特開2017-107968(P2017-107968A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-107968(P2017-107968A)
(43)【公開日】2017年6月15日
(54)【発明の名称】発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/042 20060101AFI20170519BHJP
   H01S 5/32 20060101ALI20170519BHJP
   H01L 33/02 20100101ALI20170519BHJP
   H01L 33/34 20100101ALI20170519BHJP
   H01L 33/38 20100101ALI20170519BHJP
【FI】
   H01S5/042 614
   H01S5/32
   H01L33/00 100
   H01L33/00 188
   H01L33/00 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-240362(P2015-240362)
(22)【出願日】2015年12月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】津田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】松舘 政茂
(72)【発明者】
【氏名】山田 健治
(72)【発明者】
【氏名】坪利 悠司
(72)【発明者】
【氏名】高山 翼
【テーマコード(参考)】
5F173
5F241
【Fターム(参考)】
5F173AB62
5F173AB64
5F173AB65
5F173AB66
5F173AF15
5F173AH40
5F173AK21
5F173AR14
5F173AR43
5F241AA04
5F241AA14
5F241CA02
5F241CA14
5F241CA22
5F241CA33
5F241CA93
(57)【要約】      (修正有)
【課題】質の高い光を射出することができる発光デバイスを提供すること。
【解決手段】p型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるp型添加部分1とn型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるn型添加部分2とそれらの境界部分に形成されるpn活性部分3とからなる発光素子10と、p型添加部分の表面に配置された第1電極5と、n型添加部分の表面に配置された第2電極4と、を備え、p型添加部分、n型添加部分およびpn活性部分は、その一部またはすべての領域からなる発光部を有し、第1電極と第2電極との間に電流が印加されることにより、p型添加部分、n型添加部分およびpn活性部分内に電子が添加され、電子が付与されることによって発光部が発光する発光デバイスであって、第1電極および第2電極のうちの少なくとも一方は、発光部が発光することによって得られる光の質を高める光質向上構成を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるp型添加部分と、n型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるn型添加部分と、前記p型添加部分と前記n型添加部分との境界部分に形成されるpn活性部分と、からなる発光素子と、
前記発光素子の前記p型添加部分の表面に配置された第1電極と、
前記発光素子の前記n型添加部分の表面に配置された第2電極と、
を備え、
前記p型添加部分、前記n型添加部分および前記pn活性部分は、その一部またはすべての領域からなる発光部を有し、
前記第1電極と前記第2電極との間に電流が印加されることにより、前記p型添加部分、前記n型添加部分および前記pn活性部分内に電子が添加され、電子が付与されることによって前記発光部が発光する発光デバイスであって、
前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、前記発光部が発光することによって得られる光の質を高める光質向上構成を有していることを特徴とする発光デバイス。
【請求項2】
前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、前記光の射出方向に延在して配置され、
前記光質向上構成は、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方の前記延在方向両端部のうちの少なくとも一方の端部が、前記延在方向中央部の少なくとも一部よりも幅が小さいことを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、
前記延在方向中央部に形成された幅広部と、
前記幅広部から延びる幅狭部と、からなり、
前記p型添加部分、前記n型添加部分および前記pn活性部分の厚み方向から見て、前記幅広部は、前記幅狭部よりも面積が大きいことを特徴とする請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、前記延在方向一端から他端に向かって幅広になるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、前記光の射出方向に延在して配置され、
前記光質向上構成は、
前記p型添加部分、前記n型添加部分および前記pn活性部分の厚み方向から見て、
前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方の前記延在方向端部と、前記p型添加部分、前記n型添加部分および前記pn活性部分の端面と、の角度が90度よりも小さくなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接遷移型の半導体レーザ装置等に適用される発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電流注入によってレーザ発振を得る間接遷移型半導体レーザの発光素子として、特許文献1に記載のものがある。この発光素子は、シリコン等の間接遷移型半導体にp型不純物が添加されたp型添加部分と、同間接遷移型の半導体にn型不純物が添加されたn型添加部分と、p型添加部分とn型添加部分との境界部分に形成されるpn活性部分とを備えている。
【0003】
p型添加部分およびn型添加部分は、その一部の領域、また、pn活性部分は、そのすべてが、電流が印加されて電子が付与されることにより発光する発光領域となっている。また、n型添加部分およびp型添加部分には電源が接続され、レーザの発振時には、n型添加部分側が正電圧、p型添加部分側が負電圧となるように順方向にバイアス電圧が印加される。これにより、n型添加部分、pn活性部分およびn型添加部分に電流が注入され、n型添加部分、pn活性部分およびn型添加部分の発光領域に電子が付与されることにより、その一部またはすべてが発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−243824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発光素子では、実用化に至るような質の高い光を得ることができない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、質の高い光を射出することができる、発光デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の発光デバイスは、p型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるp型添加部分と、n型不純物が添加された間接遷移型半導体からなるn型添加部分と、前記p型添加部分と前記n型添加部分との境界部分に形成されるpn活性部分と、からなる発光素子と、前記発光素子の前記p型添加部分の表面に配置された第1電極と、前記発光素子の前記n型添加部分の表面に配置された第2電極と、を備え、前記p型添加部分、前記n型添加部分および前記pn活性部分は、その一部またはすべての領域からなる発光部を有し、前記第1電極と前記第2電極との間に電流が印加されることにより、前記p型添加部分、前記n型添加部分および前記pn活性部分内に電子が添加され、電子が付与されることによって前記発光部が発光する発光デバイスであって、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、前記発光部が発光することによって得られる光の質を高める光質向上構成を有していることを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、第1電極および第2電極のうちの少なくとも一方は、発光部が発光することによって得られる光の質を高める光質向上構成を有している。従って、質の高い光を射出することができる。
【0009】
第2の発明の発光デバイスは、前記第1の発明において、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、前記光の射出方向に延在して配置され、前記光質向上構成は、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方の前記延在方向両端部のうちの少なくとも一方の端部が、前記延在方向中央部の少なくとも一部よりも幅が小さいことを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、第1電極および第2電極のうちの少なくとも一方は、光の射出方向に延在して配置され、光質向上構成は、第1電極および第2電極のうちの少なくとも一方の延在方向両端部のうちの少なくとも一方の端部が、延在方向中央部の少なくとも一部よりも幅が小さい。従って、発光素子の延在方向中央部から端部にかけて電流の流れる電流狭窄領域の断面を小さくし、光を狭い領域に集光することができる。これにより、発光素子の端面から射出される光の光量を大きくすることができる。
【0011】
第3の発明の発光デバイスは、前記第2の発明において、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、前記延在方向中央部に形成された幅広部と、前記幅広部から延びる幅狭部と、からなり、前記p型添加部分、前記n型添加部分および前記pn活性部分の厚み方向から見て、前記幅広部は、前記幅狭部よりも面積が大きいことを特徴とするものである。
【0012】
本発明では、第1電極および第2電極のうちの少なくとも一方は、延在方向中央部に形成された幅広部と、幅広部から延びる幅狭部と、からなり、p型添加部分、n型添加部分およびpn活性部分の厚み方向から見て、幅広部は、幅狭部よりも面積が大きい。従って、発光素子の延在方向中央部の広い範囲に電流を流して発光させることができる。そして、ここで得られた光を発光素子の端部で集光させることにより、限られた大きさの発光デバイスから光量の大きい光を効率よく得ることができる。
【0013】
第4の発明の発光デバイスは、前記第2の発明において、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、前記延在方向一端から他端に向かって幅広になるように形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明では、第1電極および第2電極のうちの少なくとも一方は、延在方向一端から他端に向かって幅広になるように形成されている。従って、電流印加時、発光素子内では、一端から他端に近づくに連れて電流狭窄領域が狭くなっている。これにより、発光素子の他端側の広い範囲で生じた光を一端側で集光することができるため、発光素子の一端面から射出される光の光量を大きくすることができる。
【0015】
第5の発明の発光デバイスは、前記第1の発明において、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、前記光の射出方向に延在して配置され、前記光質向上構成は、前記p型添加部分、前記n型添加部分および前記pn活性部分の厚み方向から見て、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方の前記延在方向端部と、前記p型添加部分、前記n型添加部分および前記pn活性部分の端面と、の角度が90度よりも小さくなるように配置されている。
【0016】
本発明では、第1電極および第2電極のうちの少なくとも一方の延在方向端部と、p型添加部分、n型添加部分およびpn活性部分の端面と、の角度が90度よりも小さくなるように配置されている。従って、この角度を調節することによって、発光素子の端面から所望の偏光を有する光を射出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る発光デバイスの斜視図である。
図2図1の上面図である。
図3】(a)は、図2のX−X断面図であって、(b)は、図2のY−Y断面図である。
図4】変更形態における発光デバイスの上面図である。
図5】変更形態における発光デバイスの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態は、半導体レーザとして利用され、n型添加部分側が正電圧、p型添加部分側が負電圧となるように、順方向にバイアス電圧を印加することにより発光する発光デバイスに本発明を適用した一例である。なお、以下では、図1図5に示す上下、左右、前後の各方向を、上下方向、左右方向および前後方向と定義し、これらの方向語を適宜使用して説明する。
【0020】
図1に示すように、発光デバイス100は、所定厚みを有する略直方体形状である。発光デバイス100は、発光素子10と発光素子10の表面に形成されたp型電極5およびn型電極4とからなる。
【0021】
発光素子10は、所定厚みを有する直方体形状である。発光素子10は、シリコン等の間接遷移型の半導体にp型不純物が添加されたp型添加部分1と、同間接遷移型の半導体にn型不純物が添加されたn型添加部分2と、p型添加部分1とn型添加部分2との境界部分に形成されたpn活性部分3とからなる。また、p型添加部分1およびn型添加部分2は、その一部が電流が印加されて電子が付与されることによって発光する発光部となっている。また、pn活性部分3は、そのすべてが電流が印加されて電子が付与されることによって発光する発光部となっている。
【0022】
図2に示すように、p型電極5は、発光素子10の上側表面に形成されている。p型電極5は、発光素子10の略中央部に形成された幅広部5aと、幅広部5aの前後方向両端の中央部から発光素子10の前後方向両端まで延在するように形成された2つの幅狭部5bとを有している。幅広部5aおよび2つの幅狭部5bは、前後方向に長い矩形状をなしている。また、幅広部5aの前後方向の長さは、2つの幅狭部5bの前後方向の長さよりも大きい。幅広部5aの左右方向の幅d1は、2つの幅狭部5bの左右方向の幅d2よりも大きい。従って、上から見て、幅広部5aの面積は、幅狭部5bの面積よりも十分大きくなっている。p型電極5の表面には、配線部材(不図示)が接合され、この配線部材(不図示)に接続された電源装置(不図示)から電流が供給される。
【0023】
図1図3に示すように、n型電極4は、発光素子10の下側表面に形成されている。n型電極4は、所謂ベタ電極であって、発光素子10の下側表面の全域を覆うように形成されている。n型電極4の表面には、配線部材(不図示)が接合され、この配線部材(不図示)に接続された電源装置(不図示)から電流が供給される。
【0024】
p型電極5およびn型電極4に電流が印加されると、図3(a),(b)の一点鎖線で示すように、発光素子10内には電流狭窄領域R1,R2が生じる。この電流狭窄領域R1,R2が発光素子10内において電流が流れる領域であって、この領域内の発光部に電子が付与されることによって発光素子10が発光する。より具体的には、p型電極5の幅広部5aの下部では電流狭窄領域R1が生じ、p型電極5の幅狭部5bの下部では電流狭窄領域R2が生じる。
【0025】
図2に示すように、幅広部5aの面積は幅狭部5bの面積よりも十分大きい。従って、その下部の発光素子10内に生じる発光領域R1は、発光領域R2と比較して十分大きくなる。つまり、発光素子10は、その中央部の広い範囲で発光する。
【0026】
また、幅狭部5bの幅d2は、幅広部5aの幅d1よりも小さい。従って、図3(a),(b)に示すように、幅狭部5bに生じる電流狭窄領域R2の断面は、幅広部5aで生じる電流狭窄領域R1の断面よりも小さい。すなわち、発光素子10の左右側面を光の射出面とした時、光の射出面近傍である左右両端部では、発光部の発光可能範囲が狭くなっている。これにより、発光素子10中央部の広い範囲で発生した光を、前後両端部で狭い範囲に集光して射出させることができる。これにより、限られた大きさの発光デバイス100から、得られる光の光量を効率よく大きくすることができる。
【0027】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態や実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0028】
本実施形態では、p型電極5のみ上述したような形態であって、n型電極4はベタ電極であると記載したが、例えば、p型電極5とn型電極4とを同様の形態とし、p型電極5とn型電極4とを発光素子10に上下対称に形成しても構わない。
【0029】
また、本実施形態では、p型電極5のみ上述したような形態であって、n型電極4はベタ電極であると記載したが、n型電極4のみ上述したp型電極5と同様の形態とし、p型電極5をベタ電極としても構わない。
【0030】
また、本実施形態では、p型電極5は幅広部5aをひとつのみ設ける場合について記載したが、幅広部5aは、前後方向に複数設けられていても構わない。より具体的には、前後方向において、幅広部5aと幅狭部5bを交互に複数形成しても構わない。
【0031】
また、本実施形態では、p型電極5は、ひとつの電極からなる場合について記載したが、p型電極5は、例えば、複数電極であっても構わない。この場合、上述した形態のp型電極5は、左右方向に複数並べて形成される。
【0032】
また、図4に示すように、発光デバイス200は、上から見て、p型電極6を前端から後端にかけて幅広になるように形成しても構わない。これにより、電流印加時、発光素子10内では、一端から他端に近づくに連れて電流狭窄領域が狭くなる。従って、発光素子10の後端側の広い範囲で生じた光を前端側の狭い範囲で集光することができるため、本実施形態と同様に、発光素子10の前端面から射出される光の光量を大きくすることができる。
【0033】
また、図5に示すように、発光デバイス300は、上から見て、幅d3一定のp型電極7を発光素子100の前端および後端に対して角度θで傾斜するように形成しても構わない。この角度θを調節することによって、発光素子10の前後端面から所望の偏光を有する光を射出することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る発光デバイス100は、半導体レーザのみならず、LED光源等に適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 p型添加部分
2 n型添加部分
3 pn活性部分
4 n型電極
5 p型電極
5a 幅広部
5b 幅狭部
6 p型電極
7 p型電極
10 発光素子
100 発光デバイス
R1 電流狭窄領域
R2 電流狭窄領域
図1
図2
図3
図4
図5