【課題】一旦情報が提供されたデバイスから、必要に応じて、より適切なデバイスに情報を引き継ぐことができるため、情報の引継ぎ先デバイスにおいて快適にサービスやコンテンツの利用を継続することができる。
【解決手段】 車載端末と、情報端末と、サーバとを有する情報引継ぎシステムであって、前記車載端末は、取得した通知情報のうち、前記情報端末に引き継ぐ該通知情報を引継ぎ情報として抽出する引継ぎ情報抽出部を有し、前記サーバは、前記車載端末から取得した前記引継ぎ情報を所定のタイミングで前記情報端末に送信する通知情報抽出部を有し、前記情報端末は、前記サーバから取得した前記引継ぎ情報を表示する引継ぎ情報表示部を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る情報引継ぎシステムについて説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000の概略構成の一例を示した図である。図示するように、情報引継ぎシステム1000は、車載端末100と、情報端末200と、サーバ300とを有している。また、車載端末100、情報端末200およびサーバ300は、インターネットなどのネットワーク網Nにより相互に通信可能に接続されている。また、車載端末100および情報端末200は、例えば、Bluethooth(登録商標)などの近距離無線通信規格を用いて相互に通信可能に接続されている。
【0012】
車載端末100は、例えば、推奨経路の探索や経路誘導および交通情報等の表示といった、いわゆるナビゲーション機能を備えたナビゲーション装置により実現される。また、車載端末100は、これに限定されるものではなく、ナビゲーション機能を実現するアプリケーションがインストールされたスマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末であっても良い。
【0013】
情報端末200は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末およびPDA(Personal Data Assistance)といったモバイル端末により実現される。
【0014】
サーバ300は、車載端末100や情報端末200に対して様々なサービスを提供する装置であって、例えば、汎用コンピュータやワークステーションなどの計算機により実現される。なお、サーバ300は、例えば、パーソナルコンピュータであっても良い。
【0015】
図2は、車載端末100、情報端末200およびサーバ300のハードウェア構成の一例を示した図である。車載端末100は、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、入力装置104と、表示装置105と、測位センサ106と、補助記憶装置107と、通信装置108とを有している。
【0016】
CPU101は、数値演算、各装置の制御など車載端末100の様々な処理を行う装置(ユニット)である。RAM102は、演算結果やプログラムなどを格納する読み書き可能なメモリである。ROM103は、車載端末100で利用される様々なプログラムなどを格納する読み出し専用メモリである。
【0017】
入力装置104は、車載端末100がユーザから所定の指示入力を受け付けるための装置であって、方向キー、ダイヤルスイッチ、タッチパネルなどで構成される。
【0018】
表示装置105は、生成された画面情報を表示領域に表示させるユニットであって、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどで構成される。
【0019】
測位センサ106は、車載端末100が搭載された車両の位置を検出するための装置であり、例えば、車速センサ、ジャイロセンサおよびGPS(Global Positioning System)などから構成される。
【0020】
補助記憶装置107は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカード、SSD(Solid State Drive)といった、少なくとも読み書きが可能な記録媒体で構成される。
【0021】
通信装置108は、外部装置(本例では、情報端末200およびサーバ300)との間で相互通信を行うための通信ユニットである。
【0022】
情報端末200は、CPU201と、RAM202と、ROM203と、入力装置204と、表示装置205と、補助記憶装置206と、通信装置207とを有している。
【0023】
入力装置204は、情報端末200がユーザから所定の指示入力を受け付けるための装置であって、タッチパネルや所定の機能(例えば、電源ボタン、音量調整ボタン、ホームボタン)が割り当てられたハードスイッチなどで構成される。表示装置205は、表面にタッチパネルが搭載された液晶ディスプレイである。補助記憶装置206は、不揮発性メモリカードなどの情報端末200に搭載可能な小型の記録媒体である。なお、CPU201、RAM202、ROM203、通信装置207の基本的構成は、車載端末100のものと同様であるため、説明を省略する。
【0024】
サーバ300は、CPU301と、RAM302と、ROM303と、入力装置304と、出力装置305と、補助記憶装置306と、通信装置307とを有している。なお、出力装置305は、CPU301の演算結果などを各装置や通信装置307を介して外部装置に出力(送信)する装置である。なお、出力装置305以外の各装置の基本的構成は車載端末100のものと同様であるため、説明を省略する。
【0025】
図3は、車載端末100および情報端末200の各々に表示される画面情報の一例を示した図である。後述するように、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000では、所定の場合に、車載端末100で通知された情報を情報端末200に引き継ぐことができる。画面例110に示すように、「**Cafeのクーポンがあります。携帯電話に転送しますか?」といった通知に対して、ユーザが転送を指示すると、クーポンに関する情報は、情報端末200に引き継がれて表示される。その結果、情報端末200では、「**Cafe今ならhot coffeが100円引き」といった通知が表示される。
【0026】
図4は、車載端末100、情報端末200およびサーバ300の機能構成の一例を示した機能ブロック図である。車載端末100は、通知情報受信部121と、通知情報表示部122と、既読通知部123と、入力受付部124と、引継ぎ情報抽出部125と、引継ぎ情報送信部126と、通知情報DB(Data Base)127とを有している。
【0027】
通知情報受信部121は、サーバ300から通知情報を受信する機能部である。具体的には、通知情報受信部121は、所定のタイミング(例えば、サーバ300からのプッシュ通知があった時など)でサーバ300から通知情報を取得する。なお、通知情報受信部121が受信した通知情報は、図示しない所定の機能部により通知情報DB127に格納される。
【0028】
通知情報表示部122は、表示装置105に通知情報を表示する機能部である。具体的には、通知情報表示部122は、通知情報DB127に格納されている通知情報を取得し、これを表示装置105に表示する。
【0029】
既読通知部123は、表示装置105に表示された通知情報を既読情報としてサーバ300に通知する機能部である。なお、既読情報123は、サーバ300から取得した通知情報そのものであっても良く、サーバ300の通知情報DBに格納されている通知情報を識別可能な識別情報であっても良い。
【0030】
入力受付部124は、タッチパネルなどの入力装置104を介して、ユーザから様々な指示入力を受け付ける機能部である。
【0031】
引継ぎ情報抽出部125は、情報端末200に引き継ぐ引継ぎ情報を通知情報DB127から抽出する機能部である。引継ぎ情報は、表示装置105に表示していない未通知(未読)の通知情報や目的地が設定されている場合には、目的地付近の情報が含まれる。また、引継ぎ情報は、表示した通知情報に対してユーザが引継ぎ指示を入力した情報であっても良い。また、引継ぎ情報は、ユーザによって指定されたカテゴリの情報であっても良く、クーポンなど有効期間中の情報であっても良い。また、引継ぎ情報は、通過したことのある経路付近の情報および通知したことがない経路付近の情報であっても良い。
【0032】
なお、引継ぎ情報は、サーバ300から取得した通知情報そのものであっても良く、サーバ300の通知情報DBに格納されている通知情報を識別可能な識別情報であっても良い。
【0033】
引継ぎ情報送信部126は、引継ぎ情報抽出部125により抽出された引継ぎ情報をサーバ300に送信する機能部である。
【0034】
通知情報DB127は、サーバ300から受信した通知情報を格納するデータベースである。
【0035】
サーバ300は、通知情報抽出部311と、通知情報送信部312と、既読管理部313と、引継ぎ情報取得部314と、通知情報DB315と、機器管理情報DB316と、既読管理情報DB317と、引継ぎ情報DB318とを有している。
【0036】
通知情報抽出部311は、車載端末100で表示する通知情報を通知情報DB315から抽出する機能部である。例えば、通知情報抽出部311は、車載端末100の所定の機能部から車載端末100が搭載された車両の位置情報を取得し、かかる車両位置付近に関する通知情報を通知情報DB315から抽出する。また、通知情報抽出部311は、通知情報送信部312を介して、抽出した通知情報を車載端末100に送信する。また、通知情報抽出部311は、情報端末200からの要求に応じて、引継ぎ情報DB318に格納された引継ぎ情報を抽出し、通知情報送信部312を介して情報端末200に送信する。
【0037】
通知情報送信部312は、通知情報抽出部311により抽出された通知情報を車載端末100にプッシュ通知する機能部である。
【0038】
既読管理部313は、車載端末100から既読情報を受信し、これを既読管理情報DB317に格納する機能部である。
【0039】
引継ぎ情報取得部314は、車載端末100から引継ぎ情報を取得する機能部である。なお、引継ぎ情報取得部314で取得した引継ぎ情報は、図示しない所定の機能部により引継ぎ情報DB318に格納される。
【0040】
通知情報DB315は、車載端末100で表示する通知情報を格納するデータベースである。
図5は、通知情報400の一例を示した図である。通知情報400は、車載端末100および情報端末200に表示される情報である。通知情報400は、通知情報ID401と、通知内容402と、カテゴリ403と、位置情報404と、引継ぎフラグ405とが対応付けられたレコードを有している。
【0041】
通知情報ID401は、通知情報400を一意に識別する識別情報である。通知内容402は、車載端末100や情報端末200で表示される具体的な通知内容を示す情報である。カテゴリ403は、通知情報400のカテゴリを特定する情報である。位置情報404は、通知情報400に関連した位置を示す情報である。引継ぎフラグ405は、後述するように、引継ぎ情報として特定された場合に付与される情報である。引継ぎ情報として特定されていない場合、引継ぎフラグ405には「0」が格納され、引継ぎ情報として特定されている場合には「1」が格納される。なお、後述するように、引継ぎフラグ405は、ユーザから引継ぎ指示を受け付けた場合に付与された引継ぎフラグである事を示す情報(以下、ユーザ引継ぎ指示フラグという)を付加しても良い。
【0042】
機器管理情報DB316は、車載端末100が搭載された各車両と、情報端末200を紐付けた情報を格納するデータベースである。
【0043】
既読管理情報DB317は、車載端末100で表示された既読の通知情報400を既読情報として格納するデータベースである。
【0044】
引継ぎ情報DB418は、車載端末100から取得した引継ぎ情報を格納するデータベースである。
【0045】
情報端末200は、引継ぎ情報受信部221と、引継ぎ情報表示部222と、引継ぎ情報格納DB223と、通知情報抽出部224とを有している。
【0046】
引継ぎ情報受信部221は、サーバ300から引継ぎ情報を受信する機能部である。
【0047】
引継ぎ情報表示部222は、引継ぎ情報をサーバ300から取得し、これを表示装置に表示する機能部である。例えば、引継ぎ情報表示部222は、ユーザからの指示に応じて、引継ぎ情報の取得要求をサーバ300に行い、サーバ300から取得した引継ぎ情報を引継ぎ情報格納DB223に格納する。また、引継ぎ情報表示部222は、引継ぎ情報格納DB223から引継ぎ情報を抽出し、これを表示装置205に表示する。なお、引継ぎ情報表示部222がサーバ300から引継ぎ情報を取得するタイミングは、ユーザの指示を受け付けた場合に限られず、情報端末200のアイドル時間を利用して予めサーバ300から取得して引継ぎ情報格納DB223に格納しておき、ユーザの表示要求に応じて表示するようにしても良い。
【0048】
引継ぎ情報格納DB223は、サーバ300から取得した引継ぎ情報を格納するデータベースである。通知情報抽出部224は、車載端末100で表示する通知情報を抽出し、車載端末100に送信する機能部である。例えば、通知情報抽出部224は、情報端末200がメールを受信したり、電話の着信を受けると、これらの情報を通知情報として車載端末100に送信する。また、情報端末200が前述の通知情報DB315に格納されている情報と同様の情報を有している場合、通知情報抽出部224は、かかる通知情報を抽出し、所定のタイミングで車載端末100に送信する。
【0049】
なお、車載端末100の通知情報表示部122、既読通知部123、入力受付部124、引継ぎ情報抽出部125並びに情報端末200の引継ぎ情報表示部222およびサーバ300の通知情報抽出部311、既読管理部313は各々、CPU101、CPU201およびCPU301に処理を行わせるプログラムによって実現される。このプログラムは各々、ROM103や補助記憶装置107、ROM203や補助記憶装置206およびROM303や補助記憶装置306内に記憶され、プログラムの実行にあたってRAM102、RAM202およびRAM302上にロードされ、CPU101、CPU201およびCPU301により実行される。
【0050】
車載端末100の通知情報受信部121および引継ぎ情報送信部126は、通信装置108によって実現される。また、車載端末100の通信情報DB127は、RAM102、ROM103および補助記憶装置107によって実現される。
【0051】
情報端末200の引継ぎ情報受信部221は、通信装置207によって実現される。また、情報端末200の引継ぎ情報格納DB223は、RAM202、ROM203および補助記憶装置206によって実現される。
【0052】
サーバ300の通知情報送信部312、引継ぎ情報取得部314は、通信装置307によって実現される。また、サーバ300の通知情報DB315、機器管理情報DB316、既読管理情報DB317および引継ぎ情報DB318は、RAM302、ROM303および補助記憶装置306によって実現される。
【0053】
また、車載端末100、情報端末200およびサーバ300の各機能ブロックは、本実施形態において実現される機能を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものであり、各機能の分類の仕方やその名称によって、本発明が制限されることはない。また、車載端末100、情報端末200およびサーバ300の各構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、一つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0054】
[動作の説明]
次に、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000における動作について説明する。
【0055】
サーバ300は、所定のタイミングで通知情報400を車載端末100に送信する。例えば、サーバ300の通知情報抽出部311は、車載端末100の所定の機能部から車載端末100が搭載された車両の位置情報を取得し、かかる車両位置付近の情報(例えば、POI:Point Of Interest、クーポンおよびニュースなど)などを通知情報400として通知情報DB315から抽出する。また、通知情報抽出部311は、抽出した通知情報400を通知情報送信部312を介して車載端末100に送信する。
【0056】
車載端末100の通知情報受信部121は、サーバ300から通知情報400を受信する。また、車載端末100は、図示しない所定の機能部により、受信した通知情報400を通知情報DB127に格納する。
【0057】
また、車載端末100の通知情報表示部122は、所定のタイミング(例えば、通知情報400がニュースである場合には、通知情報400を取得した直後、通知情報400がクーポンである場合には、車両位置が店舗から所定距離以内となった時など)で通知情報400を通知情報DB127から取得し、これを表示装置105に表示する。
【0058】
また、車載端末100でユーザに通知された通知情報400は、既読情報としてサーバ300で管理される。具体的には、車載端末100の既読通知部123は、通知情報表示部122によって表示された通知情報400を既読情報としてサーバ300に送信する。サーバ300の既読管理部313は、車載端末100から取得した既読情報を既読管理情報DB317に格納する。
【0059】
次に、引継ぎ情報生成処理について説明する。
図6は、車載端末100で目的地が設定されている場合の引継ぎ情報生成処理の一例を示したフロー図である。引継ぎ情報生成処理は、車載端末100の起動とともに開始される。
【0060】
引継ぎ情報生成処理が開始されると、車載端末100の引継ぎ情報抽出部125は、車両が目的地付近に到着したか否かを判定する(ステップS001)。具体的には、引継ぎ情報抽出部125は、車載端末100に設定されている目的地と、測位センサ106により特定された地図上の位置とを比較し、車両位置が目的地から所定距離以内(例えば、1km以内)となったか否かを判定する。車両が目的地付近ではないと判定すると(ステップS001でNo)、引継ぎ情報抽出部125は、ステップS001の処理を繰り返し実行する。一方で、車両が目的地付近であると判定した場合(ステップS001でYes)、引継ぎ情報抽出部125は、引継ぎ情報を抽出する(ステップS002)。
【0061】
図7は、引継ぎ情報抽出処理の一例を示したフロー図である。引継ぎ情報抽出処理は、
図6のステップS002における処理に相当する。かかる処理が開始されると、引継ぎ情報抽出部125は、所定条件を満たす通知情報400を通知情報DB127から特定する(ステップS011)。具体的には、引継ぎ情報抽出部125は、表示装置105に表示していない未通知(未読)の通知情報400、目的地が設定されている場合には、目的地付近の情報、ユーザによって指定されたカテゴリの情報、有効期間中のクーポン情報、通過したことのある経路付近の情報および通知したことがない経路付近の情報といった所定条件のうち、少なくともいずれか一つの条件を満たす通知情報400を通知情報DB127から特定する。
【0062】
また、引継ぎ情報抽出部125は、特定した通知情報400に引継ぎフラグを付与する(ステップS012)。また、引継ぎ情報抽出部125は、引継ぎフラグが付与された通知情報400を引継ぎ情報として通知情報DB127から抽出し、本フローの処理を終了する。
【0063】
図6に戻って説明する。引継ぎ情報抽出部125は、引継ぎ情報送信部126を介して、抽出した引継ぎ情報をサーバ300に送信し(ステップS003)、本フローの処理を終了する。
【0064】
なお、サーバ300の引継ぎ情報取得部314は、車載端末100から引継ぎ情報を取得すると、これを引継ぎ情報DB318に格納する。
【0065】
次に、ユーザから引継ぎ指示を受け付けた場合の引継ぎ情報抽出処理について説明する。
図8は、かかる場合の引継ぎ情報生成処理の一例を示したフロー図である。本フローは、
図3に示すように、通知情報表示部122が表示した通知情報400を引継ぎ情報として情報端末200に引き継ぐか否かをユーザに問い合わせるダイアログが表示されると開始される。なお、かかるダイアログを含む画面情報は、通知情報表示部122により生成される。
【0066】
引継ぎ情報抽出処理が開始されると、引継ぎ情報抽出部125は、入力受付部124を介して、ユーザから引継ぎ指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS021)。ユーザから通知情報を引き継がない旨の指示入力を受け付けた場合(ステップS021でNo)、引継ぎ情報抽出部125は、本フローの処理を終了する。
【0067】
一方で、ユーザから通知情報400を情報端末200に引き継ぐ旨の指示入力を受け付けた場合(ステップS021でYes)、引継ぎ情報抽出部125は、引継ぎ情報を抽出する(ステップS022)。具体的には、引継ぎ情報抽出部125は、引継ぎ指示を受け付けた通知情報400に、ユーザから引継ぎ指示を受け付けた事を示すフラグ(ユーザ引継ぎ指示フラグ)を付与し、所定のタイミング(例えば、車載端末100の処理不負荷が低いとき、ユーザが指定した時刻、目的地が設定されている場合には、目的地付近に到着したときなど)で引継ぎフラグが付与されている通知情報400を引継ぎ情報として通知情報DB127から抽出する。なお、ダイアログを表示して通知情報400の引継ぎ意思をユーザに確認する代わりに、音声認識によりユーザ意思を確認しても良い。例えば、車載端末100は、図示しない音声認識部を有し、かかる音声認識部は、車載端末100が有する図示しないスピーカを介して、通知情報400を引継ぎ情報として情報端末200に引き継ぐか否かをユーザに確認するための音声情報を出力する。また、音声認識部は、車載端末100が有する図示しないマイクロフォンを介して、ユーザ意思を示すユーザ発話を取得し、音声認識処理を実行する。また、音声認識部は、音声認識の結果、ユーザから引継ぎ指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS021)。また、このようなユーザの引継ぎ意思の確認方法以外にも、例えば、通知情報400が表示されている状態でユーザが表示内容を肯定する発話(例えば、「いいね」など)を行った場合、音声認識部がそれを検知し、ユーザから引継ぎ指示を受け付けた(ステップS021でYes)と判定しても良い。
【0068】
また、引継ぎ情報抽出部125は、抽出した引継ぎ情報を、引継ぎ情報送信部126を介して、サーバ300に送信し(ステップS023)、本フローの処理を終了する。なお、サーバ300の引継ぎ情報取得部314は、車載端末100から引継ぎ情報を取得すると、これを引継ぎ情報DB318に格納する。
【0069】
図9は、目的地が設定されていない場合の引継ぎ情報生成処理の一例を示したシーケンス図である。前述の通り、車載端末100の既読通知部123は、通知情報表示部122により通知情報400が表示されると(ステップS031)、かかる通知情報400を既読情報としてサーバ300に送信する(ステップS032)。
【0070】
サーバ300の既読管理部313は、既読情報を取得すると、これを既読管理情報DB317に格納する(ステップS033)。
【0071】
情報端末200から引継ぎ情報の取得要求を受信した場合や、所定時間(例えば、60分)が経過する毎に、サーバ300の通知情報抽出部311は、引継ぎ情報の抽出処理を開始する(ステップS034)。かかる処理が開始されると、通知情報抽出部311は、所定条件を満たす通知情報400を通知情報DB315から抽出する(ステップS035)。具体的には、通知情報抽出部311は、通知情報DB315に格納されている通知情報400のうち、既読管理情報DB317に格納されていない通知情報400や、ユーザによって指定されたカテゴリの情報、有効期間中のクーポン情報など所定条件を満たす通知情報を通知情報DB315から抽出し、引継ぎ情報とする。
【0072】
また、通知情報抽出部311は、引継ぎ情報DB318に格納されている引継ぎ情報を抽出する(ステップS036)。また、通知情報送信部312は、抽出された引継ぎ情報を情報端末200に送信する(ステップS037)。
【0073】
情報端末200の引継ぎ情報受信部221は、サーバ300から引継ぎ情報を受信すると、これを引継ぎ情報格納DB223に格納する。また、引継ぎ情報表示部222は、例えば、ユーザからの指示に応じて、引継ぎ情報格納DB223から引継ぎ情報を取得し、表示装置205に表示する。なお、引継ぎ情報表示部222は、引継ぎ情報受信部221を介して、引継ぎ情報を表示する直前における最新の既読情報を既読管理部313に問い合わせる。また、引継ぎ情報表示部222は、表示直前における最新の既読情報と引継ぎ情報格納DB223に格納されている引継ぎ情報とを比較し、重複している情報(ただし、ユーザ引継ぎ指示フラグが付与されていないものに限る)については表示対象から除外する。
【0074】
このような処理は、サーバ300で定期的(またはユーザによる情報端末200への表示要求)に引継ぎ情報が生成され、かかるタイミングで情報端末200に送信されることによるタイムラグを考慮したものである。すなわち、通知情報400が車載端末100に表示されて既読となるタイミングよりも前に、未読であることを理由に引継ぎ情報として生成された通知情報400が、その後車載端末100で既読となった場合には、情報端末200には、車載端末100で既に表示され、ユーザからの引継ぎ指示も受け付けていない通知情報400が再度表示されることになってしまう。上記処理によれば、車載端末100で既に表示された通知情報400を、情報端末200で再度表示することを防止できる。また、ユーザ引継ぎ指示フラグが付与されている引継ぎ情報は上記処理から除外されるため、ユーザ指示によって引き継がれた通知情報400は、情報端末200に表示される。
【0075】
このような情報引継ぎシステム1000は、
図6、
図8および
図9の各々に示す引継ぎ情報生成処理のいずれか一つを実行することも可能であるが、目的地が設定されている場合の引継ぎ情報生成処理(
図6)と、ユーザによる引継ぎ指示を受け付けた場合の引継ぎ情報生成処理(
図8)とを並行して実行することも可能である。また、目的地が設定されていない場合の引継ぎ情報生成処理と、ユーザによる引継ぎ指示を受け付けた場合の引継ぎ情報生成処理とを並行して実行することも可能である。
【0076】
以上、第1実施形態に係る情報引継ぎシステム1000で実行される処理について説明した。このような情報引継ぎシステム1000によれば、一旦情報が提供されたデバイスから、必要に応じて、より適切なデバイスに情報を引き継ぐことができる。これにより、情報の引継ぎ先デバイスにおいて快適にサービスやコンテンツの利用を継続することができる。特に、サーバ300から車載端末100に送信された通知情報400について、ユーザに通知できなかった通知情報400やユーザが指定した情報など所定条件を満たす通知情報400を情報端末200に引き継ぐことができる。そのため、ユーザは、情報端末200で通知情報400を確認することができる。
【0077】
また、情報引継ぎシステム1000では、車載端末100でユーザに通知するタイミングと、引継ぎ情報として情報端末200で表示されるタイミングとのずれ(タイムラグ)による引継ぎ情報の欠落や重複表示を防止することができる。
【0078】
<第2実施形態>
前述の第1実施形態に係る情報引継ぎシステム1000では、サーバ300を介して、車載端末100から情報端末200に引継ぎ情報を引き継いだが、第2実施形態に係る情報引継ぎシステム1000は、車載端末100から直接、情報端末200に引継ぎ情報を引き継ぐ形態である。
【0079】
図10は、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000の機能構成の一例を示した機能ブロック図である。本実施形態では、情報端末200が既読管理部231と、引継ぎ情報取得部232と、既読管理情報DB233とを有している点で第1実施形態と異なる。なお、これらの機能部は、前述の第1実施形態に係るサーバ300が有していたものと同様であるため、説明を省略する。また、車載端末100の機能構成は第1実施形態と同様である。
【0080】
以下、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000の動作について説明する。なお、第1実施形態で説明した同一の処理は説明を省略する。
【0081】
情報端末200の既読管理部231は、車載端末100から既読情報を取得すると、これを既読管理情報DB233に格納する。また、情報端末200の引継ぎ情報取得部232は、車載端末100から引継ぎ情報を取得すると、これを引継ぎ情報格納DB223に格納する。
【0082】
目的地が設定されている場合の引継ぎ情報生成処理(
図6)では、車載端末100の引継ぎ情報送信部126は、引継ぎ情報を情報端末200に送信する(ステップS003)。情報端末200の引継ぎ情報取得部232は、引継ぎ情報を取得すると、これを引継ぎ情報格納DB223に格納する。
【0083】
ユーザから引継ぎ情報の引継ぎ指示を受け付けた場合の引継ぎ情報生成処理(
図8)では、車載端末100の引継ぎ情報送信部126は、引継ぎ情報を情報端末200に送信する(ステップS023)。情報端末200の引継ぎ情報取得部232は、引継ぎ情報を取得すると、これを引継ぎ情報格納DB223に格納する。
【0084】
目的地が設定されていない場合の引継ぎ情報生成処理(
図9)では、車載端末100は、既読情報を情報端末200に送信する(ステップS032)。情報端末200の既読管理部231は、既読情報を取得すると、これを既読管理情報DB233に格納する(ステップS033)。
【0085】
情報端末200の引継ぎ情報表示部222は、例えば、ユーザから引継ぎ情報の表示要求を受け付けた場合、引継ぎ情報の抽出処理を開始する(ステップS034)。かかる処理が開始されると、引継ぎ情報表示部222は、車載端末100の通知情報DB127を参照し、所定条件を満たす通知情報400を通知情報DB127から特定する(ステップS035)。具体的には、引継ぎ情報表示部222は、車載端末100の通知情報DB127に格納されている通知情報400のうち、情報端末200の既読管理情報DB233に格納されていない通知情報400や、ユーザによって指定されたカテゴリの情報、有効期間中のクーポン情報など所定条件を満たす通知情報400を通知情報DB127から特定および抽出し、引継ぎ情報として引継ぎ情報格納DB223に格納する。
【0086】
また、引継ぎ情報表示部222は、引継ぎ情報格納DB223に格納されている引継ぎ情報を抽出する(S036)。また、引継ぎ情報表示部222は、抽出した引継ぎ情報を表示装置205に表示する。
【0087】
以上、第2実施形態に係る情報引継ぎシステム1000における処理について説明した。このような情報引継ぎシステム1000によれば、一旦情報が提供されたデバイスから、必要に応じて、より適切なデバイスに情報を引き継ぐことができる。これにより、情報の引継ぎ先デバイスにおいて快適にサービスやコンテンツの利用を継続することができる。特に、サーバ300から車載端末100に送信された通知情報400について、ユーザに通知できなかった通知情報400やユーザが指定した情報など所定条件を満たす通知情報400を情報端末200に引き継ぐことができる。そのため、ユーザは、情報端末200で通知情報400を確認することができる。
【0088】
さらに、情報引継ぎシステム100では、車載端末100は、サーバ300を経由せずに引継ぎ情報を情報端末200に送信できる。そのため、車載端末100や情報端末200がインターネットなどの通信網に接続されていない場合でも、引継ぎ情報を情報端末200に引き継ぐことができる。
【0089】
<第3実施形態>
図11は、第3実施形態に係る情報引継ぎシステム1000の機能構成の一例を示した機能ブロック図である。前述の第2実施形態に係る情報引継ぎシステム1000では、サーバ300が通知情報400を車載端末100に送信したが、第3実施形態に係る情報引継ぎシステム1000は、車載端末100に直接接続(例えば、有線接続)されている通知装置500が通知情報400を車載端末100に送信する点で第2実施形態と異なる。なお、通知装置500は、ECU(Engine Control Unit)やセントラルゲートウェイなどである。
【0090】
また、車載端末100が、機器管理情報DB131を有する点で第1実施形態と異なるが、それ以外の車載端末100および情報端末200の機能構成は前述の第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
このような情報引継ぎシステム1000によれば、一旦情報が提供されたデバイスから、必要に応じて、より適切なデバイスに情報を引き継ぐことができる。これにより、情報の引継ぎ先デバイスにおいて快適にサービスやコンテンツの利用を継続することができる。特に、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000では、サーバ300以外の装置からの通知情報400を車載端末100に送信するため、サーバ300が不要となる。
【0092】
<第4実施形態>
第1実施形態では、未読の通知情報400など所定条件を満たす情報を引継ぎ情報として情報端末200に送信したが、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000は、OTA(Over The Air)を利用して車両のECU、地図情報および車載端末100のプログラムなどの更新処理に関し、ユーザから更新処理の承諾を得るための情報を引継ぎ情報として車載端末100から情報端末200に引き継ぐ。これにより、情報端末200から車載端末100に係る更新プログラムなどの更新処理を行うことができる。
【0093】
図12は、車両の更新プログラムに関し、ユーザから更新処理の承諾を得るための情報が表示された車載端末100の画面例150と、かかる情報を車載端末100から引き継いだ情報端末200の画面例250を示した図である。図示するように、車載端末100には、更新プログラムの実行に際し、ユーザから更新処理の承諾を得るためのダイアログが表示される。図中、ユーザが「後で」を選択した場合、ユーザに承諾を得るための情報は、車載端末100から情報端末200に引き継がれる。情報端末200では、引き継がれた情報が画面例250に示すように表示される。
【0094】
図13は、本実施形態に係る車載端末100、情報端末200およびサーバ300の機能構成の一例を示した図である。車載端末100は、通知装置500から通知情報400を取得する点で第1実施形態と異なる。なお、通知装置500は、ECUやセントラルゲートウェイなどである。
【0095】
図14は、本実施形態に係る通知情報600の一例を示した図である。通知情報600は、通知情報ID601と、通知内容602と、カテゴリ603と、位置情報604と、引継ぎフラグ605と、優先度606とが対応付けられたレコードを有している。なお、優先度606以外は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0096】
優先度606は、車載端末100の通知情報表示部122に表示される通知情報600の優先度を示した情報である。本例では、最も優先度の高い情報を「1」で示している。すなわち、通知情報ID「1111」に係る通知情報600は、通知情報ID「1222」に係る通知情報600よりも優先され、先の順番で表示されることを示している。これは、車両の更新プログラムなどの重要性を反映しているためである。
【0097】
図15は、本実施形態に係る既読情報610の一例を示した図である。既読情報610は、id611と、hash612と、車両ID613と、承諾日時614と、承諾フラグ615とが対応付けられたレコードを有している。
【0098】
id611は、既読情報610を識別するための識別情報である。hash612は、正しい承諾か否かを判定するためのハッシュ値である。ハッシュ値は予めサーバ300で生成され、通知装置500が車載端末100に通知依頼を行う際に同時に通知し、車載端末100側で正当性を確認するのに用いられる。なお、ハッシュ値は、車載端末100で生成され、サーバ300で正当性を確認できるようにしても良い。車両ID613は、車両ECUを更新する車両を識別する情報であり、車両ID613から更新するECUの対象を検索可能なID体系にしても良いし、車両ID613によって更新するECUの対象判別が可能にしても良い。承諾日時614は、ユーザが更新に承諾した日時を示す情報である。承諾フラグ615は、ユーザが更新処理に承諾済みであるか否かを示す情報である。既読情報600に承諾フラグ615を含めたのは、車両のECU更新通知を車載端末100で表示してユーザの承諾を得た場合に、かかる承諾確認を可能とするためである。
【0099】
以下、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000の動作について説明する。なお、第1実施形態で説明した同一の処理は説明を省略する。車載端末100の通知情報受信部121が車両ECU、地図情報および車載端末100の制御プログラムなど優先度の高い通知情報600を通知装置500から受信すると、通知情報表示部122は、かかる情報を表示装置105に表示する。また、入力受付部124が通知情報600に係る更新処理を情報端末200に引き継ぐ指示をユーザから受け付けると(例えば、「後で」が選択されると)、引継ぎ情報抽出部125は、引継ぎフラグとしてユーザ引継ぎ指示フラグを付与する。また、引継ぎ情報抽出部125は、所定のタイミング(例えば、ユーザへの通知直後、所定時間経過後および車載端末の処理負荷が低いときなど)でユーザ引継ぎ指示フラグが付与されている通知情報600を引継ぎ情報として通知情報DB127から抽出し、情報送信部126を介して情報端末200に送信する。
【0100】
情報端末200の引継ぎ情報表示部222は、引継ぎ情報受信部221を介して引継ぎ情報を受信すると、引継ぎ情報格納DB223に格納する。また、引継ぎ情報表示部222は、所定のタイミング(例えば、引継ぎ情報を受信した時やユーザから引継ぎ情報の表示指示を受け付けた時など)で引継ぎ情報を表示する。なお、引継ぎ情報表示部222は、優先度の高い引継ぎ情報から優先的に表示する。
【0101】
以上、第4実施形態に係る情報引継ぎシステム1000の処理について説明した。このような情報引継ぎシステム1000によれば、一旦情報が提供されたデバイスから、必要に応じて、より適切なデバイスに情報を引き継ぐことができる。これにより、情報の引継ぎ先デバイスにおいて快適にサービスやコンテンツの利用を継続することができる。特に、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000では、サーバ300以外の装置からの通知情報400を情報端末200に引き継ぐことができる。また、OTAで車両のECUなどを書き換える際、情報端末200から更新承認を行うことができる。また、サーバ300にECU更新の承諾の証拠を保管することも可能となる。
【0102】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る情報引継ぎシステム1000は、車載端末100および情報端末200との間で車両の操作権限を引継ぎ情報として引き継ぐシステムである。
図16は、操作権限の所在と車両操作のイメージを示した図である。図示するように、車載端末100側に車両の操作権限がある場合、ユーザは、手動運転が可能である。また、駐車場に到着後、操作権限を車載端末100から情報端末200へと引き継ぐことにより、情報端末200から自動駐車などの自動制御操作が可能となる。情報端末200が操作権限を有している間、ユーザは、車両側での手動運転を行うことはできない。なお、情報端末200を用いた車両の自動制御操作に関する技術は特に限定されるものではなく、公知の自動制御操作に関する技術が用いられれば良い。
【0103】
また、図示するように、情報端末200側に操作権限がある場合、ユーザは、情報端末200から車両の自動出発機能を利用してユーザ位置まで車両を移動させる。操作権限が情報端末200から車載端末100に引き継がれた場合、ユーザは車両を手動運転または自動操縦することができる。なお、情報引継ぎシステム1000は、車載端末100から情報端末200に操作権限を移行するのと同時に、目的地付近の情報を車載端末100から情報端末200に引き継ぐことで、駐車場から目的地周辺のナビゲーションを情報端末200に実行させることもできる。
【0104】
図17に、車載端末100から情報端末200に操作権限を引き継ぐか否かのユーザ指示を受け付ける車載端末100の画面例160と、情報端末200から車載端末100に操作権限を引き継ぐか否かのユーザ指示を受け付ける情報端末200の画面例260を示した図である。
【0105】
図示するように、車載端末100には、操作権限を情報端末200に引き継ぐか否かのユーザ指示を受け付けるためのダイアログが表示される。図中、自動駐車を「する」が選択されると、車載端末100が有する車両の操作権限が情報端末200に引き継がれる。一方で、自動駐車を「しない」が選択されると、操作権限は情報端末200に引き継がれず、車載端末100が操作権限を有している状態が維持される。この場合、ユーザは、車両を手動運転または自動操縦によって駐車などを行うことができる。
【0106】
また、情報端末200の画面例260では、操作権限を車両に引き継ぐか否かのユーザ指示を受け付けるためのダイアログが表示される。図中、「Yes」が選択されると、情報端末200が有する車両の操作権限は、車両側に引き継がれる。一方で、「No」が選択されると、操作権限は車載端末100に引き継がれず、情報端末200が操作権限を有している状態が維持される。この場合、ユーザが情報端末200から車両を操作することができる。
【0107】
図18は、車載端末100を含む車両700と、情報端末200と、サーバ300の概略構成の一例を示した図である。車両700は、車両制御装置701と、車両制御認証装置702と、車載端末100の権限管理部703と、権限引継ぎ部704と、認証情報705が格納された記憶部706と、入力受付部707とを有している。
【0108】
車両制御装置701は、車両を自動制御する制御装置であって、車両内のECU等と通信を行うことで車両制御を行う。具体的には、車両制御装置701は、サーバ300の自動制御管理部を介して、情報端末200の自動制御要求部から自動制御要求を取得し、かかる指示に基づいて車両を制御する。
【0109】
車両制御認証装置702は、認証情報705を利用して、操作権限が正規のものであるか否かを判定する。具体的には、車両制御認証装置702は、車両が正規の操作権限を保持しているかを判定する。そして、車両が正規の操作権限を有していると判定した場合、ユーザの手動運転や自動操縦に係る操作を許可する。この場合、車両制御認証装置702は、情報端末200からの自動制御を禁止する。また、車両側に操作権限がないと判定した場合、車両制御認証装置702は、車両制御装置701に対し、車両の自動制御を許可する。
【0110】
また、車両制御認証装置702は、情報端末200が正規の操作権限を保持しているかを判定する。具体的には、車両制御認証装置702は、図示しないサーバ300の機能部を介して、情報端末200から認証情報705を取得し、かかる認証情報705を用いて、操作権限が正規のものであるか否かを判定する。情報端末200が正規の操作権限を有していると判定した場合、車両制御認証装置702は、車両制御装置701に対し、情報端末200からの自動制御を許可する。この場合、車両制御認証装置702は、ユーザによる手動運転や車載端末100からの自動操縦指示を禁止する。なお、車両制御認証装置702は、TCUや情報端末200を介して、インターネット網などの通信網に接続されている。
【0111】
車載端末100の権限管理部703は、車両制御認証装置702から認証情報705の取得要求があると、記憶部706から認証情報705を取得し、これを車両制御認証装置702に送信する。また、権限管理部703は、記憶部706に認証情報105が格納されていない場合、車両制御認証装置702に対して取得要求エラー信号を出力する。
【0112】
車載端末100の権限引継ぎ部704は、車載端末100から情報端末200に車両の操作権限を引き継ぐ際に、認証情報705を情報端末200に送信する。具体的には、権限引継ぎ部704は、図示しない所定の機能部(例えば、画面情報を表示する表示部)を介して、所定のタイミング(例えば、目的地に到着した時やユーザから操作権限の引継ぎ要求指示を受け付けた時など)で操作権限を情報端末200に引き継ぐか否かの画面情報を表示する。また、権限引継ぎ部704は、入力受付部707を介して、操作権限を引き継ぐ旨の指示をユーザから受け付けると、認証情報705を情報端末200に送信する。
【0113】
記憶部706は、認証情報705を格納している。
【0114】
入力受付部707は、タッチパネルなどの入力装置104を介して、ユーザから様々な指示入力を受け付ける。
【0115】
情報端末200は、自動制御要求部711と、引き継ぎ権限管理部712と、情報格納部713と、入力部714とを有している。
【0116】
自動制御要求部711は、情報端末200が操作権限を有している場合に、サーバ300の自動制御管理部721を介して車両制御装置701に自動制御要求を送信する。自動制御要求部711は、ユーザから自動制御操作に関する指示を受け付けると、その都度、車両制御認証装置702に操作権限の有無を確認する。なお、自動制御要求は、自動駐車、自動運転など車両全体の走行を制御する要求でも良く、アクセル、ブレーキ、ステアリングなどの各種車両を操作するための装置の操作要求でも良い。また、走行経路や走行速度を指定した走行制御の要求であっても良い。
【0117】
引継ぎ権限管理部712は、操作権限を示す認証情報705を車載端末100から取得し、情報格納部713に格納する。また、引継ぎ権限管理部712は、自動制御要求部711からの要求に応じて、情報端末200が正規の操作権限を有しているか否かを判定する。具体的には、引継ぎ権限管理部712は、サーバ300を介して車両の車両制御認証装置702に認証情報705を送信し、車両制御認証装置702による判定結果を用いて、情報端末200が正規の操作権限を有しているか否かを判定する。引継ぎ権限管理部712は、情報端末200が正規の操作権限を保持している場合、自動制御要求部711による自動制御指示の送信を許可する。
【0118】
情報格納部713は、車載端末100から取得した認証情報705を格納する。
【0119】
サーバ300は、自動制御管理部721と、機器管理情報DB722とを有している。
【0120】
自動制御管理部721は、情報端末200の自動制御要求部711からの自動制御要求指示を受け付け、機器管理情報DB722に格納されている機器管理情報から対象車両を特定する。また、自動制御管理部721は、特定した車両の車両制御装置701に対して自動制御要求指示を送信する。
【0121】
機器管理情報DB722は、車両と情報端末200との対応関係を含む情報を格納する。
【0122】
以下、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000の動作について説明する。
【0123】
図19は、車載端末100から情報端末200へ操作権限を引き継ぐ流れを示したシーケンス図である。図示するように、車両が目的地に到着すると(ステップS041)、権限引継ぎ部704は、図示しない表示部など所定の機能部を介して、情報端末200に操作権限を引き継ぐか否かをユーザに確認するダイアログを表示する。また、権限引継ぎ部704は、入力受付部707を介して、ユーザの操作権限引継ぎ指示を取得すると、認証情報705を情報端末200の引継ぎ権限管理部712に送信する(ステップS042)。
【0124】
情報端末200の引継ぎ権限権管理部712は、認証情報705を取得すると、これを情報格納部713に格納する(ステップS043)。また、引継ぎ権限管理部712は、認証情報705を格納した後に、格納完了通知を車載端末100の権限引継ぎ部704に送信する(ステップS044)。
【0125】
車載端末100の権限管理部703は、情報端末200から格納完了通知を取得すると、記憶部706から認証情報705を削除する(ステップS045)。
【0126】
また、情報端末200の自動制御要求部711は、入力部714を介してユーザからの出発指示を受け付けると、引継ぎ権限管理部712に操作権限の確認を行う。引継ぎ管理部712は、車両の車両制御認証装置702に認証情報705を送信し、かかる装置702による判定結果を用いて正規の認証情報705の有無を判定する。情報端末200が正規の認証情報705を保持していると判定した場合、自動制御要求部711による自動制御指示の送信を許可する。
【0127】
自動制御要求部711は、自動制御指示の送信を許可されると、サーバ300の自動制御管理部721を介して、車載端末100の車両制御装置701に自動制御指示を送信する。車載端末100の車両制御装置701は、かかる自動制御指示に基づいて、ユーザのいる位置付近まで自動操縦で車両を移動させる。
【0128】
車両がユーザ付近に到着すると(ステップS046)、引継ぎ権限管理部712は、図示しない表示部など所定の機能部を介して、情報端末200に操作権限を車載端末100に引き継ぐか否かをユーザに確認するダイアログを表示する。また、引継ぎ権限管理部712は、入力部714を介してユーザの操作権限引継ぎ指示を取得すると、認証情報705を車載端末100の権限引継ぎ部704に送信する(ステップS047)。
【0129】
車載端末100の権限引継ぎ部704は、認証情報705を取得すると、これを記憶部706に格納する(ステップS048)。また、権限引継ぎ部704は、認証情報705を格納した後に、格納完了通知を情報端末200の引継ぎ権限管理部712に送信する(ステップS049)。
【0130】
情報端末200の引継ぎ権限管理部712は、車載端末100から格納完了通知を取得すると、情報格納部713から認証情報705を削除する(ステップS050)。
【0131】
以上、
図19のシーケンス図について説明した。
【0132】
図20は、車両における操作権限の認証処理の一例を示したシーケンス図である。図示するように、ユーザが車両を始動させると(ステップS061)、車両制御認証装置702は、車両が操作権限を保持しているか否かを判定する。具体的には、車両制御認証装置702は、権限管理部703に対して、認証情報705の取得要求を行う(ステップS062)。
【0133】
認証情報705が記憶部706に格納されていない場合、権限管理部703は、操作権限の取得要求エラー信号を車両制御認証装置702に送信する(ステップS063)。この場合、権限引継ぎ部704は、図示しない所定の機能部(例えば、表示部)を介して、情報端末200から操作権限を引き継ぐか否かのユーザ指示を受け付けるための画面情報を表示する。なお、ユーザが操作権限を車載端末100に引き継がない場合、車両制御装置701は、情報端末200の自動制御要求部711からの自動制御指示に基づいて車両を制御しても良い。
【0134】
また、認証情報705が記憶部706に格納されている場合、権限管理部703は、車両制御認証装置702に認証情報705を送信する(ステップS064)。車両制御認証装置702は、認証情報705を用いて認証処理を行い(ステップS065)、車両が正規の操作権限を保持していると判定した場合、ユーザによる手動運転を許可する(ステップS066)。
【0135】
以上、
図20のシーケンス図について説明した。
【0136】
図21は、情報端末200から車両を自動制御する場合のシーケンス図である。図示するように、情報端末200の入力部714が車両の自動制御要求をユーザから受け付けると(ステップS071)、情報端末200の自動制御要求部711は、引継ぎ権限管理部712に操作権限の確認を行う。引継ぎ権限管理部712は、サーバ300を介して、車両制御認証装置702に認証情報705を送信する(ステップS072、ステップS073)。車両制御認証装置702は、取得した認証情報705を用いて、情報端末200が正規の操作権限を保持しているか否かを判定する認証処理を行う(ステップS074)。また、車両制御認証装置702は、サーバ300を介して、判定結果を情報端末200の引継ぎ権限管理部712に送信する(ステップS075、ステップS076)。
【0137】
情報端末200の引継ぎ権限管理部712は、車両制御認証装置702による判定結果を用いて正規の認証情報の有無を判定する。引継ぎ権限管理部712は、情報端末200が正規の認証情報705を保持していると判定した場合、サーバ300を介して、自動制御要求部711による自動制御要求を車両制御装置701に送信する(ステップS077、ステップS078)。車両制御装置701は、自動制御要求に基づき、車両の自動制御を開始する(ステップS079)。
【0138】
なお、車載端末100と情報端末200との間で直接、無線通信が可能な場合や、車載端末100および情報端末200が有線により接続されている場合、サーバ300を経由せず、車載端末100を経由させて認証情報705などの送受信を行っても良い。また、情報端末200と車両制御認証装置702とが直接、通信を行うようにしても良い。
【0139】
以上、
図21のシーケンス図について説明した。
【0140】
図22は、車載端末100が操作権限を保持した状態で、自動操縦を行う場合の一例を示したシーケンス図である。なお、自動操縦とは、アクセル、ブレーキ、ステアリングなどの制御をドライバーではなく車両制御装置701が実行することを言う。なお、自動操縦は、情報端末200による車両の自動制御と同義であるが、車両側から指示する場合と、情報端末200による指示との違いを示すため、ここでは自動操縦と自動制御とを区別している。
【0141】
図示するように、車載端末100の入力受付部707が自動操縦要求の指示入力をユーザから受け付けると(ステップS081)、権限管理部703は、記憶部706から取得した認証情報705を車両制御認証装置702に送信する(ステップS082)。また、車両制御認証装置702は、認証結果を権限管理部703に送信する(ステップS083)。また、認証結果が認証成功の場合、権限管理部は、入力受付部に対して自動操縦に関するユーザの指示入力の受け付けを許可する。
【0142】
入力受付部707は、自動操縦に関する指示入力(自動操縦要求)をユーザから受け付けると、これを車両制御装置701に送信する(ステップS084)。車両制御装置701は、取得した自動操縦要求に基づいて自動操縦を開始する(ステップS085)。
【0143】
以上、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000の処理について説明した。
【0144】
このような情報引継ぎシステム1000によれば、一旦情報が提供されたデバイスから、必要に応じて、より適切なデバイスに情報を引き継ぐことができる。これにより、情報の引継ぎ先デバイスにおいて快適にサービスやコンテンツの利用を継続することができる。特に、本実施形態に係る情報引継ぎシステム1000では、車両の操作権限が情報端末200にある場合、車両から車両操作を行うことができなくなるため、車両の盗難を防止することができる。さらに、操作権限は、車両端末100または情報端末200の一方にしかない。そのため、自動運転(自動制御、自動操縦)と手動運転の操作が同時に行える状態は生じ得ず、誤操作も防止できる。また、車載端末100および情報端末200の間で操作権限を引き継ぐことができるため、かかる操作権限を車両の鍵の代用として運用することもできる。
【0145】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0146】
また、上記説明では、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。