【解決手段】、製品パレット(6)は、切断加工により切り分けられた製品(Wa)および残材(Wb)を含むワーク(W)から残材を除去するグリッパ(11)と、グリッパと一体的に移動可能であってワークのうち製品が載置される製品載置部(12)を有し、グリッパを支持するベース体(25)と、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来技術において、製品が集積される製品パレットが移動可能であると、例えば集積された製品を所望の位置から搬出することができ、便利である。しかしながら、集積された製品の移動に使われるレール、ガイド等の機構と、残材の搬送に使われるレール、ガイドなどの機構とがそれぞれ必要となり、装置の大型化を招いてしまう。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたものであり、製品と残材とを分けて搬送する機構をコンパクトにすることが可能な製品パレット、ワーク搬送システム、及びワーク搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の製品パレットは、切断加工により切り分けられた製品および残材を含むワークから残材を除去するグリッパと、グリッパと一体的に移動可能であってワークのうち製品が載置される製品載置部を有し、グリッパを支持するベース体と、を備える。
【0008】
本発明のワーク搬送システムは、上記の製品パレットと、ワークのうち製品を製品載置部へ移載する製品アンローダと、を備える。
【0009】
本発明のワーク搬送方法は、切断加工により切り分けられた製品および残材を含むワークからグリッパによって残材を除去することと、グリッパを支持するベース体が有する製品載置部およびグリッパを一体的に移動させることと、製品載置部へ製品を製品を載置することと、を含む。
【0010】
また、グリッパは、所定方向におけるベース体の両側のそれぞれに、複数並んで設けられる把持部を備え、把持部は、所定方向におけるワークの両端を保持可能であるものでもよい。また、製品載置部は、所定方向において把持部の間に配置されるものでもよい。
また、製品載置部およびグリッパは、所定方向において一体的に移動可能であるものでもよい。また、製品パレットは、グリッパによってワークから残材が除去されるアンロード位置から退避位置へ移動し、製品アンローダは、アンロード位置において製品を保持し、保持した製品を、退避位置の製品パレットの製品載置部へ移載するものでもよい。
また、ワークを保持して移動可能な加工パレットと、加工パレットからワークを受け取る移載装置と、を備え、加工パレットに保持された加工前のワークに対して、レーザ加工により切断加工が施され、グリッパは、移載装置上のワークから残材を除去するものでもよい。また、グリッパおよび製品載置部は、加工パレットの移動方向と交差する水平方向に、一体的に移動可能であるものでもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、残材を除去するグリッパと製品が載置される製品載置部とが一体的に移動可能であるので、残材の搬送に使われる機構と製品の移動に使われる機構との少なくとも一部を共通化することができ、製品と残材とを分けて搬送する機構をコンパクトにすることができる。
【0012】
また、グリッパは、所定方向におけるベース体の両側のそれぞれに、複数並んで設けられる把持部を備え、把持部は、所定方向におけるワークの両端を保持可能であるものでは、ワークの両側をそれぞれ複数の把持部で保持することができるので、残材を確実に把持して除去することができる。また、製品載置部は、所定方向において把持部の間に配置されるものでは、所定方向における把持部の間のスペースを製品載置部の設置スペースに利用するので、製品と残材とを分けて搬送する機構をコンパクトにすることができる。また、製品載置部およびグリッパは、所定方向において一体的に移動可能であるものでは、ワークが把持される所定方向にグリッパが移動可能であるので、ワークとグリッパとを位置決めしやすい。また、製品パレットは、グリッパによってワークから残材が除去されるアンロード位置から退避位置へ移動し、製品アンローダは、アンロード位置において製品を保持し、保持した製品を、退避位置の製品パレットの製品載置部へ移載するものでは、製品パレットが残材のアンロード位置から退避位置へ移動することで、製品アンローダがアンロード位置で製品にアクセスしやすくなり、かつ製品の移載先となる退避位置へ製品パレットが配置されるので、例えば製品と残材とを分けて搬送する機構の制御をシンプルにすることができる。また、ワークを保持して移動可能な加工パレットと、加工パレットからワークを受け取る移載装置と、を備え、加工パレットに保持された加工前のワークに対して、レーザ加工により切断加工が施され、グリッパは、移載装置上のワークから残材を除去するものでは、ワークと加工パレットとがレーザ加工により溶着している場合、移載装置により溶着を外した状態でグリッパにより残材を除去するので、例えばグリッパにより残材を除去する際の振動などを低減することができる。また、グリッパおよび製品載置部は、加工パレットの移動方向と交差する水平方向に、一体的に移動可能であるものでは、加工パレットの移動方向と交差する水平方向に製品、残材を搬送することができるので、例えば加工パレットの移動方向において装置、システムが長くなることを回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。また、XYZの各方向において、適宜、矢印と同じ側を+側(例、+X側)と称し、その反対側を−側(例、−X側)と称す。
【0015】
図1は、実施形態に係る製品パレットおよびワーク搬送システムを適用した加工システムの例を示す概念図である。本実施形態に係る加工システム1は、ワークに切断加工を施す加工システムである。ここでは、加工システム1は、レーザ加工により切断加工を施すレーザ加工システムであるものとして説明する。加工システム1は、ワーク搬送システム2、レーザ加工機3、及びワーク供給装置4を備える。
【0016】
まず、加工システム1の概要について説明する。ワーク搬送システム2は、加工パレット5と、製品パレット6と、フォーク装置7(簡略化して示す)と、製品アンローダ8とを備える。加工パレット5は、ワークWを保持して移動可能である。加工パレット5には、ロードエリアAR1において、ワーク供給装置4によって加工前のワークWが供給される。ワーク搬送システム2は、加工前のワークWを保持した加工パレット5をレーザ加工機3へ搬送する。レーザ加工機3は、加工パレット5上のワークWに対してレーザ加工を施す。レーザ加工によってワークWは、製品Wa(
図1中右側のワークW参照)と残材Wbとに切り分けられる。
【0017】
ワーク搬送システム2は、加工後のワークWを保持した加工パレット5をレーザ加工機3からアンロードエリアAR2へ搬送する。アンロードエリアAR2には、製品パレット6、フォーク装置7、及び製品アンローダ8が設けられる。フォーク装置7(後に
図4にも示す)は、加工パレット5から加工後のワークWを受け取る。製品パレット6は、グリッパ11および製品載置部12を備え、フォーク装置7に保持された加工後のワークWからグリッパ11によって残材Wbを除去する。製品アンローダ8は、フォーク装置7に保持された製品Waを製品載置部12へ移載する。製品Waは、製品載置部12に集積され、外部へ搬出される。以下、加工システム1の各部について説明する。
【0018】
ワーク供給装置4は、ワーク貯蔵装置、素材ストッカなどであり、ロードエリアAR1に設けられる。ロードエリアAR1は、レーザ加工機3におけるワーク搬入出口に隣接して、配置される。ここでは、レーザ加工機3の+X側にワーク搬入出口が設けられ、ロードエリアAR1、レーザ加工機3に対して+X側に配置される。ワーク供給装置4は、例えば、貯蔵庫に積み重ねられた複数の加工前ワークから1枚のワークWをパッドで吸着し、ワークWを加工パレット5の上方から下降させて、加工パレット5上にワークWを載置する。ワーク供給装置4の構成は、上記の構成に限定されず、適宜変更可能である。ワーク供給装置4は、ワーク搬送システム2に組み込まれていてもよいし、また加工システム1の外部の装置(例、工場の設備)でもよい。
【0019】
図2は、実施形態に係る加工パレットを示す斜視図である。加工パレット5は、ベースプレート15および複数の支持プレート16を備える。複数の支持プレート16は、ベースプレート15の上面に対してほぼ垂直に延びており、所定の間隔でX方向に並んでいる。複数の支持プレート16は、それぞれ、鋸歯状に形成された上端部を有する。複数の支持プレート16は、ワークWの下面を複数の点(鋸歯の先端)で支持する。
【0020】
加工パレット5は、例えば、レール17に沿って移動可能な車輪(図示せず)を備える。レール17は、レーザ加工機3(
図1参照)からアンロードエリアAR2まで直線的に延びている。ワーク搬送システム2は、加工パレット5を牽引することによって、レール17に沿って加工パレット5を搬送する。例えば、加工パレット5には、ワイヤと接続されたフックが掛けられ、このワイヤが駆動部(図示せず)に巻き取られることで加工パレット5が牽引される。なお、加工パレット5を移動させる機構は適宜変更可能であり、例えば、加工パレット5が自走式でもよい。
【0021】
レーザ加工機3は、加工パレット5上のワークWに対してレーザ光を照射して、ワークWに切断加工を施す。レーザ加工機3は、レーザヘッド(図示せず)と、ヘッド駆動部(図示せず)とを有している。レーザヘッドは、下方にレーザ光を射出する。レーザヘッドは、光ファイバ(図示せず)などの光伝送体を介してレーザ光源(図示せず)に接続されている。レーザ光源は、例えばファイバーレーザなどの固体レーザの光源であり、炭酸ガスレーザなどに比べて熱密度の高いレーザ光が得られる。そのため、ファイバーレーザを用いたレーザ加工機3は、高速で切断等を行うことが可能である。レーザ加工によりワークWと加工パレット5の支持プレート16とが溶着することがあるが、支持プレート16がワークWを複数の点で支持するので、支持プレート16とワークWとの溶着部を減らすことができる。
【0022】
図2(B)に示すように、ワークWは、レーザ加工によって、複数の製品Waと残材Wb(スケルトン、製品Waの周辺部分)とに切り分けられる。加工パレット5は、レーザ加工後においても、製品Waおよび残材Wbを含むワークWを保持する。なお、加工システム1は、切断刃によってワークに切断加工を施すパンチプレスなどの加工機をレーザ加工機3の代わりに用いるものでもよいし、レーザ加工機3およびパンチプレスを用いるものでもよい。
【0023】
図1の説明に戻り、ワーク搬送システム2は、加工後のワークWを保持した加工パレット5を、レール17に沿ってアンロード位置P1へ搬送する。レール17は、例えば、X方向と平行に直線的に設けられ、アンロード位置P1はレール17上の所定位置である。製品パレット6は、アンロード位置P1と退避位置P2との間で移動可能である。
図1において、退避位置P2は、アンロード位置P1に対して−Y側に設定されている。製品パレット6が退避位置P2に配置された際に、アンロード位置P1に配置された加工パレット5上のワークWが製品パレット6に覆われないように、退避位置P2が設定される。フォーク装置7(後に
図3にも示す)は、例えば、アンロード位置P1に対して退避位置P2の反対側(+Y側)に配置される。
【0024】
図3は、実施形態に係るフォーク装置(移載装置)を示す斜視図である。フォーク装置7は、基部21と、複数の腕部22と備える。基部21は、X方向に延びる板状であり、複数の腕部22は、それぞれ基部21から+Y方向に延びる棒状である。複数の腕部22は、例えば、加工パレット5(
図2参照)の支持プレート16とほぼ等しいピッチ(中心間距離)でX方向に配列されている。各腕部22の幅は、加工パレット5において隣り合う2つの支持プレート16のギャップよりも狭く設定され、各腕部22は、隣り合う2つの支持プレート16の間に挿入可能である。フォーク装置7は、基部21を駆動する駆動部(図示せず)、及びガイド23を備える。ガイド23は、X方向における基部21の両側にそれぞれ配置され、Y方向に延びている。フォーク装置7の駆動部は、基部21および複数の腕部22をガイド23に沿って、Y方向に移動させる。
【0025】
図4は、実施形態に係るフォーク装置(移載装置)の動作を示す図である。フォーク装置7は、
図4(A)に示すように、アンロード位置P1においてワークWを保持する加工パレット5に向かって、複数の腕部22を−Y側へ移動させる。複数の腕部22の高さは、加工パレット5のベースプレート15の上面よりも上方、かつワークWの下面よりも下方に設定されており、複数の腕部22は、加工パレット5の支持プレート16の間に挿入されて、ワークWの下方に配置される。
図4(A)の状態では、ワークWは、加工パレット5の複数の支持プレート16によって支持されている。
図4(B)に示すように、複数の腕部22がワークWの下方に配置された状態で、加工パレット5は、複数の腕部22に対して下方に移動し、ワークWが複数の腕部22上に渡される。
【0026】
このように、フォーク装置7は、アンロード位置P1において、加工パレット5からワークWを受け取る。ワークWと加工パレット5とがレーザ加工により溶着を生じている場合、ワークWが複数の腕部22に支持された状態で加工パレット5が下方に移動することで、溶着を剥がして、ワークWを加工パレット5から分離することができる。また、フォーク装置7は、複数の支持プレート16と比べて、多点あるいは広い接触面積でワークWを支持することができ、ワークWを安定的に保持することができる。
【0027】
図5(A)は、実施形態に係る製品パレットを示す平面図であり、
図5(B)はグリッパ11およびベース体25を示す斜視図である。製品パレット6は、グリッパ11と、ベース体25(
図5(B)参照)と、駆動部26とを備える。ベース体25は、レール27に沿って移動可能に設けられる。レール27は、レール17と交差する方向(例、Y方向)に延びており、アンロード位置P1を挟むように、アンロード位置P1に対して+X側と−X側のそれぞれに設けられる。
【0028】
ベース体25は、
図5(B)に示すように、鉛直方向に延びる脚部28と、製品載置部12とを備える。脚部28は、一対のレール27(
図5(A)参照)に対応するように+X側と−X側のそれぞれに設けられる。製品載置部12は、概ね板状であり、一対の脚部28の上部に梁状に渡されている。製品パレット6は、ワークWから回収された製品Waを製品載置部12に一時的に保管する。製品載置部12には、例えばユーザが製品の搬出に用いる木枠などの搬出用部材29が載置され、製品Waは、製品載置部12上の搬出用部材29に集積される。駆動部26は、例えば、製品載置部12の+X側の端部に設けられる。駆動部26は、ベース体25をレール27に沿って移動させ、ここでは、ベース体25および駆動部26が一体的に自走可能である。ベース体25の移動方向(レール27に平行な方向)は、加工パレット5の移動方向(レール17に平行な方向)と交差する所定方向(例、Y方向)である。
【0029】
グリッパ11は、切断加工により切り分けられた製品Waおよび残材Wbを含むワークWから残材Wbを除去する。グリッパ11は、ベース体25に支持されており、ベース体25の製品載置部12と一体的に移動する。グリッパ11は、
図5(A)に示すように、複数の把持部(31a、31b)、及び駆動部(32a、32b)を備える。複数の把持部31aは、製品載置部12に対して、−Y側に並んで配置される。把持部31aは、
図3に示したフォーク装置7において隣り合う2つの腕部22の間に入り込むことが可能なように、寸法および配置が設定されている。駆動部32aは、複数の把持部31aに対応して設けられ、製品載置部12の下面の−Y側に取り付けられる。駆動部32aは、複数の把持部31aを一括して、Z方向およびY方向のそれぞれに移動可能である。
【0030】
複数の把持部31bは、製品載置部12に対して、+Y側に並んで配置される。把持部31bは、
図3に示したフォーク装置7において隣り合う2つの腕部22の間に入り込むことが可能なように、寸法および配置が設定されている。駆動部32bは、複数の把持部31bに対応して設けられ、製品載置部12の下面の+Y側に取り付けられる。駆動部32bは、複数の把持部31bを一括して、Z方向およびY方向のそれぞれに移動可能である。このように、把持部31aおよび把持部31bは、それぞれ、所定方向(Y方向)におけるベース体25の両側のそれぞれに、複数並んで設けられる。また、製品載置部12は、所定方向(Y方向)において複数の把持部31aと複数の把持部31bとの間に配置される。
【0031】
図5(B)に示すように、複数の把持部31aは、支持部材33に支持されている。駆動部32aは、支持部材33を支持してZ方向に移動可能なZ駆動部34と、Z駆動部34を支持してY方向に移動可能なY駆動部35とを備える。Y駆動部35は、Z駆動部34および支持部材33を介して、複数の把持部31aをY方向に移動させる。Z駆動部34は、支持部材33を介して、複数の把持部31aをZ方向に移動させる。
図5(A)に示した駆動部32bは、駆動部32aと同様の構成であり、その説明を簡略化する。駆動部32aおよび駆動部32bは、例えば、Z方向において、複数の把持部31aと複数の把持部31bとが同じ高さとなるように、複数の把持部31aおよび複数の把持部31bを移動させる。また、駆動部32aおよび駆動部32bは、例えば、Y方向において、複数の把持部31aと複数の把持部31bとを互いに接近する向き、及び互いに離れる向きのそれぞれに移動可能である。
【0032】
図6は、実施形態に係るグリッパの動作を示す図である。
図6(A)に示すように、把持部31aは、X方向から見た平面形状が概ねC字状であり、下部41、側部42、及び上部43を有する。上部43には、上下方向に移動可能な可動部44が設けられる。把持部31bは、把持部31aと同様の構成であり、把持部31aと対称的に設けられる。ワークWがアンロード位置P1(
図5参照)に保持された状態において、把持部31aおよび把持部31bは、グリッパ11および製品載置部12のY方向の移動によって、それぞれ、ワークWの上方の−Y側と+Y側とに配置される。この状態において、
図6(A)に示すように、駆動部32a、駆動部32bは、それぞれ、把持部31a、把持部31bを下方に移動させる。把持部31a、把持部31bは、それぞれ、
図3のフォーク装置7において隣り合う腕部22の間に入り込み、下部41がワークWよりも下方となり、かつ可動部44がワークWよりも上方となる位置まで、下方に移動する(
図6(B)参照)。
【0033】
次に、
図6(B)に示すように、駆動部32aは把持部31aを+Y側に移動させ、把持部31aは、その下部41と可動部44との間にワークWの−Y側の端が挟まれる位置まで、+Y側に移動する(
図6(C)参照)。また、駆動部32bは把持部31bを−Y側に移動させ、把持部31bは、その下部41と可動部44との間にワークWの+Y側の端が挟まれる位置まで、−Y側に移動する(
図6(C)参照)。次に、
図6(D)に示すように、駆動部32a、駆動部32bは、それぞれ、可動部44を下方に移動させ、把持部31a、把持部31bは、それぞれ、ワークWの−Y側、+Y側の端部を下部41と可動部44とにより把持する。ワークWの端部(外周部)は、残材Wbになっており、ワークWのうち残材Wbが把持部31a、把持部31bに把持される。次に、
図6(E)に示すように、駆動部32a、駆動部32bは、それぞれ、残材Wbを把持した把持部31a、把持部31bを上方に移動させる。これにより、残材Wbは、フォーク装置7の腕部22上から持ち上げられ、製品Waと分離(仕分け)される。
【0034】
なお、本実施形態では、加工パレット5からワークWを受け取る移載装置として、フォーク装置7を用いるが、移載装置の構成は、上述のフォーク装置7の構成に限定されない。例えば、この移載装置は、加工パレット5の複数の支持プレート16の間を複数の柱状部材が昇降し、これら柱状部材がワークWを持ち上げる構成でもよい。また、ワーク搬送システム2は、フォーク装置7(移載装置)を備えなくてもよく、グリッパ11は、加工パレット5に保持されたワークWから残材Wbを選択的に除去してもよい。この場合、把持部31a、把持部31bは、加工パレット5において隣り合う2つの支持プレート16の間に入り込むことが可能なように、寸法および配置が設定される。また、フォーク装置7(移載装置)は、ワーク搬送システム2の外部の装置であってもよく、例えば、ワーク搬送システム2が設置される設備(例、工場)の装置でもよい。
【0035】
なお、
図1において、ワーク搬送システム2には、上述の製品パレット6の他に製品パレット50が設けられる。製品パレット50は、それぞれ、アンロード位置P1に対して+Y側に配置される。レーザ加工後のワークWに複数種類の製品が含まれる場合、例えば、製品は、種類ごとに製品パレット6と製品パレット50とに分別される。製品パレット50は、Y方向に移動可能である。製品パレット50は、その上面の高さが製品パレット6と異なり、例えば双方を−Y側に寄せることで、製品パレット6と重ねて配置することもできる。
図1において、製品パレット50は、グリッパ11を備えていないが、製品パレット6と同様の構成でもよい。
【0036】
図7は、実施形態に係る製品アンローダを示す側面図である。製品アンローダ8は、レール51と、レール51上を走行可能な走行台車52と、走行台車52に設けられる移載装置54とを備える。レール51は、ワークWの搬送方向(X方向)すなわち加工パレット5の移動方向(X方向)に対して、交差する方向(例、Y方向)に延びている。走行台車52には、X方向に延びるXガイド53が設けられ、移載装置54はXガイド53に取り付けられる。移載装置54は、例えば、Xガイド53に沿って移動可能なX移動体55と、X移動体55に設けられたZ移動体56と、Z移動体56の下端に設けられる吸着部57とを備える。Z移動体56は、吸着部57を保持しながら、Z移動体56に対して上下方向(Z方向)に移動可能である。吸着部57は、走行台車52によりY方向に移動し、X移動体55によりX方向に移動し、Z移動体56によりZ方向に移動する。吸着部57の下面側(−Z側)には、複数の吸着パッド58が設けられる。吸着部57は、例えば真空、減圧により製品を吸着するが、磁気などで吸着するものでもよい。
【0037】
図8は、実施形態に係る製品パレットおよび製品アンローダの動作を示す図である。
図8(A)に示すように、グリッパ11が残材Wbを把持した状態で、製品パレット6は、アンロード位置P1から退避位置P2へ移動する。また、製品アンローダ8は、吸着部57をアンロード位置P1へ移動させ、フォーク装置7の腕部22に保持された製品Waの上方に吸着部57を位置決めする(
図8(B)参照)。製品アンローダ8は、製品パレット6と並行して吸着部57を移動させてもよいし、製品パレット6が退避位置P2へ移動した後に吸着部57を移動させてもよい。
【0038】
次に、
図8(B)に示すように、退避位置P2において、グリッパ11の駆動部32a、駆動部32bは、把持部31aおよび把持部31bのそれぞれにおいて、可動部44を上方に移動させ、把持部31aおよび把持部31bを互いに離れる方向へ移動させる。これにより、把持部31aおよび把持部31bによる残材Wbの把持が解除され、残材Wbは落下して、残材回収ケース60に収容(集積)される。また、製品アンローダ8は、吸着部57を下方に移動させ、吸着部57をフォーク装置7の腕部22上の製品Waに接近させる(
図8(C)参照)。そして、吸着部57は、
図8(C)に示すように吸着パッド58によって製品Waを吸着する。次に、製品アンローダ8は、
図8(D)に示すように、吸着部57を上方に移動させた後、退避位置P2の製品パレット6上へ移動させる。そして、製品アンローダ8は、吸着パッド58による製品Waの吸着を解除することで、製品パレット6の製品載置部12に載置された搬出用部材29上に製品Waを移載する。ここでは、ワーク搬送システム2は、アンロード位置P1において残材Wbと製品Waとをそれぞれアンロードするが、残材Wbと製品Waとを別の位置でアンロードしてもよい。
【0039】
次に、上述の加工システム1の構成に基づき、実施形態に係るワーク搬送方法を適用した加工方法について説明する。
図9は、実施形態に係るワーク搬送方法を適用した加工方法を示すフローチャートである。ステップS1において、ワーク供給装置4は、ロードエリアAR1に配置された加工パレット5に加工前ワークを載置(供給)する。ステップS2において、ワーク搬送システム2は、加工前ワークを保持した加工パレット5をレーザ加工機3へ搬送する。ステップS3において、レーザ加工機3は、加工パレット5上でワークWに対してレーザ加工(切断加工)を施す。これにより、ワークWは、製品Waと残材Wbとに切り分けられる。ステップS4において、ワーク搬送システム2は、加工後のワークWを保持した加工パレット5を、レーザ加工機3からアンロード位置P1へ搬送する。ステップS5において、グリッパ11は、残材Wbを除去する。例えば、ステップS5において、加工後のワークWは、加工パレット5からフォーク装置7へ受け渡され、グリッパ11は、フォーク装置7上のワークWから残材Wbを持ち上げる。ステップS6において、製品パレット6は、グリッパ11と製品載置部12とを一体的に移動させ、グリッパ11と製品載置部12とをアンロード位置から退避させる。ステップS7において、製品アンローダ8は、製品Waを製品載置部12へ載置(移載)する。
【0040】
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0041】
なお、上述の実施形態においては、製品パレット6を適用したワーク搬送システム2、加工システム1を説明したが、製品パレット6は、上述のワーク搬送システム2、加工システム1以外のシステムにも適用可能である。