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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-108642(P2017-108642A)
(43)【公開日】2017年6月22日
(54)【発明の名称】串刺し装置の串供給装置
(51)【国際特許分類】
   A23P 10/00 20160101AFI20170526BHJP
   A23L 5/00 20160101ALN20170526BHJP
【FI】
   A23P1/00
   A23L1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-243480(P2015-243480)
(22)【出願日】2015年12月14日
(71)【出願人】
【識別番号】515347289
【氏名又は名称】コジマ技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134212
【弁理士】
【氏名又は名称】提中 清彦
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 實
【テーマコード(参考)】
4B035
4B048
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE20
4B035LP59
4B035LT20
4B048PE17
4B048PR05
(57)【要約】
【課題】 簡単かつ低コストな構成でありながら、複数並設される串刺し機構に少ない設置スペースで串を供給することができる串刺し装置の串供給装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、複数の串を収容する串収容部10、20と、串収容部10、20の排出口11、21から供給される串を複数の串受け部(40A〜40D)に収容し、これらの串の後端を串刺し対象に向けて押し出して串刺し対象を串刺す串刺し機構部40と、串刺し対象を載置する複数のトレイ60を搬送する搬送手段50と、を備えた串刺し装置1の串供給装置であって、串収容部10、20をトレイ搬送方向に移動可能に構成し、串収容部10、20の排出口11、21から串を少なくとも一の串受け部に供給した後、串収容部10、20をトレイの搬送方向に移動させて、前記排出口11、21から串を他の少なくとも一の串受け部に供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の串を収容する少なくとも1つの串収容部と、
串収容部の排出口から供給される串を複数の串受け部に収容し、複数の串受け部に収容された串の後端を、串刺し対象に向けて押し出して串刺し対象を串刺す串刺し機構部と、
串刺し対象を載置する複数のトレイを搬送する搬送手段と、
を備えた串刺し装置の串供給装置であって、
前記串収容部をトレイの搬送方向に移動可能に構成し、
前記串収容部の排出口から串を少なくとも一の串受け部に供給した後、
前記串収容部をトレイの搬送方向に移動させて、当該串収容部の排出口から串を他の少なくとも一の串受け部に供給することを特徴とする串刺し装置の串供給装置。
【請求項2】
串収容部として、第1の串収容部と、トレイの搬送方向に沿って前記第1の串収容部の隣に配設される第2の串収容部と、を備え、
前記第1の串収容部と前記第2の収容部を略一体的にトレイの搬送方向に移動可能に構成し、
前記第1の串収容部の排出口及び前記第2の串収容部の排出口から串をそれぞれ対応する串受け部に供給した後、
前記第1の串収容部と前記第2の収容部をトレイの搬送方向に移動させて、当該第1の串収容部の排出口及び第2の串収容部の排出口から串をそれぞれ対応する他の串受け部に供給することを特徴とする請求項1に記載の串刺し装置の串供給装置。
【請求項3】
第1の串収容部と第2の収容部が着脱容易な構造であり、第1の串収容部の排出口と、第2の串収容部の排出口と、の間隔が狭くなる向きに、第1の串収容部と、第2の串収容部と、が対面して配置されることを特徴とする請求項2に記載の串刺し装置の串供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品その他の物品(串刺し対象物)に串を刺す串刺し装置に串を供給する串供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食材等に串を刺した状態で提供される食品(例えば、焼き鳥、団子等の串刺し食品)は多種多様に存在するが、かかる串刺し作業は熟練を要する作業であると共に、冷凍食品や固い食品に串を刺さなければならない場合などには、作業者に負担を掛けることとなっている。
【0003】
また、作業者が手作業により、多数の串刺し作業を行う必要があるため、長時間に亘って繰り返して同一作業を慎重に行う必要があり、作業者には、非常に厳しい作業を強いることとなっていた。
【0004】
このようなことから、例えば、特許文献1には、特許文献1の図1に示されるように、串を収容するホッパー1から順次1本ずつ串を供給し、串押出機15(エアシリンダなど)の出力シャフト15aの往復運動を利用して、串の後端を押し出すことで、串先端側にセットされた団子類食品に対する串刺し作業を自動的に行えるようにした串刺し装置が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−136266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、最近では、より一層生産能率を高めることが要求され、一度の串刺し動作で多数の串刺し処理を行えるようにすることが求められているのが実情である。
【0007】
例えば、作業者は、搬送方向に沿って多数並べられたベルトコンベア上のトレイの上に食材を並べ、このトレイ上の食材に対して、串刺し装置は、食材を上方から押さえながらベルトコンベア搬送方向(食材搬送方向、トレイ搬送方向)と略直交する水平方向から串を刺すことで、一本の串に対して一本の串刺し製品を生産するが、かかる串刺し装置をベルトコンベア搬送方向に沿って複数並設することで、一度の串刺し動作で多数の串刺し処理を行うことができる。
【0008】
しかしながら、串刺し装置をベルトコンベア搬送方向に沿って複数並設する場合、ベルトコンベア搬送方向に対する串刺し装置の設置スペースが比較的長く必要となるため、同じ長さのベルトコンベアにあっては、その分だけ、トレイへの食材の詰め込みのための作業スペースが少なくなることから、串刺し装置をベルトコンベア搬送方向に沿ってできるだけ短いスペースで設置することが求められているのが実情である。
【0009】
また、串を串刺し装置に供給するための串供給機構部分及び串を収容するホッパーも複数備える必要があることから、これらをそれぞれ設置するためにはベルトコンベア搬送方向におけるスペースが多く必要となるため、複数同時に串を刺す際のベルトコンベア搬送方向における串の相互間隔が長くなってしまい、ベルトコンベア上に搬送方向に複数並設されている各トレイの相互間隔を長く取らざるを得ず、以って生産能率を十分に高めることができないといった実情があった。
【0010】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、簡単かつ低コストな構成でありながら、複数並設される串刺し機構に少ない設置スペースで串を供給することができる串刺し装置の串供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る串刺し装置の串供給装置は、
複数の串を収容する少なくとも1つの串収容部と、
串収容部の排出口から供給される串を複数の串受け部に収容し、複数の串受け部に収容された串の後端を、串刺し対象に向けて押し出して串刺し対象を串刺す串刺し機構部と、
串刺し対象を載置する複数のトレイを搬送する搬送手段と、
を備えた串刺し装置の串供給装置であって、
前記串収容部をトレイの搬送方向に移動可能に構成し、
前記串収容部の排出口から串を少なくとも一の串受け部に供給した後、
前記串収容部をトレイの搬送方向に移動させて、当該串収容部の排出口から串を他の少なくとも一の串受け部に供給することを特徴とする。
【0012】
本発明において、
串収容部として、第1の串収容部と、トレイの搬送方向に沿って前記第1の串収容部の隣に配設される第2の串収容部と、を備え、
前記第1の串収容部と前記第2の収容部を略一体的にトレイの搬送方向に移動可能に構成し、
前記第1の串収容部の排出口及び前記第2の串収容部の排出口から串をそれぞれ対応する串受け部に供給した後、
前記第1の串収容部と前記第2の収容部をトレイの搬送方向に移動させて、当該第1の串収容部の排出口及び第2の串収容部の排出口から串をそれぞれ対応する他の串受け部に供給することを特徴とすることができる。
【0013】
本発明において、
第1の串収容部と第2の収容部が着脱容易な構造であり、第1の串収容部の排出口と、第2の串収容部の排出口と、の間隔が狭くなる方向に、第1の串収容部と、第2の串収容部と、が対面して配置されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡単かつ低コストな構成でありながら、複数並設される串刺し機構に少ない設置スペースで串を供給することができる串刺し装置の串供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る串刺し装置の全体を示す正面図であり、(B)は(A)の平面図であり、(C)は(A)の右側面図である。
図2】同上実施の形態の串刺し装置の串供給装置及び串刺し機構部の内部構造を抜き出して示した図(図1(B)、(C)におけるA矢視図)である(スライド機構は省略)。
図3】同上実施の形態の串刺し装置の串供給装置の平面図である(串収容部は省略)。
図4図2の串刺し装置の串供給装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一例を示す実施の形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0017】
本実施の形態に係る串刺し装置1は、図1(A)〜(C)に示すように、
複数の串を収容する串収容部10、20と、
串収容部10、20の排出口11、21から供給される串を複数の串受け部(例えば40A〜40D)に収容し、複数の串受け部(例えば40A〜40D)に収容された串の後端を、串刺し対象(例えば、焼き鳥、団子等の串刺し食材など)に向けて押し出して串刺し対象を串刺す串刺し機構部40と、
串刺し対象を載置する複数のトレイ60を搬送するベルトコンベア50(搬送手段の一例)と、
を備えて構成されている。
【0018】
なお、串収容部10を本発明に係る第1の串収容部とし、串収容部20を本発明に係る第2の串収容部とすることができる。
【0019】
串収容部10、20は、図2等に示すように、例えば同一の構成とすることができ、共通の可動プレート14の上に、中心線Xを挟んで対面して配設され(線対称に配設され)、これらに収容されている複数の串2を、所定タイミングにて一本ずつ排出口11,21から搬出することができるように構成されている。なお、串収容部10、20は、可動プレート14に対して容易に着脱可能に蝶ネジなどを介して締結固定するといった構成とすることができる。
【0020】
所定タイミングにて一本ずつ排出口11,21から串2を搬出するための具体的な構成の一例として、下方支持要素(爪)12、22が備えられ、下方支持要素(爪)12、22を排出口11,21と交差して通路を開閉する方向(例えば略水平方向)にスライドさせることで、排出口11,21の下端付近を開放する(串解放状態)。これにより、下方支持要素12、22上方に支持されていた最下位の串2A1、2A2が一本ずつ、排出口11,21から下方に搬出されるようになっている。
【0021】
また、本実施の形態では、下方支持要素12、22が串を上方に支持している串支持状態において、下方支持要素12、22の上にある最下位の串2A1、2A2の直上には、排出口11,21と交差して通路を開閉する方向(例えば略水平方向)にスライド可能に構成される上方支持要素(爪)13、23が配設されていて、串支持状態にて、最下位の串2A1、2A2より1つ上方の串2B1、2B2を支持するようになっている。
【0022】
このような構成により、下方支持要素12、22を解放して最下位の串2A1、2A2を下方に搬出したときでも、直上の串2B1、2B2は上方支持要素13,23にて支持されているため、最下位の串2A1、2A2とその上の串2B1、2B2が二本同時に落下してしまうことがないようになっている。
【0023】
そして、下方支持要素12、22を解放して最下位の串2A1、2A2を下方に搬出した後、下方支持要素12、22を串支持状態の位置に戻し、その状態で、上方支持要素13,23を解放して直上の串2B1、2B2を落下させて、最下位の串2A1、2A2として下方支持要素12、22に支持させるようになっている。
【0024】
このように、下方支持要素12,22が常に最下位の串2A1、2A2の一本のみ支持し、その上の串2B1、2B2を上方支持要素13、23にて支持させておく構成とすることで、確実に、一本ずつ串を排出口11,21に搬出させることができる。
【0025】
下方支持要素(爪)12、22や上方支持要素(爪)13、23の駆動機構としては、例えば電動モータの回転をカム機構、クランク機構等の回転運動−直線運動変換機構により往復移動させる機構、或いはロッカーアーム等により揺動させる機構、更にはエアシリンダ等のアクチュエータにより往復運動させる機構などを採用することができる。
【0026】
ところで、本実施の形態では、図2に示すように、排出口11,21のそれぞれから下方に落下される串2A1、2A2は、可動プレート14に開口されている長穴状の開口14A、14B(図3参照)を通過して可動プレート14を通り抜け、可動プレート14の下方に略平行に配設されている固定プレート15に到達する。
【0027】
このとき、本実施の形態では、まず第1のステップとして、可動プレート14は、その開口14A、14Bが、固定プレート15に開口されている第1〜第4串供給孔15A,15B,15C,15Dのうちの第1串供給孔15A、第3串供給孔15Cと串落下方向から見て一致する位置(重畳する位置)に移動されている。
【0028】
なお、図2では、ベルトコンベア50の搬送方向下流側から上流側に向かって第1串供給孔15A、第2串供給孔15B,第3串供給孔15C,第4串供給孔15Dの順番で並んでいる。
【0029】
従って、排出口11、21から下方に落下される串2A1、2A2は、可動プレート14の開口14A、14Bを通過し、これら開口14A、14Bと重畳している固定プレート15の第1串供給孔15A、第3串供給孔15Cから、下方に自由落下することになる。
【0030】
下方に落下した串2A1、2A2は、串刺し機構部40の第1〜第4串受け部40A〜40Dのうちの対応する第1受け部40A,第3串受け部40Cに収容されて、串打ちを待つ状態となる。
【0031】
すなわち、本実施の形態では、串供給の第1のステップとして、2つの串収容部10、20に収容されていた串2A1、2A2が、ほぼ同時に、可動プレート14の開口14A、14Bと重畳(一致)している固定プレート15の第1串供給孔15A、第3串供給孔15Cを介して、串刺し機構部40の第1受け部40A,第3串受け部40Cに供給される。
【0032】
この状態となった後、本実施の形態では、串供給の第2のステップとして、可動プレート14を、図2においてベルトコンベア搬送方向上流側に移動(スライド)させ、可動プレート14の開口14A、14Bを、固定プレート15の第2串供給孔15B、第4串供給孔15Dと重畳(一致)させる。
【0033】
そして、この状態で、下方支持要素12,22を解放して現在最下位の串2A1、2A2を落下させて排出口11,21から搬出させる。
【0034】
従って、串2A1、2A2は、可動プレート14の開口14A、14Bを通過し、これら開口14A、14Bと重畳している固定プレート15の第2串供給孔15B、第4串供給孔15Dから、下方に自由落下することになる。
【0035】
下方に落下した串2A1、2A2は、串刺し機構部40の第1〜第4串受け部40A〜40Dのうちの対応する第2受け部40B,第4串受け部40Dに収容されて、串打ちを待つ状態となる。
【0036】
すなわち、本実施の形態では、串供給の第1のステップの後の第2のステップとして、2つの串収容部10、20に収容されている現在最下位の串2A1、2A2を、ほぼ同時に、串刺し機構部40の第2受け部40B,第4串受け部40Dに供給する。
【0037】
そして、串刺し機構部40の第1受け部40A,第2受け部40B,第3受け部40C,第4串受け部40Dのすべてに串が供給されたら、串刺し機構部40の串刺し機構を作動させて、各串の後端を押し出すことにより、トレイ60上に並べられた食材(串刺し対象)を串刺し、4つの串刺し製品を同時に生産することができるようになっている。
【0038】
なお、ベルトコンベア50上に載置されている複数のトレイ60は、串刺し機構部40の第1受け部40A,第2受け部40B,第3受け部40C,第4串受け部40Dの配設間隔(ピッチ)と同じ間隔で取り付けられている。
【0039】
このように、本実施の形態では、2本の串を同時に下方に供給することができる串収容部10、20から、串刺し機構部40の第1受け部40A,第2受け部40B,第3受け部40C,第4串受け部40Dのうちの、最下流端の第1受け部40Aと、これに対して一つ間に挟んだ上流位置の第3受け部40Cと、に先に串を供給し、その後、串収容部10、20を上流側に移動させて、最下流端の第1受け部40Aに隣接する第2受け部40Bと、これに対して一つ間に挟んだ上流位置の第4受け部40Dと、に先に串を供給するようにしたので、串刺し機構部40の第1受け部40A,第2受け部40B,第3受け部40C,第4串受け部40Dの間隔(すなわち、ベルトコンベア50上のトレイ60の間隔)を小さく(狭く)して生産能率を上げても、串収容部10、20からの排出口11、21(可動プレート14の開口14A、14B)の串刺し方向と略直交する方向(ベルトコンベアの搬送方向)における間隔を広く維持することができる。
【0040】
このため、ベルトコンベア搬送方向に複数並べた串を打つ際の串の間隔(串刺し機構部40の第1受け部40A,第2受け部40B,第3受け部40C,第4串受け部40Dの間隔)に合わせて、串を串刺し機構部に供給するための串供給機構や串収容部10、20のベルトコンベア搬送方向スペースを小さくしなくても良いので、ベルトコンベア搬送方向における串供給機構や串収容部10、20のサイズを小さくするといった面倒な技術を採用しなくても、ベルトコンベア50上の搬送方向に複数並設されている各トレイ60の相互間隔を短くして、生産能率を高めることができる。
【0041】
すなわち、本実施の形態によれば、一度に複数の串刺し製品を生産しようとする場合、串刺し機構部40(例えば、第1〜第4串受け部40A〜40D)をベルトコンベア搬送方向に沿って複数並設するが、これらに串を供給する串供給装置を、従来は第1〜第4串受け部40A〜40D毎に設置していたため、各串供給装置の設置スペースを確保する必要があることから串供給装置設置スペース(ベルトコンベア搬送方向長さ)が長くなるため、それに伴って、搬送方向に対する串刺し機構部40(第1〜第4串受け部40A〜40D)の設置間隔を比較的長く取る必要があり、ベルトコンベア上の搬送方向に複数並設されている各トレイ60の相互間隔を長く取らざるを得ず、以って生産能率を十分に高めることができないといった実情があったが、本実施の形態の串供給方法によれば、第1〜第4串受け部40A〜40Dの相互間隔を短くしながら、串供給機構の設置スペースの問題や串収容部10、20の容量の問題を解決することができる。
【0042】
言い換えると、本実施の形態によれば、一本の串刺し処理を行うための串収容部10、20を対面配置し、これら串収容部10、20から排出口11、21(開口14A,14B)を介して串を一本ずつ2つの串受け部に供給するが、食材の搬送方向(ベルトコンベアの搬送方向)に比較的短い(狭い)間隔(P2)(図2参照)で並べられた複数の串受け部(例えば、第1串受け部40A〜40D)のうち、開口14A,14Bの間隔(P1=P2+P2)(図2参照)に対応する間隔で配置されている2つの串受け部(第1串受け部40A、第3串受け部40C)に先に串を供給し、その後、串収容部10、20から開口14A,14Bを一体的に移動させることで、開口14A,14Bの間隔(P1)に対応する間隔で配置されている別の2つの串受け部(第2串受け部40B、第4串受け部40D)に串を供給するようにしたので、串収容部10、20の容量や排出口11、21(開口14A,14B)の間隔(P1)を比較的大きく維持しながら、狭い間隔(P2)で配設された複数の複数の串受け部(第1串受け部40A〜40D)に串を供給することができるため、構成の簡略化や低コスト化を図りつつ、省スペース化延いては生産能率の向上に貢献することができる。
【0043】
以上のように、従来においては、串刺し装置をベルトコンベアの搬送方向に沿って複数並設する場合、ベルトコンベアの搬送方向に対する串刺し装置(特に、串供給装置)の設置スペースが比較的長く必要となるため、その分トレイへの食材の詰め込みのための作業スペースが少なくなることから、串刺し装置をベルトコンベアの搬送方向に沿ってできるだけ短いスペースで設置することが要求されるが、本実施の形態によればかかる要求を実現することができる。
【0044】
また、従来においては、串を串刺し装置に供給するための串供給機構部分及び串を収容するホッパーも複数備える必要があることから、これらの設置のために搬送方向におけるスペースを多く取ることになるため、複数同時に串を刺す際の串のベルトコンベア搬送方向相互間隔が長くなってしまうため、ベルトコンベア上に搬送方向に複数並設されている各トレイの相互間隔を長く取らざるを得ず、以って生産能率を十分に高めることができないといった問題があるが、本実施の形態によれば、かかる問題を解決することができる。
【0045】
すなわち、本実施の形態によれば、簡単かつ低コストな構成で、複数並設される串刺し機構に少ない設置スペースで串を供給することができる串供給装置を提供することができる。
【0046】
なお、本実施の形態に係る可動プレート14のスライドは、スライド機構30を介して行うが、かかるスライド機構30は、エアシリンダ等のアクチュエータを利用することもできるが、サーボモータやステッピングモータの回転を例えばボールネジ機構等を介して直線運動に変換する直動アクチュエータを用いて行わせる構成とすることが好ましい。
【0047】
すなわち、サーボモータやステッピングモータの回転を例えばボールネジ機構等を介して直線運動に変換する直動アクチュエータの場合、移動量を正確かつ高速に制御できると共に、例えばスライド中の停止前に移動速度を遅くして慣性力を減らし振動その他の悪影響の発生を抑制することなどが可能である。更に、このような停止前に移動速度を遅めて慣性力を低減する一方で、スライド行程中間領域では移動速度を速めて全体的な移動速度(平均移動速度)を維持或いは高めることなどが可能であり、きめ細かな制御が行えるといった利点がある。
【0048】
なお、可動プレート14と、固定プレート15と、の間には、可動プレート14の固定プレート15に対するスライド動作を円滑なものとするために、図2図4に示すようなリニアガイド機構を介在させることができる。
【0049】
ところで、本実施の形態では、トレイ60上に所定に食材(串刺し対象)が収容されているか否かを光センサ等で検出し、トレイ60上に所定に食材(串刺し対象)が収容されているときには、通常通り串刺し(串打ち)処理を行うが、トレイ60上に所定に食材(串刺し対象)が収容されていないときには、そのトレイに対しては串刺し処理を行わないように、対応する下方支持要素12(22)を解放せず串を支持した状態を維持する。
【0050】
これにより、串刺し機構部40では、食材が無いなどの不具合のあるトレイ(串打ちをしないトレイ)60に対しては串刺し(串打ち)を行なわないようにする(空打ちとする)ことができる。
【0051】
なお、ベルトコンベア50上のトレイ60の位置は決まっていると共に、各トレイ60の間隔は、串が収容される第1〜第4串受け部40A〜40Dの間隔と一致させてあるので、食材が所定に収容されていないトレイ60に対応する串受け部(40A〜40D)を簡単に特定することができる。このため、この特定された串受け部に串を供給させないようにするための可動プレート14の位置及び下方支持要素12,22の何れかを簡単に特定することができるので、簡単に食材のないトレイに対して串打ちを行ってしまうことによる無駄を防止できると共に、落下した串等の回収作業などを行わなくて済むようにすることが実現可能である。
【0052】
ところで、本実施の形態では、2つの収容容器10、20と、4つの第1〜第4串受け部40A〜40Dを備えた串刺し機構部40を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の串を収容する串収容部(少なくとも一つの串収容部)と、串収容部の排出口から供給される串を複数の串受け部に収容し、複数の串受け部に収容された串の後端を、串刺し対象に向けて押し出して串刺し対象を串刺す串刺し機構部と、串刺し対象を載置する複数のトレイを搬送する搬送手段と、を備えた串刺し装置の串供給装置であって、前記串収容部をトレイの搬送方向に移動可能に構成し、前記串収容部の排出口から串を少なくとも一の串受け部に供給した後、前記串収容部をトレイの搬送方向に移動させて、当該串収容部の排出口から串を他の少なくとも一の串受け部に供給する串刺し装置の串供給装置に適用可能である。
【0053】
すなわち、例えば、1つの収容容器10(或いは20)を移動させて、複数の串受け部に串を供給する場合や、2つの収容容器10、20を移動させて、4つ以上の串受け部に供給する場合にも適用可能である。なお、串受け部の個数を奇数とする場合には、何れかの排出口からの串の供給を休止することで該当の串受け部に対して串刺し(串打ち)を行わないことで(空打ちとすることで)、簡単に実現することができる。
【0054】
ところで、本実施の形態に係る串刺し機構部40における串刺し機構(串受け部に収容された串の後端を、串刺し対象に向けて押し出して串刺し対象を串刺す機構)としては、サーボモータやステッピングモータの回転を直線運動に変換する直動アクチュエータの他、エアシリンダ等のアクチュエータなどとすることもできるが、更には、電動モータの回転運動を、クランク機構やカム機構やロッカーアーム機構等を用いて直線運動に変換する機構を用いることもできる。
【0055】
また、串刺し機構部40は、作業者等によりトレイ60上にセットされた串刺し対象物(食材など)を串刺す(串打つ)際に、串刺し対象物(食材など)が移動などしてしまわないように、上蓋により串刺し対象物(食材など)をトレイ60の収容部に押し付けて保持する機構を備え、串刺し力に対抗することができるように構成することができる。
【0056】
以上で説明した実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 串刺し装置
2 串
2A1、2A2 最下位の串
2B1,2B2 下から2番目の串(次回最下位の串)
10 串収容部(第1の串収容部)
11 排出口
20 串収容部(第2の串収容部)
21 排出口
12、22 下方支持要素(爪)
13、23 上方支持要素(爪)
14 可動プレート
14A,14B 開口
15 固定プレート
15A 第1串供給孔
15B 第2串供給孔
15C 第3串供給孔
15D 第4串供給孔
30 スライド機構
40 串刺し機構部
40A 第1串受け部
40B 第2串受け部
40C 第3串受け部
40D 第4串受け部
50 ベルトコンベア(搬送手段の一例)
60 トレイ


図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2017年2月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の串を収容する第1の串収容部と、
該第1の串収容部に収容されている串と並行に複数の串を収容する第2の串収容部と、
第1及び第2の串収容部のそれぞれの排出口から供給される串を対応する串受け部に収容し、それぞれの串受け部に収容された串の後端を、串刺し対象に向けて押し出して串刺し対象を串刺す串刺し機構部と、
串刺し機構部の串刺し方向と略直交する搬送方向に沿って所定の同一の配設間隔で配設され串刺し対象を載置する複数のトレイを、前記搬送方向に沿って搬送する搬送手段と、
を備えた串刺し装置の串供給装置であって、
前記第1及び第2の串収容部の排出口の前記搬送方向に沿った配設間隔が、前記トレイの配設間隔の2倍に設定されていると共に、
前記第1及び第2の串収容部を略一体的にトレイの搬送方向に移動可能に構成し、
前記第1及び第2の串収容部のぞれぞれの排出口から串を対応する串受け部に供給した後、
前記第1及び第2の串収容部を略一体的にトレイの搬送方向に移動させて、前記第1及び第2の串収容部のそれぞれの排出口から串を他の対応する串受け部に供給することを特徴とする串刺し装置の串供給装置。
【請求項2】
串受け部の数及び位置に対応した開口を有し装置本体フレームに固定される固定プレートと、
該固定プレートの上面にトレイの搬送方向に沿って移動可能に支持されると共に、前記第1及び第2の串収容部のそれぞれの排出口に対応した開口を有し、その上面に前記第1及び第2の串収容部が略一体的に固定される可動プレートと、
を備え、
前記可動プレートを前記固定プレートに対してトレイの搬送方向に相対移動させることで、前記第1及び第2の串収容部を略一体的にトレイの搬送方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の串刺し装置の串供給装置。
【請求項3】
第1及び第2の串収容部のそれぞれの排出口には、
一列に整列された最下位の串を支持する下方支持要素と、
最下位の串の直上の串を支持する上方支持要素と、
が備えられ、
上方支持要素により直上の串を支持した状態にて、下方支持要素による支持を解放して最下位の串のみを下方に供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の串刺し装置の串供給装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
このため、本発明に係る串刺し装置の串供給装置は、
複数の串を収容する第1の串収容部と、
該第1の串収容部に収容されている串と並行に複数の串を収容する第2の串収容部と、
第1及び第2の串収容部のそれぞれの排出口から供給される串を対応する串受け部に収容し、それぞれの串受け部に収容された串の後端を、串刺し対象に向けて押し出して串刺し対象を串刺す串刺し機構部と、
串刺し機構部の串刺し方向と略直交する搬送方向に沿って所定の同一の配設間隔で配設され串刺し対象を載置する複数のトレイを、前記搬送方向に沿って搬送する搬送手段と、
を備えた串刺し装置の串供給装置であって、
前記第1及び第2の串収容部の排出口の前記搬送方向に沿った配設間隔が、前記トレイの配設間隔の2倍に設定されていると共に、
前記第1及び第2の串収容部を略一体的にトレイの搬送方向に移動可能に構成し、
前記第1及び第2の串収容部のぞれぞれの排出口から串を対応する串受け部に供給した後、
前記第1及び第2の串収容部を略一体的にトレイの搬送方向に移動させて、前記第1及び第2の串収容部のそれぞれの排出口から串を他の対応する串受け部に供給することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明において、
串受け部の数及び位置に対応した開口を有し装置本体フレームに固定される固定プレートと、
該固定プレートの上面にトレイの搬送方向に沿って移動可能に支持されると共に、前記第1及び第2の串収容部のそれぞれの排出口に対応した開口を有し、その上面に前記第1及び第2の串収容部が略一体的に固定される可動プレートと、
を備え、
前記可動プレートを前記固定プレートに対してトレイの搬送方向に相対移動させることで、前記第1及び第2の串収容部を略一体的にトレイの搬送方向に移動させることを特徴とすることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明において、
第1及び第2の串収容部のそれぞれの排出口には、
一列に整列された最下位の串を支持する下方支持要素と、
最下位の串の直上の串を支持する上方支持要素と、
が備えられ、
上方支持要素により直上の串を支持した状態にて、下方支持要素による支持を解放して最下位の串のみを下方に供給することを特徴とすることができる。