、カードトレイ2を介して対象外カードBがカード挿入部31に挿入されると、
図5(b)に示すように、対象外カードBの表面が対象外カード検知当接部6の上面と接触し、対象カードAと対象外カードBとの厚み差分Dだけ対象外カード検知当接部6が底側に押し下げられる。
【0050】
そして、その状態から所定の位置までカードトレイ2を用いて対象外カードBがカード挿入部31に挿入されると、対象外カードBの下面が接点部433と接触し、弾性接触片43全体に押し下げ方向の力が作用する。
【0051】
その際、各弾性基部431は、既に対象外カード検知当接部6を介して対象外カードBからの押し下げ方向力が作用し、可動端431bが対象カードAと対象外カードBとの厚み差分Dだけ底側に撓んだ状態にあるので、本弾性片部433の撓み量は、対象外カード検知当接部6の頂面と接点部433とのカード厚み方向距離dに依存する。
【0052】
即ち、このカードコネクタ1では、挿入されたカードの厚みに関わらず、対象外カード検知当接部6の頂面と接点部433とのカード厚み方向距離dが常に一定に保たれ、本弾性片部432の撓み量が常に一定であるので、本弾性片部432の過剰な撓みによる塑性変形が抑止されるようになっている。
【0053】
また、このカードコネクタ1では、対象外カードBによる押し下げ力が作用する弾性基部431が本弾性片部432に対して幅が広く、バネ定数が大きいので当該押し下げ力によって弾性基部431が塑性変形することもない。
【0054】
よって、対象外カードBがカード挿入部31より除去されると、弾性基部431及び本弾性片部432がそれぞれ弾性復帰し、元の状態に復帰する。
【0055】
尚、上述の実施例では、複数種のカードを適宜選択して収容可能なカードトレイ2を用いた例について説明したが、カードトレイ2を用いずにカード挿入部31にカードを挿入するものであって、対象カードAより厚みのある対象外カードBがカード挿入部31に誤挿入された場合の弾性接触片43の塑性変形を抑止できるようしたものであってもよい。
【0056】
また、対象カードAに対応する第1のコンタクト4の態様は、上述の実施例に限定されず、例えば、弾性基部431と本弾性片部432とがカード挿抜方向に連続する配置のものや、弾性基部431と本弾性片部432とが折り返し配置されたもの等であってもよい。
【0057】
また、上述の実施例では、対象外カード検知当接部6をプレス加工によって弾性基部431の先端部(可動端431b)に上方に膨出した円弧状の凸部とした例に付いて説明したが、対象外カード検知当接部6は、弾性基部431の支持端431aと可動端431bとのカード厚み方向距離を調節することにより可動端431b自体を対象外カード検知当接部6としてもよい。
【0058】
更に、上述の実施例では、弾性基部431と本弾性片部432とがカード挿入方向に連続した弾性接触片43について説明したが、弾性接触片43は、弾性基部431と本弾性片部432とが互いに交差する配置となっていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
A 対象カード
B 対象外カード
1 カードコネクタ
2 カードトレイ
21 縦向きカード収容部
22 横向きカード収容部
3 ハウジング
31 カード挿入部
32 ハウジング本体
33 シールドカバー
34、35 コンタクト用窓部
4 コンタクト
41 固定片
42 基板接続端子片
43 弾性接触片
5 コンタクト
6 対象外カード検知当接部