(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-109186(P2017-109186A)
(43)【公開日】2017年6月22日
(54)【発明の名称】気液混合装置
(51)【国際特許分類】
B01F 1/00 20060101AFI20170526BHJP
A61H 33/02 20060101ALI20170526BHJP
B01F 3/04 20060101ALI20170526BHJP
B01F 5/02 20060101ALI20170526BHJP
B01F 15/02 20060101ALI20170526BHJP
A47K 3/28 20060101ALI20170526BHJP
E03C 1/084 20060101ALI20170526BHJP
F16K 7/17 20060101ALI20170526BHJP
【FI】
B01F1/00 C
A61H33/02 A
B01F3/04 Z
B01F5/02 Z
B01F3/04 A
B01F15/02 A
A47K3/22
E03C1/084
F16K7/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-247336(P2015-247336)
(22)【出願日】2015年12月18日
(71)【出願人】
【識別番号】391060029
【氏名又は名称】株式会社ダンレイ
(74)【代理人】
【識別番号】100095245
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】満尾 浩
(72)【発明者】
【氏名】宮田 俊一
【テーマコード(参考)】
2D060
2D132
4C094
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
2D060CC17
2D132FA04
2D132FA07
2D132FB02
2D132FC04
2D132FJ22
2D132FJ31
4C094AA01
4C094DD06
4C094EE20
4C094FF11
4C094GG03
4C094GG06
4G035AA06
4G035AA10
4G035AB04
4G035AB06
4G035AC14
4G035AE13
4G037AA01
4G037AA02
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】 電子機器を使わずに湯水通路への通水の入り切りに連動して気体通路を開閉する気液混合装置を提供する。
【解決手段】 湯水通路と、湯水に気体を混入させる気体混入部と湯水の流れに関して気体混入部の下流に配設され湯水に混入した気泡を微細化し気体を湯水に溶解させる気体溶解部とを有し湯水通路の途上に配設された気体溶存水生成器と、気体混入部に接続する気体通路を開閉する第1開閉弁と、気体通路の第1開閉弁よりも下流の部位を開閉する第2開閉弁とを備え、第1開閉弁と第2開閉弁とは、それぞれ、ダイヤフラムとダイヤフラムの一方の端面に気体溶解部よりも上流側の湯水通路内の湯水一次圧を印加する高圧側感圧室と、ダイヤフラムの他方の端面に気体溶解部よりも下流側の湯水通路内の湯水二次圧を印加する低圧側感圧室と、ダイヤフラムを高圧側感圧室側へ付勢するバネと、ダイヤフラムに係合しダイヤフラムに連動して気体通路を開閉する弁体とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水通路と、湯水に気体を混入させる気体混入部と湯水の流れに関して気体混入部の下流に配設され湯水に混入した気泡を微細化し気体を湯水に溶解させる気体溶解部とを有し湯水通路の途上に配設された気体溶存水生成器と、気体混入部に接続する気体通路を開閉する第1開閉弁と、気体通路の第1開閉弁よりも下流の部位を開閉する第2開閉弁とを備え、第1開閉弁と第2開閉弁とは、それぞれ、ダイヤフラムとダイヤフラムの一方の端面に気体溶解部よりも上流側の湯水通路内の湯水一次圧を印加する高圧側感圧室と、ダイヤフラムの他方の端面に気体溶解部よりも下流側の湯水通路内の湯水二次圧を印加する低圧側感圧室と、ダイヤフラムを高圧側感圧室側へ付勢するバネと、ダイヤフラムに係合しダイヤフラムに連動して気体通路を開閉する弁体とを有することを特徴とする気液混合装置。
【請求項2】
湯水二次圧は第1開閉弁の低圧室を介して第2開閉弁の低圧室に印加されることを特徴とする請求項1に記載の気液混合装置。
【請求項3】
第1開閉弁の低圧室と第2開閉弁の低圧室との間の連通路に、水抜き栓が配設されていることを特徴とする請求項2に記載の気液混合装置。
【請求項4】
湯水通路の気体溶存水生成器よりも上流の部位と気体溶存水生成器よりも下流の部位とを接続するバイパス通路を備え、湯水通路の気体溶存水生成器よりも下流の部位とバイパス通路との接続部に流路切替弁が配設されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の気液混合装置。
【請求項5】
気体が炭酸ガスであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の気液混合装置。
【請求項6】
湯水混合水栓とシャワーヘッドとの間の湯水通路に請求項1乃至5の何れか1項に記載の気液混合装置が介挿されていることを特徴とするシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
湯水通路と、湯水に気体を混入させる気体混入部と湯水の流れに関して気体混入部の下流に配設され湯水に混入した気泡を微細化し気体を湯水に溶解させる気体溶解部とを有し湯水通路の途上に配設された気体溶存水生成器と、気体混入部に接続する気体通路を開閉する開閉弁とを備える気液混合装置であって、開閉弁は、気体溶存水生成器よりも上流側の湯水通路に配設されたフロースイッチの作動に基づいて、湯水通路への通水の入り切りに連動して気体通路を開閉する電磁弁であることを特徴とする気液混合装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−036913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の気液混合装置には、電子機器であるフロースイッチや電磁弁が誤作動を起こして気体溶存水生成の安定性が損なわれる可能性があり、気液混合装置を浴室に設置した場合に漏電の危険性を生じ、電子機器の配設に電気工事が必要であり施工性が良くない等の問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、湯水通路と、湯水に気体を混入させる気体混入部と湯水の流れに関して気体混入部の下流に配設され湯水に混入した気泡を微細化し気体を湯水に溶解させる気体溶解部とを有し湯水通路の途上に配設された気体溶存水生成器と、気体混入部に接続する気体通路を開閉する開閉弁とを備える気液混合装置であって、電子機器を使わずに湯水通路への通水の入り切りに連動して気体通路を開閉する気液混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、湯水通路と、湯水に気体を混入させる気体混入部と湯水の流れに関して気体混入部の下流に配設され湯水に混入した気泡を微細化し気体を湯水に溶解させる気体溶解部とを有し湯水通路の途上に配設された気体溶存水生成器と、気体混入部に接続する気体通路を開閉する第1開閉弁と、気体通路の第1開閉弁よりも下流の部位を開閉する第2開閉弁とを備え、第1開閉弁と第2開閉弁とは、それぞれ、ダイヤフラムとダイヤフラムの一方の端面に気体溶解部よりも上流側の湯水通路内の湯水一次圧を印加する高圧側感圧室と、ダイヤフラムの他方の端面に気体溶解部よりも下流側の湯水通路内の湯水二次圧を印加する低圧側感圧室と、ダイヤフラムを高圧側感圧室側へ付勢するバネと、ダイヤフラムに係合しダイヤフラムに連動して気体通路を開閉する弁体とを有することを特徴とする気液混合装置を提供する。
湯水通路への通水が開始され、ひいては気体溶解部への通水が開始されると、気体溶解部を湯水が通過する際に圧力損失が発生し、気体溶解部よりも上流側の湯水通路内の湯水一次圧と気体溶解部よりも下流側の湯水通路内の湯水二次圧との間に差圧が発生する。第1開閉弁と第2開閉弁のダイヤフラムに印加される湯水一次圧と湯水二次圧の差圧による付勢力がバネの付勢力に打ち勝ってダイヤフラムが低圧側感圧室側へ移動し、ダイヤフラムに係合して連動する弁体が気体通路を開き、気体の気体溶存水生成器への供給が開始され、気体溶存水が生成される。生成された気体溶存水は気液混合装置から吐出し下流側の水回り機器に供給される
湯水通路への通水が停止し、ひいては気体溶解部への通水が停止すると、湯水一次圧と湯水二次圧との差圧が無くなり、バネの付勢力を受けてダイヤフラムが高圧側感圧室側へ移動し、ダイヤフラムに連動する弁体が気体通路を閉じ、気体の気体溶存水生成器への供給が停止する。
本発明に係る気液混合装置においては、電子機器を使わずに湯水通路への通水の入り切りに連動して気体通路を開閉し、気体溶存水生成器への気体の供給を入り切りする。従って、気体溶存水生成の安定性は高く、浴室に設置しても漏電の危険性が無く、電気工事が不要なので施工性が良い。
気体通路を開閉する弁を二つ配設することにより、弁体への異物付着等によって一方が閉鎖不良を起こしても、他方が正常作動していれば湯水通路への通水の入り切りに連動して気体通路を確実に開閉し、気体溶存水生成器への気体の供給を確実に入り切りすることができる。この結果、気体溶存水生成の安定性が向上する。特に、気液混合装置が家庭用の水回り機器に用いられた場合、保守が十全に行われない可能性があり、弁体への異物付着等で開閉弁が閉鎖不良を起こす可能性がある。この場合、開閉弁を二つ配設することにより、開閉弁を一つ配設した場合に比べて、気液混合装置の安定作動期間が延長される可能性がある。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、湯水二次圧は第1開閉弁の低圧側感圧室を介して第2開閉弁の低圧側感圧室に印加される。
気体溶解部よりも下流側の湯水通路から、第1開閉弁の低圧側感圧室と第2開閉弁の低圧側感圧室とに別個独立に湯水二次圧を導くよりも、気体溶解部よりも下流側の湯水通路から第1開閉弁の低圧側感圧室に湯水二次圧を導き、更に第1開閉弁の低圧側感圧室から第2開閉弁の低圧側感圧室に湯水二次圧を導いた方が、気液混合装置の工作性が向上する。
本発明の好ましい態様においては、第1開閉弁の低圧側感圧室と第2開閉弁の低圧側感圧室との間の連通路に、水抜き栓が配設されている。
第1開閉弁と第2開閉弁の保守時に、第1開閉弁と第2開閉弁の低圧側感圧室の水抜きを行うが、第1開閉弁の低圧側感圧室と第2開閉弁の低圧側感圧室との間の連通路に水抜き栓を配設しておけば、単一の水抜き栓で第1開閉弁と第2開閉弁の低圧側感圧室の水抜きが可能となる。第1開閉弁と第2開閉弁のそれぞれに水抜き栓を配設する場合に比べて部品数が低減する。
本発明の好ましい態様においては、気液混合装置は、湯水通路の気体溶存水生成器よりも上流の部位と気体溶存水生成器よりも下流の部位を接続するバイパス通路を備え、湯水通路の気体溶存水生成器よりも下流の部位とバイパス通路との接続部に流路切替弁が配設されている。
バイパス通路と流路切替弁の配設により、気液混合装置からの気体溶存水の吐出と気体溶存水を含まない湯水の吐出の切り替えを瞬時に行うことが可能になる。
本発明の好ましい態様においては、気体は炭酸ガスである。
気体が炭酸ガスである場合、気液混合装置は炭酸泉生成装置となり、各種水回り機器に組み込むことにより、広範な利用が見込まれる。
本発明においては、湯水混合水栓とシャワーヘッドとの間の湯水通路に前記何れかの気液混合装置が介挿されていることを特徴とする気体溶存水シャワー装置を提供する。
湯水混合水栓とシャワーヘッドとの間の湯水通路に前記何れかの気液混合装置を介挿することにより、気体溶存水シャワー装置を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明を炭酸泉生成用に具現化した炭酸泉生成装置の一実施例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を炭酸泉生成用に具現化した炭酸泉生成装置の一実施例を説明する。
図1に示すように、炭酸泉生成装置1は、湯水通路2と、湯水に炭酸ガスを混入させる炭酸ガス混入部3aと湯水の流れに関して炭酸ガス混入部3aの下流に配設され、ノズルから吐出する高速噴流や、小径流路集合体通過流や、噴流と壁との衝突流等によって湯水と炭酸ガス気泡とを攪拌混合して炭酸ガス気泡を微細化し炭酸ガスを湯水に溶解させる炭酸ガス溶解部3bとを有し湯水通路2の途上に配設された炭酸生成器3と、炭酸ガス混入部3aに接続する炭酸ガス通路4を開閉する第1開閉弁5と、炭酸ガス通路4の第1開閉弁5よりも下流の部位を開閉する第2開閉弁6とを備えている。
第1開閉弁5は、ダイヤフラム5aと、湯水通路2から分岐した導圧通路2aを介して導入された炭酸ガス溶解部3bよりも上流側の湯水通路2内の湯水一次圧をダイヤフラム5aの一方の端面に印加する高圧側感圧室5bと、湯水通路2から分岐した導圧通路2bを介して導入された炭酸ガス溶解部3bよりも下流側の湯水通路2内の湯水二次圧をダイヤフラム5aの他方の端面に印加する低圧側感圧室5cと、ダイヤフラム5aを高圧側感圧室5b側へ付勢するバネ5dと、バネ5eの付勢力を受けてダイヤフラム5aに係合しダイヤフラム5aに連動して低圧側感圧室5cの外側で炭酸ガス通路4を開閉する弁体5fとを有している。
第2開閉弁6は、ダイヤフラム6aと、湯水通路2の導圧通路2aの分岐点よりも下流側の部位から導入された炭酸ガス溶解部3bよりも上流側の湯水通路2内の湯水一次圧をダイヤフラム6aの一方の端面に印加する高圧側感圧室6bと、第1開閉弁5の低圧側感圧室5cから延びる導圧通路2cを介して導入された炭酸ガス溶解部3bよりも下流側の湯水通路2内の湯水二次圧をダイヤフラム6aの他方の端面に印加する低圧側感圧室6cと、ダイヤフラム6aを高圧側感圧室6b側へ付勢するバネ6dと、ダイヤフラム6aに固定されダイヤフラム6aに連動して炭酸ガス通路4の第1開閉弁5よりも下流の部位、より具体的には高圧側感圧室6b内へ延びた炭酸ガス通路4の下流端を開閉する弁体6eとを有している。湯水通路2の導圧通路2a分岐点よりも下流の部位が高圧側感圧室6bに接続している。高圧側感圧室6bは炭酸生成器3の炭酸ガス混入部3aを形成している。
炭酸泉生成装置1は更に、湯水通路2の導圧通路2aの分岐点よりも上流側の部位と湯水通路2の導圧通路2bの分岐点よりも下流側の部位とを連通させるバイパス通路2dと、湯水通路2の導圧通路2bの分岐点よりも下流側の部位とバイパス通路2dとの接続部に配設された流路切替弁7と、導圧通路2cの途上に配設された水抜き栓8と、湯水通路2のバイパス通路2dの分岐点よりも上流側の部位に配設された減圧弁9と、炭酸ガス通路4の第1開閉弁5よりも上流側の部位に配設された逆止弁10とを備えている。
上記諸部材がユニット化され、炭酸泉生成装置1を形成している。水抜き栓8を除く諸部材は筐体11内に収容されており、水抜き栓8は筐体11外へ突出している。
湯水通路2の上流端が形成する単炭酸泉生成装置1の湯水入口1aは湯水混合栓100に接続し、湯水通路2の下流端が形成する単炭酸泉生成装置1の炭酸泉出口1bはシャワーヘッド200に接続し、炭酸ガス通路4の上流端が形成する単炭酸泉生成装置1の炭酸ガス入口1cは流量調整弁301、炭酸ガス流量計302、圧力調整弁303を介して炭酸ガスボンベ304に接続している。
【0009】
炭酸泉生成装置1の作動を説明する。
湯水混合栓100が閉鎖されている時は、炭酸ガス溶解部3bを湯水が流れないので、湯水通路2の炭酸ガス溶解部3bより上流側の部位、より具体的には炭酸ガス溶解部3bと減圧弁9との間で延在する部位内の湯水一次圧と湯水通路2の炭酸ガス溶解部3bより下流側の部位内の湯水二次圧とは同圧である。従って、高圧側感圧室5b、6b内の湯水一次圧と低圧側感圧室5c、6cの内の湯水二次圧とは同圧であり、ダイヤフラム5a、6aはバネ5d、6dの付勢力を受けて高圧側感圧室5b、6b側へ移動し、ダイヤフラム5a、6aに係合する弁体5f、6eは炭酸ガス通路4を閉じている。従って、炭酸混合部3aには炭酸ガスは供給されない。
【0010】
湯水混合栓100が開放されると、
図1に黒矢印で示すように、湯水入口1aを通って炭酸泉生成装置1に湯水が流入し、更に減圧弁9と、湯水通路2とを通って炭酸生成器3に湯水が流入する。湯水が炭酸生成器3の炭酸ガス溶解部3bを通過する際に発生する圧力損失により、湯水通路2の炭酸ガス溶解部3bと減圧弁9との間で延在する部位内の湯水一次圧と湯水通路2の炭酸ガス溶解部3bより下流側の部位内の湯水二次圧との間に差圧が発生し、高圧側感圧室5b、6b内の湯水一次圧と低圧側感圧室5c、6c内の湯水二次圧との間に差圧が発生し、前記差圧によるダイヤフラム5a、6aを低圧側感圧室5c、6c側へ付勢する付勢力がバネ(5d+5e)、6dの付勢力とダイヤフラム5a、6aの反発力との和に打ち勝ち、ダイヤフラム5a、6aが低圧側感圧室5c、6c側へ移動し、ダイヤフラム5a、6aに係合する弁体5f、6eが炭酸ガス通路4を開く。
図1に白抜矢印で示すように、炭酸ガスボンベ304から、圧力調整弁303と、炭酸ガス流量計302と、流量調整弁301と、炭酸ガス入口1cとを通って炭酸泉生成装置1に炭酸ガスが流入し、更に逆止弁10と、炭酸ガス通路4と、第1開閉弁5と、第2開閉弁6とを通って、炭酸生成器3の炭酸ガス混入部3a、すなわち第2開閉弁6の高圧側感圧室6bに炭酸ガスが流入する。第2開閉弁6の高圧側感圧室6bには、湯水通路2から湯水が流入する。
炭酸生成器3の炭酸ガス混入部3a内で湯水と炭酸ガスとが混合され、炭酸ガスの気泡を含む湯水が炭酸ガス溶解部3bを通過し、湯水と炭酸ガス気泡とが攪拌混合されて炭酸ガスが湯水に溶解され、炭酸泉が生成される。炭酸泉はハッチング矢印で示すように、湯水通路2と流路切替弁7と炭酸泉出口1bとを通って炭酸泉生成装置1から流出し、シャワーヘッド200から吐出する。
【0011】
湯水混合栓100が閉鎖されると、炭酸ガス溶解部3b内の湯水の流れが停止し、湯水通路2の炭酸ガス溶解部3bより上流側の部位、より具体的には炭酸ガス溶解部3bと減圧弁9との間で延在する部位内の湯水一次圧と炭酸ガス溶解部3bより下流側の部位内の湯水二次圧とが同圧となり、高圧側感圧室5b、6b内の湯水一次圧と低圧側感圧室5c、6c内の湯水二次圧とが同圧になり、ダイヤフラム5a、6aはバネ(5d+5e)、6dの付勢力を受け自身の反発力に抗して高圧側感圧室5b、6b側へ移動し、ダイヤフラム5a、6aに係合する弁体5f、6eが炭酸ガス通路4を閉じ、炭酸ガス生成器3への炭酸ガスの供給が停止する。
【0012】
第1開閉弁5、第2開閉弁6の何れか一方が弁体への異物付着等によって閉鎖不良を起こしても、他方が正常作動していれば、湯水通路2への通水の入り切りに連動する炭酸ガス通路4の開閉、ひいては湯水通路2への通水の入り切りに連動する炭酸生成器3への炭酸ガスの供給の入り切りが維持される。
流路切替弁7を操作することにより、炭酸泉生成装置1、ひいてはシャワーヘッド200からの炭酸泉の吐出と炭酸を含まない湯水の吐出とが瞬時に切り替わる。
第1開閉弁5、第2開閉弁6の保守時に、水抜き栓8を開くことにより、第1開閉弁5の低圧側感圧室5cと第2開閉弁6の低圧側感圧室6cとが同時に水抜きされる。
【0013】
炭酸泉の炭酸溶解濃度は炭酸生成器3に供給される湯水の水圧と炭酸ガスの圧力とに影響される。一方、湯水混合栓100から供給される湯水の水圧は、湯水混合栓100の設置地域や、集合住宅の場合には湯水混合栓100の設置階によって異なる。炭酸泉生成装置1においては、炭酸泉の炭酸溶解濃度が適正値になるように、湯水混合栓100から供給される湯水の水圧に合わせて炭酸ガスの供給圧を圧力調整弁303で調整している。
湯水混合栓100の設置地域や、集合住宅の場合には湯水混合栓100の設置階によって湯水混合栓100から供給される湯水の水圧が異なることを勘案して、炭酸泉の炭酸溶解濃度が適正値になるように、湯水混合栓100から供給される湯水の水圧に合わせて炭酸ガスの供給圧を圧力調整弁303で調整していても、湯水混合栓100から供給される湯水の水圧は常時一定ではなく変動するので、炭酸泉生成装置1においては、炭酸生成器3よりも上流側に減圧弁9を配設して炭酸生成器3に流入する湯水の水圧変動を抑制し、炭酸泉の炭酸溶解濃度の変動を抑制している。
【0014】
上記説明から分かるように、本実施例に係る炭酸泉生成装置1においては、電子機器を使わずに湯水通路2への通水の入り切りに連動して炭酸生成器3への炭酸ガスの供給を入り切りする。従って、炭酸泉生成の安定性は高く、浴室に設置しても漏電の危険性が無く、電気工事を必要としないので施工性が良い。
第1開閉弁5、第2開閉弁6の何れか一方が弁体への異物付着等によって閉鎖不良を起こしても、他方が正常作動していれば、湯水通路2への通水の入り切りに連動する炭酸ガス通路4の開閉、ひいては湯水通路2への通水の入り切りに連動する炭酸生成器3への炭酸ガスの供給の入り切を維持することができる。この結果、炭酸泉生成の安定性が向上する。上記実施例において、シャワーヘッドが家庭用の場合、炭酸泉生成装置1の保守が十全に行われない可能性があり、弁体への異物付着等により炭酸ガス通路の開閉弁が閉鎖不良を起こす可能性がある。この場合、開閉弁を二つ配設することにより、開閉弁を一つ配設した場合に比べて、炭酸泉生成装置1の安定作動期間が延長される可能性がある。
湯水二次圧は、導圧通路2bを介して第1開閉弁5の低圧側感圧室5cに導入され、更に導圧通路2cを介して第1開閉弁5の低圧側感圧室5cから第2開閉弁6の低圧側感圧室6cに印加される。炭酸ガス溶解部3bよりも下流側の湯水通路2に、第1開閉弁5の低圧側感圧室5cへの導圧通路と第2開閉弁6の低圧側感圧室6cへの導圧通路とを別個独立に接続する場合に比べて、湯水通路2には第1開閉弁5の低圧側感圧室5cへの導圧通路2bのみを接続し、第1開閉弁5の低圧側感圧室5cと第2開閉弁6の低圧側感圧室6cとを導圧通路2cで接続した方が、工作性が向上する。
第1開閉弁5、第2開閉弁6の保守時に、第1開閉弁5の低圧側感圧5cと第2開閉弁6の低圧側感圧室6cとを連結する導圧通路2cの途上に配設された水抜き栓8を開くことにより、第1開閉弁5の低圧側感圧室5cと第2開閉弁6の低圧側感圧室6cとを同時に水抜きすることができる。炭酸ガス溶解部3bよりも下流側の湯水通路2に、第1開閉弁5の低圧側感圧室5cへの導圧通路と第2開閉弁6の低圧側感圧室6cへの導圧通路とを別個独立に接続すると、各導圧通路に水抜き栓を配設する必要を生じ部品数が増加する。
バイパス通路2dと流路切替弁7を操作することにより、炭酸泉生成装置1、ひいてはシャワーヘッド200からの炭酸泉の吐出と炭酸を含まない湯水の吐出とを瞬時に切り替えることができる。この結果、炭酸泉生成装置1に接続される下流側の水回り機器の利便性が、上記実施例ではシャワー装置の利便性が、向上する。
【0015】
上記実施例では、第2開閉弁6の高圧側感圧室6bが炭酸生成器3の炭酸ガス混入部3aを形成するように炭酸泉生成装置1を構成したが、第2開閉弁6を第1開閉弁5と同様の構成とし、炭酸ガス通路4の第2開閉弁6よりも下流の部位を第2開閉弁6とは別体の炭酸ガス混入部に接続しても良い。
炭酸泉生成装置1の下流側に接続される機器はシャワーヘッド200に限定されない。蛇口、浴槽その他の水回り機器でも良い。風呂用の循環温水装置の湯通路に炭酸泉生成装置1を取り付けても良い。
【0016】
以上、本発明を炭酸泉生成用に具現化した炭酸泉生成装置の一実施例を説明したが、本発明を炭酸ガス以外の気体を湯水に混入溶解させる装置として利用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、気液混合装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 炭酸泉生成装置
2 湯水通路
2d バイパス通路
3 炭酸生成器
4 炭酸ガス通路
5 第1開閉弁
6 第2開閉弁
7 流路切替弁
8 水抜き栓
9 減圧弁
11 筐体
100 湯水混合栓
200 シャワーヘッド
301 流量調整弁
302 炭酸ガス流量計
303 圧力調整弁
304 炭酸ガスボンベ